JP4415255B2 - ロール状物の周面形状測定装置 - Google Patents

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本発明は、ロール状物の周面形状測定装置に係り、特に、磁気テープ原反ロール等の巨大なロール状物の周面形状を測定してロール状物の周面が湾曲等の不良形状をしていないか否かを測定するのに好適なロール状物の周面形状測定装置に関する。
磁気テープは、幅広な磁気テープ原反ロールを、幅狭な磁気テープ幅に等分に裁断して作成される。しかし、磁気テープ原反ロールのロール形成において、磁気テープ原反ロールの両端部と中央部とでは巻き付け力が微妙に相違するため、図3に示されるように、ロール状物14は、ロール周面がロールの軸(巻き芯80)の方向に沿って中央部が湾曲状に膨らんだ周面形状となることが多い。
このような周面形状となる他の要因として、磁気テープ原反が塗布された後に巻き取られ、その後、長時間保管されることにより、磁気テープ原反が塑性変形することが挙げられる。
この中央部が湾曲状に膨らんだ周面形状の度合いが大きい磁気テープ原反ロールから得られた磁気テープは、直線状にならずにカーブ状を呈する。そして、このようなカーブ状の磁気テープを使用すると、電気的な出力不良等の製品としての信頼性が低下する要因となる。そのため、このような不具合を抑制するために、極力均一厚さに塗布を行なう必要がある。
一方、生産性向上を念頭においた場合、より安定した搬送性を付与するために、特許文献1に開示されているように、意図的に中央部を厚く塗布することも要求される。これにより、磁気テープ原反が巻芯に巻取られる際に、巻取張力が端部において中央部よりも強く作用し、巻取りが安定する。そして、これにより、巻きズレや縦じわ等の欠点の発生をなくすことができる。
以上に述べたように、「均一に」と言う要求と、「中央を厚く」と言う要求の相反する要求を両立させるためには、きわめて精度のよい厚さ調整が必要とされる。そのために、磁気テープ原反ロールの裁断する前に、磁気テープ原反ロールの形状を正確に測る必要がある。
特に、近年、磁気記録媒体の高密度化に伴い、記録トラック幅は非常に狭くなってきており、それに伴い、磁気テープ原反ロール及び媒体(磁気テープ)の寸法精度に対する要求は一層強くなっている。
従来より、このような磁気テープ原反ロールの形状を測定する方法は、各種提案されている(特許文献2、3等。)。
このうち、特許文献2は、磁気テープ原反ロールの軸と平行に走行する接触式のセンサにより磁気テープ原反ロールの形状を測る構成のものである。
また、特許文献3は、磁気テープ原反ロールを両側から挟み込む接触式のセンサによって磁気テープ原反ロールの形状を測る構成のものである。
特開昭61−293577号公報 特開平8−102064号公報 特開2002−168616号公報
しかしながら、特許文献2、3等のような従来の技術では、以下の述べるような課題を解決できていないのが現状である。
すなわち、特許文献2の装置では、磁気テープ原反ロールの形状を簡便に測定できる利点はあるものの、磁気テープ原反ロールの形状が、磁気テープ原反ロールの軸芯と磁気テープ原反ロールの表面、センサのレール軸との相対位置により得られるため、センサのレール軸と磁気テープ原反ロールの軸芯との平行度が悪いと、正確な値が得られない。同様の理由から、測定装置の精度が高くないと正確な値が得られない。
これらの課題を解決するためには、センサの保持剛性を高めたり、センサと磁気テープ原反ロールの設置方法に工夫を凝らすことが必要になるが、これでは装置の大型化、装置のコストアップとなり、実施上の制約となってしまう。
一方、特許文献3は、特許文献2の上記課題を解決するためになされているものの、磁気テープ原反ロールを両側から挟む構造であるため、生産性向上のために自動化しようとすると、構成が複雑になりやすく、装置のコストアップとなりやすい。
また、特許文献2、3の共通の課題として、センサの位置調整を手動操作により行わなければならず、この調整が困難であると言うことが挙げられる。すなわち、高精度の測定を行うためには、センサと原反ロールとの距離を一定の値にセットする必要がある。一方、磁気テープ原反ロールの外径や周面形状は様々であり、これらの装置でセンサをこのようにセットするには、熟練を要する上に、手間がかかる。そして、センサと原反ロールとの距離が一定の値から外れた場合には、測定精度が大きく低下してしまう。
本発明は、このような事情に鑑みてなされたもので、ロール状物の周面形状を簡便に且つ高精度に測定できるロール状物の周面形状測定装置を提供することを目的とする。
前記目的を達成するために、本発明は、磁気テープ原反ロール等のロール状物の周面形状を測定するロール状物の周面形状測定装置において、前記ロール状物との距離を検出する近接センサと、プローブの先端部が前記ロール状物の直径方向に付勢される位置センサとを備えるとともに、該近接センサ及び位置センサが固定されたセンサ支持プレートを前記ロール状物の直径方向に移動させる第1の移動手段を備える変位量検出手段と、前記変位量検出手段を前記ロール状物の軸方向一端側から他端側まで移動させる第2の移動手段と、からなり、前記近接センサが検出した信号により、前記第1の移動手段による前記センサ支持プレートの移動を制御し、前記変位量検出手段の移動に伴う前記位置センサの検出変位量に基づいて前記ロール状物の周面形状を測定することを特徴とするロール状物の周面形状測定装置を提供する。
本発明によれば、第1の移動手段によりセンサ支持プレートを移動させ、近接センサ及び位置センサをロール状物の直径方向に移動でき、第2の移動手段により位置センサをロール状物の軸方向に移動できるので、ロール状物の周面形状を自動的に測定することができ、熟練を要する上に、手間がかかる手動操作を要しない。したがって、ロール状物の周面形状を簡便に且つ高精度に測定できる。
また、近接センサが検出した信号により、第1の移動手段によるセンサ支持プレートの移動を制御することで、センサ支持プレートに固定された位置センサの移動(移動速度、移動位置等)が制御されるので、位置センサと原反ロールとの距離を一定の値にセットするのが容易になり、本発明の効果(簡便に且つ高精度に測定できる)が一層発揮できる。
また、本発明において、前記周面形状測定装置には、前記変位量検出手段の移動が前記ロール状物の中心軸に対して平行に移動し易くするためのガイド手段が設けられていることが好ましい。このようなガイド手段が設けられることにより、測定精度が一層向上する。
以上説明したように、本発明によれば、ロール状物の周面形状を簡便に且つ高精度に測定できる。
以下、添付図面に従って、本発明に係るロール状物の周面形状測定装置の好ましい実施の形態について詳説する。
図1は、本発明のロール状物の周面形状測定装置の全体構成を説明する説明図である。図1に示されるように、周面形状測定装置10は、主として、底部が開放されたケーシング12内に、ロール状物14との距離を検出する近接センサ16と、プローブの先端部がロール状物14の直径方向に付勢される位置センサ18等を備える変位量検出手段20と、この変位量検出手段20をロール状物14の軸方向一端側から他端側まで移動させる移動手段(第2の移動手段)22とを設けて構成され、ロール状物14の周面形状を測定する際には、ケーシング12がロール状物14に着脱自在に設置される。
第2の移動手段22は、水平駆動用モータ22Aとボールねじ22B等より構成される。すなわち、ボールねじ22Bは、ケーシング12右端の側板12Aを貫通するとともに、ケーシング12左端の側板12Bに嵌合固定された軸受部材(図示略)により支持されている。
また、ボールねじ22Bは、変位量検出手段20に固定されたボールナット(図示略)と螺合するとともに、水平駆動用モータ22Aの軸に連結されており、水平駆動用モータ22Aにより回転駆動されるようになっている。なお、水平駆動用モータ22Aは、ステー24を介してケーシング12に支持されている。
以上の構成により、水平駆動用モータ22Aを回転駆動することにより、ボールねじ22Bが回転し、変位量検出手段20がロール状物14の軸方向一端側から他端側まで移動されるようになっている。
変位量検出手段20において、近接センサ16と位置センサ18を、ロール状物14の直径方向に移動させる第1の移動手段が設けられている。この、第1の移動手段は、垂直駆動用モータ26とボールねじ28等より構成される。すなわち、ボールねじ28は、変位量検出手段20を貫通するとともに、センサ支持プレート30に固定されたボールナット(図示略)と螺合し、また、垂直駆動用モータ26の軸に連結されており、垂直駆動用モータ26により回転駆動されるようになっている。
なお、垂直駆動用モータ26は、ステー32を介して変位量検出手段20に支持されている。また、近接センサ16と位置センサ18は、センサ支持プレート30に固定されている。
以上の構成により、垂直駆動用モータ26を回転駆動することにより、ボールねじ28が回転し、センサ支持プレート30がロール状物14の直径方向(図1では、上下方向)に移動されるようになっている。なお、変位量検出手段20には、センサ支持プレート30が鉛直軸回りに回転することを防止すべく、回り止め機構(図示略)が設けられている。
変位量検出手段20に使用される近接センサ16は、センサ支持プレート30(位置センサ18)とロール状物14との距離を検出するためのものである。この近接センサ16は、ロール状物14の周面形状の測定に直接寄与するものではないが、位置センサ18の上下方向に位置決め精度を向上させる機能を発揮させるものである。
すなわち、当初、ロール状物14の表面とセンサ支持プレート30とは離れた位置にあり、測定に際し、垂直駆動用モータ26を回転駆動させて、センサ支持プレート30をロール状物14に接近させる。そして、後述する位置センサ18とロール状物14の表面とを適正な位置関係に維持する必要がある。
一般的に、後述する位置センサ18の触針(プローブ)の移動ストローク(精度保証ストローク)は、所定範囲にあり、この範囲を外れると測定精度が大幅に低下する。したがって、位置センサ18の触針がこの移動ストロークの範囲にある状態となるように、位置センサ18とロール状物14の表面との距離をセットする必要がある。その方法として、位置センサ18の検出値よりフィードバックして垂直駆動用モータ26を制御する構成が考えられる。
ところが、垂直駆動用モータ26を回転駆動させ、センサ支持プレート30を比較的高速で移動させた場合には、オーバーランしてしまい、位置センサ18の触針がこの移動ストロークの範囲外となってしまうことがある。一方、このような不具合が生じないように、センサ支持プレート30を充分に低速で移動させた場合には、セッティングに長時間を要し好ましくない。
近接センサ16は、このような課題を解決すべく導入されたものであり、センサ支持プレート30の概略位置を検出する機能を持たされる。すなわち、近接センサ16は、位置センサ18のような高い検出精度は要求されないが、位置センサ18の触針が適正な移動ストロークの範囲に入る前の状態のセンサ支持プレート30の概略位置を検出して、この検出結果を垂直駆動用モータ26にフィードバックするために設けられる。
この近接センサ16としては、センサ支持プレート30の概略位置を検出できるものであれば、接触方式の位置センサであっても、非接触方式の位置センサであってもよく、また、近接方式のリミットスイッチ等も採用できる。
要は、位置センサ18の触針が適正な移動ストロークの範囲に入る前の状態のセンサ支持プレート30の概略位置を検出して、垂直駆動用モータ26を高速回転から低速回転に切り替えることができればよい。
変位量検出手段20に使用される位置センサ18は、変位量検出手段20の移動に伴いロール状物14の周面形状を測定するもので、接触方式の位置センサが採用される。磁気テープ原反ロール等のロール状物14は、最外層が緩めに巻き取られていることが多く、非接触方式の位置センサにより測定した場合には、ロール状物14の真の形状が検出できないことがある。したがって、このように所定の付勢力でプローブの先端部がロール状物14の表面と接触する位置センサ18が採用される。
位置センサ18の形式としては、モアレ縞等の干渉を利用した位置センサ(一般的に、「リニアスケール」又は「モアレスケール」と称呼される)、作動変圧器を利用した位置センサ等、ロール状物14のサイズ、形状、要求精度等に応じて、公知の各種のタイプが採用できる。
このような位置センサ18としては、一般的には直動タイプのものが好ましく使用できるが、レバー式のプローブのものを使用してもよい。要は、プローブの先端部がロール状物14の直径方向に付勢される位置センサであれば、本発明に適用できる。
なお、一般的に、上記タイプの位置センサの最小読取値と作動距離とは、トレードオフの関係にあるので、ロール状物14のサイズ、形状、要求精度に応じて、位置センサのタイプを選択することが好ましい。
第2の移動手段22により、ロール状物14の軸方向の一端側から他端側に変位量検出手段20が移動することに伴う位置センサ18の検出変位量は、ロール状物14の軸方向における各位置の直径の変化量として測定され、直径の変化がそのまま周面形状を表すことになる。
なお、第2の移動手段22としては、図1の構成に限定されるものではなく、変位量検出手段20を、ロール状物14の軸方向に沿って直線的に安定的に移動できるものであれば、何でもよい(たとえば、モノレール方式)。
次に、ガイド手段46について説明する。このガイド手段46は、変位量検出手段20の移動がロール状物14の中心軸に対して平行に移動し易くするための機構である。図2は、図1の一部を示す右側面図であり、ガイド手段46を説明する図である。
ガイド手段46は、ジャッキ手段48に二股状の支持部52を設けて構成される。そして、ガイド手段46を使用する時には、図1及び図2に示されるように、一対のガイド手段46の二股状支持部52をロール状物14の巻き芯80の両側に係合させて固定した後、一対のジャッキ手段48で巻き芯80に対するケーシング12(ボールねじ22B)の傾きがなくなるように調整する。これにより、ボールねじ22Bが巻き芯80に平行になるので、変位量検出手段20の移動を、ロール状物14の中心軸線に対して平行移動させることができる。
次に、上記の如く構成された周面形状測定装置10を使用して、ロール状物14の周面形状を測定する方法について説明する。
先ず、ケーシング12をロール状物14に装着する。具体的には、図1及び図2に示されるように、一対のガイド手段46の二股状支持部52をロール状物14の巻き芯80の両側に係合させて固定した後、一対のジャッキ手段48で巻き芯80に対するケーシング12の傾きがなくなるように調整する。
なお、この段階では、センサ支持プレート30を充分に上方に退避させておく。また、第2の移動手段22により、変位量検出手段20をロール状物14の軸方向一端側(又は他端側)に移動させておく。
次いで、垂直駆動用モータ26を回転駆動し、センサ支持プレート30を高速で下降させる。この下降動作中に、近接センサ16がセンサ支持プレート30の概略位置を検出すると、図示しない制御手段により、垂直駆動用モータ26が高速回転から低速回転に切り替えられる。そして、センサ支持プレート30が引き続き、低速で下降していく。
この下降動作中に、位置センサ18の触針が適正な移動ストロークの範囲にあると判断されると、図示しない制御手段により、垂直駆動用モータ26の駆動が停止される。
この位置センサ18の触針の適正ストローク範囲としては、たとえば、位置センサ18の精度保証範囲が、触針の突出しきった状態から触針が10mm押し込まれた状態までの間であるとした場合、触針が3〜5mm押し込まれた状態と設定できる。
次いで、第2の移動手段22(水平駆動用モータ22A)を駆動して、変位量検出手段20をロール状物14の軸方向他端側(又は一端側)に移動させながら、位置センサ18の出力を取り込む。これにより、ロール状物14の周面形状が得られる。
以上、本発明に係るロール状物の周面形状測定装置の実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、各種の態様が採り得る。
たとえば、本実施形態で採用されている周面形状測定装置10は、変位量検出手段20が第2の移動手段22によりロール状物14の軸方向に移動される構成となっているが、近接センサ16及び位置センサ18が固定された第2の移動手段22を備えるケーシング12を、第1の移動手段により上下方向に移動させる構成としてもよく、同様に良好な結果が得られる。
また、本実施形態では、一対のガイド手段46を、二股状支持部52等より構成したが、これ以外の構成、たとえば、ロール状物14の軸方向に平行な2本の丸棒等を使用して同様の機能を持たせてもよい。
更に、ロール状物14として、磁気テープ原反ロールが採用されているが、これ以外のロール状物であってもよい。すなわち、本発明は、バルク状の製品を巻き取る分野であれば適用できる。
本発明が適用されるロール状物の周面形状測定装置の全体構成を説明する説明図 ロール状物の周面形状測定装置のガイド手段を説明する説明図 ロール状物の湾曲状の周面形状を説明する説明図
符号の説明
10…ロール状物の周面形状測定装置、12…ケーシング、14…ロール状物、16…近接センサ、18…位置センサ、20…変位量検出手段、22…第2の移動手段、22A…水平駆動用モータ、22B…ボールねじ、26…垂直駆動用モータ、28…ボールねじ、30…センサ支持プレート

Claims (2)

  1. 磁気テープ原反ロール等のロール状物の周面形状を測定するロール状物の周面形状測定装置において、
    前記ロール状物との距離を検出する近接センサと、プローブの先端部が前記ロール状物の直径方向に付勢される位置センサとを備えるとともに、該近接センサ及び位置センサが固定されたセンサ支持プレートを前記ロール状物の直径方向に移動させる第1の移動手段を備える変位量検出手段と、
    前記変位量検出手段を前記ロール状物の軸方向一端側から他端側まで移動させる第2の移動手段と、からなり、
    前記近接センサが検出した信号により、前記第1の移動手段による前記センサ支持プレートの移動を制御し、
    前記変位量検出手段の移動に伴う前記位置センサの検出変位量に基づいて前記ロール状物の周面形状を測定することを特徴とするロール状物の周面形状測定装置。
  2. 前記周面形状測定装置には、前記変位量検出手段の移動が前記ロール状物の中心軸に対して平行に移動し易くするためのガイド手段が設けられている請求項に記載のロール状物の周面形状測定装置。
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