JP4423904B2 - 電子機器 - Google Patents

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Description

本発明は、比較的負荷変動の大きいモータやその他のデバイスを電池等の電圧供給源によって駆動する電子機器に関し、特にモータやその他のデバイスの起動時における突入電流によって電圧供給源に電圧降下が生じ、制御系の動作に必要な電圧を維持できなくなる場合の対処方法に関するものである。
従来より、例えば各種記録媒体を用いたヘッドフォンステレオ等の電子機器において、一次電池(乾電池)や二次電池(充電池)によってモータを駆動する場合、その起動時の突入電流によって電池の内部抵抗による電圧降下が生じる。その結果、システム全体に供給される電圧が突入電流発生前に比較して大幅に低下し、供給電圧がシステム動作電圧の下限(Vmin)以下まで低下するとシステムの動作停止に至る場合がある。この電圧降下分は、突入電流と電池の内部抵抗との大きさの積で決まるが、電池の内部抵抗は電池の使用状況や周囲の環境条件(温度など)で大きく変化するため、事前に分かっている値ではない。
このような電圧降下に対し、従来は電池の無負荷時の発生起電圧(端子電圧)をシステム制御部(マイコン)のA/D変換機能などを計測してシステムを起動させるための条件判断を行なっていたが、電池の内部抵抗分までは測定していないため、実際に起動させてみると、電池の内部抵抗による電圧降下部が大きく、起動途中でシステムが異常停止する場合が発生していた。
図5はこのような従来の電子機器の一例を示すブロック図である。また、図6は図5に示す電気機器におけるモータ起動時の電源電圧の変化を示す説明図であり、図7は図5に示す電子機器におけるモータ起動時の動作を示すフローチャートである。
図5に示すように、本従来例の電子機器は、電源供給を行なう電池10と、例えば記録媒体を駆動するモータ20と、このモータ20のオン・オフを操作するスイッチ30と、この電子機器全体を制御するマイコン40と、このマイコン40のリセット動作を行なうリセットIC50と、各種表示を行なう表示機能部60とを有する。
電池10は発生起電圧Eと内部抵抗Rsで表され、出力電流Isについて、ΔV=Rs×Isの電圧降下が生じる。また、マイコン40は、A/D変換機能部41が設けられ、入力電圧Vsの検出を行なっている。そして、入力電圧Vsの検出値が予め設定されている下限(Vmin)以下まで低下すると、リセットIC50が作動し、マイコン40の動作を停止させ、初期状態に戻すことにより、マイコン40の異常動作を防止するのが一般的である。
また、液晶表示等による表示機能部60も一般的な電子機器には装備されており、この表示内容はマイコン40が制御する。そして、電子機器の動作中にマイコン40への入力電圧Vsが下限(Vmin)以下まで低下した場合には、マイコン40は表示機能部60に電池切れの警告表示を行ない、その後、動作停止に移行する。
このような電子機器において、スイッチ30をオンしてモータ20を起動した場合、電池10からはモータ20を起動させるための起動電流Isが流れ、その時、マイコン40に供給される電圧Vsは次のようになる。
Vs=E−ΔV=E−Rs×Is ……(1)式
よって、電圧降下ΔVが大きくなり、例えば図6に示すように、VsがVminより低下する場合には、リセットIC50が動作し、マイコン40の動作を止めるが、その時には、マイコン40自体は表示機能部60にデータを送ることもできないため、上述した警告表示も行なえないまま、電子機器は緊急停止状態に陥ることになる。
このため、電子機器の使用者は、どのような理由で、電子機器が動作しないのか判断できないという不具合が生じる。例えば、ヘッドホンステレオのユーザが音楽を聞きたいと思い、再生ボタンを押したものの、ヘッドホンステレオが何ら起動することなく、止まったままとなった場合、ユーザには何が起こっているのか分からず、混乱してしまうことになる。
そこで、このような不具合を回避するための従来例としては、モータ起動前の電池の発生起電圧をA/D変換機能部で測定し、その測定値がマイコンの動作下限電圧よりも十分大きい場合には、モータの起動を許可するといった方法を採用することも可能であるが、この方法では実際のモータ起動時における電圧を精度良く予測できないという不具合がある。
以下、この場合の動作例を図7のフローチャートを用いて説明する。
まず、外部操作入力によってモータ起動指令があると、これをマイコン40が受け付け(ステップS1)、電池起電圧(E)の測定を行なう(ステップS2)。ここで電池起電圧が下限より十分大きいことを判断する減電圧判断[E>>Vmin]を行なう(ステップS3)。そして、減電圧状態であれば、この時点で電池切れ警告(アラーム表示)を行ない、ユーザに通知する(ステップS4)。
また、減電圧状態でなければ、マイコン40はモータ起動指令に基づいてモータ20を起動(スイッチ30をオン)する(ステップS5)。ここで、電圧降下が生じるが、Vs>Vminであれば(ステップS6)、システム動作状態が維持され、正常な動作となる(ステップS7)。
しかし、電圧降下が大きいために、VsがVmin以下になった場合には、マイコン40はそのまま動作が停止してしまい、システム動作が不可能となる(ステップS8)。この場合には、減電圧表示をしない状態で停止してしまうため、ユーザには何が起こったか分からず、混乱を起こしてしまうことになる。
なお、電源電圧の測定監視を行なう電子機器において、電源投入時の突入電流に伴う瞬間的な電圧降下によって一時的な減電圧状態が発生し、必要のない動作停止や警告表示を行なうことを防止するための構成として、電源投入時に電圧検出前にモータを起動して電池を放電させた後に、電圧検知を行なうようにしたものが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
特開2002−315388号公報
上述のように、従来の電子機器において、モータ等の起動前に発生起電圧を測定し、起動の可否を判定する方法では、実際のモータ起動時における電圧を精度良く予測できないため、電圧降下が大きくなって電圧値が下限以下になった場合には、警告表示等は行なえず、そのまま動作停止となってしまう。
また、モータを起動した後に電圧検知を行なう方法においても、モータを起動した時点で電圧降下が大きくなり、電圧値が下限以下になった場合にも同様に、警告表示等は行なえず、そのまま動作停止となってしまう。
なお、このような問題は、モータ起動時に限らず、負荷変動の大きい他の装置の起動時についても同様に生じるものである。
そこで本発明は、負荷変動の大きい回路装置の起動時における電圧降下によって動作停止状態になることを有効に防止でき、減電圧時の警告表示を実行できる電子機器を提供することを目的する。
上述の目的を達成するため、本発明にかかる電子機器は、内部抵抗を含む電圧供給源と、
制御対象となる第1の負荷と、前記電圧供給源の電圧値を測定する電圧測定機能部と、
前記電圧測定機能部によって電圧供給源の減電圧状態を検出した場合に減電圧の警告表示を行なうための表示機能部と、前記電圧供給源と電圧測定機能部との間に設けられ、前記電圧供給源に所定の負荷を与える第2の負荷と、前記第1の負荷部と第2の負荷部を制御する制御部とを有し、前記第2の負荷部は、互いに並列に接続され、互いに負荷量の異なる複数の負荷と、それぞれの前記負荷を前記電圧供給源に接続する複数のスイッチとからなり、前記制御部は、前記第1の負荷の起動指示があった場合に、前記スイッチによって第2の負荷部の負荷を順番に電圧供給源に接続し、それぞれの負荷に対する電圧供給源における電圧降下を前記電圧測定機能部によって測定し、その測定値に基づいて前記第1の負荷の起動時における電圧値を段階的に算出し、その算出値に基づいて前記第1の負荷を起動するか、減電圧のための警告表示を行なうかを選択し、実行することを特徴とする。
以上の説明から明らかなように、本発明にかかる電子機器によれば、第1の負荷の起動指示があった場合に、第2の負荷部の複数の負荷を電圧供給源に順番に接続し、電圧供給源における電圧降下を電圧測定機能部によって測定し、その測定値に基づいて第1の負荷の起動時における電圧値を段階的に算出し、その算出値に基づいて第1の負荷を起動するか、減電圧のための警告表示を行なうかを選択し、実行することから、第1の負荷の起動で生じる電圧降下による減電圧状態を有効に予測して必要に応じて減電圧の警告表示を行なうことができ、起動直後のシステム機能停止によるトラブルを未然に防止することが可能となり、ユーザの混乱を防止できる効果がある。
本例は、内部抵抗を有する電池を使用する電気機器において、「電圧値の測定機能」と「システムの突入電流に係数を乗じた負荷をオン/オフする機能」とを組み合わせて電池の無負荷状態の発生起電圧と既知の負荷状態での電池の内部抵抗による電圧降下分とを計測することにより、実測のシステム起動電流による電圧降下分を計算、予測し、使用している電池のシステムの起動条件を満足できるかどうかを実際のシステム起動に際して事前に予測することにより、システムを安全に起動することを可能にしたものである。
このような構成により、使用状況や環境条件により大きく変化する電池等の「発生起電圧」及び「内部抵抗による電圧降下分」を実際のシステム起動前に検出及び計算で予測することで、予測外の電圧降下によりシステムが起動途中で異常停止するトラブルを防止し、安全な起動が実現できる。
また、計測、計算結果をシステム起動前に事前に察知することで、起動条件を満足しないことが判明した場合には、システムの起動は行なわずに、「減電圧表示」などのアラーム処理を行なうことで、電池の状態が異常であることを「機能の動作前」に使用者に認知させることができる。
特に、ポータブル機器などの電池の動作電圧が低い場合や信頼性が要求される機器などに効果がある。
図1は本発明の実施例1による電子機器の構成を示すブロック図である。また、図2は図1に示す電気機器におけるモータ起動時の電源電圧の変化を示す説明図であり、図3及び図4は図1に示す電子機器におけるモータ起動時の動作を示すフローチャートである。この電子機器は、例えば電池駆動式のヘッドホンステレオとして構成されており、以下の説明では、プレイボタンを押して記録媒体から音楽を再生する場合の動作を中心に説明する。
図1に示すように、本例の電子機器は、電源供給を行なう電池110と、例えば記録媒体を駆動するモータ120と、このモータ120のオン・オフを操作するスイッチ130と、この電子機器全体を制御するマイコン140と、このマイコン140のリセット動作を行なうリセットIC150と、各種表示を行なう表示機能部160とを有し、さらに、モータ120及スイッチ130による直列回路と並列に、2つの電流源負荷として、負荷抵抗171、172及びスイッチ181、182による直列回路が設けられている。
ここで、各電流源負荷による電流値I1、I2(スイッチ181、182をオンした時に負荷抵抗171、172に流れる電流値)は、モータ120の起動電流Isに対して、I1=1/3×Is、I2=2/3×Isとなるように設けられている。
そして、マイコン140は、図2にも示すように、スイッチ130、181、182を全てオフの状態にした電圧(=E)を計測する(図2(1))。次に、スイッチ181のみをオンした状態の電圧(=V1)を計測する(図2(2))。さらに、スイッチ182のみをオンした状態の電圧(=V2)を計測する(図2(3))。
これにより、実際のモータを起動した場合に発生する電圧降下分ΔV3を以下のような式を用いて予測する。
ΔV3=3×ΔV1 ……(2)式
ΔV3=1.5×ΔV2 ……(3)式
上記式から、かなり正確にΔV3を予測することができる。そして、次の式(4)が成立する場合のみモータの起動を開始させる。
Vs=E−ΔV3>Vmin ……(4)式
また、上記(4)式が成立しない場合には、表示機能に「電池が減電圧状態」である内容の表示させることにより、トラブルを未然に防止することができる。
以下、この場合の動作例を図3及び図4のフローチャートを用いて説明する。
まず、外部操作入力によってモータ起動指令(例えば、プレイボタンの操作)があると、これをマイコン140が受け付け(ステップS11)、電池起電圧(E)の測定を行なう(ステップS12)。ここで電池起電圧と下限値とを比較して減電圧判断[E>Vmin]を行なう(ステップS13)。そして、減電圧状態であれば、マイコン140は、この時点で電池切れ警告(アラーム表示)を行ない、ユーザに通知する(ステップS14)。
また、減電圧状態でなければ、マイコン140はスイッチ181をオンし(ステップS15)、電圧を計測し、下限値と比較して減電圧状態か否かを判断する(ステップS16)。そして、この時点で減電圧状態であれば、マイコン140は、この時点で電池切れ警告(アラーム表示)を行ない、ユーザに通知する(ステップS17)。
また、減電圧状態でなければ、マイコン140はスイッチ181をオフした後(ステップS18)、スイッチ182をオンし(ステップS19)、電圧を計測し、下限値と比較して減電圧状態か否かを判断する(ステップS20)。そして、この時点で減電圧状態であれば、マイコン140は、この時点で電池切れ警告(アラーム表示)を行ない、ユーザに通知する(ステップS21)。
また、減電圧状態でなければ、マイコン140は上述した(4)式を用いてモータ起動時の電圧降下予測演算を行なう(ステップS22)。そして、この演算によって得られた値を下限値と比較し、モータ起動によって減電圧状態となるか否かを判定する。
すなわち、ステップS23では、E−3×ΔV1>Vminを判定し、NOであれば、電池切れ警告(アラーム表示)を行ない、ユーザに通知する(ステップS24)。また、YESであれば、ステップS25で、E−1.5×ΔV2>Vminを判定し、NOであれば、電池切れ警告(アラーム表示)を行ない、ユーザに通知する(ステップS26)。
また、YESであれば、モータ120のスイッチ130をオンし、モータ120を起動してスシ動作に移行する(ステップS27)。
以上のような動作によって、モータ起動時の電圧降下による減電圧状態を有効に予測して必要に応じて減電圧の警告表示を行なうことができ、起動直後のマイコン機能停止によるトラブルを未然に防止することが可能となる。
また、本実施例1においては、スイッチ181をオンした状態の計測結果で、次にスイッチ182をオンして計測することが可能かどうかを一度判断してからスイッチ182のオンに移行することができるので、安全度が高く、正確な「供給電圧の予測」が可能である。
なお、本発明は以上の実施例1に限定されず、種々の変形が可能である。
例えば、電流源負荷について、モータ120の直流抵抗をRmとした場合、負荷抵抗171の直流抵抗は1/3Rm、負荷抵抗172の直流抵抗は2/3Rmとしても、同様の機能が実現可能である。
また、スイッチ130、181、182は、トランジスタまたはFET等の半導体素子であってもよい。
また、電流源負荷を1つだけ、例えば抵抗171及びスイッチ181だけとすることも可能であるが、予測精度はやや低下することや、電池の内部抵抗が大きい場合に、電圧降下分によりマイコンによる予測計測自体が不可能になる場合等が想定される。逆に、電流源負荷の数を増やすことにより、より高精度で確実な動作を得ることができる。
また、電子機器の電源としては電池に限らず、内部抵抗を有する電圧供給源からの電圧降下分を予測する必要がある電子機器に、広く応用可能である。
本発明の実施例1による電子機器を示すブロック図である。 図1に示す電子機器におけるモータ起動時の電圧降下を示す説明図である。 図1に示す電子機器の動作を示すフローチャートである。 図1に示す電子機器の動作を示すフローチャートである。 従来の電子機器の一例を示すブロック図である。 図5に示す電子機器におけるモータ起動時の電圧降下を示す説明図である。 図6に示す電子機器の動作を示すフローチャートである。
110……電池、120……モータ、130……スイッチ、140……マイコン、150……リセットIC、160……表示機能部、171、172……負荷抵抗、181、182……スイッチ。

Claims (4)

  1. 内部抵抗を含む電圧供給源と、
    制御対象となる第1の負荷と、
    前記電圧供給源の電圧値を測定する電圧測定機能部と、
    前記電圧測定機能部によって電圧供給源の減電圧状態を検出した場合に減電圧の警告表示を行なうための表示機能部と、
    前記電圧供給源と電圧測定機能部との間に設けられ、前記電圧供給源に所定の負荷を与える第2の負荷と、
    前記第1の負荷部と第2の負荷部を制御する制御部とを有し、
    前記第2の負荷部は、互いに並列に接続され、互いに負荷量の異なる複数の負荷と、それぞれの前記負荷を前記電圧供給源に接続する複数のスイッチとからなり、
    前記制御部は、前記第1の負荷の起動指示があった場合に、前記スイッチによって第2の負荷部の負荷を順番に電圧供給源に接続し、それぞれの負荷に対する電圧供給源における電圧降下を前記電圧測定機能部によって測定し、その測定値に基づいて前記第1の負荷の起動時における電圧値を段階的に算出し、その算出値に基づいて前記第1の負荷を起動するか、減電圧のための警告表示を行なうかを選択し、実行する
    ことを特徴とする電子機器。
  2. 前記制御部は、第2の負荷部の複数の負荷を順番に電圧供給源に接続して電圧降下を測定し、各測定値に基づいて第1の負荷の起動時における電圧値を算出する度に、減電圧の判定を行なうことを特徴とする請求項記載の電子機器。
  3. 前記第1の負荷がモータであることを特徴とする請求項1記載の電子機器。
  4. 前記電圧供給源が一次電池または二次電池であることを特徴とする請求項1記載の電子機器。
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