従来から、光源と、光源からの光を反射するためのリフレクタ(反射鏡)と、光源またはリフレクタ(反射鏡)からの光の一部を遮蔽するためのシェード(遮光板)と、光源またはリフレクタ(反射鏡)からの光を集束させるための投影レンズ(集光レンズ)とを具備し、複数の異なる配光パターンを切り換え可能に構成された車両用灯具が知られている。この種の車両用灯具の例としては、例えば実公平7−39125号公報、特開平10−241409号公報に記載されたものがある。
例えば実公平7−39125号公報、特開平10−241409号公報に記載されたような従来の車両用灯具では、例えば車両のすれ違い時のようなロービームの配光パターンを形成すべき時に、光源またはリフレクタ(反射鏡)からの光の一部がシェード(遮光板)によって遮蔽され、例えば車両の走行時のようなハイビームの配光パターンを形成すべき時に、光源またはリフレクタ(反射鏡)からの光がシェード(遮光板)によって遮蔽されないか、あるいは、シェード(遮光板)による遮光量がすれ違い時よりも低減されるようになっている。
図13および図14はそのような従来の車両用灯具の概略的な側断面図である。詳細には、図13は車両のすれ違い時のようなロービームの配光パターンが形成される時の車両用灯具を示しており、図14は車両の走行時のようなハイビームの配光パターンが形成される時の車両用灯具を示している。
図13および図14において、101は光源、102は光源101からの光を反射するためのリフレクタである。リフレクタ102の反射面は、概ねその長軸を中心に楕円を回転させることにより形成された面(以下、「概略回転楕円面」と称する。)の一部により構成されている。F1は概略回転楕円面の第1焦点、F2は概略回転楕円面の第2焦点である。103は光源101またはリフレクタ102からの光の一部を遮蔽するためのシェード、104は光源101またはリフレクタ102からの光を集束させるための投影レンズである。103’は投影レンズ104から照射される光に明暗境界線を形成するためのカットエッジである。
図13に示すように、例えば車両のすれ違い時のようなロービームの配光パターンを形成すべき時には、シェード103のカットエッジ103’が主光軸(投影レンズ104の中心軸線)上に配置される。そのため、リフレクタ102からの光のうち、投影レンズ104の上側半分に向かって進んでいた光が、シェード103によって遮蔽される。その結果、投影レンズ104の下側半分によってロービームが照射され、そのロービームの上縁には、カットエッジ103’によって明確な明暗境界線が形成される。
一方、図14に示すように、例えば車両の走行時のようなハイビームの配光パターンを形成すべき時には、リフレクタ102からの光の光路上からシェード103が退避せしめられる。そのため、リフレクタ102からの光のすべてが、シェード103によって遮蔽されることなく、投影レンズ104に進む。その結果、投影レンズ104の全体によってハイビームが照射される。
つまり、図13および図14に示したような従来の車両用灯具では、シェード103の位置を切り換えることにより、2つの異なる配光パターンを切り換えることができる。
ところが、図13および図14に示したような従来の車両用灯具では、上述したように、例えば車両のすれ違い時のようなロービームの配光パターンが形成される時に、リフレクタ102からの光のうち、投影レンズ104の上側半分に向かって進んでいた光がシェード103によって遮蔽されてしまい、その結果、例えば車両の走行時のようなハイビームの配光パターンが形成される時に比べて光量利用率が半分程度にまで低下してしまう。
図15はリフレクタ102の外縁部102’と投影レンズ104との間に光源101から放射される光を示した図である。図15に示すように、図13および図14に示したような従来の車両用灯具では、リフレクタ102の外縁部102’と投影レンズ104との間に光源101から放射される光が、有効に利用されていなかった。この点に鑑み、リフレクタ102の外縁部102’と投影レンズ104との間に光源101から放射される光を有効利用することにより、光量利用率を向上させることが従来から行われている。この種の車両用灯具の例としては、例えば特開2003−338209号公報に記載されたものがある。
特開2003−338209号公報に記載された車両用灯具では、リフレクタの外縁部と投影レンズとの間に、光源からの光を反射するための第1付加リフレクタが設けられ、更に、第1付加リフレクタからの光を反射して前方の対象物に照射するための第2付加リフレクタが設けられている。
つまり、特開2003−338209号公報に記載された車両用灯具では、リフレクタの外縁部と投影レンズとの間に光源から放射される光が、第1付加リフレクタおよび第2付加リフレクタを介して前方の対象物に照射され、それにより、リフレクタの外縁部と投影レンズとの間に光源から放射される光が利用されていなかった図13および図14に示したような従来の車両用灯具よりも、光量利用率が向上せしめられている。
ところが、特開2003−338209号公報に記載された車両用灯具では、複数の異なる配光パターンを切り換えることができない。特開2003−338209号公報に記載された車両用灯具を改良することにより、複数の異なる配光パターンを切り換えることができるようにしようとすると、図13および図14に示したように、シェード103を移動させることにより、配光パターンを切り換えなければならない。しかしながら、シェード103を移動させることによって配光パターンを切り換えようとすると、上述したように、例えば車両のすれ違い時のようなロービームの配光パターンが形成される時に、例えば車両の走行時のようなハイビームの配光パターンが形成される時よりも光量利用率が大幅に低下してしまう。
つまり、上述した従来の車両用灯具を組み合わせることによっては、光量利用率を低下させることなく複数の異なる配光パターンを形成することができない。
実公平7−39125号公報
特開平10−241409号公報
特開2003−338209号公報
前記問題点に鑑み、本発明は、光量利用率を低下させることなく複数の異なる配光パターンを切り換えることができる車両用灯具を提供することを目的とする。
請求項1に記載の発明によれば、光源と、前記光源からの光を反射するための主リフレクタと、前記光源または前記主リフレクタからの光の一部を遮蔽するためのシェードと、前記光源または前記主リフレクタからの光を集束させるための投影レンズとを具備する車両用灯具において、前記光源からの光を反射するために前記主リフレクタの外縁部と前記投影レンズとの間に配置された第1副リフレクタと、前記第1副リフレクタからの光を反射して第1配光パターンを形成するための第2副リフレクタと、前記第1副リフレクタからの光を反射して第2配光パターンを形成するために前記第1副リフレクタからの光の光路上に進退可能に構成された第3副リフレクタとを設け、前記第1副リフレクタの反射面を概略回転楕円面により形成し、前記第1副リフレクタの反射面の第1焦点に前記光源を配置し、前記第1副リフレクタの反射面の第2焦点の近傍に前記第1副リフレクタからの光の一部を遮蔽するための副シェードを配置したことを特徴とする車両用灯具が提供される。
請求項2に記載の発明によれば、前記投影レンズの中心軸線上から外れた位置に前記光源を配置したことを特徴とする請求項1に記載の車両用灯具が提供される。
請求項3に記載の発明によれば、前記第1副リフレクタから前記第2副リフレクタまでの距離よりも、前記第1副リフレクタから前記第3副リフレクタまでの距離が小さくなるように、前記第3副リフレクタを配置したことを特徴とする請求項1又は2に記載の車両用灯具が提供される。
請求項4に記載の発明によれば、前記第3副リフレクタの焦点距離が前記第2副リフレクタの焦点距離よりも小さくなるように前記第3副リフレクタの焦点距離を設定したことを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の車両用灯具が提供される。
請求項5に記載の発明によれば、前記第3副リフレクタの焦点距離が前記第2副リフレクタの焦点距離の2分の1倍よりも大きくなるように前記第3副リフレクタの焦点距離を設定したことを特徴とする請求項4に記載の車両用灯具が提供される。
請求項6に記載の発明によれば、前記第3副リフレクタを回動式に進退可能に構成したことを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載の車両用灯具が提供される。
請求項7に記載の発明によれば、前記光源からの光を反射するために前記主リフレクタの外縁部と前記投影レンズとの間に配置された第4副リフレクタと、前記第4副リフレクタからの光を反射して第3配光パターンを形成するための第5副リフレクタと、前記第4副リフレクタからの光を反射して第4配光パターンを形成するために前記第4副リフレクタからの光の光路上に進退可能に構成された第6副リフレクタとを具備することを特徴とする請求項1〜6のいずれか一項に記載の車両用灯具が提供される。
請求項1に記載の車両用灯具では、第1副リフレクタからの光を反射して第1配光パターンを形成するための第2副リフレクタとは別個に、第1副リフレクタからの光を反射して第2配光パターンを形成するために第1副リフレクタからの光の光路上に進退可能に構成された第3副リフレクタが設けられている。詳細には、第1配光パターンを形成すべき時には、第1副リフレクタからの光の光路上から第3副リフレクタが退避せしめられ、第1副リフレクタからの光が第2副リフレクタによって反射され、第1配光パターンが形成される。一方、第2配光パターンを形成すべき時には、第1副リフレクタからの光の光路上に第3副リフレクタが進出せしめられ、第1副リフレクタからの光が第3副リフレクタによって反射され、第2配光パターンが形成される。
つまり、請求項1に記載の車両用灯具では、第1配光パターンが形成される時と、第2配光パターンが形成される時とでシェードによる遮光量は変更せしめられない。換言すれば、シェードによる遮光量を増加させ、光量利用率を低下させることによって配光パターンが切り換えられることがない。そのため、第2配光パターンとして例えばロービームが形成される時に、第1配光パターンとして例えばハイビームが形成される時よりも、シェードによる遮光量が増加せしめられ、光量利用率が低下せしめられる例えば実公平7−39125号公報、特開平10−241409号公報などに記載された車両用灯具とは異なり、光量利用率を低下させることなく複数の異なる配光パターンを形成することができる。
すなわち、請求項1に記載の車両用灯具によれば、シェードによる遮光量を増加させることなく配光パターンを切り換えることができる。つまり、光量利用率が高い値になるようにシェードによる遮光量を固定した状態で配光パターンを切り換えることができる。
第2副リフレクタおよび第3副リフレクタは、主光軸(投影レンズの中心軸線)の下側に配置されていても、その上側に配置されていても、その右側に配置されていても、その左側に配置されていてもよい。
光源の中心軸線は、主リフレクタの概略回転楕円面の長軸に対して垂直に配置されていてもよく、あるいは、主リフレクタの概略回転楕円面の長軸に対して平行に配置されていてもよい。つまり、光源は、いわゆる横置きに配置されていてもよく、あるいは、いわゆる縦置きに配置されていてもよい。
更に、請求項1に記載の車両用灯具では、第1副リフレクタの反射面が概略回転楕円面により形成され、第1副リフレクタの反射面の第1焦点に光源が配置され、第1副リフレクタの反射面の第2焦点の近傍に第1副リフレクタからの光の一部を遮蔽するための副シェードが配置されている。つまり、第1副リフレクタからの光の一部を遮蔽するための副シェードが設けられている。そのため、第2副リフレクタによって反射された光および第3副リフレクタによって反射された光に明確な明暗境界線を形成することができる。その結果、第2副リフレクタにより形成される第1配光パターンおよび第3副リフレクタにより形成される第2配光パターンを高い位置に配置することができる。
投影レンズの中心軸線(主光軸)上に光源が配置されると、主リフレクタからの光のうち、その線上の成分が光源によって遮蔽され、その結果、シェードのカットエッジによって形成される明暗境界線がぼやけてしまうおそれがある。この点に鑑み、請求項2に記載の車両用灯具では、投影レンズの中心軸線(主光軸)上から外れた位置に光源が配置されている。そのため、投影レンズの中心軸線(主光軸)上に光源が配置されるのに伴って、シェードのカットエッジにより形成される明暗境界線がぼやけてしまうのを回避することができる。
請求項3に記載の車両用灯具では、第1副リフレクタから第2副リフレクタまでの距離よりも、第1副リフレクタから第3副リフレクタまでの距離が小さくなるように、第3副リフレクタが配置されている。そのため、第1副リフレクタからの光の光路上から第3副リフレクタを退避させるための移動量および第1副リフレクタからの光の光路上に第3副リフレクタを進出させるための移動量を小さくすることができ、それにより、第1配光パターンと第2配光パターンとの切換えを高速で行うことができる。
請求項4及び5に記載の車両用灯具では、第3副リフレクタの焦点距離が第2副リフレクタの焦点距離よりも小さくなるように第3副リフレクタの焦点距離が設定されている。詳細には、第3副リフレクタの焦点距離が第2副リフレクタの焦点距離の2分の1倍よりも大きくなるように第3副リフレクタの焦点距離が設定されている。そのため、第1配光パターンを形成すべき時に第1副リフレクタからの光が第3副リフレクタによって遮蔽されてしまうのを回避することができる。つまり、光量利用率を低下させることなく第1配光パターンと第2配光パターンとを切り換えることができる。
第3副リフレクタが第1副リフレクタからの光の光路上に進出せしめられた時に、第3副リフレクタの位置が所望位置からずれていたり、第3副リフレクタの姿勢が所望姿勢からずれていたりすると、第2配光パターンを所望位置に形成することができない。この点に鑑み、請求項6に記載の車両用灯具では、第3副リフレクタが第1副リフレクタからの光の光路上に進出せしめられた時に、第3副リフレクタの姿勢が所望姿勢からずれることなく、第3副リフレクタが所望位置に正確に位置決めされ得るように、第3副リフレクタが回動式に進退可能に構成されている。そのため、第3副リフレクタが例えばスライド式に進退可能に構成されている場合よりも簡単な構成により、第3副リフレクタの姿勢が所望姿勢からずれることなく、第3副リフレクタが所望位置に正確に位置決めされ得るように、第3副リフレクタを第1副リフレクタからの光の光路上に進出させることができる。
好ましくは、第1副リフレクタに近い側の第3副リフレクタの縁部を含む面であって投影レンズの中心軸線(主光軸)に垂直な第1仮想面と、第1副リフレクタから遠い側の第3副リフレクタの縁部を含む面であって投影レンズの中心軸線(主光軸)に垂直な第2仮想面とが画定され、第1仮想面と第2仮想面との中間位置に第1仮想面および第2仮想面と平行な第3仮想面が画定され、第3仮想面から±10mm以内の位置に第3副リフレクタの回動中心が配置されている。そのため、車両用灯具全体が大型化するのを回避しつつ、第1配光パターンを形成すべき時に第1副リフレクタからの光の光路上から第3副リフレクタを退避させることができる。つまり、車両用灯具全体が大型化するのを回避しつつ、第1配光パターンを形成すべき時に第1副リフレクタからの光が第3副リフレクタによって遮蔽されてしまうのを回避することができる。それにより、車両用灯具全体が大型化するのを回避しつつ、光量利用率を低下させることなく第1配光パターンと第2配光パターンとを切り換えることができる。
また、好ましくは、第2副リフレクタからの光または第3副リフレクタからの光を集束させるための副投影レンズが設けられている。つまり、第2副リフレクタからの光または第3副リフレクタからの光が副投影レンズによって集束せしめられて照射される。そのため、第1配光パターンまたは第2配光パターンの照射領域を狭い領域に限定することができる。つまり、照射領域が比較的広い投影レンズ(主投影レンズ)を介して照射される配光パターンを、照射領域が比較的狭い第1配光パターンまたは第2配光パターンによって、目的に応じて効果的に補うことができる。
更に、好ましくは、第2副リフレクタからの光または第3副リフレクタからの光を屈折させるために、例えばいわゆるレンズカットのような屈折手段が設けられている。つまり、第2副リフレクタからの光または第3副リフレクタからの光が屈折手段によって屈折せしめられて照射される。そのため、投影レンズを介して照射される配光パターンを、屈折された第1配光パターンまたは屈折された第2配光パターンによって、目的に応じて効果的に補うことができる。
請求項7に記載の車両用灯具では、第4副リフレクタからの光を反射して第3配光パターンを形成するための第5副リフレクタと、第4副リフレクタからの光を反射して第4配光パターンを形成するために第4副リフレクタからの光の光路上に進退可能に構成された第6副リフレクタとが、第1配光パターンを形成するための第2副リフレクタおよび第2配光パターンを形成するための第3副リフレクタとは別個に設けられている。そのため、第1配光パターンおよび第2配光パターンの一方が形成されている時に、第3配光パターンおよび第4配光パターンの一方を形成することができ、第1配光パターンおよび第2配光パターンの他方が形成されている時に、第3配光パターンおよび第4配光パターンの他方を形成することができる。
以下、本発明の車両用灯具の第1の実施形態について説明する。図1および図2は第1の実施形態の車両用灯具の概略的な側断面図である。詳細には、図1は第1モード時における第1の実施形態の車両用灯具を示しており、図2は第2モード時における第1の実施形態の車両用灯具を示している。図3は第1の実施形態の車両用灯具の配光パターンを示した図である。詳細には、図3(A)は第1モード時における第1の実施形態の車両用灯具の配光パターンを示しており、図3(B)は第2モード時における第1の実施形態の車両用灯具の配光パターンを示している。
図1および図2において、1は光源、2は光源1からの光を反射するための主リフレクタである。主リフレクタ2の反射面は、概ねその長軸を中心に楕円を回転させることにより形成された概略回転楕円面の一部により構成されている。F1は主リフレクタ2の概略回転楕円面の第1焦点、F2は主リフレクタ2の概略回転楕円面の第2焦点、2’は主リフレクタ2の外縁部である。3は光源1または主リフレクタ2からの光の一部を遮蔽するための主シェード、4は光源1または主リフレクタ2からの光を集束させるための投影レンズである。3’は投影レンズ4から照射される光に明暗境界線を形成するためのカットエッジである。
図1および図2に示すように、第1の実施形態の車両用灯具では、例えば車両のすれ違い時用のロービームの配光パターンP1(図3(A)および図3(B)参照)を形成するために、主シェード3のカットエッジ3’が、主リフレクタ2の概略回転楕円面の第2焦点F2の近傍に配置されている。そのため、光源1またはリフレクタ2からの光の一部が主シェード3によって遮蔽され、その結果、図3(A)および図3(B)に示すように、配光パターンP1の上縁には、カットエッジ3’によって明確な明暗境界線が形成される。
第1の実施形態の車両用灯具では、光量利用率が高い値になるように、光源1、主リフレクタ2、主シェード3および投影レンズ4が配置され、それらによって、配光パターンP1が形成される。更に、第1の実施形態の車両用灯具では、リフレクタ2の外縁部2’と投影レンズ4との間に光源1から放射される光が、後述するように有効利用がされており、それにより、光量利用率の更なる向上が図られている。
図1および図2において、5は光源1からの光を反射するために主リフレクタ2の外縁部2’と投影レンズ4との間に配置された第1副リフレクタである。第1副リフレクタ5の反射面は、概ねその長軸を中心に楕円を回転させることにより形成された概略回転楕円面の一部により構成されている。第1副リフレクタ5の概略回転楕円面の第1焦点は、主リフレクタ2の概略回転楕円面の第1焦点F1と同一位置に位置している。F2’は第1副リフレクタ5の概略回転楕円面の第2焦点である。
また、図1および図2において、6は第1副リフレクタ5からの光を反射して配光パターンP2(図3(A)参照)を形成するための第2副リフレクタである。7は第1副リフレクタ5からの光を反射して配光パターンP3(図3(B)参照)を形成するための第3副リフレクタである。第3副リフレクタ7は、リンク機構(図示せず)によって回動中心Cを中心に回動可能に構成されており、例えばパルスモータによって回動せしめられ、位置決めされる。8は第1副リフレクタ5からの光の一部を遮蔽するための副シェードである。副シェード8のカットエッジは第1副リフレクタ5の概略回転楕円面の第2焦点F2’の近傍に配置されている。
第1の実施形態の車両用灯具の第1モード時には、図1に示すように、第3副リフレクタ7が、第1副リフレクタ5からの光の光路上から退避せしめられている。そのため、第1副リフレクタ5からの光は第2副リフレクタ6によって反射せしめられ、その結果、図3(A)に示すように、配光パターンP2が形成される。詳細には、配光パターンP1の領域外に配光パターンP2の一部が配置され、照射される光の広がりが向上せしめられている。例えば車両の右側ヘッドライトからは右側の配光パターンP2が照射され、左側のヘッドライトからは左側の配光パターンP2が照射される。例えば車両が交差点において右折または左折する時に、後述する第2モードからこの第1モードに切り換えられる。
一方、第1の実施形態の車両用灯具の第2モード時には、図2に示すように、第3副リフレクタ7が、第1副リフレクタ5からの光の光路上に進出せしめられている。そのため、第1副リフレクタ5からの光は第3副リフレクタ7によって反射せしめられ、その結果、図3(B)に示すように、配光パターンP3が形成される。詳細には、配光パターンP1の一部と配光パターンP3とが重複せしめられ、照射される光の明るさが向上せしめられている。
つまり、第1の実施形態の車両用灯具では、主リフレクタ2の外縁部2’と投影レンズ4との間に光源1から放射される光が、第1副リフレクタ5および第2副リフレクタ6または第3副リフレクタ7を介して前方の対象物に照射される。すなわち、主リフレクタ2の外縁部2’と投影レンズ4との間に光源1から放射される光が有効利用され、光量利用率が向上せしめられている。
更に、第1の実施形態の車両用灯具では、主シェード3の位置を切り換えて光量利用率を低下させることなく、第3副リフレクタ7の位置を切り換えることにより、2つの異なる配光パターンP2,P3が切り換えられる。
換言すれば、第1の実施形態の車両用灯具では、図1〜図3に示すように、第1副リフレクタ5からの光を反射して配光パターンP2を形成するための第2副リフレクタ6とは別個に、第1副リフレクタ5からの光を反射して配光パターンP3を形成するために第1副リフレクタ5からの光の光路上に進退可能に構成された第3副リフレクタ7が設けられている。詳細には、図3(A)に示すように、配光パターンP2を形成すべき時には、図1に示すように、第1副リフレクタ5からの光の光路上から第3副リフレクタ7が退避せしめられ、第1副リフレクタ5からの光が第2副リフレクタ6によって反射され、配光パターンP2が形成される。一方、図3(B)に示すように、配光パターンP3を形成すべき時には、第1副リフレクタ5からの光の光路上に第3副リフレクタ7が進出せしめられ、第1副リフレクタ5からの光が第3副リフレクタ7によって反射され、配光パターンP3が形成される。
つまり、第1の実施形態の車両用灯具では、図3(A)に示す配光パターンP1,P2が形成される時と、図3(B)に示す配光パターンP1,P3が形成される時とで主シェード3による遮光量は変更せしめられない。換言すれば、主シェードによる遮光量を増加させ、光量利用率を低下させることによって配光パターンが切り換えられることがない。そのため、例えば実公平7−39125号公報、特開平10−241409号公報などに記載された車両用灯具とは異なり、光量利用率を低下させることなく複数の異なる配光パターンP2,P3を形成することができる。
すなわち、第1の実施形態の車両用灯具によれば、主シェード3による遮光量を増加させることなく配光パターンP2,P3を切り換えることができる。つまり、光量利用率が高い値になるように主シェード3による遮光量を固定した状態で配光パターンP2,P3を切り換えることができる。
更に、第1の実施形態の車両用灯具では、図1および図2に示すように、投影レンズ4の中心軸線(主光軸)L上から外れた位置に光源1が配置されている。そのため、投影レンズの中心軸線(主光軸)上に光源が配置されるのに伴って、主リフレクタからの光のうち、投影レンズの中心軸線(主光軸)上の成分が光源によって遮蔽されてしまうのを回避することができる。
また、第1の実施形態の車両用灯具では、図1および図2に示すように、第1副リフレクタ5から第2副リフレクタ6までの距離よりも、第1副リフレクタ5から第3副リフレクタ7までの距離が小さくなるように、第3副リフレクタ7が配置されている。そのため、第1副リフレクタ5からの光の光路上から第3副リフレクタ7を退避させるための移動量および第1副リフレクタ5からの光の光路上に第3副リフレクタ7を進出させるための移動量を小さくすることができ、それにより、図3(A)に示した配光パターンP2と図3(B)に示した配光パターンP3との切換えを高速で行うことができる。
更に、第1の実施形態の車両用灯具では、第3副リフレクタ7の焦点距離が第2副リフレクタ6の焦点距離よりも小さくなるように第3副リフレクタ7の焦点距離が設定されている。詳細には、第3副リフレクタ7の焦点距離が第2副リフレクタ6の焦点距離の2分の1倍よりも大きくなるように第3副リフレクタ7の焦点距離が設定されている。そのため、配光パターンP2を形成すべき時に第1副リフレクタ5からの光が第3副リフレクタ7によって遮蔽されてしまうのを回避することができる。つまり、光量利用率を低下させることなく配光パターンP2と配光パターンP3とを切り換えることができる。
また、第1の実施形態の車両用灯具では、第3副リフレクタ7が第1副リフレクタ5からの光の光路上に進出せしめられた時に、第3副リフレクタ7の姿勢が所望姿勢からずれることなく、第3副リフレクタ7が所望位置に正確に位置決めされ得るように、上述したように、第3副リフレクタ7が回動式に進退可能に構成されている。そのため、第3副リフレクタ7が例えばスライド式に進退可能に構成されている場合よりも簡単な構成により、第3副リフレクタ7の姿勢が所望姿勢からずれることなく、第3副リフレクタ7が所望位置に正確に位置決めされ得るように、第3副リフレクタ7を第1副リフレクタ5からの光の光路上に進出させることができる。
図4は第1の実施形態の車両用灯具の第3副リフレクタ7の回動中心Cを説明するための図である。図4において、S1は第1副リフレクタ5に近い側の第3副リフレクタ7の縁部7’を含む面であって投影レンズ4の中心軸線(主光軸)Lに垂直な第1仮想面である。S2は第1副リフレクタ5から遠い側の第3副リフレクタ7の縁部7”を含む面であって投影レンズ4の中心軸線(主光軸)Lに垂直な第2仮想面である。S3は第1仮想面S1と第2仮想面S2との中間位置に位置し、第1仮想面S1および第2仮想面S2と平行な第3仮想面である。
第1の実施形態の車両用灯具では、図4に示すように、第1仮想面S1と第2仮想面S2との間に第3副リフレクタ7の回動中心Cが配置されている。好適には、第3仮想面S3から第3副リフレクタ7の回動中心Cまでの距離Dが±10mm以内になり、かつ、光源1より上方かつ主シェード3の上端よりも下方であって両者の間に位置するように、第3副リフレクタ7の回動中心Cが配置されている。そのため、車両用灯具全体が大型化するのを回避しつつ、図3(A)に示した配光パターンP2を形成すべき時に第1副リフレクタ5からの光の光路上から第3副リフレクタ7を退避させることができる。つまり、車両用灯具全体が大型化するのを回避しつつ、図3(A)に示した配光パターンP2を形成すべき時に第1副リフレクタ5からの光が第3副リフレクタ7によって遮蔽されてしまうのを回避することができる。それにより、車両用灯具全体が大型化するのを回避しつつ、光量利用率を低下させることなく図3(A)に示した配光パターンP2と図3(B)に示した配光パターンP3とを切り換えることができる。
第1の実施形態の車両用灯具では、図1および図2に示すように、第2副リフレクタ6および第3副リフレクタ7が主光軸(投影レンズ4の中心軸線)Lの下側に配置されているが、第1の実施形態の車両用灯具の変形例では、第2副リフレクタおよび第3副リフレクタを主光軸(投影レンズの中心軸線)の上側(図1および図2の上側)に配置することも可能であり、あるいは、その右側(図1および図2の手前側)に配置することも可能であり、あるいは、その左側(図1および図2の奥側)に配置することも可能である。
また、第1の実施形態の車両用灯具では、図1および図2に示すように、光源1の中心軸線が、主リフレクタ2の概略回転楕円面の長軸(第1焦点F1と第2焦点F2とを結ぶ線)に対して垂直に、つまり、図1および図2の手前−奥方向に延びているように配置されているが、第1の実施形態の車両用灯具の変形例では、光源の中心軸線を主リフレクタの概略回転楕円面の長軸(第1焦点と第2焦点とを結ぶ線)に対して平行に配置することも可能である。つまり、第1の実施形態の車両用灯具では、光源がいわゆる横置きに配置されているが、第1の実施形態の車両用灯具の変形例では、光源をいわゆる縦置きに配置することも可能である。
以下、本発明の車両用灯具の第2の実施形態について説明する。図5および図6は第2の実施形態の車両用灯具の概略的な側断面図である。詳細には、図5は第1モード時における第2の実施形態の車両用灯具を示しており、図6は第2モード時における第2の実施形態の車両用灯具を示している。図7は第2の実施形態の車両用灯具の配光パターンを示した図である。詳細には、図7(A)は第1モード時における第2の実施形態の車両用灯具の配光パターンを示しており、図7(B)は第2モード時における第2の実施形態の車両用灯具の配光パターンを示している。
第2の実施形態の車両用灯具は、後述する点を除き、上述した第1の実施形態の車両用灯具またはその変形例と同様に構成されている。そのため、後述する点を除き、上述した第1の実施形態の車両用灯具またはその変形例と同様の効果を奏することができる。
図5〜図7において、図1〜図4に示した参照符号と同一の参照符号は、図1〜図4に示した部品または部分と同一の部品または部分を示しており、17は第1副リフレクタ5からの光を反射して配光パターンP13(図7(B)参照)を形成するための第3副リフレクタである。第2の実施形態の車両用灯具では、第3副リフレクタ17の反射面が、第1の実施形態の車両用灯具の第3副リフレクタ7の反射面から変更されている。その結果、第2の実施形態の車両用灯具では、第3副リフレクタ17により形成される配光パターンP13(図7(B)参照)が、第1の実施形態の車両用灯具の第3副リフレクタ7により形成される配光パターンP3(図3(B)参照)から変更されている。
詳細には、第2の実施形態の車両用灯具の第2モード時には、図6に示すように、第1副リフレクタ5からの光が第3副リフレクタ17によって反射せしめられ、その結果、図7(B)に示すように、配光パターンP13が形成される。配光パターンP13の上縁には、副シェード8のカットエッジによって明確な明暗境界線が形成される。つまり、第2の実施形態の車両用灯具の第2モードは、例えば車両の高速道路走行中にドライバが上方の高速道路標識を確認したい時に選択される。
換言すれば、第2の実施形態の車両用灯具では、第1副リフレクタ5の反射面が概略回転楕円面により形成され、第1副リフレクタ5の反射面の第1焦点F1に光源1が配置され、第1副リフレクタ5の反射面の第2焦点F2’の近傍に第1副リフレクタ5からの光の一部を遮蔽するための副シェード8が配置されている。つまり、第1副リフレクタ5からの光の一部を遮蔽するための副シェード8が設けられている。そのため、第2副リフレクタ6によって反射された光および第3副リフレクタ17によって反射された光に明確な明暗境界線を形成することができる。その結果、第2副リフレクタ6により形成される配光パターンP2および第3副リフレクタ17により形成される配光パターンP13を高い位置に配置することができる。詳細には、図7(B)に示すように、第3副リフレクタ17により形成された配光パターンP13の上縁に明確な明暗境界線が形成され、第3副リフレクタ17により形成される配光パターンP13が高い位置に配置される。
また、第2の実施形態の車両用灯具では、第2副リフレクタ6からの光または第3副リフレクタ17からの光を集束させるための副投影レンズ(図示せず)が設けられている。つまり、第2副リフレクタ6からの光または第3副リフレクタ17からの光が副投影レンズによって集束せしめられて照射される。そのため、配光パターンP2または配光パターンP13の照射領域を狭い領域に限定することができる。つまり、照射領域が比較的広い投影レンズ(主投影レンズ)4を介して照射される配光パターンP1を、照射領域が比較的狭い副投影レンズ(図示せず)を介して照射される配光パターンP2または配光パターンP13によって、目的に応じて効果的に補うことができる。詳細には、第3副リフレクタ17からの光を集束させるために副投影レンズ(図示せず)が用いられ、図7(B)に示すように、上方かつ遠方の高速道路標識に対して照射領域の狭い配光パターンP13が照射される。
上述したように、第2の実施形態の車両用灯具では、第2副リフレクタ6からの光または第3副リフレクタ17からの光を集束させるための副投影レンズ(図示せず)が設けられているが、第2の実施形態の車両用灯具の変形例では、第2副リフレクタ6からの光または第3副リフレクタ17からの光を屈折させるために、例えばいわゆるレンズカットのような屈折手段(図示せず)を設けることも可能である。つまり、第2の実施形態の車両用灯具の変形例では、第2副リフレクタ6からの光または第3副リフレクタ17からの光が屈折手段によって屈折せしめられて照射される。そのため、投影レンズ4を介して照射される配光パターンP1を、第2副リフレクタ6からの光が屈折された配光パターン、または、第3副リフレクタ17からの光が屈折された配光パターンによって、目的に応じて効果的に補うことができる。
以下、本発明の車両用灯具の第3の実施形態について説明する。図8および図9は第3の実施形態の車両用灯具の概略的な側断面図である。詳細には、図8は第1モード時における第3の実施形態の車両用灯具を示しており、図9は第2モード時における第3の実施形態の車両用灯具を示している。図10は第3の実施形態の車両用灯具の配光パターンを示した図である。詳細には、図10(A)は第1モード時における第3の実施形態の車両用灯具の配光パターンを示しており、図10(B)は第2モード時における第3の実施形態の車両用灯具の配光パターンを示している。
第3の実施形態の車両用灯具は、後述する点を除き、上述した第2の実施形態の車両用灯具と同様に構成されている。そのため、後述する点を除き、上述した第2の実施形態の車両用灯具と同様の効果を奏することができる。
図8〜図10において、図1〜図7に示した参照符号と同一の参照符号は、図1〜図7に示した部品または部分と同一の部品または部分を示しており、28は第1副リフレクタ5からの光の一部を遮蔽するために第1副リフレクタ5からの光の光路上に進退可能に構成された副シェードである。上述した第2の実施形態の車両用灯具では、副シェード8が固定して配置されていたのに対し、第3の実施形態の車両用灯具では、副シェード28が第1副リフレクタ5からの光の光路上に進退可能に構成されている。その結果、第2モード時における第3の実施形態の車両用灯具の配光パターンP23(図10(B)参照)が、第2モード時における第2の実施形態の車両用灯具の配光パターンP13(図7(B)参照)から変更されている。
詳細には、第3の実施形態の車両用灯具の第1モード時には、第2の実施形態の車両用灯具の第1モード時と同様に、図8に示すように、第1副リフレクタ5からの光が第2副リフレクタ6によって反射せしめられ、その結果、図10(A)に示すように、配光パターンP2が形成される。配光パターンP2の上縁には、副シェード8のカットエッジによって明確な明暗境界線が形成される。一方、第3の実施形態の車両用灯具の第2モード時には、図9に示すように、第3副リフレクタ17が第1副リフレクタ5からの光の光路上に進出せしめられると共に、副シェード28(図示せず)が第1副リフレクタ5からの光の光路上から退避せしめられる。それにより、第1副リフレクタ5からの光が、副シェード28によって遮蔽されることなく、第3副リフレクタ17によって反射せしめられる。その結果、図10(B)に示すように、その上縁に明暗境界線が形成されていない配光パターンP23が形成される。つまり、第3の実施形態の車両用灯具の第2モードは、例えば車両のドライバがハイビームを照射したい時に選択される。
詳細には、第3の実施形態の車両用灯具では、副シェード28と第3副リフレクタ17とが一体となって回動中心Cを中心に回動せしめられ、図9に矢印で示すように第3副リフレクタ17が右側に向かって移動せしめられる時に、副シェード28も同様に図8に示した位置から右側に向かって移動せしめられ、第1副リフレクタ5からの光の光路上から退避せしめられる。
第3の実施形態の車両用灯具の変形例では、副シェード28と第3副リフレクタ17とを別個に移動させることも可能である。例えば第3の実施形態の車両用灯具の変形例では、副シェード28と第3副リフレクタ17とがリンク機構(図示せず)によって接合されている。詳細には、図9に矢印で示すように第3副リフレクタ17が右側に向かって移動せしめられる時に、副シェード28は、図8に示した位置から左側に向かって移動せしめられ、第1副リフレクタ5からの光の光路上から退避せしめられる。
また、第3の実施形態の車両用灯具では、第2の実施形態の車両用灯具と同様に、第2副リフレクタ6からの光または第3副リフレクタ17からの光を集束させるための副投影レンズ(図示せず)が設けられている。つまり、第2副リフレクタ6からの光または第3副リフレクタ17からの光が副投影レンズによって集束せしめられて照射される。そのため、配光パターンP2または配光パターンP23の照射領域を狭い領域に限定することができる。つまり、照射領域が比較的広い投影レンズ(主投影レンズ)4を介して照射される配光パターンP1を、照射領域が比較的狭い副投影レンズ(図示せず)を介して照射される配光パターンP2または配光パターンP23によって、目的に応じて効果的に補うことができる。詳細には、第3副リフレクタ17からの光を集束させるために副投影レンズ(図示せず)が用いられ、図10(B)に示すように、上方かつ遠方に照射領域の狭い配光パターンP23が照射される。
上述したように、第3の実施形態の車両用灯具では、第2副リフレクタ6からの光または第3副リフレクタ17からの光を集束させるための副投影レンズ(図示せず)が設けられているが、第3の実施形態の車両用灯具の他の変形例では、第2の実施形態の車両用灯具の変形例と同様に、第2副リフレクタ6からの光または第3副リフレクタ17からの光を屈折させるために、例えばいわゆるレンズカットのような屈折手段(図示せず)を設けることも可能である。詳細には、第3の実施形態の車両用灯具の変形例では、第3副リフレクタ17からの光が屈折手段によって上方に屈折せしめられ、ハイビームとしての配光パターンP23が形成される。
以下、本発明の車両用灯具の第4の実施形態について説明する。図11および図12は第4の実施形態の車両用灯具の概略的な側断面図である。詳細には、図11は第1モード時における第4の実施形態の車両用灯具を示しており、図12は第2モード時における第4の実施形態の車両用灯具を示している。
第4の実施形態の車両用灯具は、後述する点を除き、上述した第1の実施形態の車両用灯具またはその変形例と同様に構成されている。そのため、後述する点を除き、上述した第1の実施形態の車両用灯具またはその変形例と同様の効果を奏することができる。
図11および図12において、図1〜図10に示した参照符号と同一の参照符号は、図1〜図10に示した部品または部分と同一の部品または部分を示しており、35は光源1からの光を反射するために主リフレクタ2の外縁部2”と投影レンズ4との間に配置された第4副リフレクタである。第4副リフレクタ35の反射面は、概ねその長軸を中心に楕円を回転させることにより形成された概略回転楕円面の一部により構成されている。第4副リフレクタ35の概略回転楕円面の第1焦点は、主リフレクタ2の概略回転楕円面の第1焦点F1と同一位置に位置している。F2”は第4副リフレクタ35の概略回転楕円面の第2焦点である。
また、図11および図12において、36は第4副リフレクタ35からの光を反射して配光パターン(図示せず)を形成するための第5副リフレクタである。37は第4副リフレクタ35からの光を反射して配光パターン(図示せず)を形成するための第6副リフレクタである。第6副リフレクタ37は、リンク機構(図示せず)によって回動中心C’を中心に回動可能に構成されており、例えばパルスモータによって回動せしめられ、位置決めされる。38は第4副リフレクタ35からの光の一部を遮蔽するための第2副シェードである。第2副シェード38のカットエッジは第4副リフレクタ35の概略回転楕円面の第2焦点F2”の近傍に配置されている。
つまり、第4の実施形態の車両用灯具では、図11および図12に示すように、第4副リフレクタ35からの光を反射して配光パターンを形成するための第5副リフレクタ36と、第4副リフレクタ35からの光を反射してその配光パターンとは異なる配光パターンを形成するために第4副リフレクタ35からの光の光路上に進退可能に構成された第6副リフレクタ37とが、図3(A)に示した配光パターンP2を形成するための第2副リフレクタ6および図3(B)に示した配光パターンP3を形成するための第3副リフレクタ7とは別個に設けられている。そのため、例えば図3(A)に示した配光パターンP2が形成される第1モード時に、第5副リフレクタ36による配光パターンを形成し、図3(B)に示した配光パターンP3が形成される第2モード時に、第6副リフレクタ37による配光パターンを形成することができる。あるいは、第4の実施形態の車両用灯具の変形例では、例えば図3(A)に示した配光パターンP2が形成される時に、第6副リフレクタ37による配光パターンを形成し、図3(B)に示した配光パターンP3が形成される時に、第5副リフレクタ36による配光パターンを形成することも可能である。
第4の実施形態の車両用灯具では、図11および図12に示すように、第4副リフレクタ35が主光軸(投影レンズ4の中心軸線)Lの下側に配置され、第5副リフレクタ36および第6副リフレクタ37が主光軸(投影レンズ4の中心軸線)Lの上側に配置されているが、第4の実施形態の車両用灯具の他の変形例では、図1および図2に示した部品および光路と干渉しないように、第4副リフレクタ、第5副リフレクタおよび第6副リフレクタを任意の位置に配置することも可能である。