JP4424839B2 - 帯電ローラ - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、複写機、プリンター等における静電潜像プロセスで、感光体等の被帯電体を帯電させる場合に好適に用いられる帯電ローラに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、複写機、プリンター等の電子写真装置では、まず、感光体の表面を一様に帯電させ、この感光体に光学系から映像を投射して、光の当たった部分の帯電を消去することによって潜像を形成する静電潜像プロセスにより静電潜像を得、次いで、トナーの付着によるトナー像の形成、紙等の記録媒体へのトナー像の転写により、プリントする方法がとられている。
【0003】
この場合、最初の感光体を帯電させる操作は、コロナ放電方式が一般的に採用されてきた。しかしながら、このコロナ放電方式は6〜10kVもの高電圧印加が必要とされるため、機械の安全保守の観点から好ましくないものである。また、コロナ放電中にオゾン、NOx等の有害物質が発生するため、環境上の問題もある。
【0004】
このため、コロナ放電に比べて低い印加電圧で帯電を行うことができ、かつ、オゾン等の有害物質の発生を抑制することができる帯電方式への取り組みがなされており、新たな帯電方式として、電圧を印加した帯電用部材を感光体等の被帯電体に所定の圧力で接触させることにより、被帯電体を帯電させる接触方式による方法が提案されている。
【0005】
この場合、この接触帯電方式で使用される帯電部材としては、例えば、ゴムやウレタンフォーム等の弾性層の表面に、ウレタン、ナイロン等の樹脂を有機溶剤に溶解した樹脂溶液をディッピング法やスプレー法などにより塗布して、表面の平滑性確保やトナーの付着防止のためにウレタン、ナイロン等の塗膜層を形成したものが知られている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、この接触帯電方式では、帯電部材としての帯電ローラをカートリッジに組み込んで長期間保管すると、被帯電体である感光体ドラムに長時間圧接した状態となるため、帯電ローラに変形が生じ、この変形が元に戻らないと画像不良が発生することとなる。このため、帯電ローラを構成する弾性体や塗膜には圧縮永久歪みの小さいことが求められるが、これまでその基準が明確ではなく、具体的にどの程度の圧縮永久歪みの場合に画像不良が発生するか不明であった。
【0007】
そこで本発明の目的は、カートリッジに組み込んで長期間保管して感光体ドラムに長時間圧接した状態となっても、変形による画像不良を生じることがない帯電ローラを提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、上記課題を解決すべく鋭意検討を行った結果、塗膜層を形成する塗膜材料として特定のアクリル系樹脂を使用することにより、変形による画像不良を生じることがなく、常に優れた画像を得ることができることを見出し、本発明を完成するに至った。即ち、本発明は下記に示す通りである。
【0009】
(1) 被帯電体に当接させて、この被帯電体との間に電圧を印加することにより、被帯電体を帯電させる帯電ローラであって、弾性層と、該弾性層の外側に直接または他の層を介して形成された塗膜層とを有する帯電ローラにおいて、
上記塗膜層を形成する塗膜材料として、3〜15モル%のアクリロニトリル残基を含むアクリル系樹脂が使用されていることを特徴とする帯電ローラである。これにより、変形による画像不良を生ずることのない帯電ローラを提供することができる。
【0010】
(2)上記(1)の帯電ローラにおいて、上記塗膜層を形成する塗膜材料として、5〜10モル%のアクリロニトリル残基を含むアクリル系樹脂が使用されている帯電ローラである。これにより、より効果的に変形による画像不良を防止することができる。
【0011】
(3)上記(1)または(2)の帯電ローラにおいて、上記塗膜層の厚さが20〜600μmである帯電ローラである。塗膜層の厚さがこの範囲内において、効果的に変形による画像不良を防止することができる。
【0012】
(4)上記(1)〜(3)のいずれかの帯電ローラにおいて、上記塗膜層上に、1層または2層以上の外層が形成されている帯電ローラである。この場合においても、変形による画像不良を生ずることのない帯電ローラを提供することができる。
【0013】
(5)上記(4)の帯電ローラにおいて、上記外層の厚さが30μm以下である帯電ローラである。柔軟性の面から外層の厚さとして好適な範囲である。
【0014】
(6)上記(1)〜(5)のいずれかの帯電ローラにおいて、部材表面のJIS10点平均粗さRzが4μm以下である帯電ローラである。これにより、凹部内へのトナー詰りによる画像不良を防止することができる。
【0015】
(7)上記(1)〜(6)のいずれかの帯電ローラにおいて、上記弾性層が、密度0.05〜0.9g/cm3のポリウレタンフォームを用いて形成されたものである帯電ローラである。これにより、弾性層として良好な物性を得ることができる。
【0016】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態につき詳しく説明する。
本発明の帯電ローラは、上述のように、弾性層を有していると共に、該弾性層の上に塗膜層を形成したものである。例えば、図1に、弾性層3をシャフト2の外周に形成し、該弾性層3の外側に、塗膜層4を形成した帯電ローラ1を例示する。この場合、上記シャフト2としては、金属あるいはプラスチック製のシャフトを用いることができ、また帯電ローラの形態や帯電ローラが用いられる帯電装置の機構などによっては、このシャフト2を省略することもできる。
【0017】
上記弾性層3は、特に限定されるものではなく、ゴムあるいは樹脂、またはこれらの発泡体(以下「フォーム」という)で形成することができ、具体的には、ポリウレタン、シリコーンゴム、ブタジエンゴム、イソプレンゴム、クロロプレンゴム、スチレン−ブタジエンゴム、エチレン−プロピレンゴム、ポリノルボルネンゴム、スチレン−ブタジエン−スチレンゴム、エピクロルヒドリンゴム等を基材ゴムとするゴム組成物が例示されるが、特にポリウレタンが好ましく、より好ましくは発泡倍率が1.5〜50倍のポリウレタンフォームを用いる。なお、この場合のフォーム密度は、0.05〜0.9g/cm3程度が適当である。
【0018】
上記弾性層3には、導電剤を添加することにより、所定の抵抗値を付与することができる。その導電剤としては、特に限定されず、ラウリルトリメチルアンモニウム、ステアリルトリメチルアンモニウム、オクタドデシルトリメチルアンモニウム、ドデシルトリメチルアンモニウム、ヘキサデシルトリメチルアンモニウム、変性脂肪酸・ジメチルエチルアンモニウム塩の過塩素酸塩、塩素酸塩、ホウフッ化水素酸塩、硫酸塩、エトサルフェート塩、臭化ベンジル塩、塩化ベンジル塩等のハロゲン化ベンジル塩等の第四級アンモニウム塩等の陽イオン性界面活性剤、脂肪族スルホン酸塩、高級アルコール硫酸エステル塩、高級アルコールエチレンオキサイド付加硫酸エステル塩、高級アルコール燐酸エステル塩、高級アルコールエチレンオキサイド付加燐酸エステル塩等の陰イオン界面活性剤、各種ベタイン等の両性イオン界面活性剤、高級アルコールエチレンオキサイド、ポリエチレングリコール脂肪酸エステル、多価アルコール脂肪酸エステル等の非イオン性帯電防止剤等の帯電防止剤、LiCF3SO3、NaCl4、LiAsF6、LiBF4、NaSCN、KSCN、NaCl等のLi+、Na+、K+等の周期律表第1族の金属塩、あるいはNH4 +塩等の電解質、また、Ca(ClO4)2等のCa2+、Ba2+等の周期律表第2族の金属塩、およびこれらの帯電防止剤が、少なくとも1個以上の水酸基、カルボキシル基、一級ないし二級アミン基等のイソシアネートと反応する活性水素を有する基を持ったものが挙げられる。更には、それら等と1,4−ブタンジオール、エチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール等の多価アルコールとその誘導体等の錯体あるいはエチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル等のモノオールとの錯体等のイオン導電剤、またはケッチェンブラックEC、アセチレンブラック等の導電性カーボン、SAF、ISAF、HAF、FEF、GPF、SRF、FT、MT等のゴム用カーボン、酸化処理を施したカラー(インク)用カーボン、熱分解カーボン、天然グラファイト、人造グラファイト、アンチモンドープの酸化錫、酸化チタン、酸化亜鉛、ニッケル、銅、銀、ゲルマニウム等の金属および金属酸化物、ポリアニリンポリピロール、ポリアセチレン等の導電性ポリマー等が挙げられる。この場合、これら導電剤の配合量は、組成物の種類に応じて適宜選定され、通常弾性層3の体積抵抗率が100〜108Ω・cm、好ましくは102〜106Ω・cmとなるように調整される。
【0019】
次に、上記塗膜層4は、通常は導電剤を添加した樹脂により形成される。この場合、この塗膜を形成するアクリル系樹脂としては、導電剤を添加し得るものであり、かつアクリル系樹脂中のアクリロニトリル残基が3〜15モル%、好ましくは3〜10モル%のものであればいずれのものも使用することができ、特に制限されるものではない。アクリロニトリル残基の割合が3モル%未満では、帯電ローラをカートリッジに組み込んで長期間保管して感光体ドラムに長時間圧接した状態となったような場合に、変形による画像不良を生じるおそれがある。一方、15モル%を超えると樹脂の安定性に問題が生じてしまうため、塗料としての使用が困難になる。
【0020】
また、かかる塗膜層4を上記弾性層3上に直接形成する場合には、平滑性を確保するために水系樹脂が好ましく用いられる。水系樹脂としては、溶媒が水であれば、水溶性タイプ、エマルジョンタイプ、サスペンジョンタイプ等のいずれのタイプでもよいが、特にカルボキシル基、水酸基、アミノ基等の活性水素を持つアクリル系の温水可溶性樹脂が好ましい。アクリル樹脂は、従来、帯電ローラ用樹脂として一般的に用いられてきたウレタンやナイロン等に比べてかなり誘電率が小さいために静電容量も小さくなり、交流電圧印加による帯電ローラ/被帯電体間の電気的引力・反発力が低減化され、帯電音を低減化することができることから、特に好ましく用いられる。
【0021】
また、上述のアクリル系樹脂は、ガラス転移温度が−60〜20℃、好ましくは−50〜10℃のものが好適に用いられる。即ち、ガラス転移温度が20℃を超えるものは、上記弾性層3上に塗膜を形成することは可能であるが、帯電動作時にすぐに割れ等が生じ易く、実用に耐えない場合があり、一方ガラス転移温度が−60℃よりも低いものは、良好な柔軟性を有するものの、粘着が激しく、塗膜形成時の作業性や被帯電体として一般的な感光体との相性の問題で実用上あまり好ましくない。
【0022】
また、アクリル系樹脂には、熱可塑性タイプと、自己架橋、メラミン架橋、イソシアネート架橋等の架橋タイプとがあるが、上記ガラス転移温度の範囲内のものであれば、いずれのタイプのものも好適に使用し得、特に制限されるものではないが、塗膜形成工程上、および硬度の面から熱可塑性タイプが特に好ましく用いられる。
【0023】
この塗膜層4には、導電剤を添加して導電性を付与または調整することができ、通常は体積抵抗率が103〜1012Ω・cm、特に105〜1010Ω・cmとなるように調整することが好ましい。この場合、導電剤としては、上記弾性層3で例示したものと同様の導電剤を例示することができるが、特にカーボンが好ましく用いられる。導電剤の添加量は、導電剤の種類などに応じて上記体積抵抗率になるように適宜選定され、特に制限されるものではないが、導電剤としてカーボンを用いる場合には、通常0.01〜60重量%、特に10〜40重量%程度とする。
【0024】
更に、この塗膜層4には、必要に応じて増粘剤、チクソトロピー性付与剤、構造粘性付与剤等の適宜な添加剤を必要に応じて適量添加することができ、この場合添加剤は無機系、有機系のいずれであってもよい。
【0025】
この塗膜層4の厚さは、特に制限されるものではないが、弾性層3の柔軟性を損なわないために薄層とすることが好ましく、具体的には1mm以下、更に800μm以下、特に20〜600μmとすることが好ましい。
【0026】
また、図1には特に図示しなかったが、本発明の帯電ローラには、トナー付着防止や表面平滑性確保等の目的に応じて、上記塗膜層4の上に更に1層または2層以上の外層を設けることができる。
【0027】
この外層は、ナイロン、ポリエステル、ウレタン変性アクリル樹脂、フェノール樹脂、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂、尿素樹脂、フッ素樹脂等、目的に応じて適宜な樹脂で形成することができるが、特に帯電ローラの表面平滑性や感光体等との低密着性などの観点からフッ素樹脂が好ましく用いられる。
【0028】
フッ素樹脂としては、ポリテトラフルオロエチレン、テトラフルオロエチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体、テトラフルオロエチレン−エチレン共重合体、ポリクロロトリフルオロエチレン、クロロトリフルオロエチレン−エチレン共重合体、ポリビニリデンフルオライド、ポリビニルフルオライド等が挙げられ、特にこれらの微粒子を水中に分散させたディスパージョンタイプの水系フッ素樹脂が好ましく用いられ、更に好ましくはポリテトラフルオロエチレンの微粒子を水中に分散させたディスパージョンタイプの水系フッ素樹脂が用いられる。また、用いられるフッ素樹脂微粒子の粒径は、特に制限されるものではないが、5μm以下、特に、0.05〜1μmであることが好ましい。
【0029】
また、これらフッ素樹脂に、フッ素樹脂の効果を損なわない範囲で、その他の樹脂を混合して上記外層を形成することもできる。この場合、フッ素樹脂と混合されるその他の樹脂としては、ポリビニルアセタール樹脂、ウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、アクリル樹脂、ナイロン樹脂、エポキシ樹脂、塩化ビニリデン系共重合体などが挙げられ、これらの1種または2種以上を上記フッ素樹脂と混合して上記外層を形成することができる。これらの樹脂のうちでも、フッ素樹脂の塗膜化および抵抗均一性の観点からポリビニルアセタール樹脂、ウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、塩化ビニリデン系共重合体が好ましく、特にポリビニルアセタール樹脂が好ましく用いられる。
【0030】
この外層には、導電剤を添加して導電性を付与または調整することができ、この場合導電剤としては、特に制限されるものではないが、カーボンが好ましく用いられ、特に帯電ローラの表面を形成する最外層には導電剤としてカーボンを用いることが好ましい。この場合、この外層に用いられるカーボンとしては、特に制限されるものではないが、酸素含有率が5%以上、特に7%以上、更には9%以上であることが好ましく、かつpHが5以上、特に6以上、更には7以上であることが好ましい。即ち、通常のカーボンの酸素含有率は0.1〜3%程度であり、一部、酸化処理を施したカーボンも存在するが、この酸化処理を施したカーボンは、酸素含有率が若干増加するにつれてpHが酸性側へとシフトしてしまう傾向があり、カーボンが酸性となると水系フッ素樹脂に添加した場合に安定性が低下するおそれがある。これに対して、本発明に好適に用いられる上記カーボンは、酸素含有率が多いにもかかわらず、中性ないしアルカリ性を維持したものであり、安定的に水系フッ素樹脂に添加し得るものである。このような酸素含有率およびpHを有するカーボンの詳細な構造は明らかではないが、カーボン表面にカルボキシル基、水酸基、ケトン基等の官能基を付け、しかもこれらの官能基が有する水素の一部をナトリウム等のアルカリ金属に置換させたものが好適に使用される。
【0031】
上記導電剤の添加量は、所望の抵抗が得られるように適宜調整することができる。この場合、外層の抵抗は、体積抵抗率103〜1012Ω・cm、特に105〜1010Ω・cmとすることが好ましく、このような体積抵抗率を達成するように導電剤の添加量を調整することができ、導電剤としてカーボンを用いた場合の添加量は、通常、外層の0.01〜40重量%、特に5〜20重量%程度とする。
【0032】
なお、この外層には、上記塗膜層4と同様に、必要に応じて増粘剤、チクソトロピー性付与剤、構造粘性付与剤等の適宜な添加剤を必要に応じて適量添加することができ、この場合添加剤は無機系、有機系のいずれであってもよい。
【0033】
この外層の厚さは、特に制限されるものではないが、30μm以下、特に5〜15μmとすることが好ましく、外層の厚さが30μmを超えると、外層が硬くなって柔軟性が損なわれる場合があり、耐久性が低下して使用によりクラックが発生するおそれがある。
【0034】
上記塗膜層4および必要に応じてこの塗膜層4上に形成される上記外層の形成方法は、特に制限されるものではないが、これら各層を形成する各成分を含む塗料を調製し、この塗料をディッピング法やスプレー法により塗布する方法が好ましく用いられる。
【0035】
本発明の帯電ローラは、上記弾性層3、塗膜層4および必要に応じて設けられる上記外層を有するものであり、例えば図1に示したようなローラ状に形成し得るものであるが、更に必要に応じて上記弾性層3と塗膜層4との間にその他の層を設けることもできる。例えば弾性層3をポリウレタンフォームを用いて形成した場合には、電圧印加時の騒音発生をより効果的に防止し、かつ弾性層3の表面平滑性を向上させる目的で、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、ナイロン樹脂、エポキシ樹脂、ウレタン変性アクリル樹脂、ブチラール樹脂、フェノール樹脂、塩化ビニリデン系共重合体、ポリビニルアセタール樹脂等の基材樹脂に導電剤を添加した中間層を設けてもよい。
【0036】
本発明の帯電ローラとしての抵抗値は、装着される帯電装置や被帯電体に応じて適宜選定され、特に制限されるものではないが、良好な画像を得るためには体積抵抗が102〜1012Ω・cmであることが好ましく、特には105〜1010Ω・cmであることが好ましい。
【0037】
また、本発明の帯電ローラでは、特に制限されるものではないが、その静電容量が1×10-9F以下、特に8×10-10F以下、更には6×10-10F以下であることが好ましく、これにより帯電動作時の騒音発生をより効果的に抑制することができる。この場合、静電容量は、例えばインピーダンスアナライザー測定機を用いる測定方法や金属ドラムを相手とした電気測定等により求めることができる。
【0038】
静電容量の測定方法について詳述すると、まずインピーダンスアナライザーによる測定は、例えばロール状の帯電ローラの場合、金属等の高導電性板やドラムにロール状帯電ローラを押し当て、ロールと高導電性板やドラムとの間にインピーダンスアナライザー測定機を接続し、インピーダンスアナライザーにより静電容量を算出する方法である。
【0039】
また、金属ドラムを相手とした電気測定は、帯電ローラがプリンターや複写機等の中で稼働している状態を想定して静電容量を算出する方法である。例えば、ロール状帯電ローラの場合、金属製のドラムとロールとを圧接させた状態で回転させ、この圧接状態で回転する両者間に所定の条件で電圧を印加する。この場合、所定の条件とは帯電ローラがプリンターや複写機内で印加される電圧とほぼ同一の条件であり、例えば有機感光ドラムの場合はその帯電電位は約−700V前後のものが多く、この場合その帯電電荷を補給するために、ロールには約7μA程度の直流電流が流れていることになり、金属ドラムを相手にこの電流を流すことにより直流抵抗を求めることができる。更に、帯電電位を均一に保つために交流電流を流すタイプのプリンターや複写機もあり、その交流電流は定電流制御され、金属ドラムを相手にこの交流電流を流すことにより、交流抵抗を求めることができる。従って、ロールの回路モデルを直流抵抗成分と静電容量成分の並列モデルとして、上記直流抵抗値と交流抵抗値を代入すれば、静電容量が算出できる。
【0040】
更に、帯電ローラの表面に凹凸があると、この凹部内にトナーが詰まって画像不良の原因となることがあるため、部材表面はできるだけ平滑であることが好ましく、具体的にはJIS10点平均粗さRzで4μm以下、特に3μm以下、更には2μm以下とすることが好ましい。
【0041】
上記本発明の帯電ローラは、感光ドラム等の被帯電体に当接した状態に配設され、被帯電体と本発明の帯電ローラとの間に電圧を印加することにより、被帯電体を帯電させるものである。この場合、帯電ローラと被帯電体との間に印加する電圧は、直流電圧であっても交流電圧であってもよく、特に制限されるものではないが、直流電圧に交流電圧を重畳した電圧を印加して帯電を行うようにすることが好ましく、これにより被帯電体をより均一に帯電させることができる。また、特に制限されるものではないが、本発明の帯電ローラと被帯電体との接触圧力は、50〜2000g、特に100〜1000gとすることが好ましく、これにより良好な帯電を確実に得ることができる。
【0042】
本発明の帯電ローラを用いた帯電装置については、例えば、図2に示したように、本発明の帯電ローラ1を感光ドラム等の被帯電体5に当接させ、電圧印加手段6から被帯電体5との間に電圧を印加するように構成した帯電装置を例示することができるが、これに限定されるものではなく、被帯電体5、帯電ローラ1の形態や電圧印加手段6による電圧印加方式等は適宜変更して差し支えない。
【0043】
【実施例】
以下、実施例および比較例を示して、本発明をより具体的に説明するが、本発明は下記実施例に限定されるものではない。
【0044】
実施例1〜5,比較例1,2
導電性のウレタンフォーム(密度0.48g/cm3)からなる弾性層の表面に、厚さ300μmの塗膜層A〜Gを夫々形成し、該塗膜層表面に、いずれも厚さ10μmの外層を形成して、各種帯電ローラを試作した。ここで、塗膜層A〜Gについては、水系アクリル樹脂中のアクリロニトリル残基の割合を下記の表1に示すように変動させ、カーボンを添加した塗料を塗布することにより形成した。
【0045】
また、外層としては、水分散型フッ素樹脂、塩化ビニリデン系共重合体ラテックス、およびポリビニルアセタール樹脂をブレンドした樹脂にカーボンを添加した塗料を塗布することにより形成し、体積抵抗率は5×107Ωcmに調整した。なお、上記カーボンとしては、酸素含有量が10%、pHが7.33のものを用いた。
【0046】
得られた帯電ローラの表面粗さはいずれもJIS10点平均粗さRzで0.3μm、硬度(JIS−A)は57°であり、静電容量は4×10-10Fであった。なお、静電容量は、得られたローラと金属ドラムとを圧接させた状態で回転させ、両者間に直流電流7μAを通電した時の直流電圧から直流抵抗値を求めると共に、交流電流560μAを通電した時の交流電圧を測定して、ローラを直流抵抗成分と静電容量成分との並列モデルとして算出した。
【0047】
各供試帯電ローラの両端部に夫々500gの荷重をかけて、該帯電ローラを1000gの圧力で感光体に当接させ、50℃、95RHで3日間放置した後、ローラを取り出し、当接部分のへこみ量をレーザー外径測定装置(ミツトヨ社製)を用いて測定した。得られた結果を下記の表1に示す。また、かかるへこみの生じた帯電ローラをプリンターに装着し、温度15℃、湿度10%RHにて画像出しし、良好な画像が得られるものを○、やや良好な画像が得られるものを△、良好な画像が得られないものを×とした。得られた結果を下記の表1に併記する。
【0048】
【表1】
【0049】
【発明の効果】
本発明の帯電ローラによれば、接触帯電法により帯電操作を行う場合に、変形が生じ難く、変形に起因する画像不良の発生を可及的に防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の帯電ローラの一例を示す断面図である。
【図2】本発明に係る帯電装置の一例を示す概略図である。
【符号の説明】
1 帯電ローラ
2 シャフト
3 弾性層
4 塗膜層
5 被帯電体
6 電圧印加手段
Claims (7)
- 被帯電体に当接させて、この被帯電体との間に電圧を印加することにより、被帯電体を帯電させる帯電ローラであって、弾性層と、該弾性層の外側に直接または他の層を介して形成された塗膜層とを有する帯電ローラにおいて、
上記塗膜層を形成する塗膜材料として、3〜15モル%のアクリロニトリル残基を含むアクリル系樹脂が使用されていることを特徴とする帯電ローラ。 - 上記塗膜層を形成する塗膜材料として、5〜10モル%のアクリロニトリル残基を含むアクリル系樹脂が使用されている請求項1記載の帯電ローラ。
- 上記塗膜層の厚さが20〜600μmである請求項1または2記載の帯電ローラ。
- 上記塗膜層上に、1層または2層以上の外層が形成されている請求項1〜3のうちいずれか一項記載の帯電ローラ。
- 上記外層の厚さが30μm以下である請求項4記載の帯電ローラ。
- 部材表面のJIS10点平均粗さRzが4μm以下である請求項1〜5のうちいずれか一項記載の帯電ローラ。
- 上記弾性層が、密度0.05〜0.9g/cm3のポリウレタンフォームを用いて形成されたものである請求項1〜6のうちいずれか一項記載の帯電ローラ。
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