JP4415053B2 - 使い捨ておむつ - Google Patents

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Description

本発明は、紙おむつ、幼児用のトレーニングパンツ、あるいは失禁パッド等の使い捨ておむつに関し、更に詳細には、排泄物、特に尿の排泄があったことを温度変化により装着者に感知し得るようにした使い捨ておむつに関する。
使い捨ておむつは、通常、少なくとも、表面側に配置される透液性のトップシートと、裏面側に配置される不透液性のバックシートと、これらの両シート間に介在された吸収体とにより物品本体が構成されており、排泄物がトップシートを介して吸収体に吸収、保持されるようになっている。
かかる使い捨ておむつとして、従来より、排泄時に温度変化を生じるように構成し、これを着用者に感知させることで、おむつ離れを促進するトレーニング用おむつが知られている。このような温度変化は、体液との接触により着用者が感知し得る程度の温度変化を生じる温度変化物質によって発現されている。このため、前記トレーニング用おむつにおいては、排泄時に温度変化を生じさせる温度変化物質と尿との接触を十分に維持することにより、温度変化物質による温度変化を効率的に生じさせ、着用者に温度変化を十分に感知させることが重要となる。
下記特許文献1では、湿分バリヤーと、該湿分バリヤー上に配置された吸収性組立体とを含む吸収性物品であって、身体排出液に接触したとき着用者が感知し得る程度の温度変化を生じる温度変化物質を含む液体透過性温度変化部材が、前記吸収性組立体に対し前記湿分バリヤーとは反対側である身体側に配置されたものが開示されている。
また、下記特許文献2では、吸収性コアと、前記吸収性コア上に配置された温度変化要素とを有する、着用者の胴体下部の周囲で着用される使い捨て吸収性物品であって、前記温度変化要素は、浸透性層、前記浸透性層と対面するように配置された不浸透性層、及び前記浸透性層と前記不浸透性層との間に挟まれた温度変化物質を包含する温度変化要素を具備し、前記温度変化要素上に堆積した尿が前記浸透性層を通って前記不浸透性層までZ方向に浸透し得ると共に、前記不浸透性層は尿が前記温度変化要素をZ方向に完全に通過するのを防いで、X−Y平面における尿の移動を支持して前記温度変化物質を濡らす、使い捨て吸収性物品が開示されている。
特許第3922722号公報 特許第3830901号公報
しかしながら、上記特許文献1記載の吸収性物品では、吸収性組立体の表面側に液体透過性の温度変化部材が配置されて構成されているため、着用者が排泄した尿等の水分は、液体透過性の温度変化部材の層を通過した後、その下層の吸収性組立体に速やかに移動してしまう。このため、温度変化部材との接触によって温度変化した尿等の水分は、着用者の肌から遠く離れた吸収性組立体のパルプやポリマーに吸収保持され、着用者に温度変化を感知させることが不十分であった。
また、上記特許文献2記載の使い捨て吸収性物品では、透液性層と不透液性層との間に温度変化物質が挟まれた温度変化要素が配設されているため、1回目の排尿に対しては、尿が不透液性層表面をX−Y平面に移動して温度変化物質を濡らし、温度変化が効率的に行われ、着用者に温度変化を十分に感知させるようになっているものの、繰り返し2回目以降の排尿があった場合、1回目の排尿時に既に大部分の温度変化物質が溶解して十分な温度変化効果が得られないにもかかわらず、前記不透液性層に尿が滞留し、吸収性コアへの吸収が阻害され、それに伴う尿漏れなどの問題が生じていた。
そこで本発明の主たる課題は、1回目の排尿に対しては温度変化物質の温度変化作用を十分に発揮させるとともに、2回目以降の排尿に対しては吸収体の吸収性能を阻害しない使い捨ておむつを提供することにある。
前記課題を解決するために請求項1に係る本発明として、透液性のトップシートと不透液性のバックシートとの間に吸収体が介在された使い捨ておむつにおいて、
前記吸収体の前記トップシート側には、体液との接触により着用者が感知し得る程度の温度変化を生じる温度変化物質を含む層が備えられるとともに、その下層に水溶性物質を含む層が備えられていることを特徴とする使い捨ておむつが提供される。
上記請求項1記載の発明は、吸収体のトップシート側に、体液との接触により着用者が感知し得る程度の温度変化を生じる温度変化物質を含む層と、この下層に備えられる水溶性物質を含む層との2層構造からなる温度変化用の層を設けたものである。前記水溶性物質を含む層は、1回目の排尿時に、水溶性物質が液体に溶解するまでには一定の溶解時間を要することを利用して、尿を水溶性物質を含む層の上層に一時的に滞留させるようになっている。これにより、尿が即時に吸収体に吸収されるのが抑制されるため、その上層に含まれる温度変化物質との接触が十分に行われて確実な温度変化が生じるとともに、この温度変化を着用者に確実に感知させることが可能となる。
また、前記水溶性物質は、1回目の排尿時の尿に溶解してしまうため、繰り返して2回目以降の排尿があっても、吸収体への尿の吸収を阻害せず、漏れなどの問題が生じなくなる。
請求項2に係る本発明として、前記吸収体の前記トップシート側に、前記温度変化物質を含む層と、その下層の前記水溶性物質を含む層とからなる温度変化用別部材が配設されている請求項1記載の使い捨ておむつが提供される。
請求項3に係る本発明として、前記水溶性物質を含む層は、前記水溶性物質を主原料とした成形体によって構成されている請求項1、2いずれかに記載の使い捨ておむつが提供される。
請求項4に係る本発明として、前記水溶性物質を含む層は、前記水溶性物質を担持させた透液性のシート状物によって構成されている請求項1、2いずれかに記載の使い捨ておむつが提供される。
上記請求項2〜4記載の発明は、前記温度変化用の層の第1形態例であり、前記吸収体の前記トップシート側に、前記温度変化物質を含む層と、その下層の前記水溶性物質を含む層とからなる2層構造の温度変化用別部材を配設するようにしたものである。このとき、前記水溶性物質を含む層は、前記水溶性物質を主原料としたシート状などの成形体、又は前記水溶性物質を担持させた透液性のシート状物によって構成することができる。
請求項5に係る本発明として、前記吸収体が3層以上の多層構造からなり、前記トップシート側の前記吸収体の層には前記温度変化物質が含まれるとともに、その下層の前記吸収体の層には前記水溶性物質が含まれている請求項1記載の使い捨ておむつが提供される。
上記請求項5記載の発明は、前記温度変化用の層の第2形態例であり、前記吸収体を3層以上の多層構造とし、前記トップシート側の前記吸収体の層に前記温度変化物質を含有させるとともに、その下層の前記吸収体の層に前記水溶性物質を含有させるようにしたものである。
請求項6に係る本発明として、前記水溶性物質は、水溶性樹脂、糖アルコール又は澱粉のいずれかである請求項1〜5いずれかに記載の使い捨ておむつが提供される。
請求項7に係る本発明として、前記温度変化物質は、ソルビトール又はキシリトールである請求項1〜6いずれかに記載の使い捨ておむつが提供される。
以上詳説のとおり本発明によれば、1回目の排尿に対しては温度変化物質の温度変化作用を十分に発揮させるとともに、2回目以降の排尿に対しては吸収体の吸収性能を阻害しない使い捨ておむつが提供できる。
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら詳述する。
図1は本発明に係る使い捨て紙おむつ1の製品状態外観図であり、図2はその展開図である。図1及び図2に示されるように、使い捨て紙おむつ1(以下、単に紙おむつという。)は、不織布などからなる透液性トップシート11と、ポリエチレンなどからなるバックシート12との間に、綿状パルプなどの吸収体13を介在させた吸収性本体10と、この吸収体13を囲繞する被包シート14とを含み、表面がわ両側部に立体ギャザーBS、BSが形成された吸収性本体10と、前記バックシート12の外面側に一体的に設けられた外装シート20とからなり、製品状態で前記外装シート20の前身頃Fと後身頃Bとが両側部において接合されることによりウエスト開口部及び左右一対のレッグ開口部が形成された構造のパンツ型紙おむつである。
特に、本発明に係る紙おむつ1では、図3に示されるように、吸収体13のトップシート11側に、体液との接触により着用者が感知し得る程度の温度変化を生じる温度変化物質30を含む層31が備えられるとともに、その下層に水溶性物質32を含む層33が備えられている。図示例では、吸収体13のトップシート11側に、長手方向中間部の幅方向中央位置に前記温度変化物質30を含む層31と前記水溶性物質32を含む層33とからなる温度変化用別部材34が配設されている。
前記水溶性物質32を含む層33は、1回目の排尿時に、水溶性物質32が尿に溶解するまでには一定の溶解時間を要することを利用して、尿を水溶性物質32を含む層33の上層に一時的に滞留させるようにしたものである。これにより、尿が即時に吸収体13に吸収されるのが抑制されるため、その上層に含まれる温度変化物質30との接触が十分に行われて確実な温度変化が生じるとともに、この温度変化を着用者に確実に感知させることができるようになる。
(吸収性本体10の構造)
先ず最初に、吸収性本体10の構造の一例について図2〜図4に基づいて詳述する。
吸収性本体10は、前述したように、不織布などからなる透液性トップシート11と、ポリエチレン等からなるバックシート12との間に、綿状パルプ等の繊維集合体と高吸収性ポリマー等の高吸収材などからなる吸収体13を介在させた構造とされ、体液を吸収保持するものである。前記吸収体13は、坪量が50〜600g/m程度が好ましく、200〜400g/m程度がより好ましい。
前記高吸収性ポリマーとしては、たとえばポリアクリル酸塩架橋物、自己架橋したポリアクリル酸塩、アクリル酸エステル−酢酸ビニル共重合体架橋物のケン化物、イソブチレン・無水マレイン酸共重合体架橋物、ポリスルホン酸塩架橋物や、ポリエチレンオキシド、ポリアクリルアミドなどの水膨潤性ポリマーを部分架橋したもの等が挙げられる。これらの内、吸水量、吸水速度に優れるアクリル酸またはアクリル酸塩系のものが好適である。前記吸水性能を有する高吸収性ポリマーは製造プロセスにおいて、架橋密度および架橋密度勾配を調整することにより吸水力(吸収倍率)と吸水速度の調整が可能である。前記吸収体13における高吸収性ポリマーの含有比率は、30〜70%程度が適当であるが、これに限るものではない。また、図示例では平面形状を略方形状として成形されたものが使用され、その幅寸法は股間部への当たりによって着用者にゴワ付き感を与えない寸法幅となっている。
前記吸収体13は、被包シート14によって囲繞されている。被包シート14は、ティシュー等の紙材あるいは不織布等の透液性のシートを用いることができるが、吸収体13に含有される前記繊維集合体や高吸収材又は温度変化物質30が抜け出さない程度の繊維密度を有するものを用いることができる。また、温度変化物質30が被包シート14に囲繞される場合は、表面側からの温度変化を感知し易くするため、薄く低坪量のものが適当である。厚みは0.05〜0.5mm程度が好ましく、0.05〜0.2mm程度がより好ましい。坪量は5〜25g/m程度が好ましく、5〜15g/m程度がより好ましい。不織布を用いる場合は、スパンボンド法やSMS法により加工された不織布、特にSMS法により加工された不織布が、薄さと強度のバランスに優れる点で好適である。なお、被包シート14は、少なくとも吸収体13の表面側(肌当接面側)の面が撥水性でなければシートの親水度は特に問わない。
前記吸収体13の表面側(肌当接面側)を覆う透液性トップシート11としては、有孔または無孔の不織布や多孔性プラスチックシートなどが好適に用いられる。不織布を構成する素材繊維は、ポリエチレンまたはポリプロピレン等のオレフィン系、ポリエステル系、ポリアミド系等の合成繊維の他、レーヨンやキュプラ等の再生繊維、綿等の天然繊維とすることができ、スパンレース法、スパンボンド法、SMS法、サーマルボンド法、エアスルー法、ポイントボンド法、メルトブローン法、ニードルパンチ法等の適宜の加工法によって得られた不織布を用いることができる。特には、表面側からの温度変化を感知し易くするため、スパンボンド法やSMS法により加工された不織布が薄さと強度のバランスに優れる点で好適であり、エアスルー法により加工された不織布は低坪量でも吸収が速やかでかつドライタッチ性に優れるため好適である。これらは1層からなるシートでも2層以上(同一種類あるいは複数種類)からなるシートでもよいが、合計の坪量としては、10〜40g/mが好ましく、10〜22g/mがより好ましく、10〜15g/mが特に好ましい。厚みは1mm以下が好ましく、0.5mm以下がより好ましく、0.3mm以下が特に好ましい。透液性トップシート11に多数の透孔を形成した場合には、尿などが速やかに吸収されるようになり、ドライタッチ性に優れたものとなる。前記透液性トップシート11は、吸収体13の側縁部を巻き込んで吸収体13の裏面側まで延在している。
前記吸収体13の裏面側(非肌当接面側)を覆うバックシート12は、ポリエチレンまたはポリプロピレンなどの不透液性プラスチックシートが用いられるが、近年はムレ防止の点から透湿性を有するものが好適に用いられる。この遮水・透湿性シートは、たとえばポリエチレンやポリプロピレン等のオレフィン樹脂中に無機充填材を溶融混練してシートを形成した後、一軸または二軸方向に延伸することにより得られる微多孔性シートであり、仮にシート厚が同じであれば無孔シートよりも剛性が低下するため、柔軟性の点で勝るものとなる。具体的には、JIS Z0208に準じて測定された透湿度が3000〜12000g/m2・24hr、好ましくは6000〜12000g/m2・24hr、より好ましくは8000〜12000g/m2・24hrの不透液性シートを使用するのが望ましい。
一方、立体ギャザーBSを形成するギャザー不織布16は、折返しによって二重シートとした不織布が用いられ、前記透液性トップシート11によって巻き込まれた吸収体13の側縁部をさらにその上側から巻き込んで吸収体13の裏面側まで延在して接着されている。より具体的には、前記ギャザー不織布16は、紙おむつの長手方向中間部では、立体ギャザーBS形成部分を残し、幅方向中間部から吸収体13の裏面側に亘る範囲がホットメルト接着剤等によって接着され、また長手方向前後端部では、前記幅方向中間部から一方側端縁までの区間が吸収体13の裏面側に亘る範囲で接着されるとともに、前記立体ギャザーBSを形成する部分を吸収体13の上面部にて折り畳むようにしながらホットメルト接着剤等により接着している。
前記二重シート不織布によって形成されたギャザー不織布16の内部には、起立先端側部分に複数本の糸状弾性伸縮部材17、17…が伸張下に配設されている。前記糸状弾性伸縮部材17、17…は、製品状態において弾性伸縮力により吸収体側縁部より突出する不織布部分を起立させて立体ギャザーBSを形成するためのものである。
前記糸状弾性伸縮部材17としては、通常使用されるスチレン系ゴム、オレフィン系ゴム、ウレタン系ゴム、エステル系ゴム、ポリウレタン、ポリエチレン、ポリスチレン、スチレンブタジエン、シリコン、ポリエステル等の素材を用いることができる。また、外側から見え難くするため、太さは940dtex以下、テンション(伸張率)は150〜350%として配設するのがよい。なお、糸状弾性伸縮部材に代えて、ある程度の幅を有するテープ状弾性伸縮部材を用いるようにしてもよい。
前述のギャザー不織布16を構成する素材繊維も前記透液性トップシート11と同様に、ポリエチレンまたはポリプロピレン等のオレフィン系、ポリエステル系、ポリアミド系等の合成繊維の他、レーヨンやキュプラ等の再生繊維、綿等の天然繊維とすることができ、スパンボンド法、SMS法、サーマルボンド法、エアスルー法、ポイントボンド法、メルトブローン法、ニードルパンチ法等の適宜の加工方法によって得られた不織布を用いることができるが、特に前記温度変化物質30を含む層31を側部に配置する場合は側部からの温度変化を感知しやすくするため、また、ムレを防止するために、坪量を抑えて通気性に優れた不織布を用いるのがよい。具体的には、不織布の加工方法としてはスパンボンド法やSMS法によるものが薄さと強度のバランスに優れる点で好適であり、坪量としては、8〜30g/mが好ましく、10〜22g/mがより好ましく、10〜15g/mが特に好ましい。厚みは0.5mm以下が好ましく、0.3mm以下がより好ましく、0.2mm以下が特に好ましい。さらに前記ギャザー不織布16については、尿などの透過を防止するとともに、カブレを防止しかつ肌への感触性(ドライ感)を高めるために、シリコン系、パラフィン金属系、アルキルクロミッククロイド系撥水剤などをコーティングした撥水処理不織布を用いても良い。
また、図示しないが、前記二重シート不織布によって形成されたギャザー不織布16の内部には、バックシート12と同様の不透液性のシートを挟んで防水性を向上させても良い。
前記吸収性本体10と外装シート20とは、図3、図4に示されるように、外装シート20の上面側に吸収性本体10がホットメルト等の接着剤によって接着され一体化される。そして、吸収性本体10および外装シート20が前後方向に折り重ねられ、その両側部がヒートシールや超音波シール等の溶着手段またはホットメルト接着剤等の接着手段などによって相互に接合されることにより、パンツ型紙おむつ1に組み立てられる。
(外装シート20の構造)
次に外装シート20の構造について、図4及び図5に基づいて詳述する。外装シート20は、上層不織布20A及び下層不織布20Bが、ホットメルト接着剤などにより接着された2層構造の不織布シートとされ、前記上層不織布20Aと下層不織布20Bとの間に各種弾性伸縮部材がホットメルト接着剤などにより伸張下に固定され、伸縮性が付与されている。平面形状は、中間両側部に夫々脚部開口を形成するための凹状の脚回りカットライン29により、全体として擬似砂時計形状を成している。
上層不織布20A及び下層不織布20Bを構成する素材繊維も、前記透液性トップシート11やギャザー不織布16と同様に、ポリエチレンまたはポリプロピレン等のオレフィン系、ポリエステル系、ポリアミド系等の合成繊維の他、レーヨンやキュプラ等の再生繊維、綿等の天然繊維とすることができ、スパンボンド法、SMS法、メルトブローン法、サーマルボンド法、エアスルー法、ポイントボンド法、ニードルパンチ法等の適宜の加工方法に得られた不織布を用いることができるが、特にはムレを防止するために、坪量を抑えて通気性に優れた不織布を用いるのがよい。具体的には、不織布の加工方法としてはスパンボンド法やSMS法によるものが薄さと強度のバランスに優れる点で好適であり、坪量としては、8〜30g/mが好ましく、10〜22g/mがより好ましく、10〜15g/mが特に好ましい。厚みは0.5mm以下が好ましく、0.3mm以下がより好ましく、0.2mm以下が特に好ましい。さらに前記ギャザー不織布16と同様の撥水処理を施した不織布を用いるのが好ましい。また、バックシート12を外装シート20の層間に設けても良い。
本発明に係る外装シート20においては、前記弾性伸縮部材として、図5の展開形状に示されるように、ウエスト開口部回り23に配置されたウエスト部弾性伸縮部材24,24…と、前身頃F及び後身頃Bに、上下方向に間隔をおいて水平方向に沿って配置され、腰回りにシャーリングを形成するための複数の腰回り弾性伸縮部材群25,25…とを有する。
前記ウエスト部弾性伸縮部材24,24…は、前身頃Fと後身頃Bとが接合された脇部接合縁21の範囲の内、ウエスト開口縁近傍に上下方向に間隔をおいて配設された複数本の糸ゴム状弾性伸縮部材であり、身体のウエスト部回りを締め付けるように伸縮力を与えることにより紙おむつを身体に装着するためのものである。このウエスト部弾性伸縮部材24は、図示例では糸ゴムを用いたが、例えばテープ状の伸縮部材を用いてもよい。
前記腰回り弾性伸縮部材群25,25…は、脇部接合縁21のウエスト開口縁23を除く上部位置から下部位置まで、あるいは図示されるように、脇部接合縁21よりも股下側に及ぶ範囲に亘り、上下方向に間隔をおいて水平方向に沿って配設された糸ゴム状弾性伸縮部材であり、前身頃F及び後身頃Bの腰回り部分に夫々、水平方向の伸縮力を与え腰回りシャーリングゾーンK1、K2を形成するためのものである。なお、前記ウエスト部弾性伸縮部材24、24…と腰回り弾性伸縮部材群25、25…との境界は必ずしも明確でなくてよい。例えば、前身頃F及び後身頃Bに上下方向に間隔をおいて水平方向に配置された弾性伸縮部材の内、数は特定できなくても、上部側の何本かがウエスト部弾性伸縮部材24として機能し、残りの弾性伸縮部材が腰回り弾性伸縮部材25として機能していればよい。前記吸収体13の縮こまりを防止するため、前記腰回り弾性部材25…は、吸収性本体が接合される中央付近において連続しておらず、前記吸収性本体10を横切る弾性伸縮部材25…を切断して不連続とし、前記腰回り弾性部材25…による伸縮性が付与されていない構造としてもよい。
なお、外装シート20において、弾性伸縮部材を配置しない股下部の長手方向(前後方向)中間部は、前述のような2層構造ではなく、上層不織布20Aあるいは下層不織布20Bを有さない1層構造、あるいは股下部の長手方向中間部には外装シート20を有さず、外装シート20が前身頃外装シートと後身頃外装シートとに分離している形態としてもよい。なお、股下部の長手方向中間部に外装シート20を有さない場合は、吸収性本体の裏面側に、不織布などからなる股下部外装シートを配置してもよい。股下部外装シートには、上層不織布20Aや下層不織布20Bと同様の不織布を用いればよいが、1枚(1層)の不織布から構成するのが適当である。
(温度変化に係る構造)
次に、温度変化に係る構造について詳述する。図6に示される形態例では、被包シート14によって囲繞された吸収体13のトップシート11側、すなわち使用面側に、温度変化物質30を含む層31とその下層の水溶性物質32を含む層33とからなる温度変化用別部材34が配設されている。
上記温度変化用別部材34は、吸収体13の長手方向及び幅方向の中間部に配設されている。特に温度変化用別部材34の幅方向位置は、幅方向中央位置であることが好ましい。男の子用の場合、温度変化用別部材34は長手方向において前側に位置することが好ましく、特に外装シート20の左右両側部の接合部の下端部を結ぶ線と吸収体13が交差する部分を含むように配置されていると、排尿口に近く、かつ弾性伸縮部材の作用によって温度変化用別部材34が常に体に押し当てられた状態となるため、どのような姿勢においても着用者に温度変化を感知させることができ、好ましい。また、女の子用の場合は、温度変化用別部材34は長手方向中央部分を含むように配置されていると、排尿口に近いため、好ましい。従って、男女兼用とする場合は、外装シート20の両側部の接合部の下端部を結ぶ線と吸収体13が交差する部分及び長手方向中央部分を含むように配置すると、排泄時に温度変化物質を含む層と体液との接触がより多く行われ、温度変化物質による温度変化が効果的に行われるようになるとともに、着用者の知覚が、温度変化による不快感を最も感知しやすい局部領域で行われるようになるため、着用者に温度変化を感知させ、育児者等が温度変化を感知することができるようになるため、好ましい。
ここで、温度変化は、体液との接触により着用者が感知し得る程度の温度変化を生じる温度変化物質30によって発現され、この温度変化物質30の温度変化によって着用者に温度変化を感知させることができるようになっている。
一般に、このような温度変化は物質の溶解熱を利用することで容易に得ることができる。温度変化物質30としては、尿などの体液水性溶液との接触によって吸熱するもの又は放熱するもののいずれであってもよく、吸熱する温度変化物質30は着用者に冷涼感を与え、放熱する温度変化物質30は着用者に温熱感を与える。このような温度変化物質30のうち、本発明では、着用者に冷涼感を与える吸熱作用を呈する温度変化物質を使用することが好ましい。これは、尿などの体液は排泄後の高温状態から温度が低下するため、この温度低下を促進することにより冷却作用を発現し、着用者に不快感を与える方が着用者の知覚をより効果的に引き起こすことができるとの着想によるものである。
前記温度変化物質30は、体液に溶解しやすくないと十分な温度変化を発揮できないため、温度20℃の水100mlへの溶解度が30g以上、特に50g以上であるものが好ましい。また、前記温度変化物質30は、20cal/g以上、特に35cal/g以上のエネルギ変化を生じるものが好ましい。
具体的に、体液との接触により吸熱作用を発現する温度変化物質30を例示すると、塩の酸化物としては酢酸ナトリウム、炭酸ナトリウム、硫酸ナトリウム、チオ硫酸ナトリウム、リン酸ナトリウム、無水塩としては硝酸アンモニウム、硝酸カリウム、塩化アンモニウム、塩化カリウム、硝酸ナトリウム、有機化合物としてはソルビトール、キシリトールなどの糖アルコール、尿素などが挙げられる。一方、体液との接触により放熱作用を発現する温度変化物質30を例示すると、塩化アルミニウム、硫酸アルミニウム、硫酸アルミニウムカリウムなどが挙げられる。
本発明では、これらのうち、吸熱作用を発現するソルビトール、キシリトールなどの糖アルコール又は尿素などの有機化合物を使用することが好ましい。特にソルビトールやキシリトールは、溶解性に極めて優れ、化学的安定性が良く、人体に悪影響を及ぼさないため、好適に使用できる。
かかる温度変化物質30は、紙おむつ1に、温度変化物質30の粉粒体として配設されるか、或いはその成形体又は温度変化物質30を担持させたシート状物として配設される。すなわち、粉粒の温度変化物質30をそのまま散布したり、前記温度変化物質30を溶解させて可撓性を有するシート状に成形したり、温度変化物質30を不織布や紙などのシートに担持させたものを使用することができる。特に、後者のシート状物とするには、不織布又は紙などのシート材からなる基材に、粉体状の温度変化物質30を定着させたり、温度変化物質30の水溶液を含浸あるいは塗布した後乾燥させたり、温度変化物質30を融解したものを塗布したり、積層シートの層間に温度変化物質30を積層したり、さらにこれを加熱することで融解して固着することにより、温度変化物質30を担持させるようにする。
本発明において、温度変化用別部材34の上側の層31に配置される温度変化物質30は、粒子状物であることが好ましい。水溶性の物質は、溶解性の程度が同レベルなら、溶解の速度は表面積に比例する。従って、塊状の物質よりも粒子状の物質のほうが溶解速度が速い。そして、(細かい)粒子状の中でも粒子構造の中に空隙が多い顆粒状(あるいは表面積の大きい不定形状や微細孔を有する形状のもの)のものはさらに溶解速度が速い。本発明において、温度変化物質の溶解速度が速いということは、温度変化が速やかということを意味する。従って、温度変化用別部材34の上側の層31に配置される温度変化物質30は、(細かい)粒子状、特に顆粒状であることが好ましい。具体的には、嵩密度が真密度の50%以下であることが好ましい。これは、すなわち温度変化物質が見かけの体積に対して50%以上の空隙(空間)を有するということである。従って、溶解が速やかなものとなる。ソルビトールの場合、真密度は1.50g/cmなので、好ましい嵩密度は0.75g/cm以下であり、0.50〜0.70g/cmがより好ましく、0.55〜0.65g/cmが特に好ましい。また、嵩密度が小さくても、粒子径が大きければ必ずしも表面積が大きいとは限らない。本発明において少なくとも温度変化用別部材34の上側の層31に配置する温度変化物質30は、平均粒子径(JIS K 1474−2007 メジアン径)が200〜600μmであることが好ましい。
なお、前記温度変化物質を含む層31は、温度変化物質30の成形体を前記基材で被包したり、前記基材間に該成形体を重ねたりすることにより形成してもよい。前記温度変化物質30の目付け量は、50〜1000g/m、好ましくは300〜700g/mとすることができる。温度変化物質30の目付け量が50g/m未満では、温度変化が感知し得る程度に顕在せず、1000g/mを超えると、効果が飽和するばかりでなく、コストが嵩む。
また、前記温度変化物質30を含む層31には、高吸収性ポリマーが含有されていることが好ましい。これにより、体液吸収時に温度変化物質30を含む層31が膨張するようになるため、温度変化物質30を含む層31が着用者の身体に接触し易くなり、温度変化を確実に感知させることができるようになる。また、温度変化物質の作用により温度変化した体液が吸収体内に拡散する前に前記高吸収性ポリマーに保持され、着用者に感知可能な温度変化が持続するようになる。
前記高吸収性ポリマーは例えば粒状粉とされ、温度変化物質30の粒状体中に混入されるか、又は温度変化物質30を含む層31の周囲の吸収体13に混入、あるいは温度変化物質30を含む層31の上から散布される。前記高吸収性ポリマーとしては、前記吸収体13中に含まれるものと同様のものを使用すればよいが、特に、好ましくは吸収速度が50秒以下、より好ましくは40秒以下のものを用いると、拡散してしまう前に温度変化した体液の多くを吸収保持できるため、優れた温度変化の持続効果が期待できる。なお、吸収速度とは、2gの試料が50gの生理食塩水を吸収するのに要する時間であって、JIS K 7224−1996に基づき測定されるものである。かかる高吸収性ポリマーの目付け量は、20〜200g/m、好ましくは50〜100g/mとすることができる。ポリマーの目付け量が20g/m未満では、体液吸収による温度変化物質30を含む層31の膨出量を確保し難くなる。200g/mを超えると、効果が飽和するばかりでなく、高吸収性ポリマーの過剰によりジャリジャリした違和感を与えるようになる。
前記水溶性物質32は、尿に可溶のものであれば特に限定しない。ただし、1回目の排尿時にこの水溶性物質32を含む層33の上層に尿を滞留させ、温度変化物質30の溶解を促進させるという効果を十分に発揮させるため、前記水溶性物質32は、尿との接触による溶解速度が、前記温度変化物質30の溶解速度より比較的遅いものを使用することが好ましい。
前記水溶性物質32としては、例えば、水溶性樹脂、糖アルコール又は澱粉のいずれかとすることができる。具体的に前記水溶性樹脂としては、ポリビニルアルコール、ポリオキシアルキレン基含有ポリビニルアルコール、ポリビニルポロリドン、ポリアルキレシオンオキシド、澱粉系樹脂、カルボキシメチルセルロース、メチルセルロース、ポリエチレンオキシド、多糖体、ヒドロキシエチルセルロース、アルギン酸ソーダ、ポリアクリル酸ソーダ、ポリアクリル酸エステル、ポリアクリルアミド、ポリアクリル酸、ビニルエーテル系ポリマー、セルロース誘導体、エチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルエチルセルロース、エチルヒドロキシエチルセルロース、アルギン酸ナトリウム、デキストリン、ポリビニルエーテル系樹脂、イソブチレン、無水マレイン酸共重合体などが好適に使用される。前記糖アルコールとしては、キシリトール、エリスリトール、ソルビトール、マルチトール、イソマルト、マンニトール、グリセリン、ラクチトールなどが好適に使用される。前記澱粉としては、馬鈴薯澱粉、小麦澱粉、トウモロコシ澱粉、米澱粉、甘藷澱粉、タピオカ澱粉などが好適に使用される。
かかる水溶性物質32は、該水溶性物質32を主原料としたシート状(図6参照)の成形体として配設されるか、又は該水溶性物質32を担持させたシート状物として配設される。すなわち、水溶性物質32を溶解させて可撓性を有するシート状に成形したり、水溶性物質32を不織布や紙などのシートに担持させたものを使用することができる。特に後者のシート状物とするには、不織布又は紙などのシート材からなる基材に、粉体状の水溶性物質32を定着させたり、水溶性物質32の水溶液を含浸あるいは塗布した後乾燥させたり、水溶性物質32を融解したものを塗布したりすることにより、水溶性物質32を担持させるようにする。
前記水溶性物質32を含む層33としては、水溶性物質32を溶解させて可撓性を有するシート状に成形したものを使用することが好ましい。これにより、水溶性物質32が溶解するまで液を滞留する液滞留性に加えて、シート状成形体の構造特有の液通過阻害性を与えることができるようになる。ここで、この液通過阻害性を実証するため、透気速度の比較実験を行った。なお、本来であれば透液速度の比較実験を行うべきであるが、液体を通過させる実験では液滞留性と液通過阻害性の2つの要因が作用することから、液通過阻害性のみを比較するため、透気速度の実験を行った。実験では、JIS P 8117に基づきガーレー式デンソメータを用いて、ソルビトールの粉粒体をエアレイド不織布の層間に担持させたシート状物(1枚350g/m、3mm厚)と、このシート状物に馬鈴薯澱粉を原料としたオブラート(1枚19g/m、0.0175mm厚)を積層したオブラート積層体と、クレープ紙(1枚20g/m、0.1mm厚×16枚重ね)の透気抵抗度(ガーレー)を計測した。その結果、次表1に示されるように、前記オブラート積層体の透気抵抗度は、前記シート状物やクレープ紙のそれに比べて桁違いに大きく、オブラートを積層することにより、シート状物の透気抵抗度は大きく向上し、液体の通過を阻害することが実証できた。このため、水溶性物質32を含む層33をオブラートなどのシート状の成形体構造とすることにより、水溶性物質32によって液の透過を妨げることができるようになる。
Figure 0004415053
また、水溶性物質32の粉粒体をエアレイド不織布等の積層シートの少なくとも1層に担持させたシート状物(例えば前述の透気抵抗度実験にて用いたシート状物)でも、前記水溶性物質32が100℃前後での融解が可能な物質であれば、加熱して溶融させた後冷却して固化させることでシート状の成形体構造とすることができる。
加熱して溶融した物質は液状化すると拡散しようとするため、水溶性物質32の粉粒体を積層シートの層間に担持させたシート状物を加熱するだけでは、シート状の成形体構造が形成されるとは限らない。この溶融時の粘度は、5〜80P(ポアズ)であることが好ましい。粘度が5Pより低いと、溶融時に温度変化物質30が広範囲に拡散してしまい、一方粘度が80Pより高いと溶融時の流動性が悪く、溶解してもその場で滞留するため、いずれも良好なシート状の溶融固化体が形成されないおそれがある。使い捨ておむつは通常ポリエチレンやポリプロピレン等の熱可塑性樹脂を含むため、温度変化物質はこれらの樹脂と同じかそれよりも低い融点を有することが望ましい。一般的な熱可塑性樹脂の中で特に融点の低いポリエチレンは、通常100〜130℃程度の融点を有するため、この場合の水溶性物質32の融点は130℃以下であることが好ましく、100℃以下であることがより好ましい。また、保管時に融解しないよう、70℃以上の融点を有することが好ましい。
また、十分な液滞留性を有するよう、融解する水溶性物質32の粉粒体は、積層体内において50〜300g/m程度存在し、水溶性物質32を有する主要な層内において50wt%以上含有されていることが好ましい。
このように、加熱による融解によって形成した水溶性物質32の層の構造は、積層シート内の水溶性物質32を含む層における水溶性物質32の配合率や加熱時の粘度、その他の製造条件により異なるため、加熱溶融後冷却して固化したからといってシート状の成形体構造としての液通過阻害性を有するとは限らない。実際に機能し得る通液阻害性を有するかどうかは、上記の透気速度の実験によって確認することができる。加熱による融解によって形成した水溶性物質32の層を有する積層シートが、本発明の効果(通液阻害性)を有するためには、少なくとも5秒/300cc以上の透気抵抗度が必要であり、20秒/300cc以上の透気抵抗度を有することが好ましい。
ここで、この100℃前後で融解可能な水溶性物質32が、体液との接触により着用者が感知し得る程度の温度変化を生じる性質を併せ持つ物質である場合、前記水溶性物質32を含む層33自体も溶解によって温度変化を生じるため、より大きな温度変化を生じることができる。ところで、多孔質で表面積の大きい粒子状物を溶融後固化してシート状の成形体構造とすると、その表面積は格段に小さくなり、溶解速度が遅くなる。これによって前記水溶性物質32を含む層33は液通過阻害性を発現することが可能になるが、溶解によりシート状の成形体構造が液通過阻害性を失った後も、溶け残った水溶性物質32はゆっくりと溶解する。このように、加熱溶融され溶融固化体となった水溶性物質32(=温度変化物質)は温度変化作用が長時間生じるようになり、加熱溶融されない温度変化物質30は粒子状が維持されるようになるため、温度変化作用が素早く生じることにより、温度変化作用の速効性と遅効性とを兼ね備えた使い捨ておむつを得ることが可能となる。
このような、100℃前後で融解可能で、体液との接触により温度変化を生じる性質を有する水溶性物質としては、ソルビトールやキシリトールを例示することができる。これらの融点は通常約95〜110℃程度(純度によって若干異なる)である。
さらに、温度変化用別部材34に、前記下層を構成する水溶性物質32を含む層33を特に設けなくても、温度変化物質30を含む層31さえ存在すれば、温度変化用別部材34を下層側から加熱することによって、温度変化物質30の下層側部分のみ融解することにより、水溶性物質を含みシート状の成形体構造を有する層33を形成することができる。また、このように形成することにより、温度変化物質30の溶融体が、加熱溶融されない温度変化物質の粒状体と接着又は融着し、その後前記溶融体が固化することによって、この加熱溶融した温度変化物質及び加熱溶融しない温度変化物質をシート内で移動したり脱落したりしないように固定することも可能になり、温度変化用別部材が粒子状物を多量に含むシート状資材であっても、おむつ製造ラインでの加工が容易になる。
また、前記水溶性物質32を含む層33として、馬鈴薯澱粉などのオブラート状成形体を使用する場合、この成形体の目付けが高すぎると、下層のシート材(被包シート14など)の目詰まりの原因となり、2回目以降の排尿時に、吸収体13への水分吸収が阻害されたり、尿が周囲へ拡散したりするなどの問題が起こり得る。そこで、前記オブラートの最適な目付けとして、以下の実験の結果から24g/m以下、好ましくは15〜24g/mの範囲のものを使用する。実験では、被包シート14で囲繞した吸収体13(パルプ214g/m、ポリマー214g/m)の上層に水溶性物質32を含む層33として馬鈴薯澱粉を原料としたオブラート(1枚19g/m、0.0175mm厚)を配設し、その上層にポリプロピレンスパンボンド不織布(18g/m、耐久親水性)からなるトップシート11を配設した紙おむつ試験体を用意し、前記オブラートの中心部位置に200gの重りを含む注入筒を立てた状態で、該注入筒に75ccの人工尿を注入し、注入筒から人工尿が無くなるまでの時間を計測した。注入筒はアクリル樹脂製で、一辺が10cmの正方形の基部を有し、その上に内径25mm円筒注入部を有し、重量は100gである。(従って、重りを含む重量は300gとなる。)計測は、5分間隔で3回の注入を繰り返したときの各回の時間を計測した。その結果、表2に示されるように、1回目の注入時においては、オブラートを配設した場合の方が、無い場合より透液時間が長くなり、尿を滞留させる効果があることが実証できた。また、2回目以降の注入時においては、オブラートを配設したものと無いものとで同等の透液時間であった。これにより、水溶性物質32を含む層33としては、目付け19g/m程度のもので十分必要な液滞留性が得られることが実証された。
Figure 0004415053
一方、上層の温度変化物質30を含む層31が液保持性を有するもの(吸収性能を有する基材に温度変化物質30を担持させたシート状物など)で成形される場合には、水溶性物質32を含む層33の目付けを高くすると、温度変化物質30を含む層31の液保持性を十分に発揮できるようになるため好ましい。
ところで、温度変化に係る構造は、前記温度変化用別部材34が配設される形態に代えて、図7に示されるように、吸収体13が3層以上の多層構造、図示例では3層構造からなり、トップシート11側の吸収体の層、すなわち上層吸収体13Aに温度変化物質30が含まれるとともに、その下層の吸収体の層、すなわち中間吸収体13Bに水溶性物質32が含まれたものとされ、その下層に下層吸収体13Cが積層された構造としてもよい。
この場合、中間吸収体13Bを水溶性物質32を主原料とした成形体、あるいは水溶性物質32を担持させた透液性のシート状物とし、これを含む3層(以上)の吸収体層を順次積層することにより構成してもよいが、中間吸収体13Bを水溶性物質32の粒子状物を含む層、あるいは水溶性物質32の粒子状物からなる層(この場合は厳密には「中間吸収体」ではなく単なる「中間層」であるが、便宜上「中間吸収体」と呼ぶ)とし、中間吸収体13Bを少なくともその上下の層と積層後、加熱することにより水溶性物質32を融解させ、これを固化させることで中間吸収体13Bにシート状成形体と同様の構造を付与してもよい。この後者の場合、下層吸収体13Cを積層後、下層吸収体13Cの上から水溶性物質32の粒子状物を散布あるいは投射して、中間吸収体13Bを形成してもよいし、下層吸収体13Cの上に水溶性物質32の粒子状物を含む吸収体を積層して中間吸収体13Bを形成してもよい。温度変化物質30は予め上層吸収体が含むように形成したものを積層してもよいが、温度変化物質30の融点が水溶性物質32と同程度あるいは近い場合は、加熱後に上層吸収体13Aの上面に温度変化物質30の粒子状物を散布あるいは投射すれば、温度変化物質30を融解させることがない。もちろん、上層吸収体13Aには温度変化物質30の粒子物を含み、中間吸収体13Bには水溶性物質32の粒子状物を含む状態で、吸収体を下層側から加熱することにより水溶性物質32の大部分を溶融固化層に形成し、温度変化物質30の大部分を粒子状物のまま維持することも可能である。
〔他の形態例〕
(1)上記形態例では、パンツ型使い捨て紙おむつを例に採り本発明を説明したが、本発明はテープ式使い捨て紙おむつに対しても同様に適用が可能である。また、幼児用、大人用問わず適用が可能であるが、好ましくは幼児のオムツ離れを促すためのトレーニングパンツに適用するのが望ましい。
(2)上記形態例では、外装シート20は、上層不織布20A及び下層不織布20Bが、ホットメルト接着剤などにより接着された2層構造の不織布シートとしたが、この構造には特にこだわらず、公知の外装シートの構造を任意に採用することができる。
(3)上記形態例では、トップシート11、バックシート12、ギャザー不織布16のいずれもが吸収体を巻き込む構造としたが、吸収体13を巻き込むのはバックシート12のみでもよく、いずれのシートも吸収体13を巻き込まないようにしてもよい。巻き込みがバックシート12のみの場合は、トップシート11やギャザー不織布16は、外装シート20と共にサイドフラップを形成するが、外装シート20が液不透過性を有する、または外装シート20とバックシート12との間に別の液不透過性シートを介在させる構成(この液不透過性シートは表面シートを含む形状の方形または砂時計形状が好ましい)になっておればよい。また、バックシート12も巻き込まない場合は、バックシート12とは別の液不透過性の被覆シートが吸収体側部の裏面側から表面側まで延在して側部を挟むように固定されておればよい。
本発明に係る使い捨て紙おむつ1の製品状態外観図である。 その展開図である。 図2のIII−III線矢視図である。 使い捨て紙おむつ1の分解図である。 外装シート20の展開図である。 温度変化用別部材34部分を拡大した吸収性本体10の断面図である。 温度変化に係る構造の他の形態例である。
符号の説明
1…使い捨て紙おむつ、10…吸収性本体、11…表面シート、12…防漏シート、13…吸収体、14…被包シート、16…ギャザー不織布、17…糸状弾性部材、20…外装シート、20A…上層不織布、20B…下層不織布、21…脇部接合縁、23…ウエスト開口部周り、24…ウエスト部弾性伸縮部材、25…腰回り弾性伸縮部材、29…脚周りカットライン、30…温度変化物質、31…温度変化物質を含む層、32…水溶性物質、33…水溶性物質を含む層、34…温度変化用別部材、B…後身頃、F…前身頃、BS…立体ギャザー

Claims (7)

  1. 透液性のトップシートと不透液性のバックシートとの間に吸収体が介在された使い捨ておむつにおいて、
    前記吸収体の前記トップシート側には、体液との接触により着用者が感知し得る程度の温度変化を生じる温度変化物質を含む層が備えられるとともに、その下層に水溶性物質を含む層が備えられていることを特徴とする使い捨ておむつ。
  2. 前記吸収体の前記トップシート側に、前記温度変化物質を含む層と、その下層の前記水溶性物質を含む層とからなる温度変化用別部材が配設されている請求項1記載の使い捨ておむつ。
  3. 前記水溶性物質を含む層は、前記水溶性物質を主原料とした成形体によって構成されている請求項1、2いずれかに記載の使い捨ておむつ。
  4. 前記水溶性物質を含む層は、前記水溶性物質を担持させた透液性のシート状物によって構成されている請求項1、2いずれかに記載の使い捨ておむつ。
  5. 前記吸収体が3層以上の多層構造からなり、前記トップシート側の前記吸収体の層には前記温度変化物質が含まれるとともに、その下層の前記吸収体の層には前記水溶性物質が含まれている請求項1記載の使い捨ておむつ。
  6. 前記水溶性物質は、水溶性樹脂、糖アルコール又は澱粉のいずれかである請求項1〜5いずれかに記載の使い捨ておむつ。
  7. 前記温度変化物質は、ソルビトール又はキシリトールである請求項1〜6いずれかに記載の使い捨ておむつ。
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