JP4415018B2 - 溶湯直接圧延装置 - Google Patents
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Description
本発明は、金属溶湯を、直接圧延加工することにより金属板を成形する溶湯直接圧延装置に関するものである。
金属板を金属溶湯から直接成形する方法としては、ストリップ連鋳法と溶湯直接圧延法が知られている。ここで、溶湯直接圧延法は、一対の圧延ロール間に注入した金属溶湯を凝固すると共に圧延加工することによって、所望の金属板を成形する方法であり、前記ストリップ連鋳法では得られない熱延組織形態を持つ金属板を成形できるものである。
このような溶湯直接圧延法として、本発明の発明者らは、例えば非特許文献1のように(図8参照)、一対の圧延ロール61,62を、両者の回転軸心を通る面fを垂直方向に対して排出側へ約45度傾けるように配設し、該圧延ロール61,62とその両側に設けられたサイドダムとにより画成される領域に、注入落差を小さくするようにして、金属溶湯X(アルミニウム合金の溶湯)を注入し、金属板Y’(アルミニウム合金板)を成形する装置60を提案している。この溶湯直接圧延装置60では、金属溶湯が圧延ロール61,62に接触して凝固した凝固金属(凝固シェル)が該圧延ロール61,62により送られて出会う位置を、圧延ロール61,62間距離の最も狭い最狭圧延端に比してかなり供給側に設定することにより、凝固直後の金属に上記ストリップ連鋳法では発生し得ない大きな挟圧力(圧延荷重)を発生させ、高い圧下率で圧延加工することができるようになっている。ここで、圧下率は、凝固金属が出会って凝固の完了する位置から最狭圧延端までの、圧延ロール61,62間距離の減少割合である(詳しくは後述する)。すなわち、この溶湯直接圧延装置60は、金属溶湯Xを凝固させるとともに、通常の熱間圧延に相当する大きな圧下率で圧延加工を行うことによって、金属溶湯Xから一工程で熱延薄板に相当する金属板Y’を成形することができる装置である。
日本塑性加工学会誌 第36巻 第418号 p1281〜p1287
日本塑性加工学会誌 第36巻 第418号 p1281〜p1287
上述した従来構成の溶湯直接圧延装置にあっては、金属溶湯を、樋状のタンディッシュから下側圧延ロール上に落下させた後、上下の圧延ロールとサイドダムとにより画成される領域に流入させて湯溜まりを形成するようにしている。ところが、この従来の溶湯直接圧延装置では、小さな湯溜まりが圧延ロール上に形成されるため、該湯溜まりの湯面高さを一定に制御し難く、湯面高さが変動し易い。このため、上述した、凝固金属が出会って凝固の完了する位置が変動し易く、これに応じて圧延荷重と圧下率とが変動することとなるから、成形後の金属板の板厚、その組織形態、さらに強度・延性等の機械的性質が金属板の長手方向で安定し難いという問題が生じている。
また、従来構成の溶湯直接圧延装置では、上述のように、金属溶湯を圧延ロール上の湯溜りに落下させることにより供給していることから、湯面が波立ち易い。このため、圧延ロールと最初に接触するところ(いわゆる、接触始端)で金属溶湯に乱れを生じ、成形後の金属板に表面欠陥が生成し易いという問題も生じている。
また、上述したように樋状のタンディッシュを用いて金属溶湯を圧延ロール間に供給していることから、ロール幅方向に均等な溶湯の供給が難しく、従って、湯溜り内の溶湯の温度分布がロール幅方向に不均一になり易い。その結果、圧下率もロール幅方向に不均一となり、これに従って金属板の板厚・組織・機械的性質などが幅方向に不均一になり易く、幅広の薄板を成形する場合には、該薄板の平坦度不良などの形状不良が生じ易いという問題も生じている。
さらに、従来構成の溶湯直接圧延装置により成形したアルミニウム合金板を、本発明者らが詳細に調査研究した結果、その組織形態が板厚方向で非対称に形成されていることが分かった。また、同じアルミニウム合金板について化学成分分析を行った結果、溶質が板表面に近いほど濃化する逆偏析を生じていることも分かり、さらには、この溶質の分布も板厚方向で非対称となっていた。このように非対称構造に成形された金属板は、機械的性質が板厚方向に偏って発現するため、製品の機械的性質に好ましくない影響を及ぼす。
さらにまた、溶湯直接圧延では凝固直後の金属を高い圧下率で圧延するため、ロールと凝固金属の間でスリップや焼き付きを生じやすい。従来構成の溶湯直接圧延装置ではこれを防止するため潤滑離型剤としてプロパンガスの不完全燃焼による煤をロール面に生じさせているが、この方法は煤の付着量の制御が難しい。
以上のことから、上述した従来構成の溶湯直接圧延装置を製造装置として適用しても、所望の品質を維持して金属板を成形することが難しく、安定して生産することができない。このため、この溶湯直接圧延装置は、金属板の製造装置としては実用に供することができない。本発明は、かかる問題点を解決し、優れた品質の金属板を安定して成形できる実用可能な溶湯直接圧延装置を提案するものである。
本発明は、両回転軸心を水平かつ互いに平行とし、かつ両回転軸心を通る面が、垂直又は排出側へ約45度以内で傾斜するようにして配置した、上下一対の水冷式圧延ロールと、上下圧延ロール間に金属溶湯を供給する水平供給路が形成され、下側圧延ロールのロール表面と微間隙を有して非接触状に配置された水平供給ノズルと、所定温度に保持された金属溶湯を、前記水平供給ノズルの供給路でほぼ一定の湯面高さを維持するように、順次供給する溶湯供給手段とを備えてなり、前記水平供給ノズルから供給された金属溶湯が、上側圧延ロール又は下側圧延ロールと接触する上下の接触始端から、上下圧延ロール間距離の最も狭い最狭圧延端までの、上下の接触周長が、ほぼ等しい長さとなるようにしていることを特徴とする溶湯直接圧延装置である。この溶湯直接圧延装置は、金属溶湯の急冷凝固と、凝固した金属に通常の熱間圧延に相当する圧延加工とを行うことによって、金属溶湯から一工程で熱延板(金属板)を成形することができるものである。
かかる構成にあっては、上述した従来構成のように圧延ロール上に湯溜まりを形成することがなく、水平供給ノズルと溶湯供給手段とによって平穏な状態で静かに送られてくる金属溶湯を、順次上下圧延ロール間に供給するようにしている。これにより、金属溶湯をほぼ一定の湯面高さで安定して供給することができることから、上下圧延ロールと夫々に接触して凝固した凝固金属(凝固シェル)が出会って凝固の完了する位置が常に定まり、ほぼ一定の圧下率と圧延荷重とを作用させることができるため、所望の板厚と組織形態とを有する金属板を安定して成形することができ得る。さらに、金属溶湯を、常に平穏な状態を保ったまま静かに供給することができるから、湯面が波立つこともなく、これに基づく表面欠陥が金属板に生じることもない。
さらに、この水平供給ノズルは、その先端を下側圧延ロールの最頂部位より供給側の任意の位置に配置することが可能であるから、金属溶湯が下側圧延ロールと接触する接触周長は任意に設定できる。他方、金属溶湯が上側圧延ロールと接触する接触周長は湯面高さにより任意に調節することができる。したがって、上下圧延ロールの接触周長を任意にかつ等しくなるようにすることができるため、上述した従来構成のように組織形態や機械的性質が板厚方向で非対称に形成されることもなく、組織形態や機械的性質が板厚方向で対称な金属板を成形することができ得る。
また、この水平供給ノズルは、下側圧延ロールとの間に微間隙を設けて非接触状に配置されるように取り付けるようにしていることから、下側圧延ロールにより水平供給ノズルが接触冷却されないので、水平供給ノズルの供給路内での金属溶湯の温度低下を最小限に抑えることができる。
さらに、本発明の溶湯直接圧延装置にあっては、溶湯供給手段により、所定温度に保持された金属溶湯を水平供給ノズルによってロール幅方向に均等に供給できるから、圧延ロールと最初に接触する接触始端における金属溶湯の温度はロール幅方向に均一に制御できるため、圧下率もロール幅方向に均一となり、これに従い金属板の板厚、組織、機械的性質などもロール幅方向に均一となり得る。
次に、上下圧延ロールの配置形態について詳述する(図4参照)。
溶湯直接圧延法にあっては、上下圧延ロール21,22間に供給された金属溶湯Xが適度に凝固した後に該圧延ロール21,22の回転に従って圧延加工が開始される。この時、仮に圧延ロール21,22と凝固金属(凝固シェル)xとの間の摩擦係数μが十分に大きくなければ、圧延ロール21,22は凝固金属xとスリップして圧延加工を開始できない。圧延ロール21,22と凝固金属xの接触周長L1,L2を成す溶湯接触角φを上下圧延ロールで等しくすると、スリップを生じない条件は周知の噛み込み条件より、
φ≦2tan-1 μ (1)
と表される。
また、水平供給ノズル12の先端13は下側圧延ロール22の最頂部位より供給側に配置されることから、垂直方向に対する、上下圧延ロール21,22の回転軸心P1,P2を通る面fの傾斜角θは、
φ≧θ (2)
と表される。
これら(1)、(2)式より、
θ≦2tan-1μ (3)
となって、傾斜角θの上限が得られる。ここで、摩擦係数μは、一般的に、アルミニウム合金の熱間無潤滑圧延を行う場合に0.4程度であることから、傾斜角θの上限値は約45度となる。
溶湯直接圧延法にあっては、上下圧延ロール21,22間に供給された金属溶湯Xが適度に凝固した後に該圧延ロール21,22の回転に従って圧延加工が開始される。この時、仮に圧延ロール21,22と凝固金属(凝固シェル)xとの間の摩擦係数μが十分に大きくなければ、圧延ロール21,22は凝固金属xとスリップして圧延加工を開始できない。圧延ロール21,22と凝固金属xの接触周長L1,L2を成す溶湯接触角φを上下圧延ロールで等しくすると、スリップを生じない条件は周知の噛み込み条件より、
φ≦2tan-1 μ (1)
と表される。
また、水平供給ノズル12の先端13は下側圧延ロール22の最頂部位より供給側に配置されることから、垂直方向に対する、上下圧延ロール21,22の回転軸心P1,P2を通る面fの傾斜角θは、
φ≧θ (2)
と表される。
これら(1)、(2)式より、
θ≦2tan-1μ (3)
となって、傾斜角θの上限が得られる。ここで、摩擦係数μは、一般的に、アルミニウム合金の熱間無潤滑圧延を行う場合に0.4程度であることから、傾斜角θの上限値は約45度となる。
一方、上記傾斜角θの下限値は、水平供給ノズル12の先端13と下側圧延ロール22との隙間に金属溶湯Xが差し込んで湯漏れが起こらない条件から決まる。この条件は、水平供給ノズル12の先端13における溶湯深さh0が、この隙間と溶湯の表面張力などから決まる所定の臨界値を超えないことである。ここで、溶湯深さh0は、水平供給ノズル12の先端13と金属溶湯Xが上側圧延ロール21に接触する接触始端B1との距離(金属溶湯Xの上下ロール21,22への投入深さ)hSに対して、
h0=hS cosθ (4)
の関係にある。これにより、傾斜角θが大きいほど溶湯深さh0は小さくなるので、距離hSが前記した臨界値に比べて十分小さければ該傾斜角θは0度でも構わないが、溶湯深さh0が臨界値に近い場合、又は臨界値を超える場合の条件では、傾斜角θは大きいほど安全である。
h0=hS cosθ (4)
の関係にある。これにより、傾斜角θが大きいほど溶湯深さh0は小さくなるので、距離hSが前記した臨界値に比べて十分小さければ該傾斜角θは0度でも構わないが、溶湯深さh0が臨界値に近い場合、又は臨界値を超える場合の条件では、傾斜角θは大きいほど安全である。
したがって、上述した傾斜角θの上限値と下限値とにより、上下の圧延ロール21,22の配置形態は、各圧延ロール21,22の回転軸心P1,P2を通る面fが、垂直又は排出側へ約45度以内で傾斜するようにしたものとなる。
また、本発明の溶湯直接圧延装置にあって、上下一対の圧延ロールは、接触した金属溶湯を適切に凝固できるように、水冷式の冷却機能を備えている。この水冷式の冷却機能としては、ロール内部に冷却水を循環させる循環路を設けた内部水冷式の構成や、ロール外部から冷却水によりロール加工面を直接冷却するようにした外部水冷式の構成が用い得る。これにより、圧延ロールは優れた抜熱能を発揮し、金属溶湯を急冷凝固することができ得る。尚、本発明の溶湯直接圧延装置は、通常の熱間圧延に相当する大きな圧下率で圧延加工を行うようにするものであるから、圧延ロールには大きな圧延荷重が作用する。従って圧延ロールには高い冷却能と共に十分な強度が必要である。このため、圧延ロールとしては、強度と熱伝導率を兼ね備えた合金工具鋼を用いて最適設計した、内部水冷式のスリーブ式水冷ロールが、好適に用い得る。
而して、本発明の溶湯直接圧延装置にあっては、表面欠陥を生じず、組織形態や機械的性質を板厚方向で対称に有する優れた品質の金属板を、安定して成形することができるため、実用上の製造装置として充分に用い得るものである。
上述した溶湯直接圧延装置にあって、水平供給ノズルにより供給されて、上下一対の水冷式圧延ロールと接触することにより凝固した金属溶湯を、該圧延ロールによって約40%以上の圧下率((1−ロール間最狭距離t/全厚凝固始端厚t0)×100)で圧延加工可能とした構成が提案される。溶湯直接圧延装置では、上下圧延ロールにより凝固させた金属を、同じロールにより約40%以上の圧下率で圧延加工することにより、凝固時に生成された樹枝状晶を長手方向に伸張した加工組織に改変すると共に、凝固時や圧延開始直後に生成されうるミクロボイドやクラックなどの内部欠陥とリップルマークなどの表面欠陥を圧着または平滑化により修復して、優れた品質の金属板を成形することができる。ここで、圧下率は(1−ロール間最狭距離t /全厚凝固始端厚t0)×100%で定義される。また、ロール間最狭距離tは、図4にあって、上下圧延ロール21,22の間隔が最も狭くなる最狭圧延端A1,A2でのロール間距離であり、全厚凝固始端厚t0は、金属溶湯Xが凝固を完了し圧延加工が始まるところの厚さである。
また、上述した溶湯直接圧延装置にあって、下側圧延ロールの表面に周成された凹周溝と、上側圧延ロールの表面に周成され該凹周溝に嵌入可能な嵌入凸周部とを備え、水平供給ノズルにより上下圧延ロール間に供給された金属溶湯を、該凹周溝の溝底面と嵌入凸周部の凸天面とにより、凝固と共に圧延加工するようにした構成が提案される。本発明の溶湯直接圧延装置にあっては、上述したように、通常の熱間圧延に相当する大きな圧下率で圧延加工を凝固直後の金属に加えるので、この高い圧下率によって該凝固金属はロール間で幅広がり変形しようとする。特に、約40%を越える圧下率の圧延加工を行う場合には、顕著となる。かかる構成にあっては、この幅広がり変形を、嵌入凹周部が嵌合した状態の凹周溝の側壁により抑制することができるから、該凹周溝の溝幅に相当する一定幅の金属板を連続成形することができる。ここで、凹周溝25の側壁と嵌入凸周部の側面の間に、わずかな隙間を設ける構成とすれば、該隙間でバリを形成することにより、この幅広がりを適正に抑制することができるから、好適である。尚、この構成にあって、下側圧延ロールの凹周溝の溝底面と、上側圧延ロールの嵌入凸周部の凸天面とが、水平供給ノズルにより供給された金属溶湯を凝固し、かつ圧延加工する、ロール加工表面である。
ここで、下側圧延ロールの表面に周成された凹周溝が、外方へ約3度以上約10度以下で傾斜する溝側壁を両側に備えた構成が提案される。溶湯直接圧延装置にあって、圧延加工された金属板が圧延ロールに巻き付くことなく真っ直ぐに排出されるためには、下側圧延ロールの表面に周成された凹周溝の溝側壁を外方へ適当な傾斜角(いわゆる、抜け勾配)により設けなければならない。これは、金属角材を、凹溝と嵌入凸部との間で熱間圧延加工する加工装置にあっては周知の技術である。しかしながら、金属板を成形する溶湯直接圧延装置にあって、この抜け勾配に関する知見はこれまで皆無であった。本発明者らが、アルミニウム合金を用いて抜け勾配の影響について詳細な研究を行った結果、下側圧延ロールの凹周溝の溝側壁と、上側圧延ロールの嵌入凸周部の両側に形成された凸周壁とに、黒鉛グリース系の潤滑離型剤を塗布した場合、約3度以上約10度以下の抜け勾配が適当であることを明らかにした。尚ここで、溝側壁を約3度の抜け勾配に形成した場合には、溝側壁と金属板の間で高い面圧が発生するため部分的に焼き付いて金属板は下側圧延ロールに巻き付き易い傾向もある。一方、約10度の抜け勾配に形成した場合には、溝側壁と凸周壁の間隙が大きくなるため、溝側壁と金属板間の面圧が軽減され金属板は下側圧延ロールから抜けやすくなるが、圧延加工中に上側圧延ロールに沿って厚く大きなバリが形成されるため逆に上側圧延ロールに巻き付き易い傾向もある。
さらに、下側圧延ロールの凹周溝の両側に形成された溝側壁と、上側圧延ロールの嵌入凸周部の両側に形成された凸周壁とに、潤滑離型剤を塗布する潤滑離型剤塗布装置を備えている構成が提案される。かかる構成にあっては、当該溶湯直接圧延装置が金属板を成形している場合に、この潤滑離型剤塗布装置により、潤滑離型剤が溝側壁と凸周壁とに適量塗布されている状態を維持できるようにしたものである。これにより、金属板を連続して成形しても、該金属板は当該潤滑離型剤によって溝側壁及び凸周壁に焼き付くことを防止でき得る。而して、本構成の溶湯直接圧延装置は、一層実用性の高いものとなり得る。尚、この潤滑離型剤塗布装置としては、常に所定量の潤滑離型剤を塗布するように制御されるものや、所定間隔で定期的に潤滑離型剤を塗布するように制御されるものとできる。
一方、上述した溶湯直接圧延装置にあって、上下一対の水冷式圧延ロールが、水平供給ノズルから供給された金属溶湯を凝固すると共に圧延加工するロール加工表面に、Ra約0.5μm以上約5.0μm以下の微少な窪みが多数形成された構成が提案される。ここで、Ra約0.5μm以上約5.0μm以下とは、窪みの平均深さが約0.5μm以上5.0μm以下の範囲にあることを表す。かかるロール加工表面を備えることより、水平供給ノズルから供給された金属溶湯が焼き付くことを防止できる。ここで、金属溶湯の焼き付きを防止するためには、ストリップ連鋳法では金属溶湯が接触するロール表面に所定の離型剤を塗布することが一般的であるが、溶湯直接圧延法では凝固直後の金属が大きな圧下率で圧延されることから、該離型剤が剥がれやすく、この剥がれた部位では金属溶湯が焼き付いてしまうこととなるため、離型剤塗布は金属板の連続成形に適さない。これに対して、本構成は、大きな挟圧力が作用する溶湯直接圧延装置にあって、離型剤を塗布しなくとも、ロール加工表面に金属溶湯が焼き付くことを防止できる。さらに、このロール加工表面は、摩擦係数が十分高いことから大きな圧下率でもスリップを生じることなく、凝固直後の金属を圧延加工できる。したがって、本構成は、本発明の溶湯直接圧延装置により、所望の金属板を連続して成形する場合にあって、該金属板の成形安定性を一層高め、高い実用性を発揮できるものである。ここで、このロール加工表面の窪みが、Ra0.5μmより小さい場合には、摩擦係数が小さくなることから、スリップを生じ易い。一方、Ra5.0μmより大きい場合には、金属溶湯の焼き付きを防止する作用が低下すると共に、成形した金属板の表面が荒れ、光沢も鈍る。
また、上述した溶湯直接圧延装置にあって、上下一対の水冷式圧延ロールが、水平供給ノズルから供給された金属溶湯を凝固すると共に圧延加工するロール加工表面を、ほぼ均一な球形状のショット粒によるショットピーニング加工により形成された構成が提案される。かかる構成のロール加工表面は、ほぼ均一な曲面状の微小な窪みが多数形成されたものであり、さらにミクロ的に見れば、当該窪みが滑らかに連続してなるものとなり得る。このロール加工表面は、上述した金属溶湯の焼き付きを防止するという作用効果に、一層優れたものとなる。また、ショットピーニング加工は、ショット粒を比較的高速で噴き当てることによって加工するものであるから、この加工時に、当該加工面の表面温度が上昇することとなる。この加工時における表面温度をA3変態点以上まで上昇させるようにすることによって、焼き入れ作用を施すことができるから、ロール加工表面の耐久性を一層向上させることが可能となる。これにより、金属板を連続成形する場合に、ロール加工表面の有する作用効果が長期間に渡って持続することとなるため、本発明の溶湯直接圧延装置の実用性が一層高まる。
また、上述した溶湯供給手段が、水平供給ノズルに接続し、該水平供給ノズルの水平供給路と同じ湯面高さで金属溶湯を保持するタンディッシュと、該タンディッシュと連通し、金属溶湯を所定温度で保持する保持炉と、該保持炉とタンディッシュとの連通路に設けられ、タンディッシュ内の金属溶湯の湯面高さをほぼ一定に保つように、保持炉内の金属溶湯を流入制御する制御弁とを備えている構成が提案される。ここで、タンディッシュは、金属溶湯を、保持炉から一旦移して、水平供給ノズルに供給する中間保持炉である。かかる構成にあっては、金属溶湯を、上下圧延ロール間に水平方向に沿って静かに供給することができるように、保持炉からタンディッシュを介して水平供給ノズルに流れるようにし、かつ、制御弁により、保持炉からタンディッシュへの金属溶湯の流入量を、水平供給ノズルの供給路とタンディッシュ内との金属溶湯の湯面高さをほぼ一定に保つように制御するものである。これにより、順次一定量の金属溶湯が所定温度を保ちつつ、平穏に圧延ロール間に供給されることとなるため、上述した、内部欠陥や表面欠陥等を生じない金属板を安定して成形するという本発明の作用効果を適正かつ容易に発揮し得る。
また、上述した水平供給ノズルが、金属溶湯を供給する水平供給路の両側に、該水平供給路を流れる金属溶湯が両側方向へはみ出すことを防止するサイドダムを備えているようにした構成が提案される。かかる構成にあって、サイドダムは、水平供給ノズルの水平供給路を流れる金属溶湯が両側方向にはみ出すことを防止すると共に、上下圧延ロール間に供給された金属溶湯が両側方向にはみ出すことも防止するようにしている。したがって、水平供給ノズルから供給される金属溶湯の、そのほとんど全てが金属板として成形されることとなるから、材料の生産効率を極めて高くすることができ得る。
本発明は、上述したように、両回転軸心を水平かつ互いに平行とし、かつ両回転軸心を通る面が、垂直又は排出側へ約45度以内で傾斜するようにして配置した、上下一対の水冷式圧延ロールと、上下圧延ロール間に金属溶湯を供給する水平供給路が形成され、下側圧延ロールのロール表面と微間隙を有して非接触状に配置された水平供給ノズルと、所定温度に保持された金属溶湯を、前記水平供給ノズルの供給路でほぼ一定の湯面高さを維持するように、順次供給する溶湯供給手段とを備えてなり、前記水平供給ノズルから供給された金属溶湯が、上側圧延ロール又は下側圧延ロールと接触する上下の接触始端から、上下圧延ロール間距離の最も狭い最狭圧延端までの、上下の接触周長が、ほぼ等しい長さとなるようにした溶湯直接圧延装置である。この溶湯直接圧延装置によれば、表面欠陥を生じず、組織形態や機械的性質を板厚方向で対称に有する優れた品質の金属板を安定して成形できる。而して、本発明の溶湯直接圧延装置は、実用上の製造装置として充分に用い得るものである。
上述した溶湯直接圧延装置にあって、水平供給ノズルにより供給されて、上下一対の水冷式圧延ロールと接触することにより凝固させた金属溶湯を、該圧延ロールによって約40%以上の圧下率((1−ロール間最狭距離t/全厚凝固始端厚t0)×100)で圧延加工可能とした構成にあっては、通常の熱間圧延に相当する大きな挟圧力を加える圧延加工を行い得る溶湯直接圧延装置として、上述した本発明の作用効果を適正かつ確実に発揮でき、高い実用性を有するものである。
また、下側圧延ロールの表面に周成された凹周溝と、上側圧延ロールの表面に周成され該凹周溝に嵌入可能な嵌入凸周部とを備え、凹周溝内に供給した金属溶湯を、該凹周溝の溝底面と嵌入凸周部の凸天面とにより、凝固と共に圧延加工するようにした構成にあっては、該凹周溝の溝幅に相当する一定幅の金属板を連続成形することができ、当該金属板の成形安定性を一層向上し得る。
ここで、下側圧延ロールの表面に周成された凹周溝が、外方へ約3度以上約10度以下で傾斜する溝側壁を両側に備えた構成にあっては、圧延加工された金属板を圧延ロールに巻き付くことなく真っ直ぐに排出することができ、該金属板を安定して連続成形できる。
さらに、下側圧延ロールの凹周溝の両側に形成された溝側壁と、上側圧延ロールの嵌入凸周部の両側に形成された凸周壁とに、潤滑離型剤を塗布する潤滑離型剤塗布装置を備えている構成にあっては、溝側壁と凸周壁とを、潤滑離型剤が適量塗布されている状態に維持でき、金属溶湯が溝側壁又は凸周部とに焼き付くことを防止できる。而して、当該溶湯直接圧延装置は、一層実用性の高いものとなり得る。
一方、上述した溶湯直接圧延装置にあって、上下一対の水冷式圧延ロールが、水平供給ノズルから供給された金属溶湯を凝固すると共に圧延加工するロール加工表面に、Ra約0.5μm以上約5.0μm以下の微小な窪みが多数形成された構成にあっては、ロール加工面に潤滑材を塗布しなくとも金属溶湯の焼き付きを防止できると共に、大きな圧下率でもスリップを生じることなく、凝固直後の金属を圧延加工できる。而して、本発明の溶湯直接圧延装置は、所望の金属板を連続して成形する場合にあって、該金属板の成形安定性を一層高め、高い実用性を発揮できる。
また、上述した溶湯直接圧延装置にあって、上下一対の水冷式圧延ロールが、水平供給ノズルから供給された金属溶湯を凝固すると共に圧延加工するロール加工表面を、ほぼ均一な球形状のショット粒によるショットピーニング加工により形成されてなるものとした構成にあって、当該ロール加工表面は、上述した金属溶湯の焼き付きを防止するという作用効果に一層優れたものとなる。また、ロール加工表面の耐久性を一層向上させることも可能となるため、ロール加工表面の有する前記作用効果が長期間に渡って持続し、本発明の溶湯直接圧延装置の実用性をさらに高め得る。
また、上述した溶湯供給手段が、水平供給ノズルに接続し、該水平供給ノズルの水平供給路と同じ湯面高さで金属溶湯を保持するタンディッシュと、該タンディッシュと連通し、金属溶湯を所定温度で保持する保持炉と、該保持炉とタンディッシュとの連通路に設けられ、タンディッシュ内の金属溶湯の湯面高さをほぼ一定に保つように、保持炉の金属溶湯を流入制御する制御弁とを備えている構成にあっては、順次一定量の金属溶湯が所定温度を保ちつつ、平穏に圧延ロール間に供給でき、上述した優れた品質の金属板の成形を容易かつ適正に行うことができる。
また、上述した水平供給ノズルが、金属溶湯を供給する供給路の両側に、該供給路を流れる金属溶湯が両側方向へはみ出すことを防止するサイドダムを備えているようにした構成にあっては、水平供給ノズルから供給される金属溶湯の、そのほとんど全てを金属板として成形することができ、材料の生産効率を極めて高くすることができ得る。
1 溶湯直接圧延装置
2 保持炉
4 タンディッシュ
8 制御弁
11 水平供給路
16 サイドダム
19 堰
21 上側圧延ロール
22 下側圧延ロール
24 嵌入凸周部
25 凹周溝
26 凸天面(ロール加工表面)
27 溝底面(ロール加工表面)
28 窪み
29 溝側壁
30 凸周壁
31 潤滑離型剤塗布装置
X 金属溶湯
Y 金属板
θ 傾斜角
ω 溝傾斜角
t ロール間最狭距離
t0 全厚凝固始端厚
2 保持炉
4 タンディッシュ
8 制御弁
11 水平供給路
16 サイドダム
19 堰
21 上側圧延ロール
22 下側圧延ロール
24 嵌入凸周部
25 凹周溝
26 凸天面(ロール加工表面)
27 溝底面(ロール加工表面)
28 窪み
29 溝側壁
30 凸周壁
31 潤滑離型剤塗布装置
X 金属溶湯
Y 金属板
θ 傾斜角
ω 溝傾斜角
t ロール間最狭距離
t0 全厚凝固始端厚
本発明の一実施形態例を添付図面を用いて詳述する。
本実施形態例の溶湯直接圧延装置1を図1に表す。この溶湯直接圧延装置1には、金属溶湯Xを所定温度で保持する保持炉2が設けられており、この保持炉2内に、貯留されている金属溶湯Xを所定温度に保つヒータ3が配置されている。また、この保持炉2に並んで、タンディッシュ4が設けられている。保持炉2には、タンディッシュ4側に突成する突出上部6が設けられ、タンディッシュ4には、保持炉2側に突成する突出下部7が設けられている。そして、保持炉2の突出上部6の下方に、タンディッシュ4の突出下部7が配置されており、該突出上部6の下底と突出下部7の上面との間に、保持炉2とタンディッシュ4とを連通する連通路5が設けられている。さらに、この連通路5には、該連通路5を開放状態と閉鎖状態とに変換する制御弁8が設けられており、図示しない制御装置により該制御弁8の開閉作動が制御されている。この制御弁8は、前記制御装置の指示に従って、連通路5の開放量を調整できるようにしている。例えば、開放量を1/4開度としたり、1/2開度とする等して、保持炉2からタンディッシュ4に送る金属溶湯Xの量を制御できる。また、この記制御弁8を開閉制御する制御装置は、タンディッシュ4内に設けられた、該タンディッシュ4内に保持されている金属溶湯Xの湯面に従って浮動するフロート10によって、該金属溶湯Xの湯面高さを検知している。そして、湯面高さ位置に従って、前記制御弁8を開閉作動することにより、該湯面高さが常にほぼ一定となるように制御している。尚、タンディッシュ4内にも、滞留する金属溶湯Xを所定温度に保持するヒータ3が配置されている。
本実施形態例の溶湯直接圧延装置1を図1に表す。この溶湯直接圧延装置1には、金属溶湯Xを所定温度で保持する保持炉2が設けられており、この保持炉2内に、貯留されている金属溶湯Xを所定温度に保つヒータ3が配置されている。また、この保持炉2に並んで、タンディッシュ4が設けられている。保持炉2には、タンディッシュ4側に突成する突出上部6が設けられ、タンディッシュ4には、保持炉2側に突成する突出下部7が設けられている。そして、保持炉2の突出上部6の下方に、タンディッシュ4の突出下部7が配置されており、該突出上部6の下底と突出下部7の上面との間に、保持炉2とタンディッシュ4とを連通する連通路5が設けられている。さらに、この連通路5には、該連通路5を開放状態と閉鎖状態とに変換する制御弁8が設けられており、図示しない制御装置により該制御弁8の開閉作動が制御されている。この制御弁8は、前記制御装置の指示に従って、連通路5の開放量を調整できるようにしている。例えば、開放量を1/4開度としたり、1/2開度とする等して、保持炉2からタンディッシュ4に送る金属溶湯Xの量を制御できる。また、この記制御弁8を開閉制御する制御装置は、タンディッシュ4内に設けられた、該タンディッシュ4内に保持されている金属溶湯Xの湯面に従って浮動するフロート10によって、該金属溶湯Xの湯面高さを検知している。そして、湯面高さ位置に従って、前記制御弁8を開閉作動することにより、該湯面高さが常にほぼ一定となるように制御している。尚、タンディッシュ4内にも、滞留する金属溶湯Xを所定温度に保持するヒータ3が配置されている。
また、保持炉2には金属溶湯Xが適宜追加され、該保持炉2内に貯留する金属溶湯Xの湯面高さが、タンディッシュ4内に保持される金属溶湯Xの湯面高さに比して、常に高い位置となるようにしている。これにより、制御弁8を開放した時に、保持炉2内から金属溶湯Xが連通路5を介してタンディッシュ4内に流入する。さらにまた、制御弁8も、タンディッシュ4内に保持される金属溶湯Xの湯面高さに比して、高くなる位置に配設されている。これにより、保持炉2内及びタンディッシュ4内に金属溶湯Xが保持されている場合には、連通路5内も金属溶湯Xで満たされることから、制御弁8を開放作動し、保持炉2から金属溶湯Xが供給される時に、該金属溶湯Xが空気を抱き込むことがない。したがって、金属溶湯Xにアルミニウム合金の溶湯を用いた場合にあって、該アルミニウム合金の溶湯が酸化することを防止できる。このような保持炉2、タンディッシュ4、連通路5、制御弁8及び制御装置等により、本発明にかかる溶湯供給制御手段が構成されている。
上述したタンディッシュ4には、図2のように、保持炉2と反対側の側部に供給口9が設けられており、該供給口9に、タンディッシュ4内の金属溶湯Xを水平方向に沿って供給する水平供給ノズル12が接続されている。そして、この水平供給ノズル12の先端13側に、該水平供給ノズル12と直交する水平方向に沿って上下平行に設けられた上下一対の圧延ロール21,22を備えた圧延装置20が配設されている。この圧延装置20は、上下圧延ロール21,22の回転軸心を通る面fが、垂直方向から、タンディッシュ4の反対側(排出側)に約45度以内の範囲で傾けることができるように、該上下圧延ロール21,22を傾動可能としている。ここで、垂直方向に対する面fの成す角度が、この上下一対の圧延ロール21,22の傾斜角θであり、該傾斜角θは本実施形態例にあって垂直方向(0度)から約45度までの範囲を示すものとしている(図4参照)。また、この圧延装置20には、上下圧延ロール21,22を回動制御する制御装置(図示せず)が配設されており、上側圧延ロール21と下側圧延ロール22とを互いに逆方向に同じ回転速度で回動させるように制御する。ここで、金属板Yの成形時には、上側圧延ロール21と下側圧延ロール22とを、水平供給ノズル12から供給された金属溶湯Xが圧延加工されて金属板Yに成形される排出側方向に向かって、互いに回動させる。すなわち、図1及び図2の紙面上で、上側圧延ロール21は左回りに回動させ、下側圧延ロール22は右回りに回動させる。さらに、この圧延装置20には、上側圧延ロール21を下側圧延ロール22に対して、前記面fに沿った上下方向に平行移動可能とすると共に、該面fに沿った下方に加圧するロール可動装置23も配設されている。
ここで、下側圧延ロール22には、該ロール表面に凹周溝25が周成されており、上側圧延ロール21には、該凹周溝25に嵌入可能な嵌入凸周部24が周成されている(図5参照)。ここで、凹周溝25の溝底面27の外周径と、嵌入凸周部24の凸天面26の外周径とをほぼ同じ径寸法としている。そして、この上下一対の圧延ロール21,22は、上記した両回転軸心P1,P2を通る面f上で、下側圧延ロール22の凹周溝25と、上側圧延ロール21の嵌入凸周部24との距離が最も狭くなるように、該凹周溝25に該嵌入凸周部24が嵌入するようにしている(図4参照)。ここで、凹周溝25と嵌入凸周部24は、上下圧延ロール21,22が回動するに従って、その嵌入する周方向位置が、周方向に沿って順次回転変化していくこととなっている。そして、両者の距離が最も狭いロール間最狭距離tを、適宜調整することにより、当該溶湯直接圧延装置1により成形する金属板Yの板厚を設定できるようになっている。
さらに、上側圧延ロール21の嵌入凸周部24の凸天面26と、下側圧延ロール22の凹周溝25の溝底面27とには、図5のように、それぞれ周方向の全域に亘ってほぼ均一に微小な窪み28が多数形成されている。この凸天面26と溝底面27とが本発明にかかるロール加工表面である。ここで、この窪み28は、その深さがRa約0.5μm以上5.0μm以下の範囲となるように形成されており、ミクロ的に見て相互に隣り合う窪み28が滑らかに連続する形状となっている。これにより、凸天面26と溝底面27とは、離型剤を塗布しなくとも、金属溶湯Xが接触した場合にも焼き付きを生じず、かつ、凝固した金属溶湯(以下、凝固金属)xをスリップすることなく排出側方向に送り、圧延加工を開始することができ得る。さらに、金属板Yを、適度に滑らかで光沢のある表面を有するものとして成形することができる。この凸天面26と溝底面27とを、多数の窪み28が形成された形状としたことについては、後で詳述する。
さらにまた、下側圧延ロール22の凹周溝25は、図5のように、両側に、外方向に傾斜する溝側壁29,29を備えている。ここで、溝側壁29,29の溝傾斜角(抜き勾配)ωは、約3度以上約10度以下の範囲となるように形成されている。このように、外方向に傾斜する溝側壁29,29により、水平供給ノズル12から順次供給されて凝固した凝固金属xが、上側圧延ロール21と下側圧延ロール22とにより大きな挟圧力で圧延加工された時に、ロール幅方向に延伸する幅広がり変形を、溝側壁29,29と嵌入凸周部24の凸周壁30,30との隙間に、この溝傾斜角ωに沿ってバリを形成することにより抑制できる。これにより、当該溝側壁29,29に直接作用する力を低減させることができるから、溝側壁29,29に塗布される潤滑離型剤が、損傷することを防ぐことができ、凝固金属xが溝側壁29,29に焼き付くことを防止できる。さらに、この凹周溝25の溝側壁29,29により、圧延加工された金属板Yが圧延ロール21,22に巻き付くことなく真っ直ぐに排出でき、金属板Yを連続成形できることとなっている。
この上側圧延ロール21と下側圧延ロール22とには、ロール内部に冷却水を循環させる循環路35,35がそれぞれ形成されており、下側圧延ロール22の凹周溝25と上側圧延ロール21の嵌入凸周部24とを間接的に冷却している。この内部水冷式の構成より、水平供給ノズル12から供給された金属溶湯Xがロール表面に接触すると急冷され凝固するようにしている。本実施形態例の溶湯直接圧延装置1は、後述するように、通常の熱間圧延に相当する大きな圧下率で圧延加工を行うようにするものであるから、上下圧延ロール21,22には大きな圧延荷重が作用する。従って圧延ロール21,22には高い冷却能と共に十分な強度が必要である。このため、上下の圧延ロール21,22は、強度と熱伝導率を兼ね備えた合金工具鋼を用いて最適設計した、いわゆるスリーブ式水冷ロールとしている。
また、本実施形態例の溶湯直接圧延装置1には、図2のように、上側圧延ロール21の嵌入凸周部24の両側に形成された凸周壁30,30と、下側圧延ロール22の凹周溝25の溝側壁29,29とに、ペースト状の潤滑離型剤を塗布するための潤滑離型剤塗布装置31が設けられている。この潤滑離型剤塗布装置31は、図示しない潤滑離型剤が保持されている離型剤供給源と、該離型剤供給源から所定の潤滑離型剤を供給する供給管32と、該供給管32の最下流端に接続され、供給管32から供給された潤滑離型剤を凸周壁30,30及び溝側壁29,29に塗布する塗布部33と、離型剤供給源から潤滑離型剤の供給量を制御する制御装置(図示せず)とから構成されている。ここで、塗布部33は、凸周壁30,30、溝側壁29,29に当該潤滑離型剤を安定的に塗布できるように、塗布筐体34により支持固定されており、該塗布筐体34内で供給管32と接続している。この塗布筐体34は、上側圧延ロール21と下側圧延ロール22とにより成形される金属板Yの出口側(上下圧延ロール21,22の傾斜側)で、塗布部33が各凸周壁30,30、溝側壁29,29と夫々に接触するように、近接する四箇所に夫々に配設されている。また、この塗布部33は、刷毛状の形態となっており、凸周壁30,30、溝側壁29,29に、潤滑離型剤をほぼ均一かつ滑らかに塗布できるようにしている。尚、凸周壁30,30、溝側壁29,29が、常にほぼ一定量の潤滑離型剤が塗布された状態となるように、前記した制御装置により、離型剤供給源からの供給量を適宜制御している。これにより、この潤滑離型剤による離型効果が常に適正に発揮され、凝固金属xが凸周壁30,30や溝側壁29,29に焼き付くことを防止している。
また、上述したように、タンディッシュ4の、保持炉2と反対側の側部に形成された供給口9に接続された水平供給ノズル12には、該タンディッシュ4から金属溶湯Xが流れる水平供給路11が水平方向に沿って形成されている。この水平供給路11は、図2及び図3のように、水平方向に沿って成る路底部15と、該路底部15の両側で起立するサイドダム16,16とから構成されている。ここで、水平供給ノズル12は、上述した上下一対の圧延ロール21,22と、互いに直交するように配されている。そして、この水平供給ノズル12の路底部15の先端13は、図2のように、上下圧延ロール21,22の各回転軸心P1,P2を通る面fの傾斜方向と反対側で、上記した下側圧延ロール22の凹周溝25に嵌入されて、該凹周溝25の溝底面27と微間隙を有して非接触状に配置されている(図4参照)。ここで、水平供給ノズル12の先端13は、下側圧延ロール22の最頂部位(垂直径方向の上部周位置)より供給側に配置される。このように、水平供給ノズル12の路底部15が、微間隙を有して配置されていることから、下側圧延ロール22の回動を妨げることがなく、かつ、該下側圧延ロール22により水平供給路11が冷却されることを防止している。ここで、この水平供給ノズル12は、その先端13を下側圧延ロール22の最頂部位より供給側の任意の位置に配置できることから、この位置に従って、金属溶湯Xが下側圧延ロール22と最初に接触する接触始端B2(図4参照)が決まることとなる。一方、金属溶湯Xが上側上側圧延ロールと最初に接触する接触始端B1(図4参照)は、水平供給ノズル12の湯面高さにより決まる。したがって、上下の圧延ロール21,22と夫々に接触した凝固金属xの、該圧延ロールとの接触周長L1,L2(図4参照)は、それぞれ等しい任意の長さに設定することが可能となっている。
この水平供給路11を構成する路底部15及びサイドダム16,16の内周面には、断熱材(図示せず)を備えており、該水平供給路11を流れる金属溶湯Xが凝固しないようにしている。また、この水平供給ノズル12のサイドダム16は凹周溝25に嵌入せず、該サイドダム16の先端側部17は、上下圧延ロール21,22の各表面円弧形状に倣って、上記したロール間最狭距離tとなる位置の直前位置まで突成するように設けられている。このサイドダム16の先端側部17により、凹周溝25に供給された金属溶湯が側方にはみ出さないようにしている。そして、水平供給ノズル12の水平供給路11は、下側圧延ロール22の凹周溝25の幅とほぼ同じ幅で形成されており、該水平供給路11から凹周溝25の溝幅全域にほぼ均等に金属溶湯Xを供給している。これにより、金属板Yを、板幅方向でほぼ均一な板厚や組織形態等に安定して形成できると共に、高い平坦度を有して、ほぼ真直状に成形することができることとなっている。
このような水平供給ノズル12と、保持炉2、タンディッシュ4等から構成される溶湯供給制御とにより、金属溶湯Xは、予め定められた一定の湯面高さで、順次静かに、上側圧延ロール21の嵌入凸周部24と下側圧延ロール22の凹周溝25との間に供給されるようになっている。ここで、金属溶湯Xの湯面高さが一定に保持されていることによって、上側圧延ロール21と最初に接触する接触始端B1(図4参照)が常にほぼ同じ位置となるから、上下圧延ロール21,22により夫々に凝固した凝固金属xが出会って凝固の完了する位置(図4の全厚凝固始端厚t0となる位置)も常に定まるため、該凝固金属xを常にほぼ一定の圧下率により圧延加工することができ得る。したがって、金属板Yは、安定して、所望の板厚や組織形態等に成形され得る。また、金属溶湯Xを常に平穏な状態を保ったまま静かに供給していることから、該金属溶湯X内に気泡等を生じることがないと共に、湯面が波立つ等の乱れを生じることもない。したがって、金属板Yは、内部欠陥や湯じわ状の表面欠陥が生じることなく、成形され得る。
また、水平供給ノズル12には、水平供給路11に、該水平供給路11の上部側に堰19が配設されている。この堰19は水平供給路11の幅とほぼ同じ幅で形成されており、該水平供給路11に嵌入するようにして設けられている。ここで、この堰19の下方、すなわち水平供給路11の下部側では該水平供給路11は通じており、金属溶湯Xはこの下部側を通じて上下圧延ロール21,22間に供給されるようになっている。この堰19によって、水平供給路11を流れる金属溶湯Xの湯面側を堰き止め、金属溶湯Xに浮遊する不純物を堰き止めることができるから、金属板Yに不純物が混在することを防止でき、高い品質を維持できる。
このような溶湯直接圧延装置1により所望の金属板Yを連続成形するための、上述した水平供給ノズル12と上下圧延ロール21,22との配置形態を、図4の模式図により説明する。
上側圧延ロール21と下側圧延ロール22とは、両者の回転軸心P1,P2を通る面fが、垂直方向から排出側へ所定角度まで傾いて配置され。ここで、面fの垂直方向に対する角度を傾斜角θとしている。そして、この面f上に在る、該上側圧延ロール21の嵌入凸周部24の最狭圧延端A1と、該下側圧延ロール22の凹周溝25の最狭圧延端A2との間隔が最も狭く、この最狭圧延端A1,A2間距離がロール間最狭距離tである。また、下側圧延ロール22の凹周溝25の、前記最狭圧延端A2から、上述した水平供給ノズル12の先端13が配置された位置(接触始端)B2に至るロール外周の円弧長が接触周長L2である。そして、この接触周長L2を成す角度が、溶湯接触角φである。また、上側圧延ロール21の嵌入凸周部24の、前記最狭圧延端A1から、水平供給ノズル12を流れる溶湯Xの湯面が接触する位置(接触始端)B1に至るロール外周の円弧長が接触周長L1であり、該接触周長L1が前記下側圧延ロール22の接触周長L2とほぼ等しくなるようにしている。すなわち、この接触周長L1を成す角度も、溶湯接触角φである。このように接触周長L1と接触周長L2とが等しくなるように、下側圧延ロール22の、水平供給ノズル12の先端13が配された位置(接触始端)B2における、溶湯の溶湯深さh0が設定される。尚、水平供給ノズル12から供給された溶湯Xは、下側圧延ロール22の接触始端B2と上側圧延ロール21の接触始端B1とで夫々に接触して凝固し、嵌入凸周部24と凹周溝25とにより噛み込まれて、それぞれ接触周長L1と接触周長L2の距離を順次送られ、圧延加工が施されることとなる。
上側圧延ロール21と下側圧延ロール22とは、両者の回転軸心P1,P2を通る面fが、垂直方向から排出側へ所定角度まで傾いて配置され。ここで、面fの垂直方向に対する角度を傾斜角θとしている。そして、この面f上に在る、該上側圧延ロール21の嵌入凸周部24の最狭圧延端A1と、該下側圧延ロール22の凹周溝25の最狭圧延端A2との間隔が最も狭く、この最狭圧延端A1,A2間距離がロール間最狭距離tである。また、下側圧延ロール22の凹周溝25の、前記最狭圧延端A2から、上述した水平供給ノズル12の先端13が配置された位置(接触始端)B2に至るロール外周の円弧長が接触周長L2である。そして、この接触周長L2を成す角度が、溶湯接触角φである。また、上側圧延ロール21の嵌入凸周部24の、前記最狭圧延端A1から、水平供給ノズル12を流れる溶湯Xの湯面が接触する位置(接触始端)B1に至るロール外周の円弧長が接触周長L1であり、該接触周長L1が前記下側圧延ロール22の接触周長L2とほぼ等しくなるようにしている。すなわち、この接触周長L1を成す角度も、溶湯接触角φである。このように接触周長L1と接触周長L2とが等しくなるように、下側圧延ロール22の、水平供給ノズル12の先端13が配された位置(接触始端)B2における、溶湯の溶湯深さh0が設定される。尚、水平供給ノズル12から供給された溶湯Xは、下側圧延ロール22の接触始端B2と上側圧延ロール21の接触始端B1とで夫々に接触して凝固し、嵌入凸周部24と凹周溝25とにより噛み込まれて、それぞれ接触周長L1と接触周長L2の距離を順次送られ、圧延加工が施されることとなる。
ここで、上記した溶湯接触角φにあっては、上述したように、上下圧延ロール21,22と接触して凝固した凝固金属xが、該圧延ロール21,22との間でスリップを生じない充分な摩擦力により、接触始端B1,B2から最狭圧延端A1,A2に向かう方向(排出側方向)に順次送られることを要する。これは、圧延ロール21,22と凝固金属xとの摩擦係数μから設定される噛み込み条件により決まる(上記した(1)式参照)。また、上下圧延ロール21,22の傾斜角θは、水平供給ノズル12の先端13が下側圧延ロール22の最頂部位より供給側に配置されることから、この溶湯接触角φ以上となる条件により決まる(上記した(2)式参照)。さらに、上下圧延ロール21,22の、嵌入凸周部24の凸天面26及び凹周溝25の溝底面27にあっては、上述したように、Ra約0.5〜5.0μmの窪み28が多数形成された形状となっており、本実施形態例にあっては、この摩擦係数μが約0.2〜0.4程度となる。これらの条件から(上記した(3)式参照)、上下圧延ロール21,22の傾斜角θの上限値を、垂直方向に対して約45度と設定した。
また、水平供給ノズル12は、その先端13が下側圧延ロール22と微間隙を有して非接触状に配置されていることから、この隙間に金属溶湯Xが差し込んで湯漏れが生じないことが条件となる。この条件は、上記した溶湯深さh0が、この隙間と溶湯の表面張力などから決まる臨界値を超えないように、接触始端B1と接触始端B2の間距離hSとから定まる(上記した(4)式参照)。これにより、傾斜角θの下限値は、前記距離hSが臨海値より充分小さいことを条件に0度(垂直方向)とした。尚、この下限値は、大きいほど、金属溶湯Xの差し込むことがなく、安全である。
このような条件から、本実施形態例の溶湯直接圧延装置1では、上下圧延ロール21,22の傾斜角θは、垂直方向から、排出側へ約45度までの範囲としている。
また、このように配置された水平供給ノズル12から供給された金属溶湯Xは、上側圧延ロール21と接触する接触始端B1と、下側圧延ロール22と接触する接触始端B2とで凝固が開始される。そして、上下圧延ロール21,22の回動により、最狭圧延端A1,A2に向かって順次送られていくと、上側圧延ロール21と下側圧延ロール22との間隔が徐々に狭くなり、上下両側で凝固した凝固金属xが出会って凝固が完了する。すなわち、板厚方向の全域で凝固することとなる。そして、板厚方向の全域で凝固金属xが、さらに板加工方向に送られていくことにより、圧延加工されることとなる。ここで、接触始端B1,B2から、ロール間最狭距離tを成す最狭圧延端A1,A2に至る、凝固金属xの接触する接触周長L1,L2を等しくしていることにより、該金属溶湯Xを上下両面側で等しく凝固し、上下対称の凝固形態となるようにしている。したがって、凝固金属xに、板厚方向に沿った上下方向から等しく圧延加工を施すことができ得る。これにより、板厚方向に対称構造の金属板Yを成形できる。
一方、圧延加工は、上述した上下圧延ロール21,22の最も狭い間隔となるロール最狭距離tと、上下圧延ロール21,22と夫々に接触した凝固金属xが出会って凝固完了した全厚凝固始端厚t0との差によって、当該圧延加工の圧下率((1−t/t0)×100%)を定めている。本溶湯直接圧延装置1にあっては、この圧下率を約40%以上に設定できるようになっており、金属溶湯Xを急冷凝固すると共に、一般的な熱間圧延に相当する大きな挟圧力(圧延荷重)により圧延加工することにより、該金属溶湯Xから金属板Yを一工程で成形することができる。このように、約40%以上の高い圧下率とすることにより、凝固時に生成された樹枝状晶を長手方向に伸張した加工組織に改変すると共に、凝固時や圧延開始直後に生成されうるミクロボイドやクラックなどの内部欠陥とリップルマークなどの表面欠陥を圧着または平滑化により修復して、優れた品質の金属板を成形することができる。ここで、本実施形態例にあっては、圧下率を約50%以上に設定し、圧延加工による作用効果を一層高く発揮できるようにしている。尚、この圧下率は、前記のように、ロール最狭距離tと全厚凝固始端厚t0とによって決まるものであるから、金属板Yの板厚設計、上下圧延ロール21,22のロール径や傾斜角θ、接触周長L1,L2等を適宜定めることにより、随時設定可能となっている。
尚、水平供給ノズル12の水平供給路11を流れる金属溶湯Xの湯面高さは、上述した、水平供給ノズル12の先端13が配置される接触始端B2における、金属溶湯Xの溶湯深さh0により定められる。そして、この湯面高さをほぼ一定として順次供給できるように、タンディッシュ4内も同じ湯面高さに維持している。これは、上述したように、制御弁8を開閉制御することにより、保持炉2から金属溶湯Xをタンディッシュ4に流入して、該タンディッシュ4内の金属溶湯Xを、前記湯面高さに常に維持するようにしている。これにより、常時一定量の金属溶湯Xを、平穏な状態に保ちながら静かに上下圧延ロール21,22間に供給することができる。
一方、上下圧延ロール21,22の外径寸法にあっては、圧延加工時に作用する圧延荷重が、実用上充分に使用できる程度の大きさとなるように設定している。ここで、外径寸法の大きい圧延ロールを用いた場合、該外径寸法を大径化するに従って圧延荷重も相対的に大きくなってしまう。このため、装置全体が肥大化することとなり、工場への設置にも弊害が多い。一方、外径寸法の小さい圧延ロールを用いた場合、該外径寸法を小径化するに従って金属溶湯Xの接触周長L1,L2が短くなるため、上記した全厚凝固始端厚t0の位置と、ロール間最狭距離tを成す最狭圧延端A1,A2との距離が短くなり、圧延加工による充分な加工効果を得ることができなくなる。以上のようなことから、上下圧延ロール21,22にあっては、その外径寸法がある程度実用可能となる範囲に定められ、金属溶湯の圧延加工に通常用いられる程度の外径寸法としている。そして、この大きさの上下圧延ロール21,22に応じて、上述したように傾斜角θや溶湯接触角φ等を設定しており、金属溶湯Xを水平供給ノズル12により供給し、該金属溶湯Xと各圧延ロール21,22との接触周長L1,L2を等しくすることによって、本発明にかかる実用可能な溶湯直接圧延装置1を構成している。
次に、上述したように、微小な窪み28が多数形成された、上側圧延ロール21の凸天面26及び下側圧延ロール22の溝底面27(図5参照)について説明する。
この窪み28は、金属溶湯Xから金属板Yを成形する場合に、上下圧延ロール21,22への焼き付き発生の防止と、凝固金属xをスリップすることなく適切に噛み込むことができることと、金属板Yを適度に滑らかで光沢のある板表面を有するものとすることとを達成し得るように設けている。この窪み28は、その深さがRa約0.5〜5.0μmの範囲であり、かつ、相互に隣り合う窪み同士が、ミクロ的に見て、滑らかに連続するように形成されている。
この窪み28は、金属溶湯Xから金属板Yを成形する場合に、上下圧延ロール21,22への焼き付き発生の防止と、凝固金属xをスリップすることなく適切に噛み込むことができることと、金属板Yを適度に滑らかで光沢のある板表面を有するものとすることとを達成し得るように設けている。この窪み28は、その深さがRa約0.5〜5.0μmの範囲であり、かつ、相互に隣り合う窪み同士が、ミクロ的に見て、滑らかに連続するように形成されている。
このような凸天面26と溝底面27とは、本実施形態例にあって、ショットピーニング加工により成形している。このショットピーニング加工は、この上下圧延ロール21,22の、嵌入凸周部24と凹周溝25の材料と同等以上の硬度を有するほぼ均一な球形状のショット粒を用いて行っている。ここで、このショット粒は、約50〜150μm径のものを使用し、当該ショット粒を、約150〜300mm/secの噴出速度によって、凸天面26及び溝底面27に、周方向に亘ってほぼ均一に噴射する。これにより、Ra約0.5〜5.0μmの深さの微小な窪み28が、相互に隣り合うもの同士が滑らかに連続するように形成される。ここで、このショットピーニング加工時に、ショット粒がこの凸天面26と溝周面27に衝突することによって、これらの表面温度をA3変態点まで上昇させるようにしている。このように表面温度がA3変態点に達することによって、焼き入れ作用を施すことができるから、該凸天面26及び溝周面27の耐久性を向上させることができる。こうして、凸天面26及び溝周面27は、微小な窪み28が多数形成された表面形態に形成される。
ここで、窪み28の深さ範囲は、凸天面26と溝底面27とに深さの異なる窪み28が形成された上下圧延ロールを用意し、それぞれ金属溶湯Xから金属板Yを成形する実験を行って、適合する範囲を設定している。この実験には、上述した溶湯直接圧延装置1を用い、上下圧延ロールの傾斜角θは約25度とし、圧下率は約50%として行い、金属板Yを成形した場合の成形性について調べた。この結果を図6に示す。尚、各上下圧延ロールとも、それぞれの凸天面と溝底面(ロール加工表面)は、上述したショットピーニング加工により形成している。この結果、窪みの深さをRa約0.5μmより小さくした場合には、上下圧延ロール21,22が、この凸天面と溝底面とに接触した凝固金属xとスリップしてしまい、回動に従って排出側方向に適正に送ることができない。すなわち、当該凸天面と溝底面とは、凝固金属xを噛み込むことができないこととなっていた。尚、Ra約0.5μmでは、傾斜角θや溶湯接触角φ等の条件により、スリップを生じない場合とスリップを生じ易い場合とがある。一方、窪みの深さをRa約5.0μmより大きくした場合には、凝固金属xと凸天面や溝底面とに焼き付きを生じた。尚、Ra約5.0μmでは、傾斜角θや溶湯接触角φ等の条件により、焼き付きを生じない場合と、焼き付きを生じやすい場合とが生じた。そして、窪みの深さをRa約0.5μm以上約5.0μm以下とすることにより、凝固金属xをスリップを生じず、適切に噛み込まれて、上下圧延ロール21,22の回動に従って順次板加工方向に送ることができると共に、該凝固金属xが凸天面や溝底面に焼き付くことを防止できる。また、窪み深さをかかる範囲とすることにより、金属板Yを、適度に滑らかであり、かつ光沢のある板表面を有するものとして成形することができ得る。尚、図6にあっては、噛み込み不良や焼き付きが生じた場合を「×」で示し、条件によって噛み込みや焼き付きの生じない場合を「△」で示し、適切に噛み込むと共に焼き付きを防止できる場合を「○」で示している。
さらに、Ra約0.5〜5.0μmの範囲となっていても、最大深さRmaxが約15μmを越えるものを含んでいると、局部的に焼き付きを生じたり、又は、成形された金属板Yの板表面に光沢の鈍い所が局部的に生じる。このため、Rmax約15μm以下とすることも要する。一方、最小深さRminが約0.2μmより小さいものを含んでいると、凝固金属xを接触周長L1,L2の全域に亘って噛み込むことができないことから、連続して成形する場合に噛み込み不良等のトラブルを生じる恐れがある。このため、Rmin約0.2μm以上とすることも要する。このように、Rmax及びRminを満足するように、窪み28を形成している。
尚、同様の実験を、上下圧延ロールの傾斜角θを垂直方向から、排出側へ約45度以内となる範囲で適宜設定した場合についても行った。その結果(図示省略)、上述した傾斜角θが約25度の場合と同様に、窪み28の深さはRa約0.5〜5.0μmとすることが良いことがわかった。
そして、このような窪み28が形成された凸天面26と溝底面27とを備えた上下圧延ロール21,22が配置されていることにより、本発明にかかる溶湯直接圧延装置1にあって、大きな圧下率(約50%)としても、金属溶湯Xの焼き付きを防止できると共に、凝固金属xを順次適正に板加工方向に送ることができるから、優れた品質の金属板Yを安定して連続成形することができ得る。
次に、上述した、下側圧延ロール22に周成された凹周溝25の、その両側に設けられている溝側壁29,29について説明する。尚、この側周壁29,29には、潤滑離型剤塗布装置31によって金属溶湯Xの焼き付きを防止するための潤滑離型剤が塗布される。
この溝側壁29,29にあっては、図5に示すように、凹周溝25の溝底面27と直交する方向に対して、外方に約3度以上約10度以下の溝傾斜角ωで傾斜するように設けている。このような溝側壁29,29が設けられることによって、この凹周溝25及び上側圧延ロール21の嵌入凸周部24と接触した凝固金属xが、圧延加工によるロール幅方向への幅広がり変形を抑えることができる。そして、この幅広がり変形しようとする力を、溝側壁29,29と嵌入凸周部24の凸周壁30,30との隙間に、溝傾斜角ωの方向に沿って逃がすことができるから、溝側壁29,29に作用する当該力を低減でき、さらに、この力によって生じる、凝固金属xと溝側壁29,29との間の摩擦を抑制することができる。これにより、この溝側壁29,29に塗布されている潤滑離型剤が、前記幅広がり変形しようとする力によって損傷することを防ぐことができるため、該離型剤による焼き付き防止作用を適切に発揮させることができ、該凝固金属xが溝側壁29,29に焼き付くことを防止でき得る。さらに、成形された金属板Yが、圧延ロールに巻き付くことなく真っ直ぐに排出できると共に、一定幅で連続成形することができ得る。
この溝側壁29,29にあっては、図5に示すように、凹周溝25の溝底面27と直交する方向に対して、外方に約3度以上約10度以下の溝傾斜角ωで傾斜するように設けている。このような溝側壁29,29が設けられることによって、この凹周溝25及び上側圧延ロール21の嵌入凸周部24と接触した凝固金属xが、圧延加工によるロール幅方向への幅広がり変形を抑えることができる。そして、この幅広がり変形しようとする力を、溝側壁29,29と嵌入凸周部24の凸周壁30,30との隙間に、溝傾斜角ωの方向に沿って逃がすことができるから、溝側壁29,29に作用する当該力を低減でき、さらに、この力によって生じる、凝固金属xと溝側壁29,29との間の摩擦を抑制することができる。これにより、この溝側壁29,29に塗布されている潤滑離型剤が、前記幅広がり変形しようとする力によって損傷することを防ぐことができるため、該離型剤による焼き付き防止作用を適切に発揮させることができ、該凝固金属xが溝側壁29,29に焼き付くことを防止でき得る。さらに、成形された金属板Yが、圧延ロールに巻き付くことなく真っ直ぐに排出できると共に、一定幅で連続成形することができ得る。
ここで、この溝側壁29,29の溝傾斜角ωは、前記した作用効果が適切に発揮し得ることを、実験を通じて検証している。実験は、溝傾斜角ωを溝底面27と直交する約0度から徐々に変化させて金属板Yを成形し、凝固金属xの焼き付け発生と、該金属板Yの両側端に形成されるバリとを調べるようにして行った。この実験には、上述した溶湯直接圧延装置1を用い、上下圧延ロールの傾斜角θは約25度とし、圧下率は約50%とした。さらに、溝側壁と、嵌入凸周部の凸周壁とに、黒鉛グリース系の潤滑離型剤を塗布している。この実験の結果を図7に示す。溝側壁の溝傾斜角ωが約0度の場合には、金属板と溝側壁との間で高い面圧が発生して焼き付きを生じ、該金属板は下側圧延ロールに巻き付いてしまった。また、約3度とした場合には、実験条件によって金属板と溝側壁との間で焼き付き易い傾向も見られたが概ね良好であった。また、約5度とした場合には、属板と溝側壁との間で焼き付きを生じないと共に、金属板の両側端に生成されるバリも比較的小さく、該両側端の形状は良好であった。また、約8度から約10度の範囲では、実験状況によってバリが大きくなる傾向にあったが、焼き付きも生じない。一方、約10度とした場合には、溝側壁と凸周壁との間隙が大きいことから、下側圧延ロールから抜け易い。しかし、上側圧延ロールに沿って比較的厚く大きなバリが形成されることから、実験条件によって上側圧延ロールに巻き付き易い傾向も見られたが、概ね良好であった。また、約10度を超える場合には、厚く大きなバリが上側圧延ロールに沿って形成され、金属板は該上側圧延ロールに巻き付いてしまった。以上の実験結果から、凹周溝25を構成する溝側壁29,29は、外方に約3度以上約10度以下の溝傾斜角ωで傾斜することとした。而して、このような溝側壁29,29を設けることにより、凝固金属xが溝側壁29,29に焼き付くことを防ぎ、かつ、成形される金属板Yを比較的真直ぐな形態で得ることが可能となり、実用性に優れたものとできる。さらに、この焼き付きの発生やバリの形成等を原因とする成形時のトラブルを防止できる。
尚、同様の実験を、上下圧延ロールの傾斜角θを垂直方向から排出側へ約45度以内までの範囲で適宜設定した場合についても行った。その結果(図示省略)、上述した傾斜角θが約25度の場合と同様に、溝側壁29,29の溝傾斜角ωは、約3度以上約10度以下とすることによって、焼き付きの発生を防止できると共に、金属板Yを真っ直ぐな形態で成形することができる。
次に、上述した溶湯直接圧延装置1を用いて、アルミニウム合金の金属溶湯Xから金属板Yを連続して生産する過程を説明する。
ここで、溶湯直接圧延装置1にあっては、上側圧延ロール21の嵌入凸周部24、及び下側圧延ロール22の凹周溝25の外径を約450mmとする圧延ロール21,22を用いた。この嵌入凸周部24の凸天面26と凹周溝25の溝底面27とは、上述したように、周方向に沿ってほぼ均一にRa約2.4μmの深さの微小な窪み28が多数形成された形状となっている。尚、この窪み28のRmaxは約7.0μmであり、Rminは約0.3μmであった。そして、この上下圧延ロール21,22の傾斜角θを約25度に設定した。また、板厚約6mmの金属板Yを成形するように、上下圧延ロール21,22間のロール間最狭距離tを設定している。このロール間最狭距離tは、上側圧延ロール21をロール可動装置23により上下移動させて位置決めする。さらに、これらに従って、溶湯接触角φを約30度に設定し、水平供給ノズル12の先端13を下側圧延ロール22に非接触状に配置し、この接触周長L2と接触周長L1とが等しくなるように、該先端13の位置(接触始端)B2における金属溶湯Xの溶湯深さh0を定める。そして、この溶湯深さh0となる湯面高さを、タンディッシュ4内と水平供給ノズルの水平供給路11とで常に一定に維持するようにしている。ここで、タンディッシュ4内と水平供給路11との湯面高さを一定に維持するように、上下圧延ロール21,22間への供給量に応じて、保持炉2から該タンディッシュ4に金属溶湯Xを流入している。すなわち、タンディッシュ4内の湯面で浮動するフロート10の高さ位置に従って制御装置(図示せず)により制御弁8を開閉制御して、保持炉2内に所定温度で保持された金属溶湯Xを、該タンディッシュ4に連通路5を通じて流入させるようにしている。ここで、保持炉2及びタンディッシュ4の各ヒータ3を作動し、金属溶湯Xを約720℃に保持している。
ここで、溶湯直接圧延装置1にあっては、上側圧延ロール21の嵌入凸周部24、及び下側圧延ロール22の凹周溝25の外径を約450mmとする圧延ロール21,22を用いた。この嵌入凸周部24の凸天面26と凹周溝25の溝底面27とは、上述したように、周方向に沿ってほぼ均一にRa約2.4μmの深さの微小な窪み28が多数形成された形状となっている。尚、この窪み28のRmaxは約7.0μmであり、Rminは約0.3μmであった。そして、この上下圧延ロール21,22の傾斜角θを約25度に設定した。また、板厚約6mmの金属板Yを成形するように、上下圧延ロール21,22間のロール間最狭距離tを設定している。このロール間最狭距離tは、上側圧延ロール21をロール可動装置23により上下移動させて位置決めする。さらに、これらに従って、溶湯接触角φを約30度に設定し、水平供給ノズル12の先端13を下側圧延ロール22に非接触状に配置し、この接触周長L2と接触周長L1とが等しくなるように、該先端13の位置(接触始端)B2における金属溶湯Xの溶湯深さh0を定める。そして、この溶湯深さh0となる湯面高さを、タンディッシュ4内と水平供給ノズルの水平供給路11とで常に一定に維持するようにしている。ここで、タンディッシュ4内と水平供給路11との湯面高さを一定に維持するように、上下圧延ロール21,22間への供給量に応じて、保持炉2から該タンディッシュ4に金属溶湯Xを流入している。すなわち、タンディッシュ4内の湯面で浮動するフロート10の高さ位置に従って制御装置(図示せず)により制御弁8を開閉制御して、保持炉2内に所定温度で保持された金属溶湯Xを、該タンディッシュ4に連通路5を通じて流入させるようにしている。ここで、保持炉2及びタンディッシュ4の各ヒータ3を作動し、金属溶湯Xを約720℃に保持している。
また、上述した上下圧延ロール21,22の傾斜角θ、溶湯接触角φ、溶湯深さh0等を設定するにあたって、上下圧延ロール21,22と夫々に接触して凝固した凝固金属xが出会って凝固完了してなる全厚凝固始端厚t0が、ロール間最狭距離tに対して圧下率が約50%以上となるように調整している。尚、この圧下率は約70%以上とならないようにも調整し、圧延ロールに過大な負荷が作用することを防止している。
また、下側圧延ロール22は、凹周溝25の溝幅(溝底面27における溝幅)を約160mmとし、この凹周溝25を構成する両側の溝側壁29,29は、外方に約5度の溝傾斜角ωで傾斜するようにしている。また、この凹周溝25に嵌合可能となるように、上側圧延ロール21の嵌入凸周部24の幅も設定されている。尚、この嵌入凸周部24の凸周壁30,30は、凸天面26にほぼ直交するように形成されている。さらに、この凹周溝25の溝側壁29,29と、嵌入凸周部24の凸周壁30,30とには、上述した潤滑離型剤塗布装置31により、黒鉛系ペースト状の潤滑離型剤を、塗布量がほぼ一定となるように塗布している。このように潤滑離型剤を塗布することにより、凝固金属xが焼き付くことを防止できるようにしている。尚、凹周溝25の溝底面27と、嵌入凸周部24の凸天面26とには、潤滑離型剤を塗布していない。そして、このような上下圧延ロール21,22によって、金属板Yを約160mmの板幅で成形するようにしている。一方、上下圧延ロール21,22は、一定の回転速度で、排出側方向に向かって、互いに逆方向に回動させる。尚ここで、上下圧延ロール21,22の回転速度は等しくなるように制御している。また、各圧延ロール21,22の内部に形成された循環路35に冷却水を循環させ、凹周溝25及び嵌入凸周部24とを冷却する。
上述のように、保持炉2から連通路5を介してタンディッシュ4に流入した金属溶湯Xは、水平供給ノズル12の水平供給路11を通じて、上側圧延ロール21の嵌入凸周部24と下側圧延ロール22の凹周溝25との間に順次供給されていく。この金属溶湯Xは、上述した湯面高さで一定に保たれ、所定温度に保持された状態で、溶湯内と湯面とに乱れを生じることなく平穏かつ滑らかに、嵌入凸周部24の凸天面26と凹周溝25の溝底面27とに接触する。ここで、金属溶湯Xが接触する接触始端B1,B2は、上述のように設定された位置で常にほぼ一定である。そして、これら凸天面26及び凹周溝25に接触すると、この金属溶湯Xは急冷されて凝固し、嵌入凸周部24の凸天面26と凹周溝25の溝底面27とに噛み込まれて、各圧延ロール21,22の回動に従って、ロール間最狭距離tの最狭圧延端A1,A2に向かう排出側方向に順次送られていく。ここで、この凸天面26と溝底面27とは、上述したように、Ra約2.4μmの窪み28が多数形成された凹凸状となっていることから、凝固金属xと焼き付きを防止できると共に、該凝固金属xを適切に噛み込むことができ、スリップすることなく凝固金属xを排出側方向に順次送ることができる。
そして、上下圧延ロール21,22の回動に従って、凹周溝25に嵌入凸周部24が嵌入し、凸天面26と溝底面27との距離が徐々に狭くなっていくと、凸天面26と溝底面27とに夫々に接触しが凝固金属x,xが出会って凝固完了することとなる。すなわち、この凝固完了した位置が、板厚方向の全域で凝固金属xが凝固完了した全厚凝固始端となり、当該位置における板厚が全厚凝固始端厚t0となる。さらに圧延ロール21,22が回動するに従って、凝固金属xを徐々に挟圧し、圧延加工を施していく。そして、この凝固金属xを最も狭いロール間最狭距離tまで圧延加工することにより、所望の金属板Yを成形する。ここで、上述のように、圧下率が約50%以上としていることにより、アルミニウム合金の溶湯が凝固する時に生成される樹枝状晶を、長手方向に沿って伸張する作用が一層高い。ここで、樹枝状晶は、金属溶湯Xが凝固する凝固界面(図4中の二点鎖線)に対してほぼ直交するように形成されることから、圧延加工が施される前には、板中心部から板加工方向に向かって上下両側に傾斜するように形成されることとなっている。そして、この樹枝状晶を、圧延加工により、長手方向に沿って伸張した加工組織に改変している。さらに、この大きな圧下率の圧延加工によって、凝固時や圧延開始直後に生成されうるミクロボイドやクラックなどの内部欠陥とリップルマークなどの表面欠陥を圧着または平滑化により修復することができる。このような組織形態が板厚方向で対称構造となって形成されていることにより、金属板Yは、高い機械的性質を発揮し得る高い品質に成形される。尚、このロール間最狭距離tを通過すると、凸天面26と溝底面27とは離間していき、この金属板Yが該凸天面26と溝底面27とから離型して排出される。本実施形態例の凸天面26と溝底面27とは、Ra約2.4μmの窪み28が多数形成されているものであることから、優れた離型作用も有しており、離型時に金属板Yの表面を損傷することもない。
ここで、圧延加工が施されている状態にあって、凝固金属xは、この圧延加工によって作用する大きな挟圧力によって、凝固金属xがロール幅方向に幅広がり変形しようとし、この幅広がり変形しようとする力が、凹周溝25の溝側壁29,29に働くこととなる。この溝側壁29,29は、上述したように、外方に溝傾斜角ω(本実施形態例では約5度)で傾斜するように設けられていることから、凹周溝25と凸周溝30との隙間にバリを形成することにより、前記幅広がり変形しようとする力を該溝傾斜角ωの傾斜方向に沿って逃がすことができる。これにより、溝側壁29,29に作用する、幅広がり変形しようとする力を低減でき、いわゆる幅広がりを防止できるから、該溝側壁29,29と凝固金属x間の摩擦力を抑制できるため、溝側壁29,29に塗布されている潤滑離型剤が剥がれる等の損傷を生じることを防止でき得る。したがって、凝固金属xが溝側壁29,29に焼き付くことを防ぎ得る。また、このようにして得た金属板Yは、その両側端に小さなバリが形成されるだけであり、ほぼ一定幅かつ真っ直ぐな形態に成形される。このため、金属板Yの両側端を整える加工工程を設けた場合にあっても、該加工工程は比較的容易な加工を行うだけでよいから、工程にかかる時間も労力も比較的少なくてすむ。
このような本実施形態例の溶湯直接圧延装置1によって、金属板Yを約100m成形した。この成形中には、下側圧延ロール22の凹周溝25の溝底面27と溝側壁29,29、及び、上側圧延ロール21の嵌入凸周部24の凸天面26と凸周壁30,30で焼き付きが発生する等の焼き付きによるトラブルが発生しなかった。さらに、金属板Yの両側に形成されるバリを原因とするトラブルも発生することもなく、比較的容易にほぼ真直な形態で取り出すことができた。そして、板厚約6mm、板幅約160mmでほぼ一定の金属板Yを連続して成形することができた。この金属板Yは、全長に亘って、適度に滑らかで、所望の光沢のある板表面に形成されており、また、金属板Yの両側端には、僅かなバリが形成されているだけであり、良好な側端形状に成形されていた。さらに、この金属板Yを詳細に調べた結果、全長に亘って、内部欠陥や表面欠陥等を生じておらず、また、不純物等も混在していなかった。さらに、この金属板Yの組織を観察した結果、長手方向に沿って伸張された組織形態が板厚方向で対称構造となって形成されていること、及び、幅方向でほぼ均質な組織形成が形成されていることが、全長に亘って確認できた。また、この金属板Yから長手方向に亘って均等間隔で採取した試験片で、機械的物性を評価した結果、全ての試験片で高い物性値を安定して発揮していた。このように、この溶湯直接圧延装置1によれば、成形時に、焼き付きやバリ等を原因とするトラブルを発生することもなく、所望の金属板Yを、高い機械的物性を発揮し得る優れた品質のものとして、安定生産することができる。
一方、本実施形態例の溶湯直接圧延装置1に対する比較例として、図8に示す、上述した従来構成の、上下圧延ロール61,62の傾斜角θを約45度に設定し、かつ下側圧延ロール62に金属溶湯Xを流下して供給するようにした装置60を準備した。ここで、従来構成の上側圧延ロール61には嵌入凸周部64が形成され、下側圧延ロール62には凹周溝65が形成されており、上述した実施形態例と同様、嵌入凸周部64が凹周溝65に嵌入可能となっている。そして、この嵌入凸周部64の凸天面66と、この凹周溝65の溝底面67とは、滑らかな平面形状となっており、プロパンガスの不完全燃焼による煤を離型剤として塗布している。また、下側圧延ロール62の凹周溝65の溝側壁(図示省略)は、溝底面(図示省略)とほぼ直交するように(溝傾斜角が約0度)形成されている。そして、この上下圧延ロール61,62は、前記したように嵌入凸周部64及び凹周溝65の形状を異なるものとした以外は、本実施形態例と同じ圧延ロールを用い、ロール間最狭距離t及び嵌入凸周部64も同じ形状としている。
また、この比較例の装置60では、保持炉72から樋状のタンディッシュ74に流入した金属溶湯Xを、該タンディッシュ74から下側圧延ロール62上に流下して、上下圧延ロール61,62間と両側に配置したサイドダム76とにより画成された領域に生成された湯溜まりに、順次供給するようにしている。そして、この湯溜まり内から圧延ロール61,62の回動に従って板加工方向に送られることとしている。ここで、樋状のタンディッシュ74は、上下圧延ロール61,62の凹周溝65の溝幅に比して狭く、該タンディッシュ74から流入して湯溜まりに供給する金属溶湯Xは、ロール幅方向に広がることとなっている。また、金属溶湯Xは、下側圧延ロール62上に流下されるようにしていることから、金属溶湯と上下の各圧延ロールとが接触する接触周長(図示省略)は、上側圧延ロール61に比して、下側圧延ロール62が長くなっている。
この比較例の装置60により、上述の実施形態例と同様に、板幅160mm、板厚約6mmの金属板Y’を成形した。成形開始から約10m成形した所で、金属溶湯の焼き付きが生じたため、成形を中止した。この上下圧延ロール61,62の、焼き付きが生じた部分を調べると、塗布した離型剤が剥がれていた。ここで、焼き付きが発生した部位は、嵌入凸周部64の凸天面66と凹周溝65の溝底面67とに存在した。また、この成形中では、金属板Y’が徐々に下側圧延ロール62に巻き付く傾向が生じた。このため、下側圧延ロール62の凹周溝65を調べた結果、この凹周溝65の溝側壁(図示省略)には、金属溶湯が焼き付いており、ここの離型剤が剥がれていた。したがって、これ以上成形を行うためには、再び離型剤を塗布する必要があり、連続して成形するには限界があることがわかった。さらに、成形した金属板Y’を全長に亘って調べた結果、表面に湯じわ状の欠陥が生じていた。これは、金属溶湯Xを下側圧延ロール62上に流下させてから湯溜まりに供給していることから、湯溜まり内で金属溶湯Xの湯面が波立つ等の乱れを生じたためと考えられる。さらに、金属板Y’の表面には、部分的に離型剤が付着しており、荒い表面性状となっていた。これは、凸天面66と溝底面67とに塗布している離型剤の離型効果が、金属板Y’を連続成形していくに従って薄れたためであり、離型効果を常に一定に発揮できないことが原因と言える。一方、この金属板Y’の機械的物性を評価した結果、上述した本実施形態例の溶湯直接圧延装置1で成形したものに比して、物性値の発現が低くなった。このため、金属板Y’の組織形態を調べた結果、板厚方向で非対称になっていた。また、この機械的物性値は、長手方向で比較的大きなバラツキを生じており、長手方向でも組織形態が不均一となっていた。これらは、この比較例の装置60では、上下の各圧延ロールの、金属溶湯の接触する接触周長(図示省略)が異なっていることに因ると考えられる。
さらにまた、この比較例の装置60により成形した金属板Y’では、板表面に溶質が濃化する逆偏析を生じていた。これに対し、本発明にかかる溶湯直接圧延装置1により成形した金属板Yでは、この偏析の生成が、比較例の金属板Y’に比して抑制されていた。したがって、この金属板Yを焼き鈍し等の熱処理を行うことによって、再結晶組織化が充分に生じ、この熱処理による効果を適正に発揮させることができ得る。
このように、本実施形態例の溶湯直接圧延装置1によれば、上述のように、内部欠陥や表面欠陥等を生じず、かつ、滑らかで光沢のある表面を有すると共に、板厚方向で対称であり、かつ幅方向で均質な組織形態に形成された、高い機械的物性を発揮し得る優れた品質の金属板を、安定して生産することができる。また、この溶湯直接圧延装置1は、外方向に約3度以上約10度以下で傾斜する溝側壁29,29を備えた凹周溝25と、嵌入凸周部24とにより圧延加工するようにしていることから、当該溝側壁29,29に塗布された潤滑離型剤の損傷を防ぐことができ、凝固金属xと溝側壁29,29とが焼き付くことを防止できる。そして、成形された金属板Yは、ほぼ一定幅で、かつ、ほぼ真直形状として成形できる。さらにまた、この溶湯直接圧延装置1にあっては、上下圧延ロール21,22が、前記窪み28により凹凸面を成す凸天面26及び溝底面27を有し、かつ、この凸天面26及び溝底面27との間の摩擦係数μに基づいて傾斜角θが設定されているから、該凸天面26及び溝底面27に離型剤を塗布しなくとも、金属溶湯Xの焼き付き等のトラブルを防止できると共に、凝固金属xをスリップすることなく、最狭圧延端A1,A2に向かう方向に順次適正に送ることができる。
さらに、この溶湯直接圧延装置1にあっては、水平供給ノズル12の水平供給路11を通じて供給される金属溶湯Xが、該水平供給路11の路底部15と下側圧延ロール22の凹周溝25との微間隙に差し込むこともなく、かつ、この微間隔によって水平供給路11内で金属溶湯Xの温度が急激に変化することを防止している。また、サイドダム16,16によって水平供給路11の外側に金属溶湯Xが漏れることもないようにしている。さらにまた、この上下圧延ロール21,22の傾斜角θは、凝固金属xの接触する嵌入凸周部24の凸天面26及び凹周溝25の溝底面27が発揮し得る摩擦力から設定されており、凝固金属xを噛み込んで板加工方向に順次適切に送ることができる。したがって、この溶湯直接圧延装置1は、成形時における装置のトラブルや、成形不良等の発生頻度を著しく低減することができると共に、装置のメンテナンス等の作業に要する時間や費用も低減できるという優れた利点も有する。而して、本発明にかかる溶湯直接圧延装置1にあっては、所望の金属板Yを生産する製造装置として、充分に実用に供することができ、優れた品質と高い機械的物性とを有する製品を安定して生産することができるものである。
上述した実施形態例の溶湯直接圧延装置1にあっては、上下圧延ロール21,22の傾斜角θを約25度で設定したものであるが、アルミニウム合金の種類や他の金属、又は成形する金属板の板厚などに応じて、上述したように垂直方向から排出側へ約45度以内までの範囲で適宜設定することができる。さらに、この傾斜角θは、圧延ロールの形状や摩擦係数等から実用性を考慮して、約10度以上約40度以下となる範囲とすることが好適であり、さらには、約20度以上約30度以下とする範囲が好ましい。尚、溶湯接触角φにあっても、傾斜角θに従って適宜設定することができる。さらにまた、上述した実施形態例では、圧下率が約50%以上となるように設定しているが、この圧下率は約40%以上となるように適宜設定することも可能である。
また、上述した実施形態例の溶湯直接圧延装置1にあっては、下側圧延ロール22に形成された凹周溝25を、外方に約5度の溝傾斜角ωで傾斜する溝側壁29,29を備えるようにした構成であるが、上述したように、この溝側壁を約3度以上約10度以下の範囲で傾斜するものとできる。これによっても、上記と同様に、溝側壁と金属溶湯とが焼き付いたり、比較的大きなバリが形成することを防止でき、所望の金属板を連続して成形できる。この溝傾斜角ωにあっては、焼き付きを防止する作用効果と、金属板を真っ直ぐな形態で成形できる作用効果とを一層適正に発揮し得るように、約4度以上約7度以下の範囲とすることが好適である。
また、嵌入凸周部24の凸天面26と凹周溝25の溝底面27とにあっては、上述したショットピーニング加工によって、微小な窪み28を周方向に亘って均一に設けて凹凸を形成するようにしたものであるが、エッチング加工などの他の加工方法によって形成することも可能である。この微小な窪みにあっては、金属溶湯の焼き付き防止する作用効果と、スリップを生じず成形でき、かつ所望の光沢を有する作用効果とを一層高め得るように、Ra約1.0μm以上約2.5μm以下とすることが好適である。
Claims (9)
- 両回転軸心を水平かつ互いに平行とし、かつ両回転軸心を通る面が、垂直又は排出側へ約45度以内で傾斜するようにして配置した、上下一対の水冷式圧延ロールと、
上下圧延ロール間に金属溶湯を供給する水平供給路が形成され、下側圧延ロールのロール表面と微間隙を有して非接触状に配置された水平供給ノズルと、
所定温度に保持された金属溶湯を、前記水平供給ノズルの供給路でほぼ一定の湯面高さを維持するように、順次供給する溶湯供給手段とを備えてなり、
前記水平供給ノズルから供給された金属溶湯が、上側圧延ロール又は下側圧延ロールと接触する上下の接触始端から、上下圧延ロール間距離の最も狭い最狭圧延端までの、上下の接触周長が、ほぼ等しい長さとなるようにすると共に、
下側圧延ロールの表面に凹周溝が周成され、かつ上側圧延ロールの表面に該凹周溝に嵌入可能な嵌入凸周部が周成されて、水平供給ノズルにより上下圧延ロール間に供給された金属溶湯を、該凹周溝の溝底面と嵌入凸周部の凸天面とにより、凝固と共に圧延加工するようにしたものであることを特徴とする溶湯直接圧延装置。 - 水平供給ノズルにより供給されて、上下一対の水冷式圧延ロールと接触することにより凝固した金属溶湯を、該圧延ロールによって約40%以上の圧下率((1−ロール間最狭距離t/全厚凝固始端厚t0)×100)で圧延加工可能としたものであることを特徴とする請求項1に記載の溶湯直接圧延装置。
- 上下一対の水冷式圧延ロールを、その両回転軸心を通る面の傾斜角度が、垂直又は排出側へ10度以上40度以下となる範囲となるように配置したことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の溶湯直接圧延装置。
- 下側圧延ロールの表面に周成された凹周溝が、外方へ約3度以上約10度以下で傾斜する溝側壁を両側に備えてなるものであることを特徴とする請求項3に記載の溶湯直接圧延装置。
- 下側圧延ロールの凹周溝の両側に形成された溝側壁と、上側圧延ロールの嵌入凸周部の両側に形成された凸周壁とに、潤滑離型剤を塗布する潤滑離型剤塗布装置を備えていることを特徴とする請求項3又は請求項4に記載の溶湯直接圧延装置。
- 上下一対の水冷式圧延ロールが、水平供給ノズルから供給された金属溶湯を凝固すると共に圧延加工するロール加工表面に、Ra約0.5μm以上約5.0μm以下の微小な窪みが多数形成されてなるものであることを特徴とする請求項1乃至請求項5のいずれかに記載の溶湯直接圧延装置。
- 上下一対の水冷式圧延ロールが、水平供給ノズルから供給された金属溶湯を凝固すると共に圧延加工するロール加工表面を、ほぼ均一な球形状のショット粒によるショットピーニング加工により形成されてなるものであることを特徴とする請求項1乃至請求項6のいずれかに記載の溶湯直接圧延装置。
- 溶湯供給手段が、
水平供給ノズルに接続し、該水平供給ノズルの水平供給路と同じ湯面高さで金属溶湯を保持するタンディッシュと、
該タンディッシュと連通し、金属溶湯を所定温度で保持する保持炉と、
該保持炉とタンディッシュとの連通路に設けられ、タンディッシュ内の金属溶湯の湯面高さをほぼ一定に保つように、保持炉内の金属溶湯を流入制御する制御弁と
を備えていることを特徴とする請求項1乃至請求項7のいずれかに記載の溶湯直接圧延装置。 - 水平供給ノズルが、金属溶湯を供給する水平供給路の両側に、該水平供給路を流れる金属溶湯が両側方向へはみ出すことを防止するサイドダムを備えていることを特徴とする請求項1乃至請求項8のいずれかに記載の溶湯直接圧延装置。
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