近年、被検査基板の検査点のピッチは非常に微細になっており、又、検査点の数も多く、上述のような基板検査装置においては、検査用接触子31は、例えば数千本程度用いられている。また、これに対応して、ワイヤーケーブル82も例えば数千本程度用いられ、ワイヤーケーブル82と接続部81及び接続部83にそれぞれ形成された電極とを接続する作業は、手作業で行われているため、膨大な作業時間を要し、検査効率低下の要因となっている。
特に、異なる種類の基板を検査する場合、配線パターン上の検査点の配置も異なるため、検査点の配置に対応して検査用接触子31を保持する保持治具32を変更し、新たに検査用接触子31とスキャナ4とを接続部81及び接続部83を介してワイヤーケーブル82によって接続し直さなければならないため、ワイヤーケーブル82の接続作業に要する作業時間の増大が顕著となる。
本発明は、上記の課題に鑑みて為されたものであり、検査用接触子と検査処理部とを容易に接続することができる接続治具を効率的に製造することの可能な製造方法を提供することを目的としている。
請求項1に記載の接続治具の製造方法は、多針状に保持され、被検査基板の配線パターン上に設定された複数の検査点に、それぞれの先端部が同時に圧接される複数の検査用接触子の各基端部と、前記複数の検査点から前記検査用接触子を介して取得した検査用の信号に基づいて前記配線パターンの良否検査を行う検査処理部に配設された複数の入力端子とをそれぞれ通電可能に接続する接続治具の製造方法であって、絶縁被覆された導電性材料からなる導線の一方端を、第1基板の一方面上の前記検査用接触子の基端部に対応する位置に接続すると共に、前記導線の他方端を第2基板の一方面上の前記検査処理部の入力端子に対応する位置に接続する接続工程と、前記第1基板の一方面における前記導線の接続部を樹脂モールドするモールド工程と、樹脂モールドされた前記導線の接続部から前記導線の一方端側を露出させる露出工程とを有し、前記第2基板は、前記検査処理部の入力端子に対応する位置であって、且つ、両面の対向位置に電気的に連通された電極が形成されており、前記接続工程は、前記導線の他方端を前記一方面上に配設された電極に接続するものであることを特徴としている。
この製造方法によれば、接続工程において、絶縁被覆された導電性材料からなる導線の一方端が、第1基板の一方面上の前記検査用接触子の基端部に対応する位置に接続されると共に、導線の他方端が第2基板の一方面上での検査処理部の入力端子に対応する位置に接続される。そして、モールド工程において、前記第1基板の一方面における前記導線の接続部が樹脂モールドされる。更に、露出工程において、樹脂モールドされた前記導線の接続部から前記導線の一方端側が露出される。
このようにして、絶縁被覆された導電性材料からなる導線の一方端が、接続工程において、第1基板の一方面上の検査用接触子の基端部に対応する位置に接続され、モールド工程において、その接続部が樹脂モールドされ、更に、露出工程において、樹脂モールドされた接続部から導線の一方端側が露出される。そこで、導線の一方端側は、検査用接触子の基端部に対応する位置にモールドされた樹脂内に固定された状態で露出されるため、樹脂から露出した導線の一方端側は検査用接触子の基端部と電気的に導通する電極として機能する。また、絶縁被覆された導電性材料からなる導線の他方端が、接続工程において、第2基板の一方面上での検査処理部の入力端子に対応する位置に接続されるため、検査処理部の入力端子と電気的に導通する電極として機能する。
従って、樹脂から露出した導線の一方端側が検査用接触子の基端部と電気的に導通する電極として機能し、導線の他方端が、検査処理部の入力端子と電気的に導通する電極として機能するため、検査用接触子と検査処理部とを容易に接続することが可能となる。また、接続工程において導線の両端は第1基板及び第2基板上に接続すればよいため、従来のように手作業によって接続する必要はなく、接続作業の自動化(機械化:例えば、後述するボンディングマシンの適用)が可能となり、上述のように機能する接続治具が効率的に製造される。
一方、被検査基板の検査点のピッチが微細である場合には、検査用接触子の基端部のピッチも微細となるため、従来のように、ワイヤーケーブル82を接続部81に接続する場
合には接続強度の確保が困難となる。これに対して、上述の接続治具においては、導線の一方端側が検査用接触子の基端部に対応する位置にモールドされた樹脂内に固定された状態で露出されて電極として機能するため、導線の一方端側の第1基板への接続強度が小さい場合にも、モールド工程で外れることがない程度の接続強度を確保すれば充分であるため、接続作業の自動化(機械化:例えば、後述するボンディングマシンの適用)が容易となる。
また、第2基板が、検査処理部の入力端子に対応する位置であって、且つ、両面の対向位置に電気的に連通された電極が形成されており、接続工程において、導線の他方端が一方面上に配設された電極に接続される。
従って、第2基板が、検査処理部の入力端子に対応する位置であって、且つ、両面の対向位置に電気的に連通された電極が形成されているため、接続工程において、導線の他方端を一方面上に配設された電極に接続する作業が容易となる。また、このようにして製造された接続治具は、第2基板の他方面上に配設された電極を検査処理部の入力端子に接続することによって、導線の他方端を検査処理部の入力端子に接続することができるため、更に、検査用接触子と検査処理部とを容易に接続することが可能となる。
請求項2に記載の接続治具の製造方法は、前記露出工程が、樹脂モールドされた前記導線の接続部から前記第1基板を分離して前記導線の一方端側を露出させるものであることを特徴としている。
この製造方法によれば、露出工程において、樹脂モールドされた導線の接続部から第1基板が分離されて導線の一方端側が露出されるため、露出工程が効率的に実行される。例えば、モールドした樹脂から第1基板を剥離して(または、研削して)除去すればよい。
請求項3に記載の接続治具の製造方法は、前記モールド工程が、前記第2基板の一方面における前記導線の接続部を樹脂モールドするものであることを特徴としている。
この製造方法によれば、モールド工程において、第2基板の一方面における導線の接続部が樹脂モールドされるため、第2基板の一方面における導線の接続部の接続強度が向上される。
請求項4に記載の接続治具の製造方法は、前記モールド工程が、前記第1基板及び第2基板の表面における前記導線の接続部を一体として樹脂モールドするものであることを特徴としている。
この製造方法によれば、モールド工程において、第1基板及び第2基板の表面における導線の接続部が一体として樹脂モールドされるため、モールド工程を実行するために必要な作業時間が短縮される。
請求項5に記載の接続治具の製造方法は、前記モールド工程が、前記第1基板の一方面と第2基板の一方面とを同一方向に向けた状態で樹脂モールドするものであることを特徴としている。
この製造方法によれば、モールド工程において、第1基板の一方面と第2基板の一方面とが同一方向に向けられた状態で樹脂モールドされるため、接続工程における第1基板及び第2基板の相対位置を固定したままの状態で(または、第1基板及び第2基板の相対位置の変更量を低減して)樹脂モールドを行うことが可能となり、更に効率的に製造することが可能となる。
請求項6に記載の接続治具の製造方法は、多針状に保持され、被検査基板の配線パターン上に設定された複数の検査点に、それぞれの先端部が同時に圧接される複数の検査用接触子の各基端部と、前記複数の検査点から前記検査用接触子を介して取得した検査用の信号に基づいて前記配線パターンの良否検査を行う検査処理部に配設された複数の入力端子とをそれぞれ通電可能に接続する接続治具の製造方法であって、絶縁被覆された導電性材料からなる導線の一方端を、第1基板の一方面上の前記検査用接触子の基端部に対応する位置に接続すると共に、前記導線の他方端を第2基板の一方面上の前記検査処理部の入力端子に対応する位置に接続する接続工程と、前記第1基板の一方面における前記導線の接続部を樹脂モールドするモールド工程と、樹脂モールドされた前記導線の接続部から前記導線の一方端側を露出させる露出工程とを有し、前記モールド工程は、前記第1基板の一方面と第2基板の一方面とを対向させた状態で、前記第1基板及び第2基板の表面における前記導線の接続部を一体として樹脂モールドするものであり、前記露出工程は、樹脂モールドされた前記導線の接続部から前記第1基板を分離して前記導線の一方端側を露出させるものであることを特徴としている。
この製造方法によれば、モールド工程において、第1基板の一方面と第2基板の一方面とが対向された状態で樹脂モールドされるため、モールドに必要な樹脂の量が低減され、接続治具の製造コストが削減される。
請求項7に記載の接続治具の製造方法は、前記露出工程が、樹脂モールドされた前記導線の接続部から前記導線の他方端側を露出させるものであることを特徴としている。
この製造方法によれば、モールド工程において、第2基板の一方面における導線の接続部が樹脂モールドされ、露出工程において、樹脂モールドされた導線の接続部から導線の他方端側が露出される。
従って、樹脂から露出した導線の他方端側は、一方端側と同様に、検査処理部の入力端子と電気的に導通する電極として機能するため、検査用接触子と検査処理部とを更に容易に接続することができる接続治具が得られる。また、導線の他方端側の第2基板への接続強度が小さい場合にも、モールド工程で外れることがない程度の接続強度を確保すれば充分であるため、接続作業の自動化(機械化:例えば、後述するボンディングマシンの適用)が容易となる。
請求項8に記載の接続治具の製造方法は、前記接続工程が、前記導線の端部と第1基板及び第2基板の少なくとも一方との接続を、金属接合によって行うものであることを特徴としている。
この製造方法によれば、接続工程において、導線の端部と第1基板及び第2基板の少なくとも一方との接続が、金属接合によって行われる。
請求項9に記載の接続治具の製造方法は、前記接続工程が、前記導線の端部と第1基板及び第2基板の少なくとも一方との接続を、溶接によって行うものであることを特徴としている。
この製造方法によれば、接続工程において、導線の端部と第1基板及び第2基板の少なくとも一方との接続が、溶接によって行われる。
請求項10に記載の接続治具の製造方法は、前記接続工程が、前記導線の端部と第1基板及び第2基板の少なくとも一方との接続を、超音波接合によって行うものであることを特徴としている。
この製造方法によれば、接続工程において、導線の端部と第1基板及び第2基板の少なくとも一方との接続が、超音波接合によって行われる。
請求項11に記載の接続治具の製造方法は、前記接続工程が、前記導線の端部と第1基板及び第2基板の少なくとも一方との接続を、ワイヤボンディングによって行うものであることを特徴としている。
この製造方法によれば、接続工程において、導線の端部と第1基板及び第2基板の少なくとも一方との接続が、ワイヤボンディングによって行われる。
従って、導線の端部と第1基板及び第2基板の少なくとも一方との接続が、金属接合(または、溶接、超音波接合、ワイヤボンディング)によって行われるため、金属接合(または、溶接、超音波接合、ワイヤボンディング)を用いる場合には、接続点を1点接続するのに要する時間が短く、接続作業が更に効率的に行われると共に、強い接続強度が得られる。
請求項12に記載の接続治具の製造方法は、前記接続工程が、前記導線の他方端と第2基板との接続を、ワイヤボンディングによって前記導線の他方端部に前記導線の線径より径大のボールを形成するべく行うものであることを特徴としている。
この製造方法によれば、接続工程において、導線の他方端と第2基板との接続が、ワイヤボンディングによって導線の他方端部に導線の線径より径大のボールを形成するべく行われる。
従って、導線の他方端部に導線の線径より径大のボールが形成されるため、接続部の接続強度が向上する。また、導線の他方端部を樹脂から露出させて電極として機能させる場合(請求項7に記載の発明の場合)には、導線の他方端部と検査処理部に配設された複数の入力端子との位置合わせの要求精度を低減することが可能となるため、導線の他方端部と検査処理部の入力端子との接続作業が更に容易となる。
請求項13に記載の接続治具の製造方法は、前記接続工程が、前記導線の端部と第1基板及び第2基板の少なくとも一方との接続を、有機接着剤を用いた接着によって行うものであることを特徴としている。
この製造方法によれば、接続工程において、導線の端部と第1基板及び第2基板の少な
くとも一方との接続が、有機接着剤を用いた接着によってわれるため、接続作業が効率的に行われる。
請求項14に記載の接続治具の製造方法は、前記露出工程が、前記露出された導線の表面に酸化防止処理を施すものであることを特徴としている。
この製造方法によれば、露出工程において、露出された導線の表面に酸化防止処理が施されるため、露出された導線の表面が酸化することに伴う電気的な接触状態の悪化が抑制される。
請求項15に記載の接続治具の製造方法は、前記露出工程が、前記酸化防止処理としてメッキ処理を施すものであることを特徴としている。
この製造方法によれば、露出工程において、酸化防止処理としてメッキ処理が施されるため、酸化防止処理が効率的に行われる。
請求項1に記載の接続治具の製造方法によれば、樹脂から露出した導線の一方端側が検査用接触子の基端部と電気的に導通する電極として機能し、導線の他方端が、検査処理部の入力端子と電気的に導通する電極として機能するため、検査用接触子と検査処理部とを容易に接続することができる。また、接続工程において導線の両端は第1基板及び第2基板上に接続すればよいため、従来のように手作業によって接続する必要はなく、接続作業
の自動化(機械化:例えば、後述するボンディングマシンの適用)が可能となり、上述のように機能する接続治具を効率的に製造できる。
また、第2基板が、検査処理部の入力端子に対応する位置であって、且つ、両面の対向位置に電気的に連通された電極が形成されているため、接続工程において、導線の他方端を一方面上に配設された電極に接続する作業を容易に行うことができる。また、このようにして製造された接続治具は、第2基板の他方面上に配設された電極を検査処理部の入力端子に接続することによって、導線の他方端を検査処理部の入力端子に接続することができるため、更に、検査用接触子と検査処理部とを容易に接続することができる。
請求項2に記載の接続治具の製造方法によれば、露出工程において、樹脂モールドされた導線の接続部から第1基板が分離されて導線の一方端側が露出されるため、露出工程を効率的に実行できる。例えば、モールドした樹脂から第1基板を剥離して(または、研削して)除去すればよい。
請求項3に記載の接続治具の製造方法によれば、モールド工程において、第2基板の一方面における導線の接続部が樹脂モールドされるため、第2基板の一方面における導線の接続部の接続強度を向上できる。
請求項4に記載の接続治具の製造方法によれば、モールド工程において、第1基板及び第2基板の表面における導線の接続部が一体として樹脂モールドされるため、モールド工程を実行するために必要な作業時間を短縮できる。
請求項5に記載の接続治具の製造方法によれば、モールド工程において、第1基板の一方面と第2基板の一方面とが同一方向に向けられた状態で樹脂モールドされるため、接続工程における第1基板及び第2基板の相対位置を固定したままの状態で(または、第1基板及び第2基板の相対位置の変更量を低減して)樹脂モールドを行うことが可能となり、更に効率的に製造することができる。
請求項6に記載の接続治具の製造方法によれば、モールド工程において、第1基板の一方面と第2基板の一方面とが対向された状態で樹脂モールドされるため、モールドに必要な樹脂の量が低減され、接続治具の製造コストを削減できる。
請求項7に記載の接続治具の製造方法によれば、樹脂から露出した導線の他方端側は、一方端側と同様に、検査処理部の入力端子と電気的に導通する電極として機能するため、検査用接触子と検査処理部とを更に容易に接続することができる接続治具を製造できる。また、導線の他方端側の第2基板への接続強度が小さい場合にも、モールド工程で外れることがない程度の接続強度を確保すれば充分であるため、接続作業の自動化(機械化:例えば、後述するボンディングマシンの適用)が容易にできる。
請求項8〜11のいずれかに記載の接続治具の製造方法によれば、導線の端部と第1基板及び第2基板の少なくとも一方との接続が、金属接合(または、溶接、超音波接合、ワイヤボンディング)によって行われるため、金属接合(または、溶接、超音波接合、ワイヤボンディング)を用いる場合には、接続点を1点接続するのに要する時間が短く、接続作業を更に効率的に行い得ると共に、強い接続強度が得ることができる。
請求項12に記載の接続治具の製造方法によれば、導線の他方端部に導線の線径より径大のボールが形成されるため、接続部の接続強度を向上できる。また、導線の他方端部を樹脂から露出させて電極として機能させる場合(請求項7に記載の発明の場合)には、導線の他方端部と検査処理部に配設された複数の入力端子との位置合わせの要求精度が低下するため、導線の他方端部と検査処理部の入力端子との接続作業を更に容易化できる。
請求項13に記載の接続治具の製造方法によれば、接続工程において、導線の端部と第1基板及び第2基板の少なくとも一方との接続が、有機接着剤を用いた接着によってわれるため、接続作業を効率的に行うことができる。
請求項14に記載の接続治具の製造方法によれば、露出工程において、露出された導線の表面に酸化防止処理が施されるため、露出された導線の表面が酸化することに伴う電気的な接触状態の悪化を抑制できる。
請求項15に記載の接続治具の製造方法によれば、露出工程において、酸化防止処理としてメッキ処理が施されるため、酸化防止処理を効率的に行い得る。
以下、本発明に係る実施形態を図面に基づいて説明する。なお、各図において同一の符号を付した構成は、同一の構成であることを示し、その説明の重複を避ける。図1は、本発明の一実施形態に係る基板検査装置の構成の一例を示す模式図である。図1に示す基板検査装置1は、図略の保持機構により検査位置に保持された検査対象の基板2における上面及び下面にそれぞれ形成された配線パターンの検査を行うための検査ユニット3(一部が接続治具に相当する)、スキャナ4(検査処理部の一部に相当する)、テスターコントローラ5(検査処理部の一部に相当する)、制御部6、及び、操作パネル7を備えている。
また、上側及び下側の検査ユニット3は、それぞれ多針状に保持された複数(例えば、2000本)の接触子31(検査用接触子に相当する)を備えている。上側及び下側の検査ユニット3がそれぞれ備える接触子31の先端部は、基板2の上面及び下面にそれぞれ形成された配線パターン上における例えばランドやパッド等からなる検査点の位置に対応して配列され、保持されている。
そして、図略の昇降機構により、上側の検査ユニット3が下降され、検査ユニット3における複数の接触子31の先端部が検査位置に保持された基板2の上面に形成された配線パターン上の検査点に、それぞれ接触する。また、図略の昇降機構により、下側の検査ユニット3が上昇され、検査ユニット3における複数の接触子31の先端部が検査位置に保持された基板2の下面に形成された配線パターン上の検査点に、それぞれ接触する。一方、上側及び下側の検査ユニット3の接触子31の基端部は、それぞれスキャナ4と通電可能に接続されている。
なお、上側の検査ユニット3と下側の検査ユニット3とは、概ね上下対称に配設されている他、略同一の構成であるので、以下、下側の検査ユニット3について説明し、上側の検査ユニット3についての説明を省略する。
次に、上述のように構成された基板検査装置1の動作について説明する。オペレータ等によって操作パネル7が外部から操作されて検査開始指示が入力されると、制御部6からの制御信号に応じて図略の昇降機構により下側の検査ユニット3が上昇され、上側の検査ユニット3が下降され、接触子31が基板2に圧接される。そして、制御部6から検査指示信号がテスターコントローラ5へ出力され、テスターコントローラ5からスキャナ4へ制御信号が出力される。更に、テスターコントローラ5からの制御信号に応じて、スキャナ4によって、接触子31を介して基板2の配線パターン上の検査点に検査用の信号が順次出力され、それに応じて配線パターン上の検査点から検査用の信号が取得される。そして、この検査用の信号に基づいて、制御部6によって、検査点間の導通の有無などが検出され、基板2の配線における断線や短絡の有無等の基板の検査が行われる。
<第1実施形態の接続治具及びその製造方法>
以下、図2〜図4を参照して、第1実施形態に係る接続治具及びその製造方法を説明する。図2は、第1実施形態の接続治具を備える検査ユニット3の構成の一例を説明するための断面図である。(a)は、下側の検査ユニット3の全体の断面図であり、(b)は、接触子31を保持する保持治具32の断面図である。検査ユニット3は、接触子31を多針状に保持する保持治具32と、保持治具32を支持すると共に保持治具32の接触子31の基端部をスキャナ4の入力端子41と電気的に接続する接続治具33とを備えている。接続治具33は、上面電極332と、下面電極333と、上面電極332及び下面電極333を通電可能に接続するエナメル等で絶縁被覆された導電性材料(例えば、Cu(銅)等)からなる導線331とを備えている。また、スキャナ4の上面に、入力端子41が設けられている。
(b)に示すように、保持治具32は、接触子31と、接触子31を拘束して保持する板状のガイドプレート321,322,323と、ガイドプレート321,322,323を平行に支持する支柱324とを備えている。ガイドプレート321,322,323には、それぞれ略円形状の挿通孔325,326,327が形成されている。また、ガイドプレート321の挿通孔325は、基板2の検査点と対応する位置に形成されている。この場合、挿通孔325は、基板2の検査点位置間隔に合わせて例えば100μm間隔にされており、挿通孔325の直径は、例えば70μmにされている。一方、ガイドプレート323の挿通孔327は、接続治具33上面の上面電極332の位置と対応する位置に形成されている。この場合、挿通孔327の間隔は、挿通孔325と同程度であり、例えば100μm程度の間隔にされている。
そして、挿通孔325,326,327に接触子31が挿通されることにより、挿通孔325,326,327によって接触子31が拘束されると共に、接触子31の先端部が基板2の検査点と対応する位置に導かれ、接触子31の基端部が上面電極332と対応する位置に導かれている。また、ガイドプレート323を接続治具33側にして、保持治具32と接続治具33とが連結され、接触子31の基端部がそれぞれ上面電極332と通電可能に接触すると共に、接触子31の先端部は保持治具32の上面からわずかに突出しており、保持治具32が基板2の方向に圧接されることに伴って、接触子31の先端部が基板2の検査点に通電可能に圧接される。
接続治具33の上面には接触子31の基端部とそれぞれ接触する上面電極332が設けられており、この上面電極332は接続治具33を上下に貫通する導線331を介して接続治具33の下面に設けられた下面電極333と通電可能に接続され、上面電極332、下面電極333、及び、導線331が、絶縁材料(例えば樹脂)334によって一体に固結されている。
上記の第1実施形態の接続治具33によれば、接続治具33と保持治具32とを所定の位置に取り付けることにより、接触子31とスキャナ4とをワイヤーケーブルを用いずに通電可能に接続することができるので、接触子31とスキャナ4との接続に要する作業時間を低減することができる。また、手作業で接触子31とスキャナ4との間を一本ずつワイヤーケーブルによって接続する必要がないので、人為的ミスによる誤配線を回避することができ、基板検査装置1の信頼性を向上させることができる。また、接続治具33は、上面電極332、下面電極333、及び、導線331が樹脂334によって一体に固結されているので、例えば異なる基板を検査するために検査点の配置や接触子31の基端部の位置の配置が変わった場合であっても、その配置に合わせた接続治具33に交換することによって新たな基板の検査を行うことができるので、新たにワイヤーケーブルによる配線作業を行う必要がなく、配線作業の作業時間を低減することができる。
なお、上面電極332及び下面電極333の配列は、それぞれ接触子31の基端部の配列及び入力端子41の配列に合わせて接続治具33を構成し、保持治具32の種類やスキャナ4の種類に応じて接続治具33を作成しても良いが、被検査基板2における検査点の配列との関係で事情が許せば、例えば上面電極332及び下面電極333の配列を格子状に配列した接続治具33を用いて、接触子31の基端部の配列及び入力端子41の配列を接続治具33の上面電極332及び下面電極333の配列に合わせて格子状にするようにし、保持治具32によって、基板2の検査点の配置と上面電極332の配置との位置の調整を行っても良い。これにより、接続治具33を複数種類の基板2の検査において共通に使用することができ、異なる種類の基板を検査する場合であっても、新たに接続治具33を作成する必要がなくなる。
次に、第1実施形態に係る接続治具33の製造方法について説明する。図3は、第1実施形態に係る接続治具33の製造方法の一例を説明するための断面図である。(a)は、第1の工程である接続工程を示す断面図であり、(b)及び(c)は、第2の工程であるモールド工程を示す断面図であり、(d)は、第3の工程である露出工程を示す断面図である。
(a)に示すように、接続工程において、導線331の一方端332(上述の上面電極332として機能するため同一の参照符号を用いている)を、第1基板91の一方面上の接触子31の基端部に対応する位置(例えば、100μm間隔)に接続すると共に、導線331の他方端333(上述の下面電極333として機能するため同一の参照符号を用いている)を第2基板の一方面上のスキャナ4の入力端子41に対応する位置(例えば、1mm間隔)に接続する。第1基板91及び第2基板92は、例えば、平板状の銅(Cu)等の金属からなり、第1基板91及び第2基板92の一方面上への導線331の一方端332及び他方端333の接続は、例えば、いわゆるボンディングマシン(ボンダともいう)を用いた超音波接合法の1種であるワイヤボンディング法(接合母材表面に超音波振動を付与することによって、接触面に摩擦を起こさせ、その摩擦熱で接合する超音波溶接法であって、ここでは、金(Au)からなるワイヤの先端に形成された融滴に加熱されたツールを押し付けて接合する接合方法)によって行われる。
なお、ワイヤボンディング法によって第1基板91及び第2基板92の一方面上への導線331の一方端332及び他方端333の接続を行うことにより、短時間で効率的に接続することが可能となると共に、強い接続強度が実現されるため接続工程の後の製造工程において接続が外れる等のトラブルの発生が抑制される。また、ボンディングマシンを用いることにより、導線331の一方端332及び他方端333を、それぞれ、接触子31の基端部に対応する位置及びスキャナ4の入力端子41に対応する位置に正確に且つ効率的に接続することが可能となる。
更に、導線331の他方端333と第2基板92との接続が、ワイヤボンディング法によって導線331の他方端部333に導線の線径より径大のボールを形成するべく行われる場合には、導線331の他方端部333に導線331の線径(例えば、直径70μm)より径大(例えば、直径100μm)のボールが形成されるため、接続部の接続強度が向上する。また、導線331の他方端部333と入力端子41との位置合わせの要求精度を低減することが可能となるため、導線331の他方端部333と入力端子41との接続作業が更に容易となる。
つぎに、(b)に示すように、導線331の一方端332が接続されている第1基板91の一方面と導線331の他方端333が接続されている第2基板92の一方面とを対向させて配置した状態で、(c)に示すように、絶縁性の樹脂93を所定の金型に充填することによってモールドされる。
そして、(d)に示すように、導線331の一方端332及び他方端333が露出させるべく、樹脂94の一部及び第1基板91及び第2基板92が、例えば研磨等の方法で除去される。樹脂モールドされた導線331の一方端332及び他方端333と、第1基板91及び第2基板92との接続部から、第1基板91及び第2基板92をそれぞれ分離可能な場合には、露出工程が効率的に実行される。例えば、モールドした樹脂94から第1基板91及び第2基板92を剥離して(または、研削して)除去すればよい。
露出した導線331の一方端332及び他方端333は、それぞれ、上面電極332及び下面電極333として機能する。さらに、上面電極332及び下面電極333の表面に、例えばニッケル(Ni)や、金(Au)によるメッキ処理を施すことにより、上面電極332及び下面電極333に酸化防止処理が施される。このように、露出された導線331の表面に酸化防止処理が施されるため、露出された導線331の表面が酸化することに伴う電気的な接触状態の悪化が抑制される。
上述の接続治具33の製造方法によれば、導線331の一方端332及び他方端333がモールドされた樹脂334内に固定された状態で露出されて、それぞれ上面電極332及び下面電極333として機能するため、導線331の一方端332及び他方端333の第1基板91及び第2基板92へのそれぞれの接続強度が小さい場合にも、モールド工程で外れることがない程度の接続強度を確保すれば充分であるため、接続作業の自動化(機械化:例えば、上述のボンディングマシンの適用)が容易となる。
また、露出工程において、樹脂モールドされた導線331の接続部から、第1基板91が分離されて導線の一方端側332が露出され、第2基板92が分離されて導線の他方端側333が露出されるため、露出工程が効率的に実行される。
更に、モールド工程において、第1基板91及び第2基板92の表面における導線331の接続部が一体として樹脂モールドされるため、モールド工程を実行するために必要な作業時間が短縮される。加えて、モールド工程において、第1基板91の一方面と第2基板92の一方面とが対向された状態で樹脂モールドされるため、モールドに必要な樹脂93の量が低減され、接続治具33の製造コストが削減される。
図4は、導線331と第1基板91との接続方法を説明する断面図である。ここでは、便宜上、導線331の一方端332と第1基板91との接続方法について説明するが、導線331他方端333と第2基板92のとの接続方法も同様である。(a)は、(b)〜(d)と比較するために図3を用いて説明したワイヤボンディングを用いる場合を再掲したものであり、(b)は、溶接(溶接:金属と金属と局部的に融着させる接合方法であって、融接、圧接、ろう接に大別される)を用いる場合であり、(c)は接着(接着:固体間の結合を有機接着剤を介して果たす接合方法である)を用いる場合であり、(d)は貫通口への挿通を用いる場合である。(a)〜(d)において、左端の図(a−1)〜(d−1)は、接合工程を説明する図であり、中央位置の図(a−2)〜(d−2)は、モールド工程を説明する図であり、右端の図(a−3)〜(d−3)は、露出工程を説明する図である。
(b−1)において、第1基板91aは、(a)の場合と同様に、銅(Cu)等の金属からなり、第1基板91aの表面に導線331の一方端332が溶接によって接合される。溶接によって接合されるため、ワイヤボンディングと同等に(あるいはそれ以上に)接続点を1点接続するのに要する時間が短く、接続作業が更に効率的に行われると共に、強い接続強度が得られる。(b−2)に示すモールド工程及び(b−3)に示す露出工程は、ワイヤボンディングの場合と同様であるので説明を省略する。
(c−1)において、第1基板91bは、銅(Cu)等の金属または樹脂、ガラス等からなり、第1基板91bの表面に導線331の一方端332が接着によって接合される。接着によって接合されるため、有機接着剤の固結時間(固まるまでに要する時間)によって接続点を1点接続するのに要する時間が大きく変化すると共に、有機接着剤の接着強度によって接続強度が大きく変化する。固結時間が短く且つ接着強度の強い有機接着剤を選定することによって、ワイヤボンディングと同等に接続作業が効率的に行われる得る。(c−2)に示すモールド工程及び(c−3)に示す露出工程は、ワイヤボンディングの場合と同様であるので説明を省略する。
(d−1)において、第1基板91cは、銅(Cu)等の金属または樹脂、ガラス等からなり、第1基板91bに予め形成された導線331の線径(例えば、70μm)より径大(例えば、80μm)の貫通孔に導線331の一方端332を挿通することによって接合される。接合作業は、予め形成された貫通口に導線331の一方端332を挿通するだけであるので接続作業が効率的に行われる。(d−2)に示すモールド工程では、貫通口に挿通された導線331の一方端332の先端を含むようにモールドされ、(d−3)に示す露出工程では、全ての導線331の一方端332の先端が露出するまで(ここでは、第1基板91cの下面位置)まで研磨等によって樹脂が除去される。この方法では、導線331の線径と貫通孔との径との差によって決定するクリアランスの大きさによって、接合強度が大きく変化する。接合強度を確保する観点からは、貫通口への導線331の一方端332の挿通作業が可能な範囲で、クリアランスを小さくすることが好ましい。
なお、(b)〜(d)に示す方法で形成された上面電極332の表面には、(a)と同様に、例えばニッケル(Ni)や、金(Au)によるメッキ処理を施すことにより、上面電極332に酸化防止処理が施される。このように、露出された導線331の表面に酸化防止処理が施されるため、露出された導線331の表面が酸化することに伴う電気的な接触状態の悪化が抑制される。
<第2実施形態の接続治具及びその製造方法>
以下、図5、6を参照して、第2実施形態に係る接続治具及びその製造方法を説明する。図5は、第2実施形態の接続治具を備える検査ユニット3の構成の一例を説明するための断面図である。検査ユニット3は、接触子31を多針状に保持する保持治具32と、保持治具32を支持すると共に保持治具32の接触子31の基端部をスキャナ4の入力端子41と電気的に接続する接続治具34とを備えている。接触子31、保持治具32及びスキャナ4は、図2に示す第1実施形態と同一の構成であるので説明を省略する。
図5に示すように、接続治具34は、上面に接触子31の基端部とそれぞれ接触する上面電極342が設けられており、この上面電極342は接続治具34を上下に貫通する導線331を介して接続治具34の下面に設けられた第2基板35の上面電極351の適所に接続されている。ここで、第2基板35は、スキャナ4の入力端子41に対応する位置であって、且つ、両面の対向位置に導線353を介して電気的に連通された上面電極351及び下面電極352が形成されたものである。また、第2基板35は、樹脂、ガラス等の絶縁材料からなる基台に、銅(Cu)等の導電性材料からなる上面電極351、下面電極352、及び、導線353がスキャナ4の入力端子41に対応する位置に配設されたものである。そして、上面電極342、導線341、及び、第2基板35の上面電極351が、絶縁材料(例えば樹脂)334によって一体に固結されている。
上記の第2実施形態の接続治具34によれば、接続治具34と保持治具32とを所定の位置に取り付けることにより、接触子31とスキャナ4とをワイヤーケーブルを用いずに通電可能に接続することができるので、接触子31とスキャナ4との接続に要する作業時間を低減することができる。また、手作業で接触子31とスキャナ4との間を一本ずつワイヤーケーブルによって接続する必要がないので、人為的ミスによる誤配線を回避することができ、基板検査装置1の信頼性を向上させることができる。また、接続治具34は、上面電極342、導線341、及び、第2基板35の上面電極351が樹脂344によって一体に固結されているので、例えば異なる基板を検査するために検査点の配置や接触子31の基端部の位置の配置が変わった場合であっても、その配置に合わせた接続治具34に交換することによって新たな基板の検査を行うことができるので、新たにワイヤーケーブルによる配線作業を行う必要がなく、配線作業の作業時間を低減することができる。
なお、上面電極342及び下面電極352の配列は、それぞれ接触子31の基端部の配列及び入力端子41の配列に合わせて接続治具34を構成し、保持治具32の種類やスキャナ4の種類に応じて接続治具34を作成しても良いが、被検査基板2における検査点の配列との関係で事情が許せば、例えば上面電極342及び下面電極352の配列を格子状に配列した接続治具34を用いて、接触子31の基端部の配列及び入力端子41の配列を接続治具34の上面電極342及び下面電極352の配列に合わせて格子状にするようにし、保持治具32によって、基板2の検査点の配置と上面電極342の配置との位置の調整を行っても良い。これにより、接続治具34を複数種類の基板2の検査において共通に使用することができ、異なる種類の基板を検査する場合であっても、新たに接続治具34を作成する必要がなくなる。
次に、第2実施形態に係る接続治具34の製造方法について説明する。図6は、第2実施形態に係る接続治具34の製造方法の一例を説明するための断面図である。(a)は、第1の工程である接続工程を示す断面図であり、(b)及び(c)は、第2の工程であるモールド工程を示す断面図であり、(d)は、第3の工程である露出工程を示す断面図である。
(a)に示すように、接続工程において、導線341の一方端342(上述の上面電極342として機能するため同一の参照符号を用いている)を、第1基板94の一方面上の接触子31の基端部に対応する位置(例えば、100μm間隔)に接続すると共に、導線341の他方端343を第2基板35の上面電極351のスキャナ4の適正な入力端子41に対応する位置(例えば、1mm間隔)に接続する。第1基板94は、例えば、平板状の銅(Cu)等の金属からなり、第1基板94の一方面上及び第2基板35の上面電極351への導線331の一方端342及び他方端343の接続は、例えば、いわゆるボンディングマシン(ボンダともいう)を用いた超音波接合法の1種であるワイヤボンディング法(接合母材表面に超音波振動を付与することによって、接触面に摩擦を起こさせ、その摩擦熱で接合する超音波溶接法であって、ここでは、銅(Cu)からなるワイヤの先端に形成された融滴に加熱されたツールを押し付けて接合する接合方法)によって行われる。
なお、ワイヤボンディング法によって第1基板94の一方面上及び第2基板35の上面電極351への導線341の一方端342及び他方端343の接続を行うことにより、短時間で効率的に接続することが可能となると共に、強い接続強度が実現されるため接続工程の後の製造工程において接続が外れる等のトラブルの発生が抑制される。また、ボンディングマシンを用いることにより、導線341の一方端342及び他方端343を、それぞれ、接触子31の基端部に対応する位置及びスキャナ4の適正な入力端子41に対応する位置に正確に且つ効率的に接続することが可能となる。
なお、導線341の他方端343は、第2基板35に予め形成されている上面電極351の適所と接続されるため、接続部の接続強度が向上すると共に、必要な位置合わせの要求精度を低減されるため接続作業が効率化される。
つぎに、(b)に示すように、導線341の一方端342が接続されている第1基板94の一方面と、導線331の他方端343が接続されていている上面電極351の配設されている第2基板35の一方面とを対向させて配置した状態で、(c)に示すように、絶縁性の樹脂95を用いてモールドされる。
そして、(d)に示すように、導線341の一方端342を露出させるべく、樹脂95の一部及び第1基板94が、例えば研磨等の方法で除去される。樹脂モールドされた導線341の一方端342と第1基板94との接続部から、第1基板94を分離可能な場合には、露出工程が効率的に実行される。例えば、モールドした樹脂95から第1基板91を剥離して(または、研削して)除去すればよい。
露出した導線341の一方端342は、上面電極332として機能する。さらに、上面電極342の表面に、例えばニッケル(Ni)や、金(Au)によるメッキ処理を施すことにより、上面電極342に酸化防止処理が施される。このように、露出された導線341の表面に酸化防止処理が施されるため、露出された導線341の表面が酸化することに伴う電気的な接触状態の悪化が抑制される。
上述の接続治具34の製造方法によれば、導線341の一方端342がモールドされた樹脂344内に固定された状態で露出されて、上面電極332として機能し、導線341の他方端343と第2基板35の上面電極351とがモールドされた樹脂344内に固定されているため、導線341の一方端342及び他方端343の第1基板94及び第2基板35の上面電極351へのそれぞれの接続強度が小さい場合にも、モールド工程で外れることがない程度の接続強度を確保すれば充分であるため、接続作業の自動化(機械化:例えば、上述のボンディングマシンの適用)が容易となる。
また、露出工程において、樹脂モールドされた導線341の接続部から、第1基板94が分離されて導線の一方端側342が露出されるため、露出工程が効率的に実行される。
更に、モールド工程において、第1基板94の表面における導線341の接続部、及び、第2基板35の上面電極351と導線341との接続部が一体として樹脂モールドされるため、モールド工程を実行するために必要な作業時間が短縮される。加えて、モールド工程において、第1基板94の一方面と第2基板35の上面電極351側の一方面とが対向された状態で樹脂モールドされるため、モールドに必要な樹脂95の量が低減され、接続治具34の製造コストが削減される。
なお、導線341の一方端342と第1基板94との接続は、ワイヤボンディングに替えて、図4で説明した(b)〜(d)の方法が適用可能であり、導線341の他方端343と第2基板35の上面電極351との接続は、ワイヤボンディングに替えて、図4で説明した(b)及び(c)の方法が適用可能である。
<第3実施形態の接続治具及びその製造方法>
以下、図7を参照して、第3実施形態に係る接続治具及びその製造方法を説明する。図7は、第3実施形態の接続治具を備える検査ユニット3の構成の一例を説明するための断面図である。検査ユニット3は、接触子31を多針状に保持する保持治具32と、保持治具32を支持すると共に保持治具32の接触子31の基端部をスキャナ4の入力端子41と電気的に接続する接続治具36とを備えている。接触子31、保持治具32及びスキャナ4は、図2に示す第1実施形態と同一の構成であるので説明を省略する。
図7に示すように、接続治具36は、上面に接触子31の基端部とそれぞれ接触する上面電極362が設けられており、この上面電極362は接続治具36を貫通する導線361を介して接続治具36の上面に設けられた第2基板37の下面電極371の適所に接続されている。ここで、第2基板37は、スキャナ4の入力端子41に対応する位置であって、且つ、両面の対向位置に導線373を介して電気的に連通された上面電極372及び下面電極371が形成されたものである。また、第2基板37は、樹脂、ガラス等の絶縁材料からなる基台に、銅(Cu)等の導電性材料からなる上面電極372、下面電極371、及び、導線373がスキャナ4の入力端子41に対応する位置に配設されたものである。そして、上面電極362、導線361、及び、第2基板37の下面電極371が、絶縁材料(例えば樹脂)364によって一体に固結されている。
上記の第3実施形態の接続治具36によれば、接続治具36と保持治具32とを所定の位置に取り付けることにより、接触子31とスキャナ4とをワイヤーケーブルを用いずに通電可能に接続することができるので、接触子31とスキャナ4との接続に要する作業時間を低減することができる。また、手作業で接触子31とスキャナ4との間を一本ずつワイヤーケーブルによって接続する必要がないので、人為的ミスによる誤配線を回避することができ、基板検査装置1の信頼性を向上させることができる。また、接続治具36は、上面電極362、導線361、及び、第2基板37の下面電極371が樹脂364によって一体に固結されているので、例えば異なる基板を検査するために検査点の配置や接触子31の基端部の位置の配置が変わった場合であっても、その配置に合わせた接続治具36に交換することによって新たな基板の検査を行うことができるので、新たにワイヤーケーブルによる配線作業を行う必要がなく、配線作業の作業時間を低減することができる。
なお、上面電極362及び下面電極371の配列は、それぞれ接触子31の基端部の配列及び入力端子41の配列に合わせて接続治具36を構成し、保持治具32の種類やスキャナ4の種類に応じて接続治具36を作成しても良いが、被検査基板2における検査点の配列との関係で事情が許せば、例えば上面電極362及び下面電極371の配列を格子状に配列した接続治具36を用いて、接触子31の基端部の配列及び入力端子41の配列を接続治具36の上面電極362及び下面電極371の配列に合わせて格子状にするようにし、保持治具32によって、基板2の検査点の配置と上面電極362の配置との位置の調整を行っても良い。これにより、接続治具36を複数種類の基板2の検査において共通に使用することができ、異なる種類の基板を検査する場合であっても、新たに接続治具36を作成する必要がなくなる。
第3実施形態に係る接続治具36の製造方法は、第2実施形態に係る接続治具34の製造方法と同様であるので、その説明を省略する。ただし、接続治具34のモールド工程は、上面電極342が形成される第1基板94の一方面と第2基板35の上面電極351が配設されている一方面とを対向させた状態で樹脂モールドするのに対して、接続治具36のモールド工程は、上面電極362が形成される第1基板の一方面と第2基板37の下面電極371が配設されている一方面とを同一方向に向けた状態で樹脂モールドするものである。
このように、モールド工程において、上面電極362が形成される第1基板の一方面と第2基板37の下面電極371が配設されている一方面とが同一方向(図7では、下方向)に向けられた状態で樹脂モールドされるため、接続工程における第1基板及び第2基板37の相対位置を固定したままの状態で(または、第1基板及び第2基板37の相対位置の変更量を低減して)樹脂モールドを行うことが可能となり(すなわち、図6(b)に示すように、第1基板及び第2基板37の相対位置を変更する必要がなくなり)、接続治具36を効率的に製造することが可能となる。
なお、導線361の一方端362と第1基板との接続は、ワイヤボンディングに替えて、図4で説明した(b)〜(d)の方法が適用可能であり、導線361の他方端363と第2基板37の下面電極371との接続は、ワイヤボンディングに替えて、図4で説明した(b)及び(c)の方法が適用可能である。
<第4実施形態の接続治具及びその製造方法>
以下、図8、9を参照して、第4実施形態に係る接続治具及びその製造方法を説明する。図8は、第4実施形態の接続治具を備える検査ユニット3の構成の一例を説明するための断面図である。検査ユニット3は、接触子31を多針状に保持する保持治具32と、保持治具32を支持すると共に保持治具32の接触子31の基端部をスキャナ4の入力端子41と電気的に接続する接続治具38とを備えている。接触子31、保持治具32及びスキャナ4は、図2に示す第1実施形態と同一の構成であるので説明を省略する。
図8に示すように、接続治具38は、上面に接触子31の基端部とそれぞれ接触する上面電極382が設けられており、この上面電極382は接続治具38を上下に貫通する導線331を介して接続治具38の下面側に設けられた第2基板39の上面電極391の適所に接続されている。ここで、第2基板39は、スキャナ4の入力端子41に対応する位置であって、且つ、両面の対向位置に導線393を介して電気的に連通された上面電極391及び下面電極392が形成されたものである。また、第2基板39は、樹脂、ガラス等の絶縁材料からなる基台に、銅(Cu)等の導電性材料からなる上面電極391、下面電極392、及び、導線393がスキャナ4の入力端子41に対応する位置に配設されたものである。そして、導線381の一部及び上面電極382が、絶縁材料(例えば樹脂)334によって一体に固結されている。
上記の第4実施形態の接続治具38によれば、接続治具38と保持治具32とを所定の位置に取り付けることにより、接触子31とスキャナ4とをワイヤーケーブルを用いずに通電可能に接続することができるので、接触子31とスキャナ4との接続に要する作業時間を低減することができる。また、手作業で接触子31とスキャナ4との間を一本ずつワイヤーケーブルによって接続する必要がないので、人為的ミスによる誤配線を回避することができ、基板検査装置1の信頼性を向上させることができる。また、接続治具38は、上面電極382、導線381、及び、第2基板39の上面電極391が接続されて構成されているので、例えば異なる基板を検査するために検査点の配置や接触子31の基端部の位置の配置が変わった場合であっても、その配置に合わせた接続治具38に交換することによって新たな基板の検査を行うことができるので、新たにワイヤーケーブルによる配線作業を行う必要がなく、配線作業の作業時間を低減することができる。
なお、上面電極382及び下面電極392の配列は、それぞれ接触子31の基端部の配列及び入力端子41の配列に合わせて接続治具38を構成し、保持治具32の種類やスキャナ4の種類に応じて接続治具38を作成しても良いが、被検査基板2における検査点の配列との関係で事情が許せば、例えば上面電極382及び下面電極392の配列を格子状に配列した接続治具38を用いて、接触子31の基端部の配列及び入力端子41の配列を接続治具38の上面電極382及び下面電極392の配列に合わせて格子状にするようにし、保持治具32によって、基板2の検査点の配置と上面電極382の配置との位置の調整を行っても良い。これにより、接続治具38を複数種類の基板2の検査において共通に使用することができ、異なる種類の基板を検査する場合であっても、新たに接続治具38を作成する必要がなくなる。
次に、第4実施形態に係る接続治具38の製造方法について説明する。図9は、第4実施形態に係る接続治具38の製造方法の一例を説明するための断面図である。(a)は、第1の工程である接続工程及び第2の工程であるモールド工程を示す断面図であり、(b)は、第3の工程である露出工程を示す断面図である。
(a)に示すように、接続工程において、導線381の一方端382(上述の上面電極382として機能するため同一の参照符号を用いている)を、第1基板96の一方面上の接触子31の基端部に対応する位置(例えば、100μm間隔)に接続すると共に、導線381の他方端383を第2基板39の上面電極391のスキャナ4の適正な入力端子41に対応する位置(例えば、1mm間隔)に接続する。第1基板96は、例えば、平板状の銅(Cu)等の金属からなり、第1基板96の一方面上及び第2基板39の上面電極391への導線381の一方端382及び他方端383の接続は、例えば、いわゆるボンディングマシン(ボンダともいう)を用いた超音波接合法の1種であるワイヤボンディング法(接合母材表面に超音波振動を付与することによって、接触面に摩擦を起こさせ、その摩擦熱で接合する超音波溶接法であって、ここでは、銅(Cu)からなるワイヤの先端に形成された融滴に加熱されたツールを押し付けて接合する接合方法)によって行われる。
なお、ワイヤボンディング法によって第1基板96の一方面上及び第2基板39の上面電極391への導線381の一方端382及び他方端383の接続を行うことにより、短時間で効率的に接続することが可能となると共に、強い接続強度が実現されるため接続工程の後の製造工程において接続が外れる等のトラブルの発生が抑制される。また、ボンディングマシンを用いることにより、導線381の一方端382及び他方端383を、それぞれ、接触子31の基端部に対応する位置及びスキャナ4の適正な入力端子41に対応する位置に正確に且つ効率的に接続することが可能となる。
なお、導線381の他方端383は、第2基板39に予め形成されている上面電極391の適所と接続されるため、接続部の接続強度が向上すると共に、必要な位置合わせの要求精度を低減されるため接続作業が効率化される。つぎに、導線381の一方端382が接続されている第1基板96の一方面を含む所定の範囲が絶縁性の樹脂97を用いてモールドされる。
そして、(b)に示すように、導線381の一方端382を露出させるべく、樹脂97の一部及び第1基板96が、例えば研磨等の方法で除去される。樹脂モールドされた導線381の一方端382と第1基板96との接続部から、第1基板96を分離可能な場合には、露出工程が効率的に実行される。例えば、モールドした樹脂97から第1基板96を剥離して(または、研削して)除去すればよい。
露出した導線381の一方端382は、上面電極382として機能する。さらに、上面電極382の表面に、例えばニッケル(Ni)や、金(Au)によるメッキ処理を施すことにより、上面電極382に酸化防止処理が施される。このように、露出された導線381の表面に酸化防止処理が施されるため、露出された導線381の表面が酸化することに伴う電気的な接触状態の悪化が抑制される。
上述の接続治具38の製造方法によれば、導線381の一方端382がモールドされた樹脂384内に固定された状態で露出されて、上面電極382として機能するため、導線341の一方端342の第1基板94への接続強度が小さい場合にも、モールド工程で外れることがない程度の接続強度を確保すれば充分であるため、接続作業の自動化(機械化:例えば、上述のボンディングマシンの適用)が容易となる。
上述の接続治具38の製造方法によれば、モールド工程において、接続治具38として機能するために、必要最小限の領域(上面電極382として機能させる導線381の一方端382と第1基板96との接続部を含む領域)をモールドするため、製造コストが削減される。また、露出工程において、樹脂モールドされた導線381の接続部から、第1基板96が分離されて導線の一方端側382が露出されるため、露出工程が効率的に実行される。
なお、導線381の一方端382と第1基板96との接続は、ワイヤボンディングに替えて、図4で説明した(b)〜(d)の方法が適用可能であり、導線381の他方端383と第2基板39の上面電極391との接続は、ワイヤボンディングに替えて、図4で説明した(b)及び(c)の方法が適用可能である。