以下に本発明の実施の形態を説明するが、請求項に記載の構成要件と、発明の実施の形態における具体例との対応関係を例示すると、次のようになる。この記載は、請求項に記載されている発明をサポートする具体例が、発明の実施の形態に記載されていることを確認するためのものである。従って、発明の実施の形態中には記載されているが、構成要件に対応するものとして、ここには記載されていない具体例があったとしても、そのことは、その具体例が、その構成要件に対応するものではないことを意味するものではない。逆に、具体例が構成要件に対応するものとしてここに記載されていたとしても、そのことは、その具体例が、その構成要件以外の構成要件には対応しないものであることを意味するものでもない。
さらに、この記載は、発明の実施の形態に記載されている具体例に対応する発明が、請求項に全て記載されていることを意味するものではない。換言すれば、この記載は、発明の実施の形態に記載されている具体例に対応する発明であって、この出願の請求項には記載されていない発明の存在、すなわち、将来、分割出願されたり、補正により追加される発明の存在を否定するものではない。
請求項1に記載の信号処理装置は、
4以上の信号処理手段(例えば、図2のICチップ11乃至15)を備える信号処理装置において、
前記4以上の信号処理手段それぞれは、
他の信号処理手段と通信を行う通信部(例えば、図1の無線回路12)と、
前記通信部で受信した信号に基づいて信号処理を行う信号処理部(例えば、図1の信号処理回路13)と
を有し、
前記3以上の信号処理手段のうちの少なくとも1つは、
他のすべての信号処理手段との通信を同時に行う第1の通信と、
少なくとも1つの他の信号処理手段との通信を制限して、通信を制限した他の信号処理手段以外の2以上の他の信号処理手段と通信を行う第2の通信と
が可能であり、
前記第2の通信は、周波数分割、符号分割または偏波面の調整により他の信号処理手段との通信を制限して行われる
ことを特徴とする。
請求項5に記載の信号処理装置は、
他の信号処理装置と通信を行う通信部(例えば、図1の無線回路12)と、
前記通信部で受信した信号に基づいて信号処理を行う信号処理部(例えば、図1の信号処理回路13)と
を有する信号処理装置において、
他のすべての信号処理装置との通信を同時に行う第1の通信と、
少なくとも1つの他の信号処理装置との通信を制限して、通信を制限した他の信号処理装置以外の2以上の他の信号処理装置と通信を行う第2の通信と
が可能であり、
前記第2の通信は、周波数分割、符号分割または偏波面の調整により他の信号処理装置との通信を制限して行われる
ことを特徴とする。
請求項6に記載の信号処理方法は、
他の信号処理装置と通信を行う通信部(例えば、図1の無線回路12)と、
前記通信部で受信した信号に基づいて信号処理を行う信号処理部(例えば、図1の信号処理回路13)と
を有する信号処理装置の信号処理方法において、
他のすべての信号処理装置との通信を同時に行う第1の通信と、
少なくとも1つの他の信号処理装置との通信を制限して、通信を制限した他の信号処理装置以外の2以上の他の信号処理装置と通信を行う第2の通信と
が可能であり、
前記第2の通信は、周波数分割、符号分割または偏波面の調整により他の信号処理装置との通信を制限して行われる
ことを特徴とする。
請求項7に記載のプログラムおよび請求項8に記載の記録媒体に記録されているプログラムは、
他の信号処理装置と通信を行う通信部で受信した信号に基づいて信号処理を行う信号処理ステップ(例えば、図6のステップS31の処理)を有する、コンピュータが読み取り可能なプログラムにおいて、
他のすべての信号処理装置との通信を同時に行う第1の通信と、
少なくとも1つの他の信号処理装置との通信を制限して、通信を制限した他の信号処理装置以外の2以上の他の信号処理装置と通信を行う第2の通信と
が可能であり、
前記第2の通信は、周波数分割、符号分割または偏波面の調整により他の信号処理装置との通信を制限して行われる
ことを特徴とする。
以下、図面を参照して、本発明の実施の形態について説明する。
図1は、本発明を適用した半導体チップの機能的構成例を示すブロック図である。
図1において、半導体チップは、アンテナ11、無線回路12、および信号処理回路13から構成されている。無線回路12および信号処理回路13は、1チップの、例えば、CMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)上に構成されている。従って、図1の半導体チップは、1チップのIC(Integrated Circuit)あるいはLSI(Large Scale Integration)である。なお、アンテナ11も、CMOS上に構成することが可能である。
図1の半導体チップにおいては、外部との間の信号の入出力のための信号端子(ピン)を設けることができるが、本実施の形態では、アース(グランド)と電源VCCに接続するためのアース端子16と電源端子17を除き、半導体チップには、信号端子は設けられていない。即ち、図1の半導体チップには、信号端子として、アース端子16と電源端子17だけが設けられている。
アンテナ11は、外部から送信されてくる無線信号(電波)を受信し、対応する受信信号を、無線回路12に供給する。また、アンテナ11は、無線回路12から供給される信号を、電波として送信する。なお、アンテナ11としては、例えば、ループ型のアンテナや、スタックアンテナなどの任意のアンテナを採用することが可能である。即ち、アンテナ11の形状や種類は、特に限定されるものではない。
無線回路12は、外部との間で、電磁波による無線通信を行う。即ち、無線回路12は、信号処理回路13から供給される信号に応じて、キャリアの変調等の無線通信に必要な処理を行い、その結果得られる変調信号を、アンテナ11に供給することにより、電波(電磁波)によって送信させる。また、無線回路12は、アンテナ11から供給される、外部からの電波を受信した受信信号(変調信号)に対して、復調等の無線通信に必要な処理を行い、その結果得られる信号(復調信号)を、信号処理回路13に供給する。
信号処理回路13は、無線回路12から供給される信号を信号処理し、さらに、必要に応じて、その信号処理の結果得られる信号を、無線回路12に供給する。
即ち、信号処理回路13は、演算回路14および記憶回路15を有している。
演算回路14は、無線回路12から供給される信号や、記憶回路15に記憶された信号に所定の信号処理を施し、その信号処理の結果得られる信号を、記憶回路15に供給して記憶させ、あるいは、無線回路12に供給し、アンテナ11から電波として送信させる。また、演算回路14は、記憶回路15に記憶された信号(データ)を、無線回路12に供給し、アンテナ11から電波として送信させる。
記憶回路15は、演算回路14の処理上必要な信号その他を記憶する。
なお、演算回路14は、NANDゲートなどの論理回路その他の専用のハードウェアで構成し、その専用のハードウェアによって、所定の信号処理を行うようにすることができる。また、演算回路14は、プログラムを実行可能なプロセッサ(コンピュータ)で構成し、そのプロセッサにプログラムを実行させることによって、所定の信号処理を行うようにすることも可能である。
演算回路14をプロセッサで構成する場合に、そのプロセッサに実行させるプログラムは、記憶回路15に、あらかじめ記憶させておくことができる。
あるいはまた、プログラムは、フレキシブルディスク、CD-ROM(Compact Disc Read Only Memory),MO(Magneto Optical)ディスク,DVD(Digital Versatile Disc)、磁気ディスク、半導体メモリなどのリムーバブル記録媒体に、一時的あるいは永続的に格納(記録)しておくことができる。このようなリムーバブル記録媒体は、いわゆるパッケージソフトウエアとして提供することができる。
なお、プログラムは、ダウンロードサイトから、ディジタル衛星放送用の人工衛星を介して、あるいは、LAN(Local Area Network)、インターネットといったネットワークを介して、半導体チップに無線で転送し、半導体チップでは、そのようにして転送されてくるプログラムを、アンテナ11で受信し、無線回路12および演算回路14を介して、記憶回路15にインストールすることができる。
ここで、本明細書において、演算回路14に各種の処理を行わせるためのプログラムを記述する処理ステップは、必ずしも後述するフローチャートとして記載された順序に沿って時系列に処理する必要はなく、並列的あるいは個別に実行される処理(例えば、並列処理あるいはオブジェクトによる処理)も含むものである。
また、プログラムは、1の演算回路14により処理されるものであっても良いし、複数の演算回路によって分散処理されるものであっても良い。さらに、プログラムは、他の演算回路に転送されて実行されるものであっても良い。
アース端子16と電源端子17は、半導体チップのパッケージから外部に露出している端子で、それぞれ、アースGNDと電源Vccに接続される。
なお、アース端子16と電源端子17は、半導体チップを構成する必要なブロックに接続されているが、その接続線は、図が煩雑になるのを避けるため、図示を省略してある。
以上のように構成される半導体チップでは、アンテナ11で電波が受信され、アンテナ11で受信された電波に対応する受信信号が、無線回路12を介して、信号処理回路13に供給される。信号処理回路13は、無線回路12を介して供給される受信信号を信号処理する。さらに、信号処理回路13は、必要に応じて、信号処理の結果得られた信号を、無線回路12を介して、アンテナ11に供給し、電波で送信させる。
図2は、図1の半導体チップを適用した信号処理装置の一実施の形態の構成例を示す斜視図である。
図2の信号処理装置は、複数の半導体チップとしての5個のICチップ11,12,13,14,15が、接続板2上に配置されて構成されている。なお、接続板2には、その他のICチップも配置することができる。
ICチップ1iは(i=1,2,3,4,5)、図1で説明した半導体チップと同様に構成されている。従って、ICチップ1iは、アース端子16と電源端子17を有する。そして、ICチップ1iは、そのアース端子16と電源端子17が、接続板2に設けられた任意のセットのアース端子と電源端子にそれぞれ接続されるように、接続板2上に配置されている。
即ち、接続板2には、アース端子と電源端子(いずれも図示せず)とのセットが複数セット設けられている。そして、ICチップ1iは、そのアース端子16と電源端子17が、接続板2に設けられた任意のセットのアース端子と電源端子にそれぞれ接続されるように、接続板2上に配置されている。
従って、ICチップ1iは、そのアース端子16と電源端子17が、接続板2上のアース端子と電源端子にそれぞれ接続されるように配置すれば良いので、その装着や取り外しを容易に行うことができる。さらに、ICチップ1iは、接続板2と接続すべき端子が、アース端子16と電源端子17の2つの端子だけなので、接続板2上に、高い自由度で配置することができる。
ICチップ11乃至15それぞれは、信号処理回路13が、所定の信号処理を行うことにより、所定の機能を提供する。ICチップ11乃至15それぞれにおいて、信号処理回路13が提供する機能は1つであっても良いし、複数であっても良い。ICチップ11乃至15それぞれが供給する機能は、例えば、記憶回路15にインストールされているプログラムとによる。
図2の信号処理装置においては、5個のICチップ11乃至15の2以上において、必要な信号が、電波によって送受信され、信号処理が行われることによって、所定の機能が提供される。
即ち、ICチップ1iは、通信相手を制限せずに、他のICチップ1j(jは、1乃至5のうちのi以外の値)すべてとの無線による通信を同時に行う第1の通信と、他のICチップ1jから、通信相手を制限して無線による通信を行う第2の通信とを、適宜、選択して(切り換えて)行い、これにより、ICチップ11乃至15で構成される信号処理装置全体として、所定の機能を提供する。
ここで、ICチップ1iで行われる第1の通信では、他のICチップ1jすべてとの通信が同時に行われるので、いわば放送的な形態(Broadcasting)で、信号の送受信が行われる。一方、第2の通信では、他のICチップ1jから、通信相手を制限して無線による通信が行われるので、いわば通信的な形態(Communication)で、信号の送受信が行われる。ICチップ1iでは、このような放送的な形態の第1の通信と通信的な形態の第2の通信との両方による、新しい形態の通信によって、信号の送受信が行われる。
第1の通信によれば、ICチップ1iは、他のICチップ1jすべてに対して、信号を一度に送信し、他のICチップ1jすべては、ICチップ1iからの信号を同時に受信することができる。また、第2の通信によれば、ICチップ1iから、他のICチップ1jのうちの必要なものだけに対して、信号を一度に送信し、他のICチップ1jのうちの必要なものだけが、ICチップ1iからの信号を同時に受信することができる。
即ち、第1の通信によれば、ICチップ1iは、他のICチップ1jすべてに対して、各ICチップが行うべき信号処理を指示するコマンドを送信することができる。さらに、第2の通信によれば、ICチップ1iからの信号を必要とするICチップ1jにおいてのみ、即ち、例えば、ICチップ1iからの信号を対象として信号処理を行うICチップ1jにおいてのみ、その信号を受信することができる。
また、あるICチップ1iと他のICチップ1jとの間では、同期をとりあって、信号処理や、信号の送受信を行う必要がない。即ち、あるICチップ1iと他のICチップ1jは非同期で(同期をとるためのクロックなしで)動作することができる。
さらに、ICチップ1iは、無線通信によって、信号処理に必要な信号をやりとりするので、他のICチップ1jとの間でやりとりする信号の数が増減したり、その信号が変化する(例えば、やりとりする信号が、データ量の比較的少ない音声信号から、データ量の比較的多い画像信号に変化する)ようなバージョンアップに対しても、容易に対処することができる。
次に、図2の信号処理装置においては、あるICチップ1kを容易に接続板2に配置することができ、さらに、そのICチップ1kと、接続板2に配置されている他のICチップ1jとの間では、第1または第2の通信により信号を送受信することができる。従って、ユーザは、接続板2に、新たなICチップ1kを配置し、あるいは、接続板2に配置されているICチップ1iを、他のICチップ1kと交換、または取り外すこと等によって、容易に、信号処理装置全体の機能を変更させることができる(k=1,2,・・・)。
即ち、単純には、ユーザは、接続板2に、新たなICチップ1kを配置することにより、信号処理装置の機能を、いままでの機能に、ICチップ1kの機能を追加したものとすることができる。
具体的には、例えば、信号処理装置において、接続板2に既に配置されているICチップ11乃至15によって、MPEGストリームのデコーダとしての機能が提供されていた場合に、接続板2に、MPEGストリームのデコード結果のブロック歪みを低減するフィルタとしての機能を提供するICチップが新たに配置されたときには、信号処理装置では、MPEGストリームをデコードし、そのデコード結果のブロック歪みを低減することができる。
この場合、信号処理装置においては、接続板2に新たに配置されたICチップが提供する機能が、元の機能に追加される。これは、信号処理装置の機能が、接続板2に新たに配置されたICチップが提供する機能の分だけ変更(追加)されているということができる。
信号処理装置の機能の変更方法としては、新たに配置されたICチップが提供する機能の分だけ信号処理装置の機能を変更させる方法の他、新たに配置されたICチップが提供可能な機能に応じて、接続板2に既に配置されているICチップ11乃至15の機能が変化し、これにより、信号処理装置全体の機能を変更させる方法がある。
信号処理装置においては、接続板2に新たにICチップが配置された場合に、その新たなICチップの機能と、接続板2に既に配置されているICチップ11乃至15の機能とを単純に加算した機能を越える機能が提供されるようにすることができる。
即ち、信号処理装置においては、新たに配置されたICチップが提供可能な機能に応じて、接続板2に既に配置されているICチップ11乃至15の機能を変化させ、新たに配置されたICチップと、既に配置されているICチップ11乃至15それぞれとが、いわば協調して信号処理を分担する協調分担を行うようにし、信号処理装置全体の機能を変更させるようにすることができる。
以上のように、接続板2上に配置された複数のICチップにおいて、協調分担して信号処理が行われる場合には、多種多様な機能の変更が可能となる。
なお、このような信号処理装置の機能の変更は、接続板2に新たにICチップが配置された場合の他、接続板2からICチップが取り外された場合や、接続板2に配置されたICチップが他のICチップに交換された場合など、接続板2に配置されたICチップに変更が生じた場合に行うことができる。
ここで、ICチップ1iには、そのICチップ1iの機能や、ICチップ1iと他の1以上のICチップとによって実現可能な機能、さらには、その機能を実現するために必要な他の1以上のICチップを特定するための型番などを記述した機能説明書を同梱しておくことができる。ユーザは、その機能説明書を見て、自身が希望する機能の提供に必要なICチップを揃え、接続板2に配置することにより、希望する機能の提供を受けることができる。
また、接続板2に配置されたICチップによって提供可能な機能は、例えば、接続板2上に設けられた図示せぬ液晶モニタ等に表示させることができる。さらに、その提供可能が複数存在する場合には、ユーザに、その複数の機能の中から1つを選択してもらい、その選択された機能を提供するようにすることができる。
第1の通信では、通信相手が特に制限されないので、ICチップ1iは、他のICチップ1jすべてが信号を受信することができるように通信を行えば良い。即ち、例えば、通信の方法(例えば、信号の変調方式や、キャリアの周波数など)をあらかじめ決めておき、ICチップ1iには、その方法で通信を行わせれば良い。
一方、第2の通信は、通信相手を制限して行われるので、ICチップ1iと通信する通信相手となる他のICチップ1jを、何らかの方法で制限する必要がある。
通信相手の制限方法としては、例えば、周波数分割を利用した方法がある。
即ち、図3は、ICチップ11乃至15それぞれにおいて、周波数分割多重方式により通信が行われる様子を模式的に示している。
図3の実施の形態では、ICチップ11乃至15が通信を行うのに割り当てられた周波数帯域が、6つの周波数帯域(以下、適宜、チャネルともいう)に分割されている。そして、その6つのチャネルのうちの1つが、第1の通信を行うためのチャネルである共通チャネルに割り当てられている。また、6つのチャネルのうちの残りの5つのチャネル#1,#2,#3,#4,#5が、第2の通信を行うためのチャネルに割り当てられている。
なお、第2の通信を行うためのチャネルは、5チャネルに限定されるものではない。
ICチップ1iは、第1の通信を行う場合、共通チャネルによって信号を送信または受信する。また、ICチップ1iは、第2の通信を行う場合、5つのチャネル#1乃至#5のうちのいずれか1つを、第2の通信を行うためのチャネルに設定し、その設定されたチャネル(以下、適宜、設定チャネルという)によって信号を送信する。これにより、第2の通信では、通信相手が制限される。
即ち、第2の通信によって信号を送信しようとするICチップ1iは、ある設定チャネルによって信号を送信するので、その信号を受信することができる通信相手としての他のICチップ1jは、その設定チャネルを受信しようとしているものだけに制限される。
ここで、図3においては、ICチップ11乃至15それぞれが第2の通信を行うために設定したチャネルを、影を付して示してある。即ち、図3では、ICチップ11乃至15において、それぞれ、チャネル#5,#3,#1,#2,#4が、第2の通信を行うためのチャネル(設定チャネル)に設定されている。
従って、ICチップ11においては、設定チャネルであるチャネル#5によって、他のICチップ12乃至15が送信する信号と混信することなく、図示せぬ他のICチップに信号を送信し、その図示せぬ他のICチップでは、ICチップ11からの信号を受信することができる。他のICチップ12乃至15それぞれにおいても、同様である。
なお、ICチップ11においては、設定チャネルであるチャネル#5によって、信号を送信するのではなく、信号を受信するようにすることが可能である。他のICチップ12乃至15それぞれにおいても、同様である。
また、接続板2上に配置されたICチップ11乃至15それぞれには、設定チャネルとすることができるチャネルとして、固定のチャネルをあらかじめ割り当てておくことができる。さらに、接続板2上に配置されたICチップ11乃至15それぞれでは、第2に通信を行うためのチャネルとして割り当てられたチャネルのうちの、使用されていないチャネルの中から、設定チャネルを選択するようにすることも可能である。
次に、図2のICチップ11乃至15それぞれでは、例えば、ある1以上のICチップ1iが、信号処理を依頼する依頼元となり、その依頼を受ける他の1以上のICチップ1jが、依頼先となって、依頼された信号処理を行う。
なお、依頼先となったICチップ1jは、自身が行った信号処理によって得られた信号の信号処理を、さらに他のICチップ1j'に依頼する依頼元となることができる。
例えば、ユーザが図示せぬ操作部を操作して、信号処理の開始を指示することにより、ある1以上のICチップ1iが最初の依頼元となる。
図4は、第2の通信において、通信相手が周波数分割を利用して制限される場合の、依頼元となったICチップ1iが行う処理を説明するフローチャートである。
依頼元のICチップ1iは、まず最初に、ステップS1において、共通チャネルのセンシングを行う。即ち、ステップS1では、依頼元のICチップ1iのアンテナ11が電波を受信し、その受信信号を無線回路12に供給する。無線回路12は、アンテナ11からの受信信号のうちの共通チャネルの信号を抽出し、信号処理回路13の演算回路14に供給する。そして、ステップS1からS2に進み、演算回路14は、無線回路12からの共通チャネルの信号に基づき、共通チャネルが、他のICチップによって使用されているかどうか、即ち、共通チャネルを用いた第1の通信が、他のICチップにおいて行われているかどうかを判定する。
ステップS2において、共通チャネルが使用されていると判定された場合、ステップS3に進み、演算回路14は、ランダムな時間だけの待ち時間をおいて、ステップS1に戻り、以下、同様の処理が繰り返される。即ち、共通チャネルが他のICチップにおいて使用されている場合には、依頼元のICチップ1iは、ステップS1乃至S3の処理を繰り返し、これにより、共通チャネルが空くのを待つ。
そして、ステップS2において、共通チャネルが使用されていないと判定された場合、ステップS4に進み、依頼元のICチップ1iは、他の1以上のICチップ1jに依頼する信号処理を指示する信号、即ち、ICチップ1jにおける信号処理を制御するコマンドを、共通チャネルによって送信する。
即ち、依頼元のICチップ1iでは、演算回路14が、他の1以上のICチップ1jそれぞれに依頼する信号処理を指示するコマンドが配置されたデータ(以下、適宜、依頼データという)を生成し、無線回路12に供給する。無線回路12は、演算回路14からの依頼データを、共通チャネルの信号に変調し、アンテナ11に供給して射出させる。
依頼元のICチップ1iがステップS4で送信する共通チャネルの信号は、接続板2上の他のすべてのICチップで受信される。
ここで、図5は、依頼元のICチップ1iが、ステップS4において共通チャネルで送信する依頼データのフォーマットを示している。
図5において、依頼データの先頭には、送信局ID(Identification)が配置されている。送信局IDは、依頼元のICチップ1iが依頼先の1以上のICチップ1jとの間で、信号処理の対象となる信号を送信または受信する第2の通信を行うのに用いられるチャネルの情報(例えば、キャリアの周波数)を、少なくとも含んでいる。即ち、依頼元のICチップ1iは、第2の通信に用いるチャネルを設定し、その設定されたチャネル(設定チャネル)の情報を、送信局IDに含ませる。
なお、送信局IDには、その他、例えば、依頼データを送信する送信元としてのICチップ1iを識別するためのIDなどを含ませることも可能である。
依頼データにおいて、送信局IDの後には、1以上のコマンドを表すコマンドコードが配置される。即ち、依頼元のICチップ1iが他の1以上のICチップ1jそれぞれに依頼する信号処理に対応するコマンドのコマンドコードが、送信局IDの後に、順次配置される。
図4に戻り、依頼元のICチップ1iは、ステップS4において依頼データを送信した後は、ステップS5に進み、ステップS1における場合と同様に、共通チャネルのセンシングを行って、ステップS6に進む。
ステップS6では、依頼元のICチップ1iは、ステップS5のセンシングの結果に基づき、ステップS4で送信した依頼データに対する応答としてのアクノリッジACKが、共通チャネルによって送信されてきたかどうかを判定する。
即ち、依頼データを受信したICチップ1jは、後述するように、その依頼データに含まれるコマンドによって指示された信号処理が可能かどうか等を判定し、可能な場合には、その信号処理の依頼を受ける旨の応答としてのアクノリッジACKを、共通チャネルによって送信する。ステップS6では、そのようにしてアクノリッジACKが送信されてきたかどうかを判定する。
ステップS6において、依頼データに含まれるコマンドすべてに対応する信号処理が行われるのに必要なアクノリッジACKが送信されてきていないと判定された場合、ステップS7に進み、依頼元のICチップ1iの演算回路14は、ステップS5における共通チャネルのセンシング回数が、所定の閾値N未満(以下)であるかどうかを判定する。ステップS7において、共通チャネルのセンシング回数が、所定の閾値N未満であると判定された場合、ステップS5に戻り、以下、同様の処理が繰り返される。
また、ステップS7において、共通チャネルのセンシング回数が、所定の閾値N未満でないと判定された場合、即ち、共通チャネルのセンシングをN回行っても、他のICチップ1jから信号処理に必要なアクノリッジACKが得られなかった場合、ステップS8に進み、依頼元のICチップ1iの演算回路14は、例えば、信号処理の対象の信号(データ)が記録回路15に記憶されている場合には、その信号を破棄(消去)し、あるいは、それまでに受信したアクノリッジACKを破棄し、処理を終了する。
一方、ステップS6において、必要なアクノリッジACKが送信されてきたと判定された場合、即ち、依頼データに含まれるコマンドに対応する信号処理を行うことが可能な1以上のICチップ1jから、その依頼データに対するアクノリッジACKが、共通チャネルによって送信され、その共通チャネルの信号が、依頼元のICチップ1iのアンテナ11で受信され、無線回路12を介して、信号処理回路13の演算回路14に供給された場合、ステップS9に進み、依頼元のICチップ1iの演算回路14は、無線回路12を制御することにより、信号を送信するキャリアの周波数(送信周波数)を、ステップS4で送信した依頼データに含ませた送信局IDが表す設定チャネルの周波数に設定する。
そして、ステップS9からS10に進み、依頼元のICチップ1iは、依頼データに含ませたコマンドに対応する信号処理の対象となる信号を、ステップS9で設定したチャネル(設定チャネル)で送信する第2の通信を行い、処理を終了する。
即ち、依頼元のICチップ1iでは、演算回路14が、例えば、依頼データに含ませたコマンドに対応する信号処理の対象となる信号を、記憶回路15から読み出し、無線回路12に供給する。無線回路12は、演算回路14からの信号を、依頼データに含ませた送信局IDが表す設定チャネルの信号に変調し、アンテナ11から電波として射出させる。
依頼元のICチップ1iがステップS10で送信する設定チャネルの信号は、接続板2上の他のICチップのうちの、依頼データに対するアクノリッジACKを送信してきたものだけにおいて受信される。
次に、図6は、第2の通信において、通信相手が周波数分割を利用して制限される場合の、依頼元となったICチップ1iの他のICチップ1j、即ち、依頼先となりうるICチップ1jが行う処理を説明するフローチャートである。
依頼先となりうるICチップ1jは、まず最初に、ステップS21において、共通チャネルのセンシングを行う。即ち、ステップS21では、依頼先となりうるICチップ1jのアンテナ11が電波を受信し、その受信信号を無線回路12に供給する。無線回路12は、アンテナ11からの受信信号のうちの共通チャネルの信号を抽出し、信号処理回路13の演算回路14に供給する。そして、ステップS21からS22に進み、演算回路14は、無線回路12からの共通チャネルの信号に基づき、共通チャネルに、他のICチップ、即ち、依頼元のICチップ1iが送信した信号が存在するかどうかを判定する。
ステップS22において、共通チャネルに信号が存在しないと判定された場合、ステップS21に戻り、以下、同様の処理が繰り返される。即ち、依頼先となりうるICチップ1jは、依頼元のICチップ1iから、共通チャネルの信号が送信されてくるまで、待ち状態となる。
なお、ここでは、依頼先となりうるICチップ1jにおいて、共通チャネルを常時監視するセンシングを行うようにしたが、依頼先となりうるICチップ1jの無線回路12では、電波の受信強度に基づいて、アンテナ11からの受信信号をカットまたは通過させるスケルチ回路を採用することが可能である。即ち、依頼先となりうるICチップ1jの無線回路12では、共通チャネルの電波の受信強度が所定の閾値以下(未満)の場合は、アンテナ11からの受信信号を、演算回路14に出力せず、共通チャネルの電波の受信強度が所定の閾値より大(以上)の場合は、アンテナ11からの受信信号を、演算回路14に出力するようにすることが可能である。
ステップS22において、共通チャネルに信号が存在すると判定された場合、ステップS23に進み、依頼先となりうるICチップ1jは、依頼元のICチップ1iが図4のステップS4で共通チャネルによって送信してくる依頼データを受信する。即ち、依頼先となりうるICチップ1jでは、アンテナ11において電波が受信され、その受信信号が無線回路12に供給される。無線回路12は、アンテナ11からの受信信号のうちの共通チャネルの信号、つまり、いまの場合、依頼元のICチップ1iからの依頼データを抽出し、信号処理回路13の演算回路14に供給する。
その後、ステップS23からS24に進み、依頼先となりうるICチップ1jでは、演算回路14が、依頼元のICチップ1iからの依頼データに含まれるコマンドが、自身に関係するかどうか、即ち、例えば、依頼データに含まれるコマンドに対応する信号処理を行うことが可能であるかどうかを判定する。
ここで、接続板2に配置されたICチップ11乃至15それぞれにおいては、その記憶回路15に、例えば、図7に示すような、コマンド(コマンドコード)と、そのコマンドが表す信号処理(タスク)の内容とが対応付けられたコマンドLUT(Look Up Table)が記憶されている。演算回路14は、ステップS24において、コマンドLUTを参照することにより、依頼データに含まれるコマンド(コマンドコード)に対応する信号処理を認識し、その信号処理を行うことが可能であるかどうかを判定する。
ステップS24において、依頼元のICチップ1iからの依頼データに含まれるコマンドに対応する信号処理を行うことが可能でないと判定された場合、即ち、例えば、ICチップ1jが、依頼データに含まれるコマンドに対応する信号処理を行う機能を有していない場合、ステップS21に戻り、以下、同様の処理が繰り返される。
また、ステップS24において、依頼元のICチップ1iからの依頼データに含まれる(いずれかの)コマンドに対応する信号処理を行うことが可能であると判定された場合、依頼先となりうるICチップ1jは、依頼元のICチップ1iからの依頼データに含まれるコマンドに対応する信号処理を行う、いわば正式な依頼先となって、ステップS25に進み、以下、その信号処理を行うための処理を行う。
ここで、依頼先となりうるICチップ1jでは、ステップS24において、依頼元のICチップ1iからの依頼データに含まれるコマンドに対応する信号処理を行うことが可能であるかどうかを判定する他、さらに、その信号処理を、自身が行うべきであるかどうかの判定も行うようにすることができる。そして、依頼先となりうるICチップ1jでは、依頼元のICチップ1iからの依頼データに含まれるコマンドに対応する信号処理を行うことが可能であり、かつ、その信号処理を、自身が行うべきである場合にのみ、ステップS24からS25に進み、その他の場合は、ステップS24からS21に戻るようにすることができる。
依頼先となりうるICチップ1jにおいて、依頼元のICチップ1iからの依頼データに含まれるコマンドに対応する信号処理を、自身が行うべきであるかどうかの判定は、例えば、ICチップ1jに、熱センサを設け、その熱センサにより検知される温度に基づいて行うことが可能である。
即ち、例えば、ICチップ1jでは、熱センサによって、周囲のICチップの温度を検知し、周囲のICチップの温度が高い場合には、周囲のICチップにおいて負荷の高い処理が行われているとして、そのICチップにさらなる負荷がかからないようにするため、依頼元のICチップ1iからの依頼データに含まれるコマンドに対応する信号処理を、自身が行うべきであると判定することができる。
また、例えば、ICチップ1jでは、熱センサによって、自身の温度を検知し、その温度が高い場合には、負荷の高い処理が行われているとして、さらなる負荷がかからないようにするため、依頼元のICチップ1iからの依頼データに含まれるコマンドに対応する信号処理を、自身が行うべきでないと判定することができる。一方、ICチップ1jにおいて、熱センサによって検知された温度が低い場合には、負荷が低いとして、依頼元のICチップ1iからの依頼データに含まれるコマンドに対応する信号処理を、自身が行うべきであると判定することができる。
ステップS25では、依頼先となったICチップ1jは、共通チャネルのセンシングを行う。即ち、ステップS25では、ICチップ1jのアンテナ11が電波を受信し、その受信信号を無線回路12に供給する。無線回路12は、アンテナ11からの受信信号のうちの共通チャネルの信号を抽出し、信号処理回路13の演算回路14に供給する。そして、ステップS25からS26に進み、演算回路14は、無線回路12からの共通チャネルの信号に基づき、共通チャネルが、他のICチップによって使用されているかどうかを判定する。
ステップS26において、共通チャネルが使用されていると判定された場合、ステップS27に進み、演算回路14は、ランダムな時間だけの待ち時間をおいて、ステップS25に戻り、以下、同様の処理が繰り返される。即ち、共通チャネルが他のICチップにおいて使用されている場合には、依頼先となったICチップ1jは、ステップS25乃至S27の処理を繰り返し、これにより、共通チャネルが空くのを待つ。
そして、ステップS26において、共通チャネルが使用されていないと判定された場合、ステップS28に進み、依頼先となったICチップ1jは、依頼元のICチップ1iからの依頼データに対する応答としてのアクノリッジACKを、共通チャネルによって送信する。
即ち、依頼先のICチップ1jでは、演算回路14が、依頼元のICチップ1iからの依頼データに対する応答としてのアクノリッジACKを生成し、無線回路12に供給する。無線回路12は、演算回路14からのアクノリッジACKを、共通チャネルの信号に変調し、アンテナ11に供給して射出させる。
依頼先のICチップ1jがステップS28で送信する共通チャネルの信号は、接続板2上の他のすべてのICチップで受信される。但し、その共通チャネルの信号を受信して処理するのは、図4で説明した処理を行う依頼元のICチップ1iだけであり、他のICチップでは、特に処理は行われない。
ここで、依頼先となったICチップ1jが送信するアクノリッジACKのフォーマットとしては、例えば、図5に示した依頼元のICチップ1iが送信する依頼データのフォーマットと同一のフォーマットを採用することができる。
この場合、アクノリッジACKの先頭には、依頼データの先頭に配置されていた送信局IDに含まれていた設定チャネルの情報を含む送信局IDが配置される。さらに、その送信局IDの後には、依頼先となったICチップ1jが行う信号処理に対応するコマンド(コマンドコード)が配置される。なお、アクノリッジACKの先頭に配置される送信局IDには、設定チャネルの情報の他、依頼先となったICチップ1jを識別するためのIDなどを含ませることも可能である。
依頼先のICチップ1jは、ステップS28においてアクノリッジACKを送信した後は、ステップS29に進み、演算回路14において、無線回路12を制御することにより、受信するキャリアの周波数(受信周波数)を、ステップS23で受信した依頼データに含まれる送信局IDが表す設定チャネルの周波数に設定する。
即ち、これにより、依頼元のICチップ1iと依頼先のICチップ1jとにおいて、信号処理の対象とする信号を送受信するチャネルとして、同一のチャネルが設定され、第2の通信が可能となる。
なお、依頼先となるICチップは、1つとは限らず、複数の場合がある。依頼先となるICチップが複数の場合には、その複数の依頼先のICチップそれぞれと依頼元のICチップ1iとにおいて、信号処理の対象とする信号を送受信するチャネルとして、同一のチャネルが設定される。そして、依頼元のICチップ1iが送信する、信号処理の対象とする信号は、依頼先となったICチップだけが受信することになる。
依頼先のICチップ1jは、ステップS29の処理後は、ステップS30に進み、依頼元のICチップ1iが図4のステップS10において設定チャネルで送信してくる、信号処理の対象となる信号を受信し、ステップS31に進む。即ち、依頼先のICチップ1jでは、アンテナ11において電波が受信され、その受信信号が無線回路12に供給される。無線回路12は、アンテナ11からの受信信号のうちの設定チャネルの信号、つまり、いまの場合、依頼元のICチップ1iからの信号処理の対象となる信号を抽出し、信号処理回路13の演算回路14に供給する。
ステップS31では、依頼先のICチップ1jの演算回路14は、ステップS28でアクノリッジACKに含ませたコマンドに対応する信号処理を、ステップS30で受信した信号を対象として行い、必要に応じて、その信号処理の結果を、記憶回路15に記憶させ、処理を終了する。
なお、依頼先のICチップ1jは、ステップS31の信号処理の結果得られた信号の、さらなる信号処理を、他のICチップに依頼することができる。この場合、依頼先のICチップ1jは、依頼元のICチップとなって、図4で説明した処理を行う。
次に、第2の通信において、通信相手の制限は、その他、例えば、符号分割を利用して行うことができる。
即ち、図8乃至図10は、ICチップ11乃至15それぞれにおいて、符号分割多重方式により通信が行われる様子を模式的に示している。
符号分割多重方式としては、例えば、スペクトラム拡散方式がある。スペクトラム拡散方式では、拡散符号を用いて変調(スペクトラム拡散)が行われるが、異なる拡散符号を用いた変調により得られるスペクトラム拡散信号どうしは、互いに干渉しない。即ち、異なる拡散符号により得られたスペクトラム拡散信号どうしは分離することができる。従って、異なる拡散符号のスペクトラム拡散信号を用いることにより、通信相手を制限して、独立の通信を行うことができる。
なお、拡散符号のコードの系列が同一でも、所定の位相差がある拡散符号のスペクトラム拡散信号どうしは分離することができる。
ICチップ11乃至15において、符号分割多重方式としてのスペクトラム拡散方式により通信を行う場合、第1の通信を行うための拡散符号(以下、適宜、共通符号という)と、第2の通信を行うための1以上の拡散符号とが、あらかじめ割り当てられる。
ICチップ1iは、第1の通信を行う場合、共通符号を用いたスペクトラム拡散信号によって信号を送信または受信する。また、ICチップ1iは、第2の通信を行う場合、第2の通信に割り当てられた1以上の拡散符号のうちのいずれか1つを、第2の通信を行うための拡散符号に設定し、その設定された拡散符号(以下、適宜、設定符号という)を用いたスペクトラム拡散信号によって信号を送信する。これにより、第2の通信では、通信相手が制限される。
即ち、第2の通信によって信号を送信しようとするICチップ1iは、ある設定符号を用いたスペクトラム拡散信号によって信号を送信するので、その信号を受信することができる通信相手としての他のICチップ1jは、その設定符号を用いてスペクトラム拡散信号を復調するものだけに制限される。
以上のように、ICチップ11乃至15それぞれにおいて、符号分割多重方式により通信が行われる場合、依頼元のICチップ1iは、図8に示すように、共通符号を用いたスペクトラム拡散信号によって依頼データを送信する。ここで、図8では、ICチップ12が依頼元となって、共通符号を用いたスペクトラム拡散信号によって依頼データを送信している。
そして、依頼元のICチップ12が送信した依頼データに配置されたコマンドに対応する信号処理を行う、依頼先となるICチップは、図9に示すように、共通符号を用いたスペクトラム拡散信号によって、依頼データに対する応答としてのアクノリッジACKを送信する。ここで、図9では、ICチップ11と15が依頼先となって、共通符号を用いたスペクトラム拡散信号によってアクノリッジACKを送信している。なお、ICチップ11と15が、同時に、共通符号を用いたスペクトラム拡散信号によってアクノリッジACKを送信すると、混信することとなるので、ICチップ11と15は、それぞれ、他のICチップにおいて、共通符号を用いたスペクトラム拡散信号の送信が行われていないときに、アクノリッジACKを送信するのが望ましい。
依頼先のICチップ11および15からアクノリッジACKが送信され、そのアクノリッジACKが依頼元のICチップ12で受信された後は、依頼元と依頼先との間の第2の通信を行うのに用いられる拡散符号が設定され、図10に示すように、依頼元から依頼先に対して、その設定された拡散符号(設定符号)を用いたスペクトラム拡散信号によって、信号処理の対象となる信号が送信される。そして、依頼先では、その信号が受信され、信号処理される。図10では、依頼元であるICチップ12から、依頼先であるICチップ11と15それぞれに対して、信号処理の対象となる信号が送信されている。
なお、接続板2上に配置されたICチップ11乃至15それぞれには、設定符号とする固定の拡散符号をあらかじめ割り当てておくことができる。この場合、ICチップ1iにおいては、第2の通信を行う場合に、設定符号を用いたスペクトラム拡散信号によって、信号を送信することとすることもできるし、信号を受信することとすることもできる。
即ち、例えば、図10に示したような、依頼元であるICチップ12から、依頼先であるICチップ11と15それぞれに対する信号の送信は、依頼元であるICチップ12に割り当てられた設定符号を用いて行うこともできるし、依頼先であるICチップ11と15に割り当てられた設定符号それぞれを用いて行うこともできる。但し、依頼元であるICチップ12から、依頼先であるICチップ11と15それぞれに対して、異なる信号を同時に送信する場合には、例えば、依頼先であるICチップ11と15に割り当てられた設定符号それぞれを用いて行う必要がある。即ち、依頼元であるICチップ12から、依頼先であるICチップ11に対する信号の送信は、そのICチップ11に割り当てられた設定符号を用いて行い、依頼先であるICチップ15に対する信号の送信は、そのICチップ15に割り当てられた設定符号を用いて行う必要がある。
なお、接続板2上に配置されたICチップ11乃至15それぞれでは、第2に通信を行うための拡散符号として割り当てられたもののうちの、通信に現に使用されていない拡散符号の中から、設定符号を選択するようにすることも可能である。
次に、図11のフローチャートを参照して、第2の通信において、通信相手が符号分割を利用して制限される場合の、依頼元となったICチップ1iが行う処理を説明する。
依頼元のICチップ1iは、まず最初に、ステップS41において、他の1以上のICチップ1jに依頼する信号処理を指示する信号、即ち、ICチップ1jにおける信号処理を制御するコマンドを含む依頼データを、共通符号を用いたスペクトラム拡散信号によって送信する。
即ち、依頼元のICチップ1iでは、演算回路14が、他の1以上のICチップ1jそれぞれに依頼する信号処理を指示するコマンドが配置された、図5の依頼データを生成し、無線回路12に供給する。無線回路12は、演算回路14からの依頼データを、共通符号を用いたスペクトラム拡散信号に変調し、アンテナ11に供給して射出させる。
依頼元のICチップ1iがステップS41で送信する共通チャネルの信号は、接続板2上の他のすべてのICチップで受信される。
なお、図11において依頼元のICチップ1iが共通符号を用いたスペクトラム拡散信号によって送信する依頼データの送信局IDには、図5で説明した、第2の通信を行うのに用いられるチャネルの情報に代えて、第2の通信を行うのに用いられる拡散符号(設定符号)の情報が含まれる。
また、ステップS41の処理は、共通符号を用いたスペクトラム拡散信号が、依頼元のICチップ1i以外のICチップから送信されていないのを確認してから行うのが望ましい。
依頼元のICチップ1iは、ステップS41において依頼データを送信した後は、ステップS42に進み、ステップS41で送信した依頼データに対する応答としてのアクノリッジACKが、共通符号を用いたスペクトラム拡散信号によって送信されてきたかどうかを判定する。
即ち、依頼データを受信したICチップ1jは、後述するように、その依頼データに含まれるコマンドによって指示された信号処理が可能かどうか等を判定し、可能な場合には、その信号処理の依頼を受ける旨の応答としてのアクノリッジACKを、共通符号を用いたスペクトラム拡散信号によって送信する。ステップS42では、そのようにしてアクノリッジACKが送信されてきたかどうかを判定する。
ステップS42において、依頼データに含まれるコマンドすべてに対応する信号処理が行われるのに必要なアクノリッジACKが送信されてきていないと判定された場合、ステップS43に進み、依頼元のICチップ1iの演算回路14は、ステップS42の判定処理が行われた回数が、所定の閾値N未満(以下)であるかどうかを判定する。ステップS43において、ステップS42の判定処理が行われた回数が、所定の閾値N未満であると判定された場合、ステップS42に戻り、以下、同様の処理が繰り返される。
また、ステップS43において、ステップS42の判定処理が行われた回数が、所定の閾値N未満でないと判定された場合、即ち、ステップS42の判定処理をN回行う間に、他のICチップ1jから信号処理に必要なアクノリッジACKが得られなかった場合、ステップS44に進み、依頼元のICチップ1iの演算回路14は、信号処理の対象の信号(データ)が記録回路15に記憶されている場合には、その信号を破棄(消去)し、あるいは、今までに受信したアクノリッジACKを破棄し、処理を終了する。
一方、ステップS42において、必要なアクノリッジACKが送信されてきたと判定された場合、即ち、依頼データに含まれるコマンドに対応する信号処理を行うことが可能な1以上のICチップ1jから、その依頼データに対するアクノリッジACKが、共通チャネルによって送信され、その共通チャネルの信号が、依頼元のICチップ1iのアンテナ11で受信され、無線回路12を介して、信号処理回路13の演算回路14に供給された場合、ステップS46に進み、依頼元のICチップ1iの演算回路14は、無線回路12を制御することにより、スペクトラム拡散信号の変調に用いる拡散符号を、ステップS41で送信した依頼データに含まれる送信局IDが表す設定符号に設定する。
そして、ステップS46からS47に進み、依頼元のICチップ1iは、依頼データに含ませたコマンドに対応する信号処理の対象となる信号を、ステップS46で設定した拡散符号(設定符号)を用いたスペクトラム拡散信号で送信する第2の通信を行い、処理を終了する。
即ち、依頼元のICチップ1iでは、演算回路14が、例えば、依頼データに含ませたコマンドに対応する信号処理の対象となる信号を、記憶回路15から読み出し、無線回路12に供給する。無線回路12は、演算回路14からの信号を、依頼データに含ませた送信局IDが表す設定符号を用いて、スペクトラム拡散信号に変調し、アンテナ11から電波として射出させる。
依頼元のICチップ1iがステップS47で送信する設定符号を用いたスペクトラム拡散信号は、接続板2上の他のICチップのうちの、依頼データに対するアクノリッジACKを送信してきたものだけにおいて受信(復調)される。
次に、図12のフローチャートを参照して、第2の通信において、通信相手が符号分割を利用して制限される場合の、依頼元となったICチップ1iの他のICチップ1j、即ち、依頼先となりうるICチップ1jが行う処理を説明する。
依頼先となりうるICチップ1jは、まず最初に、ステップS51において、共通符号を用いたスペクトラム拡散信号のセンシングを行う。即ち、ステップS51では、依頼先となりうるICチップ1jのアンテナ11が電波を受信し、その受信信号(スペクトラム拡散信号)を無線回路12に供給する。無線回路12は、アンテナ11からの受信信号を、共通符号を用いて復調し、その結果得られる復調信号を、信号処理回路13の演算回路14に供給する。そして、ステップS51からS52に進み、演算回路14は、無線回路12からの復調信号に基づき、他のICチップ、即ち、依頼元のICチップ1iが送信した、共通符号を用いたスペクトラム拡散信号が存在するかどうかを判定する。
ステップS52において、共通符号を用いたスペクトラム拡散信号が存在しないと判定された場合、ステップS51に戻り、以下、同様の処理が繰り返される。即ち、依頼先となりうるICチップ1jは、依頼元のICチップ1iから、共通符号を用いたスペクトラム拡散信号が送信されてくるまで、待ち状態となる。
なお、ここでは、依頼先となりうるICチップ1jにおいて、共通符号を用いたスペクトラム拡散信号を常時監視するセンシングを行うようにしたが、依頼先となりうるICチップ1jの無線回路12では、電波の受信強度に基づいて、アンテナ11での受信信号をカットまたは通過させるスケルチ回路を採用することが可能である。即ち、依頼先となりうるICチップ1jの無線回路12では、共通符号を用いたスペクトラム拡散信号の信号強度が所定の閾値以下(未満)の場合は、アンテナ11からの受信信号を、演算回路14に出力せず、共通符号を用いたスペクトラム拡散信号の信号強度が所定の閾値より大(以上)の場合は、アンテナ11からの受信信号を、演算回路14に出力するようにすることが可能である。
ステップS52において、共通符号を用いたスペクトラム拡散信号が存在すると判定された場合、ステップS53に進み、依頼先となりうるICチップ1jは、依頼元のICチップ1iが図11のステップS41で共通符号によって送信してくる依頼データを受信する。即ち、依頼先となりうるICチップ1jでは、アンテナ11において電波が受信され、その受信信号が無線回路12に供給される。無線回路12は、アンテナ11からの受信信号のうちの共通符号を用いたスペクトラム拡散信号を復調し、これにより、依頼元のICチップ1iからの依頼データを得て、信号処理回路13の演算回路14に供給する。
その後、ステップS53からS54に進み、依頼先となりうるICチップ1jでは、演算回路14が、図6のステップS24における場合と同様に、依頼元のICチップ1iからの依頼データに含まれるコマンドが、自身に関係するかどうか、即ち、例えば、依頼データに含まれるコマンドに対応する信号処理を行うことが可能であるかどうかを判定する。
ステップS54において、依頼元のICチップ1iからの依頼データに含まれるコマンドに対応する信号処理を行うことが可能でないと判定された場合、ステップS51に戻り、以下、同様の処理が繰り返される。
また、ステップS54において、依頼元のICチップ1iからの依頼データに含まれるコマンドに対応する信号処理を行うことが可能であると判定された場合、依頼先となりうるICチップ1jは、依頼元のICチップ1iからの依頼データに含まれるコマンドに対応する信号処理を行う、いわば正式な依頼先となって、ステップS55に進み、以下、その信号処理を行うための処理を行う。
ステップS55では、依頼先となったICチップ1jは、共通符号を用いたスペクトラム拡散信号のセンシングを行う。即ち、ステップS55では、ICチップ1jのアンテナ11が電波を受信し、その受信信号を無線回路12に供給する。無線回路12は、アンテナ11からの受信信号を、共通符号を用いて復調し、その結果得られる復調信号を、信号処理回路13の演算回路14に供給する。そして、ステップS55からS56に進み、演算回路14は、無線回路12からの復調信号に基づき、依頼先となった他のICチップ1j'が、依頼元のICチップ1iに対して、依頼データに対するアクノリッジACKを送信しているかどうかを確認する。
即ち、依頼先となったICチップは、後述するステップS57において、依頼データに対するアクノリッジACKを、共通符号を用いたスペクトラム拡散信号によって送信する。ICチップ1jは、ステップS56において、依頼先となった他のICチップ1j'が、依頼元のICチップ1iに対して、依頼データに対するアクノリッジACKを送信していることを確認した場合、その送信が終了するのを待って、ステップS57に進む。なお、ステップS56において、依頼先となった他のICチップ1j'が、依頼元のICチップ1iに対して、依頼データに対するアクノリッジACKを送信していることが確認されなかった場合、即ち、共通符号を用いたスペクトラム拡散信号の送受信が行われていない場合、即座に、ステップS57に進む。
ステップS57では、依頼先となったICチップ1jは、依頼元のICチップ1iからの依頼データに対する応答としてのアクノリッジACKを、共通符号を用いたスペクトラム拡散信号によって送信する。
即ち、依頼先のICチップ1jでは、演算回路14が、依頼元のICチップ1iからの依頼データに対する応答としてのアクノリッジACKを生成し、無線回路12に供給する。無線回路12は、演算回路14からのアクノリッジACKを、共通符号を用いたスペクトラム拡散信号に変調し、アンテナ11に供給して射出させる。
依頼先のICチップ1jがステップS57で送信する共通符号を用いたスペクトラム拡散信号は、接続板2上の他のすべてのICチップで受信される。但し、その共通符号を用いたスペクトラム拡散信号を受信して処理するのは、図11で説明した処理を行う依頼元のICチップ1iだけであり、他のICチップでは、特に処理は行われない。
ここで、依頼先となったICチップ1jが送信するアクノリッジACKのフォーマットとしては、例えば、図5に示した依頼元のICチップ1iが送信する依頼データのフォーマットと同一のフォーマットを採用することができる。
この場合、アクノリッジACKの先頭には、依頼データの先頭に配置されていた送信局IDに含まれていた設定符号の情報を含む送信局IDが配置される。さらに、その送信局IDの後には、依頼先となったICチップ1jが行う信号処理に対応するコマンド(コマンドコード)が配置される。なお、アクノリッジACKの先頭に配置される送信局IDには、設定符号の情報の他、依頼先となったICチップ1jを識別するためのIDなどを含ませることも可能である。
依頼先のICチップ1jは、ステップS57においてアクノリッジACKを送信した後は、ステップS58に進み、演算回路14において、無線回路12を制御することにより、スペクトラム拡散信号の復調に用いる拡散符号を、ステップS53で受信した依頼データに含まれる送信局IDが表す設定符号に設定する。
即ち、これにより、依頼元のICチップ1iと依頼先のICチップ1jとにおいて、信号処理の対象とする信号を送受信するスペクトラム拡散信号の変調と復調に用いる拡散符号として、同一の拡散符号が設定され、第2の通信が可能となる。
なお、依頼先となるICチップは、1つとは限らず、複数の場合がある。依頼先となるICチップが複数の場合には、その複数の依頼先のICチップそれぞれと依頼元のICチップ1iとにおいて、信号処理の対象とする信号を送受信するスペクトラム拡散信号の拡散符号として、同一の拡散符号が設定される。そして、依頼元のICチップ1iが送信する、信号処理の対象とする信号は、依頼先となったICチップだけが受信(復調)することになる。
依頼先のICチップ1jは、ステップS58の処理後は、ステップS59に進み、依頼元のICチップ1iが図11のステップS47において設定符号を用いたスペクトラム拡散信号によって送信してくる、信号処理の対象となる信号を受信し、ステップS60に進む。即ち、依頼先のICチップ1jでは、アンテナ11において電波が受信され、その受信信号が無線回路12に供給される。無線回路12は、アンテナ11からの受信信号を、設定符号を用いて復調し、これにより、依頼元のICチップ1iからの信号処理の対象となる信号を得て、信号処理回路13の演算回路14に供給する。
ステップS60では、依頼先のICチップ1jの演算回路14は、ステップS57でアクノリッジACKに含ませたコマンドに対応する信号処理を、ステップS59で受信した信号を対象として行い、必要に応じて、その信号処理の結果を、記憶回路15に記憶させ、処理を終了する。
なお、依頼先のICチップ1jは、ステップS60の信号処理の結果得られた信号の、さらなる信号処理を、他のICチップに依頼することができる。この場合、依頼先のICチップ1jは、依頼元のICチップとなって、図11で説明した処理を行う。
ここで、スペクトラム拡散信号の変調と復調に用いられる拡散符号としては、例えば、PN(Pseudo Noise)符号を採用することができる。PN符号としては、例えば、M系列がある。
図13は、次数が7で、帰還タップが(3,7)の、周期が127のM系列を生成するM系列生成回路の構成例を示している。
図13において、M系列発生回路は、7個のシフトレジスタ311,312,313,314,315,316,317と、1つのXOR(eXclusive OR)ゲート32とで構成されている。
シフトレジスタ311,312,313,314,315,316,317は、その順でシリーズに接続されている。そして、シフトレジスタ31pは、所定のクロックに同期して、前段のシフトレジスタ31p-1から供給される値を保持し、その保持した値を、後段のシフトレジスタ31p+1に出力する。
但し、シフトレジスタ311には、XORゲート32の出力が供給されるようになっており、シフトレジスタ311は、XORゲート32の出力を保持する。また、シフトレジスタ313の出力は、その後段のシフトレジスタ314に供給される他、XORゲート32にも供給されるようになっている。さらに、シフトレジスタ317の出力は、XORゲート32に供給されるようになっている。
XORゲート32は、シフトレジスタ313と317の出力の排他的論理和(XOR)を演算し、その演算結果を、シフトレジスタ311に供給する。
以上のように構成されるM系列発生回路では、シフトレジスタ311乃至317それぞれに、初期値としての値がセットされており、シフトレジスタ311乃至317は、それぞれ、所定のクロックに同期して、前段のシフトレジスタから供給される値を保持し、その保持した値を、後段のシフトレジスタに出力する。
但し、シフトレジスタ311は、XORゲート32の出力を保持し、シフトレジスタ317は、保持した値を、XORゲート32に供給する。
一方、XORゲート32は、所定のクロックに同期して、シフトレジスタ313と317の出力の排他的論理和を演算し、その演算結果を、シフトレジスタ311に供給する。
図13のM系列発生回路では、以上の処理が繰り返されることにより、シフトレジスタ317から、上述した周期が127のM系列が出力される。
なお、PN符号としては、その他、例えば、Gold符号や、Barker符号、Walsh符号などがある。
次に、第2の通信において、通信相手の制限は、その他、例えば、アンテナ11で送受信される電波(電磁波)の偏波面の調整によって行うことができる。
即ち、電波(電磁波)の偏波には、その電界成分が、大地(地表)と水平な方向に振幅している水平偏波、垂直な方向に振幅している垂直偏波、偏波面が回転している回転偏波がある。さらに、円偏波には、偏波面が、時間の経過方向に対して右回転している右旋円偏波と、左回転している左旋円偏波とがある。
アンテナ11の偏波と電波の偏波とが異なる場合、アンテナ11では、その電波を十分な受信強度で受信することができない。従って、異なる偏波の電波を用いることにより、通信相手を制限して、独立の通信を行うことができる。
ICチップ11乃至15において、偏波の調整をして通信を行う場合、第1の通信を行うための偏波(以下、適宜、共通偏波という)と、第2の通信を行うための1以上の偏波とが、あらかじめ割り当てられる。
ICチップ1iは、第1の通信を行う場合、共通偏波の電波によって信号を送信または受信する。また、ICチップ1iは、第2の通信を行う場合、第2の通信に割り当てられた1以上の偏波のうちのいずれか1つを、第2の通信を行うための偏波に設定し、その設定された偏波(以下、適宜、設定偏波という)の電波によって信号を送信する。これにより、第2の通信では、通信相手が制限される。
即ち、第2の通信によって信号を送信しようとするICチップ1iは、ある設定偏波の電波によって信号を送信するので、その電波を(十分な強度で)受信することができる通信相手としての他のICチップ1jは、その設定偏波の電波を受信しようとしているものだけに制限される。
なお、設定偏波は、依頼元のICチップ1iで設定しても良いし、依頼先のICチップ1jで設定しても良い。設定偏波を、依頼元のICチップ1iで設定する場合には、その設定偏波の情報が、依頼元のICチップ1iが送信する依頼データに含められ、依頼元のICチップ1iと依頼先のICチップ1jにおいて、その依頼データに含まれる情報が表す偏波が設定偏波とされる。また、設定偏波を、依頼先のICチップ1jが設定する場合には、その設定偏波の情報が、依頼先のICチップ1jが送信するアクノリッジACKに含められ、依頼元のICチップ1iと依頼先のICチップ1jにおいて、そのアクノリッジACKに含まれる情報が表す偏波が設定偏波とされる。
次に、偏波(面)の調整は、例えば、アンテナ11を、MEMS(Micro Electro Mechanical System)技術などによって回転等させることにより行うことができる。また、電波の偏波の調整は、アンテナ11と無線回路12との間の給電線の長さを変えることにより、アンテナ11に流れる電流の位相を制御して行うこともできる。
アンテナ11に流れる電流の位相を制御して、偏波の調整を行う場合、アンテナ11としては、例えば、図14に示すようなスタックアンテナを採用することができる。
図14のスタックアンテナは、2つのアンテナ411と412から構成されている。図14において、2つのアンテナ411と412は、いずれもエレメントの方向が垂直になるように配置(スタック)されている。なお、2つのアンテナ411と412は、同一(仕様)のアンテナである。
スタックアンテナを用いて、偏波の調整を行う場合には、アンテナ411と412を、図15に示すように、図14における配置状態に対して傾けて配置する。
即ち、図15のスタックアンテナを、A方向から見た場合、図16に示すように、アンテナ411と412を、それぞれのエレメントの方向が直交するように配置する。
そして、無線回路12において、アンテナ411と412に流れる電流どうしの位相差を制御することにより、偏波を調整することができる。
即ち、図17は、無線回路12の、アンテナ411と412に流れる電流どうしの位相差を調整することにより、偏波を調整する部分(以下、適宜、偏波調整回路という)の構成例を示している。
なお、ここでは、アンテナ11から電波が射出される場合を例に、その偏波の調整について説明する。
偏波調整回路には、電波として射出する変調信号が入力され、分配器51に供給される。分配器51は、変調信号を、同一の2つの変調信号に分配し、一方を、スイッチ521に供給するとともに、他方を、スイッチ531に供給する。
スイッチ521は、基準ケーブル61または180度ケーブル62のうちの一方の一端を選択する。スイッチ522は、基準ケーブル61または180度ケーブル62のうちの、スイッチ521が選択した方の他端を選択する。そして、スイッチ522は、基準ケーブル61または180度ケーブル62のうちの選択した方から供給される変調信号を、アンテナ411に供給し、これにより、電波として射出させる。
従って、スイッチ521が、基準ケーブル61の一端を選択した場合には、スイッチ522も、基準ケーブル61の他端を選択し、これにより、分配器51が出力する変調信号は、スイッチ521、基準ケーブル61、およびスイッチ522を介して、アンテナ411に供給され、電波として射出される。
また、スイッチ521が、180度ケーブル62の一端を選択した場合には、スイッチ522も、180度ケーブル62の他端を選択し、これにより、分配器51が出力する変調信号は、スイッチ521、180度ケーブル62、およびスイッチ522を介して、アンテナ411に供給され、電波として射出される。
基準ケーブル61は、所定の長さのケーブル(給電線)で、180度ケーブル62は、そこを通る変調信号の位相を、基準ケーブル61を通る変調信号の位相に対して、180度だけ異なる値とする長さのケーブルである。
従って、アンテナ411に対して、基準ケーブル61を介して供給される変調信号と、180度ケーブル62を介して供給される変調信号とは、その位相差が180度となる。
スイッチ531は、基準ケーブル63または270度ケーブル64のうちの一方の一端を選択する。スイッチ532は、基準ケーブル63または270度ケーブル64のうちの、スイッチ531が選択した方の他端を選択する。そして、スイッチ532は、基準ケーブル63または270度ケーブル64のうちの選択した方から供給される変調信号を、アンテナ412に供給し、これにより、電波として射出させる。
従って、スイッチ531が、基準ケーブル63の一端を選択した場合には、スイッチ532も、基準ケーブル63の他端を選択し、これにより、分配器51が出力する変調信号は、スイッチ531、基準ケーブル63、およびスイッチ532を介して、アンテナ412に供給され、電波として射出される。
また、スイッチ531が、270度ケーブル64の一端を選択した場合には、スイッチ532も、270度ケーブル64の他端を選択し、これにより、分配器51が出力する変調信号は、スイッチ531、270度ケーブル64、およびスイッチ532を介して、アンテナ412に供給され、電波として射出される。
基準ケーブル63は、基準ケーブル61と同一の長さのケーブル(給電線)で、270度ケーブル64は、そこを通る変調信号の位相を、基準ケーブル63を通る変調信号の位相に対して、270度だけ異なる値とする長さのケーブルである。
従って、アンテナ412に対して、基準ケーブル63を介して供給される変調信号と、270度ケーブル64を介して供給される変調信号とは、その位相差が270度となる。
また、スイッチ522とアンテナ411との間を接続するケーブルと、スイッチ532とアンテナ412との間を接続するケーブルとは、同一の長さとなっている。
従って、アンテナ411に対して、基準ケーブル61を介して供給される変調信号と、アンテナ412に対して、基準ケーブル63を介して供給される変調信号とは、同一位相である。
また、アンテナ411に対して、基準ケーブル61を介して供給される変調信号と、アンテナ412に対して、270度ケーブル64を介して供給される変調信号とは、その位相差が270度となる。
さらに、アンテナ412に対して、基準ケーブル63を介して供給される変調信号と、アンテナ411に対して、180度ケーブル62を介して供給される変調信号とは、その位相差が180度となる。
また、アンテナ411に対して、180度ケーブル62を介して供給される変調信号と、アンテナ412に対して、270度ケーブル64を介して供給される変調信号とは、その位相差が90度となる。
アンテナ411と412とは、図16に示したように、それぞれのエレメントの方向が直交するように配置されている。
従って、スイッチ521と522が基準ケーブル61を選択するとともに、スイッチ531と532が基準ケーブル63を選択した場合、図18に示すように、アンテナ411から射出される電波の電界成分71は、例えば、右上方向のベクトルで表され、アンテナ412から射出される電波の電界成分72は、例えば、右下方向のベクトルで表される。その結果、アンテナ411と412から構成されるアンテナ11全体として射出される電波の電界成分73は、図18に示すように、電界成分71と72とを合成した、水平方向(図18では、左方向)のベクトルで表されることになる。即ち、この場合、アンテナ11からは、水平偏波の電波が射出される。
また、スイッチ521と522が180度ケーブル62を選択するとともに、スイッチ531と532が基準ケーブル63を選択した場合、図19に示すように、アンテナ411から射出される電波の電界成分81は、例えば、左下方向のベクトルで表され、アンテナ412から射出される電波の電界成分82は、例えば、右下方向のベクトルで表される。その結果、アンテナ411と412から構成されるアンテナ11全体として射出される電波の電界成分83は、図19に示すように、電界成分81と82とを合成した、垂直方向(図19では、下方向)のベクトルで表されることになる。即ち、この場合、アンテナ11からは、垂直偏波の電波が射出される。
なお、スイッチ521と522が基準ケーブル61を選択するとともに、スイッチ531と532が270度ケーブル64を選択した場合、アンテナ11からは、右旋円偏波の電波が射出される。
また、スイッチ521と522が180度ケーブル62を選択するとともに、スイッチ531と532が270度ケーブル64を選択した場合、アンテナ11からは、左旋円偏波の電波が射出される。
無線回路12では、以上のようにして、アンテナ11が射出する電波の偏波を調整することができる。
なお、アンテナ11において電波を受信する場合の偏波の調整も、上述した、アンテナ11が電波を射出する場合と同様にして行うことができる。
次に、図20のフローチャートを参照して、第2の通信において、通信相手が偏波の調整により制限される場合の、依頼元となったICチップ1iが行う処理を説明する。
依頼元のICチップ1iは、まず最初に、ステップS71において、共通偏波(面)の電波のセンシングを行う。即ち、ステップS71では、依頼元のICチップ1iにおいて、無線回路12が、アンテナ11が共通偏波の電波を受信するように調整し、アンテナ11が、電波を受信して、その受信信号を無線回路12に供給する。無線回路12は、アンテナ11からの受信信号を復調し、信号処理回路13の演算回路14に供給する。そして、ステップS71からS72に進み、演算回路14は、無線回路12からの信号に基づき、共通偏波の電波が、他のICチップによって使用されているかどうか(共通偏波の電波が、他のICチップによって送信されているか)、即ち、共通偏波の電波を用いた第1の通信が、他のICチップにおいて行われているかどうかを判定する。
ステップS72において、共通偏波の電波が使用されていると判定された場合、ステップS73に進み、演算回路14は、ランダムな時間だけの待ち時間をおいて、ステップS71に戻り、以下、同様の処理が繰り返される。即ち、共通偏波の電波が他のICチップにおいて使用されている場合には、依頼元のICチップ1iは、ステップS71乃至S73の処理を繰り返し、これにより、共通偏波の電波の使用が終了するのを待つ。
そして、ステップS72において、共通偏波の電波が使用されていないと判定された場合、ステップS74に進み、依頼元のICチップ1iは、他の1以上のICチップ1jに依頼する信号処理を指示する信号、即ち、ICチップ1jにおける信号処理を制御するコマンドを、共通偏波の電波によって送信する。
即ち、依頼元のICチップ1iでは、演算回路14が、他の1以上のICチップ1jそれぞれに依頼する信号処理を指示するコマンドが配置された依頼データを生成し、無線回路12に供給する。無線回路12は、演算回路14からの依頼データを変調し、アンテナ11に供給して、共通偏波の電波で送信させる。
依頼元のICチップ1iがステップS74で送信する共通偏波の電波は、接続板2上の他のすべてのICチップで受信される。
なお、図20において依頼元のICチップ1iが共通偏波の電波によって送信する依頼データの送信局IDには、図5で説明した、第2の通信を行うのに用いられるチャネルの情報に代えて、第2の通信を行うのに用いられる偏波(面)の情報の情報が含まれる。
依頼元のICチップ1iは、ステップS74において依頼データを送信した後は、ステップS75に進み、ステップS71における場合と同様に、共通偏波の電波のセンシングを行って、ステップS76に進む。
ステップS76では、依頼元のICチップ1iは、ステップS75のセンシングの結果に基づき、ステップS74で送信した依頼データに対する応答としてのアクノリッジACKが、共通偏波の電波によって送信されてきたかどうかを判定する。
即ち、依頼データを受信したICチップ1jは、後述するように、その依頼データに含まれるコマンドによって指示された信号処理が可能かどうか等を判定し、可能な場合には、その信号処理の依頼を受ける旨の応答としてのアクノリッジACKを、共通偏波の電波によって送信する。ステップS76では、そのようにしてアクノリッジACKが送信されてきたかどうかを判定する。
ステップS76において、依頼データに含まれるコマンドすべてに対応する信号処理が行われるのに必要なアクノリッジACKが送信されてきていないと判定された場合、ステップS77に進み、依頼元のICチップ1iの演算回路14は、ステップS75における共通偏波の電波のセンシング回数が、所定の閾値N未満(以下)であるかどうかを判定する。ステップS77において、共通偏波の電波のセンシング回数が、所定の閾値N未満であると判定された場合、ステップS75に戻り、以下、同様の処理が繰り返される。
また、ステップS77において、共通偏波の電波のセンシング回数が、所定の閾値N未満でないと判定された場合、即ち、共通偏波の電波のセンシングをN回行っても、他のICチップ1jから信号処理に必要なアクノリッジACKが得られなかった場合、ステップS78に進み、依頼元のICチップ1iの演算回路14は、信号処理の対象の信号(データ)が記録回路15に記憶されている場合には、その信号を破棄(消去)し、あるいは、いままでに受信したアクノリッジACKを破棄し、処理を終了する。
一方、ステップS76において、必要なアクノリッジACKが送信されてきたと判定された場合、即ち、依頼データに含まれるコマンドに対応する信号処理を行うことが可能な1以上のICチップ1jから、その依頼データに対するアクノリッジACKが、共通偏波の電波によって送信され、その共通偏波の電波の信号が、依頼元のICチップ1iのアンテナ11で受信され、無線回路12を介して、信号処理回路13の演算回路14に供給された場合、ステップS79に進み、依頼元のICチップ1iの演算回路14は、無線回路12を制御することにより、信号を送信する電波の偏波を、ステップS74で送信した依頼データに含ませた送信局IDが表す偏波(設定偏波)に設定する。
そして、ステップS79からS80に進み、依頼元のICチップ1iは、依頼データに含ませたコマンドに対応する信号処理の対象となる信号を、ステップS79で設定した偏波(設定偏波)の電波で送信する第2の通信を行い、処理を終了する。
即ち、依頼元のICチップ1iでは、演算回路14が、例えば、依頼データに含ませたコマンドに対応する信号処理の対象となる信号を、記憶回路15から読み出し、無線回路12に供給する。無線回路12は、演算回路14からの信号を、依頼データに含ませた送信局IDが表す設定偏波の電波として、アンテナ11から射出させる。
依頼元のICチップ1iがステップS80で送信する設定偏波の電波は、接続板2上の他のICチップのうちの、依頼データに対するアクノリッジACKを送信してきたものだけにおいて受信される。
次に、図21のフローチャートを参照して、第2の通信において、通信相手が偏波の調整により制限される場合の、依頼元となったICチップ1iの他のICチップ1j、即ち、依頼先となりうるICチップ1jが行う処理を説明する。
依頼先となりうるICチップ1jは、まず最初に、ステップS91において、共通偏波の電波のセンシングを行う。即ち、ステップS91では、依頼先となりうるICチップ1jにおいて、無線回路12が、アンテナ11が共通偏波の電波を受信するように調整し、アンテナ11が、電波を受信して、その受信信号を無線回路12に供給する。無線回路12は、アンテナ11からの受信信号を復調し、信号処理回路13の演算回路14に供給する。そして、ステップS91からS92に進み、演算回路14は、無線回路12からの信号に基づき、他のICチップ、即ち、依頼元のICチップ1iが送信した共通偏波の電波が存在するかどうかを判定する。
ステップS92において、共通偏波の電波が存在しないと判定された場合、ステップS91に戻り、以下、同様の処理が繰り返される。即ち、依頼先となりうるICチップ1jは、依頼元のICチップ1iから、共通偏波の電波が送信されてくるまで、待ち状態となる。
なお、ここでは、依頼先となりうるICチップ1jにおいて、共通偏波の電波を常時監視するセンシングを行うようにしたが、依頼先となりうるICチップ1jの無線回路12では、電波の受信強度に基づいて、アンテナ11での受信信号をカットまたは通過させるスケルチ回路を採用することが可能である。即ち、依頼先となりうるICチップ1jの無線回路12では、共通偏波の電波の受信強度が所定の閾値以下(未満)の場合は、アンテナ11からの受信信号を、演算回路14に出力せず、共通偏波の電波の受信強度が所定の閾値より大(以上)の場合は、アンテナ11からの受信信号を、演算回路14に出力するようにすることが可能である。
ステップS92において、共通偏波の電波が存在すると判定された場合、ステップS93に進み、依頼先となりうるICチップ1jは、依頼元のICチップ1iが図20のステップS74で共通偏波の電波によって送信してくる依頼データを受信する。即ち、依頼先となりうるICチップ1jでは、アンテナ11において電波が受信され、その受信信号が無線回路12に供給される。無線回路12は、アンテナ11からの受信信号から、依頼元のICチップ1iからの依頼データを得て、信号処理回路13の演算回路14に供給する。
その後、ステップS93からS94に進み、依頼先となりうるICチップ1jでは、演算回路14が、図6のステップS24における場合と同様に、依頼元のICチップ1iからの依頼データに含まれるコマンドが、自身に関係するかどうか、即ち、例えば、依頼データに含まれるコマンドに対応する信号処理を行うことが可能であるかどうかを判定する。
ステップS94において、依頼元のICチップ1iからの依頼データに含まれるコマンドに対応する信号処理を行うことが可能でないと判定された場合、ステップS91に戻り、以下、同様の処理が繰り返される。
また、ステップS94において、依頼元のICチップ1iからの依頼データに含まれるコマンドに対応する信号処理を行うことが可能であると判定された場合、依頼先となりうるICチップ1jは、依頼元のICチップ1iからの依頼データに含まれるコマンドに対応する信号処理を行う、いわば正式な依頼先となって、ステップS95に進み、以下、その信号処理を行うための処理を行う。
ステップS95では、依頼先となったICチップ1jは、共通偏波の電波のセンシングを行う。即ち、ステップS95では、ICチップ1jのアンテナ11が電波を受信し、その受信信号を無線回路12に供給する。無線回路12は、アンテナ11からの受信信号を、信号処理回路13の演算回路14に供給する。そして、ステップS95からS96に進み、演算回路14は、無線回路12からの信号に基づき、共通偏波の電波が、他のICチップによって使用(送信)されているかどうかを判定する。
ステップS96において、共通偏波の電波が使用されていると判定された場合、ステップS97に進み、演算回路14は、ランダムな時間だけの待ち時間をおいて、ステップS95に戻り、以下、同様の処理が繰り返される。即ち、共通偏波の電波が他のICチップにおいて使用されている場合には、依頼先となったICチップ1jは、ステップS95乃至S97の処理を繰り返し、これにより、共通偏波の電波の使用が終了するのを待つ。
そして、ステップS96において、共通偏波の電波が使用されていないと判定された場合、ステップS98に進み、依頼先となったICチップ1jは、依頼元のICチップ1iからの依頼データに対する応答としてのアクノリッジACKを、共通偏波の電波によって送信する。
即ち、依頼先のICチップ1jでは、演算回路14が、依頼元のICチップ1iからの依頼データに対する応答としてのアクノリッジACKを生成し、無線回路12に供給する。無線回路12は、演算回路14からのアクノリッジACKを、共通偏波の電波として、アンテナ11から射出させる。
依頼先のICチップ1jがステップS98で送信する共通偏波の電波は、接続板2上の他のすべてのICチップで受信される。但し、その共通偏波の電波を受信して処理するのは、図20で説明した処理を行う依頼元のICチップ1iだけであり、他のICチップでは、特に処理は行われない。
ここで、依頼先となったICチップ1jが送信するアクノリッジACKのフォーマットとしては、例えば、図5に示した依頼元のICチップ1iが送信する依頼データのフォーマットと同一のフォーマットを採用することができる。
この場合、アクノリッジACKの先頭には、依頼データの先頭に配置されていた送信局IDに含まれていた設定偏波の情報を含む送信局IDが配置される。さらに、その送信局IDの後には、依頼先となったICチップ1jが行う信号処理に対応するコマンド(コマンドコード)が配置される。なお、アクノリッジACKの先頭に配置される送信局IDには、設定符号の情報の他、依頼先となったICチップ1jを識別するためのIDなどを含ませることも可能である。
依頼先のICチップ1jは、ステップS98においてアクノリッジACKを送信した後は、ステップS99に進み、依頼先のICチップ1jの演算回路14は、無線回路12を制御することにより、アンテナ11から射出する電波の偏波を、ステップS93で受信した依頼データに含まれる送信局IDが表す設定偏波に設定する。
即ち、これにより、依頼元のICチップ1iと依頼先のICチップ1jとにおいて、信号処理の対象とする信号を送受信する電波として、同一の偏波の電波が設定され、第2の通信が可能となる。
なお、依頼先となるICチップは、1つとは限らず、複数の場合がある。依頼先となるICチップが複数の場合には、その複数の依頼先のICチップそれぞれと依頼元のICチップ1iとにおいて、信号処理の対象とする信号を送受信する電波の偏波として、同一の偏波が設定される。そして、依頼元のICチップ1iが送信する、信号処理の対象とする信号は、依頼先となったICチップだけが受信することになる。
依頼先のICチップ1jは、ステップS99の処理後は、ステップS100に進み、依頼元のICチップ1iが図20のステップS80において設定偏波の電波で送信してくる、信号処理の対象となる信号を受信し、ステップS101に進む。即ち、依頼先のICチップ1jでは、アンテナ11において設定偏波の電波が受信され、その受信信号が無線回路12に供給される。無線回路12は、アンテナ11からの受信信号、つまり、いまの場合、依頼元のICチップ1iからの信号処理の対象となる信号を抽出し、信号処理回路13の演算回路14に供給する。
ステップS101では、依頼先のICチップ1jの演算回路14は、ステップS98でアクノリッジACKに含ませたコマンドに対応する信号処理を、ステップS100で受信した信号を対象として行い、必要に応じて、その信号処理の結果を、記憶回路15に記憶させ、処理を終了する。
なお、依頼先のICチップ1jは、ステップS101の信号処理の結果得られた信号の、さらなる信号処理を、他のICチップに依頼することができる。この場合、依頼先のICチップ1jは、依頼元のICチップとなって、図20で説明した処理を行う。
以上のように、ICチップ1iは、他のすべてのICチップjとの通信を同時に行う第1の通信と、他のICチップjから、通信相手を制限して通信を行う第2の通信とが可能であり、第2の通信は、周波数分割や符号分割により、あるいは偏波を調整することにより、通信相手を制限して行われるので、即ち、放送的な形態の第1の通信と通信的な形態の第2の通信との両方による、新しい形態の通信によって、信号の送受信を行うことができるので、自由度の高い柔軟な信号処理を行うことが可能となる。さらに、信号処理に必要な信号を効率的にやりとりし、信号処理の効率化を図ることが可能となる。
また、依頼先となりうるICチップ1jは、依頼元のICチップ1iからの依頼データを受信し、その依頼データに含まれる信号処理を指示するコマンド(信号)にしたがい、その信号処理を行ったり、行わなかったりする。さらに、依頼先となりうるICチップ1jは、複数種類の信号処理が可能な場合は、依頼元のICチップ1iからの依頼データに含まれるコマンドにしたがい、行う信号処理を変更することができる。その結果、ICチップ11乃至15からなる信号処理装置では、装置全体として行われる信号処理を、容易に変更することができる。
なお、依頼先となりうるICチップ1jが依頼先とならない場合は、信号処理回路13は、外部からの電波に対応する信号に対しては、何らの処理も行わないのであって、必ずしも、信号処理をしていないわけではない。即ち、依頼先となりうるICチップ1jが依頼先とならない場合であっても、信号処理回路13は、単独で、何らかの信号処理を行うことができる。
以上、本発明を、ICチップに適用した場合について説明したが、本発明は、その他、例えば、回路基板にも適用することができる。即ち、上述した説明は、ICチップに相当する記述を、回路基板に読み替えたものとすることが可能である。
ここで、上述したICチップや回路基板によって、電子機器を構成した場合には、そのような複数の電子機器が近接して配置されたときに、各電子機器の機能を変更(バージョンアップ)させることができる。即ち、例えば、半導体チップや回路基板によって構成されたテレビジョン受像機とVTR(Video Tape Recoder)がそれぞれ単独で離れた位置に配置された場合には、テレビジョン受像機を構成するICチップ等どうしで通信が行われることにより所定の信号処理が行われる一方で、VTRを構成するICチップ等どうしで通信が行われることにより所定の信号処理が行われる。
そして、テレビジョン受像機とVTRとが隣接するように配置された場合には、テレビジョン受像機を構成するICチップ等どうしでの通信と、VTRを構成するICチップ等どうしでの通信の他、テレビジョン受像機を構成するICチップ等と、VTRを構成するICチップ等とでの通信も可能となり、そのような通信が行われることで、テレビジョン受像機とVTRの全体で、新たな信号処理を行うことが可能となる。
なお、本実施の形態では、信号をやりとりする通信を、電磁波によって行うこととしたが、通信は、その他、例えば、光によって行うようにすることが可能である。さらに、通信は、無線ではなく、光ファイバ等を用いた有線で行うことも可能である。
また、依頼先となりうるICチップのうち、アクノリッジACKを送信(返信)しないもの、即ち、依頼先とならないICチップでも、他のICチップでやりとりされる電波を受信することが可能である。但し、依頼先とならないICチップにおいて、他のICチップでやりとりされる電波を受信しても、その受信信号は無視される。
さらに、図2の信号処理装置全体として、どのような信号処理を行うかは、あるICチップその他の任意の装置から、すべてのICチップに対して、第1の通信により報知することができる。
また、本実施の形態では、1つの依頼データに、第2の通信で用いる1つの周波数を設定するようにしたが、その他、例えば、依頼データに配置された1以上のコマンドに対応する信号処理の対象となる信号それぞれごとに、その信号を第2の通信によって送受信する周波数を設定することが可能である。第2の通信の通信相手を、符号分割や偏波面の調整によって制限する場合も、同様である。
さらに、本実施の形態では、本発明を、
3以上の信号処理手段としてのICチップ11乃至15を備える信号処理装置において、
ICチップ11乃至15それぞれが、
他のICチップと通信を行う通信部としての無線回路12と、
無線回路12で受信した信号に基づいて信号処理を行う信号処理部としての信号処理回路13と
を有し、
ICチップ11乃至15のうちの少なくとも1つは、
他のすべてのICチップとの通信を同時に行う第1の通信と、
他のICチップから、通信相手を制限して通信を行う第2の通信と
が可能であり、
第2の通信は、周波数分割や符号分割により、あるいは偏波の調整により通信相手を制限して行われる
ことを特徴とする信号処理装置
に適用した場合について説明したが、その他、本発明は例えば、
第1、第2、および第3の信号処理手段を備える信号処理装置において、
前記第1の信号処理手段は、
前記第2または第3の信号処理手段と通信を行う第1の通信部と、
前記第1の通信部で受信した信号に基づいて信号処理を行う第1の信号処理部と
を有し、
前記第2の信号処理手段は、
前記第1または第3の信号処理手段と通信を行う第2の通信部と、
前記第2の通信部で受信した信号に基づいて信号処理を行う第2の信号処理部と
を有し、
前記第3の信号処理手段は、
前記第1または第2の信号処理手段と通信を行う第3の通信部と、
前記第3の通信部で受信した信号に基づいて信号処理を行う第3の信号処理部と
を有し、
前記第1乃至第3の通信部は、
周波数分割多重方式、符号分割多重方式、または所定の偏波面の電波により通信を行い、
通信相手を制限しない通信と、通信相手を制限する通信とにおいて、異なる周波数、符号、または偏波面の電波を用いる
ことを特徴とする信号処理装置
に適用することが可能である。