JP4410264B2 - 異常水質検出装置及びその毒物応答感度予測方法 - Google Patents

異常水質検出装置及びその毒物応答感度予測方法 Download PDF

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本発明は、浄水場や下水処理場等において、その取水口から混入する有害物質を、バイオセンサを用いて検知するバイオセンサ型の異常水質検出装置及びその毒物応答性予測方法に関する。
従来、浄水場では通常の処理として、河川水等を取水し、この取水を沈殿ろ過槽に通して飲料水を供給している。もし、このような通常の処理では除去できない有害物質、例えば、各種の重金属や農薬および環境ホルモン等といった物質が河川水中に混入した場合は、取水停止という非常事態に至る。
一方、下水処理場では、突発事故や不注意により、工場あるいは化学プラントの排水に各種の重金属イオンや有機溶媒およびヒ素シアン等が混入し、これらが流入すると、下水処理プロセスにおける活性汚泥微生物が大きな阻害を受け、その結果、活性汚泥の活性が低下して処理能力の回復までに多大の時間を必要とする。
したがって、浄水場および下水処理場等において、上記各種の有害物質が混入した場合、流入水を迅速かつ感度良く検出する装置が望まれていた。
この要望に応えて、浄水場では魚行動監視型の毒物検出装置、あるいは、各種の微生物膜を溶存酸素電極に取付けて、その呼吸活性の測定から毒物を検出する装置が用いられている。また、下水処理場では、特定化学物質の混入した排水を検知する各種のセンサが、それぞれの取水口等に設置されている。
これらのうち、浄水場に設置されている魚行動監視型の毒物検出装置は、魚類が毒物に反応するまでに時間がかかるため、その検出に長時間を要する。また、魚類の反応感度も飼育されている魚類の種類や個体差、および飼育の環境状態によってかなり異なる。さらに、魚行動監視型の毒物検出装置は、その装置自体が大掛かりで、魚類の飼育や管理面において必要経費が大きい等の問題がある。
そこで、バイオセンサ型の異常水質検出装置が開発されている。一例として、有害物質や雑菌等が繁殖し難い比較的低いpH値のところで作動させることができる鉄酸化細菌をプローブとして用いるものがある(例えば、特許文献1参照)。
このバイオセンサ型水質監視装置では、先ず、検査すべ水を散気水槽において空気あるいは酸素濃度を一定に調整した気体により散気し、溶存酸素濃度が飽和の状態とする。このようにした被検水に対し酸性溶液を供給するとともに、硫酸第一鉄含有溶液を供給して被検水と混合する。この混合液は、溶存酸素濃度が飽和状態とされた状態で測定槽内に流入される。
測定槽には酸素電極が設けられるが、空気あるいは酸素濃度を一定に調整した気体の供給により常に被検水を飽和溶存酸素濃度にしておき、酸素電極の出力の最大値を安定させておく。前記酸素電極は、先端に微生物膜が取り付けられ、その先端が測定槽内の被検水中に浸漬された状態で設けられている。微生物膜は酸素を利用して硫酸第一鉄を硫酸第二鉄に変えることができる鉄酸化細菌(鉄バクテリアとも言う)を保持している。この酸素電極からの電気出力は変換演算手段によって増幅・変換され、所定の演算が施されて被検水の異常水質が判別される。
測定槽において被検水と接触した微生物膜での鉄バクテリアによる化学的挙動の化学反応式は、以下のとおりである。
4FeSO4 + O2 + 2H2SO4 → 2Fe2(SO4)3 + 2H2O ・・・(1)
上記(1)式において、2Fe2(SO4)3は水中で電離し、Fe3+イオンが生成される。このFe3+イオンがさらに水(H2O)と反応して、水酸化鉄Fe(OH)3となり沈殿することになる。
この異常水質検出装置では、鉄酸化細菌をプローブとして取付けた溶存酸素電極に被検水と鉄液の混合液を送液し、この送液時における酸素電極からの電気出力を監視するものである。すなわち、被検水に有害物質が混入していない場合は、被検水中の溶存酸素は鉄の酸化に消費されるため、酸素電極によって検出される値は極めて低くなる。これに対して、被検水中に水溶性の有害物質が混入した場合、その有害物質が微生物膜上の鉄酸化細菌の呼吸活性を低下させる。その結果、鉄酸化細菌に消費されなかった酸素が微生物膜を透過するため、酸素電極に到達する酸素量が増加し、酸素電極の出力する電流値が増加する。したがって、酸素電極の出力電流値を閾値と比較することで有害物質の混入を判断する。
なお、このようなバイオセンサ型異常水質検出装置は連続運転されると、被検水中の汚濁物質が各配管の内壁に付着し堆積してくる。また、鉄液中の硫酸第一鉄の一部が硫酸第二鉄に酸化されて、これも除々に堆積してくる。これらは、配管系の閉塞や、異常水質検出の感度低下につながり、検出精度を低下させる原因となる。そのため、被検水と硫酸第一鉄含有溶液の混合液が送液される被検水導入管に酸性溶液を供給し、被検水導入管や測定槽などの被検水通流路に付着堆積している汚濁物質および酸化鉄を除去し、排出する「酸洗浄」を行なうようにしている。
特開2004−271441号公報
このようなバイオセンサ型の異常水質検出装置では、微生物膜に保持される鉄酸化細菌の菌体数や活性にばらつきがあり、菌体数や活性を常に一定に維持することは困難である。そのため、ある一定濃度の毒物に対して微生物膜全体で見たダメージの程度が異なる。菌体数が多い場合は、微生物膜全体として、毒物の影響が小さくなる。また、一菌体当たりの毒物に対する耐性が強い場合は、同一濃度の毒物に対して鉄酸化細菌の呼吸活性があまり低下しない。その結果、鉄酸化細菌に消費されずに微生物膜全体を透過して、酸素電極に到達する酸素量が異なり、同時に酸素電極が出力する電流値も同一濃度の毒物に対して異なることになる。
また、水質監視中、ある閾値以上の電流値がある時間継続して出力された場合に被検水の水質異常を発報する。これは水質監視時に酸素電極に流れ込む気泡などの影響による、瞬時的な電流値の上昇に伴う誤警報を防ぐためであり、一般に微生物膜上の菌体数が多いほど、気泡等のノイズの影響を受けにくい。さらに上述したように、微生物膜に保持される鉄酸化細菌の菌体数や活性にはばらつきがあり、ある一定濃度の毒物に対して酸素電極から出力される電流値が異なるために、水質異常の閾値を微生物膜の状態によって変更しなければならない。よって、水質異常の閾値の決定には微生物膜の状態把握が不可欠である。
微生物膜上の菌体数を把握するためには、微生物膜を一度電極から取り外し、顕微鏡によって実際に数を数えなければならない。しかし、その作業自体にかなりの手間を要し、さらにその作業の前後で、菌体数や微生物の活性が変化する可能性があるため、実用的ではない。
また、河川への特定化学物質流出事故に関して代表的な物質にシアン化合物があるが、微生物膜の毒物応答性の把握のために、定期試験としてシアンを装置に流すことは、その取扱いおよび排液処理において困難が伴う。
本発明の目的は、低濃度では人体に対して無害かつその取扱いが容易な模擬毒物を用いて、微生物膜の毒物応答性を把握し、その結果から特定有害物質に対する毒物応答性を予測するようにした異常水質検出装置及びその毒物応答感度予測方法を提供することにある。
本発明による異常水質検出装置は、鉄酸化細菌を保持した微生物膜を先端部分に有する酸素電極の、前記先端部分を鉄液と混合された被検水中に浸漬させ、前記微生物膜を透過する酸素量を前記酸素電極で検出し、その酸素量が閾値を越えると有害物質の混入ありと検出するバイオセンサ型の異常水質検出装置であって、低濃度では人体に対して無害である亜硝酸を模擬毒物としてある濃度で被検水に加える模擬毒物供給部と、前記被検水に前記模擬毒物が加えられた状態で前記微生物膜を透過する酸素量を前記酸素電極の検出値から入力し、その結果により特定有毒物質に対する応答感度を予測する応答感度予測手段とを備えたことを特徴とする。
本発明の異常水質検出装置では、応答感度予測手段によって予測された応答感度に基き、前記検出された酸素量に対する閾値を更新する閾値更新手段をさらに設けてもよい。
また、本発明の異常水質検出装置では、応答感度予測手段によって予測された応答感度が、予め設定した基準値以下となった場合は微生物膜の交換を報知する手段をさらに設けてもよい。
さらに、本発明の異常水質検出装置では、応答感度予測手段はシアンに対する応答感度を予測する。
本発明による異常水質検出装置の毒物応答感度予測方法は、鉄酸化細菌を保持した微生物膜を先端部分に有する酸素電極の、前記先端部分を鉄液と混合された被検水中に浸漬させ、前記微生物膜を透過する酸素量を前記酸素電極で検出し、その酸素量が閾値を越えると有害物質の混入ありと検出するバイオセンサ型の異常水質検出装置の毒物応答感度予測方法であって、低濃度では人体に対して無害である亜硝酸を模擬毒物として、ある濃度で被検水に加え、前記酸素電極の検出値から前記微生物膜を透過する酸素量を測定し、その結果により特定有毒物質に対する応答感度を予測することを特徴とする。
また、本発明による異常水質検出装置の毒物応答感度予測方法は、模擬毒物を被検水に加え、特定有毒物質に対する応答感度を予測した後、微生物膜の活性が元に戻るまで、前記微生物膜に硫酸第一鉄含有溶液を供給する活性回復工程を設けるとよい。
さらに、本発明による異常水質検出装置の毒物応答感度予測方法では、シアンに対する応答性を予測する。
本発明によれば、微生物膜の毒物応答感度を、人体に対して無害で、かつその取扱いが容易な模擬毒物を用いることにより的確に把握し、その結果から特定有害物質に対する毒物応答感度を予測できるので、正確な検出応答が得られ、異常水質検出装置としての検出性能を高めることができる。
以下、本発明による異常水質検出装置の一実施の形態について、図面を用いて詳細に説明する。
図1はこの実施の形態の全体構成を示している。図1において、7は散気水槽で、検査すべき水源の原水(例えば、河川の流入や、浄水場への流入水、下水処理場への流入水など)が、原水供給ポンプ18により導入管17を介して供給される。この散気水槽7では、供給された原水に対し、気体供給器8から空気あるいは酸素濃度を一定に調整した気体を供給し、溶存酸素濃度が飽和の状態の被検水とする。このように溶存酸素濃度が飽和の状態となった被検水は、電磁弁22を介して被検水供給ポンプ6により被検水導入管2に送出される。
4は測定槽で、被検水導入管2に連結しており、被検水が導入される。この測定槽4は温度調整器5によって所定温度に調整される。また、測定槽4内には、微生物膜9を先端に取り付けた酸素電極10が設けられている。微生物膜9は、酸素を利用して硫酸第一鉄を硫酸第二鉄に変えることができる鉄酸化細菌(鉄バクテリアとも言う)を保持している。酸素電極10は、この微生物膜9を取り付けた先端部が、測定槽4内の被検水中に浸漬する状態で設置されている。また、酸素電極10には変換演算手段11が接続されており、この変換演算手段11は酸素電極10から取り出された電気出力を増幅・変換し、所定の演算を施して、後述するように被検水の水質異常を判別する。
12は酸性溶液パック、13は鉄液パック、20は微生物活性低下液パックで、これらは対応する電磁弁14,15,21を介して共通の薬液導入管19に連結し、薬液供給ポンプ16を介して前記被検水導入管2に連通している。
ここで、微生物活性低下液パック20から供給される微生物活性低下液は、低濃度では人体に対して無害であるが、鉄酸化細菌に対して一時的にダメージを与える物質を含有しており、この実施の形態では、後述するように、模擬毒物として用いられる。すなわち、微生物活性低下液パック20は、低濃度では人体に対して無害であるが鉄酸化細菌に対しては一時的なダメージを与える物質を模擬毒物としてある濃度で被検水に加える模擬毒物供給部として機能する。
被検水は、前述のように、散気水槽7において、気体供給器8から供給された空気あるいは酸素濃度を一定に調整した気体により、常に飽和溶存酸素濃度となっている。この被検水に対しては、詳細は後述するが、通常の検出動作時、鉄液パック13から硫酸第一鉄含有溶液が供給され、また、後述する洗浄時、酸性溶液パック12から酸性溶液が供給され、さらに、鉄酸化細菌の活性度判定時、微生物活性低下液パック20から微生物活性低下液が供給され、それぞれ被検水導入管2で被検水と混合される。これらの混合液は、上述のように溶存酸素濃度が飽和状態とされた状態で被検水導入管2から測定槽4内に流入される。
前記測定槽4に導入される被検水は、常に飽和溶存酸素濃度にして、酸素電極10の出力の最大値を安定させる必要がある。飽和溶存酸素濃度は液温度により変化するため、前述のように、温度調整器5によって測定槽4を一定の温度に維持することは重要である。
また、測定槽4内では、酸素電極10の先端に設けられた、酸素を利用して硫酸第一鉄を硫酸第二鉄に変えることができる鉄バクテリアを保持する微生物膜9と被検水との間で、以下の反応か生じる。微生物膜9に保持された鉄バクテリアは、例えば、Thiobacillus ferrooxidansである。この化学的挙動の化学反応式は、前記(1)式のようになり、2Fe2(SO4)3は水中で電離し、Fe3+イオンが生成される。このFe3+イオンがさらに水(H2O)と反応して、水酸化鉄Fe(OH)3となり沈殿することになる。
なお、微生物膜9に保持される鉄バクテリアとしては、Thiobacillus ferrooxidans以外にも、上記化学反応式の働きを持つすべての微生物が適用可能である。例えば、Gallionella ferruginea、Leptospirillum ferrooxidans、Leptothrix、Sphaerotilus等が適していることが確認されている。
鉄バクテリアの活性、すなわち鉄の酸化量は、温度の影響によっても変化する可能性があるため、測定槽4は温度調整器5によって、鉄バクテリアの活性が安定するような温度に維持されるのが望ましい。温度調整器5の設置は、そういう意味でも重要である。
このように、異常水質検出装置は、鉄酸化細菌をプローブとして取付けた溶存酸素電極10に被検水と鉄液の混合液を被検水供給ポンプ6および薬液供給ポンプ16よって送液し、この送液時における酸素電極10からの電気出力を監視するものである。そして、被検水中の水溶性の有害物質が混入した場合、その有害物質が微生物膜9上の鉄酸化細菌の呼吸活性を低下させる。その結果、鉄酸化細菌に消費されなかった酸素が微生物膜9を透過するため、酸素電極10に到達する酸素量が増加する。その結果、酸素電極10が出力する電流値が増加するので、これによって有害物質の混入を判断する。
上記構成において、異常水質検出装置の毒物反応を予測するに当っては、まず、被検水導入管2に、酸性溶液パック12から電磁弁14、薬液導入管19及び薬液供給ポンプ16を介して酸性溶液を供給し、被検水導入管2や測定槽4などの被検水通流路に付着堆積している汚濁物質及び酸化鉄を除去して排出する酸洗浄を実施する。酸洗浄時は、鉄酸化細菌が摂取する硫酸第一鉄が存在しないため、被検水中の溶存酸素が消費されない。そのため、酸素電極10の出力値は被検水中の溶存酸素量に比例して大きくなり、これがスパン校正値となる。
次に、被検水導入管2に、鉄液パック13から電磁弁15、薬液導入管19及び薬液供給ポンプ16を介して硫酸第一鉄含有溶液を供給する。鉄酸化細菌の活性が正常であれば、酸素を消費して硫酸第一鉄を硫酸第二鉄に酸化するため、酸素電極のごく近傍では被検水中の溶存酸素がほぼゼロになる。この時、酸素電極10の出力値は最小となり、これがゼロ校正値となる。スパン校正値とゼロ校正値の差が、装置運転時の酸素電極10の出力範囲となる。
次に、微物膜9に保持された鉄酸化細菌の活性度を検出する場合は、微生物膜活性低下液パック20から電磁弁21、薬液導入管19及び薬液供給ポンプ16を介して被検水導入管2に、微生物膜活性低下液を供給する。この液の供給により、微生物膜9に保持された鉄酸化細菌の一部は瞬時的にダメージを受ける。このため、酸素を消費して硫酸第一鉄を硫酸第二鉄に酸化することができず、消費されない酸素は酸素電極10に検出される。
上述した酸素電極10の出力範囲に対し、今回の酸素電極10の出力値が大きいほど、より多くの酸素が消費されずに微生物膜9を透過したことを示す。この場合は、微生物膜9全体で見て鉄酸化細菌の菌体数が少ないか、あるいは毒物に対する耐性が小さいことを示す。言い換えれば、毒物に対する検出感度が鋭いことを表している。
これに対し、酸素電極10の出力範囲と出力値の比が小さければ、消費されずに微生物膜9を透過した酸素が少ないことを示す。これは微生物膜9全体で見て鉄酸化細菌がほとんどダメージを受けていないことを表す。すなわち、鉄酸化細菌の菌体数の増え過ぎ、あるいは毒物に対する耐性が大きいこと示す。言い換えれば、毒物に対する検出感度が鈍いことを表している。
このように、微生物膜活性低下液を供給して微物膜9に保持された鉄酸化細菌の活性度を検出することは、酸素電極10による、毒物に対する応答感度を検出していることを意味し、変換演算手段11は、酸素電極10からの検出値を入力して、特定有毒物質に対する応答感度を予測する応答感度予測手段としての機能を有する。
そして、このようにして求められる酸素電極10の出力範囲と出力値との比である、応答感度を利用して、微生物膜9の日々の状態を把握し、被検水の水質異常を発報するための閾値をその状態に応じて適宜更新することができる。すなわち、変換演算手段11は、前記応答感度予測手段によって予測された応答感度に基き、前記検出された酸素量に対する閾値を更新する閾値更新手段としても機能する。また、酸素電極10の出力範囲と出力値との比である応答感度が、ある基準値以下であれば、微生物膜9を交換することが望ましい。したがって、変換演算手段11は、応答感度予測手段によって予測された応答感度が、予め設定した基準値以下となった場合は微生物膜の交換を報知する手段としても機能する。
さらに、上記の微生物膜9の状態把握後、微生物膜9の活性が元に戻るまで、被検水導入管2に、鉄液パック13から電磁弁15、薬液導入管19及び薬液供給ポンプ16を介して硫酸第一鉄含有溶液をしばらく供給する工程を設ける。このことによって微生物膜活性低下液による鉄酸化細菌の瞬時的なダメージの影響を除去することができる。すなわち、模擬毒物を被検水に加え、特定有毒物質に対する応答感度を予測した後、微生物膜の活性が元に戻るまで、前記微生物膜に硫酸第一鉄含有溶液を供給する活性回復工程を実行する。
ここでパック20から供給される微生物膜活性低下液は、鉄酸化細菌に瞬時的にダメージを与える液であり、鉄酸化細菌自体を死滅させるものではない。例えば、低濃度の亜硝酸溶液であれば、その液の供給を止めれば再び鉄酸化細菌の活性が元に戻ることが確認できている。
また、この実施の形態では、微生物膜活性低下液パック20内には、微生物膜活性低下液の他に、鉄液パック13と同様の濃度の硫酸第一鉄含有溶液も含まれている。
以上の実施により、微生物膜9上の鉄酸化細菌に対して瞬時的なダメージを与え、人間に対して無害な微生物膜活性低下液(模擬毒物)を装置稼動時に定期的に流し、その応答感度を評価して、水質異常発報の閾値を適宜更新することが可能となる。さらに、水質異常検出用としての感度が保証できなくなった微生物膜9の交換を知らせることも可能となり、長期的に精度の高い異常水質の検出が実現する。
次に、図2で示す実施の形態を説明する。図2に示す実施の形態では、図1の実施形態との比較において、微生物膜活性低下液パック20を、薬液供給ポンプ16ではなく、電磁弁21を介して被検水供給ポンプ6に接続している。この場合、微生物膜活性低下液パック20内には、硫酸第一鉄含有溶液は含まない。
この実施の形態においても、微生物膜9上の鉄酸化細菌に対して瞬時的なダメージを与え、人間に対して無害な微生物膜活性低下液(模擬毒物)を装置稼動時に定期的に流す。そして微生物膜の応答感度を評価することにより、水質異常発報の閾値を適宜更新することが可能となり、さらに水質異常検出用としての感度が保証できなくなった微生物膜9の交換を知らせることが可能となる。したがって、長期的に精度の高い異常水質の検出が実現する。
次に、微生物膜活性低下液(模擬毒物)として亜硝酸溶液を用い、これをパック20から模擬毒物として被検水導入管2を経て微生物膜9に供給し、特定毒物であるシアンに対する反応感度を検出する場合を説明する。
亜硝酸溶液をパック20から供給された微生物膜9では、鉄酸化細菌が瞬時的にダメージを受け、その一部が、酸素を消費して硫酸第一鉄を硫酸第二鉄に酸化することができず、消費されない酸素は酸素電極10に検出され、変換演算手段11に出力される。この酸素電極10の出力値が、前述した酸素電極10の出力範囲に対して大きいほど、より多くの酸素が消費されずに微生物膜9を透過したことになる。この場合は、微生物膜9上の鉄酸化細菌の菌体数が少ないか、あるいは毒物に対する耐性が小さいことを示す。この酸素電極10の出力範囲と出力値の比を水質指数(%)として、毒物混入の可能性を表す指標としている。これらの演算は、上記変換演算手段11で行えばよく、したがって、この変換演算手段11は、前述のように、被検水に前記模擬毒物が加えられた状態での微生物膜9を透過する酸素量を酸素電極10の検出値から入力し、その結果により特定有毒物質に対する応答感度を予測する応答感度予測手段として機能する。
図3及び図4は同期間・同環境下で使用した2つの異なる微生物膜A,Bにおいて、それぞれ亜硝酸とシアンに対する応答例を示したものである。この図から、水質指数を20%まで上昇させるために必要な濃度は、亜硝酸性窒素では0.19mg/l、シアンでは0.025mg/lであることがわかる。その結果、鉄酸化細菌に対する影響度合いが同等のとき、シアン0.025mg/lは亜硝酸性窒素0.19mg/lに相当するという関係が成り立つ。
この関係に基づいて、使用中の微生物膜9に亜硝酸性窒素0.19mg/lを亜硝酸溶液パック20から供給し、その応答感度を調べることで、その微生物膜9のシアン0.025mg/l濃度での応答感度を推定することができる。この結果を利用すれば、水質異常の閾値を再設定することが可能となる。
なお、上記実施の形態では、模擬毒物として亜硝酸を例示し、かつ特定有害物質としてシアンを例示したが、本発明はこれに限定されるものではなく、あらゆる模擬毒物(低濃度では人体に対して無害であるが、鉄酸化細菌に対して有害である物質)と、鉄酸化細菌が応答する特定化学物質に適用可能である。
このように本発明では、低濃度では人体に対して無害であるが鉄酸化細菌に対しては一時的にダメージを与える物質を模擬毒物として、ある濃度で被検水に加えて前記酸素電極の検出値から前記微生物膜を透過する酸素量を測定し、その結果により特定有毒物質に対する応答感度を予測するので、正確な検出応答が得られ、異常水質検出装置としての検出性能を高めることができる。
本発明による異常水質検出装置の一実施の形態を示す全体構成図である。 本発明による異常水質検出装置の他の実施の形態を示す全体構成図である。 本発明における亜硝酸性窒素濃度と水質指数との関係を示すグラフである。 本発明におけるシアン濃度と水質指数との関係を示すグラフである。
符号の説明
2 被検水導入管
4 測定槽
7 散気水槽
9 微生物膜
10 酸素電極
11 変換演算手段(応答性予測手段)
20 亜硝酸溶液パック(模擬毒物供給部)

Claims (7)

  1. 鉄酸化細菌を保持した微生物膜を先端部分に有する酸素電極の、前記先端部分を鉄液と混合された被検水中に浸漬させ、前記微生物膜を透過する酸素量を前記酸素電極で検出し、その酸素量が閾値を越えると有害物質の混入ありと検出するバイオセンサ型の異常水質検出装置であって、
    低濃度では人体に対して無害である亜硝酸を模擬毒物としてある濃度で被検水に加える模擬毒物供給部と、
    前記被検水に前記模擬毒物が加えられた状態で前記微生物膜を透過する酸素量を前記酸素電極の検出値から入力し、その結果により特定有毒物質に対する応答感度を予測する応答感度予測手段と
    を備えたことを特徴とする異常水質検出装置。
  2. 応答感度予測手段によって予測された応答感度に基き、前記検出された酸素量に対する閾値を更新する閾値更新手段をさらに有することを特徴とする請求項1に記載の異常水質検出装置。
  3. 応答感度予測手段によって予測された応答感度が、予め設定した基準値以下となった場合は微生物膜の交換を報知する手段をさらに有することを特徴とする請求項1又は2に記載の異常水質検出装置。
  4. 答感度予測手段はシアンに対する応答感度を予測することを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の異常水質検出装置。
  5. 鉄酸化細菌を保持した微生物膜を先端部分に有する酸素電極の、前記先端部分を鉄液と混合された被検水中に浸漬させ、前記微生物膜を透過する酸素量を前記酸素電極で検出し、その酸素量が閾値を越えると有害物質の混入ありと検出するバイオセンサ型の異常水質検出装置の毒物応答感度予測方法であって、
    低濃度では人体に対して無害である亜硝酸を模擬毒物として、ある濃度で被検水に加え、前記酸素電極の検出値から前記微生物膜を透過する酸素量を測定し、その結果により特定有毒物質に対する応答感度を予測することを特徴とする異常水質検出装置の毒物応答感度予測方法。
  6. 模擬毒物を被検水に加え、特定有毒物質に対する応答感度を予測した後、微生物膜の活性が元に戻るまで、前記微生物膜に硫酸第一鉄含有溶液を供給する活性回復工程を設けたことを特徴とする請求項5に記載の異常水質検出装置の毒物応答感度予測方法。
  7. アンに対する応答性を予測することを特徴とする請求項5又は請求項6に記載の異常水質検出装置の毒物応答感度予測方法。
JP2007029389A 2007-02-08 2007-02-08 異常水質検出装置及びその毒物応答感度予測方法 Expired - Fee Related JP4410264B2 (ja)

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