JP4409015B2 - アークイオンプレーティング装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、例えば工具、金型、ベアリングボール、軸受、スピンドルシリンダまたは磁気ヘッド保護膜等、耐摩耗性、耐腐食性、自潤滑性を要求される対象物表面に陰極物質を被着して、当該陰極物質から成る、または当該陰極物質の窒化物、酸化物等から成る薄膜を形成する薄膜形成装置(一般にアーク式イオンプレーティング装置と呼ばれる)に関する。
【0002】
【従来の技術】
アークイオンプレーティング装置においては、アーク放電によって陰極から蒸発する陰極物質には、陰極近傍に生じるアークプラズマによってイオン化された陰極物質イオンがかなりの割合で含まれており、この陰極物質イオンをバイアス電界によって被処理物に引き込んで表面に薄膜を形成する。その薄膜は、密着性が良い、成膜速度が大きい等の利点を有しており、工具や金型等の表面に金属膜やセラミックス膜を被覆する手段として広く用いられている。
【0003】
膜の密着性が良いのは、陰極物質中に含まれている陰極物質イオンを、負バイアス電圧等による電界によって被処理物に引き込んで衝突させ、イオンミキシングの効果が期待できるからである。成膜速度が大きいのは、アーク放電の大電流を利用して陰極表面を瞬時に加熱、溶解、蒸発する作用による。
しかしながら、この利点は次の副作用をもたらす。すなわち、上記陰極から発生する陰極物質には、ドロップレットまたはマクロパーティクルと呼ばれる粗大粒子が含まれ、これが被処理物の表面に形成される薄膜に入射付着すると、当該薄膜の平滑性を損ねて工具等の寿命を短くしたり、薄膜の外観を損ねたりする。
【0004】
ドロップレットの原因は、陰極表面のアークスポット直下の局所加熱による液溜りの過大成長に起因する。ドロップレットの径は個数は、アーク電流の増大やアークスポットの集中、局在によって急激に増加する現象が観測されている。
アーク放電現象は、放電電子によって加熱した陰極表面が、蒸発した物質がアークプラズマとなり、それが放電媒体となって、放電空間の等価抵抗を下げ、さらに放電電流を増殖させるという正帰還作用を本質的にもっていることから、アーク放電は、一旦発生すれば、急激にアーク電流を増大させ、プラズマの自己ピンチまたは電源系の電圧降下で抑制されるまでアーク放電が成長するため、どうしても局所加熱それに伴う液溜りの拡大が避けられない。
(従来技術A)
そこで、陰極に接続する電源回路の出力端に、インダクタ・コイルを挿入して、瞬間的なアーク電流の増殖を抑制する方法が、特開平10-46324号公報にある。
(従来技術B)
別の方法として、陰極表面近傍に、その法線に対して、0〜30°の発散性の角度をつけた比較的強い磁場(700Oe以上)を発生させ、アークイオン流と磁場の電磁相互作用によって、陰極表面上のアークスポット位置を、陰極の中心部に集中することなく、蒸発面のやや外寄りを周回するように移動させる方法が特開平11-36063号公報に提案されている。条件によっては、相当早い速度で、アークスポットが動くため、局所加熱が回避されて、液溜りの拡大、即ち、ドロップレットの発生が抑制されることが報告されている。
【0005】
さらに、この方法では、陰極の蒸発面全体をほぼ一様に、またはやや外周寄りを多く消耗して、陰極表面を万遍無く使うために、陰極寿命を長くする効果もある。
(従来技術C)
もうひとつドロップレットの発生は許しても、それを再加熱・分解する方法が、特開平5-171427号公報に提案されている。陰極の前方近傍に1000Oe近い強い、しかも陰極中央に集束性の磁界を形成することによって、陰極表面近傍に発生したアークプラズマを閉じ込め、このプラズマ中で発生したドロップレットを再加熱、再溶解、再蒸発させることによって、ドロップレットの分解・再利用を促して、直径、個数を低減する方法である。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
アーク電圧、真空度、導入ガス種&圧力など装置運転条件や、ターゲット消耗度など付帯条件に依存せず、また陰極周辺に大袈裟な磁場発生回路を必要とせずに、アーク放電の成長によるアーク電流の急激な電流増殖を抑え込むとともに、強制的に陰極表面上のアークスポットを移動させて、局所加熱を避け、しかしてドロップレットを低減する方法を提供する。
【0007】
まず、従来法Aでは、陰極表面の消耗変形、周辺の境界構造により、アークスポット位置が局在した場合は、アーク電流の増殖に伴い、頻繁に放電が止められ、平均的に投入電力が少なくとどまり、成膜の生産性が尽く犠牲にされる怖れがある。当然、陰極表面の均一な消耗も期待できない。
次に、従来法Bでは、ある適切な運転条件では、アークスポットが一定の速度で陰極表面を周回することは事実であるが、アーク電圧、真空度、導入ガス種&圧力など装置運転条件や、ターゲット消耗度など付帯条件に敏感に依存し、実用的な操業に利用できる提案ではない。実際、本願発明者の実験では、陰極に印加するアーク電圧の増加に伴い、ランダム放電→右回り周回運動→左廻り周回運動と微妙に変化するとともに、ガス種を変えると、全く周回運動が起きないこともあった。
【0008】
また、700Oeの磁場を、高電圧、大容量水冷の要求される陰極ホルダー近傍に作るための、コイル系または、永久磁石系を装備することは容易ではない。さらに、理想的にアークスポットが最大速度で周回運動する条件を出しても、ドロップレットの根絶には至らなかった実験結果があり、本方式も抜本的解決策ではないことが解っている。
【0009】
第3の従来法Cにおいては、陰極近傍に高密度のアークプラズマが存在することが肝要であるが、実現可能または運転条件としてのアーク電流、磁束密度で得られるアークプラズマでは、発生するドロップレットを全て再加熱・再溶融・再蒸発させるには、不十分であることが、自明である。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明は、真空アーク放電によって陰極物質を蒸発させるとともにイオン化して被処理物に蒸着成膜する装置において、前記陰極の蒸発面を貫く磁界を発生させる磁界発生手段を具備し、その磁束線に交差するようにアノード電極が設置され、当該アノード電極は、陰極を中心軸として周方向に複数に分割して並設され、接地電位に、分割された各アノード電極が回路素子を介してそれぞれ接続されていて、前記回路素子は、あるアノード電極のアーク電流が急増した際に、接地電位のままである他のアノード電極に対応する陰極部位へアークスポットを移動させる逆起電力を誘起可能なインダクタンス成分を持つことを特徴とする。
【0011】
磁束線によって、アーク放電の電子流の軌道が固定されるために、陰極表面(蒸発面)の各部位と、電子流が吸収される分割された各アノード電極が1対1に写像されることになる。
陰極の一部で発生したアーク放電電流は、その部位に対応したアノード電極に吸収され、接続されるインダクタ(コイル)回路を経て、接地電位に至る。
【0012】
アーク電流が急激に増殖した場合は、インダクタ内に誘起される逆起電力により、アーク電流を抑制するような方向に、アノード電極の電位を変化させる結果となる。
その場合、他のアノード電極は接地電位のままであるので、陰極から見ると、電位差が高く、放電し易い条件であることになり、それらに対応する陰極部位へとアークスポットは移動することになる。
【0013】
以上は、微視的な放電現象を時系列的に描写したものであるが、実際には、本アークイオンプレーティング装置においては、高い電圧、大きな電流まで、安定したアーク放電が生じるとともに、陰極表面ではアークスポットがランダムまたは高速周回移動して、時間平均的には均一な放電面を実現することになる。
また、上記構成によれば、陰極を貫く磁界は弱く(10ガウス以上高々100ガウス以下;0.001T〜0.01T)てもよいので、磁界発生手段の構成を簡易にすることができる。
【0014】
なお、前記磁界としては、陰極の蒸発面を貫く平行または前方に発散する発散磁界が好適である。
また、前記アノード電極を、周方向へ傾斜した方向に分割しておけば、アークスポットを一方向に回転させることができ、運転条件(成膜条件)による依存性を小さくするのに望ましい。
【0015】
前記装置において、アーク電流が小さな条件で運転する場合には、インダクタ回路の逆起電力だけで、アークスポットを移動が困難な場合、アノード電極を、偶数個に分割し、かつ周方向に隣り合うアノード電極に接続された前記回路素子同士を、電磁誘導的に逆位相にカップリングさせて、アークスポットの移動を容易にすることができる。
【0016】
それは、ひとつのアノード電極に流れ込んだ電流は、それに接続されたインダクタンスに生じた逆起電力を発生させるとともに、両隣のアノードのインダクタに作用して、放電を促す(引込む)極性の起電力を、両隣のアノード電極に生ぜしめるためである。
アークスポットの移動特性は、前記装置のアノード電極に接続された回路素子に、インダクタンス成分以外に、直列純抵抗および/または並列キャパシタンス成分を追加することによって、調整可能である。
【0017】
本発明では、上記のように電流が安定で、陰極表面で均一なアーク放電を実現するとともに、陰極の蒸発面の前方において平行進行ないし発散する磁力線を採用すれば、陰極物質イオンが、この磁力線に沿って放射される領域は広くなり、従って膜厚均一性の高い成膜領域も広くなる効果も期待できる。
さらに、アークスポットの動きは、陰極の蒸発面全体をほぼ一様に消耗させるか、やや外寄りに比重を置きながら蒸発面全体を消耗させることになり、いずれにしても陰極の蒸発面を万遍無く使うので、陰極の寿命を長くすることができる。
【0018】
装置としても、必要磁場は、従来技術に対してはるかに弱く、安価な磁場発生装置で十分である点も、装置構成、価格の点でメリットがある。
【0019】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
図1は、本発明の第1実施形態に係るアークイオンプレーティング装置1を示している。
この装置1は、処理室を構成する真空チャンバ2内に蒸発源としての陰極(カソード)3と、陽極(アノード)4とを備えている。陰極3は、正極が接地されたアーク電源の負極に接続されている。また、真空チャンバ2自体も接地されている。
【0020】
なお、真空チャンバ2には真空ポンプ6と導入ガスのタンク(導入ガス供給手段)7とが接続されている。
真空チャンバ2内には、さらに前記陰極3の蒸発面(前面)3aを含む領域に磁界を発生させる磁界発生手段9が設けられている。より具体的には、この磁界発生手段9は、蒸発面3aを貫くとともに蒸発面3aからその前方にかけての領域に磁界を形成するためのものである。ここで磁界発生手段9は、蒸発面3aの周りに巻かれた筒状(より具体的には円筒状)の磁気コイル10からなる。
【0021】
この磁気コイル10は、図示していないコイル電源によって励磁されて、上記のような磁界を形成する。図1には、この磁気コイル10が作る磁力線の例を模式的に示している。この磁力線は、蒸発面3aに対してほぼ直交し、前方(図1では上方)に発散している。
また、陰極3の前方には、空間をおいて、被処理物12が設置され、正極が真空チャンバ2に接続されたバイアス電源13の負極がこの被処理物12に接続され、被処理物12が負電位に保たれる。
【0022】
前記アノード電極4は、陰極3中央における蒸発面3aに対する法線を軸として、被処理物12を取り巻くように、また上記磁力線と交差(吸収)するように配置されている。アノード電極4は、周方向に複数個(8個:偶数個)に分割され、全体として円筒形状に形成されている。なお、この円筒形状は前方が拡径した形状である。
【0023】
各アノード電極4,4,・・は、それぞれ個別のインダクタ(コイル)回路素子16を介して、接地電位(真空チャンバ2)に接続されている。
本実施形態のコイル10は、陰極蒸発面3aの前方において、進行方向に向かって外に発散する磁力線を発生し、陰極3の蒸発面3aで最大値、アノード4表面で最小値をとる。アノード近傍で高々10Oe(エルステッド)(約790A/m)以上の磁界を形成すれば、この磁力線に沿って、陰極を起点とするアーク放電の電子流は、螺旋軌道を描きながら、アノード電極4に向かって移動する。このことは、電子の軌道半径が、次式で与えられることから解る。
【0024】
r[m]=3.4×10-6 √T[eV]/B[T]
プラズマ温度として100eVを仮定しても、高々10Gauss(0.001T)でも、軌道は1cmオーダにとどまり、電子流は磁力線に絡み付いて流れるとの描像は、よい近似であると言える。
さて、アーク放電の電流増殖およびアークスポットの非局在化のメカニズムを、上記実施形態をもとに説明する。
【0025】
発散性の磁束線によって、アーク放電の電子流の軌道が固定されるために、陰極表面3aの各部位と、電子流が吸収される分割されたアノード電極体4,4,・・が1対1に写像されることになる。陰極3の一部で発生したアーク放電電流は、その部位に対応したアノード電極体4に吸収され、接続されるインダクタ(コイル)回路16を経て、接地電位に至る。
【0026】
アーク電流が急激に増殖した場合は、インダクタ16内に誘起される逆起電力により、アーク電流を抑制するような方向に、アノード電極4の電位を変化させる結果となる。その場合、他のアノード電極4は接地電位のままであるので、陰極3から見ると、電位差が高く、放電し易い条件であることになり、それらに対応する陰極部位へとアークスポットは移動することになる。
【0027】
このように、周方向に複数に分割されたリング状のアノード電極4を用いると、ある分割アノード電極4と隣接する他の分割アノード電極4との間に電位差を生じさせてアークスポットを移動させることができる。
以上は、微視的な放電現象を時系列的に描写したものであるが、実際には、本アークイオンプレーティング装置1においては、高い電圧、大きな電流まで、安定したアーク放電が生じるとともに、陰極表面3aではアークスポットがランダムまたは高速周回移動して、時間平均的には均一な放電面を実現することになる。
【0028】
本実施形態では、上記のように電流が安定で、陰極表面3aで均一なアーク放電を実現する以外に、陰極3の蒸発面3aの前方において平行進行ないし発散する磁力線の効果により、陰極物質イオンが、この磁力線に沿って放射される領域は広くなり、従って膜厚均一性の高い成膜領域も広くなる効果も期待できる。
さらに、アークスポットの動きは、陰極3の蒸発面3a全体をほぼ一様に消耗させるか、やや外寄りに比重を置きながら蒸発面3a全体を消耗させることになり、いずれにしても陰極3の蒸発面3aを万遍無く使うので、陰極3の寿命を長くすることができる。
【0029】
なお、アークスポットの移動特性は、アノード電極4に接続された回路素子16に、インダクタンス成分以外に、直列純抵抗および/または並列キャパシタンス成分を追加することによって、調整することができる。
図2は、本発明の第2実施形態に係るアークイオンプレーティング装置1を示している。この第2実施形態はアノード電極4の形状をのぞき、他の構成については第1実施形態に準じている。第1実施形態では、アノード電極4の分割方向が陰極3を中心とした放射方向であったが、本実施形態では、アノード電極4は、放射方向から周方向へ傾斜した方向に分割されている。すなわち、アノード電極4を分割する仮想線Xに着目すれば、全体として渦巻状になっている。
【0030】
また、いいかえれば、アノード電極4は、陰極を中心軸とした回転非対称の形状、具体的には、扇風機の羽根のような形状(プロペラ形状)にされている。これによってアークスポットを一方向に回転させることができ、運転条件(成膜条件)による依存性を小さくする効果が期待できる。
すなわち、アークスポットが陰極の中心から外方に向かって移動するという特性により、写像されたアノード電極4では外方から内方に移動する現象が起こる。この外から内への移動が周方向への移動を伴うように規制すれば、アークスポットの移動方向を一定方向に回転させることができる。アノード電極4の分割方向を周方向に傾斜させたのは、この点に着目したものであって、具体的に例えば、アノード電極4を扇風機の羽根のような形状にすれば、その形状によって外から内に向かうときに強制的に周方向に移動する規制を受け、図2の例では、アークスポットは時計回りに周回運動する。
【0031】
図3は本発明の第3実施形態、図4は本発明の第4実施形態に係るアークイオンプレーティング装置1を示している。これらの装置1は、アーク電流が小さな条件でも運転を可能とするためのものである。アーク電流が小さいためにインダクタ回路16の逆起電力だけでアークスポットを移動させるのが困難な場合のため、アノード電極4を偶数個に分割し、かつ周方向に隣り合うアノード電極4に接続された該回路素子16同士を、電磁誘導的に逆位相にカップリングさせて、アークスポットの移動を容易にしたものである。
【0032】
図3は、各インダクタ・コイル16を共通のリング状磁性コア18で結合した例で、相隣り合うコイル16A,16Bは巻き方が逆方向である。
図4は、各インダクタ・コイル16(各コイルの巻き方は同方向)に、二次コイル19を設け、隣り合う2次コイル19A,19Bを逆位相で接続して、閉回路とした例である。なお、図4において、相隣り合うインダクタ・コイル16の巻き方を逆にして、二次コイル19を同位相で接続してもよい。
【0033】
図3、図4のいずれも、ひとつのアノード電極4に流れ込んだ電流は、それに接続されたインダクタンス16に生じた逆起電力を発生させるとともに、両隣のアノード電極4のインダクタ16に作用して、放電を促す(引込む)極性の起電力を、両隣のアノード電極4に生ぜしめる。
図5は、本発明の第5実施形態を示している。この装置1では、磁界発生手段9として永久磁石21が採用されており、軸方向に磁極を有する筒状の永久磁石21が陰極3のまわりに同軸状に配置され、第1実施形態と類似の磁力線を発生させることができる。
【0034】
なお、第2〜第5実施形態において説明を省略した点は第1実施形態と同様である。
【0035】
【発明の効果】
本発明によれば、アーク電圧、真空度、導入ガス種&圧力など装置運転条件や、ターゲット消耗度など付帯条件に依存せず、また陰極周辺に大袈裟な磁場発生回路を必要とせずに、アーク放電の成長によるアーク電流の急激な電流増殖を抑え込むとともに、強制的に陰極表面上をアークスポットを移動させて、局所加熱
を避け、しかしてドロップレットを低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の第1実施形態に係るアークイオンプレーティング装置の平面図及び断面図である。
【図2】 第2実施形態に係るアークイオンプレーティング装置の平面図である。
【図3】 第3実施形態に係るアークイオンプレーティング装置の平面図である。
【図4】 第4実施形態に係るアークイオンプレーティング装置の平面図である。
【図5】 第5実施形態に係るアークイオンプレーティング装置の断面図である。
【符号の説明】
1 アークイオンプレーティング装置
2 真空チャンバ
3 陰極
4 アノード電極
5 アーク電源
9 磁界発生手段
12 被処理物
16 インダクタ回路素子(コイル)

Claims (4)

  1. 真空アーク放電によって陰極物質を蒸発させるとともにイオン化して被処理物(12)に蒸着成膜する装置において、
    前記陰極の蒸発面(3a)を貫く磁界を発生させる磁界発生手段(9)を具備し、その磁束線に交差するようにアノード電極(4)が設置され、
    当該アノード電極(4)は、陰極(3)を中心軸として周方向に複数に分割して並設され、
    接地電位に、分割された各アノード電極(4)が回路素子(16)を介してそれぞれ接続されていて、
    前記回路素子(16)は、あるアノード電極(4)のアーク電流が急増した際に、接地電位のままである他のアノード電極(4)に対応する陰極部位へアークスポットを移動させる逆起電力を誘起可能なインダクタンス成分を持つことを特徴とするアークイオンプレーティング装置。
  2. 前記アノード電極(4)は、周方向へ傾斜した方向に分割されていることを特徴とする請求項1記載のアークイオンプレーティング装置。
  3. 前記アノード電極(4)は、偶数個に分割され、かつ周方向に隣り合うアノード電極(4)に接続された前記回路素子(16)同士が、電磁誘導的に逆位相にカップリングされていることを特徴とする請求項1又は2記載のアークイオンプレーティング装置。
  4. 前記回路素子(16)には、インダクタンス成分以外に、直列純抵抗および/または並列キャパシタンス成分が含まれることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のアークイオンプレーティング装置。
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