JP4420306B2 - 紫外線用光学石英ガラスとその製造方法 - Google Patents
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Description
【発明が属する技術分野】
本発明はエキシマレーザ光等、紫外域の高出力レーザ光を利用する光学装置に使用される透明合成石英ガラスおよびその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、半導体素子の縮小化や高密度化要求に伴い、ウェーハ上の回路パターンにおける超微細化が進み、光リソグラフィに用いられる光線として、紫外線からより波長の短い真空紫外域の光が用いられるようになっている。紫外域の光に対するレンズ、プリズム、ウィンドウ、エタロン板、あるいはLSI製造のリソグラフィ用マスク等の光学用材料として、従来この波長域にて光の透過性のすぐれた石英ガラスが適用されてきた。石英ガラス中には不純物が多く含まれていると特定波長の吸収があったりや蛍光を発したりするので、これには高純度の合成石英ガラスが用いられる。
【0003】
しかし使用される光がさらに短波長側に移行し、しかも高エネルギー密度のKrF(波長:248nm)やArF(波長:193nm)のエキシマレーザ光が適用されるようになると、この合成石英ガラスもダメージを受けるようになり、透過率の低下を生じて耐用時間が短くなってくる。これは、ガラスを構成している珪素と酸素との結合が切断されたり、切断されて他の位置に再結合したりして、ガラスの構造そのものが損傷を受けるためである。
【0004】
このような、電離作用の強い短波長の紫外線による反復使用時間経過にともなう石英ガラスの透過率低下に関して、種々の対策が報告されているが、その主要な手段に、OH基濃度を適量に制御すること、および水素を含有させることがある。OH基や水素は損傷を受けた部分の補修効果があり、透過率の低下を少なくする。
【0005】
たとえば、特公平6-53593号公報に開示された発明では、波長250nm以下の高出力レーザ光に用いる石英ガラスとして、OH基量が100ppm以上、水素の含有量が5×1016mol/cm3以上としている。またこの公報には、脈理のないことおよびアルカリ金属元素、アルカリ土類金属元素および遷移金属元素等の不純物のいずれもが多くても50ppb以下のであることなどが規制されている。
【0006】
不純物の各金属元素は、紫外線域での光の透過性低下させるのでできるだけ少なくしておく必要があり、合成石英ガラスを酸水素火炎加水分解法で製造する際の原料である四塩化珪素など珪素化合物を、十分精製することによって低減される。また脈理は屈折率の変動を大きくするので好ましくなく、上記公報では水素含有量を増すための水素ガスドープ処理の際、均一な濃度分布が得られないため脈理を除去するとしており、脈理は浮遊帯域融解法にて除去できるとしている。
【0007】
OH基の存在は上述のように、短波長の紫外線照射による透過率低下を抑止する効果がある。しかし、濃度が高くなると耐熱性が低下し、その濃度分布も不均一になりやすく、それにともない脈理も発生してくる。また、紫外線が透過しなくなる下限の波長すなわち吸収端を長波長側にずらす作用があり、ArFエキシマレーザ光など短波長の紫外線の初期透過率を低下させる。したがって、OH基濃度は目的によりその含有範囲を選定する必要がある。
【0008】
珪素化合物の酸素水素火炎加水分解による主要な合成ガラスの製造方法には、火炎中でSiO2を合成すると共に溶融して緻密で透明な石英ガラスを得る直接法や、分解反応でできたSiO2の微粒子を堆積させて一旦多孔体を作り、これを加熱焼結し緻密化して透明化するスート法(またはVAD−Vapor-phase Axial Deposition−法)などがある。OH基濃度は、この酸水素炎の組成やそれに対する珪素化合物の供給比率を変えることによりある程度制御できる。直接法の場合は高濃度のものになりがちであるが、VAD法では得られた多孔体の焼結を、さらに減圧下でおこなうなどの手段により種々変えることが可能である。
【0009】
VAD法にて多孔体を減圧下で加熱処理すると、OH基濃度を大幅に低下させることができる。ところがその場合、Si−O−Siとなるべき結合が一部Si−Si結合となり、この結合が増すと163nm近傍に中心を持つ吸収ピークが大きくなって吸収端が長波長側にずれる。これに対して、たとえば特開平8-91867号公報には、OH基濃度低下のための減圧下加熱処理に先立って、酸素含有雰囲気中で加熱する発明が開示されている。この場合、多孔体を10vol%以上の酸素を含む雰囲気中1000〜1300℃で熱処理後、減圧下1100〜1400℃にて10時間以上の脱OH処理をおこない、その後透明化のための焼結をおこなうとしている。このようにして吸収端を短波長側に拡大し、155nmより長波長の紫外線に対する初期透過率を向上させているが、紫外線照射による透過率低下については明らかではない。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
光学用の石英ガラスとしては、適用する紫外線に対し、透明度または初期透過率ができるだけ高く、しかもその光の透過ないしは照射による損傷が少なく、長期にわたる使用による透過率低下が極力抑止されていなければならない。本発明の目的は波長193nmのArF、同248nmのKrF等のエキシマレーザ光に対し初期透過率が高く、使用による透過率低下の少ないVAD法による合成石英ガラスとその製造方法の提供にある。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、とくに波長248nmのエキシマレーザ光を主な対象とし、初期透過率が高く、しかもその照射量増加に伴う透過率低下が極めて少ない合成石英ガラスを得るための製造方法を種々検討した。
【0012】
まず、OH基濃度は少ないほど短波長の紫外線の初期透過率を高くできると考えられたので、多孔体を5×104Paの減圧不活性雰囲気下で1300℃、5時間の脱OH基処理をおこなった後、真空中にて透明化焼結をおこなってみた。その結果、OH基濃度は30ppm以下になり、163nm近傍の吸収が無くなって短波長の紫外線の初期透過率を十分向上させ得ることがわかった。
【0013】
ところが、このような合成石英ガラスを調査してみると、初期透過率の必ずしもよくないものや、紫外線照射による透過率低下の大きいものなどが見いだされた。これらの特性のよくない石英ガラスについてさらに調査した結果、このように特性の劣るガラスに共通して見いだされたのは、いずれもOH基濃度の場所による差が大きいこと、そして屈折率が高いことであった。
【0014】
OH基濃度の分布や屈折率が紫外線の透過率や照射による劣化に対し、何故影響しているのかその理由は必ずしも明らかではない。しかしながら、OH基濃度の分布が均一になり、屈折率が低くなるような製造条件が好ましい結果をもたらしたと考えられるので、この2つを製造条件選定の指針として、種々検討を進めることにした。
【0015】
VAD法の場合、脱OH基処理をおこなうと円柱状に形成されたスート体の軸方向に沿った中心部分の濃度が高く、周辺部の濃度が低くなることが多い。すなわち軸に垂直な断面上の濃度分布は高低差が大きい。また、このような中心部と周辺部との濃度差の他に、局所的に濃度の高い部分や低い部分が見出されることがある。その濃度の高い部分と低い部分との距離がわかれば、濃度勾配を求めることができる。
【0016】
このような濃度勾配の大きさと照射による劣化との関係を調べると、濃度勾配が小さいほど劣化が少ないことがわかった。そしてこのような大きい濃度勾配は、ほとんどの場合中心部から周辺部へ向かう方向に現れる。そこで、このような濃度勾配をできるだけ小さくするため、脱OH基処理の温度、時間あるいは雰囲気圧など変えてみると、OH基濃度そのものが低下しすぎたり、脱OHに長時間要したりして、必ずしも安定して濃度分布を均一化できなかった。
【0017】
しかし軸に対し平行な断面における軸に垂直な方向の濃度分布では、最高値と最低値との差は比較的小さい。そこで次に、透明化焼結をおこなった石英ガラスの円柱状のプリフォーム材にて、軸方向に垂直の熱間での圧縮加工をおこなってみた。圧縮変形させることにより最高値と最低値など濃度の値は変えることはできないが、軸に垂直な断面における濃度勾配は低減させることが可能である。
【0018】
さらにこの圧縮加工後の冷却の過程において、歪み取りを目的として徐冷してみた結果、濃度勾配の低減によると推測されるよりもはるかに大きい照射による透過率低下の軽減と、屈折率の低下および均質化とが得られることがわかったのである。
【0019】
通常VAD法にて作られた石英ガラスの波長248nmの紫外線による屈折率は1.50870〜1.5890程度である。これに対し、OH基濃度を下げ、圧縮加工を加え、その後徐冷するという処理を加えることにより、屈折率が大きく低下した。屈折率の低下が影響する理由は不明であるが、レーザ照射による透過率低減は、屈折率が低いほど軽減する傾向がある。屈折率は例えば仮想温度が低下すると低くなるとされており、仮想温度の低下は石英ガラス構造の安定化を増すと考えられるので、OH基濃度の低減、および熱間加工とその後の歪み取りのための徐冷によって、石英のガラス構造が改善されたのであろうと推測される。
【0020】
しかしながら、OH基濃度の低減は、やはり照射による透過率低下を抑止する上で、多少の不安定さが残ることがある。これは水素濃度を十分高くすることにより補うことが可能であった。
【0021】
以上のようにして、初期透過率ができるだけ高く、しかもその光の照射による損傷が少なく、長期にわたる使用による透過率低下が極力抑止された合成石英を得ることができた。そこでさらにこの合成石英ガラスの特性の範囲やその製造条件の限界を明らかにして、本発明を完成させた。本発明の要旨は次のとおりである。
【0022】
(1) OH基の濃度が質量比で10〜30ppm、最高濃度と最低濃度との差が10ppm以下、濃度勾配が0.10ppm/mm以下、水素濃度が1018 molecules/cm3以上で、かつ40%以上の圧縮加工を施して波長248.25nmの光に対する屈折率を1.50860以下としたことを特徴とする紫外線用光学石英ガラス。
【0023】
(2) 珪素化合物を酸素水素炎で加水分解して得たSiO2微粒子で構成される多孔体を、2.5×10 4 〜7×10 4 Paの気圧下1100〜1500℃にて脱OH基処理してから透明化焼結した合成石英ガラス素材に、1500〜1700℃の温度範囲にて40%以上の圧縮加工を施して波長248.25nmの光に対する屈折率を1.50860以下とし、圧縮加工終了温度から1〜10℃/hrの冷却速度で600℃以下の温度にまで冷却する歪み取り処理をおこない、ついで1MPa以下の水素雰囲気中にて400〜1000℃の温度範囲で10〜200時間の水素ドープ処理をすることを特徴とする、OH基の濃度が質量比で10〜30ppm、最高濃度と最低濃度との差が10ppm以下、濃度勾配が0.10ppm/mm以下、水素濃度が10 18 molecules/cm 3 以上で、かつ波長248.25nmの光に対する屈折率が1.50860以下である紫外線用光学石英ガラスの製造方法。
【0024】
【発明の実施の形態】
本発明の合成石英ガラスのOH基の濃度は、質量比にて10〜30ppmで、一つの部品となる石英ガラスブロックの中での最高濃度と最低濃度との差が10ppm以下、ブロック内に存在する濃度勾配が0.10ppm/mm以下であることとする。 OH基濃度を10〜30ppmとするのは、30ppmを超えるOH基濃度の場合、合成石英ガラスの紫外線の吸収端が長波長側にずれ、波長193nmのArFエキシマレーザ光においても初期透過率が低下するためである。また、OH基濃度が10ppm未満になると、Si−O−Si結合の酸素が離脱した酸素欠乏欠陥が多数発生して、紫外線照射による透過率低下が大きくなる。
【0025】
使用する光学部材の一部品となる石英ガラスブロックの中での、OH基濃度の最高濃度と最低濃度との差を10ppm以下、隣接する濃度の異なる部位間の濃度勾配を0.10ppm/mm 以下とするのは、これを超える濃度差または濃度勾配の石英ガラスでは、強力な短波長のエキシマレーザ光照射による透過率低下が大きくなるからである。
【0026】
合成石英ガラス中の水素含有量は1018 molecules/cm3以上とする。これは水素含有量が1018 molecules/cm3を下回る場合、レーザ光照射による透過率低下が大きくなるおそれがあるからである。OH基濃度をできるだけ低くしているので、水素含有量を高くすることにより、OH基による透過率低下の抑止効果が補われていると推測される。水素含有量の上限はとくには限定しないが、通常の雰囲気からのドーピングでは、1020 molecules/cm3程度までの含有が限界である。
【0027】
不純物のアルカリ金属元素(Li、Na、K)、アルカリ土類金属元素(Mg、Ca)および遷移金属元素(Ti、Cr、Fe、Ni,Cu)の含有量は、それぞれいずれも質量比で50ppb以下とするのが望ましい。これらの元素はいずれも屈折率を大きくする作用があり、それとともにレーザ光照射による透過率低下を促進する傾向がある。このような作用は50ppb以下の含有とするとほぼ無視できる。
【0028】
合成石英ガラスの波長248nmの紫外線による屈折率は1.50860以下であることとする。これは、屈折率が1.50860を超えるガラスの場合、レーザ光照射による透過率低下が大きく好ましくないからである。屈折率は低ければ低いほどレーザ光照射による透過率低下は減少するので、とくに下限は限定しないが、熱間加工や熱処理を種々おこなって低下させたとしても、1.50830程度までしか低くならない。
【0029】
高純ガスの酸水素炎による加水分解反応においては、アルカリ金属元素、アルカリ土類金属元素および遷移金属元素などの不純物が混入することはなく、またこれら不純物が低減されることもないので、合成石英ガラスにおいてこれら不純物を低減するには、珪素化合物原料は十分に精製したものを用いる必要がある。
【0030】
OH基濃度を10〜30ppmとするには、多孔体を減圧下で1100〜1500℃に加熱して脱OH基処理をおこなう。これは1100℃未満の温度では30ppm以下に低下させることが容易でなくなり、1500℃を超える温度ではガラス化が進み、10ppmを下回ってしまうおそれがあるからである。減圧下とするときの雰囲気は、不純物の混入抑止からヘリウムやアルゴンなどの希ガス、あるいは窒素などの不活性ガスとするのがよく、できれば2.5〜7×104Pa程度の圧力とするのが望ましい。これは、7×104Paを超える圧力では、OH基濃度の減少が十分でなく、2.5×104Pa未満では濃度分布がよくなかったり、OH基濃度が低下しすぎたりする傾向があるためである。
【0031】
脱OH基処理はガラス内平均濃度を低下させるだけであれば、圧力を下げ短時間でおこなうことができる。しかし、処理後のOH基濃度分布をできるだけ均一にするには、上記のように雰囲気圧力を大きくは低下させず、時間をかけてゆっくりおこなうことが好ましい。すなわち、最高濃度と最低濃度との差が10ppm以下、ガラス内の濃度勾配が0.10ppm/mm以下とするためには、次に説明する圧縮加工の適用も含めて、脱OH基処理は5〜100時間程度でおこなうのがよい。これは5時間未満では上記濃度分布が得られず、100時間を超える処理は、生産性の低下を来すばかりでなく。OH基濃度が低下しすぎるおそれがある。望ましいのは10〜50時間で10〜30ppmとなるよう、上記範囲で脱OH基の処理温度および雰囲気圧力を適宜選択することである。
【0032】
透明化は、通常おこなわれる1550℃以上での焼結でよい。透明化後の円柱状のプリフォーム材は、軸方向に40%以上の熱間の圧縮加工をおこなう。その場合の加工温度は1500〜1700℃とする。
【0033】
圧縮加工の加工度は、40%以上とすることにより、最終的にはOH基の石英ガラス内濃度分布における濃度勾配を、0.10ppm/mm以下と小さくすることができ、それによって短波長紫外線照射による透過率低下が低減される。この圧縮加工は単に幾何学的変形により濃度勾配を低下させるだけでなく、屈折率を1.50860以下に低下させる効果があり、屈折率の低下はレーザ光照射による透過率低下抑止の傾向を強くする。圧縮の加工度が40%未満では、このような効果が不十分である。加工度は40%以上であればとくに限定する必要はないが、実施に困難がない範囲として80%程度までがよい。加工温度は1500℃以下では変形が容易でなく、1700℃を超えると流動化が始まって加工し難くなる。
【0034】
なお、圧縮の加工度とは、圧縮により減少した高さを圧縮前の高さで除した値を%で示したもので、圧縮方向に垂直な方向における断面積の増加率としても同じである。
【0035】
この圧縮加工終了時の高温の状態から600℃までは、1〜10℃/hrの冷却速度で徐冷する。これは、圧縮加工により生じた歪みを十分排除するためである。10℃/hrを超えて速く冷却すると、歪みの除去が十分でなく形状によっては歪みが再導入されるおそれがあり、他方1℃/hr未満のゆっくりした冷却をおこなっても、冷却時間が増すだけでそれ以上の効果は得られない。また600℃を下回る温度に達した後は、歪み除去に対し冷却速度は影響しなくなる。
【0036】
合成石英ガラス中の水素含有量は1018 molecules/cm3以上とするが、水素を含有させるため、常圧のほぼ100%の水素雰囲気にて、400〜1000℃にて10時間以上の加熱が必要である。加熱温度は400未満では目標濃度に到達するまでに時間がかかりすぎ、実用的ではない。また1000℃を超えると水素の石英ガラス中の溶解度が低下してくるので、水素含有量を増すことができない。したがって400〜1000℃の範囲とする。加熱時間は、長くしてもそれ以上の含有量増加は期待し難いので、200時間程度までである。なお、常圧ではなく加圧水素雰囲気とすると、含有させる時間を短縮できるが、その場合は1MPa以下とするのがよい。これは、圧力を高くするほど処理時間は短くできるが、1MPaを超えると装置の構造強化やや耐久性確保に多くの費用が必要となり、実用性に乏しくなるからである。
【0037】
【実施例】
高純度の四塩化珪素を原料とし、酸素・水素炎中加水分解によりSiO2粒子の多孔体とした。この多孔体に条件を変えて脱OH基処理を施した後、1Paを下回るHe雰囲気中で1550℃にて透明化処理をおこない、直径200mmの円柱状合成石英ガラスのプリフォーム材を得た。
【0038】
これらプリフォーム材を加熱して円柱の中心軸方向に圧縮加工をおこない、加工終了後その温度から600℃まで冷却速度を制御して冷却し、その後水素ドープをおこなった。これらの脱OH処理の温度、圧力、時間、圧縮加工の温度、加工度、圧縮加工後の冷却速度、水素ドープ処理条件等について、まとめて表1に示す。
【0039】
【表1】
【0040】
得られた石英ガラス材から圧縮軸に平行な断面でウェーハ状に試片を切り出し、断面各位置におけるOH基濃度を赤外線吸収法により測定した。OH基濃度は、いずれの場合も局所的な偏在は認められず、中心部が最高で周辺部が最低であった。そこで、製品の採取できない最縁部は除き、中心部から周辺部へ向けての線上にて3位置ないしは4位置のOH基濃度を測定し、最大のOH濃度勾配を求めた。
【0041】
水素分子の濃度はレーザラマン散乱測定法によった。また、屈折率は中心部と周辺部にて、波長248nmのKrFエキシマレーザ光を用い最小偏角法で測定し、その平均値を求めた。紫外線透過または照射による劣化の測定は、1辺が20mmの正立方体形状のブロックを切り出し、元の石英ガラス材の軸方向に垂直な2つの対向平行面を鏡面研磨した試験片を用いた。KrFエキシマレーザ光の発生装置と紫外線分光光度計とを用いて、この研磨面に垂直な方向に光を透過させ、照射劣化は、種々のエネルギ密度のレーザを照射して、3×1010ショット照射後の透過率低下が0.1%となる最大のエネルギ密度を求めた。
【0042】
表2に表1で示した試験番号の石英ガラス材の調査結果を示す。OH基濃度が所要量含まれ、かつその濃度勾配が小さく、水素濃度は十分高く、そして屈折率の小さい試験番号2および4は、他のガラス材に比し初期透過率が高く、レーザ照射による劣化の耐性が大きいことがわかる。
【0043】
また、このすぐれた初期透過率と耐レーザ照射性を持つ、試験番号2または4の石英ガラスの製造方法について、表1を見ると脱OH基処理、圧縮加工、加工後の徐冷および水素ドープのそれぞれの条件が、本発明にて定める範囲に入っていることがあきらかである。
【0044】
【表2】
【0045】
【発明の効果】
本発明の合成石英ガラスは、KrFやArFエキシマレーザ等からの高出力の紫外線に対し初期透過率にすぐれ、紫外線の透過における光学的特性劣化に対して、すぐれた耐久性を有する。この合成石英ガラスは、とくに使用光の波長が短波長かつ高出力化しつつある超LSI用光リソグラフィーの光学系等に効果的に活用できる。
Claims (2)
- OH基の濃度が質量比で10〜30ppm、最高濃度と最低濃度との差が10ppm以下、濃度勾配が0.10ppm/mm以下、水素濃度が1018 molecules/cm3以上で、かつ40%以上の圧縮加工を施して波長248.25nmの光に対する屈折率を1.50860以下としたことを特徴とする紫外線用光学石英ガラス。
- 珪素化合物を酸素水素炎で加水分解して得たSiO2微粒子で構成される多孔体を、2.5×10 4 〜7×10 4 Paの気圧下1100〜1500℃にて脱OH基処理してから透明化焼結した合成石英ガラス素材に、1500〜1700℃の温度範囲にて40%以上の圧縮加工を施して波長248.25nmの光に対する屈折率を1.50860以下とし、圧縮加工終了温度から1〜10℃/hrの冷却速度で600℃以下の温度にまで冷却する歪み取り処理をおこない、ついで1MPa以下の水素雰囲気中にて400〜1000℃の温度範囲で10〜200時間の水素ドープ処理をすることを特徴とする、OH基の濃度が質量比で10〜30ppm、最高濃度と最低濃度との差が10ppm以下、濃度勾配が0.10ppm/mm以下、水素濃度が10 18 molecules/cm 3 以上で、かつ波長248.25nmの光に対する屈折率が1.50860以下である紫外線用光学石英ガラスの製造方法。
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