JP4410909B2 - 光触媒パルプ粒体及び光触媒パルプ粒体の製造方法 - Google Patents

光触媒パルプ粒体及び光触媒パルプ粒体の製造方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ペット等のトイレとなる容器内に敷設されて、糞尿を受けるための便床として使用される粒体に関し、より詳細には、糞尿より発生する悪臭や、糞尿に対する細菌の発生等を防止することのできる光触媒パルプ組成物を原料として成る粒体に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年のペットブームによりペットを飼育する家庭、特に室内においてペットを飼育する家庭が増えている。このように家庭、特に室内において飼育されているペットは、例えばペットのトイレと成る容器内に、糞尿中の水分等を吸収するための砂、その他の粒体を敷設して便床を形成し、ペットがこの便床に排便を行うよう躾け、便床上に排便された糞尿を飼い主が回収して廃棄することが一般に行われている。
【0003】
そして、この便床を成す粒体には、糞尿からの悪臭の発生を防止するために、ゼオライト、ベントナイト、活性炭等の多孔性物質を使用して、悪臭を吸着・消臭し得るよう構成したものや、木屑を糊や増粘剤で固めたものに芳香剤を添加して、悪臭の不快感を芳香剤の芳香で紛らわせるよう構成したもの等がある。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
前述のように、ゼオライトを使用した便床にあっては、ゼオライトの吸着性によりアンモニアイオン等が吸着され、悪臭の発生を防止することができる。
【0005】
しかし、ゼオライトによる消臭は、ゼオライトがある一定の量、アンモニア等を吸着すると飽和状態となりその消臭性能は極端に低下する。そのため、長時間にわたって高い消臭性能を発揮することができない。
【0006】
また、ゼオライトは、例えばペットの糞尿と共に下水に流した場合には溶解せず、水洗トイレ等に流して処理することはできない。そのため、飼い主は便床と共に回収された糞尿を、例えば各地区により定められているゴミの回収日迄所定の日数保管し、回収日にこれを廃棄する等の処理を行う必要があり、その取り扱いが煩雑である。
【0007】
また、ゼオライトは、糞尿からの悪臭の発生を防止することはできるものの、糞尿に対する雑菌の繁殖を防止することができず、前述のように糞尿の保管を行う場合、特に室内にて保管を行う場合には非衛生的である。
【0008】
ベントナイトを使用した便床にあっては、糞尿を固形化して臭気を吸着封鎖するものであるため、排便後の糞尿の取扱に優れるが、吸着性、すなわち脱臭力の点で前述のゼオライトに劣る。
【0009】
また、ゼオライトと同様に糞尿と共に下水等に流すことができず、ゴミの収集日迄保管する必要がある等の取り扱いが面倒である点、及び雑菌の繁殖、腐食等を防止を行うことができない点で前述のゼオライトと同様の欠点を有する。
【0010】
さらに、吸着剤として活性炭を使用した便床にあっては、活性炭は高い消臭効果を発揮するものの、水分を吸着することによりその吸着性能が著しく低下し、従って糞尿、特に尿と接触する便床の消臭剤には適さない。
【0011】
さらに、木屑をのりや増粘剤でかため、芳香剤を添加して成る便床にあっては、糞尿より発生する悪臭を除去するものではなく、糞尿より発生する悪臭を芳香剤の芳香で紛らわせているだけなので、悪臭を完全に消し去ることはできない。また、糞尿に対する雑菌の繁殖、腐食等を防止することもできない。
【0012】
なお、糞尿に対して雑菌が繁殖したり、腐食したりすることを防止するために、便床として使用される粒体に抗菌性、抗黴性を付与する方法も考えられ、例えばフェノール系、クロール系、イミダゾール系有機殺菌剤を使用することも考えられるが、これらの多くは毒性が強く、また、発ガン性などを有する物質もあることから、ペットに対する悪影響、さらにはこのような物質を含有する便床を扱う飼い主に対して悪影響を及ぼすおそれもある。また、このような便床を下水に流して処理する場合には、周辺環境に悪影響を及ぼすおそれもあり、このような処理を行うことはできない。
【0013】
本発明は、上記従来技術における欠点を解消するためになされたものであり、悪臭を分解・除去し得るのみならず、水溶性を有し、従って下水等に流して簡単に処理することができると共に、ペットや人体に有害な殺菌剤、抗菌剤等を含有することなく糞尿に対する雑菌の繁殖、腐食の発生等を防止することができ、従ってペット用の便床等に使用するに適した光触媒パルプ粒体を提供することを目的とする。
【0014】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明の光触媒パルプ粒体は、平均繊維径5〜300μm、平均繊維長3mm以内のパルプ及び/又は紙40〜97wt%の表面に酸化チタン3〜60wt%が固定されて成る光触媒パルプ組成物を、一例として粒径1mm〜30mmに造粒して成ることを特徴とする。
【0015】
また、本発明の別の光触媒パルプ粒体は、平均繊維長3mm以下に微粉砕されたパルプ及び/又は紙を造粒して成る核粒子と、前記核粒子の表面を被覆する光触媒パルプ組成物の層から形成されて成り、前記光触媒パルプ組成物の層が、平均繊維径5〜300μm、平均繊維長3mm以内のパルプ及び/又は紙40〜97wt%の表面に酸化チタン3〜60wt%が固定されて成る光触媒パルプ組成物を核粒子の表面に付着させて形成されて成ることを特徴とする。
【0016】
また、本発明の光触媒パルプ粒体の製造方法は、酸化チタン3〜60wt%に、平均繊維径5〜300μm、平均繊維長0.1〜70mmのパルプ及び/又は紙を40〜97wt%の割合で配合して成る配合物に対して、ミキサ80等により攪拌衝撃力を付加して攪拌して、前記攪拌衝撃力に基づく剪断力により剪断発熱を生じさせ、この剪断発熱により前記配合物を乾燥して含有水分量を3wt%以内に低下せしめると共に、前記攪拌衝撃力により前記酸化チタンを前記パルプ及び/又は紙の繊維表面に押し付けて固定化されて成る光触媒パルプ組成物を得る工程(光触媒パルプ組成物の製造工程)と、
前記光触媒パルプ組成物を、繊維長3mm以下に微粉砕する工程(微粉砕工程)と、
前記微粉砕された光触媒パルプ組成物に結合剤を添加して造粒する工程(造粒工程)と、
前記工程により得られた造粒品を、含有水分量10wt%以内に乾燥する工程(乾燥工程)から成ることを特徴とする(図1参照)。
【0017】
核粒子の表面に光触媒パルプ組成物の層が形成されてなる光触媒パルプ粒体にあっては、前述の光触媒パルプ組成物の製造工程、光触媒パルプ組成物の微粉砕工程を有すると共に、例えば新聞、雑誌、チラシ、カタログ、コピー用紙、段ボール等として使用され回収された古紙を微粉砕する等して得られた、平均繊維長3mm以下のパルプ及び/又は紙に結合剤を添加して造粒して造粒物を得る工程(核粒子の製造工程)と、
前記工程により得られた造粒物を核粒子と成し、該核粒子の表面に前記微粉砕された光触媒パルプ組成物を結合剤により付着させ、前記核粒子の表面に光触媒パルプ組成物の層を形成する工程(再造粒工程)と、
前記工程により光触媒パルプ組成物の層が形成された造粒物を、含有水分量10wt%以下に乾燥する工程(乾燥工程)から成る(図2参照)。
【0018】
なお、前述の造粒、再造粒に使用される結合剤(バインダ)としては、水、又は水に対して重量比で10wt%以下のゼラチンや馬鈴薯・でんぷん・PVAなどの糊剤を添加した水を使用することができ、これらの結合剤を好ましくは被結合材に対して重量比で40wt%以上添加する。
【0019】
【発明の実施の形態】
本発明の光触媒パルプ粒体は、パルプ及び/又は紙に、紫外線により活性化され、従って脱臭や抗菌、有機物、アンモニア、N0x,S0xなどを酸化分解する光触媒性を有する酸化チタンを担持させたことにより、水溶性、可燃性を有すると共に防臭性、抗菌性に優れる。本発明の光触媒パルプ粒体は、少なくとも以下の工程により製造される(図1参照)。
【0020】
パルプ及び/又は紙と酸化チタンを攪拌して、酸化チタンが固定されたパルプ及び/又は紙(本明細書において「光触媒パルプ組成物」という)を製造する工程(光触媒パルプ組成物の製造工程)、
前記工程により製造された光触媒パルプ組成物を微粉砕する工程(微粉砕工程)、
前記微粉砕された光触媒パルプ組成物に水等をバインダとして加え、造粒する工程(造粒工程)、
前記造粒工程により得られた造粒物を、含有水分量10wt%以下に乾燥させる工程(乾燥工程)。
【0021】
なお、前記造粒工程においては、バージンパルプ、古紙から回収された再生パルプ、古紙、その他の紙を微粉砕して成るパルプないしは紙を造粒して形成された粒体を核粒子とし、この表面に前述の微粉砕された光触媒パルプ組成物をコーティングして(再造粒工程)、光触媒パルプ粒体を製造しても良く、この場合には、本発明は核粒子となる粒体の製造工程をも含む(図2参照)。
【0022】
〔実施形態1〕
本実施形態にあっては、光触媒パルプ組成物の製造工程を経て製造された光触媒パルプ組成物を微破砕工程により微破砕し、この微破砕された光触媒パルプ組成物を造粒、乾燥して本発明の光触媒パルプ粒体を得る例を示す。
【0023】
〔光触媒パルプ組成物の製造工程〕
本工程では、光触媒である酸化チタンとパルプ及び/又は紙とを攪拌し、パルプ繊維の表面に酸化チタンが固定されたパルプ及び/又は紙、すなわち本明細書における「光触媒パルプ組成物」を得る。
【0024】
なお、本実施形態にあっては、光触媒パルプ組成物の原料として製紙工程における所謂「バージンパルプ」を使用する例について説明するが、パルプの種類としてはこの「バージンパルプ」に限定されることなく、既知の方法により古紙から回収された再生パルプを使用しても良く、また、古紙等を微粉砕して得られた紙ないしはパルプを使用しても良く、さらにこれらを適宜混合したものを使用しても良い。
【0025】
本実施形態においては、図3に示す攪拌手段(本明細書において便宜上「ミキサ」という)を使用して酸化チタンとパルプとを乾式で攪拌し、パルプ繊維の表面に酸化チタンを固定する。
【0026】
図1に示すように、ホッパ等に投入されたパルプは、スクリューコンベア等により適宜量づつミキサ80内に投入される。このミキサ80内に投入されたパルプは、ミキサ80の上方に配置されたタンク12より落下して添加された酸化チタンと共に高速回転する攪拌衝撃翼85,86,87により攪拌され、この攪拌衝撃翼85,86,87による攪拌衝撃力に基づく剪断力により剪断発熱を生じさせ、温度約120℃に上昇させ、酸化チタンおよびパルプの水分含有量を3wt%好ましくは、1wt%以下とする。
【0027】
この工程で、パルプから水分が蒸発して乾燥すると共に、前記パルプに酸化チタンを前記撹拌衝撃翼85,86,87による撹拌衝撃力ないし剪断力に伴う押し付け外力によって付着、浸入固定させる。
【0028】
酸化チタンとパルプとの混合比は、3〜60wt%、好ましくは5〜50wt%の酸化チタンと、平均繊維径5〜300μm、平均繊維長0.1〜70mmのパルプ40〜95wt%、好ましくは80〜50wt%とを前記ミキサ80内に投入して攪拌衝撃力を付加することにより光触媒パルプ組成物が製造される。
【0029】
酸化チタンの混合比を3〜60wt%、好ましくは5〜50wt%としたのは、酸化チタンを3wt%以下とすると光触媒パルプ組成物の抗菌・消臭性能に欠け、一方、60wt%以上では酸化チタンをパルプ繊維に固定しきれず、酸化チタン自身の歩留りが非常に悪くなり、コスト高となるためである。
【0030】
なお、ここで使用される酸化チタンの粒径は小さいほど能力がよいが、例えばX線粒径5〜50nmを用いることができる。
【0031】
パルプの混合比を40〜95wt%、好ましくは80〜50wt%としたのは、それぞれ下記の理由による。
【0032】
パルプの量を40wt%以下とすると、パルプの量が少なくなり表面に酸化チタンを固定することが困難であり、95wt%以上ではパルプ量が多すぎて酸化チタンの持つ光触媒性能が十分に発揮できないためである。
【0033】
なお、バージンパルプを使用する場合、通常、板状の乾式パルプのとき、10wt%程度の含水率であるが、これより含水率が高い場合も、酸化チタン混入前に上記ミキサーあるいは、既知のドライヤーにより水分10wt%以下に予備乾燥が行われることになり、あるいは行うことが好ましい。
【0034】
この工程において酸化チタンの付着、固定が完了し光触媒パルプ組成物を形成する。
【0035】
この工程で、原材料内のパルプ及び/又は紙は大きな塊とはならず、個々の繊維が相互に硬く絡み合ったりせずに解綿状に緩んだ繊維状のままで凝集し、この意味で三次元繊維絡合体に形成され、この個々のパルプがそのパルプの繊維単体の表面全体に酸化チタンを付着した状態に形成され、これらの個々のパルプが集合した解綿状の塊であるため、パルプ単体間の密着性がなく塊そのものは嵩比重の高いものである。
【0036】
上記工程をさらに詳述すると、パルプの水分含有量は、3wt%以下となっているため、酸化チタンとパルプとの界面をなくし、パルプへ均一な密度で酸化チタンが分散され、パルプへ吸着ないしは、付着しやすくすると共に完全にパルプ外周を包囲するかたちで、混合分散される。
【0037】
以上のようにして形成された光触媒パルプ組成物は、ミキサ80に設けられた排出ダクト93を介して排出され、次の微粉砕工程に付される。
【0038】
〔微粉砕工程〕
本工程は、前述の光触媒パルプ組成物の製造工程により製造された光触媒パルプ組成物を所定のサイズに微粉砕すると共に、必要に応じて添加材を添加し、これを微粉砕された光触媒パルプ組成物と共に攪拌・混合する工程であり、本実施形態にあっては本工程において光触媒パルプ組成物を繊維長3mm以下となる迄微粉砕する。
【0039】
このように、本工程において光触媒パルプ組成物の繊維長を3mm以下に微粉砕すると、次の造粒工程において光触媒パルプ組成物が粒状にまとめ易くなる。すなわち、繊維長が3mmより長いとお互いに絡まりやすくなり、粒状で均一な造粒品が得られない。したがって微粉砕するときはできるだけ粉状にするほうが良く、好ましくはパルプの平均繊維径である5〜300μm迄微粉砕することが望ましい。
【0040】
もっとも、パルプの長さをその平均繊維径に迄微粉砕するには長時間を要することから、製造コスト等をも考慮して本実施形態にあっては微粉砕により得られる光触媒パルプ組成物の繊維長さが3mm以下程度となるよう微破砕する。
【0041】
また、本工程においては、前述の光触媒パルプ組成物と、光触媒パルプ組成物と共に必要に応じて添加された添加剤を攪拌する作用をも有し、最終的に生産される光触媒パルプ粒体が、添加材を含むものである場合には、本工程においてこれらの添加材を混入する。
【0042】
本工程において添加される添加材としては、下表1に示すように、製品の白色化、着色、不透明性、重量増加等を目的として増量材として添加される、クレイ、カオリン、炭酸カルシウム、二酸化チタン、タルク等の無機系鉱物がある。
【0043】
【表1】
Figure 0004410909
また、本発明の光触媒パルプ粒体の防臭、消臭効果を増強するために、活性炭・シリカゲル・ゼオライトなどの吸着剤を添加しても良く、さらに、着色を目的として顔料を添加しても良い。
【0044】
着色を目的として添加する顔料としては、無機顔料と有機顔料とに大別され、その形態は数μm〜数十μmの粉末状を成す。硫酸バンド、ポリアクリルアミド、ポリアミドアミン等の定着剤と併せて使用される。
【0045】
無機顔料としては、一例として前掲の増量材としても紹介した酸化チタン(TiO)の他、弁柄(FeO)、酸化クロム(CrO)、チタンエロー(TiO・BaO・NiO)等があり、有機顔料の一例として、アゾ顔料、フタロシニアン、縮合多環顔料等がある。これらの添加材は、好適には光触媒パルプ組成物に対して20wt%以下の範囲で添加する。
【0046】
図4中、100は、一例として本工程において光触媒パルプ組成物を微粉砕するために使用する攪拌・造粒機であり、本実施形態にあっては、複数の工程で共通の装置を使用することにより設備投資の低減が図れることから図4に示す単一の攪拌・造粒機100〔株式会社新幸インベスト社製のHDM(ハイディメンションミキサー)〕により、微粉砕工程と、後述の造粒工程を行う例を示すが、微粉砕工程及び造粒工程はそれぞれ別個の装置により行っても良い。
【0047】
この攪拌・造粒機100は、原材料が投入される攪拌容器101の底面を掻き取りながら回転するアジテーションブレード102と、前記攪拌容器101の側面より攪拌容器101内に突出し、内部で回転するサイドカッタ103を備えており、この攪拌・造粒容器101内に前記工程において得られた光触媒パルプ組成物を投入して乾式で攪拌すると、攪拌容器101内に投入された光触媒パルプ組成物は、サイドカッター103、アジテーションブレード102による衝撃力を受けて乾燥されると共に微粉砕される。
【0048】
この微粉砕は、好ましくは光触媒パルプ組成物の繊維長が3mm以下となる迄行うと共に、攪拌・造粒機の攪拌作用により、この微粉砕された光触媒パルプ組成物及び添加材が混合されて両者の混合物が得られる。
【0049】
なお、本明細書において説明の便宜上、前述の微粉砕された光触媒パルプ組成物、又は添加材が添加される場合には前記微粉砕された光触媒パルプ組成物と添加材との混合物を総称して、以下「光触媒微粉砕パルプ」として説明する。
【0050】
〔造粒工程〕
以上のようにして得られた光触媒微粉砕パルプには、タンク14からスプレー状に攪拌容器101内に噴射された結合剤(バインダ)が添加され(図1参照)、結合材が添加された光触媒微粉砕パルプを前述の攪拌・造粒機100によりさらに攪拌して所定の粒径に造粒する。
【0051】
この造粒工程において使用されるバインダは、本実施形態にあっては水であり、前述の工程において得られた光触媒微粉砕パルプにバインダとして水を添加し、また必要に応じてこの水に染料等を添加し、水及び/又は水及び染料の添加された光触媒微粉砕パルプを再度前述の攪拌・造粒機100により攪拌して所定の粒径の造粒物を得ている。
【0052】
本工程においてバインダと共に添加される染料は、前工程において増量材として添加される「顔料」とは異なり、結合剤(本実施形態にあっては水)に溶解するものを使用する。本工程において添加される「染料」としては、水に溶解する、例えば以下に示すものを染料として使用することができる。
【0053】
(直接染料) 長い共役二重結合を持つ細長い構造である。セルロースの水酸基と水素結合して染着する。硫酸バンド、ぼう硝を加え結晶化させる。アゾ基が発色体、メトキシル基等が助色団であることが特徴。
【0054】
(塩基性染料) 色素イオンがカチオンである染料。ジフェニルメタン、トリフェニルメタン、アミン基を有するモノアゾ染料の一種。
【0055】
本実施形態では水である結合剤(バインダ)は、光触媒微粉砕パルプに対して40wt%以上添加する。加える水が40wt%より少ないと付着水となり結合はされないが、40wt%以上で結合水となり始めるため、造粒が可能になる。
【0056】
造粒は一時的な結合で分子間力、液架橋による力、分子間に保持される液による力、摩擦力によって結合される。使用される結合剤としては、前述の水に加えてゼラチンや馬鈴薯・でんぷん・PVAなどの糊等を酸化チタンの光触媒性能(脱臭・抗菌)を損なわない程度に添加しても良い。
【0057】
なお、ゼラチンや馬鈴薯・でんぷん・PVAなどの糊剤は、水に溶解されて10wt%以下の水溶液となるよう調整し、水のみを結合剤として加えるときと同様この水溶液を光触媒微粉砕パルプに対して40wt%以上の量で添加する。
【0058】
なお、前述の糊剤を多量に含むバインダを使用すると、光触媒である酸化チタンの光触媒性能(脱臭・抗菌)が損なわれてしまうことから、前述のように糊の含有量は10wt%以下であることが好ましい。
【0059】
以上のようなバインダが添加された光触媒微粉砕パルプは、前述の攪拌・造粒機100内において攪拌されて所定の粒径の粒体に造粒される。この攪拌・造粒機100は、攪拌が行われる攪拌槽101が上方に向かって絞り込まれた形状を成し、アジテーションブレード102及びサイドカッタ103の回転による攪拌と共に振動により光触媒微粉砕パルプを振動させて混合性能・造粒性能を高めたものであり、さらにタンク14内のバインダをスプレーにより添加することにより、造粒品の大きさを均一にすることができる。
【0060】
〔乾燥工程〕
前述の造粒工程を経て得られた造粒品は、そのままではバインダーとして使用した水分が多量に含まれており、糞尿中の水分を吸収し難く、水分の高吸収性が要求される便床としての用途に適さないことから、これを好ましくは10wt%以下の含水率になるよう乾燥して本発明の光触媒パルプ粒体と成す。
【0061】
この乾燥方法は、前述の含水率に乾燥し得るものであれば、天日乾燥等の自然乾燥、その他の既知各種の乾燥方法により行うことができ、本実施形態にあっては一例として熱風乾燥機130を使用して乾燥させている。
【0062】
この熱風乾燥機130は、前述の造粒品が投入されたホッパ131内に、ヒータ132により加熱された空気をブロワ133を介して導入すると共に、排気フィルタ134又はサイクロン135を介して除塵されたホッパ131内の空気を排気することにより、ホッパ131内に投入された造粒品を乾燥するもので、熱風乾燥機130の一例として株式会社松井製作所製のHDII-150(図5)や株式会社カワタ社製のカワタエースドライヤーAD-15(図6)等が使用可能である。
【0063】
熱風乾燥機130による乾燥は、好ましくは設定温度を約50℃〜100℃として造粒品の含有水分量が10wt%以下となる迄行う。乾燥温度は、前述の温度条件に限定されるものではないが、高温で乾燥する場合には、光触媒パルプ組成物が黄変を起こして製品の見栄えが悪くなる一方、低温での乾燥は長時間を要するため、約50℃〜100℃とするのが好適であり、また、便床として使用した際の糞尿中の水分の吸収を良くするため、含有水分量が10wt%以下となる迄乾燥している。
【0064】
また、乾燥時間は、バインダとして添加される水の量、製造される粒体の粒径、その他各種の条件により異なるが、一例として約10分〜1時間程度である。
【0065】
なお、乾燥装置として、図5及び図6に熱風乾燥機を一例として示したが、本発明において使用する乾燥装置は前記図5及び図6に示す構成のもに限定されるものではなく、既知の各種の乾燥装置を使用することがてきる。
【0066】
一般に、乾燥設備としては熱源と加熱方式の類別により、勳煙式、電気式、燃焼ガス式、煙道式、蒸気式などがあり、循環方式により自然循環式と強制循環式とあり、後者はさらに外部送風式と内部送風式とがある。造粒品を乾燥する乾燥機はロータリキルン型のもの、蒸気管自体が回転する形式のもの、フラッシュドライヤ、ジェットドライヤなど各種の形式のものがあるが、大規模化するにつれて、送風タイプの物が多くなり、熱風を円筒型の炉の円周に沿ってスパイラル状に吹きつけながら造粒品を移送するジェットドライヤは最も多く使われているが、前記工程を経て得られた造粒品を乾燥可能なものであればこれらいずれの乾燥装置を使用しても良く、また、その他既知の乾燥装置又は乾燥方法を使用して乾燥させても良い。
【0067】
〔実施形態2〕
以上、実施形態1にあっては、光触媒パルプ組成物又は光触媒パルプ組成物と添加材のみから成る光触媒パルプ粒体を製造する例について説明したが、本実施形態において光触媒パルプ粒体は、光触媒である酸化チタンが担持されていないパルプ及び/又は紙を造粒して成る核粒子を有し、この核粒子の表面に光触媒パルプ組成物の層を形成して構成されている。
【0068】
なお、本実施形態においては、この核粒子を古紙として回収された新聞、雑誌、段ボール、チラシその他紙を微粉砕して得られたパルプないしは紙を造粒して製造する例について説明するが、この核粒子はバージンパルプ、再生パルプを原料として製造されたものであっても良く、また、これらを適宜の割合で配合して製造したものであっても良い。
【0069】
このように、古紙を原料として製造された核粒子の外周に、光触媒パルプ組成物をコーティングしてなる光触媒パルプ粒体は、光触媒パルプ組成物の製造工程、前記工程により製造された光触媒パルプ組成物の微粉砕工程を有する点については前述の実施形態1の場合と同様であるが、本実施形態にあっては、回収された古紙を破砕・粉砕し、この破砕・粉砕された古紙を造粒して核粒子を得る工程(核粒子の製造工程)、
前記工程により得られた核粒子の外周に光触媒パルプ組成物の微粉砕工程により得られた光触媒微粉砕パルプを付着させて核粒子を包囲する光触媒パルプ組成物の層を形成する工程(再造粒工程)、
さらに、この再造粒工程により得られた造粒品を乾燥する乾燥工程を含む(図1参照)。
【0070】
〔核粒子の製造工程〕
本実施形態にあっては、光触媒パルプ粒体の核粒子と成る粒体を、回収された古紙を原料として製造している。ここに「古紙」とは、市場に一旦出荷され、回収された新聞、雑誌、広告、チラシ、カタログ、段ボール等の紙であり、本実施形態にあっては、後述するようにこの古紙の破砕工程をも核粒子の製造工程の一段階として説明するが、例えば核粒子の原料と成るパルプとしてバージンパルプ、再生パルプ等を使用する場合には、この破砕工程は省略することができる。
【0071】
(破砕工程)
回収された古紙は、先ず既知のスリッター、シュレッター等と呼ばれる切断機で幅5mm程度の帯状に切断され、その後、カッタにより長辺が5mm程度の長方形あるいは正方形等の方形、ないしは三角形、台形、菱形等の不定形の小片に破砕され、この小片にさらに必要に応じて摩砕衝撃力を付加して繊維状にほぐされたパルプ及び/又は紙を回収する。
【0072】
なお、回収された古紙が雨などで濡れて水分を含んでいる場合には、前述の各工程に移行する前段階において回収された古紙を乾燥することが望ましい。
【0073】
露天保管等により水分を15wt%以上含む古紙を前述の再生処理に付すと、後述の微粉砕工程において水分が15wt%以下になる迄微粉砕することができず、微粉砕に時間がかかりコスト高になってしまうためである。そのため、回収された古紙が含有水分量15wt%を越える場合には、再生パルプの回収の前工程において、古紙を乾燥させておくことが望ましい。
【0074】
以上のように回収された古紙は、必要に応じて含有水分量を15wt%以下に乾燥された後、既知のスリッター等の切断機で幅5mm程度に切断し、次いで、この帯状の古紙を、一例として図7に示す「カッタミル」に投入し長辺もしくは長径が5mm程度の大きさの長方形あるいは正方形等の方形、ないしは三角形、台形、菱形等の不定形の小片に破砕する。なお、古紙を破砕して得られた前述の小片中には、破砕時に繊維状にほぐされたパルプが一部含まれている。
【0075】
前述のカッタミル120は、本実施形態にあっては本体121内を回転する回転刃125により、固定刃126との間の剪断力により投入口123を介して投入室127内に投入された破砕物を切断するものであり、本実施形態にあっては株式会社ホーライ社製の一軸粉砕機「ハードクラッシャ」を使用している。
【0076】
このカッタミル120内には、直径5mmの開孔が多数設けられたパンチングメタル等から成るスクリーン129が取り付けられており、固定刃126及び回転刃125により切断された古紙のうち、このスクリーン129を通過可能な大きさに切断されたもののみが、排出口161を介して取り出されて回収されるよう構成されている。
【0077】
なお、古紙の破砕に使用される破砕手段は、上記のカッタミル120に限定されず、例えば、株式会社ホーライ社製のガイナックスクラッシャ、または株式会社奈良機械製作所製のロールクラッシャ等、種々のモノカッタ、シュレッダー、クラッシャ等の「クラッシャ」を用いることができる。
【0078】
(微粉砕工程)
以上のようにして得られた、一辺が5mm以下に破砕された古紙は、一辺が3mm以下の小片ないしは粉状に微粉砕される。
【0079】
この微粉砕工程には、前述の古紙を一辺が3mm以下に微粉砕し得るものであれば各種装置を使用することができるが、本実施形態にあっては前述の実施形態1において光触媒パルプ組成物の微粉砕、及び微粉砕された光触媒パルプ組成物(光触媒微粉砕パルプ)の造粒に使用された攪拌・造粒機100(100’)と同様の装置を使用して古紙の微粉砕を行っている。
【0080】
(造粒工程)
このようにして微粉砕されて古紙は、さらに水、水にゼラチンや馬鈴薯・でんぷん・PVAなどの糊を添加した結合剤(バインダ)を添加し、更に攪拌・造粒機100’により攪拌され、光触媒パルプ粒体の核粒子となる粒体を得る。なお、本実施形態にあっては、核粒子の造粒工程を前述の光触媒微粉砕パルプの造粒と同様の方法により行っているため、その説明を省略する。
(再造粒工程)
以上のようにして得られた核粒子の表面に形成される光触媒パルプ組成物の層は、前述の実施形態1において説明したと同様の方法により得られた光触媒微粉砕パルプであり、この光触媒微粉砕パルプと前記工程により得られた核粒子とを攪拌・造粒機100’に投入して、核粒子の表面に光触媒微粉砕パルプを付着、成長させて光触媒パルプ組成物の層を形成する。
【0081】
一例として、核粒子の表面に光触媒微粉砕パルプを約1mmの厚さでコーティングする場合を例として説明すると、出来上がりの粒体の半径を4mmにしたい場合は、攪拌・造粒機100’により半径3mmの核粒子を製造したあと、光触媒微粉砕パルプを加え、再造粒し、半径4mmの造粒品を得る。
【0082】
この場合、出来上がりの造粒品(光触媒パルプ粒体)の体積をV=4/3πrより268.1mm、核粒子の体積は113.1mmであることから、1mmの厚さでコーティングされた光触媒微粉砕パルプの層は、体積155.0mmであり、核粒子1に対して、体積比で約1.4倍の光触媒微粉砕パルプ組成物の層を形成することにより、前述の半径4mmの造粒品を得ることができる。なお、核粒子に対する光触媒微粉砕パルプの添加量は、製造する粒体のサイズ、形成する光触媒パルプ組成物の層厚、その他の各種条件に応じて種々選択する。
【0083】
再造粒品の形状は、球状や楕円球状、その他各種形状に成形することができ、用途に応じてそのサイズを適宜選定することができる。一例として、再造粒品の粒径は、1〜30mm程度であり、使用の際の便を考慮すれば、粒径3〜15mmとすることが好ましい。
【0084】
(乾燥工程)
以上のようにして製造された再造粒品は、これを乾燥して本発明の光触媒パルプ粒体と成る。この乾燥の方法、及び乾燥の際に使用される乾燥装置は、前述した実施形態1と同様に各種のものを使用することができる。
【0085】
なお、粒径の揃った製品を得る場合には、前述のようにして製造された光触媒パルプ粒体を振動ふるい等でふるいにかけて、そのサイズ毎に選別して回収する選別工程を経ても良い。
【0086】
以上のようにして製造された光触媒パルプ粒体は、前述の実施形態1に記載の光触媒パルプ粒体に比較して、消臭、除菌性能の点においては若干劣るものの、ペットの便床用の粒体として使用するに十分な消臭、除菌性能を発揮する。
【0087】
また、光触媒パルプ組成物のみから構成された実施形態1の光触媒パルプ粒体に比較して、本実施形態の光触媒パルプ粒体は古紙を原料とする核粒子を備えることから、実施形態1のものに比較して安価に製造することができるという利点を有する。
【0088】
なお、光触媒パルプ粒体の色については、バージンパルプを使った光触媒微粉砕パルプが造粒品の表面にあるため、白色で見た目もきれいであるが、微粉砕時にわずかに顔料で着色していれば、ペットが尿をした箇所(濡れている箇所)がはっきりとわかり、廃棄処理する場合その部分だけを捨てることが出来るという利点がある。
【0089】
また、着色するかわりに、光触媒微粉砕パルプに未漂白パルプを使用することも可能である。漂白パルプではないため、コストも安く、着色しなくても濡れたときの色の変化がわかりやすい等の利点があり、さらにコスト安となる。
【0090】
〔製造実施例〕
次に、本発明の光触媒パルプ粒体の製造実施例を以下に示す。
【0091】
1.光触媒パルプ組成物の製造工程
以下の条件により、パルプに光触媒である酸化チタンを固定して光触媒パルプ組成物を得た。
【0092】
【表2】
Figure 0004410909
【0093】
【表3】
Figure 0004410909
上記表の配合で、バージンパルプと酸化チタンとをミキサ内に投入し、3分間、800rpmで攪拌した。このとき、パルプのおよび酸化チタンは徐々に乾燥され、攪拌によるせん断発熱でミキサ内部の材料温度が40℃以上に発熱する。この発熱は回数を重ねる毎に上昇し、60℃を超える辺りからパルプの黄変を起こすことから、せん断発熱は局部的に100℃を超えていると予想される。そのため、ミキサー周辺部に冷却水を流し、ミキサー内部の材料温度が50℃を超えない様に攪拌する。
【0094】
攪拌後の光触媒パルプ組成物は含水率3wt%以下になり、酸化チタンとパルプは乾燥されながら攪拌翼で押しつけられ固定される。
【0095】
2.微粉砕工程
上記工程により得られた光触媒パルプ組成物を以下の条件で微粉砕した。
【0096】
使用した装置は、株式会社新幸インベスト社製のHDM(ハイディメンションミキサー)A-180であり、サイドカッターが1箇所についた3リットルのミキサーである。
【0097】
上記工程により製造された光触媒パルプ組成物280gをぞれぞれ上記ミキサに投入し、下記の条件で微粉砕すると共に攪拌した。
サイドカッター:3600rpm(3000〜4000rpmの高速回転)
アジテーションブレード:800rpm(700〜900rpmの高速回転)
微粉砕時間:2分間
以上の結果、下記繊維長の光触媒微粉砕パルプ250gを回収した。
微粉砕前平均繊維長: 3.3mm
微粉砕後平均繊維長: 1.2mm
【0098】
3.造粒工程
実施例1,2の光触媒微粉砕パルプを攪拌・造粒機に投入し、以下の条件で造粒して、造粒物を得た。
【0099】
なお、造粒に使用した攪拌・造粒機は、前記微粉砕工程において使用したものと同様である。
【0100】
サイドカッター:3600rpm(3000〜4000rpmの高速回転)
アジテーションブレード:800rpm(700〜900rpmの高速回転)
造粒時間:1分間
バインダー:実施例1は、光触媒微粉砕パルプに対して55wt%の水(138g)、実施例2は、光触媒微粉砕パルプに対して55wt%(138g)のPVA水溶液であり、PVAの濃度を3wt%とした(3wt%PVA水溶液の比重は1.0009)。このバインダを攪拌・造粒機内の光触媒微粉砕パルプにスプレーにて徐々に加えて造粒して、以下の造粒物を得た。
【0101】
【表4】
Figure 0004410909
※バインダの重量比
バインダ(wt%)=バインダ/(光触媒微粉砕パルプ+添加剤や吸着剤等)
【0102】
4.乾燥工程
上記造粒工程により得られた造粒品を下記の条件により乾燥して、本発明の光触媒パルプ粒体を得た。
乾燥装置:株式会社松井製作所製 ホッパードライヤー HDII-150
設定温度:55℃
乾燥時間:30min
ヒーター容量:10.8kw
ブロアー風量:6.5/min ブロアー風圧:2.25kpa ブロアー電動機:0.3kw
乾燥前含水率:35wt%
乾燥後含水率:5 wt%
【0103】
〔性能試験〕
以上の製造実施例に示した条件により製造された光触媒パルプ粒体と、比較例の粒体の消臭性能試験、抗菌性能試験を行った結果を下記に示す。
なお、比較例1は、下表に示すゼオライトである。
【0104】
【表5】
Figure 0004410909
1.消臭性能1(紫外線照射)
実施例1及び実施例2、並びに比較例1の粒体を各10gずつ採取し、あらかじめデシケーター内で一日乾燥しておく。デシケーター容積は6.5リットル。デシケーター内にアンモニアガスを設定濃度になるように添加する。デシケーターの横からブラックライトにより紫外線を照射し、室温で経時的にデシケーター内のガス濃度をガス検知管で測定した。試験結果を図8に示す。なお、デシケータ内には、測定開始後24時間、48時間の時点でアンモニアガス500ppmを追加注入している。
【0105】
図8から明らかなように、実施例1及び実施例2の粒体は、比較例1の粒体に比較して糞尿の悪臭の原因となるアンモニアの分解性に優れており、特に、比較例1のゼオライトにあっては、時間の経過と共に飽和状態となりアンモニアの吸着性能が極端に低下しているが、本願の実施例1及び実施例2の粒体にあっては、経時的な性能の低下が少なく、長時間消臭効果が持続することが明らかとなった。
【0106】
2.消臭試験2(遮光)
実施例1の粒体が投入されたデシケータ、比較例1の粒体が投入されたデシケータ及び、空のデシケータをそれぞれ用意し、各デシケータ内にアンモニアガスを所定の濃度となるよう注入した。なお、本試験例においては、ブラックライトによる紫外線の照射を行わない点を除き、前記消臭試験1と同一の条件下で試験を行った。その結果を図9に示す。
【0107】
図9に示すように、実施例1の粒体は、紫外線の照射が行われていない状態においても消臭効果が得られている。特に、時間の経過と共に比較例1のゼオライトは飽和状態となり消臭効果が低下しているが、実施例1の粒体にあっては紫外線の照射を行わない状態にあっても長時間消臭効果が持続することが明らかである。
【0108】
3.消臭試験3(紫外線照射)
前述の消臭試験1のアンモニアガスに代えて、硫化水素ガスをデシケータ内に注入して消臭試験を行った結果を図10に示す。なお、注入するガスが硫化水素ガスである点、24時間毎にデシケータ内注入する硫化水素ガスの濃度を100ppmとした点を除き、試験条件は前述の消臭試験1と同様である。
【0109】
図10から明らかなように、実施例1及び実施例2の粒体は、硫化水素ガスに対しても高い分解能を有することが明らかであり、また、時間の経過によってもこの分解能の低下が殆ど見られないことが明らかである。
【0110】
4.消臭試験4(遮光)
前述の消臭試験2のアンモニアガスに代えて、硫化水素ガスをデシケータ内に注入して消臭試験を行った結果を図11に示す。なお、注入するガスが硫化水素ガスである点、24時間毎にデシケータ内注入する硫化水素ガスの濃度を100ppmとした点を除き、試験条件は前述の消臭試験2と同様である。
【0111】
図11から明らかなように、遮光した状態においても本願実施例1の粒体は硫化水素ガスに対して高い分解能を有することが明らかとなった。
【0112】
5.抗菌試験1(光照射:大腸菌)
実施例1,実施例2および比較例1の各粒体が投入された菌液調整溶液1/500NB培地、及び粒体の投入がされていない菌液調整溶液1/500NB培地でそれぞれ大腸菌(Escherichia coli IFO 3972)を培養し、20〜25℃の温度条件で24時間放置した後の各試料の生菌数を測定した。各資料には白色蛍光灯により光照射(4000〜8000ルクス)を行った。
【0113】
上記試験結果を図12に示す。
【0114】
図12に示すように、比較例1の粒体が投入された試料にあっては、何も投入されていない培地に比較して大腸菌の培養が抑えられているものの、大腸菌を死滅させるには至っていない。一方、実施例1及び実施例2の粒体が投入された試料にあっては、24時間の放置後、大腸菌の生菌は確認できず、高い抗菌性を有することが明らかとなった。
【0115】
6.抗菌試験2(遮光:大腸菌)
光照射を行わない点を除き、前記抗菌試験1と同一の条件で抗菌試験を行った。その結果を図13に示す。
【0116】
図13から明らかなように、実施例1及び実施例2の粒体は、遮光された状態においても高い抗菌作用を発揮することが明らかとなった。
【0117】
7.抗菌試験3(光照射:黄色ブドウ球菌)
大腸菌に代えて、黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus IFO 12732)を培地で培養した点を除き、前述の抗菌試験1と同様の試験を行った。結果を図14に示す。
【0118】
図14に示すように、実施例1及び実施例2の粒体が投入された培地では、黄色ブドウ球菌は略完全に死滅しており、実施例1及び実施例2の光触媒パルプ粒体は黄色ブドウ球菌に対しても高い抗菌能及び殺菌能を有することが明らかとなっている。
【0119】
なお、比較例1のゼオライトが投入された培地にあっては、若干の生菌の存在が確認されていることから、実施例1及び実施例2の粒体は、比較例1のゼオライトに比較してより高い抗菌性を有することが明らかである。
【0120】
8.抗菌試験4(遮光:黄色ブドウ球菌)
大腸菌に代えて、黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus IFO 12732)を培地で培養した点を除き、前述の抗菌試験2と同様の条件にて試験を行った。結果を図15に示す。
【0121】
図15に示すように、実施例1及び実施例2の粒体が投入された培地では、黄色ブドウ球菌は略完全に死滅しており、実施例1及び実施例2の粒体は、遮光された状態においても好適に黄色ブドウ球菌に対する抗菌性を発揮することが明らかとなった。
【0122】
【発明の効果】
以上説明した本発明の構成により、本発明の光触媒パルプ粒体は、下記に示すような顕著な効果を有する。
【0123】
光触媒である酸化チタンを担持した光触媒パルプ組成物を原料として成るので、消臭、抗菌、殺菌効果を発揮し、時間の経過によってもその効果の減少が少ない光触媒パルプ粒体を提供することができた。特に、主原料がパルプにより構成されてなることから、水溶性に富み、下水等に流して処理することができると共に、下水等に流して処理した場合であっても環境に対する悪影響を及ぼすことがなく、ペットの便床として使用される粒体として使用するに好適である。
【0124】
また、古紙として回収された新聞、雑誌等を原料とする各を備えた本発明の光触媒パルプ粒体にあっては、前述の光触媒パルプ粒体と同様に高い消臭、抗菌、殺菌能を有し、水溶性に富むだけでなく、安価に製造することができ、使い捨てされるこの多いペットの便床として使用される粒体として優れた光触媒パルプ粒体を提供することができた。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の光触媒パルプ粒体の製造装置の全体構成を示す概略説明図。
【図2】 本発明の別の光触媒パルプ粒体の製造装置の全体構成を示す概略説明図。
【図3】 光触媒パルプ組成物の製造工程で使用するミキサの要部断面図。
【図4】 微粉砕工程、造粒工程で使用する攪拌・造粒機の正面図。
【図5】 乾燥手段の一例を示す正面透視図。
【図6】 乾燥手段の一例を示す正面概略図。
【図7】 カツタミルの斜視図。
【図8】 消臭試験1(紫外線照射:アンモニアガス)の結果を示す表。
【図9】 消臭試験2(遮光:アンモニアガス)の結果を示す表。
【図10】 消臭試験3(紫外線照射:硫化水素ガス)の結果を示す表。
【図11】 消臭試験4(遮光:硫化水素ガス)の結果を示す表。
【図12】 抗菌試験1(光照射:大腸菌)の結果を示す表。
【図13】 抗菌試験2(遮光:大腸菌)の結果を示す表。
【図14】 抗菌試験3(光照射:黄色ブドウ球菌)の結果を示す表。
【図15】 抗菌試験4(遮光:黄色ブドウ球菌)の結果を示す表。
【符号の説明】
12 タンク(酸化チタン用)
14,14’ タンク(バインダ用)
80 ミキサ
85,86,87 攪拌衝撃翼
93 排出ダクト(ミキサの)
100,100’ 攪拌・造粒機
101 攪拌容器
102 アジテーションブレード
103 サイドカッタ
120 カッタミル
121 本体
123 投入口
125 回転刃
126 固定刃
127 投入室
129 スクリーン
161 排出口
130 乾燥機
131 ホッパ
132 ヒータ
133 ブロワ
134 排気フィルタ
135 サイクロン

Claims (8)

  1. 平均繊維径5〜300μm、平均繊維長3mm以内のパルプ及び/又は紙40〜97wt%の表面に酸化チタン3〜60wt%が固定されて成る光触媒パルプ組成物を造粒して成ることを特徴とする光触媒パルプ粒体。
  2. 平均繊維長3mm以下に微粉砕されたパルプ及び/又は紙を造粒して成る核粒子と、前記核粒子の表面を被覆する光触媒パルプ組成物の層から形成されて成り、前記光触媒パルプ組成物の層は、平均繊維径5〜300μm、平均繊維長3mm以内のパルプ及び/又は紙40〜97wt%の表面に酸化チタン3〜60wt%が固定されて成る光触媒パルプ組成物を前記核粒子の表面に付着させて形成されて成ることを特徴とする光触媒パルプ粒体。
  3. 酸化チタン3〜60wt%に、平均繊維径5〜300μm、平均繊維長0.1〜70mmのパルプ及び/又は紙を40〜97wt%の割合で配合して成る配合物に対して、攪拌衝撃力を付加して攪拌して、前記攪拌衝撃力に基づく剪断力により剪断発熱を生じさせ、この剪断発熱により前記配合物を乾燥して含有水分量を3wt%以内に低下せしめると共に、前記攪拌衝撃力により前記酸化チタンを前記パルプ及び/又は紙の繊維表面に押し付けて固定化されて成る光触媒パルプ組成物を得る工程と、
    前記光触媒パルプ組成物を、繊維長3mm以下に微粉砕する工程と、
    前記微粉砕された光触媒パルプ組成物に結合剤を添加して造粒する工程と、
    前記工程により得られた造粒品を、含有水分量10wt%以内に乾燥する工程から成ることを特徴とする光触媒パルプ粒体の製造方法。
  4. 酸化チタン3〜60wt%に、平均繊維径5〜300μm、平均繊維長0.1〜70mmのパルプ及び/又は紙を40〜97wt%の割合で配合して成る配合物に対して、攪拌衝撃力を付加して攪拌して、前記攪拌衝撃力に基づく剪断力により剪断発熱を生じさせ、この剪断発熱により前記配合物を乾燥して含有水分量を3wt%以内に低下せしめると共に、前記攪拌衝撃力により前記酸化チタンを前記パルプ及び/又は紙の繊維表面に押し付けて固定化されて成る光触媒パルプ組成物を得る工程と、
    前記工程により得られた光触媒パルプ組成物を繊維長3mm以下に微粉砕する工程と、
    平均繊維長3mm以下のパルプ及び/又は紙に結合剤を添加して造粒して造粒物を得る工程と、
    前記工程により得られた造粒物を核粒子と成し、該核粒子の表面に前記微粉砕された光触媒パルプ組成物を結合剤により付着させ、前記核粒子の表面に光触媒パルプ組成物の層を形成する工程と、
    前記工程により光触媒パルプ組成物の層が形成された造粒物を、含有水分量10wt%以下に乾燥する工程から成ることを特徴とする光触媒パルプ粒体の製造方法。
  5. 前記核粒子が、古紙から回収されたパルプ及び/又は紙を原料として成る請求項4記載の光触媒パルプ粒体の製造方法。
  6. 前記結合剤が、水である請求項3〜5いずれか1項記載の光触媒パルプ粒体の製造方法。
  7. 前記結合剤が、水に対して重量比で10wt%以下の糊剤を添加して成ることを特徴とする請求項3〜5いずれか1項記載の光触媒パルプ粒体の製造方法。
  8. 前記結合剤を、被結合材に対して重量比で40wt%以上添加することを特徴とする請求項6又は7記載の光触媒パルプ粒体の製造方法。
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