この種の画像表示装置によれば、網膜上に入射した光束をその入射方向とは逆向きに、かつ、その入射した光束の波面曲率の半径と等しい距離延長した点に輝点(発光点)があるかの如き視覚が観察者に与えられる。その結果、観察者は、網膜上に投影された光束の波面曲率に応じた遠近感を感じる。
この種の画像表示装置においては、網膜上に入射する光束の波面曲率が画像の全画素について互いに一致すれば、観察者に対して画像が平面的に表示される。これに対し、網膜上に入射する光束の波面曲率が画像の各画素ごとに変化させられれば、観察者に対して画像が立体的に表示される。
しかしながら、特許文献1に開示された画像表示装置における、前述の形状を有する光学手段を用いる場合には、その反射面の曲率がその光学手段の全体について一定でないことから、その反射面で反射したレーザ光の波面曲率の、反射前のレーザ光の波面曲率に対する変化度合いが、その反射面におけるレーザ光の照射位置(反射位置)に応じて異なってしまう。そのため、この従来の画像表示装置では、観察者に正確な画像を認識させることができなかった。
このように、走査された光束が光学手段の影響を受けた後に観察者の網膜上に入射する形式の画像表示装置を使用する場合には、従来、光束の波面曲率が予定外に変更されてしまう傾向があったのであるが、その原因としては、光学手段の光学的特性の他にも、温度に起因した光学手段の変形、温度に起因した光束の波長の変化、光学手段の交換等が存在する。
本発明は、このような事情に鑑み、走査された光束が光学手段の影響を受けた後に観察者の網膜上に入射する画像表示装置において、その光学手段の介在にもかかわらず、観察者に正確な画像を認識させることを課題としてなされたものである。
本発明によって下記の各態様が得られる。各態様は、項に区分し、各項には番号を付し、必要に応じて他の項の番号を引用する形式で記載する。これは、本発明が採用し得る技術的特徴の一部およびそれの組合せの理解を容易にするためであり、本発明が採用し得る技術的特徴およびそれの組合せが以下の態様に限定されると解釈されるべきではない。すなわち、下記の態様には記載されていないが本明細書には記載されている技術的特徴を本発明の技術的特徴として適宜抽出して採用することは妨げられないと解釈すべきである。
さらに、各項を他の項の番号を引用する形式で記載することが必ずしも、各項に記載の技術的特徴を他の項に記載の技術的特徴から分離させて独立させることを妨げることを意味するわけではなく、各項に記載の技術的特徴をその性質に応じて適宜独立させることが可能であると解釈されるべきである。
(1) 観察者の網膜上に画像を投影することによって、観察者に画像を認識させる画像表示装置であって、
光束を出力する光束出力手段と、
その光束出力手段により出力された光束を走査する走査手段と、
その走査手段により走査された光束が照射され、その照射された光束の進行方向を観察者の瞳孔に向かう方向に変更する光学手段と、
その光学手段に照射される光束の波面曲率の補正を、前記光学手段に照射される光束の照射位置と、前記光学手段によって光束の波面曲率が変化する度合いとの関係を表す光学特性情報に基づき、観察者の瞳孔に向かう光束の波面曲率が目標値となるように行う曲率補正手段と
を含む画像表示装置。
この装置によれば、光学手段に照射される光束の波面曲率の補正が可能となるため、その光学手段に照射される光束の波面曲率がその光学手段によって影響される場合に、その光学手段から出射する光束の波面曲率が目標値となるように、その光学手段に照射される光束の波面曲率を適正化することが可能となる。
したがって、この装置によれば、光束の波面曲率に影響を与える光学手段が存在するにもかかわらず、観察者に正確な画像を認識させることが容易となる。
本項および下記の各項における「光学手段」としては、例えば、ミラー、レンズ、回折光学素子等がある。
さらに、この装置によれば、光学手段に照射される光束の照射位置によってその光束の波面曲率が変化する度合いが異なっても、観察者の瞳孔へ向けて照射される光束の波面曲率が目標値となるように、その光学手段に照射される光束の波面曲率を補正することが可能となる。
したがって、この装置によれば、光学手段に照射される光束の照射位置によってその光束の波面曲率が変化する度合いが異なるにもかかわらず、観察者に正確な画像を認識させることが容易となる。
また、本項における「曲率補正手段」は、光学手段に照射される光束の照射位置に加え、例えば、光学手段によって光束の波面曲率が変化する度合いに影響を与える物理量と、光学手段の種類との少なくとも一つに基づき、光学手段に照射される光束の波面曲率を補正する態様で実施することが可能である。
本項および下記の各項における「光学特性情報」は、光学手段における光束の照射位置とその光束の波面曲率の変化度合いとの関係を表すことができるものであれば足りる。したがって、この「光学特性情報」は、光束の照射位置と波面曲率の変化度合いとの関係を表す情報はもとより、例えば、走査手段の状態と波面曲率の変化度合いとの関係を表す情報でもよく、また、光束の照射位置と光学手段の屈折力との関係を表す情報でもよい。
(2) さらに、前記光学手段に照射される光束の照射位置と、前記光学手段によって光束の波面曲率が変化する度合いとの関係を表す光学特性情報を記憶する記憶手段を含み、前記曲率補正手段は、前記記憶手段に記憶された光学特性情報に基づき、観察者の瞳孔に向かう光束の波面曲率が目標値となるように前記補正を行う(1)項に記載の画像表示装置。
(3) 前記曲率補正手段は、前記光束出力手段から前記光学手段までの前記光束の進行距離と、前記光学手段から観察者の瞳孔までの前記光束の進行距離とに基づいて前記補正を行う(1)または(2)項に記載の画像表示装置。
(4) 前記光束出力手段は、
光束を出射する出射手段と、
その出射手段から出射した光束の波面曲率を変調する曲率変調手段と
を含み、前記曲率補正手段は、前記曲率変調手段を用いて前記補正を行う(1)ないし(3)項のいずれかに記載の画像表示装置。
この装置によれば、光束の波面曲率を変調することによって波面曲率の補正が行われるため、波面曲率の補正のために、波面曲率が異なる複数種類の光束をそれぞれ出射する複数個の出射手段を予め用意しておくことが不可欠ではなくなる。
本項における「曲率変調手段」は、波面変調が異なる複数種類の光束をそれぞれ出射する複数個の出射手段のうち選択されるものを変更することによって波面曲率を変調する場合に比較し、波面曲率を連続的に変調する態様で実施することが容易である。この態様によれば、波面曲率の補正精度を向上させて画像の表示精度を向上させることが容易となる。
(5) さらに、前記画像を表示するために前記曲率変調手段を制御する制御部を含み、その制御部は、前記曲率変調手段を用いて前記補正を行う部分を前記曲率補正手段として含む(4)項に記載の画像表示装置。
この装置によれば、同じ曲率変調手段を用いて画像の表示と波面曲率の補正との双方を行うことが可能となり、別々の曲率変調手段を用いて画像の表示と波面曲率の補正とを行う場合に比較し、部品点数の削減が容易となる。
(6) 前記光束出力手段は、
波面曲率が互いに異なる複数の光束をそれぞれ出射する複数の出射手段と、
それら複数の出射手段の中から、光束を出射すべきものを選択する選択手段と
を含み、前記曲率補正手段は、前記選択手段を用いて前記補正を行う(1)ないし(3)項のいずれかに記載の画像表示装置。
この装置によれば、光束の波面曲率を補正するために、同じ光束を対象として、それの波面曲率をある値から別の値に変化させることが不要となる。そのため、その変化に必要な時間を省略可能となり、その結果、波面曲率の補正をより短時間で行うことが容易となる。
したがって、この装置によれば、例えば、各画素について観察者によって認識されるべき奥行きが走査方向に沿って大きく変化する場合であっても、そのような奥行きの変化に素早く追従するように波面曲率を補正することが容易となる。
(7) さらに、前記画像を表示するために前記選択手段を制御する制御部を含み、その制御部は、前記選択手段を用いて前記補正を行う部分を前記曲率補正手段として含む(6)項に記載の画像表示装置。
この装置によれば、同じ選択手段を用いて画像の表示と波面曲率の補正との双方を行うことが可能となり、別々の選択手段を用いて画像の表示と波面曲率の補正とを行う場合に比較し、部品点数の削減が容易となる。
(8) 前記曲率補正手段は、前記光学手段によって光束の波面曲率が変化する度合いに影響を与える物理量に基づき、前記補正を行う(1)ないし(7)項のいずれかに記載の画像表示装置。
前記(1)ないし(7)項のいずれかに係る画像表示装置においては、光学手段によって光束の波面曲率が変化する度合いが、温度、湿度等、光学手段に関連する物理量によって変化し得る。
このような知見に基づき、本項に係る装置においては、光学手段に照射される光束の波面曲率が、その光学手段によって光束の波面曲率が変化する度合いに影響を与える物理量に基づき、補正される。
したがって、この画像表示装置によれば、光学手段の実際の光学特性に適合した波面曲率の補正を行うことが容易となる。
本項における「物理量」は、光学手段によって光束の波面曲率が変化する度合いに影響を与える物理量でありさえすれば、その種類を問わない。具体的には、この「物理量」は、例えば、光学手段自体の温度および/または湿度等、光学手段自体の特性を表す物理量を意味する場合や、光学手段を取り囲む空気の温度および/または湿度、光学手段に入射するかまたはそれから出射する光束が伝播する空気の温度および/または湿度等、光学手段が置かれている環境の特性を表す物理量を意味する場合がある。この「物理量」は、温度または湿度以外の物理量であってもよい。
(9) 前記曲率補正手段は、前記光学手段に照射される光束の照射位置と、前記光学手段によって光束の波面曲率が変化する度合いに影響を与える物理量とに基づき、前記補正を行う(8)項に記載の画像表示装置。
この装置によれば、光学手段に照射される光束の波面曲率が、その照射位置と、光学手段によって光束の波面曲率が変化する度合いに影響を与える物理量との双方に適合するように変化させられる。
(10) さらに、前記物理量を検出する検出手段を含み、
前記曲率補正手段は、前記光学手段に照射される光束の照射位置と、前記検出手段により検出された物理量とに基づき、前記補正を行う(9)項に記載の画像表示装置。
(11) さらに、
前記物理量を検出する検出手段と、前記光学手段に照射される光束の照射位置と、前記光学手段によって光束の波面曲率が変化する度合いとの関係を表す光学特性情報を、前記物理量がとり得る複数の値に応じて複数種類記憶する記憶手段と
を含み、
前記曲率補正手段は、前記記憶手段に記憶された複数種類の光学特性情報のうち、前記検出手段により検出された物理量に対応するものを用いて前記補正を行う(9)項に記載の画像表示装置。
(12) 前記光学手段は、光束の波面曲率を変化させる度合いが異なる別の種類の光学手段に交換可能であり、
前記曲率補正手段は、前記光学手段の種類に基づき、前記補正を行う(1)ないし(11)項のいずれかに記載の画像表示装置。
この装置によれば、光学手段の種類を用途等に応じて使い分けることが可能となる。
さらに、この装置によれば、波面曲率の補正により、実際に使用されている光学手段の種類に適合させることが可能となり、よって、光学手段が交換されても、それによって波面曲率が不適当にならずに済む。
(13) 前記曲率補正手段は、前記光学手段に照射される光束の照射位置と、前記光学手段の種類とに基づき、前記補正を行う(12)項に記載の画像表示装置。
この装置によれば、光学手段に照射される光束の波面曲率が、その照射位置と、その光学手段の種類との双方に適合するように変化させられる。
(14) さらに、前記光学手段に照射される光束の照射位置と、前記光学手段によって光束の波面曲率が変化する度合いとの関係を表す光学特性情報を、前記光学手段の種類に応じて変更可能に記憶する記憶手段を含み、
前記曲率補正手段は、前記光学手段の種類に応じて変更された光学特性情報を用いて前記補正を行う(13)項に記載の画像表示装置。
本項における「光学特性情報の変更」は、例えば、「記憶手段」に複数種類の光学手段についての複数種類の光学特性情報を予め記憶させておき、光学手段の交換ごとに、それら光学特性情報のうち波面曲率補正のために使用するものを選択することにより、実現することが可能である。さらに、「光学特性情報の変更」は、「記憶手段」の内容を、光学手段の交換ごとに、それに対応する光学特性情報に変更する(例えば、記録媒体を交換する)ことにより、実現することも可能である。
(15) 前記走査手段は、前記光束出力手段により出力された光束を主走査方向と副走査方向とに走査し、それら主走査方向と副走査方向とのうち、前記光学手段に照射される光束の照射位置の移動に伴う、前記光学手段による光束の波面曲率の変化度合いの変化が小さい方が主走査方向である(1)ないし(14)項のいずれかに記載の画像表示装置。
一般に、1枚の画像を表示する際には、主走査が複数本のラインについて繰返し行われるのに対し、副走査は1枚の画像について1回限り行われる。
一方、前記(1)ないし(14)項のいずれかに係る装置においては、光学手段に光束が照射される面が互いに交差する2方向に延び、かつ、その光学手段に照射される光束の照射位置の移動に伴うその光学手段による光束の波面曲率の変化度合いの変化が、それら2方向間で互いに異なる場合がある。
この場合においては、それら2方向のうち、波面曲率の変化度合いの変化が小さい方を、走査頻度が高い主走査の方向に選定すれば、波面曲率を変更させる指令に対する波面曲率の応答速度を低下させることが容易となる。
このような知見に基づき、本項に係る装置においては、主走査方向と副走査方向とのうち、光学手段に照射される光束の照射位置の移動に伴う光学手段による光束の波面曲率の変化度合いの変化が小さい方が主走査方向とされている。
(16) 前記光束出力手段は、互いに異なる複数の波長についてそれぞれ設けられており、当該画像表示装置は、さらに、それら複数の光束出力手段によりそれぞれ出力された複数の光束を合成して前記走査手段に出力する合成手段を含み、前記曲率補正手段は、前記各光束出力手段により出力される光束の波面曲率を個別に補正する(1)ないし(15)項のいずれかに記載の画像表示装置。
この装置によれば、波長が互いに異なる複数の光束を合成することにより、所望の色の光束を得ることができる。
この装置においては、各光束の波面曲率が複数の光束の合成前に変更されるが、これに対し、複数の光束を1つの光束に合成した後に波面変調手段を用いてその合成光束の波面曲率を変更する構成が考えられる。
しかしながら、この構成においては、合成光束の各成分である光束の波面曲率が、上述の波面変調手段やその他の手段(例えばレンズ)を通過する際に、各成分の波長に応じて異なる度合いで変化する。そのため、合成光束の各成分である光束の波面曲率を最終的に所望の値にするためには、合成前に各光束の波面曲率を波長ごとに補正することが必要であり、そのためには、上述の曲率変調手段とは別に、合成前に各光束の波面曲率を波長ごとに補正する曲率変調手段を設けることが必要である。
これに対し、本項に係る装置によれば、波長が互いに異なる複数の光束を合成する前に各光束の波面曲率を互いに独立して変調する構成が採用されるため、合成前に各光束ごとに波面曲率の補正を行えば足り、合成後に波面曲率の補正を行うことが不可欠ではなくなる。
(17) 観察者の網膜上に画像を投影することによって、観察者に画像を認識させる画像表示装置であって、
光束を出力する光束出力手段であって、光束を出射する出射手段と、その出射手段から出射した光束の波面曲率を変調する曲率変調手段とを有するものと、
その光束出力手段により出力された光束を走査する走査手段と、
その走査手段により走査された光束が照射され、その照射された光束の進行方向を観察者の瞳孔に向かう方向に変更する光学手段と、
その光学手段に照射される光束の照射位置と、前記光学手段によって光束の波面曲率が変化する度合いとの関係を表す光学特性情報を記憶する記憶手段と、その記憶手段に記憶された光学特性情報に基づき、観察者の瞳孔に向かう光束の波面曲率が目標値となるように、前記光学手段に照射される光束の波面曲率の補正を前記曲率変調手段を用いて行う曲率補正手段と
を含む画像表示装置。
この装置によれば、光学手段に照射される光束の照射位置によってその光束の波面曲率が変化する度合いが異なっても、観察者の瞳孔へ向けて照射される光束の波面曲率が目標値となるように、その光学手段に照射される光束の波面曲率を補正することが可能となる。
したがって、この装置によれば、光学手段に照射される光束の照射位置によってその光束の波面曲率が変化する度合いが異なるにもかかわらず、観察者に正確な画像を認識させることが容易となる。
さらに、この装置によれば、出射手段から出射した光束の波面曲率を変調することにより、波面曲率が補正される。
以下、本発明が適用された実施形態のいくつかを図面を用いて詳細に説明する。
図1には、本発明の第1実施形態に従う画像表示装置としての網膜走査型ディスプレイ10の概略構成が示されている。
この網膜走査型ディスプレイ10は、観察者の瞳孔2に光束としてのレーザ光を入射させることで網膜上に投影した画像を観察者に認識させるためのものである。この網膜走査型ディスプレイ10は、図1に示すように、赤(R),緑(G)および青(B)の各色(各波長領域)のレーザ光をそれぞれ出力し、かつ、出力するレーザ光の出力強度および波面曲率を変調可能なRレーザ出力部12,Gレーザ出力部14およびBレーザ出力部16を備えている。
この網膜走査型ディスプレイ10は、さらに、図1に示すように、各レーザ出力部12,14,16から出力された3色のレーザ光を合成するために、全反射ミラー18と、部分透過ミラー20と、部分透過ミラー22とを備えている。全反射ミラー18は、Rレーザ出力部12から出力されたレーザ光を反射する。部分透過ミラー20は、その全反射ミラー18からのレーザ光を通過させ、かつ、このレーザ光と同軸となるように、Gレーザ出力部14から出力されたレーザ光を反射する。部分透過ミラー22は、その部分透過ミラー20からのレーザ光を通過させ、かつ、このレーザ光と同軸となるように、Bレーザ出力部16から出力されたレーザ光を反射する。
この網膜走査型ディスプレイ10は、さらに、図1に示すように、3つのミラー18,20,22によって合成されたレーザ光を2次元方向に走査する走査ミラー24と、この走査ミラー24によって走査されたレーザ光を反射して観察者の瞳孔2に入射させる投入ミラー26とを備えている。
この網膜走査型ディスプイレイ10は、さらに、図1に示すように、各種情報を記憶する記憶部28と、各レーザ出力部12,14,16が出力するレーザ光の出力強度および波面曲率の調節と、走査ミラー24によるレーザ光の走査とを行う制御部30とを備えている。走査ミラー24は、駆動部241により2次元方向(主走査方向と副走査方向)に振動する揺動ミラーとして構成されており、制御部30の制御により駆動部241を介して走査制御される。
ここで、各レーザ出力部12,14,16の具体的な構成を説明する。ただし、Rレーザ出力部12について代表的に説明し、他のレーザ出力部14,16については、同様の構成であるため、説明を省略する。
図2に示すように、Rレーザ出力部12は、制御部30からの指令に従って赤色のレーザ光(平行光)を出射する出射部(発光部の一例)32と、この出射部32から出射したレーザ光の出力強度を、制御部30からの指令値に従い変調する強度変調部34と、この強度変調部34を通過したレーザ光の波面曲率を変調する波面曲率変調部36とを備えている。出射部32の一例は、半導体レーザ装置を光源として含むように構成される。強度変調部34の一例は、光強度変調器としてのAOMである。
波面曲率変調部36は、強度変調部36からレーザ光が入射するハーフミラー38と、このハーフミラー38からのレーザ光を収束させる焦点距離fの凸レンズ(光収束部の一例)40と、可動ミラー42とを備えている。その可動ミラー42は、凸レンズ40から入射したレーザ光をその入射方向とは逆向きに反射してハーフミラー38に戻す反射面42aを有しており、この反射面42aが凸レンズ40に対して相対移動させられることにより、それら反射面42aと凸レンズ40との間における光路距離が変更可能となっている。
図2に示すように、ハーフミラー38は、斜面38aに誘電体多層膜が施された直角プリズム2つが貼り合わされたキューブ状の形状を成しており、その斜面38aにおいて、入射光の光量の約50%を直角方向に反射し、約50%を透過する。このため、強度変調部34からのレーザ光がハーフミラー38に入射すると、そのレーザ光のうちの約50%が斜面38aで反射し、そのハーフミラー38の出射側に設けられた凸レンズ40に入射する。また、反射面42aで反射されることにより凸レンズ40からハーフミラー38に入射したレーザ光は、その光量の約50%が斜面38aを通過し、Rレーザ出力部12からの出力光として出力される。
図2に示すように、可動ミラー42は、反射板44と、圧電型のピエゾ素子が積層された圧電アクチュエータ46とが貼り合わされたものである。反射板44は、ガラス板等の光透過性板材の表面に金属膜の鏡面コートが施されることによって形成されている。圧電アクチュエータ46は、制御部30から駆動電圧が印加されることにより駆動され、その駆動電圧に応じて反射板44の位置をその反射面42aの法線方向(図2において矢印zで示す方向)に移動させて、反射面42aと凸レンズ40との間の光路距離を変化させる。
ここで、図3を参照してその光路距離の制御を説明する。
制御部30から圧電アクチュエータ46に駆動電圧が印加されていない状態では、図3(a)に示すように、反射面42aと凸レンズ40の主点との間の距離である光路距離が、凸レンズ40の焦点距離fと等しくなるように予め調整されている。そのため、この状態でハーフミラー38から凸レンズ40に入射したレーザ光は、凸レンズ40を通過する際に屈折して収束し、反射面42a上で焦点を結ぶ。このように収束した入射レーザ光は、反射面42aでその入射レーザ光と同軸方向に反射し、その結果、その収束光の収束角度と同じ角度で拡散する拡散光となって再度凸レンズ40に入射し、収束時と同じ角度で屈折して平行光に変換される。すなわち、入射レーザ光が凸レンズ40によってコリメートされるのである。
一方、制御部30から圧電アクチュエータ46に駆動電圧が印加されると、図3(b)に示すように、圧電アクチュエータ46が駆動されて反射面42aが凸レンズ40側に移動することとなり、その移動距離をdで表すと、反射面42aと凸レンズ40の主点との間の光路距離がfからf−dに変化する。
そのため、この状態でハーフミラー38から凸レンズ40に入射したレーザ光は、前述した場合と同様に凸レンズ40を通過する際に屈折して収束するが、反射面42aが凸レンズ40の焦点距離fより距離dだけ凸レンズ40に近い位置に移動しているため、レーザ光は反射面42a上では焦点を結ばない。このレーザ光は、反射面42aで反射した後、距離dだけ進んだ位置、すなわち、凸レンズ40の主点から距離f−2dの位置において焦点を結び、その後、拡散光となって再度凸レンズ40に入射する。
そのため、レーザ光は凸レンズ40を通過する際に屈折してその拡がり角度が小さくなるものの、平行光には変換されずに、すなわち、コリメートされずに凸レンズ40を通過する。その結果、レーザ光の波面曲率が変化する。ここに、「レーザ光の波面曲率が変化する」とは、正確には、ある定位置(例えば、観察者の網膜上)におけるレーザ光の波面曲率が変化する。
ここで、この網膜走査型ディスプレイ10において、各レーザ出力部12,14,16によってレーザ光の波面曲率を変調する理由を簡単に説明する。
一般に、光源から出た光は、その発光点を中心として全方位に等速および同位相で進む光の波、いわゆる球面波として伝搬する。この球面波は、発光点と観察者との距離に応じて異なる大きさの曲率半径で観察者の網膜上に投影され、観察者は、この曲率半径に応じた遠近感を感じる。
したがって、本実施形態においては、観察者の瞳孔2に入射するレーザ光の波面曲率を変調してそのレーザ光の見かけ上の発光点(図3(b)参照)の位置を変化させることにより、画像の奥行きをより自然な感覚で観察者に認識させるようになっているのである。
そして、本実施形態の波面曲率変調部36によれば、例えば、凸レンズ40の焦点距離f=4mmの場合、可動ミラー42の反射面42aを約30μm移動させるだけで、観察者に約30cmから無限遠までの範囲内で遠近感を認識させることができる。また、凸レンズ40の焦点距離f=2mmの場合、可動ミラー42の反射面42aを約10μm移動させるだけで、観察者に約30cmから無限遠までの範囲内で遠近感を認識させることができる。
図4に示すように、走査ミラー24は、同軸上に形成された2つの軸部48a,48bが図示しない支持体によって回動可能に支持された枠48を備えている。さらに、同軸上に形成された2つの軸部50a,50bが枠48によって回動可能に支持された走査板50を備えている。すなわち、走査板50は、互いに直角に交差する2軸まわりに揺動可能に、図示しない支持体に支持されているのである。走査板50は、図1に示す全反射ミラー18および部分透過ミラー20,22によって合成されたレーザ光を投入ミラー26に向けて反射する反射面50cを有している。
走査ミラー24は、図1に示す駆動部241によって駆動される。駆動部241の一例は、磁気を利用した方式である。この方式を採用する場合には、例えば、可動部材にはコイル、静止部材には永久磁石がそれぞれ設けられる。
駆動部241は、制御部30からの指令に基づき、枠48はx軸まわりに、走査板50はy軸まわりにそれぞれ、互いに独立して揺動させる。それにより、走査板50の反射面50cの向きが変化し、この反射面50cで反射するレーザ光が2次元方向に走査される。具体的には、枠48がx軸まわりに1回揺動する間に走査板50がy軸まわりに複数回揺動するようになっており、レーザ光は、y軸まわりの揺動によって主走査方向に、x軸まわりの揺動によって副走査方向にそれぞれ走査される。
図1に示すように、投入ミラー26は、ハーフミラーとして構成され、それにより、走査ミラー24により走査されたレーザ光を観察者の瞳孔2へ向けて反射する機能と、観察者の前方からの光を透過する機能とを有している。
投入ミラー26においてレーザ光を反射させる反射面26aは、図5に示すように、長手方向(矢印Lで示す方向)と短手方向(矢印Sで示す方向)とに延びて凹んだ曲面として構成されている。この曲面は、回転楕円面の一部として形成されている。投入ミラー26は、その回転楕円面の2つの焦点の一方に走査ミラー24の反射面50cにおけるレーザ光の反射点が位置し、他方に観察者の瞳孔2が位置するように、観察者の眼前においてその頭部に装着されて使用される。その装着状態においては、走査ミラー24によって走査されたレーザ光が確実に観察者の瞳孔2に入射して網膜上で集光する。
上述のように、投入ミラー26の反射面26aは、曲面ではあるが球面ではないため、その曲率が反射面26aの全体について一定ではなく、反射面26aにおける位置によって変化する。具体的には、図5に示すように、反射面26aは、長手方向に平行な断面上においては楕円の一部を成す一方、短手方向に平行な断面上においては真円の一部を成している。
そのため、反射面26aの曲率は、長手方向に沿って移動するにつれて変化する度合いが大きく、短手方向に沿って移動するにつれて変化する度合いが小さい。一方、反射面26aの曲率が位置によって異なると、その反射面26aで反射したレーザ光の波面曲率の、反射前のレーザ光の波面曲率に対して変化する度合いも位置によって異なる。
このような知見に基づき、この網膜走査型ディスプレイ10においては、投入ミラー26の短手方向(図5において矢印Sで示す方向)が主走査方向に選定される一方、その長手方向(同図において矢印Lで示す方向)が副走査方向に選定されたうえで、走査ミラー24がレーザ光を走査するようになっている。
したがって、本実施形態によれば、反射面26aでの反射前と反射後とでレーザ光の波面曲率が変化し、その変化度合いが反射面26aにおけるレーザ光の反射点(照射位置)の移動に伴って変化するが、その変化の頻度が、投入ミラー26の長手方向を主走査方向、短手方向を副走査方向に選定した場合より少なくて済む。
図1に示すように、制御部30は、コンピュータ等の外部機器(図示しない)から画像信号(映像信号)を入力し、この画像信号により表される画像を観察者に認識させるための制御を行う。
具体的には、制御部30は、画像信号に基づいてレーザ光を各レーザ出力部12,14,16の出射部32から出力させ、その出力されたレーザ光の強度を、強度変調部34により、画像信号により表される画像の色が表現されるように変調し、かつ、そのレーザ光の波面曲率を、波面曲率変調部36により、画像信号により表される画像の奥行きが表現されるように変調する。制御部30は、さらに、走査ミラー24を駆動してレーザ光を2次元方向に走査させる。
これにより、各レーザ出力部12,14,16から出力されたレーザ光は、全反射ミラー18および部分透過ミラー20,22によって合成された後、走査ミラー24で2次元方向に走査され、さらに、投入ミラー26で反射して観察者の瞳孔2に入射する。その結果、画像信号により表される画像が観察者の網膜上に投影され、その画像が観察者に認識される。
画像信号により表される画像の奥行きを観察者に認識させるためには、観察者の瞳孔2に入射するレーザ光の波面曲率がその奥行きに対応する目標値となるように各レーザ出力部12,14,16から出力されるレーザ光の波面曲率を変調することが必要である。しかし、レーザ光の波面曲率は、投入ミラー26の反射面26aで反射する際にその反射面26aにおける反射位置によって異なる度合いで変化するため、画像信号により表される画像の奥行きのみに基づいて各レーザ出力部12,14,16から出力されるレーザ光の波面曲率を単に変調したのでは、観察者の瞳孔2に入射するレーザ光の波面曲率を目標値とすることができない。
そこで、本実施形態においては、レーザ光の投入ミラー26への入射に先立ち、制御部30が、レーザ光が投入ミラー26の反射面26aで反射する際の波面曲率の変化を見込んで、各レーザ出力部12,14,16から出力されるレーザ光の波面曲率を予め補正するように設計されている。
以下、各レーザ出力部12,14,16から出力されるレーザ光の波面曲率の変調を説明する。ただし、Rレーザ出力部12による波面曲率変調のみを説明し、他のレーザ出力部14,16による波面曲率変調は、同様な内容であるため、説明を省略する。
図6の模式図に示すように、Rレーザ出力部12から出力されたレーザ光は、走査ミラー24によって主走査方向および副走査方向に走査され、投入ミラー26の反射面26aで反射して観察者の瞳孔2に入射する。
ここで、各種記号を以下のとおり定義する。
a:Rレーザ出力部12から出力されるレーザ光の波面曲率半径
θ:走査ミラー24の反射面50cの主走査方向における角度
α:走査ミラー24の反射面50cの副走査方向における角度
m:Rレーザ出力部12から投入ミラー26の反射面26aまでのレーザ光の進行距離
R:投入ミラー26の反射面26aにおけるレーザ光の照射位置における曲面の曲率である反射面曲率
n:投入ミラー26の反射面26aから観察者の瞳孔2までのレーザ光の進行距離
b:観察者の瞳孔2でのレーザ光の波面曲率半径
ここに、進行距離m,nおよび反射面曲率Rは、走査ミラー24の反射面50cの角度θ,αによって変化するため、いずれも角度θ,αの関数である関数m(θ,α),関数n(θ,α)および関数R(θ,α)として表される。
さらに、波面曲率半径bは、観察者が認識する画像の奥行きに対応する値であるため、この波面曲率半径bも同様に、角度θ,αの関数b(θ,α)として表わされる。
なお付言するに、本実施形態においては、観察者に対して画像が2次元的に表示されるため、画像の奥行きがすべての画素について同じ奥行きが与えられるように波面曲率半径bが決定される。これに対し、観察者に対して画像が3次元的に表示される態様で本発明が実施される場合には、画像を構成するすべての各画素について同じではない奥行きが与えられるように波面曲率半径bが決定される。
さらに、本実施形態においては、波面曲率半径aは、波面曲率半径bを所望の値にするために調節される値であるため、この波面曲率半径aも角度θ,αの関数b(θ,α)として表される。
そして、角度θ,αを一定値としたときの波面曲率半径bの値は、近似的に下記式(1)で表される。
b=R(a+m)/(R−2(a+m))+n …式(1)
よって、進行距離m,n、反射面曲率Rおよび波面曲率半径bの各値が与えられれば、波面曲率半径aは、下記式(2)から求めることができる。
a=R(b−n)/(R+2(b−n))−m …式(2)
図1に示す記憶部28には、この網膜走査型ディスプレイ10に固有の情報として、図7に示すように、画像信号により表される画像を構成する各画素に関連付けて進行距離mの値と進行距離nの値と反射面曲率Rの値とがそれぞれ光学特性情報として予め記憶されている。反射面曲率Rの値は、レーザ光の波面曲率の、反射面26aにおける反射前後間における変化度合いを一義的に表す値である。各画素の位置は、角度θとαとによって定義される。
記憶部28には、具体的には、進行距離mについては、図7(a)に概念的に表すように、各画素に対応する角度θ,αの各値について進行距離m(θ,α)の値がテーブルとして記憶され、進行距離nについては、同図(b)に概念的に表すように、各画素に対応する角度θ,αの各値について進行距離n(θ,α)の値がテーブルとして記憶され、反射面曲率Rについては、同図(c)に概念的に表すように、各画素に対応する角度θ,αの各値について反射面曲率R(θ,α)の値がテーブルとして記憶されている。
そして、制御部30は、記憶部28に記憶されている各テーブルを参照することにより、Rレーザ出力部12から出力されるレーザ光の波面曲率を変調するための波面曲率変調処理を行う。
図1に示すように、制御部30は、コンピュータ52を主体として構成されている。コンピュータ52は、よく知られているように、プロセッサ54とストレージ56とを含むように構成されている。そのストレージ56に、上述の波面曲率変調処理を行うためにプロセッサ54により実行される波面曲率変調プログラムが予め記憶されている。
図8には、その波面曲率変調プログラムの内容がフローチャートで概念的に表されている。制御部30には、奥行き信号を含んだ画像信号が一画像単位で入力されるようになっており、その波面曲率変調プログラムは、その画像信号が制御部30に入力される毎に実行される。
この波面曲率変調プログラムが開始されると、まず、ステップS110(以下、単に「S110」で表す。他のステップについても同じとする)において、入力された画像信号に含まれる奥行き信号に基づき、画像を構成する各画素に対応する角度θ,αの各値についての波面曲率半径bの値(目標値)を表すテーブルが作成される。
次に、S120において、記憶部28に記憶されている進行距離m,nおよび反射面曲率Rの各テーブルの内容が記憶部28から読み込まれる。
続いて、S130において、S110において作成された波面曲率半径bのテーブルと、S120において読み込まれた進行距離m,nおよび反射面曲率Rの各テーブルとに基づき、角度θ,αの各値について、波面曲率半径aの値が上記式(2)を用いて算出される。さらに、その算出値から、角度θ,αの各値についての波面曲率半径aの値を表すテーブルが作成される。
その後、S140において、S130において作成された波面曲率半径aのテーブルに基づき、角度θ,αの各値について、各波面曲率半径aを得るために可動ミラー42の反射面42aを変位させるべき変位値zが算出される。さらに、その算出値から、角度θ,αの各値についての変位値zを表すテーブルが作成される。
変位値zの算出は、次のように行うことができる。
各レーザ出力部12,14,16から出力されるレーザ光の波面曲率半径aは、凸レンズ40の焦点距離fが固定の場合、下記式(3)のように、可動ミラー42の反射面42aの変位値zについての関数となり、図9にグラフで示すような関係となる。この関数は、単純な反比例を表す関数ではない。
a=g(z) …式(3)
よって、波面曲率半径aの値が与えられれば、変位値zは、下記式(4)から求めることができる。
z=g-1(a) …式(4)
このようにしてS140において変位値zのテーブルが作成された後、図8のS150に移行する。このS150においては、この変位値zのテーブルに基づき、走査ミラー24によるレーザ光の走査と同期しつつ、反射面50cの角度θ,αの変化に合わせて可動ミラー42の反射面42aの位置が制御される。
なお付言するに、反射面50cの角度θ,αの各実際値は、反射面50cの主走査方向エリア端位置および副走査方向エリア端位置のそれぞれにレーザ光を検出する検出器を配置し、主走査方向および副走査方向のそれぞれについて、各検出器によりレーザ光が検出された時点からの経過時間を計測することによって取得することが可能である。
入力された画像信号に対応する一画像分のレーザ光の走査および反射面42aの位置制御が終了すると、この波面曲率変調プログラムの一回の実行が終了する。
以上の説明から明らかなように、本実施形態においては、各レーザ出力部12,14,16が前記(1)項における「光束出力手段」の一例を構成し、走査ミラー24が同項における「走査手段」の一例を構成し、投入ミラー26が同項における「光学手段」の一例を構成し、制御部30が前記(1)項における「曲率補正手段」の一例を構成しているのである。
さらに、本実施形態においては、記憶部28が前記(2)項における「記憶手段」の一例を構成し、出射部32が前記(4)項における「出射手段」の一例を構成し、波面曲率変調部36が同項における「曲率変調手段」の一例を構成し、制御部30が同項における「曲率補正手段」の一例を構成しているのである。
さらに、本実施形態においては、制御部30が前記(5)項における「制御部」の一例を構成し、走査ミラー24が前記(15)項における「走査手段」の一例を構成し、複数のレーザ出力部12,14,16が前記(16)項における「複数の光束出力手段」の一例を構成し、全反射ミラー18および部分透過ミラー20,22が互いに共同して同項における「合成手段」の一例を構成し、制御部30が同項における「曲率補正手段」の一例を構成しているのである。
さらに、本実施形態においては、各レーザ出力部12,14,16が前記(17)項における「光束出力手段」の一例を構成し、走査ミラー24が同項における「走査手段」の一例を構成し、投入ミラー26が同項における「光学手段」の一例を構成し、記憶部28が同項における「記憶手段」の一例を構成し、制御部30が同項における「曲率補正手段」の一例を構成しているのである。
以上の説明から明らかなように、本実施形態によれば、投入ミラー26の反射面26aにおけるレーザ光の反射位置によってそのレーザ光の波面曲率の変化度合いが異なっても、観察者の瞳孔2に入射するレーザ光の波面曲率を常に目標値とすることが容易となるため、画像信号により表される画像を観察者に正確に認識させることが容易となる。
さらに、本実施形態によれば、各レーザ出力部12,14,16により出力されるレーザ光の波面曲率を各可動ミラー42によって連続的に変化させることができるため、観察者の瞳孔2に入射するレーザ光の波面曲率の微調整が容易となる。
さらにまた、本実施形態においては、投入ミラー26の短手方向が主走査方向とされ、長手方向が副走査方向とされて、走査ミラー24がレーザ光を走査するようになっている。したがって、本実施形態によれば、反射面26aの反射によるレーザ光の波面曲率の変化度合いがレーザ光の走査中に変化する頻度が減少し、その結果、各レーザ出力部12,14,16により出力されるレーザ光の波面曲率を変調する速度を高速化せずに済む。
さらにまた、本実施形態においては、各レーザ出力部12,14,16の出射部32に対応して波面曲率変調部36が設けられ、各出射部32から出射したレーザ光の合成前に各レーザ光の波面曲率が変調されるようになっている。したがって、本実施形態によれば、各出射部32から出射するレーザ光の波面曲率を補正するための構成を、波面曲率変調部36とは別に設けることが不可欠ではなくなる。
具体的に説明するに、仮に、各出射部32から出射した3色のレーザ光の波面曲率を、それらレーザ光の合成後に、それらレーザ光に共通の波面曲率変調部を用いて変調する構成を採用すると、それらレーザ光が例えば、合成後にそれらレーザ光に共通のレンズを通過することが必要である場合に、各レーザ光の波面曲率の変化度合いに生じるズレすなわち色収差を補正するため、各出射部32から出射する各レーザ光の波面曲率を個別に補正するための構成を別に設けることが必要となる。
これに対し、本実施形態によれば、そのような構成を別に設けることが不可欠ではなくなる。
なお付言するに、本実施形態においては、複数種類のテーブルが記憶部28に記憶されているが、テーブルの内容を他のものに変えてもよい。
すなわち、例えば、反射面曲率Rのテーブルに代えて、投入ミラー26の反射面26aの屈折力を表すテーブルや、反射面26aによりレーザ光の波面曲率が変化する割合を表すテーブルを用いるようにしてもよい。
さらに、本実施形態においては、各テーブルが走査ミラー24の反射面50cの角度θ,αを基準に作成されているが、それら角度θ,αに代えて、観察者の瞳孔2に入射するレーザ光の入射角度や、投入ミラー26の反射面26aにおけるレーザ光の反射位置を基準にして作成してもよい。
さらに、例えば、走査ミラー24の反射面50cの角度θ,αおよび波面曲率半径bから波面曲率半径aを直接算出することを可能にするテーブルを用いれば、その算出処理を単純化することが容易となる。
次に、本発明の第2実施形態に従う画像表示装置としての網膜走査型ディスプレイ60を図10を参照して説明する。
図10に示すように、本実施形態に従う網膜走査型ディスプレイ60は、図1に示す第1実施形態に従う網膜走査型ディスプレイ10の構成に加え、温度センサ62を備えている。
さらに、本実施形態に従う網膜走査型ディスプレイ60においては、記憶部28に、進行距離m,nおよび反射面曲率Rの各テーブルを1組とするテーブル群が複数組記憶されている。
以下、本実施形態を詳細に説明するが、図1に示す網膜走査型ディスプレイ10と共通する構成要素については、図10において同一の符号を付して引用することにより、詳細な説明を省略する。
図10に示すように、本実施形態においては、温度センサ62が、投入ミラー26の前面26b(反射面26aでも可)に装着されている。温度センサ62は、投入ミラー26の温度を検出するために設けられている。
図10に示すように、本実施形態においては、記憶部28に記憶されている複数組のテーブル群が、投入ミラー26の温度についての複数の代表値にそれぞれ関連付けて用意されている。投入ミラー26の反射面26aの形状が投入ミラー26の温度により微妙に変化し、その結果、反射面26aによるレーザ光の波面曲率の変化度合いも変化する。したがって、本実施形態においては、投入ミラー26の温度が取り得る複数の代表値にそれぞれ対応する複数組のテーブル群が用意されているのである。
制御部30は、記憶部28に記憶されている複数組のテーブル群のうち、温度センサ62により検出された温度に最も近い代表温度に関連付けられているテーブル群を用いることにより、波面曲率変調部36によるレーザ光の変調を行う。
したがって、本実施形態によれば、投入ミラー26の温度によって投入ミラー26によるレーザ光の波面曲率の変化度合いが変わっても、その投入ミラー26の実際の光学特性に適合し、レーザ光の波面曲率の最終値が精度よく目標値に一致するように、レーザ出力部12,14,16により出力されるレーザ光の波面曲率が変調されることとなる。
よって、本実施形態によれば、第1実施形態に従う網膜走査型ディスプレイ10と共通の効果に加え、画像信号により表される画像を、投入ミラー26の温度にかかわらず常に正確に観察者に認識させることができるという効果が得られる。
以上の説明から明らかなように、本実施形態においては、投入ミラー26の温度が前記(8)項、(9)項または(10)項における「物理量」の一例を構成し、温度センサ62が前記(10)または(11)項における「検出手段」の一例を構成し、記憶部28が前記(11)項における「記憶手段」の一例を構成し、制御部30が前記(8)項、(9)項、(10)項または(11)項における「曲率補正手段」の一例を構成しているのである。
なお付言するに、本実施形態に従う網膜走査型ディスプレイ60においては、投入ミラー26の温度に関連付けられた複数組のテーブル群が用意されているが、投入ミラー26の光学特性の変化を考慮して波面変調を行うために参照すべきテーブル群はこれに限ったものではない。例えば、投入ミラー26を取り囲む空気の湿度を検出する湿度センサを設け、この湿度センサの検出湿度に関連付けられた複数組のテーブル群を用いて本発明を実施することが可能である。
さらに付言するに、本実施形態においては、ハーフミラーとして構成された投入ミラー26が前記(1)項における「光学手段」の一例を構成しているが、その光学手段が回折光学素子として構成される態様で本発明を実施することが可能である。
この態様においては、例えば、光束が伝播する媒体の温度が変化するとその光束の波長が変化し、それに伴い、回折光学素子から出射する光束の波面曲率が変化するという事実に着目することにより、光束が伝播する媒体の温度を検出する温度センサを設け、この温度センサの検出温度に関連付けられた複数組のテーブル群を用いて本発明を実施することが可能である。
次に、本発明の第3実施形態に従う画像表示装置としての網膜走査型ディスプレイ70を図11を参照して説明する。
図11に示すように、本実施形態に従う網膜走査型ディスプレイ70は、図1に示す第1実施形態に従う網膜走査型ディスプレイ10と基本的な構成が共通する。
ただし、本実施形態においては、使用する投入ミラー26が複数種類のもののいずれかに交換可能になっている。それに伴い、本実施形態においては、投入ミラー26の交換に伴って観察者によって操作されるべき交換スイッチ72が設けられている。
さらに、本実施形態に従う網膜走査型ディスプレイ70においては、図10に示す第2実施形態に準じて、記憶部28に、進行距離m,nおよび反射面曲率Rの3つテーブルから成るテーブル群が複数組記憶されている。さらに、それらテーブル群は、複数種類の投入ミラー26に関連付けられている。
以下、本実施形態をさらに詳細に説明するが、図1に示す網膜走査型ディスプレイ10と共通する構成要素については、図11において同一の符号を付して引用することにより、詳細な説明を省略する。
本実施形態においては、投入ミラー26が、網膜走査型ディスプレイ70のうちの図示しないフレームに着脱可能に装着されており、そのユーザである観察者は、用途に応じて投入ミラー26を交換することが可能となっている。したがって、観察者は、例えば、網膜走査型ディスプレイ70により網膜上において走査される画像の視野角を変更したい場合に、所望の視野角が得られる形状の反射面26aを有する投入ミラー26に交換することが可能である。
投入ミラー26の反射面26aの形状が異なると、その投入ミラー26によりレーザ光の波面曲率が変化する度合いも異なるため、記憶部28には、交換可能な複数種類の投入ミラー26に関連付けて、前述の複数組のテーブル群が予め記憶されている。
観察者によって投入ミラー26が交換されれば、その事実を制御部30に入力することが必要である。そのため、本実施形態においては、交換スイッチ72が、交換可能な複数種類の投入ミラー26のうち新たに選択されたものを特定する操作を観察者に行わせるために設けられている。交換スイッチ72は、制御部30に接続されている。
その制御部30は、記憶部28に記憶されている複数組のテーブル群のうち、交換スイッチ72によって特定された種類の投入ミラー26に対応するテーブル群を用いることにより、波面曲率変調部36によるレーザ光の変調を行う。
したがって、本実施形態によれば、観察者によって投入ミラー26が交換されても、その観察者が交換スイッチ72を介して、現在使用している投入ミラー26を選択する選択操作を行えさえすれば、その投入ミラー26の光学特性に適合し、レーザ光の波面曲率の最終値が精度よく目標値に一致するように、レーザ出力部12,14,16により出力されるレーザ光の波面曲率が変調されることとなる。
以上の説明から明らかなように、本実施形態によれば、第1実施形態に従う網膜走査型ディスプレイ10と共通の効果に加え、画像の再現精度を維持しつつ、投入ミラー26の種類を用途に応じて交換することが可能となるという効果が得られる。
なお付言するに、本実施形態においては、複数種類の投入ミラー26に対応する複数組のテーブル群が予め記憶部28に記憶されており、それらテーブル群のうちのいずれかを交換スイッチ72の走査に応じて選択して用いるようになっているが、制御部30が用いる光学特性情報の交換方式はこれに限ったものではない。
例えば、記憶部28においてデータの読み込みが行われる記憶媒体が交換可能である場合には、投入ミラー26を交換する際に、その投入ミラー26に対応する光学特性情報を記憶した記憶媒体に交換することにより、目的を達することが可能である。
以上の説明から明らかなように、本実施形態においては、投入ミラー26が前記(12)項における「光学手段」の一例を構成し、制御部30が同項または(13)項における「曲率補正手段」の一例を構成しているのである。
さらに、本実施形態においては、記憶部28が前記(14)項における「記憶手段」の一例を構成し、制御部30が同項における「曲率補正手段」の一例を構成しているのである。
次に、本発明の第4実施形態を説明する。ただし、本実施形態は、以上説明した第1ないし第3実施形態に対してレーザ出力部の構成のみが異なり、他の要素については共通するため、異なる要素についてのみ詳細に説明し、共通する要素については同一の符号を使用して引用することによって詳細な説明を省略する。
第1ないし第3実施形態においては、いずれも、例えば図2に示すように、各色のレーザ光ごとに、波面曲率変調部36がレーザ光の波面曲率を変調するようになっている。これに対し、本実施形態においては、各色のレーザ光ごとに、波面曲率が互いに異なる複数のレーザ光を不変の波面曲率のもとにそれぞれ発生させる複数の光学系を備えていて、それら光学系のうち選択されるものが変化させられることにより、レーザ光の波面曲率が変調される。
図12には、本実施形態に従う網膜走査型ディスプレイの要部のみが光路図で示されている。本実施形態においては、第1ないし第3実施形態と同様に、3色のレーザ光をそれぞれ発光させて波面変調を行うために、3つのレーザ出力部が設けられている。それらレーザ出力部の構成は基本的に互いに共通するため、図12には、それらレーザ出力部のうちの一つであるレーザ出力部80が代表的に示されている。
図12に示すように、レーザ出力部80は、概略的に説明すれば、離散的な複数の波面曲率のそれぞれについてレーザ出射器と光学系とを備えている。
具体的には、平行なレーザ光すなわち波面曲率が0であるレーザ光を出射するために、レーザ光を平行光として出射する第1レーザ出射器82と、2枚のレンズが同軸上に固定距離で並んだ第1固定レンズ列90と、全反射ミラー98とを備えている。第1固定レンズ列90においては、第1レーザ出射器82からのレーザ光が一方のレンズに入射すると、他方のレンズからレーザ光が平行光として全反射ミラー98に向かって出射する。
レーザ出力部80は、さらに、その平行光より拡散するレーザ光すなわち平行光より波面曲率が大きいレーザ光を出射するために、レーザ光を平行光として出射する第2レーザ出射器84と、2枚のレンズが同軸上に第1固定レンズ列90より短い固定距離で並んだ第2固定レンズ列92と、全反射ミラー98と同軸の部分透過ミラー100とを備えている。
第2固定レンズ列92においては、第2レーザ出射器84からのレーザ光が一方のレンズに入射すると、他方のレンズからレーザ光が第1拡散光として部分透過ミラー100に向かって出射する。部分透過ミラー100は、それに入射した第1拡散光を反射する一方、全反射ミラー98から入射した平行光をその平行光と共通の光軸に沿って透過させる。
レーザ出力部80は、さらに、第1拡散光より拡散するレーザ光すなわち第1拡散光より波面曲率が大きいレーザ光を出射するために、レーザ光を平行光として出射する第3レーザ出射器86と、2枚のレンズが同軸上に第2固定レンズ列92より短い固定距離で並んだ第3固定レンズ列94と、全反射ミラー98および部分透過ミラー100と同軸の部分透過ミラー102とを備えている。
第3固定レンズ列94においては、第3レーザ出射器86からのレーザ光が一方のレンズに入射すると、他方のレンズからレーザ光が第2拡散光として部分透過ミラー102に向かって出射する。部分透過ミラー102は、それに入射した第2拡散光を反射する一方、全反射ミラー98または部分透過ミラー100から入射した平行光または第1拡散光をそれら平行光または第1拡散光と共通の光軸に沿って透過させる。
レーザ出力部80は、さらに、第2拡散光より拡散するレーザ光すなわち第2拡散光より波面曲率が大きいレーザ光を出射するために、レーザ光を平行光として出射する第4レーザ出射器88と、2枚のレンズが同軸上に第3固定レンズ列94より短い固定距離で並んだ第4固定レンズ列96と、全反射ミラー98および部分透過ミラー100,102と同軸の部分透過ミラー104とを備えている。
第4固定レンズ列96においては、第4レーザ出射器88からのレーザ光が一方のレンズに入射すると、他方のレンズからレーザ光が第3拡散光として部分透過ミラー104に向かって出射する。部分透過ミラー104は、それに入射した第3拡散光を反射する一方、全反射ミラー98,部分透過ミラー102または104から入射した平行光,第1拡散光または第2拡散光をそれら平行光、第1拡散光および第2拡散光と共通の光軸に沿って透過させる。
それら平行光、第1拡散光、第2拡散光または第3拡散光はいずれも、その後、図1に示す3つのミラー18,20,22のうち対応するものに照射される。
制御部30は、各レーザ出射器82,84,86,88から出射するレーザ光の出力強度(各レーザ出射器82,84,96,88のオン・オフを含む)を制御する。
レーザ出力部80によれば、各レーザ出射器82,84,86,88から出射したレーザ光が、互いに異なる固定レンズ列90,92,94,96を通過して出力される。各固定レンズ列90,92,94,96は、それぞれに属する2枚のレンズ間の間隔が互いに異なっているため、各固定レンズ列90,92,94,96により、各レーザ出射器82,84,86,88から入射した各レーザ光の波面曲率が互いに異なる波面曲率となるように変調される。
したがって、本実施形態によれば、レーザ光を出力するレーザ出射器82,84,86,88のうちのいずれかを制御部30によって選択することにより、レーザ出力部80から出力されるレーザ光の波面曲率を瞬時に変化させることが容易となる。
以上の説明から明らかなように、本実施形態においては、複数のレーザ出射器82,84,86,88と、それぞれ対応する複数の固定レンズ列90,92,94,96と、それぞれ対応するミラー100,102,104,106との組合せが前記(6)項における「複数の出射手段」の一例を構成し、制御部30が同項における「選択手段」の一例を構成しているのである。
なお付言するに、本実施形態においては、各色のレーザ光ごとに、波面曲率が互いに異なる複数のレーザ光を互いに独立して発生させることが可能であり、それらレーザ光のうちのいずれか選択されて走査ミラー24に入射させられるようになっている。
これに対し、例えば、レーザ出力部80を、複数のレーザ出射器82,84,86,88から複数のレーザ光が同時に出射する態様で作動させることが理論的に可能である。この態様によれば、複数種類の波面曲率を有する複数のレーザ光を1つのレーザ光に合成して出力することができる。このため、この態様によれば、奥行きが互いに異なる複数の画像が重ね合わせられたもの(例えば、ある画像の手前に半透明の画像が重ね合わせられた複合画像の如き画像)を観察者に認識させることができる。
さらに付言するに、以上説明したいくつかの実施形態においてはいずれも、走査ミラー24によって走査されたレーザ光の進行方向を反射手段としての投入ミラー26により、観察者の瞳孔2に向かう方向に変更して収束させる構成が採用されているが、同じ目的を達成するために他の構成を採用することが可能である。
例えば、走査ミラー24によって走査されたレーザ光の進行方向を屈折手段としてのレンズにより、観察者の瞳孔2に向かう方向に変更して収束させる構成を採用することが可能であり、また、回折光学素子によってレーザ光の進行方向を変更して収束させる構成を採用することも可能である。
そして、いずれの構成についても、走査ミラー24からレンズあるいは回折光学素子に照射されるレーザ光の照射位置に応じてそのレーザ光の波面曲率の変化度合いが異なる場合に、その変化度合いに応じて各レーザ出力部12,14,16から出力されるレーザ光の波面曲率を本発明に従って補正すれば、それらレンズあるいは回折光学素子の上述の光学特性にもかかわらず、正確な画像を観察者に認識させることができる。
さらに付言するに、以上説明したいくつかの実施形態においてはいずれも、走査手段としての走査ミラー24として2次元走査可能な揺動ミラーが採用されているが、走査手段はこれに限定されるものではない。
例えば、走査ミラー24に代えて、主走査方向にのみレーザ光を偏向する第1の走査ミラーと、副走査方向にのみレーザ光を偏向する第2の走査ミラーとを用い、全反射ミラー18および部分透過ミラー20,22によって合成されたレーザ光を、第1の走査ミラーおよび第2の走査ミラーを順次経由して投入ミラー26に入射させる構成を採用することが可能である。この場合、レーザ光が第1の走査ミラーおよび第2の走査ミラーを経由する順序は、いずれが先であってもよい。
以上、本発明の実施形態のいくつかを図面に基づいて詳細に説明したが、これらは例示であり、前記[発明の開示]の欄に記載の態様を始めとして、当業者の知識に基づいて種々の変形、改良を施した他の形態で本発明を実施することが可能である。