JP4418106B2 - ジエノゲストを有効成分とする骨吸収サイトカイン抑制剤 - Google Patents
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Description
本発明は、ジエノゲストを有効成分として含有するインターロイキン1(以下、IL−1と示す。)、インターロイキン6(以下、IL−6と示す。)、腫瘍壊死因子α(以下、TNF−αと示す。)の産生および/または分泌抑制剤に関する。
背景技術
ジエノゲストは、下記式(I)で示される構造(17α−cyanomethyl−17 β−hydroxy−estra−4,9(10)−dien−3−one)を有する既知化合物の国際一般名(INN)である。
本化合物の性質および合成方法については、シュバート(Schubert)等、エルゼビアサイエンスパブリッシャーズ(Elsevier Science Publishers)編、ナチュラル・プロダクツ・ケミストリー1984(Natural Products Chemistry1984)、1985年、143〜158頁に概要が述べられている。
ジエノゲストは、黄体ホルモン活性を有することが知られており、ドイツに於いてエチニルエストラジオールとの合剤が製造され、経口避妊薬として発売されている。ジエノゲストはまた、子宮内膜症の治療剤としても臨床開発が進められており(ケーラー(Kohler)ら、アーカイブズ・オブ・ギネコロジー・アンド・オブステットリクス(Arch.Gynecol.Obstet.)、第254巻、594〜595頁、1993年)、また、子宮体癌および乳癌に対する有効性が実験的に報告されている(甲木ら、特開平7−188026号;甲木ら、キャンサー(Cancer)、第79巻、169〜176頁、1997年)。また、ジエノゲストはラットにおいて卵巣摘出による骨減少に対して保護的に作用することや(アイガー(Elger)ら、(Exp.Clin.Endocrinol.)、第101巻(suppl.)、1号、71頁、1993年)、子宮内膜症治療において、GnRHアゴニストであるブセレリンとジエノゲストを併用すると、ジエノゲストはブセレリンにより起こる骨密度減少を通常のレベルにもどすことが報告されている(笹川ら、ジャパニーズ・ジャーナル・オブ・ファーマコロジー(Jpn.J.Pharmacol.)、第67巻(suppl.)、162p、1995年)。しかしながら、これまでのところ、これらの作用機序は解明されておらず、ジエノゲストがサイトカイン産生や分泌の抑制に影響を及ぼすとする報告はない。
サイトカインとは細胞、主として白血球の産生する抗体以外の蛋白性活性物質であり、その作用は多彩である。主なものをあげてみると、免疫系の調節制御や伝達に関係する働き、造血幹細胞の分化誘導から増殖に関する作用、炎症反応における働きがある。サイトカインの共通した特徴として、微量で特異的な作用を示し、産生する細胞自身への作用を含めて多種の細胞の機能を活性化し、生体防御−免疫機能に重要な働きを示す。
TNF−αは、エンドトキシンを投与したマウスの血清中から見出され、ある種の腫瘍の出血性壊死を引き起こすことから腫瘍壊死因子と名づけられた。主な作用としては、IL−1、IL−6、IL−8をはじめサイトカインの誘導、ホスホリパーゼの活性化、アラキドン酸代謝物や血小板活性化因子の産生、造血幹細胞の分化誘導、ホルモン分泌の亢進、発熱などが知られている。
また近年、TNF−αが筋肉等の末梢のインスリン抵抗性に関与していることが、注目されている。
IL−1は、IL−1αとIL−1βの2種があり、マクロファージの産生するリンパ球活性化因子として見出された。in vivoに投与すると、血圧下降、発熱、睡眠、好中球増加、ホルモン分泌促進、急性相蛋白質産生誘導などが見られる。
IL−6は、抗原刺激を受けたBリンパ球が増殖、分化するために必要なマクロファージやTリンパ球の出す体液性因子(B−cell活性化因子)として発見された。IL−6もまた、多彩な生理活性機能を有する。抗体産生の誘導、Tリンパ球の活性化、急性期反応の誘導、巨核球成熟の誘導、さらには破骨細胞の活性化等を引き起こす。これらの事から、IL−6産生の亢進は、慢性関節リウマチ(以下、RAと示す。)、心房性粘液腫、キャッスルマン氏病、AIDSなどでの高γグロブリン血病やAIDSのカポジ肉腫、メサギウム増殖性腎炎、乾癬、敗血症さらには骨粗鬆症と密接に関係していると言われている。
RAの治療は、これまで抗炎症剤、修飾性抗リウマチ薬、免疫抑制薬、免疫調整剤等が使われているが、これらの治療はいずれも十分なものではなく、今なお原因が不明なため、決め手になる治療法は見つかっていない。ただ、これまでの研究からサイトカインの一つであるIL−6がRAとかなり密接な関係があると推測されている。RA患者の滑膜液(関節液)には、実際IL−6が検出される。IL−6は、抗体産生を刺激し、リウマチ因子の出現、増加、高γグロブリン血症をはじめ、関節病変部のTリンパ球の活性化、増加に関与し、さらに、骨破壊にも関与していると言われる。また、同様に、RA患者の滑膜液からはTNF−α、IL−1も検出され、病態の進展に関わっている。
RAの初期は、滑膜の炎症のみであり、症状としては朝の手足関節のこわばり、全身倦怠感、易疲労性、体重減少、リンパ節腫大、皮下結節などがあるが、進行するに従って軟骨、骨の破壊が起こり、関節は変形、脱白し、拘縮、強直などの後遺症を呈して、日常生活動作が著しく障害されるに至る。
近年、骨の生理的リモデリングあるいは、その破綻による病態の発生に多数のサイトカインが関与していることが判明してきた。骨代謝に関わるサイトカインとして、骨吸収促進作用を有するものはIL−1、IL−6、TNF、マクロファージ刺激因子(M−CSF)、白血病抑制因子(LIF)、IL−11など、骨吸収抑制作用を有するものはIL−4、IFN−γ、骨形成促進作用を有するものは骨形成因子(BMP)、トランスフォーミング増殖因子(TGF)−βなどがある。前述のIL−1、IL−6は、破骨細胞形成促進因子として、またTNF−αは、破骨細胞の調節因子として知られており、これらの骨吸収促進因子は、破骨細胞の分化誘導、成熟破骨細胞の活性化、骨芽細胞を介する破骨細胞活性化により骨吸収を促進する。また、IL−1などの刺激により骨芽細胞は、破骨細胞分化因子やPGを産生し破骨細胞の分化・活性化を誘導する。さらに、エストロゲンがIL−1、IL−6、TNF−αといった骨吸収サイトカインのレベルを抑制していることから、これらの骨吸収促進因子の産生および/または分泌抑制剤は過度の骨吸収促進により起こる閉経後骨粗鬆症の予防または治療剤として期待されている。
骨粗鬆症は、閉経後骨粗鬆症と老人性骨粗鬆症、続発性骨粗鬆症に分類される。閉経後骨粗鬆症の原因は、閉経後のエストロゲン喪失が骨吸収を過度に促進することにあるから、治療剤としては、カルシトニンやエストロゲンなどの骨吸収抑制剤が使用されている。しかし、カルシトニンは筋肉注射による投与に限られることや耐性化しやすいという問題があり、エストロゲンは乳癌、子宮内膜癌の発生率が増加するという問題がある。一方、老人性骨粗鬆症の原因としては、加齢による骨形成の低下が重要視されているため、治療剤としては、低下した骨芽細胞機能(骨形成)を賦活化する作用を有するもの、いわゆる骨形成促進剤が骨量改善に有効であると考えられる。具体的には、ビタミンDの他には、フッ化ナトリウム、ビタミンK、ヒトPTH(副甲状腺ホルモン)製剤などがある。
骨芽細胞機能を賦活化することが知られているPTHにおいて、サイクリックAMP(以下、cAMPと示す。)量の増加とプロテインキナーゼA(以下、PKAと示す。)活性亢進が関与し、骨芽細胞の増殖を刺激し、分化を促進することか報告されている(ヤング(Yang)ら、ジャーナル・オブ・バイオロジカル・ケミストリー(J.Biol.Chem.)第271巻、29839〜846頁、1996年;アルストロム(Ahlstrom)ら、J.Bone Miner.Res、第12巻、172〜178頁、1997年)。すなわち、cAMP量の増加、PKAの活性化は、骨芽細胞機能を賦活化し、骨形成促進に働くと考えられている。骨粗鬆症患者の骨量増加という点で十分有効な治療薬がない現在、骨形成促進剤は老人性骨粗鬆症の治療剤として期待されている。
続発性骨粗鬆症は、年齢・性別に関わらず内分泌疾患や炎症性疾患など特定の疾患に続発して生じ、その原因を除いた時に軽快するものをいう。続発性骨粗鬆症の原因として具体的には、副甲状腺機能亢進症や糖尿病などの内分泌・代謝疾患、RAなどの炎症性疾患、多発性骨髄腫などの血液疾患、肝硬変などの消化器疾患、骨形成不全症などの先天性疾患等がある。病態は原疾患により若干異なるが、全体的にいえることは、骨形成が正常でも骨吸収が亢進している場合と骨吸収が正常でも骨形成が低下している場合とその両者が混在している場合とが考えられる。そのため、骨吸収抑制作用だけでは、予防および治療剤として十分とは言えない。
変形性関節症は、関節軟骨の変性破壊とその周囲における骨軟骨の増殖機転が同時に進行する病態とされ、二次性滑膜炎を合併し、膝痛、運動制限、関節水症、変形などが主症状である。特に変形性膝関節症が治療上重要な疾患となっている。治療としては、軽−中等症の患者には保存的治療が第一選択され、中−重症例に対しては、手術的治療が行われる。
また、子宮内膜症や子宮筋腫の治療において、エストロゲンを低下させるためにGnRHアゴニストを用いると、骨密度減少の副作用が生じる。そのため、副作用軽減の目的で、酢酸メドロプロゲステロン(以下、MPAと示す。)の併用が知られている。しかしながら、その効果は高用量用いても十分とはいえず、副作用として血栓症等が問題となっている。また、MPAとエストロゲンの併用投与は、骨密度減少を抑制するが、MPA単独では脊椎の骨密度を減少させることが報告されている(ガラガー(Gallagher)ら、アメリカン・ジャーナル・オブ・メディスン(Am J.Med)、第90巻、171〜178頁、1991年)。さらに、MPAの骨吸収サイトカインとの関わりについては、明らかではない。
さらに、現在子宮内膜症や子宮筋腫の治療に用いられているダナゾールや乳癌治療に用いられているタモキシフェンには、骨量減少という副作用の問題点がある。
また、先にのべたTNF−αと末梢のインスリン抵抗性との関与において、脂肪細胞で産生されたTNF−αが近傍の筋肉細胞にインスリン抵抗性を誘導したり、筋肉自身が産生するTNF−αもインスリン抵抗性に関与していることが知られている(佐藤、最新医学、52巻、6号、1131〜1136頁、1997年)。このため、TNF−α産生および/または分泌阻害剤を用いてインスリン抵抗性の改善を図ることにより、糖尿病の治療またインスリン非依存型糖尿病(NIDDM)の発症の阻止又は遅延のための耐糖能不全の治療に用いられつつある。現在代表的なものにチアゾリジン誘導体があるが、副作用等の観点からいまだ満足すべき状況にあるとは言えない。
発明の開示
かかる状況下において、骨吸収サイトカイン産生および/または分泌異常に起因する疾患、特にRA、変形性関節症、悪性腫瘍に伴う高カルシウム血症、骨粗鬆症或いは糖尿病などの治療剤として、副作用が少なく、長期連用が可能な、有効性の高い薬剤の開発が望まれる。
本発明は、上記の疾患の症状の少なくともひとつを解決する。
本発明者は、上記課題を解決すべく鋭意研究した結果、意外にもジエノゲストが骨吸収サイトカイン産生・分泌抑制作用を有することを見出した。また、ジエノゲストが骨芽細胞においても骨形成促進作用を有することを見出して、本発明を完成した。
本発明の第一の態様は、ジエノゲストもしくはその溶媒和物を有効成分として含有することを特徴とする、IL−1、IL−6およびTNF−αの少なくとも1つの産生および/または分泌抑制剤である。好ましくは、該特徴を有するIL−6の産生および/または分泌抑制剤である。
本発明の第二の態様は、ジエノゲストもしくはその溶媒和物を有効成分として含有することを特徴とする骨吸収サイトカイン産生および/または分泌抑制剤である。好ましくは、骨吸収サイトカインはIL−1、IL−6およびTNF−αの少なくとも1つであり、より好ましくはIL−6である。
また、本発明の第三の態様は、ジエノゲストもしくはその溶媒和物を有効成分として含有することを特徴とする、骨芽細胞における骨吸収サイトカイン産生および/または分泌抑制剤である。好ましい骨芽細胞における骨吸収サイトカインは、IL−1、IL−6およびTNF−αの少なくとも1つであり、より好ましくはIL−6である。
本発明の第四の態様は、ジエノゲストもしくはその溶媒和物を有効成分として含有することを特徴とする、IL−1、IL−6およびTNF−αの少なくとも1つの産生および/または分泌異常に起因する疾患の予防および/または治療剤である。具体的には、IL−1、IL−6およびTNF−αの少なくとも1つの産生および/または分泌異常に起因する疾患が、RA、変形性関節症、変形性膝関節症、悪性腫瘍に伴う高カルシウム血症、老人性骨粗鬆症、および続発性骨粗鬆症および糖尿病、とりわけ、NIDDMの少なくとも1つである疾患の予防および/または治療剤である。
本発明の第五の態様は、ジエノゲストもしくはその溶媒和物を有効成分として含有することを特徴とする、RA、変形性関節症、変形性膝関節症、悪性腫瘍に伴う高カルシウム血症、老人性骨粗鬆症および続発性骨粗鬆症の少なくとも1つの予防および/または治療剤である。好ましくは、該特徴を有するRAの予防および/または治療剤であり、また老人性骨粗鬆症の予防および/または治療剤である。
本発明の第六の態様は、ジエノゲストもしくはその溶媒和物を有効成分として含有することを特徴とする、破骨細胞における骨吸収抑制剤であり、また、破骨細胞のアポトーシス誘発剤である。
本発明の第七の態様は、ジエノゲストもしくはその溶媒和物を有効成分として含有することを特徴とする、骨形成促進剤である。
本発明の第八の態様は、ジエノゲストもしくはその溶媒和物を有効成分として含有することを特徴とする、骨芽細胞におけるcAMP量増加剤であり、また、PKA活性亢進剤である。
本発明の第九の態様は、ダナゾールに併用する副作用軽減剤である。
本発明の第十の態様は、ジエノゲストもしくはその溶媒和物を有効成分とすることを特徴とする、試薬として有用な骨吸収サイトカイン産生および/または分泌抑制剤である。
本発明の第四、五、九の態様には、ジエノゲストもしくはその溶媒和物を有効成分として含有する医薬組成物を用いて各々の疾患の予防および/または治療をする方法、或いは当該副作用を軽減する方法が含まれる。また同様に、各々の疾患の予防および/または治療剤或いは当該副作用の軽減剤を製造するための、ジエノゲストもしくはその溶媒和物の使用も含まれる。
発明を実施するための最良の形態
以下、発明を詳細に説明する。
本発明の骨吸収サイトカイン産生および分泌抑制剤の有効成分となるジエノゲストは、すでに示した如く、式(I)の構造を有する化合物であり、水、エタノール、グリセロール、酢酸等の薬剤学上許容される種々の溶媒と溶媒和物を形成し得る。
ジエノゲストは、骨吸収サイトカイン産生および分泌抑制作用と骨形成促進作用を有する。従って本発明の剤は、RA、リウマチ様多発性関節炎、敗血症、全身性エリテマトーデス、全身性強皮症、ベーチェット病、結節性動脈周囲炎、潰瘍性大腸炎、活動性慢性肝炎、糸球体腎炎、変形性関節症、変形性膝関節症、痛風、アテローム硬化症、乾癬、アトピー性皮膚炎、原発性副甲状腺機能亢進症に伴う高カルシウム血症、悪性腫瘍に伴う高カルシウム血症、骨粗鬆症及び糖尿病の予防または治療剤である。或いはNIDDMの発症の阻止又は遅延のための耐糖能不全の治療剤である。好ましくは、RA、変形性関節症、悪性腫瘍に伴う高カルシウム血症、老人性骨粗鬆症、続発性骨粗鬆症の予防または治療剤である。
好ましい例について、さらに詳細を示す。RAは、発病原因は不明であるが、多因子性の遺伝的素因、とくにHLA−D4との関連、およびウイルス感染が注目されている。初期には滑膜の炎症のみであるが、進行すると軟骨、骨の破壊が起こり、関節は変形、脱白し、また骨性強直により可動性を失う。全身症状として貧血、微熱、朝のこわばり、全身倦怠感、昜疲労性、体重減少、リンパ節腫大、皮下結節など多彩な症状を呈する。病態生理としては、滑膜への血管新生がみとめられる。本発明の剤は、これらの各種症状を予防または治療、すなわち改善し、あるいは悪化を防止するのに有効である。
変形性関節症の発症は、通常潜行性であり、時には変性半月の断裂を生じて、一見急性の発症形式をとる変形性膝関節症の例もあるが、明らかな誘発原因は認めないことが多い。発症年齢は部位によって多少異なるが、一般に50歳以後に発症する。主な症状は、関節痛(とくに運動時痛)、関節可動域の制限、関節周囲筋の萎縮、関節の変形、局所の腫脹・熱感などの関節炎症状である。臨床上もっとも頻度の高いのは、女性を中心とする変形性膝関節症であり、次いで問題となる変形性股関節症は、日本では80〜90%が脱臼性股関節症であり、残りが他の疾患、外傷による二次性のものと一次性の股関節症である。本発明の剤は、当該疾患の各種症状を予防または治療、すなわち改善し、あるいは悪化を防止するのに有効である。
悪性腫瘍に伴う高カルシウム血症は、原発性副甲状腺機能亢進症とともに代表的な高カルシウム血症であり、血中PTH値の低値としばしば血中PTH関連蛋白(PTHrP)の高値がみられる。治療としては、できれば抗腫瘍治療を行うが、対症的とならざるをえないことが多い。当該疾患の患者は脱水をきたしやすく、また脱水が高カルシウム血症を悪化させる。本発明の剤は、これらの各種症状を予防または治療、すなわち改善し、あるいは悪化を防止するのに有効である。
骨粗鬆症は、骨の絶対量の減少を生じているが骨の質的な変化を伴わない状態をいい、閉経後骨粗鬆症と老人性骨粗鬆症、続発性骨粗鬆症に分類される。閉経後骨粗鬆症は、女性の閉経後のエストロゲン分泌低下による骨量減少が原因で、老人性骨粗鬆症は、加齢による骨量減少が原因である。続発性骨粗鬆症は、年齢・性別に関わらず内分泌疾患や炎症性疾患など特定の疾患に続発して生じ、その原因を除いた時に軽快するものをいう。骨粗鬆症の診断の目安としては、腰椎X線像で著明な骨萎縮により縦の骨梁が粗となった状態(骨萎縮度2度)、または二重エネルギーX線吸収測定法(DEXA)装置により腰椎の骨塩量が若年成人平均値の−2.5標準偏差以下になった状態を確実な骨粗鬆症と診断する。本発明の剤は、これらの各種症状を予防または治療、すなわち改善し、あるいは悪化を防止するのに有効である。
なお、好ましくは、既にジエノゲストの有効性が公知となっている適応症は除かれる。本発明は、好ましくは、それらを対象とするものではなく、骨吸収サイトカイン産生および/または分泌抑制が有効と考えられる、これまでにジエノゲストが対象とは考えられていなかった新しい疾患の治療剤である。
さらに、発症後の治療剤として用いる他、それぞれの疾患のリスクファクターが亢進している者に対して、発症前に予防的に投与し得る。慢性関節リウマチの場合には、朝のこわばり、手指関節のはれ、対称性関節のはれ、皮下結節などの症状がみられはじめた患者に対して、予防的に投与し得る。変形性関節症の場合には、関節痛(とくに運動時痛)、関節可動域の制限、関節周囲筋の萎縮、関節の変形、局所の腫脹・熱感などの関節炎症状がみられはじめた患者に対して、予防的に投与し得る。悪性腫瘍に伴う高カルシウム血症の場合には、悪性腫瘍患者のうち、血中PTH値の低値としばしば血中PTH関連蛋白(PTHrP)の高値がみられる者に対して、予防的に投与し得る。骨粗鬆症の場合には、運動不足、カルシウム摂取不足、生理不順、低体重、喫煙、遺伝性などの低骨量危険因子をもつ者に、また老人においては骨密度がある一定量より低下した者に対して、予防的に投与し得る。
本発明の剤は、試薬として試験や検査に用いることができる。具体的には、対象となる系中での本試薬のサイトカイン産生抑制を検出することにより特定の疾病の有無や、体液、組織あるいは排泄物中に、ある物質があるかないかを決定する方法として、本発明の剤は有用である。
次に、本発明の剤の効果を下記の実験例によって具体的に示す。
実験例1:マウスの骨芽細胞に対する作用
(1)骨芽細胞の採取および培養
ヨハンセン(Johansen)らの方法(ジャーナル・ボーン・エンド・ミネラル・リサーチ(J.Bone.Miner.Res)、第7巻、501〜509頁、1992年)に準じて、15週齢のSLC:ICR雌マウスの大腿骨より骨芽細胞を採取した。動物をペントバルビタールナトリウム(25mg/kg、腹腔内投与)麻酔下、下大動脈を切断して放血致死後、両側大腿骨を摘出した。これを骨ハサミで切断し、骨髄をミクロスパーテルで除き、骨内面を鋭利な刃で擦り落とした。これを1%コラゲナーゼ液(ニッタゼラチン)内で37℃下で20分間振盪し、培養液(10%活性炭処理ウシ胎児血清含有MEM培地(日水製薬))を添加して遠心分離(300×g、5分間、20℃)を行った。得られた細胞を新鮮な培養液に分散してプラスチック製培養シャーレ(35mm径、Primaria(Falcon))に播種した。37℃および5%CO2/95%空気下で24時間培養後、付着細胞を0.25%トリプシン液で回収し、1×104個/mlの細胞懸濁液とした。骨芽細胞同定には、骨芽細胞のマーカーであるアルカリホスファターゼ染色を用いた。なお、卵巣摘出動物から骨芽細胞を得る場合、11週齢時に卵巣摘出を行い、4週飼育した後、上記と同じ処理を行った。
(2)薬物処理
被験物質として、ジエノゲストをジメチルスルホキシド(DMSO、和光純薬)に溶解および希釈して用いた。また、対照物質としてMPA、ダナゾールをDMSOに溶解および希釈して使用した。溶媒対照にはDMSOを用いた。
プラスチック製24ウエル培養プレート(Falcon)の各ウエルに1×104個/mlの骨芽細胞懸濁液100μl、培養液890μlならびに薬物溶液10μlを添加後、37℃および5%CO2/95%空気下で24時間培養後、遠心分離(300×g、5分間、20℃)して上清を得、サイトカイン測定用とした。薬物の最終濃度は、10−11、10−10および10−9Mとした。なお、実験には、各群3枚のシャーレを用いた。
(3)培養上清中サイトカイン量の測定
培養終了後の上清をSMRARTTM(Pharmacia Biotech,Uppsala,Sweden)を用いて約10倍に濃縮した。この検体中のサイトカイン量をマウスIL−1β、IL−6およびTNFα測定キット(CytoscreenTM,BioSource International,Camarillo,Calif.CA,USA)およびユーロピウム標識ストレプトアビジン(Pharmacia Biotech)を用いて測定した。その結果を表1〜表3に示す。
データは、ダネットの検定(Dunnett’s test)によって解析した。
コントロールからの有意差:*P<0.05 **P<0.01
データは、ダネットの検定(Dunnett’s test)によって解析した。
コントロールからの有意差:**P<0.01
データは、ダネットの検定(Dunnett’s test)によって解析した。
コントロールからの有意差:*P<0.05 **P<0.01
表1〜表3に示す結果より、卵巣摘出マウスの骨芽細胞から放出されるサイトカインにおいて、ジエノゲストは10−10M以上の濃度でIL−1β、IL−6、TNF−αの上清中サイトカイン量を有意に減少させた。また、無処理マウスの骨芽細胞から放出されるサイトカインにおいても、ジエノゲストはサイトカイン量を減少させた。一方、子宮内膜症治療剤であるMPAやダナゾールは10−9Mですべてのサイトカイン量を有意に増加させた。
実験例2:マウスの破骨細胞に対するピット形成への影響
(1)破骨細胞の採取および培養
破骨細胞は、タカダ(Takada)らの方法(ボーン・ミネラル(Bone Mineral)、第17巻、347〜359頁、1992年)に準じてマウスより得た。すなわち、13日齢ICRマウスを麻酔(ペントバルビタールナトリウム)下で放血致死させた後、両側大腿骨を摘出した。α−MEM培地(Gibco)中で大腿骨を骨ハサミで5分間細切し、さらに、ボルテックスミキサーを用いて30秒間攪拌した。細胞懸濁液を遠心分離(1000g、2分間、15℃)して上清を除去後、沈殿をα−MEM培地に懸濁して細胞数を1×107個/mlに調整した。
(2)薬物添加
購入した象牙片を精密低速切断機(BUEHLER社製)およびせん刀を用いて直径5.5mm、200μm厚の円形に加工した。これを蒸留水中で超音波処理し、活性炭処理したウシ胎児血清(大日本製薬)10%を含むα−MEM培地(培養液)に浸した。これを96ウエル培養プレート(ファルコン)の各ウエルに1枚ずつ添加して薬物溶液100μlを添加した。この上に、破骨細胞懸濁液1×106個(100μl)を播種後、5%CO2/95%空気下、37℃で3日間培養した。いずれの薬物についても最終濃度を10−11、10−10および10−9Mとした。なお、各濃度あたり5検体ずつ実験した。
(3)吸収能の測定
吸収能は、骨上の貧食面積を顕微鏡下で計測することにより求めた。すなわち、薬物処理後の象牙片をガーゼで拭い取り、30分間超音波洗浄機により洗浄後、酸ヘマトキシリン溶液(Sigma Chemical Co.,Ltd.)で5分間染色した。これを蒸留水で洗浄後、100倍の倍率下で貧食された吸収部分の面積を画像解析装置(ルーゼックス、ニレコ)にて計測した。1象牙片あたり9つの異なる部分を計測してその平均値を求めた。その結果を表4に示す。
データは、ダネットの検定(Dunnett’s test)によって解析した。
コントロールからの有意差:**P<0.01
表4に示す結果より、ジエノゲストはマウスの破骨細胞によるピット形成を有意に減少し顕著な骨吸収抑制作用が認められた。一方、MPAとダナゾールは、ピット形成に影響を与えなかった。
実験例3:マウスの破骨細胞に対するアポトーシス発生率への影響
(1)破骨細胞の調製
高橋らの報告(エンドクリノロジー(Endocrinology)、第122巻、1373〜1382頁、1988年)に準じた方法により、破骨細胞を調製した。すなわち、7週齢のSLC:ICR雌性マウス(SPF)を、ペントバルビタールナトリウム(25mg/kg、腹腔内投与)麻酔下、放血致死させた後、大腿骨を摘出した。この両端を切断し、1mlのα−MEM(Gibco)で骨髄を洗い出した。これをα−MEMで2回洗浄し、10%活性炭処理ウシ胎児血清含有α−MEM(培養液)に懸濁して1.5×106個/mlの細胞懸濁液を得た。
(2)薬物処理
24穴マイクロプレートに細胞懸濁液0.5mlを播種した。これに100ng/mlの副甲状腺ホルモン(Sigma Chemical Co.)を添加し、5%CO2/95%空気下、37℃で2日間培養した。非付着性細胞を除去後、各薬物溶液(最終濃度:10−11,10−10および10−9M)を培養液に添加して、さらに7日間培養した。なお、各薬物の各濃度ごと3枚のプレートを用いて実験した。
(3)アポトーシスの検出
細胞をリン酸緩衝生理食塩液(pH7.4、PBS)で洗浄後、0.25%トリプシン溶液で剥離し、サイトスピンにて塗抹標本を作製後、メチルアルコールで−20℃で7分間固定した。PBSで洗浄後、アポトーシス細胞は、ApopTagPlus InSitu Apoptosis Detection kitペルオキシダーゼ(Oncor、Gaithersburg、MD、USA)およびTSA−direct kit(Green FISH、NEN Life Science Products、Boston、MA)を用いて検出した。同時に、50U/mlRNase含有20μg/mlよう化プロピジウム(Sigma Chemical Co.)溶液で室温、15分間染色して核を染めた。共焦点レーザー走査蛍光顕微鏡(MRC−1000、BioRad)により、2個以上の核を有する細胞100個を観察し、アポトーシス陽性細胞数の出現数を求めた。その結果を表5に示す。
データは、ダネットの検定(Dunnett’s test)により解析にした。
コントロールからの有意差:**P<0.01
表5に示す結果より、ジエノゲストは破骨細胞において、10−9Mで有意にアポトーシス発生率を増加させた。一方、MPAとダナゾールは、アポトーシス発生率に影響を与えなかった。
実験例4:マウスの骨芽細胞のcAMP量への影響
実験例1の方法で得られた骨芽細胞を用いた。薬物処理条件も実験例1の記載に従って行った。培養した細胞のホモジネート(104個/ml)の上清を検体として用い、時間分解蛍光測定法により定量した。すなわち、96穴マイクロプレートの各穴にヤギ由来抗ウサギIgG抗体溶液100μlを添加し、20℃で1時間反応した。0.01%Tween80含有Tris緩衝液生理食塩液(洗浄液)で洗浄後、抗cAMP抗体溶液100μlを添加し、20℃で1時間反応させ、洗浄した。ブロックエース溶液でブロッキング後、洗浄し、検体溶液およびユーロピウム標識cAMP標識タンパク質溶液100μlを添加した。DELFIA洗浄液で洗浄後、増強試薬100μlを添加し、室温で5分間振とう後、時間分解蛍光測定装置で蛍光強度を測定した。予め作成した標準曲線より、cAMP量を算出した。その結果は図1に示す。図1のカラムは、左より、10−11、10−10、10−9Mの投与量をそれぞれ示す。
図1に示す結果より、マウス骨芽細胞内のcAMP量において、ジエノゲストは10−9M以上の濃度で有意に増加した。一方、MPAやダナゾールは、cAMP量に影響を与えなかった。
実験例5:マウスの骨芽細胞のPKA活性への影響
実験例1の方法により得られた骨芽細胞を用いた。薬物処理条件も実験例1の記載に従って行った。培養した細胞のホモジネート(104個/ml)の上清を検体として用い、時間分解蛍光測定法により定量した。すなわち、96穴マイクロプレートの各穴にPKA反応溶液(MBLキット)108μlを添加し、さらに検体溶液12μlを添加して、25℃で5分間反応した。反応停止液100μlを添加し、洗浄液で5回洗浄した。これにマウス由来抗YC抗体溶液100μlを添加し、25℃で30分間反応後、洗浄した。これにユーロピウム標識抗マウスIgG抗体溶液100μlを添加し、25℃で30分間反応後、DELFIA洗浄液で洗浄した。増強試薬100μlを添加し、室温で5分間振とう後、時間分解蛍光測定装置で蛍光強度を測定した。予め作成した標準曲線より、PKA活性値を算出した。その結果を図2に示す。図2のカラムは、左より、10−11、10−10、10−9Mの投与量をそれぞれ示す。
図2に示す結果より、ジエノゲストは10−9M以上の濃度でマウス骨芽細胞のPKA活性を有意に亢進したが、MPAとダナゾールは変化しなかった。
また、本発明骨吸収サイトカイン産生および分泌抑制剤の、毒性(安全性)については、今回のin vitroで有効性を示した用量から推定される臨床用量が、ドイツにおいて経口避妊薬としてすでに使用されている本薬物の臨床用量(1日投与量2mg)にほぼ匹敵する用量であり、且つ、単剤の子宮内膜症治療薬としての臨床治験(1日投与量1〜4mg)においても安全性が確認されていることから、何ら問題ないと考えられる。
以上の実験結果により、ジエノゲストが10−10M以上の濃度で卵巣摘出マウス由来の骨芽細胞からのIL−1β、IL−6、TNF−αの放出を抑制することが確認された。マウスの破骨細胞によるピット形成において、ジエノゲストは10−9Mで抑制効果を示したが、MPAやダナゾールは抑制効果を示さなかった。
また、破骨細胞におけるアポトーシス発生率で、ジエノゲストは10−9Mで増加を示すのに対し、MPAやダナゾールは変化しなかった。このことより、ジエノゲストは骨吸収サイトカイン産生抑制作用を示すことがわかった。さらに、ジエノゲストは10−9Mで、骨芽細胞のcAMP量を増加し、PKA活性を亢進したのに対して、MPAやダナゾールは変化しなかったことから、ジエノゲストは骨形成促進作用を有することがわかった。
次に本発明の剤の投与形態について述べる。本発明の骨吸収サイトカイン産生および/または分泌抑制剤は、有効成分として少なくともジエノゲストを有効量含有していればよく、通常製薬上許される担体とともに製造される。すなわち、本発明の剤は、医薬、獣医学上の組成物であり、少なくともジエノゲストと製薬上許容される担体とを含有している。適当な添加剤(製剤原料)、例えば乳糖やりん酸水素カルシウムなどの賦形剤、粉末セルロースやデキストリンやポリビニルアルコールなどの結合剤、カルボキシメチルセルロースやカルボキシメチルスターチなどの崩壊剤、ショ糖脂肪酸エステルやステアリン酸マグネシウムなどの滑沢剤、顔料などの着色剤、植物性香料などの矯味剤、安定化剤などが含まれていても良い。投与の形態としての具体例は、例えば錠剤、カプセル剤、顆粒剤、細粒剤、散剤、液体状の溶液または懸濁剤、乳濁剤、脂肪乳剤、軟膏剤、坐剤、さらにパッチ剤、テープ剤、皮肉埋め込み型等の徐放性製剤等の形態である。投与方法としては、経口的あるいは直腸内投与、膣内投与、経皮吸収、経粘膜吸収、静脈内投与、関節腔内、筋肉内投与または皮下投与等の非経口投与が挙げられる。また、注射剤、点眼剤による投与も考えられる。
投与量は、成人一日当り、約0.5〜10mg、好ましくは1〜5mgで一日当り1〜5回に分けて投与されるが、患者の年齢、体重、健康状態および投与経路により、投与量、投与回数ともに調節できる。
また、本発明の剤は、有効成分としてジエノゲストの他に、他の有効成分を含有することが可能である。他の有効成分としては、好ましくは、骨粗鬆症治療剤、抗リウマチ薬、悪性腫瘍に伴う高カルシウム血症の治療に用いる抗腫瘍剤などである。具体的には、骨粗鬆症治療剤として、活性型ビタミンD3、カルシトニン、エストロゲン、カルシウム製剤、イプリフラボン、エストリオール、副甲状腺ホルモン製剤、ビタミンK、フッ化ナトリウム、ビスホスホネートなどがある。抗リウマチ薬としては、インドメタシン、ケトプロフェンなどの非ステロイド性抗炎症薬、オーラノフィンなどの経口金製剤、ペニシラミンなどがある。抗腫瘍剤としては、シクロフォスファミドなどのアルカリ化薬、アメトプテリンなどの代謝拮抗薬、マイトマイシンなどの抗生物質、植物アルカロイドなどがある。
さらに、本発明の剤は、IL−1、IL−6、TNF−αのいずれかの産生および/または分泌を抑制する作用を有する薬物との併用も可能である。
投与形態としては、ジエノゲストと他の化合物とを含有する製剤でもよいし、それぞれを別に投与してもよい。また、患者に対して、ジエノゲストと当該化合物を同時に投与するほか、従来の治療剤の漸減、離脱や、従来の治療剤の休薬期間中の使用などが有り得る。
以下に、本発明の実施例を示す。なお、本発明は、以下の実施例に何ら限定されるものではない。
(実施例1)
ジエノゲスト 2.0g
乳糖 87.0g
コーンスターチ 6.0g
ステアリン酸マグネシウム 5.0g
上記成分を混合し、100mgずつを日本薬局方3号カプセルに封入し、カプセル剤となす。
(実施例2)
ジエノゲスト 0.4g
乳糖 91.6g
コーンスターチ 50.0g
タルク 3.0g
ステアリン酸マグネシウム 5.0g
上記成分を適宜混合し、湿式顆粒圧縮法により1錠当りジエノゲスト0.40mgを含有する150mgの錠剤となす。
(実施例3)
ジエノゲスト 1.0g
ポリソルベート80 1.0g
ウィテップゾール(S−55) 98.0g
上記成分を加温下練合し、プラスチックパッケージに封入して、1個当り重量1.0gの坐剤となす。
産業上の利用可能性
本発明の骨吸収サイトカイン産生および/または分泌抑制剤は、強力な骨吸収サイトカイン産生および/または分泌抑制活性を有し、RA、変形性関節症、悪性腫瘍に伴う高カルシウム血症、骨粗鬆症或いは糖尿病などのIL−1、IL−6、TNF−αの産生および/または分泌異常に起因する疾患の予防または治療効果を発揮し得る。本発明の剤は、RA因子CRPの亢進、フィブリノーゲン、血小板数貧血アルブミン低下等の臨床検査値を改善するのみならず、疼痛、腫脹の自覚症状も改善する。さらには、破骨細胞の活性を抑制し、RAの治療剤となりうる。また、本発明の剤は、骨吸収抑制作用を有するのみならず、骨形成促進作用を有することから、老人性骨粗鬆症、続発性骨粗鬆症の治療剤となり得る。さらに、本発明の剤は、ダナゾールの副作用である骨量減少を軽減し得る。本発明の薬剤は、単独で用いられる他に、従来の骨粗鬆症治療剤、抗リウマチ剤、高カルシウム血症治療剤と併用することが可能である。また、本発明の薬剤は、試薬としても有用である。さらに、本発明の薬剤は、副作用が少なく、長期間投与することができる。
【図面の簡単な説明】
図1は、実験例4のcAMP量を示すグラフである。
図2は、実験例5のPKA活性を示すグラフである。
Claims (1)
- ジエノゲストまたはその溶媒和物を有効成分として含有することを特徴とする、老人性骨粗鬆症または続発性骨粗鬆症の予防および/または治療剤。
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