以下に本発明の実施の形態を説明するが、請求項に記載の構成要件と、発明の実施の形態における具体例との対応関係を例示すると、次のようになる。この記載は、請求項に記載されている発明をサポートする具体例が、発明の実施の形態に記載されていることを確認するためのものである。従って、発明の実施の形態中には記載されているが、構成要件に対応するものとして、ここには記載されていない具体例があったとしても、そのことは、その具体例が、その構成要件に対応するものではないことを意味するものではない。逆に、具体例が構成要件に対応するものとしてここに記載されていたとしても、そのことは、その具体例が、その構成要件以外の構成要件には対応しないものであることを意味するものでもない。
さらに、この記載は、発明の実施の形態に記載されている具体例に対応する発明が、請求項に全て記載されていることを意味するものではない。換言すれば、この記載は、発明の実施の形態に記載されている具体例に対応する発明であって、この出願の請求項には記載されていない発明の存在、すなわち、将来、分割出願されたり、補正により追加される発明の存在を否定するものではない。
請求項1に記載の信号処理装置は、
3以上の信号処理手段(例えば、図3のICチップ511乃至517)を備える信号処理装置において、
前記3以上の信号処理手段それぞれは、
他の信号処理手段と通信を行う通信部(例えば、図2の無線回路12および22)と、
前記通信部で受信した信号に基づいて信号処理を行う信号処理部(例えば、図2の信号処理回路13)と
を有し、
前記3以上の信号処理手段のうちの少なくとも1つは、他のすべての信号処理手段との通信を同時に行う
ことを特徴とする。
請求項4に記載の信号処理方法は、
3以上の信号処理手段(例えば、図3のICチップ511乃至517)を備える信号処理装置の信号処理方法において、
前記3以上の信号処理手段それぞれは、
他の信号処理手段と通信を行う通信部(例えば、図2の無線回路12および22)と、
前記通信部で受信した信号に基づいて信号処理を行う信号処理部(例えば、図2の信号処理回路13)と
を有し、
前記3以上の信号処理手段のうちの少なくとも1つに、他のすべての信号処理手段との通信を同時に行わせるステップ(図4のステップS9)を含む
ことを特徴とする。
請求項5および請求項6の各ステップ(手段)と具体例との対応関係は、請求項4における場合と同様である。
請求項7に記載の信号処理装置は、
3以上の信号処理手段(例えば、図3のICチップ511乃至517)を備える信号処理装置において、
前記3以上の信号処理手段それぞれは、
他の信号処理手段と通信を行う通信部(例えば、図2の無線回路12および22)と、
前記通信部で受信した信号に基づいて信号処理を行う信号処理部(例えば、図2の信号処理回路13)と
を有し、
前記3以上の信号処理手段のうちの少なくとも1つは、
他のすべての信号処理手段との通信を同時に行う第1の通信と、
他の信号処理手段から、通信相手を制限して通信を行う第2の通信と
を行う
ことを特徴とする。
請求項12に記載の信号処理方法は、
3以上の信号処理手段(例えば、図3のICチップ511乃至517)を備える信号処理装置の信号処理方法において、
前記3以上の信号処理手段それぞれは、
他の信号処理手段と通信を行う通信部(例えば、図2の無線回路12および22)と、
前記通信部で受信した信号に基づいて信号処理を行う信号処理部(例えば、図2の信号処理回路13)と
を有し、
前記3以上の信号処理手段のうちの少なくとも1つに、
他のすべての信号処理手段との通信を同時に行わせる第1の通信ステップ(例えば、図4のステップS9)と、
他の信号処理手段から、通信相手を制限して通信を行わせる第2の通信ステップ(例えば、図4のステップS10)と
を含む
ことを特徴とする。
請求項13および請求項14の各ステップ(手段)と具体例との対応関係は、請求項12における場合と同様である。
請求項15に記載の信号処理装置は、
第1の無線通信を行う第1の無線通信手段(例えば、図2の無線回路12)と、
前記第1の無線通信によって受信した信号に基づいて信号処理を行う信号処理手段(例えば、図2の信号処理回路13)と、
他の装置と第2の無線通信を行う第2の無線通信手段(例えば、図2の無線回路22)と、
前記第2の無線通信によって受信した信号に応じて、前記第1の無線通信または前記信号処理の機能の制御を行う制御手段(例えば、図2の信号処理回路23)と
を備えることを特徴とする。
請求項19に記載の信号処理装置は、
前記第1の無線通信手段が前記第1の無線通信を行うためのアンテナ(例えば、図2のアンテナ11)をさらに備え、
前記制御手段は、前記アンテナを接地状態とすることにより、前記第1の無線通信の機能を無効にする
ことを特徴とする。
請求項20に記載の信号処理装置は、前記第1または第2の無線通信手段が、前記第1または第2の無線通信を行うためのアンテナ(例えば、図2のアンテナ11または21)を、それぞれ有する
ことを特徴とする。
請求項26に記載の信号処理方法は、
第1の無線通信を行う第1の無線通信手段(例えば、図2の無線回路12)と、
他の装置と第2の無線通信を行う第2の無線通信手段(例えば、図2の無線回路22)と
を有する信号処理装置の信号処理方法において、
前記第1の無線通信によって受信した信号に基づいて信号処理を行う信号処理ステップ(例えば、図6のステップS37)と、
前記第2の無線通信によって受信した信号に応じて、前記第1の無線通信または前記信号処理の機能の制御を行う制御ステップ(例えば、図6のステップS33やS34)と
を含むことを特徴とする。
請求項27および請求項28の各ステップ(手段)と具体例との対応関係は、請求項26における場合と同様である。
請求項29に記載の信号処理装置は、
無線通信を行う無線通信手段(例えば、図2の無線回路12および22)と、
前記無線通信によって受信した信号の一部に基づいて信号処理を行う信号処理手段(例えば、図2の信号処理回路13)と、
前記無線通信によって受信した信号の他の一部に応じて、前記信号処理の機能の制御を行う制御手段(例えば、図2の信号処理回路23)と
を備えることを特徴とする。
請求項33に記載の信号処理方法は、
無線通信を行う無線通信手段を有する信号処理装置の信号処理方法において、
前記無線通信によって受信した信号の一部に基づいて信号処理を行う信号処理ステップ(例えば、図6のステップS37)と、
前記無線通信によって受信した信号の他の一部に応じて、前記信号処理の機能の制御を行う制御ステップ(例えば、図6のステップS33やS34)と
を含むことを特徴とする。
請求項34および請求項35の各ステップ(手段)と具体例との対応関係は、請求項33における場合と同様である。
以下、図面を参照して、本発明の実施の形態について説明する。
図1は、本発明を適用した半導体チップを模式的に表した斜視図である。
図1において、半導体チップは、信号処理ブロック1と制御ブロック2とから構成され、これらの信号処理ブロック1および制御ブロック2は、1チップの、例えば、CMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)上に構成されている。従って、図1の半導体チップは、1チップのIC(Integrated Circuit)あるいはLSI(Large Scale Integration)である。
図1の半導体チップにおいては、外部との間の信号の入出力のための信号端子(ピン)を設けることができるが、本実施の形態では、電源とアース(グランド)に接続するための電源端子とアース端子を除き、半導体チップには、信号端子は設けられていない。即ち、図1の半導体チップには、信号端子として、後述する図2に示すアース端子27と電源端子28だけが設けられている。
信号処理ブロック1は、アンテナ11、無線回路12、および信号処理回路13で構成されている。
アンテナ11は、外部から送信されてくる無線信号(電波(電磁波))を受信し、対応する受信信号を、無線回路12に供給する。また、アンテナ11は、無線回路12から供給される信号を、電波として送信する。なお、図1の実施の形態では、アンテナ11は、ループ型のアンテナとなっているが、アンテナ11の形状(種類)は、特に限定されるものではない。
無線回路12は、外部との間で無線通信を行う。即ち、無線回路12は、信号処理回路13から供給される信号に応じて、キャリアの変調等の無線通信に必要な処理を行い、その結果得られる変調信号を、アンテナ11に供給することにより、電波によって送信させる。また、無線回路12は、アンテナ11から供給される、外部からの電波を受信した受信信号(変調信号)に対して、復調等の無線通信に必要な処理を行い、その結果得られる信号(復調信号)を、信号処理回路13に供給する。
信号処理回路13は、無線回路12から供給される信号に基づいて信号処理を行い、さらに、必要に応じて、その信号処理の結果得られる信号を、無線回路12に供給する。
制御ブロック2は、アンテナ21、無線回路22、および信号処理回路23で構成されている。
アンテナ21は、外部から送信されてくる無線信号を受信し、対応する受信信号を、無線回路22に供給する。なお、図1の実施の形態では、アンテナ21は、ループ型のアンテナとなっているが、アンテナ21の形状(種類)は、特に限定されるものではない。また、アンテナ21には、必要に応じて、無線回路22から供給される信号を、電波として送信させることができる。
ここで、図1では、アンテナ11と21とは、異なる大きさとなっているが、これは、アンテナ11と21において、異なる周波数の電波を受信(送信)させるためである。即ち、アンテナ11と21は、異なる周波数の電波を受信するように設計されており、これにより、信号処理ブロック1と制御ブロック2では、混信を避けた、いわば独立な無線通信を行うことが可能となっている。
なお、ここでは、上述のように、信号処理ブロック1と制御ブロック2において異なる周波数帯域の電波による無線通信(周波数分割方式の無線通信)を行うことにより、独立の無線通信を可能としたが、その他、信号処理ブロック1と制御ブロック2では、例えば、異なる拡散符号(PN(Pseudo-random Noise)符号)を用いたスペクトル拡散方式の無線通信を行うこと等により、独立の無線通信を可能とするようにすることができる。
無線回路22は、外部との間で無線通信を行う。即ち、無線回路22は、アンテナ21から供給される、外部からの電波を受信した受信信号(変調信号)に対して、復調等の無線通信に必要な処理を行い、その結果得られる信号(復調信号)を、信号処理回路23に供給する。なお、無線回路22においては、必要に応じて、信号処理回路23から供給される信号に対して、キャリアの変調等の無線通信に必要な処理を行い、その結果得られる変調信号を、アンテナ21に供給することにより、電波によって送信させることができる。
信号処理回路23は、無線回路22から供給される信号に応じて、無線回路12による無線通信または信号処理回路13による信号処理の機能を有効または無効にする制御を行う。
図2は、図1の半導体チップの電気的構成例を示している。
信号処理ブロック1の信号処理回路13は、演算回路14および記憶回路15を有している。
演算回路14は、無線回路12から供給される信号に所定の信号処理を施し、その信号処理の結果得られる信号を、記憶回路15に供給して記憶させ、あるいは、無線回路12に供給し、アンテナ11から電波として送信させる。また、演算回路14は、記憶回路15に記憶された信号(データ)を、無線回路12に供給し、アンテナ11から電波として送信させる。
記憶回路15は、演算回路14の処理上必要な信号その他を記憶する。
なお、演算回路14は、NANDゲートなどの論理回路その他の専用のハードウェアで構成し、その専用のハードウェアによって、所定の信号処理を行うようにすることができる。また、演算回路14は、プログラムを実行可能なプロセッサ(コンピュータ)で構成し、そのプロセッサにプログラムを実行させることによって、所定の信号処理を行うようにすることも可能である。
演算回路14をプロセッサで構成する場合に、そのプロセッサに実行させるプログラムは、記憶回路15に、あらかじめ記憶させておくことができる。
あるいはまた、プログラムは、フレキシブルディスク、CD-ROM(Compact Disc Read Only Memory),MO(Magneto Optical)ディスク,DVD(Digital Versatile Disc)、磁気ディスク、半導体メモリなどのリムーバブル記録媒体に、一時的あるいは永続的に格納(記録)しておくことができる。このようなリムーバブル記録媒体は、いわゆるパッケージソフトウエアとして提供することができる。
なお、プログラムは、ダウンロードサイトから、ディジタル衛星放送用の人工衛星を介して、あるいは、LAN(Local Area Network)、インターネットといったネットワークを介して、半導体チップに無線で転送し、半導体チップでは、そのようにして転送されてくるプログラムを、アンテナ11で受信し、無線回路12および演算回路14を介して、記憶回路15にインストールすることができる。
ここで、本明細書において、演算回路14に各種の処理を行わせるためのプログラムを記述する処理ステップは、必ずしも後述するフローチャートとして記載された順序に沿って時系列に処理する必要はなく、並列的あるいは個別に実行される処理(例えば、並列処理あるいはオブジェクトによる処理)も含むものである。
また、プログラムは、1の演算回路14により処理されるものであっても良いし、複数の演算回路によって分散処理されるものであっても良い。さらに、プログラムは、他の演算回路に転送されて実行されるものであっても良い。
制御ブロック2の信号処理回路23は、演算回路24および記憶回路25を有している。
演算回路24は、無線回路22から供給される信号に応じて、選択回路26を制御し、これにより、無線回路12による無線通信の機能を有効または無効にする制御を行う。なお、ここでは、演算回路24は、無線通信の機能の有効・無効に関する制御を行うが、1のブロックの機能を有効・無効とする制御を行うことも可能である。
記憶回路25は、演算回路24の処理上必要な信号その他を記憶する。
なお、演算回路24も、演算回路14と同様に、専用のハードウェアで構成し、選択回路26の制御のための信号処理を行わせることができる。また、演算回路24には、プログラムを実行させ、選択回路26の制御のための信号処理を行わせることもできる。演算回路24に実行させるプログラムは、演算回路14に実行させるプログラムと同様に、記憶回路25に、あらかじめ記憶させておくことができる。
選択回路26は、演算回路24の制御にしたがって、信号処理ブロック1のループ上のアンテナ11の両端の接続状態を選択、即ち、アンテナ11の両端を、アース端子27に接続して接地し、またはハイインピーダンス状態とする。
ここで、アンテナ11の両端が、選択回路26においてアース端子27に接続され、接地状態とされた場合、アンテナ11の両端の電位は、常時、アース電位(グランド電位)に等しくなるから、アンテナ11において電波の送受信を行うことはできなくなり、従って、無線回路12による無線通信の機能は無効とされる。
一方、アンテナ11の両端が、選択回路26においてハイインピーダンス状態とされた場合、アンテナ11においては、受信した電波に応じた受信信号としての電流が流れ(電圧が発生し)、無線回路12に供給されるとともに、無線回路12が出力する信号としての電流が流れ(電圧が発生し)、その信号に応じた電波が射出される。従って、アンテナ11において電波の送受信を行うことができ、無線回路12による無線通信の機能は有効とされる。
アース端子27と電源端子28は、半導体チップのパッケージから外部に露出している端子で、それぞれ、アースGNDと電源Vccに接続される。
なお、アース端子27と電源端子28は、半導体チップを構成する必要なブロックに接続されているが、その接続線は、図が煩雑になるのを避けるため、図示を省略してある。
また、演算回路14と24との間では、必要に応じて信号のやりとりを行うことができるようになっている。
以上のように構成される半導体チップでは、アンテナ21で電波が受信され、その電波に対応する受信信号が、無線回路22を介して、演算回路24に供給される。演算回路24は、無線回路22を介して供給される受信信号に応じて選択回路26を制御する。選択回路26は、演算回路24の制御にしたがい、アンテナ11の両端を、アース端子27に接続し、またはハイインピーダンス状態とする。
アンテナ11の両端が、選択回路26においてアース端子27に接続された場合、上述したように、アンテナ11において電波の送受信を行うことはできなくなり、無線回路12による無線通信の機能は無効とされる。従って、アンテナ11において電波が受信されても、信号処理回路13は、その電波に対応する信号に対しては、何らの処理も行わない。即ち、この場合、信号処理回路13は、外部からの電波に対して、何らの反応もしない状態となる。
一方、アンテナ11の両端が、選択回路26においてハイインピーダンス状態とされた場合、上述したように、アンテナ11で受信された電波に対応する受信信号が、無線回路12に供給される、あるいは、無線回路12が出力する信号に対応する電波がアンテナ11から射出されるので、無線回路12による無線通信の機能は有効となる。この場合、アンテナ11で受信された電波に対応する受信信号が、無線回路12を介して、信号処理回路13に供給され、信号処理回路13は、その受信信号を信号処理する。さらに、信号処理回路13は、必要に応じて、信号処理の結果得られた信号を、無線回路12を介して、アンテナ11に供給し、電波で送信させる。
ここで、無線回路12による無線通信の機能が無効とされることなどによって、信号処理回路13が、外部からの電波に対応する信号に対しては、何らの処理も行わない状態の半導体チップの動作モードを、スリープモードという。また、無線回路12による無線通信の機能が有効となることなどによって、信号処理回路13が、外部からの電波に対応する信号に基づいて信号処理することが可能な半導体チップの動作モードを、アクティブモードという。
なお、半導体チップがスリープモードとなった場合は、信号処理回路13は、外部からの電波に対応する信号に対しては、何らの処理も行わないのであって、必ずしも、信号処理をしていないわけではない。即ち、半導体チップがスリープモードであっても、信号処理回路13は、単独で、何らかの信号処理を行うことができる。但し、スリープモードにおいては、信号処理回路13に、何らの処理も行わせないようにすることも可能である。
また、上述したように、信号処理ブロック1と制御ブロック2では、混信しないように、異なる周波数帯域の電波による無線通信が行われるようになっている。いま、信号処理ブロック1と制御ブロック2において無線通信が行われる周波数帯域の電波を、それぞれ、信号処理用電波と制御用電波とそれぞれいうものとすると、制御ブロック2は、外部からの制御用電波を受信し、その受信信号に応じて、無線回路12による無線通信の機能の有効と無効を切り換える。そして、無線回路12による無線通信の機能が有効になっている場合、即ち、半導体チップの動作モードがアクティブモードの場合、信号処理ブロック1では、アンテナ11は、信号処理用電波を受信し、無線回路12を介して、信号処理回路13に供給する。信号処理回路13は、無線回路12を介して供給される信号処理用電波に対応する信号を信号処理し、さらに、必要に応じて、その信号処理結果としての信号を、無線回路12を介して、アンテナ11から、信号処理用電波として射出させる。
図3は、図1および図2の半導体チップを適用した信号処理システムの一実施の形態の構成例を示す斜視図である。
図3の信号処理システムは、複数のICチップが、シールド筐体41内に配置されて構成されている。
即ち、シールド筐体41は、内部が空洞の略直方体形状の筐体で、その底面の内側は、接続面42となっている。
シールド筐体41は、電磁波を遮断するようになっている。即ち、シールド筐体41は、例えば、導体が閉曲面をなすように配置されて構成されており、外部の電波が内部に入らないように遮断するとともに、内部の電波が外部に漏れないように遮断する。
接続面42には、アース端子と電源端子(いずれも図示せず)とのセットが複数セット設けられており、ICチップ51iが配置される(i=1,2,・・・)。
ICチップ51iは、図1および図2で説明した半導体チップと同様に構成されている。従って、ICチップ51iは、アース端子27と電源端子28を有する。そして、ICチップ51iは、そのアース端子27と電源端子28が、接続面42上の任意のセットのアース端子と電源端子にそれぞれ接続されるように、接続面42上に配置される。
従って、ICチップ51iは、そのアース端子27と電源端子28が、接続面42上のアース端子と電源端子にそれぞれ接続されるように配置すれば良いので、その装着や取り外しを容易に行うことができる。さらに、ICチップ51iは、接続面42と接続すべき端子が、アース端子27と電源端子28の2つの端子だけなので、接続面42上に、高い自由度で配置することができる。
図3では、7個のICチップ511乃至517が接続面42に配置されている。ここで、シールド筐体41と接続面42とは、容易に分離することができるようになっており、その分離した状態において、ユーザは、ICチップ511乃至517を、接続面42に容易に配置することができる。なお、シールド筐体41は、その1つの面が容易に開閉可能なように構成することができる。この場合、ICチップ511乃至517は、シールド筐体41の開閉可能な1つの面を開けて、接続面42に容易に配置することができる。
ICチップ511乃至517それぞれは、信号処理回路13が、所定の信号処理を行うことにより、所定の機能を提供する。ICチップ511乃至517それぞれにおいて、信号処理回路13が提供する機能は1つであっても良いし、複数であっても良い。また、ICチップ511乃至517それぞれにおいては、記憶回路15に、信号処理回路13が提供する機能を表す機能情報があらかじめ記憶されている。従って、あるICチップ51iが提供可能な機能は、その記憶回路15に記憶された機能情報を参照することにより認識することができる。
ここで、例えば、ICチップ51iを販売するときには、そのICチップ51iの機能を記述した機能説明書を、ICチップ51iとともに同梱することができる。機能説明書には、ICチップ51iの機能の他、そのICチップ51iと他の1以上のICチップとによって実現可能な機能、さらには、その機能を実現するために必要な他の1以上のICチップを特定するための型番などの情報も記述しておくことができる。
図3の信号処理システムにおいては、7個のICチップ511乃至517の2以上において、必要な信号が、信号処理用電波によって送受信され、信号処理が行われることによって、所定の機能が提供される。
7個のICチップ511乃至517のうちの、信号処理を行うものは、アクティブモードとなって、その信号処理の対象となる信号を、信号処理用電波によって送受信する。このとき、7個のICチップ511乃至517のうちの、信号処理を行わないものは、スリープモードとなって、信号処理用電波の送受信を行わない(行うことができない)。従って、この場合、あるICチップから、他の複数のICチップに、同時に、同一の信号を送信し、その、他の複数のICチップでは、その同一の信号を、同時に受信することができる。さらに、信号処理を行わないICチップ51iにおいて、信号処理用電波が受信され、不必要な信号処理が行われること等を防止することができる。なお、図3においては、影を付してあるICチップ511,515,517がアクティブモードとなっており、影を付していないICチップ512,513,514,516がスリープモードとなっていることを示している。
ここで、上述のように、ICチップ51iの動作モードがアクティブモードまたはスリープモードとなることにより、信号処理を行うべきICチップ51iにおいてのみ、信号処理に必要な信号を信号処理用電波として受信し、あるいは信号処理の結果得られた信号を信号処理用電波として送信することができる。従って、あるICチップ51iと他のICチップ51jとの間では、同期をとりあって、信号処理や、信号の送受信を行う必要がない(j=1,2,・・・)。即ち、あるICチップ51iと他のICチップ51jは非同期で(同期をとるためのクロックなしで)動作することができる。
さらに、ICチップ51iは、無線通信によって、信号処理に必要な信号をやりとりするので、他のICチップ51jとの間でやりとりする信号の数が増減したり、その信号が変化する(例えば、やりとりする信号が、データ量の比較的少ない音声信号から、データ量の比較的多い画像信号に変化する)ようなバージョンアップに対しても、容易に対処することができる。
なお、シールド筐体41は、上述したように、電磁波を遮断するため、シールド筐体41内に配置されたICチップ51iが発する電波が、シールド筐体41の外部に漏れることによって、その外部に存在する他の信号処理システムにおいてICチップどうしが送受信する電波と混信を生じることはない。また、外部に存在する他の信号処理システムにおいてICチップどうしが送受信する電波が、シールド筐体41内に入ることによって、シールド筐体41内のICチップ51iが発する電波と混信を生じることもない。従って、シールド筐体41内にICチップ511,512,・・・が配置された信号処理システムは、同様の構成の他の信号処理システムから完全に独立しているということができる。
但し、図3の信号処理システムは、その信号処理システムを構成するICチップと、他の信号処理システムのICチップとが、信号処理用電波を送受信することができるように構成することも可能である。
次に、図3の信号処理システムにおいては、あるICチップ51kを容易に接続面42に配置することができ、さらに、そのICチップ51kと、接続面42に配置されている他のICチップ51jとの間では、無線(信号処理用電波)により信号を送受信することができる。従って、ユーザは、接続面42に、新たなICチップ51kを配置し、あるいは、接続面42に配置されているICチップ51iを、他のICチップ51kと交換、または取り外すこと等によって、容易に、信号処理システム全体の機能を変更させることができる(k=1,2,・・・)。
即ち、単純には、ユーザは、接続面42に、新たなICチップ51kを配置することにより、信号処理システムの機能を、いままでの機能に、ICチップ51kの機能を追加したものとすることができる。
具体的には、例えば、信号処理システムにおいて、接続面42に既に配置されているICチップ511乃至517によって、MPEGストリームのデコーダとしての機能が提供されていた場合に、接続面42に、MPEGストリームのデコード結果のブロック歪みを低減するフィルタとしての機能を提供するICチップが新たに配置されたときには、信号処理システムでは、MPEGストリームをデコードし、そのデコード結果のブロック歪みを低減することができる。
この場合、信号処理システムにおいては、接続面42に新たに配置されたICチップが提供する機能が、元の機能に追加される。これは、信号処理システムの機能が、接続面42に新たに配置されたICチップが提供する機能の分だけ変更(追加)されているということができる。
信号処理システムの機能の変更方法としては、新たに配置されたICチップが提供する機能の分だけ信号処理システムの機能を変更させる方法の他、新たに配置されたICチップが提供可能な機能に応じて、接続面42に既に配置されているICチップ511乃至517の機能が変化し、これにより、信号処理システム全体の機能を変更させる方法がある。
信号処理システムにおいては、接続面42に新たにICチップが配置された場合に、その新たなICチップの機能と、接続面42に既に配置されているICチップ511乃至517の機能とを単純に加算した機能を越える機能が提供されるようにすることができる。
即ち、信号処理システムにおいては、新たに配置されたICチップが提供可能な機能に応じて、接続面42に既に配置されているICチップ511乃至517の機能を変化させ、新たに配置されたICチップと、既に配置されているICチップ511乃至517それぞれとが、いわば協調して信号処理を分担する協調分担を行うようにし、信号処理システム全体の機能を変更させるようにすることができる。
以上のように、シールド筐体41内に配置された複数のICチップにおいて、協調分担して信号処理が行われる場合には、多種多様な機能の変更が可能となる。
なお、このような信号処理システムの機能の変更は、接続面42に新たにICチップが配置された場合の他、接続面42からICチップが取り外された場合や、接続面42に配置されたICチップが他のICチップに交換された場合など、接続面42に配置されたICチップに変更が生じた場合に行うことができる。
次に、図3の信号処理システムを構成するICチップ511乃至517の処理について説明する。なお、ここでは、信号処理システムを構成するICチップ511乃至517のうちの少なくとも1つは、全体の制御を行うICチップであるとし、そのICチップを、以下、適宜、制御チップ51Cと記述する。また、ICチップ511乃至517のうちの、制御チップ51Cによって制御されるICチップを、以下、適宜、子チップ51Nと記述する。
まず、図4のフローチャートを参照して、制御チップ51Cの処理について説明する。
なお、制御チップ51Cは、例えば、定期的または不定期、あるいは、ユーザからの指示その他のイベントの発生に応じて、図4のフローチャートの処理を開始する。また、制御チップ51Cおよび子チップ51Nは、例えば、アクティブモードになっているものとする。
制御チップ51Cの信号処理ブロック1は、まず最初に、ステップS1において、ポーリングを行う。即ち、制御チップ51Cの信号処理ブロック1は、シールド筐体41内に存在する子チップ51Nを把握するために、ステップS1において、レスポンスを要求する信号を、信号処理用電波によって送信する。具体的には、制御チップ51Cの信号処理ブロック1では、演算回路14が、無線回路12を制御することにより、ポーリングのための信号処理用電波を、アンテナ11から射出させる。そして、制御チップ51Cの信号処理ブロック1は、子チップ51Nから、ステップS1のポーリングに対するレスポンスが、信号処理用電波によって送信されてくるのを待って、ステップS1からS2に進み、そのレスポンスを受信する。
ここで、子チップ51Nが送信してくるレスポンスには、その子チップ51Nにおいて発生された乱数が含まれており、制御チップ51Cは、レスポンスを受信した状態では、そのレスポンスに含まれる乱数によって、子チップ51Nを識別する。
また、複数の子チップ51Nから同時にレスポンスが送信されてきた場合には、混信が生じ、制御チップ51Cにおいて、複数の子チップ51Nからのレスポンスそれぞれを正常に受信することができないことが生じうる。そこで、子チップ51Nは、例えば、レスポンスに含ませる乱数とは別に乱数を発生し、その乱数に相当する時間だけ、制御チップ51Cからのポーリングを受信してから遅延時間をおいて、レスポンスを送信するようになっている。これにより、複数の子チップ51Nから同時にレスポンスが送信されてくることによる混信を防止するようになっている。
なお、それでも、複数の子チップ51Nから同時にレスポンスが送信されてくることによる混信が生じることがあり得るが、その場合、即ち、制御チップ51Cにおいて、複数の子チップ51Nからのレスポンスそれぞれを正常に受信することができなかった場合、制御チップ51Cは、例えば、ステップS1の処理からやり直す。
また、複数の子チップ51Nからのレスポンスそれぞれを正常に受信することができた場合であっても、その複数の子チップ51Nそれぞれからのレスポンスの2以上に、同一の乱数が含まれることがあり得る。この場合、制御チップ51Cは、同一の乱数を送信してきた2以上の子チップ51Nを識別することができないため、例えば、やはり、ステップS1の処理からやり直す。
制御チップ51Cの演算回路14は、複数の子チップ51Nからのレスポンスそれぞれを正常受信することができ、そのレスポンスそれぞれに含まれる乱数の中に同一の値が存在しない場合、ステップS2からS3に進み、複数の子チップ51Nからのレスポンスそれぞれに含まれる乱数によって、その複数の子チップ51Nそれぞれを識別し、その複数の子チップ51Nそれぞれに対して、例えば、シーケンシャルな整数値などのユニークなID(Identification)を割り当てる。さらに、ステップS3では、制御チップ51Cの演算回路14は、子チップ51Nに割り当てたIDを、その子チップ51Nから受信したレスポンスに含まれていた乱数と対応付け、信号処理用電波によって送信する。
ここで、子チップ51Nは、制御チップ51Cからの信号処理用電波を受信し、自身がレスポンスに含めて制御チップ51Cに送信した乱数と対応付けられているIDを、自身に割り当てられたIDとして認識する。
なお、子チップ51NのIDとしては、シーケンシャルな整数値の他、例えば、子チップ51Nがレスポンスに含めて制御チップ51Cに送信する乱数を、そのまま採用することが可能である。
また、子チップ51NのIDとしては、例えば、その子チップ51Nに付された製造番号等のユニークな情報を採用することが可能である。但し、子チップ51NのIDとして、例えば、その子チップ51Nに付された製造番号を用いた場合には、子チップ51Nの製造数等によって、製造番号の桁数が変動するケースが生じうる。
その後、制御チップ51Cの演算回路14は、IDを割り当てた子チップ51Cから、その子チップ51Nの機能情報が送信されてくるのを待って、ステップS3からS4に進み、その機能情報を受信することにより、複数の子チップ51Nそれぞれの機能情報を取得する。機能情報は、各チップが処理可能な機能を示す情報である。
即ち、子チップ51Nは、制御チップ51CからIDを受信すると、その記憶回路15に記憶している機能情報を読み出し、自身に割り当てられたIDと対応付けて信号処理用電波によって送信してくる。制御チップ51Cは、ステップS4において、その信号処理用電波によって子チップ51Nから送信されている機能情報を受信し、これにより、子チップ51N(の信号処理回路13)の機能を認識する。
ここで、複数の子チップ51Nから同時に機能情報が送信されてきた場合には、混信が生じ、制御チップ51Cにおいて、複数の子チップ51Nからの機能情報それぞれを正常に受信することができないことが生じうる。そこで、子チップ51Nは、例えば、レスポンスを送信する場合と同様に、乱数を発生し、その乱数に相当する時間だけ、制御チップ51CからのIDを受信してから遅延時間をおいて、機能情報を送信するようになっており、これにより、複数の子チップ51Nから同時に機能情報が送信されてくることによる混信を防止するようになっている。
なお、それでも、複数の子チップ51Nから同時に機能情報が送信されてくることによる混信が生じることがあり得るが、その場合、即ち、制御チップ51Cにおいて、複数の子チップ51Nからの機能情報それぞれを正常に受信することができなかった場合、制御チップ51Cは、例えば、機能情報の再送の要求を、信号処理用電波によって送信し、その要求に応じて、子チップ51Nから機能情報が送信されてくるのを待って、ステップS4の処理からやり直す。
また、制御チップ51Cでは、ステップS3で複数の子チップ51Nに割り当てたID(以下、適宜、割り当てIDという)を、順次、注目IDとし、注目IDの子チップ51Nのみをアクティブモードとするとともに、他の子チップ51Nをスリープモードとすることを指令するモード信号を、制御用電波によって送信することができる。さらに、制御チップ51Cでは、アクティブモードとなっている注目IDの子チップ51Nに対して、機能情報の送信の要求を、信号処理用電波によって送信し、その要求に応じて、子チップ51Nから信号処理用電波によって送信されてくる機能情報を受信することができる。この場合、アクティブモードとなっている注目IDの子チップ51Nのみから機能情報が送信されてくるので、複数の子チップ51Nから同時に機能情報が送信されてくることによる混信を防止することができる。
制御チップ51Cの演算回路14は、IDを割り当てた複数の子チップ51Nすべての機能情報を受信すると、ステップS4からS5に進み、複数の子チップ51Nそれぞれの機能情報と、その子チップ51NのIDとを対応付けた機能情報テーブルを作成し、記憶回路15に登録(記憶)して、ステップS6に進む。なお、機能情報テーブルは、例えば、図4の一連の処理が終了したときに、記憶回路15から削除される。
ステップS6では、制御チップ51Cの演算回路14は、機能情報テーブルに記述されている機能情報から、信号処理システムを構成する複数の子チップ51Nそれぞれの機能を認識し、さらに、それらの機能から、信号処理システム全体として提供可能な機能の候補を認識して、ステップS7に進む。ステップS7では、制御チップ51Cの演算回路14は、信号処理システム全体として提供可能な機能の候補の中から、実際に提供する機能を決定する。
即ち、制御チップ51Cは、例えば、シールド筐体41に設けられた図示せぬモニタ等に、信号処理システム全体として提供可能な機能の候補を表示させ、ユーザに、その候補の中から1つを選択してもらう。そして、制御チップ51Cは、ユーザが選択した候補を、実際に提供する機能として決定する。また、制御チップ51Cは、信号処理システム全体として提供可能な機能の候補が1つだけの場合には、その候補を、実際に提供する機能として決定する。
ここで、上述したように、ICチップ51iには、そのICチップ51iの機能や、ICチップ51iと他の1以上のICチップとによって実現可能な機能、さらには、その機能を実現するために必要な他の1以上のICチップを特定するための型番などを記述した機能説明書を同梱しておくことができる。ユーザは、その機能説明書を見て、自身が希望する機能の提供に必要なICチップを揃え、接続面42に配置することにより、希望する機能の提供を受けることができる。
ステップS7において、実際に提供する機能が決定されると、ステップS8に進み、制御チップ51Cの演算回路14は、その決定された機能(以下、適宜、決定機能という)を提供するのに、信号処理システムを構成する複数の子チップ51Nそれぞれが行うべき信号処理を特定し、さらに、それらの信号処理を行うスケジュールをたてるスケジューリングを行う。
即ち、制御チップ51Cは、決定機能を提供するのに必要な1以上の信号処理を特定し、さらに、その1以上の信号処理それぞれに対して、その信号処理を行うべき子チップ51N(その信号処理を行うことができる子チップ51N)を、機能情報テーブルを参照して割り当てる。そして、制御チップ51Cは、決定機能を提供するために、信号処理が割り当てられた子チップ51Nが、その信号処理を行うべき順番(タイミング)を記述したスケジュールをたてるスケジューリングを行う。
その後、ステップS8からS9に進み、制御チップ51Cは、ステップS8のスケジューリングによって得られたスケジュール(スケジューリング結果)にしたがい、いま信号処理を行うべき1以上の子チップ51Nを認識し、その1以上の子チップ51Nをアクティブモードとするとともに、他の子チップ51Nをスリープモードとするモード信号を、制御用電波によって送信する。即ち、制御チップ51Cの演算回路24は、いま信号処理を行うべき1以上の子チップ51NのIDとアクティブモードとなるべきコマンド(以下、適宜、アクティブコマンドという)とが対応付けられるとともに、他の子チップ51NのIDとスリープモードとなるべきコマンド(以下、適宜、スリープコマンドという)とが対応付けられたモード信号を、無線回路22に供給し、アンテナ21から、制御用電波として射出させる。
この制御用電波によるモード信号は、信号処理システムを構成する複数の子チップ51Nすべてで受信される。そして、そのモード信号にしたがい、信号処理システムを構成する複数の子チップ51Nのうち、いま信号処理を行うべき1以上の子チップ51Nだけがアクティブモードとなり、他の子チップ51Nはスリープモードとなる。
そして、ステップS9からS10に進み、制御チップ51Cは、スケジュールにしたがい、いまアクティブモードの1以上の子チップ51Nそれぞれが行うべき信号処理を表す信号処理指示信号を、信号処理用電波によって送信し、ステップS11に進む。
ここで、信号処理指示信号には、例えば、子チップ51NのIDと、その子チップ51Nが行うべき信号処理を表すコード、即ち、子チップ51Nの信号処理を制御するコードとを対応付けて含ませることができる。この場合、その信号処理指示信号を受信した子チップ51Nでは、自身のIDと対応付けられているコードから、自身が行うべき信号処理を認識することができる。
ステップS11では、制御チップ51Cの演算回路14は、スケジュールを参照することにより、決定機能を提供するために必要な信号処理がすべて行われたかどうかを判定し、まだ行われていないと判定した場合、ステップS9に戻り、以下、同様の処理が繰り返される。
また、ステップS11において、決定機能を提供するために必要な信号処理がすべて行われたと判定された場合、制御チップ51Cは、処理を終了する。
次に、図5および図6のフローチャートを参照して、子チップ51Nの処理について説明する。
まず最初に、図5のフローチャートを参照して、制御チップ51Cから子チップ51Nに対して、信号処理用電波によるポーリングが送信されてきた場合に行われる子チップ51Nの処理について説明する。
子チップ51Nは、ステップS21において、制御チップ51Cから送信されてくるポーリングを受信する。即ち、子チップ51Nでは、アンテナ11において、信号処理用電波が受信され、その受信信号が無線回路12に供給される。さらに、子チップ51Nでは、無線回路12は、アンテナ11からの受信信号に所定の処理を施し、その結果得られるポーリングの信号を、演算回路14に供給する。
子チップ51Nの演算回路14は、以上のようにして無線回路12から供給されるポーリングの信号を受信すると、ステップS21からS22に進み、乱数を含むレスポンスを、信号処理用電波によって送信する。即ち、子チップ51Nの演算回路14は、2つの乱数を発生し、一方の乱数をレスポンスに含め、無線回路12に供給する。無線回路12は、演算回路14が発生した2つの乱数のうちの他方の乱数に対応する時間だけ待って、演算回路14からのレスポンスを、信号処理用電波として、アンテナ11から射出する。
その後、子チップ51Nの演算回路14は、制御チップ51Cから、上述したように、IDが、信号処理用電波によって送信されてくるのを待って、ステップS22からS23に進み、その信号処理用電波によるIDを受信し、これにより、自身のIDを認識して、ステップS24に進む。
ステップS24では、子チップ51Nの演算回路14は、記憶回路15から機能情報を読み出し、自身に割り当てられたIDと対応付け、信号処理用電波によって送信し、処理を終了する。
次に、図6のフローチャートを参照して、制御チップ51Cから子チップ51Nに対して、制御用電波によるモード信号が送信されてきた場合に行われる子チップ51Nの処理について説明する。
子チップ51Nは、ステップS31において、制御チップ51Cから送信されてくるモード信号を受信する。即ち、子チップ51Nでは、アンテナ21において、制御用電波が受信され、その受信信号が無線回路22に供給される。さらに、子チップ51Nでは、無線回路22は、アンテナ21からの受信信号に所定の処理を施し、その結果得られるモード信号を、演算回路24に供給する。
そして、ステップS31からS32に進み、子チップ51Nの演算回路24は、受信したモード信号において、自身のIDと対応付けられているコマンドが、アクティブコマンドまたはスリープコマンドのうちのいずれであるかを判定する。ステップS32において、自身のIDと対応付けられているコマンドが、スリープコマンドであると判定された場合、ステップS33に進み、子チップ51Nは、動作モードとしてスリープモードを選択し、処理を終了する。即ち、演算回路24は、選択回路26を制御することにより、アンテナ11を接地状態とし、無線回路12による無線通信の機能を無効にして、処理を終了する。
一方、ステップS32において、自身のIDと対応付けられているコマンドが、アクティブコマンドであると判定された場合、ステップS34に進み、子チップ51Nは、動作モードとしてアクティブモードを選択する。即ち、演算回路24は、選択回路26を制御することにより、アンテナ11をハイインピーダンス状態とし、無線回路12による無線通信の機能を有効にする。
その後、アクティブモードの子チップ51Nの演算回路14は、制御チップ51Cから、上述したように、信号処理指示信号が、信号処理用電波によって送信されてくるのを待って、ステップS34からS35に進み、その信号処理用電波による信号処理指示信号を受信し、ステップS36に進む。
ステップS36では、アクティブモードの子チップ51Nの演算回路14は、受信した信号処理指示信号において、自身のIDと対応付けられているコードから、自身が行うべき信号処理を認識し、その信号処理に必要な信号を、アクティブモードの他の子チップ51Nとの間で、信号処理用電波によって送信または受信して、ステップS37に進む。
ステップS37では、アクティブモードの子チップ51Nの演算回路14は、ステップS37で受信した信号、または記憶回路15に記憶している信号などを対象として、受信した信号処理指示信号に含まれるコードに対応した信号処理を行い、必要に応じて、その信号処理結果を、信号処理用電波によって送信して、処理を終了する。
以上のように、信号処理システムを構成する複数の子チップ51Nそれぞれにおいては、他の子チップ51Nと信号処理用電波による無線通信を行い、その信号処理用電波によって受信した信号を信号処理する。さらに、子チップ51Nでは、制御チップ51Cと制御用電波による無線通信を行い、その制御用電波によって受信したモード信号に応じて、信号処理用電波による無線通信の機能を有効または無効にする。一方、制御チップ51Cでは、複数の子チップ51Nそれぞれから、機能情報を取得し、その機能情報に基づき、提供することができる1以上の機能の候補を認識する。さらに、制御チップ51Cでは、その1以上の機能の候補の中から、提供する機能(決定機能)を決定し、その決定機能を提供するために、複数の子チップ51Nそれぞれが行うべき信号処理のスケジューリングを行う。そして、制御チップ51Cは、そのスケジューリング結果にしたがい、信号処理用電波による無線通信の機能を有効または無効にする信号を、制御用電波による無線通信によって送信するとともに、子チップ51Nが行うべき信号処理を指示する信号処理指示信号を、信号処理用電波による無線通信によって送信する。
従って、子チップ51Nは、信号処理用電波を混信することなく受信し、決定機能を提供するのに必要な信号処理を行うことができ、これにより、信号処理システム全体として、決定機能を提供することができる。
なお、図3の信号処理システムにおいては、ICチップ51iが、他のICチップ51jと通信を行う無線回路12および22と、無線回路12または22で受信した信号に基づいてそれぞれ信号処理を行う信号処理回路13または23とを有し、制御用電波によって、他のICチップ51jすべてとの通信を同時に行うことができる。さらに、他のICチップ51jすべてがアクティブモードとされている場合には、ICチップ51iは、信号処理用電波によっても、他のICチップ51jすべてとの通信を同時に行うことができる。
また、他のICチップ51jの一部がアクティブモードとされ、残りがスリープモードとされている場合には、ICチップ51iは、通信相手を制限して、信号処理用電波による通信を行うことができる。即ち、ICチップ51iは、他のICチップ51jから、通信相手をアクティブモードとなっているものに制限して通信を行うことができる。
従って、ICチップ51iは、他のICチップ51jすべてとの通信を同時に行うこともできるし、他のICチップ51jから、通信相手を制限して通信を行うこともできる。
さらに、通信相手の制限は、上述したように、無線回路12による無線通信の機能を制御することによって行う他、信号処理回路13による信号処理の機能を制御することによって行うことが可能である。即ち、通信相手の制限は、信号処理回路13による信号処理の機能を有効または無効とすることによって行うことが可能である。信号処理回路13による信号処理の機能が無効とされたICチップ51iでは、無線回路12で受信された信号に基づいた信号処理は行われず、そのICチップ51iは、無線回路12で受信された信号に対して応答しないので、実質的(等価的)に、通信相手としては制限される(通信相手から除外される)ことになる。
また、図3の信号処理システムを構成するICチップ51iで送受信される電波には、信号処理用電波と制御用電波とがある。従って、ICチップ51iの信号処理回路13においては、ICチップ51iが受信した電波の一部である信号処理用電波に基づいて信号処理が行われる、ということができる。さらに、ICチップ51iの信号処理回路23においては、ICチップ51iが受信した電波の他の一部である制御用電波に基づいて、信号処理回路13による信号処理の機能の有効または無効の制御が行われる、ということができる。
図7は、例えば、第1の画像信号を、第2の画像信号に変換する画像変換処理を行う画像変換装置として機能する信号処理システムの構成例を示している。
ここで、例えば、第1の画像信号を低解像度の画像信号とするとともに、第2の画像信号を高解像度の画像信号とすれば、画像変換処理は、解像度を向上させる解像度向上処理ということができる。また、例えば、第1の画像信号を低S/N(Siginal/Noise)の画像信号とするとともに、第2の画像信号を高S/Nの画像信号とすれば、画像変換処理は、ノイズを除去するノイズ除去処理ということができる。さらに、例えば、第1の画像信号を所定のサイズの画像信号とするとともに、第2の画像信号を、第1の画像信号のサイズを大きくまたは小さくした画像信号とすれば、画像変換処理は、画像のリサイズ(拡大または縮小)を行うリサイズ処理ということができる。
図7において、画像変換装置としての信号処理システムは、制御チップ61、画像信号入力チップ62、予測タップ抽出チップ63、クラスタップ抽出チップ64、クラス分類チップ65、係数生成チップ66、および演算チップ67が接続面42に配置されて構成されている。なお、制御チップ61乃至演算チップ67それぞれは、図1および図2に示した半導体チップと同様に構成されている。
制御チップ61は、上述した制御チップ51Cに相当し、信号処理システムを構成する画像信号入力チップ62、予測タップ抽出チップ63、クラスタップ抽出チップ64、クラス分類チップ65、係数生成チップ66、および演算チップ67全体の制御を行う。
画像信号入力チップ62は、画像変換処理の対象である第1の画像信号を入力する(提供する)機能を有する。即ち、画像信号入力チップ62は、画像変換処理の対象である第1の画像信号を、例えば記憶している。さらに、画像信号入力チップ62は、第2の画像信号を構成する画素を、順次、注目画素とし、さらに、その注目画素の画素値を画像変換処理によって求めるのに用いられる第1の画像信号を構成する画素(の画素値)の幾つかを、記憶している第1の画像信号から提供する。
具体的には、画像信号入力チップ62は、注目画素に対応する第1の画像信号の画素(例えば、注目画素に対して空間的および時間的に最も近い位置にある第1の画像信号の画素)に対して、空間的または時間的に近い位置にある複数の画素を、第1の画像信号から抽出して提供する。
なお、画像信号入力チップ62では、例えば、外部から無線または有線によって、第1の画像信号を取得し、その取得した第1の画像信号を提供するようにすることも可能である。
予測タップ抽出チップ63は、画像信号入力チップ62が提供する第1の画像信号から、注目画素(の画素値)を予測するのに用いる画素(の画素値)の幾つかを、予測タップとして抽出する機能を有する。
クラスタップ抽出チップ64は、画像信号入力チップ62が提供する第1の画像信号から、注目画素をクラス分けするクラス分類を行うのに用いる画素(の画素値)の幾つかを、クラスタップとして抽出する機能を有する。
なお、注目画素の予測タップとクラスタップとしては、同一(のタップ構造)の画素を採用することもできるし、異なる画素を採用することもできる。
クラス分類チップ65は、クラスタップ抽出チップ64が抽出する注目画素のクラスタップなどに基づき、注目画素を、複数のクラスのうちのいずれかのクラスに分類するクラス分類を行い、その結果得られるクラスに対応するクラスコードを出力する機能を有する。
ここで、クラス分類チップ65は、例えば、注目画素のクラスタップを対象に、ADRC(Adaptive Dynamic Range Coding)を行うことにより得られる値を、クラスコードとして出力することができる。
ここで、KビットADRCにおいては、例えば、注目画素のクラスタップを構成する画素の画素値の最大値MAXと最小値MINが検出され、DR=MAX-MINを、集合の局所的なダイナミックレンジとし、このダイナミックレンジDRに基づいて、注目画素のクラスタップを構成する画素の画素値がKビットに再量子化される。即ち、注目画素のクラスタップを構成する各画素の画素値から、最小値MINが減算され、その減算値がDR/2Kで除算(量子化)される。そして、以上のようにして得られる、注目画素のクラスタップを構成するKビットの各画素の画素値を、所定の順番で並べたビット列が、ADRCコードとして出力される。従って、注目画素のクラスタップが、例えば、1ビットADRC処理された場合には、その注目画素のクラスタップを構成する各画素の画素値は、最大値MAXと最小値MINとの平均値で除算され(小数点以下切り捨て)、これにより、各画素の画素値が1ビットとされる(2値化される)。そして、その1ビットの画素値を所定の順番で並べたビット列が、ADRCコードとして出力される。クラス分類チップ65は、例えば、注目画素のクラスタップをADRC処理して得られるADRCコードを、注目画素のクラスコードとして出力する。
係数生成チップ66は、クラス分類チップ65が出力する注目画素のクラスコードのクラスのタップ係数を生成して出力する機能を有する。即ち、係数生成チップ66は、例えば、クラスごとのタップ係数を記憶しており、その記憶しているタップ係数のうちの、クラス分類チップ65が出力する注目画素のクラスコードのクラスのタップ係数を出力する。
ここで、タップ係数とは、ディジタルフィルタにおける、いわゆるタップにおいて入力データと乗算される係数に相当するものである。
演算チップ67は、予測タップ抽出チップ63が抽出する注目画素の予測タップと、係数生成チップ66が出力する注目画素のクラスのタップ係数とを用いて、注目画素の真値の予測値を求める所定の予測演算を行う機能を有する。即ち、演算チップ67は、注目画素の画素値(の予測値)、つまり、第2の画像信号を構成する画素の画素値を求めて出力する機能を有する。
次に、図7の演算チップ67における予測演算と、その予測演算に用いられる、タップ係数の学習について説明する。
いま、高画質の画像信号(高画質画像信号)を第2の画像信号とするとともに、その高画質画像信号をLPF(Low Pass Filter)によってフィルタリングする等してその画質(解像度)を低下させた低画質の画像信号(低画質画像信号)を第1の画像信号として、低画質画像信号から予測タップを抽出し、その予測タップとタップ係数を用いて、高画質画素の画素値を、所定の予測演算によって求める(予測する)ことを考える。
いま、所定の予測演算として、例えば、線形1次予測演算を採用することとすると、高画質画素の画素値yは、次の線形1次式によって求められることになる。
但し、式(1)において、xnは、高画質画素yについての予測タップを構成する、n番目の低画質画像信号の画素(以下、適宜、低画質画素という)の画素値を表し、wnは、n番目の低画質画素(の画素値)と乗算されるn番目のタップ係数を表す。なお、式(1)では、予測タップが、N個の低画質画素x1,x2,・・・,xNで構成されるものとしてある。
ここで、高画質画素の画素値yは、式(1)に示した線形1次式ではなく、2次以上の高次の式によって求めるようにすることも可能である。
いま、第kサンプルの高画質画素の画素値の真値をykと表すとともに、式(1)によって得られるその真値ykの予測値をyk’と表すと、その予測誤差ekは、次式で表される。
いま、式(2)の予測値yk’は、式(1)にしたがって求められるため、式(2)のyk’を、式(1)にしたがって置き換えると、次式が得られる。
但し、式(3)において、xn,kは、第kサンプルの高画質画素についての予測タップを構成するn番目の低画質画素を表す。
式(3)(または式(2))の予測誤差ekを0とするタップ係数wnが、高画質画素を予測するのに最適なものとなるが、すべての高画質画素について、そのようなタップ係数wnを求めることは、一般には困難である。
そこで、タップ係数wnが最適なものであることを表す規範として、例えば、最小自乗法を採用することとすると、最適なタップ係数wnは、次式で表される自乗誤差の総和Eを最小にすることで求めることができる。
但し、式(4)において、Kは、高画質画素ykと、その高画質画素ykについての予測タップを構成する低画質画素x1,k,x2,k,・・・,xN,kとのセットのサンプル数(学習用のサンプルの数)を表す。
式(4)の自乗誤差の総和Eの最小値(極小値)は、式(5)に示すように、総和Eをタップ係数wnで偏微分したものを0とするwnによって与えられる。
そこで、上述の式(3)をタップ係数wnで偏微分すると、次式が得られる。
式(5)と(6)から、次式が得られる。
式(7)のekに、式(3)を代入することにより、式(7)は、式(8)に示す正規方程式で表すことができる。
式(8)の正規方程式は、例えば、掃き出し法(Gauss-Jordanの消去法)などを用いることにより、タップ係数wnについて解くことができる。
式(8)の正規方程式を、多数の高画質画素それぞれのクラスごとにたてて解くことにより、最適なタップ係数(ここでは、自乗誤差の総和Eを最小にするタップ係数)wnを、クラスごとに求めることができる。
図7の係数生成チップ66には、例えば、第2の画像信号に相当する画質の画像信号を、学習の教師(真値)となる教師データとするとともに、その教師データの解像度を第1の画像信号の解像度に劣化させた画像信号を、学習の生徒となる生徒データとして、クラスごとに式(8)の正規方程式をたてて解くタップ係数の学習を行うことにより得られるクラスごとのタップ係数wnがあらかじめ記憶されている。
なお、上述のように、第2の画像信号に相当する画質の画像信号を、学習の教師データとするとともに、その教師データの解像度を劣化させた画像信号を、学習の生徒データととして、タップ係数の学習を行った場合、タップ係数としては、第1の画像信号を、その解像度を向上させた第2の画像信号に変換する解像度向上処理としての画像変換処理を行うものを得ることができる。
ここで、第1の画像信号に対応する生徒データとする画像信号と、第2の画像信号に対応する教師データとする画像信号の選択の仕方によって、タップ係数としては、各種の画像変換処理を行うものを得ることができる。
即ち、例えば、高画質画像信号を教師データとするとともに、その教師データとしての高画質画像信号に対して、ノイズを重畳した画像信号を生徒データとして、学習処理を行うことにより、タップ係数としては、第1の画像信号を、そこに含まれるノイズを除去(低減)した第2の画像信号に変換するノイズ除去処理としての画像変換処理を行うものを得ることができる。
また、例えば、ある画像信号を教師データとするとともに、その教師データとしての画像信号の画素数を間引いた画像信号を生徒データとして、または、所定の画像信号を生徒データとするとともに、その生徒データとしての画像信号の画素を所定の間引き率で間引いた画像信号を教師データとして、学習処理を行うことにより、タップ係数としては、第1の画像信号を、拡大または縮小した第2の画像信号に変換するリサイズ処理としての画像変換処理を行うものを得ることができる。その他、教師データおよび生徒データとする画像信号を所定のものとすることで、タップ係数としては、画素数の変換や、アスペクト比の変換、その他の任意の画像変換を行うものを得ることが可能である。
次に、図8のフローチャートを参照して、図7の画像変換装置としての信号処理システムにおいて行われる画像変換処理について説明する。
ステップS51において、画像信号入力チップ62が、第2の画像信号を構成する画素のうちの、まだ注目画素としていないもののうちの1つを、注目画素として選択し、さらに、その注目画素の画素値を画像変換処理によって求めるのに用いられる第1の画像信号を構成する画素(の画素値)の幾つかを、記憶している第1の画像信号から抽出して、信号処理用電波により送信する。
そして、ステップS51からS52に進み、予測タップ抽出チップ63が、画像信号入力チップ62から送信されてくる第1の画像信号を受信し、その第1の画像信号から、注目画素の画素値を予測するのに用いる画素(の画素値)の幾つかを、予測タップとして抽出する。さらに、ステップS52では、クラスタップ抽出チップ64が、画像信号入力チップ62から送信されてくる第1の画像信号を受信し、その第1の画像信号から、注目画素のクラス分類に用いる画素(の画素値)の幾つかを、クラスタップとして抽出する。
即ち、予測タップ抽出チップ63とクラスタップ抽出チップ64は、例えば、注目画素に対応する第1の画像信号の画素(例えば、注目画素に対して空間的および時間的に最も近い位置にある第1の画像信号の画素)に対して、空間的に近い位置にある複数の画素を、予測タップとクラスタップとして、それぞれ抽出する。
その後、ステップS52からステップS53に進み、クラスタップ抽出チップ64が、注目画素のクラスタップを、信号処理用電波により送信する。さらに、ステップS53では、クラス分類チップ65が、クラスタップ抽出チップ64から送信されてくる注目画素のクラスタップを受信し、そのクラスタップに基づき、注目画素を、複数のクラスのうちのいずれかのクラスに分類するクラス分類を行うことにより、注目画素のクラスを得て、ステップS54に進む。
ステップS54では、クラス分類チップ65が、注目画素のクラスを表すクラスコードを、信号処理用電波により送信する。さらに、ステップS54では、係数生成チップ66が、クラス分類チップ65から送信されてくる注目画素のクラスコードを受信し、そのクラスコードのクラスのタップ係数を生成して、ステップS55に進む。即ち、係数生成チップ66は、記憶しているタップ係数の中から、注目画素のクラスのタップ係数を読み出す。
ステップS55では、予測タップ抽出チップ63が、注目画素の予測タップを、信号処理用電波により送信するとともに、係数生成チップ66が、注目画素のクラスのタップ係数を、信号処理用電波により送信する。さらに、ステップS55では、演算チップ67が、予測タップ抽出チップ63から送信されてくる予測タップと、係数生成チップ66から送信されてくるタップ係数を受信し、その予測タップとタップ係数とを用い、式(1)の演算を行うことにより、注目画素(の画素値)を求め、処理を終了する。
なお、信号処理システムでは、以上のステップS51乃至S55の処理が、例えば、1画面(フレームまたはフィールド)の第2の画像信号の画素すべてを、順次、注目画素として行われる。
制御チップ61は、信号処理システム全体として、以上のような画像変換処理を行うために、画像信号入力チップ62乃至演算チップ67それぞれに、各自が行うべき信号処理を指示する信号処理指示信号を、信号処理用電波によって送信するとともに、スリープモードまたはアクティブモードとなるべき旨を指示するモード信号を、制御用電波により送信する。
そこで、図7の信号処理システムにおいて、図8の画像変換処理が行われる場合の、モード信号による画像信号入力チップ62乃至演算チップ67それぞれの動作モードの制御について説明する。
図8のステップS51の処理が行われるとき、制御チップ61は、図9に示すように、画像信号入力チップ62、予測タップ抽出チップ63、およびクラスタップ抽出チップ64を、アクティブモードとし、それら以外のクラス分類チップ65、係数生成チップ66、および演算チップ67を、スリープモードとする。これにより、ステップS51において、画像信号入力チップ62が、信号処理用電波により送信する第1の画像信号を、ステップS52において、アクティブモードとなっている予測タップ抽出チップ63とクラスタップ抽出チップ64のみが受信する。
ここで、図9においては(後述する図10乃至図12、および図15乃至図19においても、同様)、アクティブモードとなっている半導体チップ(ICチップ)を実線で表し、スリープモードとなっている半導体チップを点線で表してある。
図8のステップS53の処理が行われるとき、制御チップ61は、図10に示すように、クラスタップ抽出チップ64およびクラス分類チップ65をアクティブモードとし、それら以外の画像信号入力チップ62、予測タップ抽出チップ63、係数生成チップ66、および演算チップ67を、スリープモードとする。これにより、ステップS53において、クラスタップ抽出チップ64が、信号処理用電波により送信する注目画素のクラスタップを、アクティブモードとなっているクラス分類チップ65のみが受信する。
図8のステップS54の処理が行われるとき、制御チップ61は、図11に示すように、クラス分類チップ65および係数生成チップ66をアクティブモードとし、それら以外の画像信号入力チップ62、予測タップ抽出チップ63、クラスタップ抽出チップ64、および演算チップ67をスリープモードとする。これにより、ステップS54において、クラス分類チップ65が、信号処理用電波により送信する注目画素のクラスコードを、アクティブモードとなっている係数生成チップ66のみが受信する。
そして、図8のステップS55の処理が行われるとき、制御チップ61は、図12に示すように、予測タップ抽出チップ63、係数生成チップ66、および演算チップ67をアクティブモードとし、それら以外の画像信号入力チップ62、クラスタップ抽出チップ63、およびクラス分類チップ65をスリープモードとする。これにより、ステップS55において、予測タップ抽出チップ63が信号処理用電波により送信する注目画素の予測タップと、係数生成チップ66が信号処理用電波により送信する注目画素のクラスのタップ係数を、アクティブモードとなっている演算チップ67のみが受信する。
なお、この場合、予測タップ抽出チップ63と、係数生成チップ66とが、同一の信号処理用電波を送信すると混信することとなる。そこで、予測タップ抽出チップ63と、係数生成チップ66とでは、信号の供給にあたって、異なるキャリア周波数の信号処理用電波や、異なる拡散符号によるスペクトル拡散方式の信号処理用電波を用いるようにするのが望ましい。
その他、混信を避けるためには、まず、予測タップ抽出チップ63または係数生成チップ66のうちのいずれか一方をアクティブモードとするとともに、他方をスリープモードとして、そのアクティブモードとされた半導体チップから演算チップ67に信号処理用電波を送信し、その後、予測タップ抽出チップ63または係数生成チップ66のうちの他方をアクティブモードとするとともに、一方をスリープモードとして、そのアクティブモードとされた半導体チップから演算チップ67に信号処理用電波を送信するようにしても良い。
次に、図7の信号処理システムに、新たな半導体チップが配置された場合の信号処理システムの処理について説明する。
図13は、図7の画像変換装置としての信号処理システムに、新たな半導体チップとしての動き予測チップ71が配置された状態を示している。
動き予測チップ71は、制御チップ61乃至演算チップ67と同様に、図1および図2に示した半導体チップと同様に構成され、注目画素の動き予測を行い、即ち、注目画素の動き検出を行い、その動きを表す動きベクトルを出力する機能を有している。
図7の信号処理システムに、動き予測チップ71が新たに配置された場合、制御チップ61は、信号処理システム全体として、以下のような機能が協調分担によって実現されるように、画像信号入力チップ62乃至演算チップ67、および動き予測チップ71を制御する。
即ち、図14は、図13の画像変換装置としての信号処理システムにおいて行われる画像変換処理を説明するフローチャートである。
ステップS61において、画像信号入力チップ62が、図8のステップS51における場合と同様に、第2の画像信号を構成する画素のうちの、まだ注目画素としていないもののうちの1つを、注目画素として選択し、その注目画素の画素値を画像変換処理によって求めるのに用いられる第1の画像信号を構成する画素(の画素値)の幾つかを、記憶している第1の画像信号から抽出して、信号処理用電波により送信する。さらに、ステップS61では、画像信号入力チップ62が、注目画素の動きベクトルを検出するのに用いられる第1の画像信号を構成する画素(の画素値)の幾つかを、記憶している第1の画像信号から抽出して、信号処理用電波により送信する。
そして、ステップS61からS62に進み、予測タップ抽出チップ63とクラスタップ抽出チップ64が、画像信号入力チップ62から送信されてくる第1の画像信号を受信する。さらに、予測タップ抽出チップ63が、例えば、図8のステップS52における場合と同様に、第1の画像信号から、注目画素の画素値を予測するのに用いる画素(の画素値)の幾つかを、予測タップとして抽出する。また、ステップS62では、動き予測チップ71が、画像信号入力チップ62から送信されてくる第1の画像信号を受信し、その第1の画像信号を用いて、注目画素の動きベクトルを検出する。即ち、動き予測チップ71は、例えば、注目画素のフレーム(以下、適宜、注目フレームという)と同一フレームの、注目画素の位置付近の幾つかの第1の画像信号の画素のブロックマッチングを、注目フレームに隣接するフレームの第1の画像信号を対象に(に対して)行うことにより、注目画素の動きベクトルを求める。
その後、ステップS62からS63に進み、動き予測チップ71が、注目画素の動きベクトルを、信号処理用電波により送信し、クラスタップ抽出チップ64とクラス分類チップ65が、動き予測チップ71から送信されてくる注目画素の動きベクトルを受信する。さらに、ステップS63では、クラスタップ抽出チップ64が、動き予測チップ71から受信した注目画素の動きベクトルに基づき、画像信号入力チップ62から受信した第1の画像信号から、注目画素のクラス分類に用いる画素(の画素値)の幾つかを、クラスタップとして抽出する。即ち、クラスタップ抽出チップ64は、例えば、注目画素に対応する第1の画像信号の位置から、注目画素の動きベクトルだけずれた位置に対して、空間的に近い位置にある第1の画像信号の複数の画素を、クラスタップとして抽出する。
ここで、クラスタップ抽出チップ64は、図8のステップS52では、注目画素に対応する第1の画像信号の位置に対して、空間的に近い位置にある複数の画素を、クラスタップとして抽出するが、図14のステップS63では、注目画素に対応する第1の画像信号の位置から、注目画素の動きベクトルだけずれた位置に対して、空間的に近い位置にある複数の画素を、クラスタップとして抽出する。即ち、クラスタップ抽出チップ64のクラスタップを抽出する機能は、動き予測チップ71が新たに配置されることにより変更される。
その後、ステップS63からステップS64に進み、クラスタップ抽出チップ64が、注目画素のクラスタップを、信号処理用電波により送信する。さらに、ステップS64では、クラス分類チップ65が、クラスタップ抽出チップ64から送信されてくる注目画素のクラスタップを受信し、そのクラスタップと、ステップS63で動き予測チップ71から受信した注目画素の動きベクトルに基づき、注目画素を、複数のクラスのうちのいずれかのクラスに分類するクラス分類を行うことにより、注目画素のクラスを得て、ステップS65に進む。
ここで、クラス分類チップ65は、図8のステップS53では、注目画素のクラスタップのみを用いてクラス分類を行うが、図14のステップS64では、注目画素のクラスタップの他、注目画素の動きベクトルをも用いてクラス分類を行う。即ち、クラス分類チップ65のクラス分類を行う機能は、動き予測チップ71が新たに配置されることにより変更される。なお、注目画素のクラスタップと、注目画素の動きベクトルとを用いたクラス分類としては、例えば、注目画素のクラスタップを構成する画素と、注目画素の動きベクトルのコンポーネントとのすべてを対象とした、ADRC処理などを採用することができる。
ステップS65では、クラス分類チップ65が、注目画素のクラスを表すクラスコードを、信号処理用電波により送信する。さらに、ステップS65では、係数生成チップ66が、クラス分類チップ65から送信されてくる注目画素のクラスコードを受信し、そのクラスコードのクラスのタップ係数を生成して、ステップS66に進む。即ち、係数生成チップ66は、記憶しているタップ係数の中から、注目画素のクラスのタップ係数を読み出す。
ここで、図13の信号処理システムでは、クラス分類チップ65が、注目画素のクラスタップの他、注目画素の動きベクトルをも用いてクラス分類を行う。そして、注目画素のクラスタップのみを用いたクラス分類により得られるクラスの第1の体系と、注目画素のクラスタップと動きベクトルを用いたクラス分類により得られるクラスの第2の体系とは異なる。従って、係数生成チップ66は、第1と第2の体系それぞれについてのクラスごとのタップ係数を、少なくとも記憶しておく必要がある。そして、図7の信号処理システムにおいては、係数生成チップ66は、第1の体系についてのクラスごとのタップ係数の中から、注目画素のクラスのタップ係数を読み出す必要があり、図13の信号処理システムにおいては、係数生成チップ66は、第2の体系についてのクラスごとのタップ係数の中から、注目画素のクラスのタップ係数を読み出す必要がある。かかる観点からは、係数生成チップ66のタップ係数を生成する(読み出す)機能は、動き予測チップ71が新たに配置されることにより変更される、ということができる。
ステップS66では、予測タップ抽出チップ63が、注目画素の予測タップを、信号処理用電波により送信するとともに、係数生成チップ66が、注目画素のクラスのタップ係数を、信号処理用電波により送信する。さらに、ステップS66では、演算チップ67が、予測タップ抽出チップ63から送信されてくる予測タップと、係数生成チップ66から送信されてくるタップ係数を受信し、その予測タップとタップ係数とを用い、式(1)の演算を行うことにより、注目画素(の画素値)を求め、処理を終了する。
なお、信号処理システムでは、以上のステップS61乃至S66の処理が、例えば、1画面(フレームまたはフィールド)の第2の画像信号の画素すべてを、順次、注目画素として行われる。
制御チップ61は、信号処理システム全体として、以上のような画像変換処理を行うために、画像信号入力チップ62乃至演算チップ67、および動き予測チップ71それぞれに、各自が行うべき信号処理を指示する信号処理指示信号を、信号処理用電波によって送信するとともに、スリープモードまたはアクティブモードとなるべき旨を指示するモード信号を、制御用電波により送信する。
そこで、図13の信号処理システムにおいて、図14の画像変換処理が行われる場合の、モード信号による画像信号入力チップ62乃至演算チップ67、動き予測チップ71それぞれの動作モードの制御について説明する。
図14のステップS61の処理が行われるとき、制御チップ61は、図15に示すように、画像信号入力チップ62、予測タップ抽出チップ63、クラスタップ抽出チップ64、および動き予測チップ71を、アクティブモードとし、それら以外のクラス分類チップ65、係数生成チップ66、および演算チップ67を、スリープモードとする。これにより、ステップS61において、画像信号入力チップ62が、信号処理用電波により送信する第1の画像信号を、ステップS62において、アクティブモードとなっている予測タップ抽出チップ63、クラスタップ抽出チップ64、および動き予測チップ71のみが受信する。
図14のステップS63の処理が行われるとき、制御チップ61は、図16に示すように、クラスタップ抽出チップ64、クラス分類チップ65、および動き予測チップ71をアクティブモードとし、それら以外の画像信号入力チップ62、予測タップ抽出チップ63、係数生成チップ66、および演算チップ67を、スリープモードとする。これにより、ステップS63において、動き予測チップ71が、信号処理用電波により送信する注目画素の動きベクトルを、アクティブモードとなっているクラスタップ抽出チップ64およびクラス分類チップ65のみが受信する。
図14のステップS64の処理が行われるとき、制御チップ61は、図17に示すように、クラスタップ抽出チップ64およびクラス分類チップ65をアクティブモードとし、それら以外の画像信号入力チップ62、予測タップ抽出チップ63、係数生成チップ66、演算チップ67、および動き予測チップ71をスリープモードとする。これにより、ステップS64において、クラスタップ抽出チップ64が、信号処理用電波により送信する注目画素のクラスタップを、アクティブモードとなっているクラス分類チップ65のみが受信する。
図14のステップS65の処理が行われるとき、制御チップ61は、図18に示すように、クラス分類チップ65および係数生成チップ66をアクティブモードとし、それら以外の画像信号入力チップ62、予測タップ抽出チップ63、クラスタップ抽出チップ64、演算チップ67、および動き予測チップ71をスリープモードとする。これにより、ステップS65において、クラス分類チップ65が、信号処理用電波により送信する注目画素のクラスコードを、アクティブモードとなっている係数生成チップ66のみが受信する。
そして、図14のステップS66の処理が行われるとき、制御チップ61は、図19に示すように、予測タップ抽出チップ63、係数生成チップ66、および演算チップ67をアクティブモードとし、それら以外の画像信号入力チップ62、クラスタップ抽出チップ63、クラス分類チップ65、および動き予測チップ71をスリープモードとする。これにより、ステップS66において、予測タップ抽出チップ63が信号処理用電波により送信する注目画素の予測タップと、係数生成チップ66が信号処理用電波により送信する注目画素のクラスのタップ係数を、アクティブモードとなっている演算チップ67のみが受信する。
なお、この場合、図7乃至図12で説明したのと同様に、予測タップ抽出チップ63と、係数生成チップ66とが、同一の信号処理用電波を送信すると混信することとなる。そこで、予測タップ抽出チップ63と、係数生成チップ66とでは、異なるキャリア周波数の信号処理用電波や、異なる拡散符号によるスペクトル拡散方式の信号処理用電波を用いるようにするのが望ましい。あるいは、混信を避けるために、まず、予測タップ抽出チップ63または係数生成チップ66のうちのいずれか一方をアクティブモードとして、そのアクティブモードとされた半導体チップから演算チップ67に信号処理用電波を送信し、その後、予測タップ抽出チップ63または係数生成チップ66のうちの他方をアクティブモードとして、そのアクティブモードとされた半導体チップから演算チップ67に信号処理用電波を送信するようにする必要がある。
以上、本発明を、半導体チップに適用した場合について説明したが、本発明は、その他、例えば、回路基板にも適用することができる。即ち、上述した説明は、半導体チップに相当する記述を、回路基板に読み替えたものとすることが可能である。
図20は、本発明を適用した信号処理システムの他の一実施の形態の構成例を示している。
図20では、信号処理システムは、3つの回路基板で構成されている。各回路基板は、図1および図2に示した半導体チップと同様に構成され、回路基板どうしは、無線により信号を送受信する。
従って、図20の信号処理システムでも、図7や図13における場合と同様に、回路基板どうしで信号をやりとりする配線に拘束されない機能の変更を、容易に行うことができる。
ここで、上述した半導体チップや回路基板によって、電子機器を構成した場合には、そのような複数の電子機器が近接して配置されたときに、各電子機器の機能を変更(バージョンアップ)させることができる。即ち、例えば、半導体チップや回路基板によって構成されたテレビジョン受像機とVTR(Video Tape Recoder)がそれぞれ単独で離れた位置に配置された場合と、それらが隣接するように配置された場合とで、テレビジョン受像機とVTRの機能を変更させることができる。
なお、本実施の形態では、無線回路12による無線通信を無効または有効とした状態を、それぞれスリープモードまたはアクティブモードとしたが、その他、例えば、信号処理回路13による信号処理の機能を無効または有効とした状態を、それぞれスリープモードまたはアクティブモードとすることが可能である。
また、本実施の形態では、信号処理システムを構成する半導体チップの1つを、制御チップ51C(制御チップ61)とするようにしたが、制御チップ51Cの機能は、シールド筐体41に、あらかじめ持たせておくことが可能である。この場合、信号処理システムを構成する半導体チップとして、制御チップ51Cを設ける必要はなくなる。
さらに、制御チップ51Cは、信号処理システム中に複数チップ存在してもかまわない。この場合、例えば、その複数チップのうちの1チップだけを制御チップ51Cとして機能させることができる。さらに、この場合、その複数チップのうちの他のチップは、スリープモードとしておいても良いし、子チップ51Nとして機能させることもできる。
また、本実施の形態では、制御チップ51Cから制御用電波により送信されてくるモード信号によって、子チップ51Nがアクティブモードまたはスリープモードとなるようにしたが、子チップ51Nが、自身の動作モードを設定するようにすることが可能である。即ち、子チップ51Nは、例えば、信号処理回路13(演算回路14)において負荷の高い処理を行っている場合は、自身の動作モードをスリープモードとして、外部からの信号処理用電波による信号を受け付けないようにすることが可能である。
さらに、本実施の形態では、モード信号のみを、制御用電波によって送受信するようにしたが、その他、例えば、ポーリングの信号、レスポンスの信号、ID、または機能情報も、制御用電波によって送受信することが可能である。
また、本実施の形態では、信号をやりとりする通信を、電波(電磁波)によって行うこととしたが、通信は、その他、例えば、赤外線等の光によって行うようにすることが可能である。さらに、通信は、無線ではなく、光ファイバ等を用いた有線で行うことも可能である。
さらに、ICチップ51iの信号処理回路13による信号処理の対象とする信号は、画像信号に限られるものではなく、音声信号その他であっても良い。
また、図1乃至図6の実施の形態では、本発明を、
3以上の信号処理手段としてのICチップ511乃至517を備える信号処理装置において、
ICチップ511乃至517それぞれが、
他のICチップと通信を行う通信部としての無線回路12と、
無線回路12で受信した信号に基づいて信号処理を行う信号処理部としての信号処理回路13と
を有し、
ICチップ511乃至517のうちの少なくとも1つは、
他のすべてのICチップとの通信を同時に行う第1の通信と、
他のICチップから、通信相手を制限して通信を行う第2の通信と
を行う
ことを特徴とする信号処理装置
に適用した場合について説明したが、その他、本発明は、例えば、
第1、第2、および第3の信号処理手段を備える信号処理装置において、
前記第1の信号処理手段は、
他の信号処理手段と通信を行う第1の通信部と、
前記第1の通信部で受信した信号に基づいて信号処理を行う第1の信号処理部と
を有し、
前記第2の信号処理手段は、
他の信号処理手段と通信を行う第2の通信部と、
前記第2の通信部で受信した信号に基づいて信号処理を行う第2の信号処理部と
を有し、
前記第3の信号処理手段は、
他の信号処理手段と通信を行う第3の通信部と、
前記第3の通信部で受信した信号に基づいて信号処理を行う第3の信号処理部と
を有し、
前記第1乃至第3の通信部は、
他のすべての信号処理手段との通信を同時に行う第1の通信と、
他の信号処理手段から、通信相手を制限して通信を行う第2の通信と
を行う
ことを特徴とする信号処理装置
に適用することが可能である。
1 信号処理ブロック, 2 制御ブロック, 11 アンテナ, 12 無線回路, 13 信号処理回路, 14 演算回路, 15 記憶回路, 21 アンテナ, 22 無線回路, 23 信号処理回路, 24 演算回路, 25 記憶回路, 26 選択回路, 27 アース端子, 28 電源端子, 41 シールド筐体, 42 接続面42, 511乃至517 ICチップ, 61 制御チップ, 62 画像信号入力チップ, 63 予測タップ抽出チップ, 64 クラスタップ抽出チップ, 65 クラス分類チップ, 66 係数生成チップ, 67 演算チップ, 71 動き予測チップ