JP4419401B2 - 連続鋳造鋼片の製造方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、連続鋳造鋼片の製造方法、連続鋳造方法、鋳型の寿命延長方法、さらにはその予測方法に関する。さらに詳しくは、連続鋳造鋳型の腐食摩耗防止に優れ、長期間安定して連続鋳造することが可能な連続鋳造鋼片の製造方法とそれによる寿命延長方法そしてその予測方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
種々の鋼製品の素形材は、通常、連続鋳造法を用いて製造される連続鋳造鋼片から得られる。
【0003】
連続鋳造法では、高温の溶鋼を、水冷された連続鋳造鋳型(以下、単に「モールド」とも記す)に注入し、凝固殻を形成したのち、ピンチロールなどにより鋳型下方より引き抜き、続いて水冷スプレーなどを備えた冷却帯で凝固を完了させ、連続鋳造鋳片 (本明細書では便宜上「連続鋳造鋼片」ともいう) を製造する。
【0004】
モールドには、熱伝導率が高く、冷却効率に優れる銅、あるいは銅合金が基材として使用されている。モールドの内面は、高温の溶鋼と接触し、かつ凝固鋳片の引き抜きを行う際にその表面を凝固殻が摺動するために、腐食摩耗などの損傷が生じやすく、その寿命が短いことが問題であった。
【0005】
この損傷を防ぐために、溶鋼に接するモールド内面には、種々の金属被覆、例えばCr系やNi−Co系合金をめっきしたり、複数のめっき層を設けたり、モールド内面全体の形状や内表面の形状を規定するなどの対策を施す。これらの方法により、モールドの対溶損性、耐摩耗性などを向上させ、モールド寿命を向上させている。
【0006】
特許文献1は鋳型表面にコバルト基合金の溶射を行うことを、特許文献2は同じく圧縮残留応力を有するCrめっき層を設けることを開示している。いずれもZnによる侵入割れ、Znアタックを防止するとしているが、そのときの割れ溶損は溶融Znに接触させたときの損傷でもって評価している。
【0007】
【特許文献1】
特開平7−171661号公報
【特許文献2】
特開平10−156490号公報
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
ここに、本発明者らは、モールドは連続鋳造の進行とともにめっき層が次第に消滅してモールドの基材である銅あるいは銅合金が露出するようになる(以下、本明細書では、この現象を「めっき層の腐食摩耗」とも記す)現象に悩まされてきた。
【0009】
かかるめっき層の腐食摩耗が著しくなると、モールドの母材質である銅(または銅合金)が露出して鋳片と接触することになる。そのようになると、鋳片表面にはスタークラックと称される結晶粒界割れが生じる。これが生じると、得られる連続鋳造スラブの品質を著しく低下させる。さらに鋳型表面のめっき層が不均一となることによって、鋳型内に投入するモールドパウダーの鋳型と鋳片間の流入が不安定となり、ブレークアウトが生じる原因ともなる。ブレークアウトが生じると連続鋳造設備を損なう上、生産計画を大きく混乱させるため大幅なロスコストが生じる。
【0010】
これらを避けるために、めっき層の腐食摩耗の進行速度が予想以上に大きい場合には、計画外のモールド交換(以下、「突発交換」とも記す)を行う必要があり、所定の生産計画が達成できないなどの大きな不利益を生じる。また、モールドめっき層の腐食摩耗の進行速度が大きく変動すると、モールド交換周期を過度に短く設定する必要があり、連続鋳造の生産性向上の障害となる。
【0011】
モールドの交換を行うには連続鋳造作業を中断する必要があるうえ、交換用のモールドの整備にも時間を要する。従って、連続鋳造作業を計効率よく行うには、モールドの寿命を想定し、モールドの交換時期を予め生産計画に織り込んで、計画的に実施することが重要である。ここに、本発明の課題は、連続鋳造鋳型の腐食摩耗の進行を遅らせる技術を開発することである。
【0012】
また具体的には、本発明の課題は、連続鋳造鋳型の腐食摩耗の進行を予測する技術を開発することである。
さらに本発明の課題は、そのような技術を応用して、連続鋳造を効率的に行うことで得られた連続鋳造鋳片を提供することである。
【0013】
【課題を解決するための手段】
そこで、本発明者らは、かかる課題を達成すべく、まずそのようなめっき層の腐食摩耗の原因そのものを探求すべく、溶鋼中に含まれる合金元素の化学組成の影響に注目して、種々の検討を重ねた。
【0014】
つまり、予備試験の結果から、鋳型の腐食摩耗にバラツキが見られるのは、溶鋼中の合金組成そのものであると推測して、溶鋼中の各元素の影響を見る一連の研究を行ったところ、モールドに同一仕様のめっきを施した場合でも、鋳造する溶鋼中の微量元素成分の差異によって、めっき層の腐食摩耗進行速度に大きな差が生じることが判明した。
【0015】
図1は上記研究に供した連続鋳造装置のモールドの斜視図である。符号1はモールド内面の長辺面、符号2はモールド内面の短辺面、符号3はめっき層である。このモールドは、通常のスラブ鋳造に使用するモールドで、基材の材質はCuであり、2面の長辺面1と2面の短辺面2とで構成される矩形断面鋳片を鋳造する。モールド内面は厚さが 300μm のNiめっき層を備えている。
【0016】
上記モールドに化学組成の異なる様々な溶鋼を通過させ、連続鋳造した。溶鋼は質量%で(以下に示す鋼の化学組成を表す%表示は質量%を意味する)。
C:1.0 %、Si:0.50%、Mn:1.5 %、S:0.005 %、P:0.01%、残部は不可避的不純物からなる化学組成を基準として、そのとき、Zn:0.015 %以下、他のNi、Cu、Nb、V、Mo、Ti、CrおよびBの合計が5.0 %以下となる化学組成の鋼について、各元素の添加量だけを変化させた一連の化学組成を有するものであった。
【0017】
各鋼種の鋳込み終了ごとに、鋳型内面の各面をデジタル写真撮影し、画像処理によってCu露出部の面積を算出し、これをモールド通過溶鋼量で除したものを、腐食摩耗進行速度(mm2/トン)とした。
【0018】
上記実験の結果得られた腐食摩耗進行速度は、最大で0.023(mm2/トン)最小で0.001(mm2/トン)の範囲にあり、鋳造チャンスにより、腐食摩耗進行速度が大きく変動した。
【0019】
この腐食摩耗速度変動の原因を解析した結果、溶鋼の不可避的不純物であるZn濃度の影響が著しいことが明らかになった。
図2ないし図7は、それぞれC、Si、Mn、S、P、その他の添加元素について、モールドの腐食摩耗速度にどのような影響があるかを見た実験結果を示すグラフである。いずれの場合も、モールドの腐食摩耗速度には実質的な影響を及ぼさないことが分かった。
【0020】
そこで、通常、成分分析の対象となっていないZnについて、その影響を見たところ、図8のグラフに示す結果が得られた。
図8は、上記結果から得られた溶鋼の不可避的不純物としてのZn含有量とモールドめっき腐食摩耗速度との関係を示すグラフである。
【0021】
図8に示すように、溶鋼のZn濃度はモールド内面のめっき層の腐食摩耗速度に大きく影響し、Zn濃度が0.006 %以上の領域では、腐食摩耗速度は0.016(mm2/トン)以上の高い腐食摩耗速度を示すが、Zn濃度が0.006 %を下回る領域では、Zn濃度の低下とともに腐食摩耗速度は減少する。特にZn濃度が0.003 %以下の領域では、めっき層の腐食摩耗速度は0.007(mm2/トン)未満の極めて低いレベルであった。
【0022】
つまり、Znについては、予想外にも不純物レベルと考えられる0.006 %以下に制限することで、腐食速度は大幅に低下し、例えば、0.006 %から0.003 %と1/2 にZn量を低減することで、腐食摩耗速度は、0.01 (mm2/トン)から0.007(mm2/トン)とほぼ半減しているのが分かる。
【0023】
このときコントロールの腐食摩耗速度が、図2〜図7の結果から考えて、例えば、0.012(mm2/トン)であると考えても、上述のようにZnを0.003 %以下に低減することで、ほぼ35%以上も腐食摩耗速度を低減できるのであり、かかる効果は予想外と言わざるを得ない。
【0024】
ところで、溶鋼中に存在するZnの挙動については、従来にあっても「亜鉛が多い溶鋼の場合は鋼モールド表面から内部にZnが侵入し、熱応力によって銅表面に割れが入ること」が知られている。しかし、この場合は、非常に多量のZnが存在することを前提にしており、その対策ももっぱらモールド内面に保護被膜を設けることで対処しているのが現状であった。
【0025】
例えば、前述の特許文献1には、銅または銅合金の鋳型表面に、質量%でC:0.4 〜0.7 %、Ni:5〜10%、Cr:10〜25%、W:3〜8%、Ta:2〜4%を含有し、残部がCoおよび不純物からなる厚さが50〜900 μm の合金をプラズマ溶射した、耐熱性、耐高温摩耗性に加えて、溶鋼に含有される亜鉛による割れ性を改善した連続鋳造用鋳型が開示されている。しかし、この場合の耐亜鉛侵食性は、「純亜鉛粉末を銅基材上に乗せ、600 ℃×2時間保持した後に銅側に侵入したZnの深さを測定」することで評価している。
【0026】
特許文献2には、複数のクロム系めっき層を備え、少なくともその一層に350MPa以上の残留圧縮応力を与えることによって、耐亜鉛アタック性が高められた亜鉛含有金属の鋳造用鋳型が開示されている。しかし、この場合も、「各試料を450 ℃の溶融Znに30分浸漬してから取り出し」てその断面観察で求めた、めっき損傷率で評価している。
【0027】
つまり従来技術にあっては、Znアタックという現象は知られていたが、加速試験とは言いながら、溶融亜鉛と直接接触させたときの影響をもって評価する、一種の割れと理解されていたのであった。
【0028】
溶鋼に極微量の不可避的不純物として混入する溶鋼中のZn濃度のみがモールドめっき層の腐食摩耗速度を高める理由は定かではないが、Znが微細で硬度の高い化合物を作りやすく、それが溶融パウダー層に分散して鋳型表面と接することにより、めっき層に影響を与えると推察される。
【0029】
このように、溶鋼中のZn濃度を0.0030%以下と極く少量に制限することにより、予想外にも、モールドのめっき層の腐食摩耗速度を低く抑制することが可能となり、連続鋳造鋼の製造を安定して計画的に行うことができることが判明した。
【0030】
本発明は上記知見に基づいて完成されたものであり、その要旨は下記の通りである。
(1)連続鋳造鋳型に、質量%で、C:0.001 〜1.0%Si:2.0%以下、Mn:3.0%以下、P:0.50%以下、S:0.080%以下を含有し、残部がFeおよび不純物である炭素鋼、または、該炭素鋼に、さらに必要に応じて、Ni、Cu、Nb、V、Mo、TiおよびCrの1種以上を、合計の含有量が5.0%以下含有し、残部がFeおよび不純物である低合金鋼の溶鋼を供給して連続鋳造鋳片を製造する方法であって、鋳型に溶鋼を供給するに先立って溶鋼のZn濃度を質量%で0.0030%以下に規制する工程を含むことを特徴とする連続鋳造鋳片の製造方法。
【0031】
(2)連続鋳造鋳型に、質量%で、C:0.001 〜1.0%Si:2.0%以下、Mn:3.0%以下、P:0.50%以下、S:0.080%以下を含有し、残部がFeおよび不純物である炭素鋼、または、該炭素鋼に、さらに必要に応じて、Ni、Cu、Nb、V、Mo、TiおよびCrの1種以上を、合計の含有量が5.0%以下含有し、残部がFeおよび不純物である低合金鋼の溶鋼を供給して連続鋳造鋳片を製造するに際して、予め溶鋼のZn濃度を質量%で0.0030%以下に規制してから、連続鋳造鋳型に注入すること
を特徴とする連続鋳造鋳型の寿命延長方法。
【0032】
(3)連続鋳造鋳型に、質量%で、C:0.001 〜1.0%Si:2.0%以下、Mn:3.0%以下、P:0.50%以下、S:0.080%以下を含有し、残部がFeおよび不純物である炭素鋼、または、該炭素鋼に、さらに必要に応じて、Ni、Cu、Nb、V、Mo、TiおよびCrの1種以上を、合計の含有量が5.0%以下含有し、残部がFeおよび不純物である低合金鋼の溶鋼を供給して、連続鋳造鋳片を製造するに際して、鋳型への供給に先立って溶鋼のZn濃度を監視することを特徴とする連続鋳造鋳型の寿命予測方法。
【0033】
(4)連続鋳造鋳型に、質量%で、C:0.001 〜1.0%Si:2.0%以下、Mn:3.0%以下、P:0.50%以下、S:0.080%以下を含有し、残部がFeおよび不純物である炭素鋼、または、該炭素鋼に、さらに必要に応じて、Ni、Cu、Nb、V、Mo、TiおよびCrの1種以上を、合計の含有量が5.0%以下含有し、残部がFeおよび不純物である低合金鋼の溶鋼を供給して連続鋳造鋳片を製造する方法であって、鋳型に溶鋼を供給する溶鋼のZn濃度を常時質量%で0.0030%以下に規制することを特徴とする連続鋳造方法。
【0034】
【発明の実施の形態】
本発明の実施の形態を詳細に説明する。
本発明においては、連続鋳造鋼片を製造するに際し、連続鋳造時のモールドめっき層の腐食摩耗を抑制し、かつ、その腐食摩耗速度の変化を小さくするために、モールドに供給する溶鋼は、そのZn濃度が質量%で0.0030%以下のものに限定する。望ましくは0.0020%以下である。好適態様では常時そのような条件下で鋳込みを行うのである。
【0035】
本発明の対象とする連続鋳造鋼片はZnを不可避的不純物とするものである。上記のように鋼のZn含有量を少なく制限するのは、連続鋳造鋼片の特性に対して何ら悪影響を及ぼすことがない。むしろ、ZnN の生成を防止することで鋳片表面の結晶粒界割れを防止するという利点がある場合もある。
【0036】
溶鋼の化学組成は、Zn以外の元素については特に限定する必要はないが、例えばC:1.0 %以下、Si:2.0 %以下、Mn:3.0 %以下、S:0.080 %以下、P:0.50%以下、およびNi、Cu、Nb、V、Mo、Ti、Crはその合計が5.0 %以下であるものが望ましい。
【0037】
ここに、本発明の一態様によれば、溶鋼のZn濃度を0.0030%以下に規定する工程を設けるが、かかる工程は取鍋の段階、タンディッシュの段階で元素分析を行うことを含み、もしZn濃度が0.0030%を超えている場合には、それを記録して鋳型寿命の予測に利用するか、あるいは積極的に、二次精錬段階での酸素添加量調整等の手段によってZn濃度の低減を図ることを含む。溶鋼中のZn濃度の変更手段としては、その他、RH脱ガスプロセスでの高真空処理によるZnの蒸発による減少などの手段も考えられる。要するに、かかる工程は溶鋼Zn濃度の決定と、必要によるZn濃度の変更手段を含むものであれば特に制限されない。Zn濃度の決定は前述のような元素分析によればよく、例えば発光分光分析法などの手法を用いることで極く短時間に決定することができる。
【0038】
最近のように、スクラップ材として亜鉛めっき鋼材が使用される機会が多くなると、転炉精錬の段階で副原料として使用されるスクラップ中のZn濃度を管理することで、溶鋼中Zn濃度を調整・変更することが好ましい。
【0039】
なお、従来にあっては、溶鋼の成分分析に際して通常の条件下ではZnの分析は行われていない。
本発明において、モールドの形状や構造は任意である。例えばモールド内面の金属被覆はNi、Co、Crなどの金属単層めっきや、これらの金属の複層めっき、Mo、Ni、Wの溶射など、公知のものを用いればよい。
【0040】
連続鋳造条件は特に限定する必要は無く、公知の条件で連続鋳造を行えばよい。
本発明は別の面からは、鋳型に注入するに先立って溶鋼のZn濃度を0.0030%以下に規制する連続鋳造鋳型の寿命延長方法である。かかる態様においても溶鋼のZn濃度を決定し、規定する手段は前述の工程に準じて行えばよい。
【0041】
さらに別法として溶鋼のZn濃度を鋳型への供給に先立って監視することで、例えば溶鋼のZn濃度を常時計測・記録するなどしてそれに基づき合計Zn量を求めることで、鋳型寿命を予測することができる。溶鋼を介して鋳型内を通過するZn量に寿命が比例するからである。
【0042】
【実施例】
図1に示す形状の、Cuを基材とし、その内面側に厚さが 300μm のNiめっきを施したモールドを備えた連続鋳造設備を用いて、化学組成が異なる様々な鋼種の溶鋼を供給し、連続鋳造鋼片を製造した。
【0043】
鋳造時に使用したモールドパウダーの化学組成は、T.C(全炭素含有量): 2.0〜6.0 %、SiO2:29.0〜45.0%、Al2O3:2.2 〜6.5 %、CaO:28.5〜42.5%、Fe2O3:0.4 〜2.5 、Na2O:0.5 〜14.7%、F:4.5 〜10.5%であった。
【0044】
表1に溶鋼の化学組成を示す。
【0045】
【表1】
Figure 0004419401
【0046】
表1で例1は溶鋼のZn濃度が0.0030%以下になるように、転炉製鋼の段階でスクラップ量によって調整したシリーズであり、同様に例2は溶鋼のZn濃度が例1よりも更に低い0.0015%以下になるように調整したシリーズである。
【0047】
また、例3として示したのは、溶鋼のZn濃度が0.003 %から0.010 %の範囲になるように調整したシリーズ、従来例として示したのは、従来の方法で溶解原料を調整したシリーズで、結果としてZn濃度は0.020 %以下の範囲で変動した。Zn以外の合金成分については、上記シリーズ間に特段の差異をもうけなかった。
【0048】
例1、例2、および例3におけるZn濃度は、転炉製鋼段階でのスクラップ量の管理によって範囲を調整した。Zn濃度はタンディッシュの段階で発光分光分析によって求めた。それぞれのシリーズにおいて、いずれも全溶鋼通過量は約30万トンであった。
【0049】
また、モールドの寿命延長効果を評価するために、連続鋳造前の溶鋼中のZn濃度を監視して、測定、記録した。鋳型内を通過するZn量を求めるためである。また鋳込終了後ごとに鋳型内面の各面をデジタル写真撮影し、画像処理によってCu露出部の面積を算出し、これをモールド通過溶鋼量で除した腐食摩耗進行速度(単位:mm2/トン)を測定した。
【0050】
各シリーズで測定した腐食摩耗進行速度の比率を求め、これをモールド寿命延長効果とした。
さらに上記シリーズの連続鋳造時に生じたモールドの突発交換回数(回/万トン)を調査した。これらの結果をまとめて表2に示す。
【0051】
【表2】
Figure 0004419401
【0052】
表2の例1に示す結果からわかるように、連続鋳造時の溶鋼のZn濃度を0.0030%以下に制限することにより、めっき腐食摩耗速度が大幅に低減し、例3に示す溶鋼のZn濃度を0.0030%超えとした場合に比べて約4.5 倍、従来例のZn濃度を特段の制限をしなかった場合に比較して、約5.6 倍のモールドめっき寿命延長効果が得られた。また、表2の例2に示す結果からわかるように、連続鋳造時の溶鋼のZn濃度を0.0020%以下に制限することにより、上記寿命延長効果はさらに向上した。モールドの計画外の突発交換回数は、本発明例ではいずれも0回であり、従来例に比較して計画どおりの安定した生産が行えた。
【0053】
図9は1ヶ月の操業実績を示すグラフである。本発明による規制前は0.26回/月の突発交換回数がみられたのに対し、本発明の実施後はこれが実質ゼロになった。
【0054】
【発明の効果】
本発明の製造方法によれば、モールドめっき層の腐食摩耗進行速度を安定して小さく抑制できるので、モールド寿命が延長できるうえ、突発のモールド交換が不要となるので、連続鋳造鋼片の製造が計画的に安定して行える。従って連続鋳造鋼片の生産効率向上に大きく寄与することができる。これらのことから、本発明は極めて大きい工業的な価値を有している。
【図面の簡単な説明】
【図1】鋳型の外形を示した模式的説明図である。
【図2】溶鋼中C質量%と鋳型めっきの腐食摩耗速度との関係を示したグラフである。
【図3】溶鋼中Si質量%と鋳型めっき腐食摩耗速度との関係を示したグラフである。
【図4】溶鋼中Mn質量%と鋳型めっき腐食摩耗速度との関係を示したグラフである。
【図5】溶鋼中S質量%と鋳型めっき腐食摩耗速度との関係を示したグラフである。
【図6】溶鋼中P質量%と鋳型めっき腐食摩耗速度との関係を示したグラフである。
【図7】溶鋼中その他合金(Ni、Cu、Nb、V、Mo、Ti、Cr)と鋳型めっき腐食摩耗速度との関係を示したグラフである。
【図8】溶鋼中Zn質量%と鋳型めっき腐食摩耗速度との関係を示したグラフである。
【図9】1ヶ月操業実績を示すグラフである。

Claims (4)

  1. 連続鋳造鋳型に、質量%で、C:0.001 〜 1.0%Si:2.0%以下、Mn:3.0%以下、P:0.50%以下、S:0.080%以下を含有し、残部がFeおよび不純物である炭素鋼、または、該炭素鋼に、さらに必要に応じて、Ni、Cu、Nb、V、Mo、TiおよびCrの1種以上を、合計の含有量が5.0%以下含有し、残部がFeおよび不純物である低合金鋼の溶鋼を供給して連続鋳造鋳片を製造する方法であって、
    鋳型に溶鋼を供給するに先立って溶鋼のZn濃度を質量%で0.0030%以下に規制する工程を含むこと
    を特徴とする連続鋳造鋳片の製造方法。
  2. 連続鋳造鋳型に、質量%で、C::0.001 〜1.0%Si:2.0%以下、Mn:3.0%以下、P:0.50%以下、S:0.080%以下を含有し、残部がFeおよび不純物である炭素鋼、または、該炭素鋼に、さらに必要に応じて、Ni、Cu、Nb、V、Mo、TiおよびCrの1種以上を、合計の含有量が5.0%以下含有し、残部がFeおよび不純物である低合金鋼の溶鋼を供給して連続鋳造鋳片を製造するに際して、予め溶鋼のZn濃度を質量%で0.0030%以下に規制してから、連続鋳造鋳型に注入すること
    を特徴とする連続鋳造鋳型の寿命延長方法。
  3. 連続鋳造鋳型に、質量%で、C:0.001 〜1.0%Si:2.0%以下、Mn:3.0%以下、P:0.50%以下、S:0.080%以下を含有し、残部がFeおよび不純物である炭素鋼、または、該炭素鋼に、さらに必要に応じて、Ni、Cu、Nb、V、Mo、TiおよびCrの1種以上を、合計の含有量が5.0%以下含有し、残部がFeおよび不純物である低合金鋼の溶鋼を供給して、連続鋳造鋳片を製造するに際して、鋳型への供給に先立って溶鋼のZn濃度を監視すること
    を特徴とする連続鋳造鋳型の寿命予測方法。
  4. 連続鋳造鋳型に、質量%で、C:0.001 〜1.0%Si:2.0%以下、Mn:3.0%以下、P:0.50%以下、S:0.080%以下を含有し、残部がFeおよび不純物である炭素鋼、または、該炭素鋼に、さらに必要に応じて、Ni、Cu、Nb、V、Mo、TiおよびCrの1種以上を、合計の含有量が5.0%以下含有し、残部がFeおよび不純物である低合金鋼の溶鋼を供給して連続鋳造鋳片を製造する方法であって、鋳型に溶鋼を供給する溶鋼のZn濃度を常時質量%で0.0030%以下に規制することを特徴とする連続鋳造方法。
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