JP4425957B2 - ヒートポンプ給湯機 - Google Patents

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Description

本発明は、ヒートポンプにより水を湯に沸き上げるヒートポンプ給湯機に関するものである。
従来のヒートポンプ給湯機に、温水を貯留させる給湯タンクと、前記給湯タンク内の水を加熱する給湯用熱交換器と、前記給湯タンク内の温水を用いて浴槽での浴槽水沸上げ運転や暖房ユニットでの暖房運転を行う利用側熱交換器とを備えた給湯機であって、一端が前記給湯タンクの下部に、他端が前記給湯タンクの下部に接続され、前記利用側熱交換器の熱源側配管を構成する熱源側配管と、前記給湯用配管の一端と前記熱源側配管の他端との接続部に設けた第1の制御弁と、一端が前記給湯用配管の他端側に第2の制御弁を介して接続され、他端が前記給湯タンクの下部に接続された下部戻し管とを有し、前記第1の制御弁から前記第2の制御弁までの間の前記給湯用配管に、循環ポンプを儲け、前記給湯タンクの下部から流出させた水を、前記第1の制御弁、前記循環ポンプ、前記給湯用熱交換器、前記第2の制御弁を経由させ、前記給湯タンクの上部から戻し、前記浴槽水の加熱運転や暖房運転では、前記循環ポンプを運転することにより、前記利用側熱交換器で放熱させた水を、前記第1の制御弁、前記循環ポンプ、前記給湯用熱交換器、前記第2の制御弁を経由させ、前記下部戻し管から前記給湯タンクに戻したものがある(例えば、特許文献1参照)。
また、貯湯タンクと、貯湯タンク内の水を加熱するための給水熱交換器を備えたヒートポンプユニットと、貯湯タンク内の水をヒートポンプユニットとの間で循環させるための給水循環ポンプと、貯湯タンク内の水をヒートポンプユニットに導くための給水往き管と、ヒートポンプユニットで加熱された水を貯湯タンクに戻すための給水戻り管とを備えたヒートポンプ給湯機において、前記給水戻り管に浴槽内の水を加熱するための追焚熱交換器を備えたヒートポンプ給湯機がある(例えば、特許文献2参照)。
特開2004−218907号公報(第4頁、第1図) 特開2003−279135号公報(第3頁、第1図)
上記文献1に記載のヒートポンプ給湯機は、一つの循環ポンプを用いて、給湯タンクの沸き上げ運転と浴槽水の加熱運転や暖房運転とを行うようにしたものである。このヒートポンプ給湯機では、どちらの運転を行なうに際しても、給湯タンクに蓄えられている高温の湯を使用しなければならなかった。すなわち、給湯タンクに蓄えられている湯を、出湯したり、浴槽水の加熱運転や暖房運転で使用したりしていた。そして、浴槽水の加熱運転や暖房運転で使用した後の温度が下がった湯をヒートポンプで再度加熱し、その湯を給湯タンク上部から戻していた。そのために、ヒートポンプでは常に供給された水をタンク貯湯温度まで沸き上げなければならなかった。
通常、タンク貯湯温度は65℃〜90℃であるが、それに対して浴槽水の加熱運転や暖房運転で要求される湯の温度は50℃〜60℃であり、タンク貯湯温度と比べて低くなっている。しかしながら、利用先(出湯及び浴槽水の加熱運転や暖房運転)にかかわらず、常にタンク貯湯温度まで水を沸き上げるようになっていた。したがって、ヒートポンプを高い稼働率で運転させなければならず、高効率での運転ができないという問題があった。
また、上記文献2に記載のヒートポンプ給湯機は、浴槽水を高効率で短時間で沸かし上げることができるようにしたものである。このヒートポンプ給湯機では、ヒートポンプで沸き上げられた湯を浴槽水の沸き上げに使用し、その後温度の下がった湯を貯湯タンクに戻していた。そして、この貯湯タンクに戻された水はヒートポンプに送られて再度沸き上げられるようになっていた。
しかしながら、貯湯タンク内には、ヒートポンプで沸き上げられた湯と、浴槽水を沸かし上げることに使用された湯とが混在するので、貯湯タンク内の全量を均一の温度に沸き上げるには時間がかかってしまっていた。また、浴槽以外の蛇口やシャワー等から出湯させて湯を利用したいときでも、貯湯タンク内の温度が均一でないので、希望の温度の湯を直ちに供給できないという問題もあった。
本発明は以上のような課題を解決するためになされたもので、タンクに貯湯する湯の温度と浴槽水の沸き上げ運転や暖房運転で使用される湯の温度とを適切に調整して、水を湯に沸き上げるヒートポンプを高効率で運転させるヒートポンプ給湯機を提供することを目的としている。
本発明に係るヒートポンプ給湯機は、圧縮機、放熱器、膨張弁、及び、蒸発器が少なくとも配管接続され、前記放熱器を介して水を湯に沸き上げる冷凍サイクルと、前記放熱器で沸き上げられた湯を蓄えるタンク、前記タンクの水を搬送するポンプ、前記放熱器、及び、前記放熱器で沸き上げられた湯の流路を切り替える流路切替手段が少なくとも配管接続され、前記タンクに蓄えられている水を前記放熱器に搬送する第1給水配管が前記タンクの最下部に、前記放熱器で沸き上げられた湯を前記流路切替手段を介して前記タンクに搬送する給湯配管が前記タンクの最上部にそれぞれ接続されている蓄熱回路と、前記放熱器で沸き上げられた湯で水を加熱する利用側熱交換器、前記利用側熱交換器で加熱された湯を利用する利用側負荷、及び、負荷側の水を搬送する循環ポンプが少なくとも配管接続され、前記タンクに蓄えられている水を前記放熱器に搬送する第1給水配管が前記タンクの最下部に、前記放熱器で沸き上げられた湯を前記流路切替手段を介して前記利用側熱交換器に搬送し、前記利用側熱交換器で負荷側の水と熱交換した湯を前記タンクに搬送する第2給水配管が前記タンクの最上部と最下部との間にそれぞれ接続されている利用負荷回路と、を有し、前記第2給水配管は、前記タンク内の温度分布を検知するとともに、前記タンク内の残湯量を検知するための2以上のタンク温度分布検知手段のうち前記タンクの最上段に設けられているものよりも下方に接続されており、前記冷凍サイクルは、前記蓄熱回路で前記タンクに蓄えられる湯の温度と、前記利用負荷回路で使用される湯の温度とを調節可能にするとともに、前記利用負荷回路で使用される湯の温度は、前記蓄熱回路で前記タンクに蓄えられる湯の温度より低く設定され、前記利用負荷回路で湯を使用する利用側負荷加熱運転は、前記流路切替手段を、該湯の流路を前記利用負荷回路に切り替えるとともに、前記ポンプ及び前記循環ポンプを運転し、前記タンク最下段に設けられている前記タンク温度分布検出手段から得られる温度が、前記利用負荷回路で使用される湯の温度より低い場合は、所定能力で冷凍サイクルを運転し、前記タンク最下段に設けられている前記タンク温度分布検出手段から得られる温度が、前記利用負荷回路で使用される湯の温度よりも高い場合は、冷凍サイクルの運転停止もしくは冷凍サイクルを低能力で運転させることを特徴とする。
本発明に係るヒートポンプ給湯機によれば、利用側負荷加熱運転で要求される温度(50℃〜60℃)を、蓄熱運転動作で要求される温度(65℃〜90℃)より低い温度に設定しても、蛇口等から出湯する湯に影響を与えることがなく、また、タンクの下部の温度が利用側負荷加熱運転で要求される温度よりも高い場合には、冷凍サイクルを運転しない若しくは低回転で運転させるために、冷凍サイクルを高効率で運転することが可能になる。
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
実施の形態1.
図1は、本発明の実施の形態1に係るヒートポンプ給湯機1の全体構成を示す概略図である。ヒートポンプ給湯機1は、冷凍サイクル10と、蓄熱回路20と、利用負荷回路30とで構成されている。
冷凍サイクル10は、圧縮機11と、放熱器12と、膨張弁13と、蒸発器14とを少なくとも備え、それらを冷媒配管15で順次環状に接続して構成されている。冷凍サイクル10は、一般にヒートポンプサイクルと称されおり、冷媒を循環させて水を湯に沸き上げる機能を有している。なお、冷凍サイクル10には、図示省略の冷凍サイクル10を制御する冷凍サイクル制御手段やアキュムレータ等を備えるとよい。
圧縮機11は、冷媒を圧縮して高温高圧の冷媒とするものである。放熱器12は、一般に熱交換器と称されており、圧縮機11から吐出された高温高圧の冷媒と給湯用の水との熱交換を行い水の温度を上昇(沸き上げ)させるものである。膨張弁13は、沸き上げを行った後の冷媒を減圧し低温低圧の冷媒にするものである。蒸発器14は、一般に室外熱交換器と称されており、冷媒に空気から吸熱させるものである。冷媒配管15は、冷媒を冷凍サイクル10内で循環させるものである。冷媒には、冷凍サイクル10における高圧側が臨界圧力以上の超臨界状態となる二酸化炭素(CO2)や、高圧側が臨界圧力以下でも臨界圧力付近で動作するR410A、R32等を用いるとよい。
蓄熱回路20は、タンク21と、放熱器12と、流量調整弁41とを少なくとも含んで構成されている。そして、タンク21と放熱器12とは第1給水配管25で、放熱器12と流量調整弁41とは温水管45で、流量調整弁41とタンク21とは第1給湯配管26でそれぞれ接続されている。
蓄熱回路20は、水を冷凍サイクル10の放熱器12に供給し、放熱器12で沸き上げられた湯をタンク21に蓄えるようになっている。タンク21は、冷凍サイクル10で沸き上げられた湯を蓄える機能を有している。また、タンク21は、一般給水配管46と接続しており、放熱器12に供給する水を蓄える機能を有している。なお、タンク21は、常に満水状態を維持する密閉式の貯湯タンクであることが望ましい。また、タンク21に蓄えられている湯は、出湯管47を流れて蛇口48から出湯するようになっている。
第1給水配管25は、タンク21と放熱器12とを接続し、タンク21に蓄えられている水を放熱器12まで搬送するものである。なお、第1給水配管25には、水を放熱器12に供給するためのポンプ42が設けられている。温水管45は、放熱器12と流路切替弁41とを接続し、放熱器12で沸き上げられた湯を流路切替弁41まで搬送するものである。なお、第1給水配管25と温水管45とは、後述する利用負荷回路30でも共通して使用される。
第1給湯配管26は、流路切替弁41とタンク21とを接続し、放熱器12で沸き上げられた湯をタンク21まで搬送するものである。なお、第1給湯配管26をタンク21の上部と接続し、放熱器12で沸き上げられた湯は、タンク21の上部から蓄えられるようにするとよい。
また、蓄熱回路20には、冷凍サイクル10の放熱器12で沸き上げられた湯の温度を検知するための沸き上げ温度検知手段22が備えられている。流路切替弁41は、冷凍サイクル10で沸き上げられた湯の流路を切り替える流路切替手段としての機能を果たすものである。すなわち、流路切替弁41は、沸き上げられた湯の利用先(蓄熱回路20及び利用負荷回路30)への流路を切り替えるようになっている。なお、流路切替弁41は、沸き上げ温度検知手段22等の検知情報に基づいて全体を制御する図示省略の制御手段で制御されるとよい。また、沸き上げ温度検知手段22と流路切替弁41とは、後述の利用負荷回路30でも共通して使用される。
利用負荷回路30は、放熱器12と、流路切替弁41と、利用側熱交換器33と、利用側負荷31と、循環ポンプ32とで構成されている。そして、放熱器12と流路切替弁41とは温水管45で、流路切替弁41と利用側熱交換器33とは第2給湯配管36で、利用側熱交換器33と利用側負荷31と循環ポンプ32とは利用負荷配管37で、利用側熱交換器33と放熱器12とは第2給水配管35と第1給水配管25とでそれぞれ接続されている。
給湯負荷回路30は、ヒートポンプ給湯機1の利用側負荷31を使用するユーザの支持に基づいて運転を開始するようになっている。例えば、利用側負荷31は、放熱器12で沸き上げられた湯を利用する浴槽水の保温や追焚き、床暖房等である。この利用側負荷31の運転が図示省略のリモコン等の操作部により操作されると、循環ポンプ32が運転を開始して、利用負荷配管37内を水が循環するようになっている。なお、循環ポンプ32は、図示省略の給湯負荷回路制御手段等で制御されるとよい。
循環ポンプ32は、利用負荷配管37内の水を循環させるためのものである。第2給湯配管36は、流路切替弁41と利用側熱交換器33とを接続し、放熱器12で沸き上げられた湯を利用側熱交換器33に搬送するものである。利用側熱交換器33は、第2給湯配管36を流れる湯から吸熱して利用負荷配管37を流れる水を加熱するためのものである。第2給水配管35は、利用側熱交換器33と第1給水配管25とを接続し、利用側熱交換器33で放熱した湯を冷凍サイクル10に循環させるものである。利用負荷配管37は、利用側熱交換器33で加熱された水を利用側負荷31まで搬送し、利用側負荷31で放熱した水を利用側熱交換器33まで搬送するものである。
次に、蓄熱運転動作について説明する。蓄熱運転とは、冷凍サイクル10と蓄熱回路20とを動作させることで、設定された所定温度の湯をタンク21に蓄えて、タンク21全体を所定温度(目標蓄熱温度)の状態にすることである。なお、蓄熱運転開始/終了の判定や蓄熱されるときの湯温及び湯量の算出は、沸き上げ温度検知手段22や図示省略のタンク内温度検知手段等の検知情報に基づいてヒートポンプ給湯機1の全体を制御する図示省略の制御手段が行なうようにするとよい。また、一般に、目標蓄熱温度は、65℃〜90℃となるように設定されている。
タンク21に蓄えられている湯が利用されると、タンク21内の湯量が減少する。そうすると、タンク21全体を目標蓄熱温度にするために冷凍サイクル10が運転を開始する。また、タンク21内に蓄えられている湯の温度が所定の温度以下になると、タンク21全体を目標蓄熱温度にするために冷凍サイクル10が運転を開始する。なお、冷凍サイクル10の運転は、ヒートポンプ給湯機1の全体を制御する図示省略の制御手段からの指示に基づいて図示省略の冷凍サイクル制御手段が制御するとよい。
冷凍サイクル10が運転を開始すると、圧縮機11から吐出された高温高圧のガス冷媒は、放熱器12で放熱しながら温度低下する。このときの圧力が臨界圧以上であれば、冷媒は超臨界状態のまま気液相転移しないで温度低下して放熱する。また、臨界圧以下であれば、冷媒は液化しながら放熱する。このように、冷媒から放熱された熱を負荷側媒体(水)に与えることで給湯加熱(沸き上げ)を行う。
給湯加熱を行い放熱器12から流出した高圧低温の冷媒は膨張弁13で減圧される。その後、低圧低温となった冷媒は、蒸発器14に流入し、そこで外気から吸熱し、蒸発ガス化される。蒸発器14から出た低圧のガス冷媒は、圧縮機11に流入する。このように、冷媒が冷媒配管15を循環して冷凍サイクル10を形成している。冷凍サイクル10に備えられている図示省略の冷凍サイクル制御手段は、冷凍サイクル10の所定能力を適正な効率で発揮、維持できるように、圧縮機11の周波数や膨張弁13の開度を制御するとよい。
このとき、蓄熱回路20では、放熱器12で冷媒から放熱された熱が第1給水配管25を流れる水に与えられる。すなわち、放熱器12では、冷媒配管15を循環する冷媒と第1給水配管25を流れる水との熱交換(沸き上げ)が行われるようになっている。沸き上げられた湯の温度は、沸き上げ温度検知手段22で検知されて、その検知温度が設定された所定の沸き上げ温度となるように冷凍サイクル10が制御される。そして、この沸き上げられた湯は、温水管45内を流れて流路切替弁41まで搬送される。なお、沸き上げ温度の制御は、全体を制御する図示省略の制御手段が行なうとよい。
この流路切替弁41で、沸き上げられた湯の流路が切り替えられる。なお、流路切替弁41は、全体を制御する図示省略の制御手段で制御されるとよい。流路切替弁41が、沸き上げられた湯の流路を蓄熱回路20側に切り替えると、沸き上げられた湯はタンク21の上部から流入し、タンク21内に蓄えられて、一連の蓄熱運転動作が終了する。また、流路切替弁41が、沸き上げられた湯の流路を利用負荷回路30側に切り替えると、沸き上げられた湯は利用負荷回路30で利用される(後述の利用側負荷加熱運転A)。
次に、利用側負荷加熱運転Aについて説明する。利用側負荷加熱運転Aとは、冷凍サイクル10と利用負荷回路30とを動作させて、設定された所定温度(50℃〜60℃)の湯の熱で、利用負荷配管37を循環する水を加熱して、その水を利用側負荷31で使用することである。利用側負荷31は、冷凍サイクル10で沸き上げられた湯を利用する浴槽水の保温や追焚き、床暖房等である。なお、利用側負荷31を浴槽水の保温や追焚き、床暖房等に限定するものではなく、ヒートポンプ給湯機1に接続して、冷凍サイクル10で沸き上げられた湯を利用できるものであればよい。また、冷凍サイクル10の運転動作は、上述の蓄熱運転動作と同様である。
利用側負荷31の運転がユーザから要求されると、図示省略の利用負荷回路30を制御する利用負荷回路制御手段により、循環ポンプ32が運転を開始する。循環ポンプ32が運転を開始すると、利用負荷配管37内を水が循環する。また、利用負荷配管37内の水を加熱するために、冷凍サイクル10が運転を開始する。なお、ユーザは、図示省略のリモコン等の操作部を通じて利用側負荷31の運転の要求をするようになっている。
冷凍サイクル10で沸き上げられた湯(50℃〜60℃)は、温水管45内を流れて流路切替弁41まで搬送される。流路切替弁41が、流路を利用負荷回路30側に切り替えると、沸き上げられた湯は、第2給湯配管36を流れて利用側熱交換器33に搬送される。ここで、利用負荷配管37内を流れる水は、設定されている所定温度の湯に加熱される。この水は、利用負荷配管37内を循環して、到達した利用側負荷31で使用されるようになっている。そして、一連の利用側負荷加熱運転Aが終了する。なお、利用側負荷加熱運転Aは、利用側負荷31で設定された所定の温度になったときや、ユーザにより運転停止の要求があったときに循環ポンプ32を停止させて、終了可能になっている。
図2は、沸き上げ温度とサイクル効率との関係を示す関係図である。
一般に、利用側負荷加熱運転Aで要求される温度(50℃〜60℃)は、蓄熱運転動作(65℃〜90℃)で要求される温度よりも、低い温度であることが多い。図からも分かるように、冷凍サイクル10での沸き上げ温度が高くなると、冷凍サイクル10のサイクル効率が低くなる。すなわち、冷凍サイクル10に設定する沸き上げ温度を低く設定すれば、サイクル効率が高くなるのである。
冷凍サイクル10で沸き上げられる湯の温度を高く設定すれば、冷媒配管15内を流れる冷媒の温度も高くする必要がある。冷媒の温度を高くするには、圧縮機11での圧縮率を高くしなければならない。そうすると、圧縮機11の動作負担が増加し、サイクル効率が低下してしまうことになる。したがって、本発明に係るヒートポンプ給湯機1のように、利用側負荷加熱運転Aと蓄熱運転動作とで冷凍サイクル10の沸き上げ設定温度を調整可能にしておけば、冷凍サイクル10の運転を最適な効率で行なうことが可能になる。
また、利用側負荷加熱運転Aでは、利用側熱交換器33で放熱した湯は、タンク21に流入せずに、第2給水配管35内を流れて再び冷凍サイクル10に搬送されるようになっている。すなわち、利用側負荷加熱運転Aでは、タンク21内に蓄えられている高温の湯を利用しないために、蛇口48等に出湯する高温の湯が不足することがない。また、利用側負荷加熱運転Aで放熱した湯をタンク21に流入させないので、タンク21内に蓄えられている湯の温度が低下することがない。
実施の形態2.
図3は、本発明の実施の形態2に係るヒートポンプ給湯機1aの全体構成を示す概略図である。図1と共通する部分については同じ符号を付し説明を省略する。ヒートポンプ給湯機1aは、冷凍サイクル10と、蓄熱回路20と、利用負荷回路30aとで構成されている。なお、冷凍サイクル10と蓄熱回路20とは実施の形態1に係るヒートポンプ給湯機1と同様である。
ヒートポンプ給湯機1aのタンク21には、タンク温度分布検知手段43が備えられている。タンク温度分布検知手段43は、タンク21内の温度分布を検知するものである。この検知情報に基づいて、図示省略の制御手段は、タンク21内の残湯量等を計算するのが望ましい。なお、実施の形態2では、タンク温度分布検知手段43が4つ備えられている場合を例に示すが、個数を4つに限定するものではない。
利用負荷回路30aを構成する第2給水配管35aは、第2給水配管35とは異なり、タンク21に接続されている。すなわち、利用側熱交換器33で放熱した湯は、冷凍サイクル10に搬送されるのではなく、タンク21に搬送されるようになっている。なお、第2給水配管35aとタンク21とは、タンク21に備えられている最上段のタンク温度分布検知手段43よりも低い位置で接続されるのが好ましい。これは、タンク21上部には、蛇口48等に出湯するための高温の湯が蓄えられているからである。
すなわち、タンク21の下部には、一般給水配管46から流入する水が存在し、この水と出湯用に蓄えられている高温の湯とが混在しないようになっているので、その高温の湯に第2給水配管35aから搬送される湯が混在して温度低下をさせないようにしているのである。こうすれば、第2給水配管35aから搬送される湯と一般給水配管46とから流入する水とを混在させて、冷凍サイクル10に供給することが可能になり、タンク21内に蓄えられている湯の温度を維持できる。
次に、利用側負荷加熱運転Bについて説明する。利用側負荷31の運転がユーザから要求されると、図示省略の利用負荷回路30aを制御する利用負荷回路制御手段により、循環ポンプ32が運転を開始する。このとき、タンク温度分布検知手段43の検知したタンク21の下部の温度が、給水温度程度であれば、利用負荷配管37内の水を加熱するために、冷凍サイクル10とポンプ32とが運転を開始する。
一方、タンク温度分布検知手段43の検知したタンク21の下部の温度が、所定の温度(50℃〜60℃)より高い温度であれば、冷凍サイクル10を運転させない若しくは低回転で運転を開始させ、ポンプ32の運転を開始する。なお、利用側負荷加熱運転Bは、利用側負荷31で設定された所定の温度になったときや、ユーザにより運転停止の要求があったときに循環ポンプ32を停止させて、終了するとよい。
図4は、給水温度とサイクル効率との関係を示す関係図である。
一般に、給水温度(冷凍サイクル10に供給される水の温度)が高くなると、放熱器12で放熱する冷媒のエンタルピーが大きくなる。そうすると、水を湯に沸き上げる際のエンタルピーの差が減少し、サイクル効率が低下してしまう。すなわち、第2給水配管35aは、最上段のタンク温度分布検知手段43よりも下部でタンク21と接続しているので、タンク21に流入する湯は、一般給水配管46から流入する水と混ざり合って、冷凍サイクル10に供給される。したがって、冷凍サイクル10には、温度の高い水が供給されずに、温度の低い水が供給されることになり、サイクル効率の低下を防止することが可能になっている。
以上のように、利用側負荷加熱運転Bで要求される温度(50℃〜60℃)を、蓄熱運転動作で要求される温度(65℃〜90℃)より低い温度に設定しても、蛇口48等から出湯する湯に影響を与えることがない。また、タンク21の下部の温度が利用側負荷加熱運転Bで要求される温度よりも高い場合には、冷凍サイクル10を運転しない若しくは低回転で運転させるために、冷凍サイクル10を高効率で運転することが可能である。
さらに、タンク21内に蓄えられている湯が出湯されると、タンク21内の残湯量が必要最少湯量であるかを、タンク温度分布検知手段43で検知するようになっているので、タンク21を設定されている所定温度(65℃〜90℃)の湯で満水状態に維持することが可能になっている。すなわち、タンク温度分布検知手段43が、タンク21内の残湯量が必要最少湯量以下であることを検知すると、その検知情報に基づいて図示省略の制御手段が蓄熱運転動作を開始させて、設定された所定温度の湯をタンク21に所定量蓄えるようになっている。
実施の形態2では、第2給水配管35aがタンク21に備えられている最上段のタンク温度分布検知手段43より下部に接続されている場合を例に説明したが、タンク21上部に蓄えられている高温の湯の温度を低下させない位置に接続してあればどこでも構わない。
実施の形態1に係るヒートポンプ給湯機の全体構成を示す概略図である。 沸き上げ温度とサイクル効率との関係を示す関係図である。 実施の形態2に係るヒートポンプ給湯機の全体構成を示す概略図である。 給水温度とサイクル効率との関係を示す関係図である。
符号の説明
1 ヒートポンプ給湯機、1a ヒートポンプ給湯機、10 冷凍サイクル、11 圧縮機、12 放熱器、13 膨張弁、14 蒸発器、20 蓄熱回路、21 タンク、22 沸き上げ温度検知手段、25 第1給水配管、26 第1給湯配管、30 利用負荷回路、30a 利用負荷回路、31 利用側負荷、32 循環ポンプ、33 利用側熱交換器、35 第2給水配管、35a 第2給水配管、36 第2給湯配管、37 利用負荷配管、41 流路切替弁、42 ポンプ、43 タンク温度分布検知手段、45 温水管、46 一般給水配管、47 出湯管、48 蛇口。

Claims (1)

  1. 圧縮機、放熱器、膨張弁、及び、蒸発器が少なくとも配管接続され、前記放熱器を介して水を湯に沸き上げる冷凍サイクルと、
    前記放熱器で沸き上げられた湯を蓄えるタンク、前記タンクの水を搬送するポンプ、前記放熱器、及び、前記放熱器で沸き上げられた湯の流路を切り替える流路切替手段が少なくとも配管接続され、前記タンクに蓄えられている水を前記放熱器に搬送する第1給水配管が前記タンクの最下部に、前記放熱器で沸き上げられた湯を前記流路切替手段を介して前記タンクに搬送する給湯配管が前記タンクの最上部にそれぞれ接続されている蓄熱回路と、
    前記放熱器で沸き上げられた湯で水を加熱する利用側熱交換器、前記利用側熱交換器で加熱された湯を利用する利用側負荷、及び、負荷側の水を搬送する循環ポンプが少なくとも配管接続され、前記タンクに蓄えられている水を前記放熱器に搬送する第1給水配管が前記タンクの最下部に、前記放熱器で沸き上げられた湯を前記流路切替手段を介して前記利用側熱交換器に搬送し、前記利用側熱交換器で負荷側の水と熱交換した湯を前記タンクに搬送する第2給水配管が前記タンクの最上部と最下部との間にそれぞれ接続されている利用負荷回路と、を有し、
    前記第2給水配管は、
    前記タンク内の温度分布を検知するとともに、前記タンク内の残湯量を検知するための2以上のタンク温度分布検知手段のうち前記タンクの最上段に設けられているものよりも下方に接続されており、
    前記冷凍サイクルは、
    前記蓄熱回路で前記タンクに蓄えられる湯の温度と、前記利用負荷回路で使用される湯の温度とを調節可能にするとともに、
    前記利用負荷回路で使用される湯の温度は、前記蓄熱回路で前記タンクに蓄えられる湯の温度より低く設定され、
    前記利用負荷回路で湯を使用する利用側負荷加熱運転は、
    前記流路切替手段を、該湯の流路を前記利用負荷回路に切り替えるとともに、前記ポンプ及び前記循環ポンプを運転し、
    前記タンク最下段に設けられている前記タンク温度分布検出手段から得られる温度が、前記利用負荷回路で使用される湯の温度より低い場合は、所定能力で冷凍サイクルを運転し、
    前記タンク最下段に設けられている前記タンク温度分布検出手段から得られる温度が、前記利用負荷回路で使用される湯の温度よりも高い場合は、
    冷凍サイクルの運転停止もしくは冷凍サイクルを低能力で運転させる
    ことを特徴とするヒートポンプ給湯機。
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