JP4424287B2 - 半導体装置の製造方法 - Google Patents

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本発明は、半導体装置の製造方法に関し、特に、電極サイズが大きい場合でも、アルミニウムを含むメタル配線に変質、変形等の悪影響を与えることなく、界面準位を十分に低減できるようにしたものである。
SOI(Silicon on Insulator)基板上に形成されたMOS‐FETは、素子分離の容易性、ラッチアップフリー、ソース/ドレイン接合容量が小さいなどの点から、その有用性が注目されている。特に、完全空乏型トランジスタ(FD−SOIトランジスタ)は、ボディが完全に空乏化されているため、急峻なサブスレッシュホールド特性が得ることができ、低電圧で高速動作できる。その結果、低消費電力かつ高速動作が可能で低電圧駆動が容易であるため、非常に有望なデバイスであるという事が言える(例えば、特許文献1参照)。
しかしながら、FD−SOIトランジスタの製造プロセスには、SOI層特有の急峻なサブスレッシュホールド(低S値 60mV/dec台)を阻害するような問題が存在している。その一つとして挙げられるのが、界面準位である。一般的に、界面準位はSiO/Si界面にあるSiの未結合手(シリコンダングリングボンド)のことを言う。この界面準位にキャリアがトラップされることでゲート絶縁膜とボディとの間に意図しない容量が生じ、この生じた容量がボディの空乏層容量と並列接続となるため、容量の総量が増えてS値の劣化が起こることがある。
ここで、S値(Slope値)とは、ドレイン電圧を一定にした状態でドレイン電流を1桁変化させるのに必要なサブスレッシュホールド領域でのゲート電圧値のことである。S値が小さいトランジスタほど、急峻な立ち上がり特性を有する。このS値は(1)式で表される。
S値=vg/log Id・・・(1)
vg:ゲート電圧
Id:ドレイン電流
S値を小さくするためには界面準位の低減が有効である。界面準位の低減には、通常、アルミニウム等からなるメタル配線(以下、「Al配線」という。)を形成した後で、水素、および水素含有雰囲気内における熱処理(即ち、水素シンター)によって、シリコンダングリンダボンドを水素で終端することが効果的であることがよく知られている。
特開2001−257354号公報 特開平11−177060号公報
ところで、本発明者は、長チャネル(即ち、ゲート長が長い)トランジスタと、短チャネル(即ち、ゲート長が短い)トランジスタとについて、それぞれメタル配線形成後に水素シンターを行った。そして、水素シンター後に、長チャネルトランジスタのS値と、短チャネルトランジスタのS値とをそれぞれ測定した。その結果、本発明者は、水素シンター後のトランジスタのS値にはゲート長依存性がある、ということを確認した。
図4は、メタル配線形成後に400℃の水素シンター処理を行った場合のS値のゲート長依存性を示す図である。図4の横軸はFD−SOIトランジスタのゲート長を示し、縦軸はS値を示す。図4に示すように、ゲート長が数nmの短チャネルトランジスタでは、そのS値が60〜70mV/dec程度と小さく、水素シンターによって界面準位が十分低減されていることが確認された。これに対して、ゲート長が25μm程度の長チャネルトランジスタでは、そのS値が80mV/decを超えており、水素シンターの効果が十分に現れていない(即ち、界面準位が十分に低減されていない)ことが確認された。
図5(A)及び(B)は、従来例の問題点を示す図である。詳しくは、図5(A)は長チャネルトランジスタ200の構成例を示す断面図であり、図5(B)は短チャネルトランジスタ300の構成例を示す断面図である。図5(A)及び(B)の矢印で示すように、長チャネルトランジスタ200では、短チャネルトランジスタ300と比べて、ゲート電極95の横方向からゲート絶縁膜94の中心部への水素侵入経路R´が長い。このことが、長チャネルトランジスタ200で界面準位が十分に低減されていないことの理由と考えられる。
このような界面準位の低減が不十分という問題に対しては、水素シンターの温度を上げるのが一番簡便な方法であるが、メタル配線は主にアルミニウム等で構成されているため、400℃以上の熱をかけた場合には変質、変形などの問題が起こることが予想される。それゆえ、水素シンターの処理温度を単純に上昇させることはできなかった。
本発明は、このような解決すべき問題に着目してなされたものであって、電極サイズが大きい場合でも、アルミニウムを含むメタル配線に変質、変形等の悪影響を与えることなく、界面準位を十分に低減できるようにした半導体装置の製造方法の提供を目的とする。
本発明の半導体装置の製造方法は、半導体基板と、前記半導体基板上に設けられた絶縁層と、前記絶縁層上に設けられた半導体層とからなるSOI基板を用意する工程と、前記半導体層を熱酸化してゲート絶縁膜を形成する工程と、前記ゲート電極両側の前記半導体層にソースおよびドレインを形成する工程と、前記ソースおよび前記ドレインが形成された前記半導体層上に層間絶縁膜を形成する工程と、前記層間絶縁膜を選択的にエッチングして前記層間絶縁膜に前記ゲート電極に至る第1コンタクトホール、前記ソースに至る第2コンタクトホールおよび前記ドレインに至る第3コンタクトホールを形成する工程と、前記層間絶縁膜上、前記第1コンタクトホール内、前記第2コンタクトホール内および前記第3コンタクトホール内に、スパッタ法で、Tiおよび前記Ti上に形成されたTiNからなるバリアメタルを形成する工程と、前記バリアメタル上にアルミニウムを含むメタル配線を形成する工程と、を含み、前記バリアメタルを形成する前記工程と前記メタル配線を形成する前記工程との間に、前記バリアメタルが形成された前記基板に、600℃、20分の条件で水素シンターを施し、且つ、前記メタル配線を形成する工程後は、前記メタル配線が形成された前記基板に水素シンターを施さないことを特徴とするものである。
以下、本発明の実施の形態を図面を参照しながら説明する。
(1)実施形態
図1(A)〜(C)は、本発明の実施形態に係る半導体装置の製造方法を示す工程図である。この実施形態では、SOI基板に電界効果型のトランジスタ100を形成する場合について説明する。
まず始めに、図1(A)に示すようなSOI基板10を用意する。このSOI基板10は、シリコン基板1と、このシリコン基板1上に設けられた埋め込み酸化層3と、この埋め込み酸化層3上に設けられたシリコン層5とから構成されている。このSOI基板10は、例えばSIMOX(separation by implant oxygen)法、或いは貼り合わせ法などにより作成される。
次に、このSOI基板10のシリコン層5表面を薄く酸化して、酸化シリコン膜(図示せず)を形成する。この酸化シリコン膜は、シリコン層5表面をエッチング雰囲気やイオン注入等から保護するための膜である。
次に、図示しない酸化シリコン膜上に窒化シリコン膜をCVD法にて堆積させる。そして、フォトリソグラフィ法及びドライエッチング法により、この窒化シリコン膜をパターニングする。これにより、素子領域全体を覆い、且つ素子分離領域を露出させる窒化膜パターン(図示せず)をSOI基板10上に形成する。次に、この窒化膜パターンをマスクにして、シリコン層5を熱酸化してフィールド酸化膜11を形成し、素子分離する。図1(A)に示すように、フィールド酸化膜11の下側部分は埋め込み酸化層3に接触しており、このようなフィールド酸化膜11によって各々の素子領域は他の素子領域から電気的に分離された状態となる。
次に、SOI基板10に例えば希フッ酸(HF)を用いたウエットエッチングを行って、素子領域表面の酸化シリコン膜を取り除く。そして、SOI基板10を熱酸化して、素子領域のシリコン層5表面にゲート絶縁膜13を形成する。このゲート絶縁膜13は、例えば酸化シリコン膜であっても良いし、酸窒化シリコン膜であっても良い。ゲート絶縁膜13形成後、SOI基板10の上方全面にリン又はボロン等の不純物を含むポリシリコン膜を形成する。そして、フォトリソグラフィ技術及びドライエッチング技術とによって、ポリシリコン膜をパターニングしてゲート電極15を形成する。このゲート電極15のゲート長は例えば25μmである。
次に、このゲート電極15をマスクにしてシリコン層5にソース及びドレインを形成するための不純物(例えば、リン、ヒ素又はボロン等)をイオン注入する。さらに、このゲート電極15の側壁にサイドウォール17を形成する。その後、ゲート電極15及びサイドウォール17をマスクにして、ソース及びドレインを形成するための不純物(例えば、リン、ヒ素又はボロン等)をシリコン層5に注入して熱拡散する。これにより、例えばLDD構造のソース又はドレイン(以下、「S/D」という。)19を形成する。
次に、図1(B)に示すように、シリコン層5上に層間絶縁膜21を形成する。この層間絶縁膜21は、例えば酸化シリコン膜である。次に、フォトリソグラフィ技術とドライエッチング技術とによって、層間絶縁膜21を選択的にエッチングし、ゲート電極15の表面に至るコンタクトホールh1と、S/D19の表面にそれぞれ至るコンタクトホールh2、h3とを形成する。
次に、図1(B)に示すように、コンタクトホールh1〜h3形成後のSOI基板10の上方全面にチタン(Ti)をスパッタし、続いて窒化チタン(TiN)をスパッタして、TiN/Ti膜(即ち、バリアメタル)23を形成する。このTiN/Ti膜23によって、コンタクトホールh1の底面で露出していたゲート電極15の表面と、コンタクトホールh2、h3の底面で露出していたS/D19の表面とがそれぞれ覆われる。
次に、TiN/Ti膜23が形成されたSOI基板10に第1の水素シンターを施す。この水素シンターでは、その処理温度が例えば600℃であり、その処理時間が例えば20分である。また、この水素シンターでは、処理ガスとして例えばHとArとの混合ガスを使用する。処理ガスにおけるHとArの混合比は、例えばH:Ar=1:40である。
この水素シンター(600℃−20分)は、通常の水素シンター(400〜450℃程度)よりも処理温度が高温であるため、図1(B)の矢印で示すように、H2はゲート電極15の横側からゲート絶縁膜13に入り、その中心部方向へ拡散しやすい。このため、ゲート電極15の端部付近だけでなく、ゲート電極15の中心部付近でも、ゲート絶縁膜13とシリコン層5との間(即ち、SiO/Si界面)のシリコンダングリングボンドを水素で十分に終端することができる。
次に、このような高温の水素シンターを行った後で、SOI基板10の上方全面に例えばアルミニウム(Al)膜とTiNとを順次形成する。そして、フォトリソグラフィ技術とドライエッチング技術とによって、TiN/Al膜をパターニングし、図1(C)に示すようにメタル配線31を形成する。
次に、メタル配線31が形成されたSOI基板10に第2の水素シンターを施す。この水素シンターでは、その処理温度が例えば400℃であり、その処理時間が例えば20分である。また、この水素シンターでは、処理ガスとして例えばHとArとの混合ガスを使用する。処理ガスにおけるHとArの混合比は、例えばH:Ar=1:40である。このような水素シンター(400℃−20分)によって、メタル配線31の酸化を防止することができ、さらに、メタル配線31上に形成される膜(例えば、第2層間絶縁膜21又はパッシベーション膜)の濡れ性を向上することができる。それゆえ、メタル配線31を形成した後で、水素シンター(400℃−20分)を行わない場合と比べて、半導体装置の信頼性を向上することができる。
このように、本発明の実施形態では、TiN/Ti膜23の形成後であってAl膜の形成前に、高温(例えば、600℃)の水素シンターを行う。図2に示すように、TiN/Ti膜23とメタル配線31は、下側からTi膜23a−TiN膜23b−Al膜31a−TiNの順番でスパッタされる。このスパッタは一連(一括)の流れで行われるのではなく、金属膜ごと、例えばTiN/Ti膜23→Al膜31a→TiNというようにステップを踏んで行われる。従って、TiN/Ti膜23をスパッタした後であって、Al膜31aを形成する前であれば、メタル配線31に変質、変形等の悪影響を与えることなく、高温の水素シンターを施すことができる。
本発明の実施形態によれば、長チャネルトランジスタ100については、例えば、ゲート長が25μm以上ある長チャネルトランジスタ100については、メタル配線31に変質、変形等の悪影響を与えることなく、シリコン層5とゲート絶縁膜13との間の界面準位を低減することができる。また、ゲート長が2μm以下である短チャネルトランジスタについては、下記の実験結果で明らかなように、良い影響も悪い影響もない。従って、長チャネルトランジスタを含む半導体装置の電気特性を向上することができる。
この実施形態では、SOI基板10が本発明の「基板」に対応し、シリコン層5が本発明の「半導体層」に対応している。また、ゲート絶縁膜13が本発明の「絶縁膜」に対応し、ゲート電極が本発明の「電極」「ゲート電極」に対応している。さらに、S/D19が本発明の「ソース」「ドレイン」に対応している。
なお、この実施形態では、SOI基板に電界効果型のトランジスタ100を形成する場合について説明したが、本発明は、これに限られることはない。例えば、本発明の「基板」はバルクシリコン基板であっても良い。
また、本発明は例えば、平面視での縦横の寸法が大きいMOSキャパシタにも適用可能である。その場合には、例えば、SOI基板表面のシリコン層に形成された不純物拡散層が本発明の「半導体層」に対応し、このシリコン層上に形成された酸化シリコン膜が本発明の「絶縁膜」に対応し、この酸化シリコン膜上に形成された上部電極(例えば、リン等の導電型不純物を含むポリシリコン膜が所定形状にパターニングされたもの)が本発明の「電極」に対応する。
(2)実験及びその結果
図3は、水素シンターの処理条件(内容及びそのタイミング)と、S値との関係を示す図である。図3の横軸は水素シンターの処理条件を示す。また、縦軸はS値を示す。

図3の処理条件()は、水素シンターを実施しないというものである。また、図3の処理条件()は、Al膜のエッチング後に水素シンターを400℃で20分間行うというものである。さらに、図3の処理条件()は、Al膜のエッチング後に水素シンターを450℃で20分間行うというものである。図3の処理条件()は、TiN/Ti膜を形成した後であってAl膜を形成する前に、水素シンターを600℃で20分間行うというものである。そして、図3の処理条件()は、上記()と上記()との両方を行う、というものである。

本発明者の実験結果によれば、短チャネルトランジスタ(ゲート長が2μm)では、どのような内容・タイミングの水素シンターであっても処理を行いさえすれば、界面準位が減りS値も良好な値を示すことがわかった。一方、長チャネルトランジスタ(ゲート長が25μm)では、Al膜形成後での制限された温度(即ち、400〜450℃)における水素シンターを行った場合、及び、水素シンターを全く行わない場合の両方とも、S値が劣化してしまうという結果を得た。
これに対して、TiN/Ti膜23をスパッタした後で、高温の水素シンターを行うと、長チャネルトランジスタでもS値が改善した。この結果から、ゲート長が長い場合であってもAl膜の形成前に高温の水素シンター処理を行うことで、SOI特有の急峻なサブスレッシュホールド特性を得ることができる、ということがわかった。
本発明の実施形態に係る半導体装置の製造方法を示す図。 バリアメタル23とメタル配線31との積層順を示す図。 水素シンターの処理条件と、S値との関係を示す図。 従来例におけるS値のゲート長依存性を示す図。 従来例の問題点を示す図。
符号の説明
1 シリコン基板、3 埋め込み酸化層、5 シリコン層、10 SOI基板、11 フィールド酸化膜、13 ゲート絶縁膜、15 ゲート電極、17 サイドウォール、19 S/D、21 層間絶縁膜、23 TiN/Ti膜(バリアメタル膜)、23a Ti膜、23b TiN膜、31 メタル配線、31a Al膜、100 トランジスタ、h1〜h3 コンタクトホール

Claims (1)

  1. 半導体基板と、前記半導体基板上に設けられた絶縁層と、前記絶縁層上に設けられた半導体層とからなるSOI基板を用意する工程と、
    前記半導体層を熱酸化してゲート絶縁膜を形成する工程と、
    前記ゲート絶縁膜上にゲート電極を形成する工程と、
    前記ゲート電極両側の前記半導体層にソースおよびドレインを形成する工程と、
    前記ソースおよび前記ドレインが形成された前記半導体層上に層間絶縁膜を形成する工程と、
    前記層間絶縁膜を選択的にエッチングして前記層間絶縁膜に前記ゲート電極に至る第1コンタクトホール、前記ソースに至る第2コンタクトホールおよび前記ドレインに至る第3コンタクトホールを形成する工程と、
    前記層間絶縁膜上、前記第1コンタクトホール内、前記第2コンタクトホール内および前記第3コンタクトホール内に、スパッタ法で、Tiおよび前記Ti上に形成されたTiNからなるバリアメタルを形成する工程と、
    前記バリアメタル上にアルミニウムを含むメタル配線を形成する工程と、を含み、
    前記バリアメタルを形成する前記工程と前記メタル配線を形成する前記工程との間に、前記バリアメタルが形成された前記基板に、600℃、20分の条件で水素シンターを施し、且つ、前記メタル配線を形成する工程後は、前記メタル配線が形成された前記基板に水素シンターを施さないことを特徴とする半導体装置の製造方法。
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