JP4414440B2 - 接点装置 - Google Patents

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Description

本発明は、ジグザグ薄板ばねを用いて相手側導体に押し当てる構成を有する接点装置に関する。より詳しくは、車載用機器との導通を行う接点装置に関する。
車載用の機器には、その一部を車両本体側にあらかじめ組み込んでおき、他の一部を車載用の部品中に組み込み、その部品を車体本体に組みつけることによって車載用の機器が組み立て完成されるものがある。車両のリアウインドウのアンテナ装置などがその例である。このような車両用ガラスアンテナの一例を図11、12に示す。
車両用ウインドウアンテナ50のアンテナエレメント52は、車両1のリアウインドウガラス54の車室側に、印刷等により貼り付けられている。各アンテナエレメント52の一端は、車両のルーフパネル(車体)56とリアウインドウガラス54の重合部分Hまで延びている。ルーフパネル56には、アンテナエレメント52で受信した信号を処理するためにアンプをはじめとする処理回路を支持した支持基盤ベース58が、例えば、ボルト等で固定されている。なお、重合部分Hには、図示しないカバー等が取り付けられ外部からは見えないようになっている。
かかる構成の車両用ウインドウアンテナ50は次の様に組み立てられる。まず、アンプなどを支持する支持基盤ベース58がルーフパネル56に取り付けられ、次に、リアウインドウガラス54が所定の位置に載置され、そして、リアウインドウガラス54に印刷で構成されたアンテナエレメント52の端部接点52a(相手側導体)と支持基盤ベース58に取り付けられた信号処理回路を電気的に接続して、リアウインドウガラス54を所定の位置に固定することによって、アンテナ装置として完成する。しかし、アンテナエレメント52の端部接点52aと支持基盤ベース58は非常に狭いスペースに設置されているため、個々に配線することは困難な上、接点数が多いことから一つ一つの接点をコネクタなどで接続していくことは組み立てに手間がかかることとなる。そこでこのような部分の導通を図るために図13(a)に示すような薄板バネを用いた接点装置100が用いられている(例えば、特許文献1参照)。
図13(a)に示す接点装置100は、基体部12、導電体のジグザグ薄板ばね14、当接部60及びムーブメント18を有している。この接点装置100は、ルーフパネル56に取り付けられた支持基盤ベース58に固定され、端子部20は支持基盤ベース58の信号処理回路と導通している。そして上記のように、リアウインドウガラス54が所定の位置に載置されると相手側導体となるアンテナエレメント52の端部接点52aが接点装置100の当接部60に接触し、リアウインドウガラス54を所定の位置に取付固定することによって、接点装置100のジグザグ薄板ばね14が圧縮され、相手側導体となるアンテナエレメント52の端部接点52aと接点装置100の当接部60の導通が確保される。このような接点装置100によれば、多くのガラスアンテナの端部接点52aをリアウインドウガラス54の組み立てと同時に支持基盤ベース58の信号処理回路と導通させることができ、少ないスペースでの接続処理が可能となると共に、組み立て工程を簡素化することができる。
また、図13(a)に示したジグザグ薄板ばね14の他にばねによる接触により導通を確保する接点装置で、大きなストロークが必要ないような場合には、図15に示すS字薄板ばねや、図16に示すU字薄板ばねが用いられている(例えば特許文献2参照)。
特開2005−332643号公報 特開2003−45521号公報
ところが、このような接点装置に用いられるジグザグ薄板ばねは、圧縮を受けると圧縮変形と垂直方向に横変位をおこし、これによって接点の導通が不安定になることがあった。以下、この点について説明する。図13(b)に示すように、このような接点装置100に用いられるジグザク薄板ばね14は、屈曲部3、4a、4bと平板部2が交互につながった形状をしており、基体部側端部10は基体部12に固定されて、当接部側端部11は当接部60に接するようになっている。屈曲部4は同一の形状で、その中間の平板部2の長さも同一である。そして、荷重がかかっていない状態では、バネの屈曲部3、4の外側はバネの中心線5に平行で左右対称位置にある呼び外形線6a、7aに接するような形状となっている。
このジグザグ薄板ばね14の各部の寸法と変形の様子を図14に示す。図14は説明のためばねの曲げ回数は4回とし、無荷重の状態を実線で示し、圧縮荷重による変形状態を破線で記載してある。一番下部の基部側の最初の屈曲部3とそれにつながる平板部2aによって構成される薄板ばねのばね定数k11は、薄板ばねのヤング率をE、断面2次モーメントをIとして、下記のように表される。
11=(E×I)/Λ11 −−−−−− (式1)
ここで、Λ11はばね計算に用いられる2次モーメントで、平板部の長さをL、ばね屈曲部の曲げ半径R、曲げ角度θ等によって決まってくる、ばね屈曲部の形状係数をCm11として、下記のように表される。
Λ11=L ×Cm11/3 −−−−−− (式2)
また、2番目の屈曲部4とそれにつながる平板部2bによって構成される中間部の薄板ばねのばね定数k12は上記と同様に、薄板ばねのヤング率をE、断面2次モーメントをIとして、下記のように表される。
12=(E×I)/Λ12 −−−−−− (式3)
ここで、Λ12はばね計算に用いられる2次モーメントで、平板部の長さをL、ばね屈曲部の曲げ半径R、曲げ角度θ等によって決まってくる、ばね屈曲部の形状係数をCm12として、下記のように表される。
Λ12=L ×Cm12/3 −−−−−− (式4)
通常、薄板ばねの材質は同一で、板幅、板厚も一定であるから、E=E、I=Iであり、図13(b)のような形状では、L=Lであるから、屈曲部3、4のばね定数はばね屈曲部の形状係数Cm11とCm12によって決定される。図13(b)に示す従来の接点装置に用いられるジグザク薄板ばねの場合には、
Cm11>Cm12であることから、Λ11>Λ12となり、
11<k12
となる。このことは最初の屈曲部3とそれにつながる平板部2aからなる薄板ばねは2番目の屈曲部4aとそれにつながる平板部2bからなる中間部の薄板ばねよりもやわらかく、たわみやすいということになる。従って、荷重がかかったときの最初の屈曲部3の回りの回転角変位Δθは2番目の屈曲部4a回りの回転角変位Δθよりも大きい。また、最初の屈曲部3とそれにつながる平板部2aの変形による2番目の屈曲部4aの横方向変位(図14の上では右方向)は、2番目の屈曲部4aとそれにつながる平板部2bの変形による3番目の屈曲部4bの横方向変位よりも大きくなる。このことによって、ジグザク薄板ばね14は、図14の破線で示すように圧縮荷重を受けると右方向に角度δだけ傾くとともに、全体で右方向にεだけ横変位するような変形を生ずる。
また、一番上部の当接部側の屈曲部23とそれにつながる平板部である当接部側端部11によって構成される薄板ばねのばね定数k13は、薄板ばねのヤング率をE、断面2次モーメントをIとして、下記のように表される。
13=(E×I)/Λ13 −−−−−− (式5)
ここで、Λ13はばね計算に用いられる2次モーメントで、平板部の長さL、ばね屈曲部の曲げ半径R、曲げ角度θ等によって決まってくる、ばね屈曲部の形状係数をCm13として、下記のように表される。
Λ13=L ×Cm13/3 −−−−−− (式6)
先に述べた基体部側と二番目の屈曲部と同様に
Cm13>Cm12であることから、Λ13>Λ12となり、
13<k12
となる。このことは当接部側の屈曲部23とそれにつながる平板の当接部側端部11からなる薄板ばねは、最下部の薄板ばねと同様に2番目の屈曲部4aとそれにつながる平板部2bからなる中間部の薄板ばねよりもやわらかく、たわみやすい。従って、荷重がかかったときには、図14において当接部側端部11の左側にある先端は、図14において当接部側端部11の右側にある屈曲部23側よりも大きく変位し、当接部側端部11は回転角変位Δθだけ傾くこととなる。すると、当接部側端部11に取り付けられている当接部60が傾き、相手側導体である端部接点52aに対して当接部60が片あたりをすることとなる。
以上述べたジグザク薄板ばねの変形特性により、先に述べた車両用ウインドウアンテナ50の組立過程において、リアウインドウガラス54を所定の位置に載置し、アンテナエレメント52の端部接点52aを接点装置100の当接部60に接触させ、接点装置100を押し付けて接点装置100のジグザグ薄板ばね14を圧縮して所定の位置に取付固定しようとする時に、接点装置100のジグザク薄板ばね14が横ずれ及び傾き移動をしてしまい、これによって接点装置の当接部60も横ずれ及び傾きを起こし、アンテナエレメント52の端部接点52aとの導通が不安定になってしまうという問題があった。また、横方向の移動量が大きくなると、接点装置の当接部60が横ずれ変位によってアンテナエレメント52の端部接点52aから外れてしまうことになり、端部接点52aの面積あるいは当接部60の面積を大きくすることが必要となり、装置が大型化してしまうという問題があった。更に、アンテナエレメント52の端部接点52aと接点装置の当接部60は接触しつつ、横ずれを起こすことから、端部接点52aと当接部60の間でこすれが発生し、導通不良の原因となるという問題があった。特に、端部接点52aはリアウインドウガラス54に印刷によって構成されておりその厚さが非常に薄いことから、こすれにより接点部が損傷を受けやすく、導通不良に結びつくという問題があった。
また、走行中においては、車両の振動によってアンテナエレメント52の端部接点52aと当接部60との間の相対距離が変化し、この相対距離の変化によってジグザグ薄板ばね14に加わる圧縮力が変化する。先に述べたように、ジグザク薄板ばね14は圧縮力がかかると軸方向に圧縮変形すると共に、横方向へのずれ変形と当接部側端部11の傾き変形を生ずる。したがって、圧縮力が変化すると、軸方向の変形量が変化すると共に、横方向の移動量と当接部側端部11の傾きも変化する。このため車両の振動によって当接部60と端部接点52aとの間に横方向のこすれ振動が発生し、当接部60と端部接点52aとの間の接点抵抗値の変化率が上昇してラジオノイズ発生を招くこととなるという問題があった。また、車両の振動による圧縮力の変化によって当接部60の横方向の振動と同時に当接部側端部11の傾き振動が発生し、これによる端部接点52aとの電気的接続面積の変化によっても抵抗変化率が上昇しラジオノイズが発生するという問題があった。更に、上記の横方向と傾きの振動が大きくなると当接部60が端部接点52aの損傷を生じさせるという問題があった。
この様に薄板ばねを使った接点装置の接点部が、圧縮によって横移動を生ずるのは図16に示すU字薄板ばねでも同様である。図16では横に接点122aがWだけ移動している。図15はこの接点の横移動の問題を解決すべく、U字形の薄板ばねをS字形にしたもので、ばね全体は左に傾き及び左にW1だけ水平移動しているが、接点部112aの右方向への横移動W2と相殺され接点部112aの横変位を最小になるようにしたものである。しかしながら、このS字形薄板ばねはばね全体を傾かして横変位の相殺を行うものであり、必要ストローク、屈曲数が多く、ばね自体の傾きと横変位が問題となるジグザグ薄板ばねには適用することがでない。従って、ジグザグ薄板ばねにおいては、依然としてばねの横変位と傾きによって発生する接点導通の不安定、接点面積の大型化、こすれによる導通不良という問題が解決されていない。
本発明は、ジグザグ薄板ばねにおいて、ばね圧縮時の横方向変位及び当接部側端部の傾きを低減し安定した導通を確保できる接点装置を提供することを目的とする。
本発明に係る接点装置は、基体部と、基体部に固定される平板状導体の基体部側端部と、圧縮方向に移動する平板状導体の接点部側端部と、基体部側端部につながった曲板状導体の最初の屈曲部と、接点部側端部につながった曲板状導体の最後の屈曲部と、平板状導体の平板部と曲板状導体の屈曲部とがジグザグにつながって最初の屈曲部と最後の屈曲部との間を接続する中間部と、を含むジグザグ薄板ばねと、グザグ薄板ばねに付勢されて相手側導体に押しつけられる導体の当接部とを備え、当接部と相手側導体との間の接触導通を行う接点装置であって、最初の屈曲部につながる平板部と最後の屈曲部につながる平板部とを除く各平板部の長さが略同一で、最初の屈曲部につながる平板部と最後の屈曲部につながる平板部との長さが他の各平板部の長さよりも短く、最初の屈曲部と最後の屈曲部と中間部の各屈曲部と中間部の各平板部との板幅および板厚が略同一で、最初の屈曲部と最後の屈曲部の曲げ半径は中間部の各屈曲部の曲げ半径よりも小さく、中心軸を挟んで両側にある中間部の各屈曲部の各凸面は、中心軸を挟むそれぞれの側で圧縮方向に延びる各呼び外形線上に位置し、最初の屈曲部と最後の屈曲部との凸面の位置はそれぞれ呼び外形線から中心軸側にオフセットされていること、を特徴とする。
本発明の接点装置において、前記ジグザグ薄板ばねの当接部側の平板部が相手側導体に向かって傾いていること、としても好適である。
本発明に係る接点装置は、基体部と、基体部に固定される平板状導体の基体部側端部と、圧縮方向に移動する平板状導体の接点部側端部と、基体部側端部につながった曲板状導体の最初の屈曲部と、平板状導体の平板部と曲板状導体の屈曲部とがジグザグにつながって最初の屈曲部と接点部側端部との間を接続する中間部と、を含むジグザグ薄板ばねと、ジグザグ薄板ばねに付勢されて相手側導体に押しつけられる導体の当接部と、を備え、当接部と相手側導体との間の接触導通を行う接点装置であって、最初の屈曲部につながる平板部を除く各平板部の長さが略同一で、最初の屈曲部につながる平板部の長さが他の各平板部の長さよりも短く、最初の屈曲部と中間部の各屈曲部と中間部の各平板部との板幅および板厚が略同一であり、最初の屈曲部の曲げ半径は中間部の各屈曲部の曲げ半径よりも小さく、中心軸を挟んで両側にある中間部の各屈曲部の各凸面は、中心軸を挟むそれぞれの側で圧縮方向に延びる各呼び外形線上に位置し、最初の屈曲部の凸面の位置は呼び外形線から中心軸側にオフセットされ、前記ジグザグ薄板ばねの当接部側の平板部が相手側導体に向かって傾いていること、を特徴とする。
本発明は、ジグザグ薄板ばねにおいて、ばね圧縮時の横方向変位及び当接部側端部の傾きを低減し安定した導通を確保できるという効果を奏する。
以下に図面を用いて本発明に係るジグザク薄板ばねの好適な実施形態について説明する。
図1は本発明による接点装置の実施形態を示す斜視図であり、図2はその断面図である。図1、2に示す接点装置9は、基体部12、ジグザグ薄板ばね14、当接部28及びムーブメント18、端子部20を有している。この接点装置9は、基体部12のボルト孔12aに螺入されたタップスクリューによってルーフパネル56に取り付けられた支持基盤ベース58に固定され、端子部20は支持基盤ベース58に取りつけられた信号処理回路と導通している。そして、当接部28がアンテナエレメント52の端部接点52aと接触して、支持基盤ベース58に取り付けられた信号処理回路とアンテナエレメント52が導通される。なお、基体部12は絶縁性部材(例えばナイロン樹脂)によって構成されるのが好適である。
ムーブメント18は、基体部12に設けられたガイド部にガイドされ、所定区間内でアンテナエレメント52に対して接離自在である。図2に示すように、基体部12には、ガイド部としてのガイド孔34が設けられている。ガイド孔34は、アンテナエレメント52側に開口を有し、支持基盤ベース58の設置面に対して略垂直となる方向に伸びる有底孔として設けられている。また、断面は略長穴状である。ムーブメント18の外壁とガイド孔34の内壁との間には所定の隙間があり、ムーブメント18は、このガイド孔34に案内され、上下方向に自在に移動できるようになっている。また、ガイド孔34の開口端には、ムーブメント18の脱落を防止する係合爪36が設けられている。また、ムーブメント18の根元側にも係合爪38が設けられている。ムーブメント18の最も上方の位置(上死点)はこれら係合爪36,38の係合によって定まる(図2に示される位置)。
さらに、ムーブメント18は、上底壁および側壁を有する筒状の部材として構成される。そして、上底壁に設けられた窓としての貫通孔40に当接部28が隙間を持ってはめ込まれ、当接部28はアンテナエレメント52側に露出している。このような構成によって当接部28は、ムーブメント18に対して上下方向に自在に移動することができるようになっている。
ジグザグ薄板ばね14はその基体部側端部10の位置合わせ用孔10aが基体部12にはまり込むことによって基体部12に固定されている。当接部側端部11には凸部11aが設けられ、この凸部11aが当接部28の下面に設けられた凹部28aに嵌りこむことによってジグザグ薄板ばね14と当接部28はジグザク薄板ばね14の圧縮方向と垂直方向(水平方向)に連動して動くように構成されている。当接部28は、ジグザグ薄板ばね14によりアンテナエレメント52に向けて(すなわち上方向に)付勢され、アンテナエレメント52の端部接点52aに押しつけられている。また当接部28は、アンテナエレメント52の端部接点52aと接する略平面状の当接面を有している。ジグザク薄板ばね14は当接部28を付勢すると共に電気を導通することから、弾性体であり導電体でもある金属製の薄板で構成される。また、当接部28はジグザグ薄板ばね14と相手側導体となるアンテナエレメント52の端部接点52aの導通を確保しつつ、接触を保つため、弾性体でかつ導電体である導電ゴムなどによって構成することが好適である。
ジグザク薄板ばね14は、図2の状態、すなわち、ムーブメント18が最も上方の位置にある状態で、自由長より短くなるように構成されている。そして、当接部28がアンテナエレメント52の端部接点52aに当接した状態では、当接部28が下方に押し込まれ、ジグザク薄板ばね14が伸長する方向の付勢力を発生するように、基体部12下面とアンテナエレメント52の端部接点52aとの距離や、接点装置9の各部の寸法が決定される。
次に本発明の実施形態に用いられるジグザグ薄板ばね14の構成について図3、4を参照しながら説明する。図3は上記ジグザグ薄板ばねの正面図であり、図4は斜視図である。
図3に示すように、ジグザク薄板ばね14は、屈曲部3、4と平板部2が交互につながった形状をしている。上述のように基体部側端部10は基体部12に固定されて、当接部側端部11は当接部28に接するようになっている。屈曲部4は同一の形状で、その中間の平板部2の長さも同一である。そして、荷重がかかっていない状態では、両側のばね屈曲部4の外側は、それぞれ1つの直線の上にある。このばね屈曲部4の外側を結んだ直線をジグザグばねの呼び外形線6、7という。そして、最下部の基体部側の屈曲部3の外側は、この呼び外形線6よりも中心線5に向かってオフセットされ、最上部の当接部側の屈曲部23の外側は呼び外形線7よりも中心線5に向かってオフセットされている。また、基体部側の屈曲部3につながる平板部2aの長さL3は第2の屈曲部4aにつながる平板部2bの長さLよりも短く、最上部の屈曲部23につながる平板部である当接部側端部11の長さLも、屈曲部4aにつながる平板部2bの長さLよりも短くなっている。そして、ジグザグ薄板ばねの基体部側端部10には、支持基盤ベース58に取り付けられた信号処理回路と接続される端子部20が折り曲げ加工されている。
このような形状のジグザグ薄板ばね14に圧縮荷重が加わった場合の変形の様子を図5に示す。本実施形態によるジグザグ薄板ばね14において、基体部側の屈曲部3と第2の屈曲部4aの薄板ばねと当接部側の屈曲部23の回りの曲げのばね定数、k、k、kは、薄板ばねのヤング率をE、E、E、断面2次モーメントをI、I、I平板部の長さをL3、L、Lばね屈曲部の形状係数をCm11、Cm12、Cm13として、下記のように表される。
=(E×I)/Λ −−−−−− (式7)
Λ=L3 ×Cm11/3 −−−−−− (式8)
=(E×I)/Λ −−−−−− (式9)
Λ=L ×Cm12/3 −−−−−− (式10)
=(E×I)/Λ −−−−−− (式11)
Λ=L ×Cm13/3 −−−−−− (式12)
ジグザク薄板ばね14の材質は同一で、板幅、板厚も一定であるから、E=E=E、I=I=Iである。そして、屈曲部3、4a、23の各ばね定数k、k、kはばね屈曲部の形状係数Cm11,Cm12,Cm13と、各平板部の長さL,L,Lよって決定される。本実施形態では、Cm11>Cm12であるが、最初の屈曲部3につながる平板部2aの長さL3が、2番目の屈曲部4aにつながる平板部長さLよりも短くなっていることから、その効果によって、Λ>Λとなり、k>kとなり、基体部側の最初の屈曲部3の回りのばね定数kは第2の屈曲部4aの回りのばね定数kよりも大きくなっている。
また、本実施形態では、最上部の当接部側の屈曲部23も中心線5側へオフセットされ、最上部の当接部側の屈曲部23につながる当接部側端部11の長さLが、2番目の屈曲部4aにつながる平板部長さLよりも短くなっていることから、その効果によって、Λ>Λとなり、k>kとなり、最上部の屈曲部23の回りのばね定数kは第2の屈曲部4abの回りのばね定数kよりも大きくなっている。
基体部側の屈曲部3の回りの曲げのばね定数kと第2の屈曲部4aの回りの曲げのk2とジグザク薄板ばね14の変形を詳細にコンピュータの構造解析で計算した結果、kがk2よりも大きく、一定の関係を満足している場合には、図5に示すように第2の屈曲部4aの右方向への水平変位εと第3の屈曲部4bの左方向への水平変位εが略等しくなり、ジグザグ薄板ばね14は圧縮方向に垂直方向(水平方向)の変位を生じず、εはほとんどゼロとなり、略垂直に圧縮されることがわかった。本実施形態のように曲げ回数が6回の場合には、kとk2が下記の式13のような関係にある場合に、実質的にジグザグ薄板ばね14の横変位を解消することができる。また、k=2.3×k2の場合には横方向の変位をほとんどなくすことができる。
2.2×k2<k<2.4×k2 −−−−−− (式13)
本実施形態に示すようなジグザグ薄板ばねにおいては、材質は一様で、一様な厚さ、幅を有する板を折り曲げていることから、ヤング率E、Eは同一であり、薄板の断面2次モーメントI、Iも同一であるので、第1の屈曲部3を呼び外形線6から中心線側5にオフセットして、最初の屈曲部3につながる平板部2aの長さL3を、第2の屈曲部4aにつながる平板部2bの長さLよりも短くすることによってkを大きくし、kとk2が上記の式13の範囲に入るように構成している。
一方、最上部の屈曲部23の回りのばね定数kは第2の屈曲部4aの回りのばね定数kよりも大きくなるように構成されていることから、圧縮荷重を受けた際には図5において当接部側端部11の左側にある先端は、図5において当接部側端部11の右側にある屈曲部23側と略同等の変位となるように回転角変位Δθだけ回転変位し、当接部側端部11は当初の方向を保ったまま中心線5に沿って圧縮される。
このように、本実施形態においては、基体部側の屈曲部3の回りのばね定数kを第2、第3の屈曲部回りのばね定数kよりも大きくすることによって、ジグザグ薄板ばね14の横方向の変移を低減し、更に、最上部の屈曲部23の回りのばね定数kを第2、第3の屈曲部回りのばね定数kよりも大きくすることによって、当接部側端部11の傾きを低減することができる。
本実施形態の接点装置9は、当接部28によってジグザグ薄板ばね14が圧縮されてもばねの横方向の変移と最上部の当接部側端部11の傾きとを同時に低減することができることから、ジグザク薄板ばね14の圧縮時の横方向変位及び傾きを低減して安定した導通を確保できるという効果を奏する。これによって、車両用ウインドウアンテナ50の組立過程において、接点装置9の当接部28も横ずれによって導通不良や、こすれによる端部接点52aの損傷などの発生による導通不良を低減することができ、確実な導通が確保できるという効果を奏する。
また、車両の振動によって当接部28と相手側導体である端部接点52aとの間のこすれ振動や最上部の当接部側端部11の傾きによるラジオノイズの発生を低減し、良好な導通状態とすることができる。更に、相手側導体である端部接点52aの面積あるいは当接部28の面積を大きくすること無くコンパクトな機器構成とすることができるという効果を奏する。
本発明の参考例について図6を参照しながら説明する。本発明の参考例において、先に述べた実施形態と同様の部分には同様の記号を付し説明は省略する。図6は本発明の参考例にかかる接点装置に用いられるジグザク薄板ばね14の斜視図である。本参考例では、基体部側の屈曲部3及びこれにつながる平板部2aの幅を第2から第5の屈曲部4a〜4d及びこれにつながる平板部2b〜2dよりも広くするとともに、最上部の当接部側の屈曲部23及びこれにつながる平板部である当接部側端部11と平板部2eの幅も第2から第5の屈曲部4a〜4d及びこれにつながる平板部2b〜2dよりも広くしたものである。これによって、先に述べた実施形態の圧縮変形で説明したように、基体部側の屈曲部3の回りの曲げのばね定数kと第2から第5の屈曲部4a〜4d回りの曲げのk2の間に式13の範囲に入るようにすると共に、最上部の屈曲部23の回りのばね定数kを第2から第5の屈曲部4a〜4d回りのばね定数kよりも大きくするように構成したものである。
このように構成した参考例先に説明した実施形態と同様にばね圧縮時の横方向変位及び当接部側端部11の傾きを低減し安定した導通を確保できるという効果を奏する。
本発明の他の参考例は、基体部側の屈曲部3及びこれにつながる平板部2aの厚さ及び、当接部側の屈曲部23及びこれにつながる平板部である当接部側端部11と平板部2eの厚さを第2から第5の屈曲部4a〜4d、平板部2b〜2dよりも厚くすることによって基体部側の屈曲部3の断面2次モーメントIを大きくし、kとk2が上記の式13の範囲に入るようにすると共に、当接部側の屈曲部23の回りの断面2次モーメントIを大きくして最上部の屈曲部23の回りのばね定数kが第2から第5の屈曲部4a〜4d回りのばね定数kよりも大きくなるように構成したものである。
また、本発明の他の実施形態は、ばね屈曲部の形状係数のCm11,Cm12,Cm13は曲げ半径が小さくなると小さくなることから、基体部側の屈曲部3の曲げ半径Rを、第2から第5の屈曲部4a〜4dの曲げ半径Rよりも小さくして、kとk2が上記の式13の範囲に入るようにすると共に、当接部側の屈曲部23の曲げ半径Rも第2から第5の屈曲部4a〜4dの曲げ半径Rよりも小さくして、最上部の屈曲部23の回りのばね定数kが第2から第5の屈曲部4a〜4d回りのばね定数kよりも大きくなるように構成したものである。
このような他の参考例、他の実施形態は先に述べた実施形態と同様にばね圧縮時の横方向変位及び当接部側端部11の傾きを低減し安定した導通を確保できるという効果を奏する。
本発明の他の参考例について図7を参照しながら説明する。本発明の他の実施形態において、先に説明した各実施形態と同様の部分には同様の記号を付し説明は省略する。本参考例は、基体部側の屈曲部3及び当接部側の屈曲部23以外の屈曲部4a〜4dに切欠部15を設けて各屈曲部4a〜4dの剛性を低下させ、基体部側の屈曲部3回り及び当接部側の屈曲部23回りのばね定数k,kを他の屈曲部4a〜4d回りのばね定数kよりも相対的に大きくなるように構成している。この切欠部15は、折り曲げ前のばね板に貫通穴を開けておき、これをジグザグ薄板ばね14に折り曲げ加工することによって形成してもよい。これによって先に述べた実施形態と同様にばね圧縮時の横方向変位及び当接部側端部11の傾きを低減し安定した導通を確保できるという効果を奏する。
本発明の他の実施形態について図8から図10を参照しながら説明する。本実施形態において、先に説明した各実施形態と同様の部分には同様の符号を付してその説明を省略する。図8、図9に示すように、本実施形態では、基体部側の屈曲部3をジグザグ薄板ばね14の呼び外形線6から中心線5側に向かってオフセットすることによって、基体部側の屈曲部3の回りのばね定数kを他の屈曲部4a〜4dの回りのばね定数kよりも大きくしてジグザグ薄板ばね14の横方向の変移を低減する構造は先に説明した実施形態と同様であるが、最上部にある当接部側の屈曲部23は中心線5側に向かってオフセットせず、当接部側端部11を相手側導体である端部接点52aの側に向かって傾斜させる構造としている。傾斜角度は中心線5に直角な方向からΔθである。傾斜角度Δθは、ジグザグ薄板ばね14が組みつけられた際の圧縮力によって生じる回転角変位と同等の角度である。
図10を参照しながら、本実施形態のジグザク薄板ばね14が圧縮される際の変形について説明する。先の実施形態で説明したように、基体部側の屈曲部3の回りのばね定数kを他の屈曲部4a,4bの回りのばね定数kよりも大きくしてジグザグ薄板ばね14の横方向の変移を低減するようにしている。最上部の当接部側の屈曲部23は中心線5の側にオフセットされていないので、屈曲部23の回りのばね定数kは第2の屈曲部4a回りのばね定数kよりも小さくなっている。そして、当接部側の屈曲部23とそれにつながる当接部側端部11からなる薄板ばねは第2の屈曲部4aとそれにつながる平板部2bからなる中間部の薄板ばねもやわらかく、たわみやすいということになる。このため、ジグザグ薄板ばね14に圧縮荷重がかかった際には、図10において当接部側端部11の左側にある先端は、図10において当接部側端部11の右側にある屈曲部23側よりも大きく変位し、当接部側端部11は当初の方向を保ったまま中心線5に沿って圧縮されず、圧縮されるとともに、傾くこととなる。そこで、本実施形態では、当接部側端部11の回転角変位Δθ9だけ当接部側端部11を相手側導体である端部接点52aの側に予め傾斜させておき、所定の圧縮荷重がかかった際に当接部側端部11が相手側導体である端部接点52aの面と平行となるように構成している。
このように構成することによって、所定の圧縮力によってジグザグ薄板ばね14が取り付けられた際に、当接部側端部11と当接部28が押しつけられる端部接点52aとが略平行となるようにすることができる。これによって、図10において当接部側端部11の左側にある先端側と、図10において当接部側端部11の右側にある屈曲部23側とは当接部28を略同様の力で端部接点52aに押し付けるようにすることができる。そして、車両の振動によって圧縮荷重が変動しても、当接部側端部11は当接部28の左右を略均等に押し付けた状態を保つことができ、当接部28が端部接点52aに片当たりすることを低減することができる。
本実施形態では、基体部側の屈曲部3は、先に説明した実施形態と同様に、中心線5側にオフセットされて、ジグザグ薄板ばね14の圧縮力による横変位を低減できるように構成されている。このため、上記のように圧縮荷重がかかっていないときに当接部側端部11を相手側導体に向けて傾斜させた形状とすることによって、ばね圧縮時の横方向変位及び当接部側端部11の傾きを低減し安定した導通を確保できるという効果を奏する。
また、基体部側の屈曲部3の中心線5側へのオフセットに変えて、各実施形態、各参考例の様に、板厚、板幅を変更して屈曲部3の回りのばね定数を上昇させるように構成しても好適であるし、他の屈曲部に切欠を設けて相対的に屈曲部3のばね定数を上昇させるように構成しても好適である。
更に、実施形態の様に、当接部側の屈曲部23の回りのばね定数を上昇させるとともに、当接部側端部11を相手側導体側に向けて傾斜させるように構成しても好適である。
各実施形態は、車両用ウインドウアンテナ50と車両の接続に本発明を適用する場合について説明したが、本発明は、当接部28が相手側導体に押し付けられて接触導通する部分であれは、車両用ウインドウアンテナに限らず適用することができる。
本発明の実施形態のジグザグ薄板ばねを組み込んだ接点装置の斜視図である。 本発明の実施形態のジグザグ薄板ばねを組み込んだ接点装置の断面図である。 本発明の実施形態のジグザグ薄板ばねの正面図である。 本発明の実施形態のジグザグ薄板ばねの斜視図である。 本発明の実施形態のジグザグ薄板ばねの変形説明図である。 本発明の参考例のジグザグ薄板ばねの斜視図である。 本発明の参考例のジグザグ薄板ばねの斜視図である。 本発明の他の実施形態のジグザグ薄板ばねの正面図である。 本発明の他の実施形態のジグザグ薄板ばねの斜視図である。 本発明の他の実施形態のジグザグ薄板ばねの変形説明図である。 ウインドウアンテナ組み込んだ車両を示す斜視図である。 ウインドウアンテナの斜視図である。 従来技術の接点装置の断面図及びこれに用いられるジグザグ薄板ばねの正面図である。 従来技術のジグザグ薄板ばねの変形説明図である。 従来技術のS字薄板ばねである。 従来技術のU字薄板ばねである。
1 車両、2、2a〜2e 平板部、3、4、4a〜4d,23 屈曲部、5 中心線、6,6a,7,7a 呼び外形線、9,100 接点装置、10 基体部側端部、10a 位置合わせ用孔、11 当接部側端部、11a 凸部、12 基体部、12a ボルト孔、14 ジグザグ薄板ばね、15 切欠部、18 ムーブメント、20 端子部、28 当接部、28a 凹部、34 ガイド孔、36,38 係合爪、40 貫通孔、50 車両用ウインドウアンテナ、52 アンテナエレメント、52a 端部接点(相手側導体)、54 リアウインドウガラス、56 ルーフパネル、58 支持基盤ベース、60 当接部、112a 接点部、E〜E ヤング率、H 重合部分、I〜I 断面2次モーメント、k〜k,k11〜k13 曲げのばね定数、δ 変位角度、Cm11〜Cm13 ばね屈曲部の形状係数、R〜R ばね屈曲部曲げ半径、Δθ〜Δθ,Δθ 回転角変位、ε〜ε 水平変位、θ〜θ 角度。

Claims (3)

  1. 基体部と、
    基体部に固定される平板状導体の基体部側端部と、圧縮方向に移動する平板状導体の接点部側端部と、基体部側端部につながった曲板状導体の最初の屈曲部と、接点部側端部につながった曲板状導体の最後の屈曲部と、平板状導体の平板部と曲板状導体の屈曲部とがジグザグにつながって最初の屈曲部と最後の屈曲部との間を接続する中間部と、を含むジグザグ薄板ばねと、
    グザグ薄板ばねに付勢されて相手側導体に押しつけられる導体の当接部とを備え、当接部と相手側導体との間の接触導通を行う接点装置であって、
    最初の屈曲部につながる平板部と最後の屈曲部につながる平板部とを除く各平板部の長さが略同一で、最初の屈曲部につながる平板部と最後の屈曲部につながる平板部との長さが他の各平板部の長さよりも短く、最初の屈曲部と最後の屈曲部と中間部の各屈曲部と中間部の各平板部との板幅および板厚が略同一で、最初の屈曲部と最後の屈曲部の曲げ半径は中間部の各屈曲部の曲げ半径よりも小さく、
    中心軸を挟んで両側にある中間部の各屈曲部の各凸面は、中心軸を挟むそれぞれの側で圧縮方向に延びる各呼び外形線上に位置し、最初の屈曲部と最後の屈曲部との凸面の位置はそれぞれ呼び外形線から中心軸側にオフセットされていること、
    を特徴とする接点装置。
  2. 請求項1に記載の接点装置であって、
    前記ジグザグ薄板ばねの当接部側の平板部が相手側導体に向かって傾いていること、
    を特徴とする接点装置。
  3. 基体部と、
    基体部に固定される平板状導体の基体部側端部と、圧縮方向に移動する平板状導体の接点部側端部と、基体部側端部につながった曲板状導体の最初の屈曲部と、平板状導体の平板部と曲板状導体の屈曲部とがジグザグにつながって最初の屈曲部と接点部側端部との間を接続する中間部と、を含むジグザグ薄板ばねと、
    ジグザグ薄板ばねに付勢されて相手側導体に押しつけられる導体の当接部と、を備え、当接部と相手側導体との間の接触導通を行う接点装置であって、
    最初の屈曲部につながる平板部を除く各平板部の長さが略同一で、最初の屈曲部につながる平板部の長さが他の各平板部の長さよりも短く、最初の屈曲部と中間部の各屈曲部と中間部の各平板部との板幅および板厚が略同一であり、最初の屈曲部の曲げ半径は中間部の各屈曲部の曲げ半径よりも小さく、
    中心軸を挟んで両側にある中間部の各屈曲部の各凸面は、中心軸を挟むそれぞれの側で圧縮方向に延びる各呼び外形線上に位置し、最初の屈曲部の凸面の位置は呼び外形線から中心軸側にオフセットされ、
    前記ジグザグ薄板ばねの当接部側の平板部が相手側導体に向かって傾いていること、
    を特徴とする接点装置
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