JP4408993B2 - スラリー用フィルタ装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、例えば生ゴミ処理機によって生ゴミを粉砕、押潰して得たペースト状スラリーの有機物から異物を分別し、取り除くためのフィルタ装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
現在行われている生ゴミ処理方法の一例として、まず生ゴミ処理機によって粉砕して生ゴミのペースト状スラリーを得、このスラリーを更に擦り潰したりした後、発酵処理して肥料等の有用物質とする工程が挙げられる。
【0003】
しかしながら、実際に回収される生ゴミ中には、有機物以外の様々な異物が混入している。従って、スラリー中にも発酵処理できない異物、例えば、ビニール、ラップ、発泡スチロール、糸屑、植物繊維等が残存し、後の処理工程に悪影響を及ぼすことがある。
【0004】
特に、ビニールやラップは、粉砕後の擦り潰し工程でも潰しきれず、発酵処理工程では処理槽内の撹拌羽根等に引っ掛かり、絡んだりして最悪の場合装置の故障を生じてしまう。
【0005】
そこで、ペースト状スラリーから上記の如き異物を取り除くことが考えられる。最も簡便な方法として、網目状フィルタを用いて有機物スラリーのみを濾し、異物を分離している。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、網目状フィルタによる濾し取り分離では、異物による目詰まり現象が長期の使用に伴って助長され、フィルタ機能が低下する。さらに、いずれはフィルタとしての機能を果たさなくなり、破損する場合もある。
【0007】
このような目詰まりの解消は困難であり、フィルタを交換するしかないが、長期の使用に耐えられないため、頻繁に交換しなければならず、作業効率の低下とコスト高は避けられないものであった。
【0008】
本発明の目的は、上記問題点に鑑み、目詰まりが容易に解消でき、従来より長期の使用に耐え得るスラリー用フィルタ装置を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、請求項1に記載の発明に係るスラリー用フィルタ装置は、圧送されて来るペースト状スラリー内の異物を捕集して除去するためのフィルタ装置であって、固定板上に互いに平行な所定間隔で、複数本の針状突起を突設してなるフィルタ本体と、これら針状突起を貫通させた状態で針状突起に対して摺動可能に配置された異物除去板と、前記フィルタ本体に組み込まれ、該異物除去板を前記針状突起の前記固定板位置から先端にわたって摺動させる移動手段と、前記フィルタ本体の針状突起間を通過したペースト状スラリーを回収するためのスラリー回収容器と、前記異物除去板を針状突起先端方向に移動することによって針状突起穿刺状態から開放された異物を回収するための異物回収容器と、前記フィルタ本体を、前記異物除去板とその移動手段と共に、スラリー回収時のスラリー圧送路開口端に隣接した所定位置と、異物回収時の前記異物回収容器上に異物が落下する所定位置との間で移動させる駆動機構と、を備えたものである。
【0010】
本発明によるフィルタ装置においては、固定板上に互いに平行な所定間隔で、複数本の針状突起が突設されてフィルタ本体が構成されるものであり、圧送路から送られてくるペースト状スラリーがフィルタ本体内を針状突起の先端から固定板方向(奥)に向かって進むと、ペースト上スラリー内に混入しているビニールやラップ等の異物は、いずれかの針状突起に突き刺さる。即ち、針状突起が貫通状態でフィルタ本体に配置されている異物除去板を固定板側に寄せておいてペースト状スラリーを送り込むと、突起に突き刺さった異物はスラリー圧送に伴って異物除去板側へ押し込まれていく一方、スラリーは、圧送力によって針状突起同士の間隙を通過しながらフィルタ本体の外周へ押出され、落下してスラリー回収容器内に回収される。
【0011】
従って、ペースト状スラリーの圧送が続けられるのに伴って、針状突起に突き刺さった異物が該突起に沿ってどんどん本体底部に送られ溜っていき、ペースト状スラリーとの分離が連続的に進行する。さらに、ある程度以上、異物除去板側に異物が溜ったら、ペースト状スラリーの圧送を止めて、駆動機構によってフィルタ本体をスラリー圧送路開口端に隣接した所定位置から異物回収時の所定位置へ移動させ、異物除去板をフィルタ本体開放端である突起先端側に摺動させれば、溜った異物を本体外部へまとめて排出し、異物回収容器内に回収することができる。
【0012】
このような本発明のフィルタ装置では、装置稼働の合間に溜った異物の排出を容易にできるため、従来の網目状フィルタのような目詰まりやこれに起因する破損の心配なく、長期にわたって良好な異物の分離が行え、フィルタの頻繁な交換も必要なく、生ゴミスラリーと異物との効率的な分離が低コストで行える。
【0013】
なお、針状突起の数や間隔等の設計は、異物は突起に突き刺さり易くすり抜け難い状態であることが必要であるため、特に突起同士の間隔は広くなりすぎないことが重要である。しかし、突起が密集しすぎると、生ゴミペースト状スラリーの通過、回収が困難になり、目詰まり状態に近くなるので、突起間隔は、スラリーの粒径、粘度に応じて突起径や配置数を適宜設定する。
【0014】
さらに、針状突起は、先端が異物を突き刺しやすい鋭利な形状を持つ細いものであれば良いが、細くてもスラリーの圧送力に対して折れたりしない強度をもつもの、例えば、いわゆるピアノ線を素材にしたものが利用できる。ただし、水平設置の場合に先端が自重で垂れ下がったり、スラリーの押圧で湾曲しないような剛性を維持できる径のものを適宜選択する。
【0015】
また、フィルタ本体長(針状突起の長さ)も、長すぎるとスラリーの圧送が困難となったり先端が垂れ下がり易くなったりし、また短すぎると異物が溜るのが速すぎて排出作業が頻繁になってしまうので、処理対象の生ゴミスラリーや主に混入している異物の状態に応じて決定すれば良い。最も問題視されているビニールやラップ等の異物に基づいて、現状では200mm以上が実用的である。
【0016】
また、本発明の移動手段としては、異物除去板をフィルタ本体内で固定板から突起先端に亘って摺動できるものであれば良い。また、駆動手段は、フィルタ本体をスラリー圧送路開口端に隣接する位置から異物回収時に異物回収容器上の所定位置、即ち本体開放端である突起先端部が異物回収容器上にて落下する異物を回収できる位置に亘って移動できるものであればよい。これらの駆動源としては、例えば、油圧シリンダー等の流体圧シリンダーを利用する構成が簡便である。
【0017】
【発明の実施の形態】
本発明の一実施形態として、水平設置型のペースト状スラリー用フィルタ装置の一例を図1の概略構成図に示す。本装置は、固定板1上に、直径2.5mmのピアノ線からなる針状突起2を、水平方向に互いに平行となるように3〜5mm間隔で端部を埋め込んで、内径約200mm、深さ約350mmの外形筒状のフィルタ本体Fが構成されるものである。
【0018】
また、フィルタ本体F内部には、異物除去板3が、全針状突起2の貫通状態で、フィルタ本体Fに組み込まれている油圧シリンダーからなる移動装置4によってフィルタ本体F内を固定板1側から本体開放端である突起先端部にわたって摺動可能に配置されている。
【0019】
また、フィルタ本体Fは、ペースト状スラリー8を回収する際には、スラリー圧送路10の開口端に隣接する位置にあるが、このときのフィルタ本体Fの下方には、フィルタ本体F内の針状突起2同士間を通過して落下するスラリー8を回収するスラリー回収容器5が載置される。また、異物9を収容するための異物回収容器7も近傍に設置されているが、後述の如く、スラリー8から分離された異物9は異物除去板3によってフィルタ本体Fの開放端からまとめて排出されて落下することになるため、本実施形態では、異物回収を回収する際にフィルタ本体Fの開放端が異物回収容器7上に来るように、フィルタ本体Fを移動させる駆動手段としての油圧シリンダーからなる駆動装置6を備えた。
【0020】
このような構成を持つ本実施形態のフィルタ装置における異物除去作業は以下の通りである。まず初期状態として、駆動装置6によってフィルタ本体Fをスラリー圧送路10の開口端に隣接する所定位置に移動させておくと共に、移動装置4によって異物除去板3を移動して予めフィルタ本体Fの固定板1に当接させておいた状態で、ペースト状スラリー8の圧送を始め、フィルタ本体1内部へその開放端から奥の固定板1および異物除去板3に向けて導入していく。
【0021】
すると、図1(a)のフィルタ本体軸方向に沿った断面図および(b)のフィルタ本体縦断面図(X−X矢視部)に示すように、スラリー8の中に混入しているビニールやラップ等の異物9は、順次、フィルタ本体Fの開放端付近で針状突起2の鋭利な先端部に突き刺さる。これらの異物9は、スラリー8全体の圧送に伴ってフィルタ本体F奥の異物除去板3側へ向けて、針状突起2に刺さったまま押し込められ、異物除去板3に到達し、ここに溜っていく。
【0022】
その間、ペースト状スラリー8は、圧送力によってフィルタ本体F内を固定板1および異物除去板3へ向かいつつ針状突起2同士の間隙を通過しながらフィルタ本体Fの外周方向へ移動し、やがてフィルタ本体Fの外側へ押出され、最終的にスラリー回収容器5内に落下し、回収されていく。
【0023】
このように、フィルタ本体Fの開放端から、ペースト状スラリー8をどんどん圧送していくだけで、スラリー8内に混入されていた異物9のみが針状突起2に捕集され、スラリー8から分離されてフィルタ本体F奥の異物除去板3側に残り溜っていく。
【0024】
ある程度異物9が溜ったら、装置稼働の合間を見て、図1(c)の概略断面図に示すように、まず駆動装置6によってフィルタ本体Fをその開放端が異物回収容器7上に来る位置まで移動させる。ついで、その位置で、移動装置4により異物除去板3を針状突起2の先端部分まで摺動させることにより、溜っていた異物9をフィルタ本体Fの開放端から外へ押し出す。押出された異物9は異物回収容器7に落下して回収される。異物9の排出後、再び移動装置4の駆動により異物除去板3を摺動させて固定板1側まで戻す。さらに、駆動装置6によりフィルタ本体Fをスラリー圧送路10開口端に隣接する所定位置に戻しておけば、再び、異物9を分離除去しながらのスラリー8の回収が行える。
【0025】
以上のように、本実施形態のフィルタ装置によれば、溜った異物の排出を簡単にでき、これを定期的に繰り返せば、フィルタ性能の低下もなく安定な状態で長期にわたって故障なく使用できる。
【0026】
なお、以上の実施形態においては、水平(横)置き型のものを示したが、本発明によるフィルタ装置は、縦置き型として構成しても有効である。
【0027】
【発明の効果】
本発明は以上説明したとおり、従来のような目詰まりの問題も容易に解消でき、長期にわたって安定に生ゴミスラリーからの異物の分離が行えるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施の形態としてのスラリー用フィルタ装置の概略構成図であり、(a)は装置稼働状態にある装置の軸方向に沿った断面図であり、(b)は(a)の本体縦断面X−X矢視図であり、(c)は、異物排出時の装置の軸方向断面図である。
【符号の説明】
F:フィルタ本体
1:固定板
2:針状突起
3:異物除去板
4:移動装置
5:スラリー回収容器
6:駆動装置
7:異物回収容器
8:ペースト状スラリー
9:異物
10:スラリー圧送路

Claims (1)

  1. 圧送されて来るペースト状スラリー内の異物を捕集して除去するためのフィルタ装置であって、
    固定板上に互いに平行な所定間隔で、複数本の針状突起を突設してなるフィルタ本体と、
    これら針状突起を貫通させた状態で針状突起に対して摺動可能に配置された異物除去板と、
    前記フィルタ本体に組み込まれ、該異物除去板を前記針状突起の前記固定板位置から先端にわたって摺動させる移動手段と、
    前記フィルタ本体の針状突起間を通過したペースト状スラリーを回収するためのスラリー回収容器と、
    前記異物除去板を針状突起先端方向に移動することによって針状突起穿刺状態から開放された異物を回収するための異物回収容器と、
    前記フィルタ本体を、前記異物除去板とその移動手段と共に、スラリー回収時のスラリー圧送路開口端に隣接した所定位置と、異物回収時の前記異物回収容器上に異物が落下する所定位置との間で移動させる駆動機構と、を備えたことを特徴とするスラリー用フィルタ装置。
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