JP4409115B2 - 位置制御装置および位置制御方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、たとえば、NC工作機械等の制御対象の位置制御を行う位置制御装置および位置制御方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
一般に、NC工作機械におけるワークを固定するテーブルの位置やワークを切削する工具等の制御対象の位置制御は、たとえば、ラック及びピニオン、ボールねじ及びナットなどからなる伝達機構を介して制御対象に接続されたサーボモータの回転量を制御することによって行っている。
このような制御対象の位置制御方式としては、セミクローズドループ制御方式、フルクローズドループ制御方式、および、ハイブリッド制御方式が知られている。
【0003】
セミクローズドループ制御方式では、たとえば、ロータリエンコーダ等の検出器でサーボモータの回転位置を検出し、検出したサーボモータの回転位置を制御対象の位置に変換し、この変換した回転位置を位置指令にフィードバックしてサーボモータの回転量を制御するサーボ制御系を構成する。
フルクローズドループ制御方式は、テーブル等の制御対象に対して、たとえば、リニアスケールを直接設け、このリニアスケールの検出した制御対象の位置を位置指令にフィードバックしてサーボモータの回転量を制御するサーボ制御系を構成する。
ハイブリッド制御方式は、サーボモータの回転位置および制御対象の位置の双方を検出し、位置指令に制御対象の位置に変換したサーボモータの回転位置をフィードバックするとともに、制御対象の位置と変換したサーボモータの回転位置との差を一次遅れフィルタでフィルタリングしてから位置指令にフィードバックすることによってサーボモータの回転量を制御するサーボ制御系を構成する。
【0004】
サーボモータと制御対象との間に設けられる伝達機構に、たとえば、バックラッシや摩擦等の非線形な特性が存在すると、サーボモータの回転位置を正確に制御しても、制御対象の送り方向を反転した際にサーボモータは回転するが制御対象は停止したままとなる、いわゆるロストモーションが発生し、位置指令に対して制御対象が即座には追従しないことが知られている。
この追従誤差を補正する方法として、位置指令の送り方向の反転を検出したらサーボモータに対する制御指令を補正して、速やかにロストモーションを除去して制御対象の位置指令からの追従誤差を抑制するいわゆるバックラッシ補正が知られている。
上記のセミクローズドループ制御方式では、制御対象の位置をサーボモータの回転位置から間接的に得ており、直接には管理していないため、バックラッシュ補正を行っても、制御対象にオフセットが生じない。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記のフルクローズドループ制御方式およびハイブリッド制御方式では、制御対象が移動中に、すなわち、リニアスケールからのフィードバック値が変化している最中に上記のようなバックラッシ補正を行うと、制御対象の位置情報が補正されることになり、制御対象の位置にオフセットが生じる。
一方、ハイブリッド制御方式では、リニアスケールからのフィードバック値とともに、サーボモータのフィードバック値を用いているため、このサーボモータのフィードバック値を補正することで、制御対象の位置決め位置にオフセットが生じることは防げる。
しかしながら、ハイブリッド制御方式では、目標位置にリニアスケールの検出位置を一致するように制御するため、制御対象の移動方向が反転する直前にリニアスケールからの制御対象の位置のフィードバック値がロストモーションが発生する向きとは逆向きに少しでも変化すると、位置指令が変化しないにも関わらずサーボモータがロストモーション領域を通過して制御対象を動かし、制御対象の位置のフィードバック値と位置指令とが一致すると停止し、ロストモーションが除去された状態となる。
この状態から、位置指令の送り方向の反転が検出されると、バックラッシ補正が働き、制御対象が目標位置から一瞬ずれてしまう。このような現象が発生すると、たとえば、制御対象を直交する2軸方向に制御して円弧指令に追従させたような場合には、いわゆる象限切り替え位置において制御対象の移動軌跡が円弧の内側に食い込んでしまう。
【0006】
本発明は、上述の問題に鑑みて成されたものであって、制御対象の位置を直接検出し、これをサーボ制御系にフィードバックして制御対象の位置制御を行う際に、制御対象の送り方向の反転の際に発生する制御対象の追従誤差を抑制でき、かつ、制御対象の位置決め位置にオフセットの発生しない位置制御装置および位置制御方法を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明の第1の観点に係る位置制御装置は、駆動手段と連結された制御対象の位置を可変目標位置に追従させる位置制御装置であって、前記可変目標位置に応じた制御指令を出力する指令出力手段と、前記制御指令と前記制御対象に対して設けられた位置検出器の検出位置とから前記制御対象の制御偏差を生成する制御偏差生成手段と、前記制御偏差に基づいて前記制御対象を前記可変目標位置に追従させる操作量を生成して前記駆動手段に出力するサーボ制御手段と、前記制御対象が停止し、かつ、前記可変目標位置の送り方向が反転した時点から、当該制御対象が移動を再開する時点までの期間内に、前記送り方向の反転によって生じる前記制御対象の前記可変目標位置に対する追従誤差を抑制するように前記制御偏差を補正する追従誤差補正手段とを有する。
【0008】
好適には、前記追従誤差補正手段は、前記送り方向の反転を検出する反転検出部と、前記制御対象が移動状態にあるか停止状態にあるかを検出する移動/停止検出部と、前記反転検出部および前記移動/停止検出部の検出信号に応じて、前記制御偏差を補正する補正量を出力する追従誤差補正部とを有する。
【0009】
好適には、前記追従誤差補正部は、前記送り方向の反転の向きに応じて、絶対値が同じでかつ正負の符号が反転した第1の補正量と第2の補正量とを保持している。
【0010】
前記移動/停止検出部は、前記制御対象が移動状態にあるか停止状態にあるかを、前記位置検出器の検出信号に基づいて検出する。
【0011】
本発明の第2の観点に係る位置制御装置は、駆動手段と連結された制御対象の位置を可変目標位置に追従させる位置制御装置であって、前記可変目標位置に応じた制御指令を出力する指令出力手段と、前記制御指令と前記制御対象に対して設けられた位置検出器の検出位置と前記駆動手段に対して設けられた位置検出器の検出駆動位置とから前記制御対象の制御偏差を生成する制御偏差生成手段と、前記制御偏差に基づいて前記制御対象を前記可変目標位置に追従させる操作量を生成して前記駆動手段に出力するサーボ制御手段と、前記制御対象が停止し、かつ、前記可変目標位置の送り方向が反転した時点から、当該制御対象が移動を再開する時点までの期間内に、前記送り方向の反転によって生じる前記制御対象の前記可変目標位置に対する追従誤差を抑制するように前記検出駆動位置を補正する補正量を変更する追従誤差補正手段とを有する。
【0012】
好適には、前記追従誤差補正手段は、前記送り方向の反転を検出する反転検出部と、前記制御対象が移動状態にあるか停止状態にあるかを検出する移動/停止検出部と、前記反転検出部および前記移動/停止検出部の検出信号に応じて、前記検出駆動位置を補正する補正量を増加または減少させる追従誤差補正部とを有する。
【0013】
前記追従誤差補正部は、前記反転検出部および前記移動/停止検出部によって前記制御対象の停止および前記送り方向の反転が検出されたら、前記検出駆動位置を補正する補正量を所定の変更量で周期的に変更し、前記移動/停止検出部によって当該制御対象の移動の再開が検出されたら前記補正量の変更を中止する。
【0014】
本発明の第1の観点に係る位置制御方法は、駆動手段と連結された制御対象の位置を可変目標位置に追従させる位置制御方法であって、前記可変目標位置に応じた制御指令を生成する指令生成ステップと、前記制御対象の位置を当該制御対象に対して設けられた位置検出器から検出する制御対象位置検出ステップと、前記制御指令と前記制御対象の検出位置とから前記制御対象の制御偏差を生成する制御偏差生成ステップと、前記制御偏差に基づいて前記制御対象を前記可変目標位置に追従させる操作量を生成して前記駆動手段に出力するサーボ制御ステップと、前記制御対象が停止し、かつ、前記可変目標位置の送り方向が反転した時点から、当該制御対象が移動を再開する時点までの期間内に、前記送り方向の反転によって生じる前記制御対象の前記可変目標位置に対する追従誤差を抑制するように前記制御偏差を補正する追従誤差補正ステップとを有する。
【0015】
本発明の第2の観点に係る位置制御方法は、駆動手段と連結された制御対象の位置を可変目標位置に追従させる位置制御方法であって、前記可変目標位置に応じた制御指令を生成する指令生成ステップと、前記制御対象の位置を当該制御対象に対して設けられた位置検出器から検出する制御対象位置検出ステップと、前記駆動手段の駆動位置を当該駆動手段に対して設けられた位置検出器から検出する駆動位置検出ステップと、前記制御指令と前記制御対象の検出位置と前記駆動手段の検出駆動位置とから前記制御対象の制御偏差を生成する制御偏差生成ステップと、前記制御偏差に基づいて前記制御対象を前記可変目標位置に追従させる操作量を生成して前記駆動手段に出力するサーボ制御ステップと、前記制御対象が停止し、かつ、前記可変目標位置の送り方向が反転した時点から、当該制御対象が移動を再開する時点までの期間内に、前記送り方向の反転によって生じる前記制御対象の前記可変目標位置に対する追従誤差を抑制するように前記検出駆動位置を補正する補正量を変更する追従誤差補正ステップとを有する。
【0016】
本発明の第1の観点に係る位置制御装置および方法では、可変目標位置に応じて駆動手段が駆動され、この駆動手段に接続された制御対象は可変目標位置に追従していく。
可変目標位置が変化して送り方向が反転すると、たとえば、駆動手段と制御対象との間に存在するバックラッシや摩擦等の非線形要素によって駆動手段の駆動方向が反転しても制御対象が停止した状態となるロストモーションが発生する。
可変目標位置の送り方向の反転および制御対象の停止が検出されると、制御対象の停止期間中にのみ、制御偏差は補正量によって補正され、制御対象の追従誤差が抑制される。
補正は、制御対象が停止した状態で行われるため、制御対象に対して設けられた位置検出器の検出信号は変化せず、補正される前の制御偏差には制御対象の検出位置の変化の情報が含まれていない。このため、制御偏差を補正しても、制御対象の検出位置の情報が変更されることがなく、制御対象の移動が再開した後、制御対象の位置決め位置にオフセットが生じることがない。
【0017】
本発明の第2の観点に係る位置制御装置および方法では、可変目標位置に応じて駆動手段が駆動され、この駆動手段に接続された制御対象は可変目標位置に追従していく。
可変目標位置が変化して送り方向が反転すると、上記したロストモーションが発生する。
可変目標位置の送り方向の反転および制御対象の停止が検出されると、制御対象の停止期間中にのみ、検出駆動位置を補正する補正量は変更され、制御対象の追従誤差が抑制される。また、検出駆動位置を補正し、かつ、この補正量は変更(更新)された値で常に検出駆動位置を補正するので、制御対象の検出位置の情報が変更されないため、制御対象の位置決め位置にオフセットが生じることがない。
【0018】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
第1実施形態
図1は、本発明の第1の実施形態に係る位置制御システムの構成を示す図である。
図1において、本実施形態に係る位置制御システム1は、位置制御装置10と、サーボモータ101と、サーボモータ101に取り付けられた、たとえば、光学式あるいは磁気式の回転位置検出器110と、サーボモータ101に接続され外周にねじ部が形成されたボールねじ軸102と、ボールねじ軸102のねじ部に螺合するねじ孔が形成された可動部材103と、可動部材103に連結され矢印A1およびA2のボールねじ軸102の軸方向に移動自在に図示しない案内機構によって保持されたテーブル104と、テーブル104に対して固定された検出部105aと矢印A1およびA2の方向に沿って設けられたスケール105bとからなるリニアスケール105とを備える。
ここで、テーブル104は本発明の制御対象、リニアスケール105は本発明の位置検出器のそれぞれ一具体例に対応している。
【0019】
ボールねじ軸102は、可動部材103のねじ孔に螺合しており、ボールねじ軸102が回転することによって、ボールねじ軸102の回転運動が可動部材103の直線運動に変換され、これによりテーブル104が直動する。
ボールねじ軸102と可動部材103との間には、バックラッシ等の機械的誤差や摩擦等の非線形要素が存在する。このボールねじ軸102と可動部材103との間の非線形特性によって、たとえば、ボールねじ軸102を一方向に回転させてテーブル104を矢印A2の方向に移動させた後、回転方向を反転させてテーブル104を矢印A1の方向に移動させた際に、ボールねじ軸102は反転してもテーブル104が移動せず、停止したままの状態となるロストモーションが発生する。
【0020】
リニアスケール105は、テーブル104に対して固定された検出部105aがスケール105bに対する位置を、たとえば、磁気的あるいは光学的に検出し、フィードバック信号105sを位置制御装置10に出力する。この検出信号105sは、たとえば、テーブル104の変位に応じたパルス信号である。
【0021】
回転位置検出器110は、サーボモータ101の回転位置を検出し、この検出信号110sをサーボ制御部15にフィードバックする。
【0022】
位置制御装置10は、位置指令生成部11と、制御偏差生成部14と、サーボ制御部15と、ドライバ16と、補正部21とを有する。
ここで、位置指令生成部11は本発明の指令出力手段、制御偏差生成部14は本発明の制御偏差生成手段、サーボ制御部15およびドライバ16は本発明のサーボ制御手段、補正部21は本発明の追従誤差補正手段のそれぞれ一具体例に対応している。
【0023】
位置指令生成部11は、テーブル104の移動すべき可変目標位置に応じた位置指令Prを出力する。この位置指令Prは、たとえば、パルス量によって与えられる。
【0024】
制御偏差生成部14は、位置指令生成部11から与えられる位置指令Prと、リニアスケール105から与えられるフィードバック信号105sとから、テーブル104の制御偏差Eを生成して、サーボ制御部15に出力する。
具体的には、位置指令Prからテーブル104の検出位置であるフィードバック信号105sを減算して位置偏差Eを演算する。
【0025】
サーボ制御部15は、制御偏差生成部14から与えられる位置偏差Eに基づいてテーブル104の位置を位置指令Prの変化に追従させつつ一致させる制御指令15sをドライバ16に出力する。
具体的には、サーボ制御部15は、速度ループおよび電流ループから構成され、位置偏差Eに位置ループゲインによって比例動作を施し、これを速度ループに対する速度指令として出力する。速度ループでは、たとえば、この速度指令と回転位置検出器110からのフィードバック信号110sのサンプリング時間毎の差分値(速度フィードバック信号)との偏差に比例動作および積分動作を施してトルク指令とし、これを電流ループに出力する。電流ループでは、たとえば、サーボモータ101の駆動電流から換算したサーボモータ101の出力トルク信号と上記トルク指令との偏差に比例動作を施して電流指令とし、これを所定の信号15sに変換してドライバ16に出力する。
ドライバ16は、サーボ制御部15から入力された信号15sに応じて増幅した駆動電流を操作量16sとしてサーボモータ101に出力する。
【0026】
補正部21は、反転検出部22と、追従誤差補正部23と、移動/停止検出部24とを備える。
ここで、反転検出部22は本発明の反転検出部、追従誤差補正部23は本発明の追従誤差補正部、移動/停止検出部24は本発明の移動/停止検出部のそれぞれ一具体例に対応している。
【0027】
反転検出部22は、位置指令生成部11からの位置指令Prが入力され、位置指令Prの送り方向の反転を検出して反転検出信号22sを追従誤差補正部23に出力する。
また、反転検出信号22sは、反転の向き、すなわち、テーブル104を矢印A2の送り方向から矢印A1の送り方向に反転したのか、あるいは、矢印A1の送り方向から矢印A2の送り方向に反転したのかを特定する情報を含んでいる。
具体的には、反転検出部22は、たとえば、時間的に変化する位置指令Prのサンプリング時間毎の差分値を算出し、この差分値の正負の符号が反転したことを検出することで反転検出信号22sを生成することができる。即ち、この第1の実施形態では反転検出信号22sは2値信号とし、反転検出時はオンとし、反転非検出時はオフとされる。
【0028】
移動/停止検出部24は、リニアスケール105からのフィードバック信号105sが入力され、このフィードバック信号105sからテーブル104が移動状態にあるか停止状態にあるかを検出し、移動/停止信号24sを追従誤差補正部23に出力する。
具体的には、リニアスケール105からのフィードバック信号105sの所定期間内における変化量と所定の判別基準値とを比較する
この変化量が判別基準値より小さい場合には、停止状態にあると判断する。変化量が判別基準値より大きい場合には、移動状態にあると判断する。
移動/停止信号24sを、たとえば、2値信号とした場合には、停止状態にあると判断したときには、移動/停止信号24sをオフし、移動状態と判断したときには、移動/停止信号24sをオンする。
【0029】
追従誤差補正部23は、反転検出部22の検出信号22sおよび移動/停止検出部24の検出信号24sの検出状態に応じて、制御偏差生成部14に制御偏差Eを補正する補正指令Mrを出力する。
具体的には、追従誤差補正部23は、反転検出信号22sが入力されたのち、移動/停止検出部24からの移動/停止信号24sがオフ、すなわち、テーブル104が停止した時点から、移動/停止信号24sがオン、すなわち、テーブル104が移動を再開した時点までの期間内に補正信号Mrを制御偏差生成部14に出力する。
【0030】
テーブル104の送り方向の反転によってボールねじ102と可動部材103との間にロストモーションが生じると、位置指令Prの送り方向が反転しても、ロストモーション区間ではテーブル104は位置指令Prに追従せず、テーブル104の位置は目標位置に対して追従誤差が発生する。
補正指令Mrによる制御偏差Eの補正は、この追従誤差を抑制するためのものである。
【0031】
追従誤差補正部23は、たとえば、矢印A2の送り方向から矢印A1の送り方向に反転する際の補正量ΔAと、矢印A1の送り方向から矢印A2の送り方向に反転する際の補正量−ΔAとを予め保持しており、これらを反転検出信号22sによって特定される反転の向きに応じて補正指令Mrとして出力する。
なお、補正量ΔAは、たとえば、ロストモーション量を予め測定しておくことで決定することができる。
【0032】
図2は、上記構成の位置制御装置10のハードウエア構成を示す図である。
図2において、マイクロプロセッサ51は、Read Only Memory(ROM) 52、Random Access Memory(RAM) 53、インターフェース回路54,56、グラフィック制御回路58、表示装置59、キーボード61、ソフトウエアキー60等とバスを介して接続されている。
マイクロプロセッサ51は、ROM52に格納されたシステムプログラムにしたがって、位置制御装置10を総合的に制御する。
ROM52には、上記の位置指令生成部11、制御偏差生成部14、サーボ制御部15、補正部21等を構成するプログラムや、システムプログラムが格納される。
【0033】
RAM53は、ROM52に格納されたプログラムがダウンロードされたり、各種のプログラム、データなどが格納され、例えば、追従誤差補正部23の補正量ΔA等の値が格納される。
グラフィック制御回路58は、ディジタル信号を表示用の信号に変換し、表示装置59に与える。
表示装置59には、例えば、CRT表示装置や液晶表示装置が使用される。表示装置59は、ソフトウエアキー60またはキーボード61を用いて作業者が対話形式で加工プログラムを作成していくときに、形状、加工条件および生成された加工プログラム等を表示したり、作業者が必要なデータを入力する際に入力データなどを表示する。
作業者は、表示装置59に表示される内容(対話形データ入力画面)にしたがってデータを入力することにより、加工プログラムを作成することができる。
【0034】
表示装置59の画面には、受けられる作業またはデータがメニュー形式で表示される。メニューのうちどの項目を選択するかは、メニューの下のソフトウエアキー60を押すことにより行う。
ソフトウエアキー60およびキーボード61は、位置制御装置10に必要なデータを入力するのにも使用される。
インターフェース回路54は、マイクロプロセッサ51から出力されたサーボモータ101に対する制御指令を所定の信号に変換してドライバ16に出力するとともに、回転位置検出器110の検出信号110sを逐次サンプリングしてプロセッサ51に出力する。
インターフェース回路56は、リニアスケール105から出力されたフィードバック信号105sを所定のサンプリング周期でサンプリングし、所定のディジタル信号に変換してマイクロプロセッサ51に出力する。
【0035】
次に、上記構成の位置制御システム1を用いた本発明の位置制御方法について図3に示すフローチャートを参照して説明する。
まず、位置指令生成部11において、テーブル104の移動すべき目標位置を特定する位置指令Prを生成し、制御偏差生成部14に位置指令Prを逐次出力する(ステップS1)。
【0036】
一方、リニアスケール105は、テーブル104の位置を検出し、フィードバック信号105sで特定されるテーブル104の検出位置Ptを制御偏差生成部14および補正部21にフィードバックする(ステップS2)。
【0037】
制御偏差生成部14では、位置指令Prからフィードバックされたテーブル104の検出位置Ptを減算してテーブル104の目標位置からの位置偏差Eを生成する(ステップS3)。
ステップS4は反転検出信号オンが既に出ているか否か判別される。反転検出信号は位置指令Prの送り方向における反転が起ったときオンされるものであり、前回バックラッシ制御が行なわれていない場合はNOの判定結果である。ステップS5は今回位置指令Prの送り方向の反転が起ったか否か判定される。NOの判断の場合(バックラッシ制御を行わない場合)はステップS6に進み、制御偏差生成部14で生成された位置偏差Eは、サーボ制御部15に入力される。
【0038】
サーボ制御部15では、入力される位置偏差Eに基づいてテーブル104の位置を目標位置に追従させる操作量15sを生成し、ドライバ16に出力する。
ドライバ16は、入力された操作量15sに応じた駆動電流をサーボモータ101に供給する。これにより、当該操作量15sによってサーボモータ101を追従制御する。
テーブル104が両端位置P0,位置P1のいずれかに接近し位置指令Prの反転が起るとステップS5でYESの判定となる。そのため、ステップS4のNO判定を経てステップS5の判断がYESとなる。そのため、ステップS7で反転検出信号はオンされる。
従って次回にステップS4にまわってきたときYESの判断となり、ステップS8に進み、移動/停止信号がオフか否か判別される。移動/停止信号は通常値はオン(テーブルは移動中)であり、ステップS8の判定はNOであり、ステップS9に進みテーブル104は停止状態か否か判別される。テーブル104は移動中であり、NOの判定結果となり、ステップS6に進み、通常時の操作量15sの設定が行なわれる。
テーブル104が両端位置P0,位置P1のいずれかに到来したためテーブル104の停止が検出されると、ステップS8からステップS9の判断はYESとなり、ステップS10に進み、移動/停止信号はオフとされ、ステップS11に進み、位置偏差の補正(バックラッシ補正)が開始される。次回の処理においては移動/停止信号はオフとなっているためステップS8ではYESの判定となり、ステップS13に進み、テーブル104の移動が再開されたか否か判定される。テーブル104の移動再開がされていないとすればバックラッシ補正は継続される。
バックラッシ補正の実行の結果、テーブル104の移動が再開されると、ステップS12の判定はYESとなり、ステップS13に進み、反転検出信号はオフとなり、ステップS14では移動/停止信号はオンとされ、ステップS15ではバックラッシによる補正指令の停止が出力され、通常の制御に復帰する。
【0039】
図4(a)は、テーブル104を位置P0から位置P1まで一定速度で移動させ、位置P1から送り方向を反転させて再度位置P0に位置決めする位置指令Prの一例である。
図4(a)に示す位置指令Prによってテーブル104を位置P0から位置P1まで駆動すると、テーブル104は一定速度で移動し、テーブル104の位置Ptは位置指令Prに対してサーボ系の遅れによる定常偏差をもって追従していく。
【0040】
ここで、テーブル104の位置Ptが位置P1まで近づくと、位置指令Prの送り方向が反転する(ステップS5でYES)。
位置指令Prの送り方向が反転すると、補正部21の反転検出部22はこの位置指令Prの送り方向の反転を検出し、追従誤差補正部23に反転検出信号22sを出力する(ステップS7)。この時点が図4(a)に示す、反転検出時点Taである。
【0041】
位置指令Prの送り方向が反転された後、テーブル104が停止すると、移動/停止検出部24は、入力されるリニアスケール105からのフィードバック信号105sからテーブル104が停止状態にあることを検出し(ステップS9でYES)、停止状態(オフ)を示す移動/停止信号24sを追従誤差補正部23に出力する(ステップS10)。この時点が図4(a)に示す移動停止検出時点Tbである。
【0042】
追従誤差補正部23は、反転検出信号22sおよび移動/停止信号24sが入力されると、補正指令Mrとして補正量ΔAを制御偏差生成部14に出力し、位置偏差Eを補正する(ステップS11)。
【0043】
図5(a)及び(b)は従来技術のバックラッシ制御を示し、(b)に示すように、追従誤差補正部23によって位置偏差Eを補正しないため、反転検出時点Ta´から位置偏差Eは徐々に増大するだけであり、(a)に示すように、テーブル104の位置Ptは位置指令Prに対して大きな追従誤差Te´が発生する。
位置偏差Eが徐々に増大するにすぎないため、この位置偏差Eを打ち消すために、テーブル104は送り方向を反転して位置P1から位置P0に向けて移動を再開移動再開検出時点Tc´が遅れてしまう。この移動再開検出時点Tc´後始めて位置偏差Eの縮小が開始する。
【0044】
一方、図4(a)及び(b)はこの発明の制御結果を示す。追従誤差補正部23から補正指令Mrとして補正量ΔAを制御偏差生成部14に出力されると(ステップS11)、補正量ΔAが位置偏差Eに加算されるため、図4(b)に示すように、見かけ上の位置偏差Eは移動停止検出時点Tbから急激に増大する。この位置偏差Eの増大により、サーボモータ101は急加速され、速やかにボールねじ軸102はロストモーション区間を通過する。そのため、図4(a)の追従誤差Тeは図5(b)の従来技術Тe´と比較して小さくなる。
【0045】
図3のステップ11において実行される補正によって、テーブル104は送り方向を反転して位置P1から位置P0に向けて移動を再開すると、移動停止検出部24は、リニアスケール105sのフィードバック信号105sの変化からテーブル104の移動の再開を検出し(ステップS12でYES)、移動状態を示す移動/停止信号24sを追従誤差補正部23に出力する。
【0046】
追従誤差補正部23は、テーブル104の移動の再開を検出すると、補正指令Mrの制御偏差生成部14への出力を停止する(ステップS15)。
これにより、テーブル104の送り方向が位置P1から位置P0に向けて反転する際の追従誤差補正が完了する。
【0047】
以上のように、本実施形態によれば、テーブル104の送り方向の反転の際に、位置指令Prの送り方向が検出され(ステップS5)、かつ、テーブル104の停止が検出された(ステップS9でYES)のち、位置偏差Eを補正指令Mrにより補正し(ステップS11)、テーブル104の移動の再開を検出したら(ステップS12でYES)、補正指令Mrによる位置偏差Eの補正を停止する(S15)。これにより、テーブル104の送り方向の反転の際に発生するロストモーションによる追従誤差Teが抑制される。
さらに、テーブル104が停止中には、位置偏差Eには、リニアスケール105のフィードバック信号105sの変化分が含まれておらず、テーブル104の位置情報が変更されることがない。
このため、たとえば、テーブル104を位置P1や位置P0に位置決めしたときに、位置指令Prに対してテーブル104の位置Ptにオフセットが発生しない。
【0048】
第2実施形態
図6は、本発明の第2の実施形態に係る位置制御システムの構成を示す図である。
なお、図6に示す位置制御システムにおいて、第1の実施形態に係る位置制御システムと同一の構成部分については、同一の符号を付している。
本実施形態に係る位置制御システムと第1の実施形態に係る位置制御システムとで異なる構成は、本実施形態に係る位置制御装置200における制御偏差生成部210および補正部201である。
また、本実施形態に係る位置制御システムでは、サーボモータ101に取り付けられた、たとえば、光学式あるいは磁気式の回転位置検出器110のフィードバック信号110sが制御偏差生成部210にフィードバックされる。
なお、本実施形態に係る位置制御装置200のハードウエア構成は、図2において説明した構成と略同様な構成であるが、回転位置検出器110のフィードバック信号110sを位置制御装置200に取り込むインターフェース回路を備えている。また、回転位置検出器110の検出するサーボモータ101の回転位置は、本発明の検出駆動位置の一具体例に対応している。
【0049】
制御偏差生成部210は、変換部216と、位置誤差算出部215と、フィルタ部214と、位置算出部212と、減算部213と、位置偏差算出部211とを有する。
【0050】
変換部216は、サーボモータ101の回転位置を検出する回転位置検出器110のフィードバック信号110sをテーブル104の位置Pmに変換し、変換後の回転位置Pmを減算部213に出力する。
【0051】
位置誤差算出部215は、変換部216で変換されたサーボモータ101の回転位置と、リニアスケール105のフィードバック信号105sによって特定されるテーブル104の検出位置Ptとの位置誤差Peを算出し、この位置誤差Peをフィルタ部214に出力する。
【0052】
フィルタ部214は、位置誤差算出部215から入力される位置誤差Peに一次遅れフィルタ処理を施して平滑化し、平滑化した位置誤差Pe’を位置算出部212に出力する。
【0053】
減算部213は、変換部216から出力された変換後の位置Pmから補正部201から出力される補正指令Mrを減算し、補正位置Psとして偏差算出部212および位置誤差算出部215に出力する。
【0054】
位置算出部212は、フィルタ部214から出力される平滑化した位置誤差Pe’と減算部213から出力される補正位置Psを加算し、テーブル104の実質的な位置Ptrとして位置偏差算出部211に出力する。
を算出する。
【0055】
位置偏差算出部211は、位置指令生成部11から出力される位置指令Prから、位置算出部212から出力されるテーブル104の実質的な位置Ptrを減算して位置偏差Eを算出する。
【0056】
補正部201は、反転検出部22と、移動/停止検出部24と、追従誤差補正部203とを備えている。
反転検出部22および移動/停止検出部24は、上述した第1の実施形態と同様の構成である。
【0057】
追従誤差補正部203は、サーボモータ101の検出した回転位置Pmを補正する補正指令Mrを減算部213に出力して回転位置Pmを補正する。
このとき、追従誤差補正部203は、反転検出部22から入力される反転検出信号22sおよび移動/停止検出部24から入力される移動/停止検出信号24sに応じて、送り方向の反転によって生じるテーブル104の位置指令Prに対する追従誤差を抑制するようにサーボモータ101の検出した回転位置Pmを補正する補正量を変更(増加または減少)させる。
【0058】
具体的には、追従誤差補正部203は、所定の補正量Bを補正指令Mrとして減算部213に逐次出力し、この補正量Bより、サーボモータ101の検出した回転位置Pmを常時補正する。
そして、追従誤差補正部203は、位置指令Prの送り方向の反転が反転検出部22により検出され、かつ、移動/停止検出信号24sによりテーブル104の停止状態を検出したら、次式(1)で示すように、補正量Bを所定の変更量ΔBで周期的に変更し、テーブル104の移動の再開を検出したら補正量Bの変更を停止する。
【0059】
B=B+ΔB …(1)
【0060】
なお、(1)式は、送り方向が正方向から負方向に反転した場合であり、また、送り方向の反転の検出およびテーブル104の停止状態を検出する直前の補正量Bの値をB1とする。
【0061】
送り方向の反転が検出され、テーブル104の停止状態が検出された後に、周期的に(1)式のように補正量Bを変更量ΔBで変更し、テーブル104の移動の再開を検出するまでに補正量BがN回変更されると、変更後の補正量BをB2とすると、B2=B1+N×ΔBとなる。
【0062】
一方、テーブル104に対する位置指令Prの送り方向が負方向から正方向に反転した場合には、追従誤差補正部203は、位置指令Prの送り方向の反転が反転検出部22により検出され、かつ、移動/停止検出信号24sによりテーブル104の停止状態を検出したら、次式(2)で示すように、補正量Bを所定の変更量ΔBで周期的に変更し、テーブル104の移動の再開を検出したら補正量Bの変更を停止する。
【0063】
B=B−ΔB …(2)
【0064】
なお、補正量Bが変更される直前の初期値は、上記のB2である。テーブル104の移動の再開を検出するまでに、補正量BがN回変更されると、補正量Bは上記のB1に等しくなる。
図8は以上の制御における補正量の変化を模式的に示しており、送り方向が正方向から負方向に反転した場合補正量Bは補正期間P1においてΔBづつ増加補正され、最終的にはB2となり、通常期間P2ではバックラッシ補正をしないため補正値は変化せず、送り方向が負方向から正方向に反転した場合補正量Bは補正期間P2においてΔBづつ減少補正され、最終的にはB1となる。
【0065】
次に、上記構成の位置制御システムを用いた本発明の位置制御方法について図7に示すフローチャートを参照して説明する。
まず、位置指令生成部11において位置指令Prを生成し、制御偏差生成部210の位置偏差算出部211に出力する(ステップS21)。
【0066】
一方、リニアスケール105は、テーブル104の位置を検出し、フィードバック信号105sで特定されるテーブル104の検出位置Ptを制御偏差生成部210および補正部201に逐次フィードバックする(ステップS22)。
さらに、サーボモータ101に取り付けられた回転位置検出器110は、フィードバック信号110sを制御偏差生成部210に逐次フィードバックする(ステップS23)。
【0067】
制御偏差生成部210では、入力された位置指令Prと、リニアスケール105および回転位置検出器110からフィードバックされたフィードバック信号105sおよび110sから位置偏差Eを生成する(ステップS24)
。
ステップS25は反転検出信号オンが既に出ているか否か判別される。反転検出信号は位置指令Prの送り方向における反転が起ったときオンされるものであり、前回バックラッシ制御が行なわれていない場合はNOの判定結果である。ステップS26は今回位置指令Prの送り方向の反転が起ったか否か判定される。NOの判断の場合はステップS27に進む。
サーボ制御部15では、入力される位置偏差Eに基づいてテーブル104の位置を目標位置に追従させる操作量15sを生成し、ドライバ16に出力する。
ドライバ16は、入力された操作量15sに応じた駆動電流をサーボモータ101に供給する。これにより、当該操作量15sによってサーボモータ101を追従制御する。
テーブル104が両端位置P0,位置P1のいずれかに接近し位置指令Prの反転が起るとステップS25のNO判定を経てステップS26の判断がYESとなる。そのため、ステップS28で反転検出信号はオンされる。
従って次回にステップS25にまわってきたときYESの判断となり、ステップS29に進み、移動/停止信号がオフか否か判別される。移動/停止信号は通常値はオン(テーブルは移動中)であり、ステップS29の判定はNOであり、ステップS30に進みテーブル104は停止状態か否か判別される。テーブル104は移動中であり、NOの判定結果となり、ステップS31に進み、通常時の操作量15sの設定が行なわれる。
テーブル104が両端位置P0,位置P1のいずれかに到来したためテーブル104の停止が検出されると、ステップS29からステップS30の判断はYESとなり、ステップS31に進み、移動/停止信号はオフとされ、ステップS32に進み、補正量を所定量ΔBづつの増加又は減少による位置偏差の補正(バックラッシ補正)が開始される。次回の処理においては移動/停止信号はオフとなっているためステップS29ではYESの判定となり、ステップS33に進み、テーブル104の移動が再開されたか否か判定される。テーブル104の移動再開がされていないとすればステップS32の所定量ΔBづつの増加又は減少によるバックラッシ補正は継続される。
バックラッシ補正の実行の結果、テーブル104の移動が再開されると、ステップS33の判定はYESとなり、ステップS34に進み、反転検出信号はオフとなり、ステップS35では移動/停止信号はオンとされ、ステップS36では補正量Bの変更によるバックラッシによる補正が中止され、通常の制御に復帰する。
【0068】
たとえば、位置指令Prとして、図4(a)に示したような指令を生成すると、テーブル104は位置P0から位置P1に向けて移動し、テーブル104の位置Ptが位置P1に近づくと、位置指令Prの送り方向が反転する。
位置指令Prの送り方向が反転すると、補正部201の反転検出部22はこの位置指令Prの送り方向の反転を検出し(ステップS26でYES)、追従誤差補正部203に反転検出信号22sを出力する。
位置指令Prの送り方向が反転された後、テーブル104の位置Ptが位置P1に到達し、テーブル104が停止すると、移動/停止検出部24は、入力されるリニアスケール105からのフィードバック信号105sからテーブル104が停止状態にあることを検出し、停止状態を示す移動/停止信号24sを追従誤差補正部203に出力する(ステップS31)。
【0069】
追従誤差補正部203では、テーブル104の送り方向の反転およびテーブル104の停止を検出すると、補正量Bを所定の変更量ΔBで周期的(所定時間間隔毎)に変更(増加)しながら減算部213に出力し、変換後のサーボモータ101の回転位置Pmを補正する(ステップS32)。
これにより、補正量Bは次第に増加し、これに応じてサーボモータ101が回転速度が上昇し、ボールねじ軸102はロストモーション区間を速やかに通過する。この結果、ロストモーションによるテーブル104の変化する位置指令Prに対する追従誤差Teが抑制される。
【0070】
ボールねじ軸102のロストモーション区間の通過により、テーブル104の移動が再開しリニアスケール105のフィードバック信号105sの変化すると、移動/停止検出部24によって検出されるテーブル104の移動の再開が検出される(ステップS33でYES)。
【0071】
追従誤差補正部203では、テーブル104の移動の再開を検出すると、補正量Bの変更を中止するとともに(ステップS36)、変更後の補正量Bでサーボモータ101の回転位置Pmを補正する。
これにより、テーブル104の送り方向の反転の際に発生する追従誤差の補正が完了する。
【0072】
テーブル104が位置P1から位置P0に向けて移動し、位置P0付近に到達すると、上記と同様に、位置指令Prの送り方向の反転が検出され、テーブル104の停止が検出されたのち、補正量Bが変更(減少)され上記と同様の補正が行われる。
【0073】
以上のように、本実施形態によれば、テーブル104の位置とともに、サーボモータ104の回転位置をフィードバックしてテーブル104の位置制御を行う場合においても、テーブル104の送り方向の反転の際に生じる追従誤差Teを抑制することができる。
また、本実施形態は、補正量Bによってサーボモータ104の回転位置を検出する回転位置検出器110のフィードバック信号110sを補正し、リニアスケール105のフィードバック信号105sを補正しないため、たとえば、テーブル104を位置P1や位置P0に位置決めしたときに、位置指令Prに対してテーブル104の位置Ptにオフセットが発生することがない。
【0074】
さらに、本実施形態によれば、位置指令Prの送り方向の反転が検出され、テーブル104の停止が検出されたのち、テーブル104の移動の再開が検出されるまで、補正量Bを変更量ΔBで次第に増加あるいは減少させている。
たとえば、補正量Bを一気に変化させると、テーブル104が位置指令Prの経路から一瞬ずれてしまい、いわゆる象限切り替え位置における食い込みが発生することがあるが、本実施形態では、変更量ΔBで次第に変化させているため、これを防止することが可能となる。
【0075】
なお、本実施形態では、テーブル104の送り方向の反転時に、補正量Bを変更量ΔBで次第に増加あるいは減少させる構成としたが、上述した第1の実施形態のように、位置指令Prの送り方向の反転が検出され、テーブル104の停止が検出されたのち、テーブル104の移動の再開が検出されるまでの間に、補正量±ΔAで回転位置検出器110のフィードバック信号110sを補正する構成とすることも可能である。
【0076】
【発明の効果】
本発明によれば、制御対象の送り方向の反転の際に発生する伝達機構のバックラッシ等の機械的特性に起因する制御対象の目標指令に対する追従誤差をいわゆる象限切り替え位置における食い込み等の不具合の発生なく適切に抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る位置制御システムの構成を示す図である。
【図2】位置制御装置10のハードウエア構成を示す図である。
【図3】位置制御システム1を用いた本発明の位置制御方法を説明するためのフローチャートである。
【図4】(a)は第1の実施形態における位置指令Prの一例を示すグラフであり、(b)は位置偏差Eの一例を示すグラフである。
【図5】(a)は従来(補正なし)における位置指令Prの一例を示すグラフであり、(b)は位置偏差Eの一例を示すグラフである。
【図6】本発明の第2の実施形態に係る位置制御システムの構成を示す図である。
【図7】第2の実施形態に係る位置制御システムを用いた本発明の位置制御方法を説明するためのフローチャートである。
【図8】第2の実施形態における補正量の変化を説明するグラフである。
【符号の説明】
1…位置制御システム
10…位置制御装置
11…位置指令生成部
14…制御偏差生成部
15…サーボ制御部
16…ドライバ
21…補正部
22…反転検出部
23…追従誤差補正部
24…移動/停止検出部
101…サーボモータ
102…ボールねじ軸
104…テーブル
110…回転位置検出器
Claims (16)
- 駆動手段と連結された制御対象の位置を可変目標位置に追従させる位置制御装置であって、
前記可変目標位置に応じた制御指令を出力する指令出力手段と、
前記制御指令と前記制御対象に対して設けられた位置検出器の検出位置とから前記制御対象の制御偏差を生成する制御偏差生成手段と、
前記制御偏差に基づいて前記制御対象を前記可変目標位置に追従させる操作量を生成して前記駆動手段に出力するサーボ制御手段と、
前記制御対象が停止し、かつ、前記可変目標位置の送り方向が反転した時点から、当該制御対象が移動を再開する時点までの期間内に、前記送り方向の反転によって生じる前記制御対象の前記可変目標位置に対する追従誤差を抑制するように前記制御偏差を補正する追従誤差補正手段と
を有する位置制御装置。 - 前記追従誤差補正手段は、前記送り方向の反転を検出する反転検出部と、
前記制御対象が移動状態にあるか停止状態にあるかを検出する移動/停止検出部と、
前記反転検出部および前記移動/停止検出部の検出信号に応じて、前記制御偏差を補正する補正量を出力する追従誤差補正部と
を有する請求項1に記載の位置制御装置。 - 前記追従誤差補正部は、前記送り方向の反転の向きに応じて、絶対値が同じでかつ正負の符号が反転した第1の補正量と第2の補正量とを保持している
請求項2に記載の位置制御装置。 - 前記移動/停止検出部は、前記制御対象が移動状態にあるか停止状態にあるかを、前記位置検出器の検出信号に基づいて検出する
請求項2または3に記載の位置制御装置。 - 駆動手段と連結された制御対象の位置を可変目標位置に追従させる位置制御装置であって、
前記可変目標位置に応じた制御指令を出力する指令出力手段と、
前記制御指令と前記制御対象に対して設けられた位置検出器の検出位置と前記駆動手段に対して設けられた位置検出器の検出駆動位置とから前記制御対象の制御偏差を生成する制御偏差生成手段と、
前記制御偏差に基づいて前記制御対象を前記可変目標位置に追従させる操作量を生成して前記駆動手段に出力するサーボ制御手段と、
前記制御対象が停止し、かつ、前記可変目標位置の送り方向が反転した時点から、当該制御対象が移動を再開する時点までの期間内に、前記送り方向の反転によって生じる前記制御対象の前記可変目標位置に対する追従誤差を抑制するように前記検出駆動位置を補正する補正量を変更する追従誤差補正手段と
を有する位置制御装置。 - 前記追従誤差補正手段は、前記送り方向の反転を検出する反転検出部と、
前記制御対象が移動状態にあるか停止状態にあるかを検出する移動/停止検出部と、
前記反転検出部および前記移動/停止検出部の検出信号に応じて、前記検出駆動位置を補正する補正量を増加または減少させる追従誤差補正部と
を有する請求項5に記載の位置制御装置。 - 前記追従誤差補正部は、前記反転検出部および前記移動/停止検出部によって前記制御対象の停止および前記送り方向の反転が検出されたら、前記検出駆動位置を補正する補正量を所定の変更量で周期的に変更し、前記移動/停止検出部によって当該制御対象の移動の再開が検出されたら前記補正量の変更を中止する
請求項5または6に記載の位置制御装置。 - 前記移動/停止検出部は、前記制御対象が移動状態にあるか停止状態にあるかを、前記位置検出器の検出信号に基づいて検出する
請求項5〜7のいずれかに記載の位置制御装置。 - 駆動手段と連結された制御対象の位置を可変目標位置に追従させる位置制御方法であって、
前記可変目標位置に応じた制御指令を生成する指令生成ステップと、
前記制御対象の位置を当該制御対象に対して設けられた位置検出器から検出する制御対象位置検出ステップと、
前記制御指令と前記制御対象の検出位置とから前記制御対象の制御偏差を生成する制御偏差生成ステップと、
前記制御偏差に基づいて前記制御対象を前記可変目標位置に追従させる操作量を生成して前記駆動手段に出力するサーボ制御ステップと、
前記制御対象が停止し、かつ、前記可変目標位置の送り方向が反転した時点から、当該制御対象が移動を再開する時点までの期間内に、前記送り方向の反転によって生じる前記制御対象の前記可変目標位置に対する追従誤差を抑制するように前記制御偏差を補正する追従誤差補正ステップと
を有する位置制御方法。 - 前記追従誤差補正ステップは、前記送り方向の反転を検出する反転検出ステップと、
前記制御対象の停止を検出する停止検出ステップと、
前記制御対象の停止および前記送り方向の反転を検出したのち、前記制御偏差を補正する補正ステップと、
前記制御対象の移動の再開を検出したら、前記補正を中止する移動検出ステップと
を有する請求項9に記載の位置制御方法。 - 前記追従誤差補正ステップは、前記送り方向の反転の向きに応じて、絶対値が同じでかつ正負の符号が反転した第1の補正量および第2の補正量によって前記制御偏差を補正する
請求項10に記載の位置制御方法。 - 前記停止検出ステップおよび移動検出ステップは、前記位置検出器の検出信号に基づいて前記制御対象の停止状態および移動状態を検出する
請求項10または11に記載の位置制御方法。 - 駆動手段と連結された制御対象の位置を可変目標位置に追従させる位置制御方法であって、
前記可変目標位置に応じた制御指令を生成する指令生成ステップと、
前記制御対象の位置を当該制御対象に対して設けられた位置検出器から検出する制御対象位置検出ステップと、
前記駆動手段の駆動位置を当該駆動手段に対して設けられた位置検出器から検出する駆動位置検出ステップと、
前記制御指令と前記制御対象の検出位置と前記駆動手段の検出駆動位置とから前記制御対象の制御偏差を生成する制御偏差生成ステップと、
前記制御偏差に基づいて前記制御対象を前記可変目標位置に追従させる操作量を生成して前記駆動手段に出力するサーボ制御ステップと、
前記制御対象が停止し、かつ、前記可変目標位置の送り方向が反転した時点から、当該制御対象が移動を再開する時点までの期間内に、前記送り方向の反転によって生じる前記制御対象の前記可変目標位置に対する追従誤差を抑制するように前記検出駆動位置を補正する補正量を変更する追従誤差補正ステップと
を有する位置制御方法。 - 前記追従誤差補正ステップは、前記送り方向の反転を検出する反転検出ステップと、
前記制御対象の停止を検出する停止検出ステップと、
前記制御対象の停止および前記送り方向の反転を検出したのち、前記検出駆動位置を補正する補正量を増加または減少させる補正ステップと、
前記制御対象の移動の再開を検出したら前記補正量の変更を中止する移動検出ステップと
を有する請求項13に記載の位置制御方法。 - 前記追従誤差補正ステップは、前記制御対象の停止および前記送り方向の反転の検出時点から前記検出駆動位置を補正する補正量を所定の変更量で周期的に変更を行い、当該制御対象の移動の再開の検出時点で前記補正量の変更を中止する
請求項13または14に記載の位置制御方法。 - 前記停止検出ステップおよび移動検出ステップは、前記位置検出器の検出信号に基づいて前記制御対象の停止状態および移動状態を検出する
請求項13〜15のいずれかに記載の位置制御方法。
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