JP4418174B2 - 粉体塗料供給装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、例えば、スクリューを介して粉体塗料を粉体塗料タンクから塗装ガンに常に安定して定量供給できる粉体塗料供給装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来から、自動車のボンネットやドアパネル等の被塗装物に塗装を行う場合、帯電された粉体塗料をガンによって該被塗装物に向かって噴射することにより、電気的に前記被塗装物に付着させる塗装方法が採用されている。その際、被塗装物に均一に塗装を行うためには、ガンに粉体塗装が定量供給される必要がある。
【0003】
この種の塗装ガンに粉体塗料を定量供給するための粉体塗料供給装置では、粉体塗料を貯留するためのタンクに固定され、複数のスクリュー羽根を有するスクリューが駆動源の駆動作用下に回転することにより、前記粉体塗料をタンクからガンへと定量供給している。この場合、前記粉体塗料供給装置では、前記タンクからガンまでの粉体塗料の搬送経路の途中に、前記粉体塗料中に含有される空気を除去するための脱気手段が設けられ、この脱気手段によって搬送される粉体塗料の密度を高めている(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
【特許文献1】
特開平10−180152号公報(段落[0010]〜[0017]、図1)
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、特許文献1に係る粉体塗料供給装置においては、スクリューの回転に伴いスクリュー羽根の先端位置が変化するため、前記スクリューによる粉体塗料の搬送量が変動するとともに、タンクからガンへと供給される粉体塗料の量が変動する周期と、前記スクリューの回転周期とが同期する現象が発生することがある。この結果、被塗装物に対して均一に塗装を施すことが困難となる。
【0006】
本発明は、前記の不都合を克服するためになされたものであり、粉体塗料供給装置から塗装ガンに粉体塗料を常に均一かつ安定して定量供給することが可能であり、それによって塗装品質に優れた製品を得ることができる粉体塗料供給装置を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
前記の目的を達成するために、本発明は、粉体塗料タンクに装着され、該粉体塗料タンクから塗装ガンへと粉体塗料を供給する粉体塗料供給装置において、
駆動部と、
前記駆動部の駆動作用下に回転自在に設けられ、らせん状に形成された第1のスクリュー羽根を有する第1スクリューと、
前記第1スクリューと別個に設けられ、且つ、該第1スクリューと略同一形状で形成され、らせん状に形成された第2のスクリュー羽根を有する第2スクリューと、
前記第1スクリューと前記第2スクリューとを互いに同期回転させる駆動力伝達部と、
前記第1スクリューの回転作用下に搬送された粉体塗料と、前記第2スクリューの回転作用下に搬送された粉体塗料とを一括集約し、圧力流体の作用下に前記粉体塗料を吐出する噴出部と、
前記第1及び第2スクリューによって搬送される前記粉体塗料の搬送方向と直交し、前記噴出部と連通する連通路と、
前記第1及び第2スクリューに設けられ、前記粉体塗料中に含有された空気を除去する脱気部と、
を備え、
前記第1及び第2スクリューは、前記脱気部から前記連通路までの距離が略同一に形成されると共に、前記第1のスクリュー羽根は、前記第2のスクリュー羽根に対して軸線方向に沿って位相がずれた状態で設けられることを特徴とする。
【0008】
本発明によれば、駆動部によって回転自在な第1スクリューとは別個に第2スクリューが設けられ、前記駆動部によって第1スクリューが駆動した際、駆動力伝達部によって第2スクリューが一体的に回転する。
【0009】
その際、第1スクリューに形成される第1のスクリュー羽根と、第2スクリューに形成される第2のスクリュー羽根とが、第1および第2スクリューの軸線方向に沿って位相がずれた状態で設けられている。従って、第1スクリューによって粉体塗料を搬送する際に生じるばらつき量の増減と、第2スクリューによって粉体塗料を搬送する際に生じるばらつき量の増減とを前記位相のずれによって互いにずらし、相殺することができる。
【0010】
その結果、第1スクリューにおける粉体塗料の搬送量のばらつきと、前記第1スクリューと略同一形状で形成された第2スクリューにおける粉体塗料の搬送量のばらつきとを相殺することにより、第1スクリューによって搬送された粉体塗料と、第2スクリューによって搬送された粉体塗料とが好適に組み合わされた状態で連通路を通じて噴出部で集約され、常に一定の粉体塗料を塗装ガンから外部へと吐出することができ、より高精度かつ粉体塗装を行うことができる。
【0011】
また、第1のスクリュー羽根を、第2のスクリュー羽根に対して略180°位相をずらして形成することにより、第1スクリューにおける粉体塗料の搬送量のばらつきと、第2スクリューにおける粉体塗料の搬送量のばらつきとをより一層好適に相殺して抑制することができ、常により高精度かつ粉体塗装を行うことができる。
【0012】
さらに、駆動力伝達部は、前記第1スクリューに設けられる第1ギアと、
前記第2スクリューに設けられる第2ギアと、
前記第1ギアと第2ギアとの間に介装される回転伝達部材と、
を備え、
前記駆動部を、前記第1スクリュー及び前記第2スクリューのいずれか一方に連結すると共に、前記駆動部の駆動作用下に前記第1ギアが回転することにより、前記回転伝達部材を介して前記第2ギアが同期回転させるとよい。これにより、第1ギアが設けられる第1スクリューと、第2ギアが設けられる第2スクリューとを簡便に同一回転数かつ同一回転方向に回転させることができる。その結果、第1スクリューによって搬送される粉体塗料の量と、第2スクリューによって搬送される粉体塗料の量とを略均一とすることができる。
【0013】
【発明の実施の形態】
本発明に係る粉体塗料供給装置について好適な実施の形態を挙げ、添付の図面を参照しながら以下詳細に説明する。
【0014】
図1において、参照符号10は、本発明の実施の形態に係る粉体塗料供給装置を示す。
【0015】
この粉体塗料供給装置10は、図1および図2に示されるように、粉体塗料を貯留するための流動層式粉体塗料タンク(以下、単に、塗料タンク12という)12に装着され、前記塗料タンク12の内部に粉体塗料による流動層14が形成される粉体塗料室15が形成されている。
【0016】
前記粉体塗料供給装置10は、前記塗料タンク12内の粉体塗料を搬送するための一対の第1搬送部16aおよび第2搬送部16b(図2参照)と、粉体塗料供給装置10を塗料タンク12に固定するための固定部18と、粉体塗料中に含有される空気を除去するための脱気部20と、第1搬送部16aにおける第1スクリュー40aを回転駆動するための駆動部22と、前記駆動部22で生じた回転駆動力を第2搬送部16bへと伝達する駆動力伝達部24と、前記第1搬送部16aおよび第2搬送部16bによって搬送される粉体塗料を後述する塗装ガン76を用いて外部へと噴射(吐出)する噴出部26とから構成される。
【0017】
塗料タンク12は、その下部に形成され、図示しない圧力流体供給源より圧力流体(例えば、圧縮エア)が供給されるエア室28と、前記粉体塗料室15と連通するために複数の孔が形成された多孔板30とを有する。
【0018】
また、塗料タンク12の上部には、外部から粉体塗料を投入する粉体塗料投入口32と、塗料タンク12の内部のエアを排気する排気口34とが設けられている。
【0019】
前記粉体塗料室15の内部の流動層14を形成する粉体塗料には、前記圧力流体供給源からエア室28を介して常時圧力流体が供給されることにより、前記圧力流体が多孔板30を介して粉体塗料に付与されて、該粉体塗料を流動化している。そして、前記粉体塗料室15の内部に供給された圧力流体は、塗料タンク12の排気口34より外部へと排気される。
【0020】
一対の第1搬送部16aおよび第2搬送部16bは、その一端部が塗料タンク12の粉体塗料室15の内部にそれぞれ臨み、第1搬送部16aと第2搬送部16bとが略水平となるように所定間隔離間して設けられている(図3参照)。この第1搬送部16aおよび第2搬送部16bは、それぞれ略円筒状のスクリューケーシング36a、36bと、前記スクリューケーシング36a、36bの内部に同軸上に収容され、複数のスクリュー羽根38a、38b(第1のスクリュー羽根、第2のスクリュー羽根)を備える第1および第2スクリュー40a、40bとからなる。そして、スクリューケーシング36a、36bの一端部およびスクリューケーシング36a、36bの他端部側に設けられる保持部41の内部には、それぞれ第1および第2スクリュー40a、40bを回転自在に軸支するベアリング42a、42bが装着されている。また、第1搬送部16aにおける第1スクリュー40aの他端部は、図示しないカップリング部材を介して駆動部22に連結されている。
【0021】
第1および第2スクリュー40a、40bは、長尺状のスクリューシャフト44a、44bと、該スクリューシャフト44a、44bの外周面にらせん状に形成されるスクリュー羽根38a、38bとからなる。また、前記第1スクリュー40aと、第2スクリュー40bとは、略同一形状に形成されている。詳細には、スクリューシャフト44a、44bの直径、軸線方向に沿った長さが略同一寸法に形成されるとともに、隣接するスクリュー羽根38a、38bの間のピッチA、外周直径Bが略同一となるように形成されている(図4参照)。
【0022】
このスクリュー羽根38a、38bは、例えば、第1スクリュー40aにおいて駆動部22の方向に向かって時計回り(矢印C方向)に形成された場合、第2スクリュー40bでも同様に、駆動部22の方向に向かって時計回り(矢印C方向)に形成される。なお、前記スクリュー羽根38a、38bの形成される方向は、駆動部22に向かって時計回り(矢印C方向)に形成される場合に限定されるものではなく、第1スクリュー40aと第2スクリュー40bのスクリュー羽根38a、38bを、その軸線に対してそれぞれ反時計回り(矢印D方向)に形成するようにしてもよい(図2参照)。
【0023】
なお、前記第1スクリュー40aにおけるスクリュー羽根38aに対して、第2スクリュー40bにおけるスクリュー羽根38bが、前記第2スクリュー40bの軸線方向に沿った同一位置において周方向に沿って略180°位相がずれるように形成されている。換言すると、第1搬送部16aにおける第1スクリュー40aが停止した状態において、第2搬送部16bにおける第2スクリュー40bが略180°回転した際に、互いのスクリュー羽根38a、38bの形状および位置が一致するように形成されている。
【0024】
さらに換言すると、第1スクリュー40aと第2スクリュー40bとは、その軸線方向に沿って所定距離E(図4参照)だけオフセットした位置において、互いのスクリュー羽根38a、38bの形状が一致するように形成されている。
【0025】
さらに、塗料タンク12の内部に配設されるスクリューケーシング36a、36bの一端部には、その上面に開口した導入口46a、46bが形成され、流動層14を形成する粉体塗料が、前記導入口46a、46bを介してスクリューケーシング36a、36bの内部へと導入される。
【0026】
なお、粉体塗料を搬送する第1および第2スクリュー40a、40bを有する搬送部は、互いにそのスクリュー羽根が所定角度だけ位相をずらして設けられる複数の搬送部から構成するようにすれば、一対の第1および第2搬送部16a、16bに限定されるものではない。例えば、4本のスクリューを用いることも可能である。
【0027】
固定部18は、それぞれのスクリューケーシング36a、36bの外周面に設けられ、半径外方向に拡径したフランジ部48と、塗料タンク12の内壁面に設けられる取付部材50とからなり、前記取付部材50の内部にスクリューケーシング36a、36bを挿通させた後、前記フランジ部48を取付部材50に対して複数のねじ部材52によって固定することにより、スクリューケーシング36a、36bを塗料タンク12へと固定している。
【0028】
脱気部20は、第1および第2搬送部16a、16bにおけるスクリューケーシング36a、36bの略中央部近傍にそれぞれ別個に設けられている。この脱気部20は、真空ポンプ54と、前記スクリューケーシング36a、36bと略同軸上に配設される略箱状のダクト56と、前記ダクト56と真空ポンプ54とを連通する吸引管路58と、前記ダクト56と一体的に設けられ、粉体塗料の真空ポンプ54への進入を阻止するフィルタ60とからなる。
【0029】
真空ポンプ54は、吸引管路58を介してダクト56の内部と連通し、前記真空ポンプ54から供給される負圧流体の作用下に流動化した粉体塗料に含有される空気を除去している。
【0030】
フィルタ60は、ダクト56の内周側に設けられ、粉体塗料を吸引することなく粉体塗料中の空気のみを吸引しうる程度の微細孔を有している。そのため、真空ポンプ54によってダクト56の内部に負圧流体が供給された場合においても、フィルタ60によって粉体塗料が吸引管路58を介して真空ポンプ54の内部に進入することがない。
【0031】
駆動部22は、図示しない電源によって回転駆動する駆動モータ62からなり、前記駆動モータ62の回転軸が図示しないカップリング部材を介して第1搬送部16aにおける第1スクリュー40aと連結されている。前記駆動モータ62は、断面コ字状のブラケット64aおよび保持部41を介して第1搬送部16aにおけるスクリューケーシング36aの他端部側に連結されている。
【0032】
駆動力伝達部24は、第1および第2搬送部16a、16bにおけるスクリューシャフト44a、44bの他端部側に設けられ、スクリューシャフト44aの他端部側には、外周にギア歯が形成された第1伝達ギア(第1ギア)66が装着され、スクリューシャフト44bの他端部側にも同様に、外周にギア歯が形成された第2伝達ギア(第2ギア)68が装着されている。前記第1伝達ギア66と第2伝達ギア68とは、同一の歯数で略平行に設けられ、前記第1および第2伝達ギア66、68との間には環状のチェーンベルト(回転伝達部材)70が介装されている。この第2伝達ギア68は、スクリューケーシング36bの端部に保持部41を介して連結されるブラケット64bの内部に配設されている。
【0033】
すなわち、駆動部22の回転駆動作用下に第1搬送部16aのスクリューシャフト44aが回転した際、その回転力がチェーンベルト70を介して第2伝達ギア68へと伝達され、前記第2伝達ギア68が第1伝達ギア66と同一方向に回転する。そのため、第1搬送部16aにおけるスクリューシャフト44aの回転作用下に、第2搬送部16bにおけるスクリューシャフト44bが同一方向に回転する。その際、第1搬送部16aのスクリューシャフト44aと第2搬送部16bのスクリューシャフト44bとの回転数が略同一となる。
【0034】
噴出部26は、図1に示されるように、スクリューケーシング36a、36bの駆動部22側に配設され、一対の第1および第2搬送部16a、16bを介して搬送された粉体塗料を1箇所に集約する断面略三角形状のホッパ72と、前記ホッパ72によって集約された粉体塗料を圧力流体の作用下に搬送するエジェクタ74と、前記エジェクタ74からの粉体塗料を外部へと噴射する塗装ガン76と、前記エジェクタ74と塗装ガン76とを接続する管路78とからなる。
【0035】
ホッパ72は、図3に示されるように、その上方から下方に向かって徐々に幅狭となるようにテーパ状に形成され、前記ホッパ72におけるテーパ状の傾斜面は、粉体塗料がその傾斜面に堆積することがない傾斜角度に形成される。
【0036】
そして、ホッパ72には、上方に向かって延在する一対の連通路80a、80bが設けられ、これらの連通路80a、80bはスクリューケーシング36a、36bの内部と連通している。このため、前記第1および第2スクリュー40a、40bによってスクリューケーシング36a、36bの内部を介して搬送される粉体塗料が、前記連通路80a、80bを介してホッパ72へと導入される。
【0037】
一方、ホッパ72の下方には、エジェクタ74が設けられている。すなわち、スクリューケーシング36a、36bの内部で回転する第1および第2スクリュー40a、40bを介してホッパ72の内部へと搬送された粉体塗料が、テーパ状に形成されたホッパ72の傾斜面を滑り落ちていくことにより、その重力の作用下に徐々にエジェクタ74の内部へと集約される構造となっている。
【0038】
エジェクタ74には、図1に示されるように、その一端部側に塗装ガン76と連通する管路78が接続されるとともに、他端部側には図示しない圧力流体供給源に接続される供給管路82が接続されている。そして、前記エジェクタ74の上部にはホッパ72の下端部が接続されることにより、エジェクタ74の内部とホッパ72の内部とが連通している。そして、ホッパ72を介してエジェクタ74の内部に集約された粉体塗料が、前記供給管路82を介してエジェクタ74に供給される圧力流体の流通作用下に塗装ガン76へと送給される。
【0039】
本発明の実施の形態に係る粉体塗料供給装置10は、基本的には以上のように構成されるものであり、次にその動作並びに作用効果について説明する。
【0040】
先ず、塗料タンク12の粉体塗料室15内に粉体塗料投入口32から粉体塗料を投入し、図示しない圧力流体供給源からエア室28の内部に圧力流体(例えば、圧縮エア)を供給することにより、前記圧力流体が多孔板30を介して粉体塗料室15の内部の粉体塗料へと付与され、前記粉体塗料の流動化が行われる。その結果、粉体塗料室15に配設されるスクリューケーシング36a、36bの導入口46a、46bには、流動化した粉体塗料が流入するに至る。
【0041】
次に、図示しない電源から駆動部22の駆動モータ62を付勢することにより、前記駆動モータ62に連結された第1搬送部16aの第1スクリュー40aが一体的に回転する。
【0042】
その際、前記第1スクリュー40aに設けられた第1伝達ギア66が一体的に回転することにより、駆動力伝達部24のチェーンベルト70を介して第2伝達ギア68が前記第1スクリュー40aと同一方向に回転する。そのため、第1スクリュー40aと、第2スクリュー40bが同期して同一の回転数で回転する。
【0043】
これにより、粉体塗料室15の内部の粉体塗料が、第1搬送部16aおよび第2搬送部16bにおける第1および第2スクリュー40a、40bのスクリュー羽根38a、38bによって、流動層14からスクリューケーシング36a、36bを介して噴出部26の方向(矢印F方向)へと搬送される。その際、第1スクリュー40aと、第2スクリュー40bとが略同一形状に形成されているため、第1搬送部16aによって搬送される粉体塗料の量G(図5参照)と、第2搬送部16bによって搬送される粉体塗料の量G′(図5参照)とが略同一量となる。
【0044】
換言すると、塗装ガン76より噴射される粉体塗料の量H(図5参照)は、第1搬送部16aにおける第1スクリュー40aによってその半分が搬送され、第2搬送部16bにおける第2スクリュー40bによって残りの半分が搬送される(H=G+G′)。すなわち、複数の搬送部によって粉体塗料を搬送する際には、各搬送部によって搬送される粉体塗料の量G、G′(図5参照)が略均一となる。
【0045】
この間、前記塗料タンク12と噴出部26との間に設けられる脱気部20によってスクリューケーシング36a、36bの内部を介して搬送される粉体塗料に含有される空気が除去される。
【0046】
詳細には、図示しない電源から真空ポンプ54が付勢されることにより、該真空ポンプ54の駆動作用下に負圧流体が吸引管路58を介してダクト56の内部へと供給される。そして、ダクト56の内部を搬送される粉体塗料に含有される空気を除去する。
【0047】
その際、前記ダクト56の内部には、吸引管路58との接続部位にフィルタ60が装着されているため、脱気部20を介して粉体塗料中の空気を除去する際に、粉体塗料が吸引管路58および真空ポンプ54へと進入することが好適に防止される。
【0048】
一方、脱気部20によって含有した空気が除去されて圧密化された粉体塗料は、スクリューケーシング36a、36bに連結されたそれぞれの連通路80a、80bを介してホッパ72の内部へと導入され、前記ホッパ72の内部においてその重力作用下に下方に向かって落下する。この場合、前記粉体塗料は、下方に向かって徐々に幅狭状となったホッパ72の傾斜面に沿って下降することにより徐々に集約された後、前記ホッパ72の下部に連結されたエジェクタ74の内部へと導入される。
【0049】
最後に、図示しない圧力流体供給源より供給管路82を介してエジェクタ74の内部に圧力流体が供給され、前記エジェクタ74内に導入された粉体塗料を管路78を介して塗装ガン76へと供給し、前記塗装ガン76から粉体塗料を噴射することにより粉体塗装が行われる。
【0050】
以上のように、本実施の形態では、塗料タンク12に対して略平行に配設される一対の第1搬送部16aと第2搬送部16bにおいて、前記第1搬送部16aにおける第1スクリュー40aと、第2搬送部16bにおける第2スクリュー40bとが略同一形状に形成されている。そして、前記第1スクリュー40aに形成されるスクリュー羽根38aと、第2スクリュー40bのスクリュー羽根38bとが略同一のピッチA、略同一の外周径Bに形成されているため、第1搬送部16aと第2搬送部16bを介してそれぞれ噴出部26へと搬送される粉体塗料の量G、G′(図5参照)を略均一とすることができる。
【0051】
また、その際、前記第1および第2スクリュー40a、40bをそれぞれスクリューケーシング36a、36bに設置した状態において、互いのスクリュー羽根38a、38bが周方向に沿って略180°位相がずれた状態となるように形成されている。そのため、第1搬送部16aにおける第1スクリュー40aによって粉体塗料を搬送する際に生じる搬送量Gのばらつきと、第2搬送部16bにおける第2スクリュー40bによって粉体塗料を搬送する際に生じる搬送量G′のばらつきとを相殺することができる(図5参照)。
【0052】
例えば、第1スクリュー40aによって搬送される粉体塗料がばらつき、本来必要とされる量より若干少量である場合(図5中、J参照)、第2スクリュー40bは前記第1スクリュー40aにおけるスクリュー羽根38aとは略180°位相がずれているため、前記第2スクリュー40bによって搬送される粉体塗料は、反対にばらつきによって本来必要とされる量より若干多くなる(図5中、K参照)。そのため、第1スクリュー40aによって搬送された若干少なめの粉体塗料と、第2スクリュー40bによって搬送された若干多めの粉体塗料とが、噴出部26へと搬送されてホッパ72によって集約されることにより予め設定された粉体塗料の搬送量の設定値Lと略同等の分量Hを得ることができる(図5参照)。
【0053】
換言すると、従来、粉体塗料をタンクから単一のスクリューのみによって搬送する場合には、図6に示されるように、前記粉体塗料の搬送量H′のばらつきが大きくなり、前記スクリューの回転周期に応じて前記搬送量H′が、設定値Lに対する上限値Mまたは下限値Nを超える場合がある(図6中、P参照)。
【0054】
本実施の形態では、一組の第1スクリュー40aおよび第2スクリュー40bを設けるとともに、前記第1スクリュー40aのスクリュー羽根38aと、第2スクリュー40bのスクリュー羽根38bとを略180°位相をずらして形成する。そして、前記設定値Lの略半分の量の粉体塗料を前記第1スクリュー40aと第2スクリュー40bとによってそれぞれ搬送することにより、第1搬送部16aで生じる粉体塗料の搬送量Gのばらつきと、第2搬送部16bで生じる粉体塗料の搬送量G′のばらつきとを好適に相殺して、粉体塗料の搬送量Hのばらつきを抑制することができる。そのため、前記粉体塗料の搬送量Hが、設定値Lに対する上限値Mまたは下限値Nを超えることがない(図5参照)。
【0055】
その結果、第1スクリュー40aによって搬送された粉体塗料と、第2スクリュー40bによって搬送された粉体塗料とが好適に組み合わされた状態で集約され、常に定量化された粉体塗料をエジェクタ74の内部へと導入し、常に一定の粉体塗料を塗装ガン76から外部へと噴射することができる。これにより、塗装ガン76から外部への噴射量を常に安定した状態で維持することができるため、均一かつ安定した、より高精度の粉体塗装を行うことができる。
【0056】
【発明の効果】
本発明によれば、以下の効果が得られる。
【0057】
すなわち、駆動部によって第1スクリューを駆動した際、駆動力伝達部によって第2スクリューを一体的に回転させるとともに、前記第1スクリューにおける第1のスクリュー羽根と、第2スクリューにおける第2のスクリュー羽根とを、位相をずらして設けることにより、第1スクリューにおける粉体塗料の搬送量のばらつきと、第2スクリューにおける粉体塗料の搬送量のばらつきとを相殺することができる。そのため、常に一定の粉体塗料を塗装ガンから外部へと吐出することができ、より均一かつ高精度な粉体塗装を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態に係る粉体塗料供給装置の一部断面側面図である。
【図2】図1のII−II線に沿った一部縦断面図である。
【図3】図1のIII−III線に沿った一部縦断面図である。
【図4】図2の脱気部近傍における第1搬送部および第2搬送部の拡大縦断面図である。
【図5】第1スクリューによって搬送される粉体塗料の搬送量と、第2スクリューによって搬送される粉体塗料の搬送量との関係を示す曲線図である。
【図6】粉体塗料を搬送するスクリューを単一とした場合における粉体塗料の搬送量と時間との関係を示す曲線図である。
【符号の説明】
10…粉体塗料供給装置 12…塗料タンク
14…流動層 16a…第1搬送部
16b…第2搬送部 20…脱気部
22…駆動部 24…駆動力伝達部
26…噴出部 36a、36b…スクリューケーシング
38a、38b…スクリュー羽根 40a…第1スクリュー
40b…第2スクリュー 44a、44b…スクリューシャフト
54…真空ポンプ 62…駆動モータ
66…第1伝達ギア 68…第2伝達ギア
72…ホッパ 74…エジェクタ
76…塗装ガン
Claims (3)
- 粉体塗料タンクに装着され、該粉体塗料タンクから塗装ガンへと粉体塗料を供給する粉体塗料供給装置において、
駆動部と、
前記駆動部の駆動作用下に回転自在に設けられ、らせん状に形成された第1のスクリュー羽根を有する第1スクリューと、
前記第1スクリューと別個に設けられ、且つ、該第1スクリューと略同一形状で形成され、らせん状に形成された第2のスクリュー羽根を有する第2スクリューと、
前記第1スクリューと前記第2スクリューとを互いに同期回転させる駆動力伝達部と、
前記第1スクリューの回転作用下に搬送された粉体塗料と、前記第2スクリューの回転作用下に搬送された粉体塗料とを一括集約し、圧力流体の作用下に前記粉体塗料を吐出する噴出部と、
前記第1及び第2スクリューによって搬送される前記粉体塗料の搬送方向と直交し、前記噴出部と連通する連通路と、
前記第1及び第2スクリューに設けられ、前記粉体塗料中に含有された空気を除去する脱気部と、
を備え、
前記第1及び第2スクリューは、前記脱気部から前記連通路までの距離が略同一に形成されると共に、前記第1のスクリュー羽根は、前記第2のスクリュー羽根に対して軸線方向に沿って位相がずれた状態で設けられることを特徴とする粉体塗料供給装置。 - 請求項1記載の粉体塗料供給装置において、
前記第1のスクリュー羽根は、前記第2のスクリュー羽根に対して略180°位相がずれた状態で形成されていることを特徴とする粉体塗料供給装置。 - 請求項1記載の粉体塗料供給装置において、
前記駆動力伝達部は、前記第1スクリューに設けられる第1ギアと、
前記第2スクリューに設けられる第2ギアと、
前記第1ギアと第2ギアとの間に介装される回転伝達部材と、
を備え、
前記駆動部が、前記第1スクリュー及び前記第2スクリューのいずれか一方に連結されると共に、前記駆動部の駆動作用下に前記第1ギアが回転することにより、前記回転伝達部材を介して前記第2ギアが同期回転することを特徴とする粉体塗料供給装置。
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