JP4421359B2 - 気体圧縮機 - Google Patents

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本発明は、冷凍機及び空気調和装置等に冷媒圧縮機として組み込むのに好適な気体圧縮機に関する。
この種の従来の気体圧縮機に、同芯型ベーン・ロータ式気体圧縮機がある(例えば、特許文献1参照。)。このベーン・ロータ式圧縮機では、シリンダ室に楕円の横断面形状が与えられ、該シリンダ室の短径方向の近傍にその径方向に整列して一対の吐出口が形成され、またその近傍にシリンダ室の径方向に整列して一対の吸入口が形成されている。シリンダ室内に配置されたロータが回転すると、このロータの回転に伴って、該ロータに保持されたベーンがシリンダ室の周壁を摺動する。ロータに保持されたベーンは、シリンダ内にその周方向に区画された複数の圧縮室を規定する。このベーンの摺動により、各圧縮室の容積が増減を繰り返すことから、一対の吸入口のそれぞれから各圧縮室に吸入された気体は、順次圧縮され、径方向に整列して形成された一対の吐出口から排出される。
前記した圧縮機の作動を円滑に行うために、その圧縮機構には、該圧縮機構の吐出圧を利用して、油貯め内の油が圧縮機構の前記ロータの回転軸を受ける軸受に供給される。
この軸受に供給された潤滑油は、ロータの回転軸と該回転軸を受ける軸受面との間で圧力損失を受けることにより、吐出圧よりも低い値に減圧される。この減圧された潤滑油の圧力を利用してベーンをシリンダ周壁へ向けて押圧するために、減圧を受けた前記潤滑油が、ベーンを保持するロータに形成された背圧室に導かれる。この背圧室への圧力の潤滑油の供給により、圧縮機構の吸引、圧縮および吐出行程でベーンがベーン先端に最も大きな押し込み力を受ける所定の領域を除く他の領域では、ベーンとシリンダ壁面との間を適正にシールするに過不足のない適正な背圧がベーンに付与される。
また、前記圧縮機構の吸引、圧縮および吐出行程でベーンがベーン先端に最も大きな押し込み力を受ける所定の領域では、背圧室には、吐出圧を受ける油貯め内の潤滑油が、高圧通路から高圧供給穴を経て、減圧を受けることなく高圧状態で供給される。
これにより、ベーンに過大な摩耗を生じさせることなく、また前記所定領域でのベーンのチャタリングを確実に防止することができ、該ベーンを適正にシリンダ周壁に接触させることができるので、気体圧縮機に大きな動力損失を招くことなく該気体圧縮機を適正に動作させることができる。
特開2000−265984号公報(図1、0019段落)
しかしながら、前記気体圧縮機では、シリンダ室の吐出口は、前記したようにシリンダ室の径方向に整列して対をなして形成されていることから、ベーン先端には、この吐出口の近傍の径方向に対向する位置で、最も大きな押し込み力が作用する。そのため、この大きな押し込み力を受ける所定の領域で、押し込み力に対抗する高圧油を背圧室に供給するには、この背圧室への高圧油用の供給口は、ロータの回転軸を間にしてその両側に位置するように、シリンダの径方向に対をなして形成する必要がある。
このことから、従来の前記圧縮機では、油貯め内の高圧油を各高圧用供給口に案内するために、油貯めからロータの回転軸を挟んでそれぞれの供給口に直線状に伸びるように相互に分離した個別の高圧供給路が用いられており、そのため、この高圧供給路の構成が複雑化するという欠点があった。
そこで、本発明の目的は、気体圧縮機のロータに形成された背圧室へ油圧を導く油供給路の簡素化を図ることにある。
本発明は、楕円の横断面形状を有するシリンダ室を規定し該シリンダ室の径方向の互いに対向する位置に配置される一対の吸入口および前記シリンダ室の径方向の互いに対向する位置に配置される一対の吐出口が形成されたシリンダと、該シリンダの側壁に形成された軸受部の軸受面に支承される回転軸を介して前記シリンダ室内で回転可能に配置され、前記シリンダ室を複数の圧縮室に区画すべく前記シリンダ室内で該シリンダ室の周壁を摺動するベーンを保持し、該ベーンに前記シリンダ周壁へ向けての押圧力を与えるための背圧室が設けられたロータとを備え、該ロータの回転に伴う前記ベーンの摺動に伴って前記一対の吸込口から吸引し、吸引した気体を圧縮して前記吐出口から吐出する圧縮機構と、前記ベーンが前記背圧室へ向けての最も大きな押し込み力を受ける所定の領域で該押し込み力に対抗する背圧を前記ベーンに付与すべく前記圧縮機構の外部に形成された油貯め内の加圧油を前記背圧室に導く第1の油供給路と、該第1の油供給路により前記背圧室に供給される加圧油の圧力よりも低い圧力の加圧油を前記背圧室に供給する第2の油供給路と、を含む気体圧縮機であって、前記第1の油供給路は、前記シリンダの外方から前記側壁に取り付けられる装着部材において前記軸受部を覆うように受け入れる嵌合部と前記軸受部とが協働して、前記嵌合部の縁部に形成した面取り部、あるいは前記軸受部の外周面に沿って形成した面取り部または開拡溝を閉ざすことにより、記軸受部の外周面に沿ってその半周を巡る弧状に形成された弧状路部分または前記軸受部の外周面に沿ってその全周を巡る環状に形成された環状路部分と、前記弧状路部分または前記環状路部分から前記シリンダ室へ向けて伸びかつ前記シリンダ室の径方向の互いに対向する位置でそれぞれ前記背圧室に連通すべく前記側壁に開放する一対の連結路部分と、上端が前記軸受面に開放しまた下端が前記油貯めの油内に開放すべく直線状に前記側壁に設けられ、流路口径を絞るオリフィスが形成された共通路部分と、該共通路部分における前記オリフィスよりも前記油貯めの側に位置する上流部分を前記弧状路部分または前記環状路部分に連通すべく前記側壁に設けられた連通路部分と、を有するとともに、前記油貯めから、前記共通路部分および前記連通路部分を経た加圧油を、前記弧状路部分または前記環状路部分によって一対の前記連結路部分へ向けて分流し、該各連結路部分から前記背圧室に供給し、前記第2の油供給路は、前記共通路部分から前記オリフィスを経て前記軸受面に供給された加圧油を、該軸受面を経て前記背圧室に供給することを特徴とする。
本発明に係る前記気体圧縮機では、油貯め内の加圧油の供給を受ける弧状路部分は軸受部の外周面に沿って形成されており、この弧状路部分から伸びる各連結路部分がシリンダの側壁に開放するので、該各連結路部分より、シリンダ室の径方向の相互に対向する位置で、前記ロータの背圧室に、ベーンが受ける最も大きな押し込み力に対抗するに充分かつ適正な油圧が供給される。
従って、前記弧状路部分は、両連結路部分へ向けてロータの周方向へ加圧油を分流させる作用をなし、この分流作用により、従来のような相互に分離した油圧路を個別に形成することなく、各連結路部分への流路の一部を共用することができるので、比較的単純な構成によって背圧室に大きな押し込み力に対抗するに適正な油圧を供給することが可能となる。
前記弧状路部分は前記軸受部の外周面にその全周を巡って環状に形成することができる。この場合、環状の弧状路部分すなわち環状路部分には、上端が該環状路部分に接続されまた下端が前記油貯めの油内に開放する直線状の共通路部分を経て前記油貯め内の加圧油を供給することができ、油貯め内の加圧油が減圧されることなく相互に分岐されて前記各連結路部分から該各連結路部分に対応する前記背圧室にそれぞれ案内される。
前記共通路部分は、前記上端から前記下端にかけて一様な口径の流路を形成し、前記オリフィスは、前記共通路部分内にオリフィス部材が挿入されて構成することができる
また、前記第1の油供給路の一部が前記環状路部分である場合、該環状路部分内に、環状のシール部材を配置することができる。
本発明によれば、前記したように、弧状路部分の分流作用により、油貯め内の加圧油を減圧させることなくロータの周方向へ分岐させることができ、各連結路部分を経て、シリンダ室の径方向位置のそれぞれで背圧室に大きな押し込み力に対抗するに適正な加圧油を供給することができるので、各連結路部分への流路の一部を共用することができ、これにより従来のような相互に分離した個別の油圧路を形成することなく、この適正な加圧油を背圧室に供給することができる。
本発明を図示の実施例に沿って以下に詳細に説明する。
本発明に係る気体圧縮機は、例えば自動車に搭載される空気調和装置に適用され、空気調和装置の構成要素である従来よく知られた凝縮器、膨張弁及び蒸発器等と共に、冷却サイクルのための冷媒循環経路が構成される。
本発明に係る気体圧縮機10は、図1に示すように、一端開放の筒状ハウジング本体11と、該筒状ハウジング本体の前記開放端を閉じるフロントハウジング部材12とからなる全体に円筒状のハウジング13を備える。
フロントハウジング部材12には、前記蒸発器に接続される吸入ポート14が設けられている。また、フロントハウジング部材12によって前記開放端を閉鎖されるハウジング本体11内には、圧縮機構15が収容されている。圧縮機構15は、後述するように、前記自動車に搭載されたエンジン(図示せず)の回転駆動力によって作動され、この作動により、吸入ポート14を経て前記蒸発器から取り入れた冷媒ガスを圧縮する。ハウジング本体11には、圧縮された冷媒ガスを前記凝縮器へ吐出すべく該凝縮器に接続される吐出ポート16が設けられている。
圧縮機構15は、図示の例では、従来よく知られた同芯型のベーンロータリ式の圧縮機構である。冷媒ガスを圧縮するための圧縮機構15は、両端開放のシリンダ部材17と該シリンダ部材の各開放端を気密的に閉鎖する平板状のフロントサイドブロック18及びリアサイドブロック19とで規定されるシリンダ室20を備える。
シリンダ室20は、その横断面が楕円形(図2参照)をなす。このシリンダ室20内には、回転軸21(21a、21b)を有する円柱状のロータ22が収容されている。回転軸21(21a、21b)は、図1に示すように、フロントサイドブロック18及びリアサイドブロック19の各ボス部23および24の内周面で形成された各滑り軸受面18a、19aで回転可能に支承されている。
回転軸21aは、その先端をフロントハウジング部材12の筒状端部12aから突出させて配置されている。筒状端部12aには、前記エンジンにより駆動される循環駆動ベルト25を受けるプーリ26が軸受27を介して回転可能に支持されている。回転軸21aは、その先端部に設けられた電磁クラッチ28を介してプーリ26に断続可能に結合される。従って、電磁クラッチ28への通電によって、回転軸21aはプーリ26と一体的に回転され、これによりロータ22が一方向へ駆動回転される。
ロータ22には、図2に示すように、その外周面に開放するベーン溝29が形成されている。各ベーン溝29内には、ベーン30がロータ22の周方向へ突出可能に収容されている。各ベーン30は、各ベーン溝29の底部に形成された背圧室31に供給される潤滑油の圧力を背圧として受ける。この背圧により、各ベーン30は、シリンダ室20の周壁へ向けての偏倚力を受け、該周壁に先端が当接する。各背圧室31およびベーン溝29は、各サイドブロック18および19に当接するロータ22の両端に開放する。
シリンダ室20は、ロータ22に保持されたベーン30によってロータ22の周方向へ区画されることにより、各圧縮室20aに分割されている。図示の例では、5枚のベーンにより5つの圧縮室20aが形成されている。各圧縮室20aは、ロータ22の回転に伴って、その容積の増大および減少を繰り返す。
シリンダ室20の両短径部近傍には、各圧縮室20aに冷媒を吸入するための一対の吸入口32及び各圧縮室20aで圧縮された冷媒を該圧縮室から吐出するための一対の吐出口33がそれぞれ形成されている。各短径部を間に、ロータ22の回転方向(図2では時計方向)の側へ偏倚した位置にはシリンダ室20の径方向に整列して各吸入口32が配置され、ロータ22の回転方向と逆方向(図2では反時計方向)の側へ偏倚した位置には各吐出口33がシリンダ室20の径方向に整列して配置されている。各吐出口33には、圧縮室20aから排出される冷媒の逆流を阻止する従来よく知られた逆止弁34が設けられている。各吐出口33は、逆止弁34を経て、リアサイドブロック19に形成された連通路35に連通する。
再び図1を参照するに、吸入ポート14は、該吸入ポートが形成されたフロントハウジング部材12とフロントサイドブロック18との間に形成された吸入室32aを経て、従来よく知られているように、圧縮機構15の前記した吸入口32(図2参照)に連通する。したがって、ロータ22の回転に伴い、吸入行程で、吸入ポート14から吸入口32を経て圧縮室20aに冷媒が吸入され、吸入された冷媒は、圧縮行程で圧縮される。この圧縮された冷媒は、ロータ22の回転に伴い、吐出行程で、吐出口33(図2参照)から連通路35に排出される。
吐出口33から連通路35に排出された冷媒は、該連通路により従来よく知られた油分離器36に案内され、該油分離器を経て高圧室37に排出される。
油分離器36は、図1に示すように、ハウジング本体11と圧縮機構15のリアサイドブロック19との間に規定された高圧室37内に配置されている。油分離器36は、リアサイドブロック19に形成された回転軸21bのための軸受部であるボス部24を覆って取り付けられたサイクロンブロック38と、該サイクロンブロック内に収容され、冷媒中の潤滑油を捕獲するためのフィルタ部材39とを有する。サイクロンブロック38は、従来よく知られているように連通路35から排出される冷媒に渦流を生じさせる。分離器36は、サイクロンブロック38による渦流とフィルタ部材39のフィルタ作用とによって、吐出口33から各連通路35を経て高圧室37に排出される冷媒から該冷媒中の潤滑油を分離する。潤滑油が分離された冷媒は、高圧室37から該高圧室に連通する吐出ポート16を経て前記凝縮器に供給される。冷媒から分離された潤滑油は、高圧室37の底部に形成された油貯め40に回収される。
油貯め40内の潤滑油は、高圧室37内の圧力により、リアサイドブロック19に形成された垂直油通路41を経てリアサイドブロック19に形成された軸受部であるボス部24の軸受面19aに供給され、またシリンダ部材17に形成され垂直油通路41に連通する水平油通路42およびフロントサイドブロック18に形成され水平油通路42に連通する傾斜油通路43を経て、フロントサイドブロック18に形成された軸受部であるボス部23の軸受面18aに供給される。
回転軸21(21a、21b)には、各油通路41および43から軸受面18a、19aに供給される潤滑油を回転軸21(21a、21b)の周方向へ均等に案内するための浅溝44および45がそれぞれ形成されている。各滑り軸受面18aおよび19aに供給される潤滑油は、回転軸21(21a、21b)を円滑に回転させる。フロントハウジング部材12の筒状端部12aの近傍には、この潤滑油が回転軸21aに沿って外部に漏れ出すことを防止するための従来よく知られたシール機構46が設けられている。
各滑り軸受面18aおよび19aに供給された潤滑油は、従来よく知られているように、回転軸21(21a、21b)とこれを受ける各滑り軸受面18a、19aとの間を経て、シリンダ室20の両シリンダ側壁を規定する各サイドブロック18および19の内面に形成されたサライと称される凹所47からロータ22の背圧室31に供給される。
凹所47に供給される潤滑油は回転軸21(21a、21b)と各滑り軸受面18a、19aとの間を経ることにより、減圧を受けるが、図示の例では、さらに必要な減圧を得るために、垂直油通路41および傾斜油通路43にそれぞれ減圧のためのオリフィス部材49および48が設けられている。オリフィス部材49および48を不要とすることができるが、このようなオリフィス部材49および48は、冷媒ガスとして炭酸ガスのような高圧動作系が用いられている場合、フロンガスが用いられた場合と比較して高圧室37が高圧に維持されることから、凹所47に適正に減圧された圧力の潤滑油を供給する上で、有効である。
凹所47は、フロントサイドブロック18およびリアサイドブロック19のそれぞれに、ほぼ同一形状を呈するように形成されている。リアサイドブロック19に形成された凹所47を図3に沿って説明する。凹所47は、ロータ22の回転に伴って背圧室31が移動する環状領域50を覆うように、軸受面19aを取り巻いて全体に環状に形成されている。また、この凹所47には、一対のくびれ部47aが形成されている。この一対のくびれ部47aは、吐出口33が設けられた径方向にほぼ沿って配置されている。凹所47の底部には、浅溝45から回転軸21bに沿って、その軸線の両方向へ均等に潤滑油が案内されるように、凹所47内の圧力を回転軸21bの図1で見て左端の端面圧力に等しくする圧力調整通路51が開放する。
ロータ22の回転に伴って該ロータに形成された背圧室31の両開放端は、環状領域50に沿って移動するが、この背圧室31の開放端がくびれ部47aを除く領域を通過するとき、凹所47に両端が開放する背圧室31には、各滑り軸受面18a、19aを経て適正に減圧された潤滑油が凹所47から供給される。そのため、凹所47から背圧室31に供給される潤滑油の圧力を背圧として受ける各ベーン30は、くびれ部47aを除く領域を通過するとき、適正な背圧によってシリンダ室20の周面を摺動する。
また、リアサイドブロック19の環状領域50における凹所47のくびれ部47aには、ロータ22の直径方向に整列して配置された一対の高圧用供給口52が開放する。両高圧用供給口52は、図2に仮想線で示すとおり、ベーン30が吐出行程の圧縮室20aから背圧室31へ向けての最も強い押し込み力を受ける領域で背圧室31に連通すべく、シリンダ室20の短径方向にほぼ沿って配列され、シリンダ室20のリアサイドブロック19によって規定される前記側壁に開放する。
これらの高圧用供給口52を経て背圧室31に油貯め40内の潤滑油を減圧することなく案内するための高圧油供給路53がリアサイドブロック19のボス部24に関連して形成されている。
高圧油供給路53は、ボス部24の外周を巡って形成された環状の案内路部分54と、該案内路部分をオリフィス部材49の流側で垂直油通路41に連通する連通路部分55と、案内路部分の54の側方から回転軸21bの軸線にほぼ平行に伸長し、高圧用供給口52に端部が帰する連結路部分56とを有する。
図4に示す例では、環状の案内路部分54は、リアサイドブロック19のボス部24の立ち上がり隅部に形成された環状の面取り部57と、サイクロンブロック38に形成されたボス部24の先端を受け入れる凹状嵌合部58の縁部に形成された面取り部59とで形成されるほぼ正三角の横断面形状を有する環状溝60に関連して、該環状溝と該環状溝内に配置された環状シール部材61との間隙によって形成されている。この案内路部分54は、軸受部を構成するボス部24の外周を巡る。環状シール部材61は、サイクロンブロック38とリアサイドブロック19との間を密閉する。
環状の案内路部分54は、連通路部分55を経てオリフィス部材49よりも上流側すなわち油貯め40側で垂直油通路41に連通することから、この案内路部分54には、油貯め40内からの潤滑油がオリフィス部材49での減圧を受けることなく供給される。また、案内路部分54に供給される潤滑油は、軸受面19aを経ることなく、軸受けでの圧力損失を受けることはない。従って、この案内路部分54に案内された潤滑油は、一端が案内路部分54に連通する各連結路部分56(図4にはその一方が示されている。)を経て、各高圧用供給口52から減圧を受けることなく高圧を維持した状態で背圧室31に供給される。この一対の高圧用供給口52から背圧室31への各高圧潤滑油の供給により、ベーン30が最も大きな押し込み力を受ける各領域で、ロータ22の背圧室31には、ベーンが受けるこの最も大きな押し込み力に対抗するに充分かつ適正な油圧が供給される。
本発明に係る高圧油供給路53では、垂直油通路41、該供給路に連通する連通路部分55が高圧供給路の共通経路として作用し、この共通路部分41、55を経た高圧の潤滑油がボス部24を巡る環状の案内路部分54によって一対の連結路部分56へ向けて分流される。従って、従来のように一対の高圧用供給口52のために相互に分離された個別の高圧供給路を形成することなく、両高圧用供給口52から背圧室31に所定の高圧潤滑油を供給することができ、ベーン30のチャタリングを効果的に抑制することができる。
従って、本発明に係る気体圧縮機10によれば、高圧供給路53の構成の複雑化を招くことなく、ベーン30に過大な摩耗を生じさせることなく、また所定領域でのベーン30のチャタリングを確実に防止することができ、該ベーンを適正にシリンダ周壁に接触させることができるので、大きな動力損失を招くことなく気体圧縮機10を適正に動作させることができる。
図5に示すように、リアサイドブロック19のボス部24の立ち上がり隅部と、サイクロンブロック38の凹状嵌合部58の縁部に形成された面取り59との空間で、直角三角形横断面形状を有する前記したと同様な軸受部すなわちボス部24の外周を巡る案内路部分54を形成することができる。しかしながら、この場合、案内路部分54内に環状シール部材61を配置することができないことから、リアサイドブロック19の外端面とサイクロンブロック38との当接面との間を密封するための環状シール部材62と、リアサイドブロック19の凹状嵌合部58の周面とボス部24の外周面との間を密封するための環状シール部材63が必要となることから、シール部材数の削減のためには、図4に示した例が望ましい。
また、前記した例では、高圧用供給口52に至る高圧用流路である第1の油供給路と、軸受面18a、19aを経て凹所47に至る低圧用流路である第2の油供給路のうち、垂直油通路41を第1の油供給路と第2の油供給路とに共用したが、垂直油通路41を第1および第2の油供給路の一部として共用することに代えて、図6および図7に示すように、第1の油供給路である高圧用流路の専用流路として利用することができる。
この場合、図6に示すように、低圧用油通路41′が垂直油通路41に関して角度的に形成され、その上端が軸受面19aに開放し、その下端が油貯め40に開放し、該下端にオリフィス部材49が設けられている。他方、垂直油通路41の上端には、前記したオリフィス部材49が設けられておらず、また垂直油通路41の上端は軸受面19aに開放することなく、閉鎖されており、この閉鎖端近傍で連通路部分55を経て環状の案内路部分54に連通する。
しかしながら、油供給路の構成の一層の簡素化を図る上で、図1に示したように、第1の油供給路の一部と第2の油供給路との一部を共用することが望ましい。
図8乃至図10は、高圧用流すなわち第1の油供給路をリアサイドブロック19に代えて、フロントサイドブロック18に形成した例を示す。
下端が水平油通路42に連通する傾斜油通路43′は、図10に示すように、滑り軸受面18aに形成された環状溝64に開放する。傾斜油通路43′の上端には、減圧のための前記したと同様なオリフィス部材48が設けられている。
傾斜油通路43′には、回転軸21aとほぼ平行に形成された連結路部分56aが交差して形成されている。連結路部分56aは、オリフィス部材48の上流側で傾斜油通路43′に連通する。傾斜油通路43′のシリンダ室20へ向けて伸びる伸長端は、図8および図9に示すように、フロントサイドブロック18に形成された一対の高圧用供給口52(52a、52b)のうちの一方の高圧用供給口52aに開放する。また、フロントサイドブロック18には、図8に示すように、回転軸21aとほぼ平行に、他方の高圧用供給口52bに開放する連結路部分56bが形成されている。
両連結路部分56(56a、56b)は、回転軸21aを間に、その上下の各部分で回転軸21aとほぼ平行に形成されており、それぞれの他端は、他方の軸受部であるフロントサイドブロック18のボス部23の外周面を取り巻いて形成された環状の案内路部分54に連通する。
ボス部23に形成された案内路部分54は、図8に示すように、ボス部23の外周面に形成された開拡溝65と、該開拡溝内に収容されたシール部材66との空隙によって規定されている。シール部材66は、ボス部23と、該ボス部を覆って形成されたフロントハウジング部材12の嵌合部12bとの間を密閉する。
図8乃至図10に示した気体圧縮機10では、油貯め40内の潤滑油がオリフィス部材49が設けられた垂直油通路41′を経て軸受面19aに供給され、また、水平油通路42から傾斜油通路43′に設けられたオリフィス部材48を経て軸受面18aに供給される。従って、これら各滑り軸受面18a、19aを通る第2の油供給路を経て適正に減圧された潤滑油を凹所47に供給することができる。
また、傾斜油通路43′から一方の高圧用供給口52aに減圧されない潤滑油を一方の連結路部分56aを経て供給することができ、案内路部分54および他方の連結路部分56bを経て減圧されない潤滑油を他方の高圧用供給口52bに供給することができる。
従って、背圧室31へ向けての最も強い押し込み力を受ける領域を除く他の領域では、凹所47からの潤滑油によりベーン30に適正な偏倚力を付与することができ、また、背圧室31へ向けての最も強い押し込み力を受ける領域では、案内路部分54により分流された高圧の潤滑油を両高圧用供給口52(52a、52b)から背圧室31に供給することができ、ベーン30のチャタリングを効果的に抑制することができる。
油貯め40内の潤滑油を減圧されない高圧状態で、軸受部であるボス部23または24の外周面の周方向に案内する案内路部分54は、ボス部の全周を巡る前記した環状案内路部分54に代えて、例えばボス部23または24の半周を巡る弧状の案内路部分で構成することができる。
また、前記したところでは、減圧のために流路にオリフィス部材48、49を挿入を形成したが、オリフィス部材を用いることなく流路自体の口径を絞ることができる。しかしながら、一様な口径の流路を形成した後、その実効径を絞るために必要箇所にオリフィス部材を挿入することが、容易な製造を可能とする上で、望ましい。
本発明に係る気体圧縮機の実施例1を示す縦断面図である。 図1に示す線II-IIに沿って得られた断面図である。 図1に示す線III-IIIに沿って得られた断面図である。 図3に示す線IV-IVに沿って得られた断面を拡大してその一部を示す断面図である。 本発明に係る気体圧縮機の実施例1の変形例を示す図4と同様な図面である。 本発明に係る気体圧縮機の参考例を示す図3と同様な図面である。 図6に示す線VII-VIIに沿って得られた断面図である。 本発明に係る気体圧縮機の実施例3を示す図1と同様な図面である。 図8に示す線IX-IXに沿って得られた断面図である。 図9に示す線X-Xに沿って得られた断面を拡大してその一部を示す断面図である。
符号の説明
10 気体圧縮機
15 圧縮機構
17 (シリンダ)シリンダ部材
18 (シリンダ)フロントサイドブロック
19 (シリンダ)リアサイドブロック
20 シリンダ室
21 回転軸
22 ロータ
23、24 (軸受部)ボス部
31 背圧室
32 吸入口
33 吐出口
40 油貯め
41 (共通路部分)垂直油通路
43′(共通路部分)傾斜油通路
48、49 (オリフィス)オリフィス部材
54 (弧状路部分)案内路部分
56 連結路部分

Claims (3)

  1. 楕円の横断面形状を有するシリンダ室を規定し該シリンダ室の径方向の互いに対向する位置に配置される一対の吸入口および前記シリンダ室の径方向の互いに対向する位置に配置される一対の吐出口が形成されたシリンダと、該シリンダの側壁に形成された軸受部の軸受面に支承される回転軸を介して前記シリンダ室内で回転可能に配置され、前記シリンダ室を複数の圧縮室に区画すべく前記シリンダ室内で該シリンダ室の周壁を摺動するベーンを保持し、該ベーンに前記シリンダ周壁へ向けての押圧力を与えるための背圧室が設けられたロータとを備え、該ロータの回転に伴う前記ベーンの摺動に伴って前記一対の吸込口から吸引し、吸引した気体を圧縮して前記吐出口から吐出する圧縮機構と、
    前記ベーンが前記背圧室へ向けての最も大きな押し込み力を受ける所定の領域で該押し込み力に対抗する背圧を前記ベーンに付与すべく前記圧縮機構の外部に形成された油貯め内の加圧油を前記背圧室に導く第1の油供給路と
    該第1の油供給路により前記背圧室に供給される加圧油の圧力よりも低い圧力の加圧油を前記背圧室に供給する第2の油供給路と、を含む気体圧縮機であって、
    前記第1の油供給路は、
    前記シリンダの外方から前記側壁に取り付けられる装着部材において前記軸受部を覆うように受け入れる嵌合部と前記軸受部とが協働して、前記嵌合部の縁部に形成した面取り部、あるいは前記軸受部の外周面に沿って形成した面取り部または開拡溝を閉ざすことにより、記軸受部の外周面に沿ってその半周を巡る弧状に形成された弧状路部分または前記軸受部の外周面に沿ってその全周を巡る環状に形成された環状路部分と、
    前記弧状路部分または前記環状路部分から前記シリンダ室へ向けて伸びかつ前記シリンダ室の径方向の互いに対向する位置でそれぞれ前記背圧室に連通すべく前記側壁に開放する一対の連結路部分と
    上端が前記軸受面に開放しまた下端が前記油貯めの油内に開放すべく直線状に前記側壁に設けられ、流路口径を絞るオリフィスが形成された共通路部分と、
    該共通路部分における前記オリフィスよりも前記油貯めの側に位置する上流部分を前記弧状路部分または前記環状路部分に連通すべく前記側壁に設けられた連通路部分と、を有するとともに、
    前記油貯めから、前記共通路部分および前記連通路部分を経た加圧油を、前記弧状路部分または前記環状路部分によって一対の前記連結路部分へ向けて分流し、該各連結路部分から前記背圧室に供給し、
    前記第2の油供給路は、前記共通路部分から前記オリフィスを経て前記軸受面に供給された加圧油を、該軸受面を経て前記背圧室に供給することを特徴とする気体圧縮機。
  2. 前記共通路部分は、前記上端から前記下端にかけて一様な口径の流路を形成し、
    前記オリフィスは、前記共通路部分内にオリフィス部材が挿入されて構成されていることを特徴とする請求項1に記載の気体圧縮機。
  3. 前記第1の油供給路の一部が前記環状路部分である場合、該環状路部分内には、環状のシール部材が配置されていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の気体圧縮機。
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