JP4423621B2 - 雰囲気連続加熱炉 - Google Patents

Description

【０００１】
【産業上の利用分野】
連続炉において、目的の最高加熱温度までの加熱速度を緩やかに制御しつつ、被加熱処理物を昇温することを必要とする場合が多い。
本発明は、加熱室の前駆域の予熱室に加熱室の熱量の一部を移動させて、被加熱処理物の中温部加熱とそれに続く高温加熱を緩やかにしかも速やかに進め得るようにした雰囲気連続加熱炉を提供するものである。
【０００２】
【従来の技術】
長尺な燃焼輻射管をトンネル状の加熱室の長手方向に沿って設けた雰囲気連続加熱炉では、ここに搬入された被加熱処理物は目的の最高温度に急速に加熱される。このような急速な加熱は、被加熱処理物を不均一に加熱することになり、被加熱処理物に熱による歪が生じてしまい、被加熱処理物の寸法精度に異常が生じたり、被加熱処理物の熱間反応の不良を招くことにもなる。
【０００３】
【発明が解決しようとする課題】
そこで、被加熱処理物を目的の最高加熱温度まで緩やかにしかも速やかに昇温でき、しかも構造が簡単で経済的な雰囲気連続加熱炉が望まれる。
【０００４】
【課題を解決するための手段】
本発明では、加熱室の前駆部分に燃焼や電熱等の加熱手段を持たない予熱室を設け、この予熱室にある低温の雰囲気を送風器によって高温の加熱室内に送って加熱し、加熱された雰囲気を予熱室へ再帰させ、ここで被加熱処理物に熱を移して温度が下がった雰囲気を再び送風器で加熱室へ送ることを繰り返して予熱室の加熱を行うことを特徴とするものである。
【０００５】
即ち、加熱室に設けられた燃焼輻射管による発熱は、その大部分が加熱室自体の温度の保持のために費やされるが、その発熱の一部は予熱室と加熱室の一部との間を循環する一部の雰囲気ガスを加熱して、予熱室の温度の補償に働くものである。加熱室には、その加熱機能を代表する位置に温度検知器を置いて、加熱室内の燃焼輻射管の燃焼を制御し、一方予熱室に設けた温度検知器によって送風器による雰囲気の移送量を制御して、予熱室の温度を所望の値に調節するものである。この場合、予熱室の温度の制御は、加熱室の温度よりも低い範囲でのみ可能であり、この範囲内に限られることは申すまでもないことである。
【０００６】
【発明の実施の形態】
以下、添付の図面を参照して、本発明になる好適な雰囲気連続加熱炉の一実施例を説明する。
【０００７】
幅５００ｍｍ、長さ４５００ｍｍ、有効高さ２００ｍｍの加熱室１内の天井部と底部には、それぞれ直径が１４０ｍｍの燃焼輻射管２を２本づつ加熱室１の長手方向に伸びるように取り付け、該加熱室１内を加熱する。
【０００８】
符号３は、加熱室１の前駆部分に該加熱室１と連通するように設けられた幅が５００ｍｍ、長さが１８００ｍｍ、有効高さが２００ｍｍの予熱室である。この予熱室３の入口４の上部に多翼式送風器５を固定した。この送風器５は予熱室３から雰囲気を吸引し、予熱室３の上部に設けられた雰囲気移動通路６を通って雰囲気を加熱室１の一部内に送り、この雰囲気を予熱室３へ再帰させる。加熱室１の後続部分には、水冷構造の冷却室７が取付けられている。
【０００９】
符号８は炉中を循環するコンベヤベルトであり、符号９は炉中に雰囲気ガスを送るための管である。また、符号１０は加熱室１のほぼ中央部でコンベヤベルト８に近接して設けられた熱電対であり、加熱室１の温度を所望の値に保つために燃焼輻射管２の燃焼制御回路につながる。また、符号１１は予熱室３の中央上部に取り付けられた別の熱電対であり、予熱室３を所望の温度に保つために送風器５の回転、即ち送風器５によって循環される雰囲気の移動量を制御する回路につながる。
【００１０】
加熱室１の熱電対１０の付近の温度が６００℃を保つように燃焼輻射管２の燃焼を制御し、予熱室３の熱電対１１の付近の温度が３５０℃を保つように送風器５の回転を制御した。このときの炉全体の炉内温度の分布は、図１中の下方に示されるカーブの如くになった。
【００１１】
このように炉内温度が保たれ、雰囲気ガスの挿入管９から毎時４０立方メートルの窒素ガスが送られた連続炉を用いて、アルミニウム板を機械加工した部品を組み立て支持具で支えた熱交換器組立体（幅８．５ｃｍ、高さ２２．５ｃｍ、長さ２３．０ｃｍ、重量４４６ｇ）のろう接を行なった。
【００１２】
この組立体をベルト８の上に乗せて、炉内全体を４０分で通過させたところ、組立体は３５０℃の予熱室３内で緩やかに加熱された後に、６００℃に加熱されてろう接が行われた。その結果、急激な加熱による歪等が生じることもなく、正常なろう接を行なうことができた。
【００１３】
なお、試みにこの炉の加熱室１の制御温度を１１００℃、予熱室３の制御温度６００℃とし、保護雰囲気として露点が１８℃の発熱型変成ガス４０立方メートルを炉内に送って自動制御したところ、加熱室１の温度は１１００℃±４℃、予熱室３は６００℃±３℃に保たれた。
【００１４】
【発明の効果】
本発明になる雰囲気連続加熱炉は、被加熱処理物を目的の温度へ緩やかに昇温することができ、しかも予熱室に複雑な加熱手段等を用いることがないので、経済的な効果も大である。
【図面の簡単な説明】
【図１】本発明に係る連続炉の説明的な側断面図とこの炉内温度の分布を示すカーブである。
【符号の説明】
１−加熱室
２−ガス加熱輻射管
３−予熱室
４−予熱室の入口
５−雰囲気移動用の送風器
６−雰囲気移動通路
７−冷却室
８−コンベヤベルト
９−雰囲気ガス送入管
１０−加熱室内の熱電対
１１−予熱室内の熱電対

Claims (1)

1. 発熱の大部分を加熱室自体の温度保持のために費やす燃焼輻射管を加熱室内の天井部と底部にそれぞれその長手方向に伸びるように取り付けてなる該加熱室と、該加熱室に前駆して該加熱室と連通する加熱手段を有しない予熱室とを有し、
   該予熱室の雰囲気を吸引し該予熱室上部に設けられてなる加熱手段を有しない雰囲気移動通路を通って加熱室の一部内に送りかつ予熱室に再帰させるための送風器が予熱室に設けられ、
   該予熱室内に設けられた温度検知器による温度検出により上記送風器による加熱室の一部への雰囲気の移動量を制御することによって予熱室に加熱室の熱量の一部を移動させ予熱室の温度を加熱室の温度よりも低い所定の温度下に保たれるように構成されてなる雰囲気連続加熱炉。

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