JP4408721B2 - 駆動装置 - Google Patents

駆動装置 Download PDF

Info

Publication number
JP4408721B2
JP4408721B2 JP2004046573A JP2004046573A JP4408721B2 JP 4408721 B2 JP4408721 B2 JP 4408721B2 JP 2004046573 A JP2004046573 A JP 2004046573A JP 2004046573 A JP2004046573 A JP 2004046573A JP 4408721 B2 JP4408721 B2 JP 4408721B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
piezoelectric
piezoelectric body
voltage
electric field
amplitude
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP2004046573A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2005237173A (ja
Inventor
雅幸 渡邉
昇 宮田
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Taiheiyo Cement Corp
Original Assignee
Taiheiyo Cement Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Taiheiyo Cement Corp filed Critical Taiheiyo Cement Corp
Priority to JP2004046573A priority Critical patent/JP4408721B2/ja
Publication of JP2005237173A publication Critical patent/JP2005237173A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP4408721B2 publication Critical patent/JP4408721B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Images

Landscapes

  • General Electrical Machinery Utilizing Piezoelectricity, Electrostriction Or Magnetostriction (AREA)

Description

本発明は、送り装置等に用いられる、圧電体の剪断変位および厚み変位を利用した圧電アクチュエータを備えた駆動装置に関する。
従来から、電圧をかけることにより剪断変位を生じる圧電素子および厚み変位を生じる圧電素子を連結した圧電アクチュエータが知られている(たとえば、特許文献1)。
特許文献1では、水平なステージを支える駆動脚の一方が、圧電体を上下に連結したものであり、一方の圧電体は伸縮方向に変形するように、上下方向に分極されている。他方の圧電体は剪断変位を行なうように、水平方向に分極されている。
この圧電アクチュエータは、分極方向の異なる圧電体を挟むように3枚の電極を設け、電極間に交流電圧を印加することによりそれぞれの圧電体に伸縮あるいは剪断の変位を生じさせることができるように構成されている。また、特許文献1には、それぞれの圧電体が積層構造を有していてもよいことも記載されている。この圧電アクチュエータを利用したステージ送り装置は、インチウォーム(米国における登録商標第1,278,748号)を用いたステージ送り装置に比べ、ステージ移動のストロークが大きい。
特公平3−81119号公報
上記のように、分極方向の異なる圧電体を連結した圧電アクチュエータが提案されているが、ステージ等の被駆動体を移動させる際に、さらにストロークを大きくして、移動を高速化するためには、印加電圧を大きくする必要がある。
しかしながら、バイポーラの交流電源により、圧電体にその分極向きと逆向きの大きい電圧を印加すると、圧電体の分極が解ける場合がある。分極が解けると、その圧電体の逆圧電効果が生じなくなり、圧電アクチュエータの駆動特性が劣化する。
本発明は、大きい電圧を印加しても駆動特性を劣化させずに被駆動体を高速に移動させることのできる駆動装置を提供することを目的とする。
(1)上記の目的を達成するため、本発明の駆動装置は、第1の圧電体と第1の平面電極とが交互に積層され、前記第1の圧電体は前記第1の平面電極の表面に垂直な第1の方向に分極した伸縮変位部および、前記第1の方向に前記伸縮変位部に連結され、第2の圧電体と第2の平面電極とが交互に積層され、前記第2の圧電体は前記第2の平面電極に平行な第2の方向に分極した剪断変位部を備える圧電アクチュエータと、前記第1の圧電体に発生する一周期あたりの平均電界の向きが、前記第1の圧電体の分極の向きと実質的に同一になるように前記第1の平面電極に交流電圧を印加する電源部と、を備えることを特徴としている。
このように、本発明の駆動装置は、所定の圧電体に発生する電界の向きが、一周期あたりで平均をとると、その圧電体の分極の向きと実質的に同一の向きになるように交流電圧を印加している。
これにより、圧電体の分極向きと逆向きに発生する電界強度の最大値を小さくすることができる。また、圧電体の分極向きと逆向きの電界強度の積算量を小さくすることができる。その結果、圧電体に大きい振幅の交流電圧を印加した場合であっても、圧電体が減極され難く、すなわち、圧電体の分極を解かれ難くすることができる。また、圧電体の逆圧電効果を維持し、さらにはその圧電体を備えた駆動装置の駆動特性を維持することができる。
(2)また、本発明の駆動装置は、前記電源部は、前記第1の圧電体に発生する電界の向きが、前記第1の圧電体の分極の向きと常に同一になるように前記第1の平面電極に交流電圧を印加することを特徴としている。
このように、本発明の駆動装置は、所定の圧電体に発生する電界の向きが、常にその圧電体の分極の向きと実質的に同一の向きになるように、いわゆるユニポーラの交流電圧を印加している。
これにより、印加する交流電圧により発生する電界については、圧電体の分極の向きと同じ向きの電界のみを発生させることできる。その結果、圧電体に大きい振幅の交流電圧を印加した場合であっても、圧電体が減極され難く、すなわち分極している圧電体の分極を解かれ難くすることができる。その結果、圧電体の逆圧電効果を維持し、さらにはその圧電体を備えた駆動装置の駆動特性を維持することができる。
(3)また、本発明の駆動装置は、複数の前記圧電アクチュエータが、固定台上に並設され、前記圧電アクチュエータが楕円または多角形の軌道の運動を行なうことにより、被駆動体を前記第2の方向に送ることを特徴としている。
これにより、複数の圧電アクチュエータを並設した駆動装置について、圧電体に大きい振幅の交流電圧を印加した場合であっても、駆動特性を維持することができる。また、たとえば半導体製造工程のステージ送り装置として本発明の駆動装置に、大きい振幅の交流電圧を印加し高速で駆動させた場合に、駆動特性を維持することができる。したがって、ステージ移動のストロークを大きくとることができる。その結果、半導体製造工程において製造の効率化、高速化を図ることができる。
本発明に係る駆動装置によれば、所定の圧電体に発生する電界の向きが、一周期あたりで平均をとると、その圧電体の分極の向きと実質的に同一の向きになるように交流電圧を印加している。
これにより、圧電体の分極向きと逆向きに発生する電界強度の最大値を小さくすることができる。また、逆向きの電界強度の積算量を小さくすることができる。その結果、圧電体に大きい振幅の交流電圧を印加した場合であっても、圧電体が減極され難く、すなわち圧電体の分極を解かれ難くすることができる。また、圧電体の逆圧電効果を維持し、さらにはその圧電体を備えた駆動装置の駆動特性を維持することができる。
また、本発明に係る駆動装置によれば、所定の圧電体に発生する電界の向きが、常にその圧電体の分極の向きと実質的に同一の向きになるように、いわゆるユニポーラの交流電圧を印加している。
これにより、印加する交流電圧により発生する電界については、圧電体の分極の向きと同じ向きの電界のみを発生させることできる。その結果、圧電体に大きい振幅の交流電圧を印加した場合であっても、圧電体が減極され難く、すなわち分極している圧電体の分極を解かれ難くすることができる。その結果、圧電体の逆圧電効果を維持し、さらにはその圧電体を備えた駆動装置の駆動特性を維持することができる。
また、本発明に係る駆動装置によれば、複数の圧電アクチュエータを並設した駆動装置について、圧電体に大きい振幅の交流電圧を印加した場合であっても、駆動特性を維持することができる。また、たとえば半導体製造工程のステージ送り装置として本発明の駆動装置に、大きい振幅の交流電圧を印加し高速で駆動させた場合に、駆動特性を維持することができる。したがって、ステージ移動のストロークを大きくとることができる。その結果、半導体製造工程において製造の効率化、高速化を図ることができる。
以下に、本発明を実施するための最良の形態に関し、図面に基づいて説明する。ただし、これは実施形態の一例であって、本発明がこの実施形態に限定されるものではない。
図1は、本発明に係る駆動装置1の概念図である。本発明の駆動装置1は、圧電アクチュエータ2aおよび電源部2bから構成されている。図1において、圧電アクチュエータ2aは、側面から見た図となっている。圧電アクチュエータ2aは、シム部3aおよび3b、中央の平面電極4、伸縮変位部5ならびに剪断変位部6から構成されている。中央の平面電極4を介して、伸縮変位部5と剪断変位部6が連結されている。第1の方向とは、伸縮変位部5の伸縮変位方向、すなわち圧電アクチュエータの固定端からの高さ方向をいう。第2の方向とは、剪断変位部6の剪断変位方向をいう。伸縮変位部5は圧電体7aと平面電極8aが交互に積層されており、剪断変位部6は圧電体7bと平面電極8bが交互に積層されている。第1の圧電体は圧電体7aに該当し、第2の圧電体は圧電体7bに該当する。圧電体7aおよび圧電体7bの材料は、PZT等の圧電セラミックスである。また、第1の平面電極は平面電極8aに該当し、第2の平面電極は平面電極8bに該当する。平面電極の材料は、銀、パラジウム、銅等の導体である。一方、電源部2bは、交流電源Vaおよび交流電源Vbから構成されている。電源部2bは、所定の機能を有するものであり、構造的に特徴を有するものではないため簡略化して表している。なお、圧電体7aおよび圧電体7bの材料は、圧電体であれば特に一定の材料に限られない。
シム部3aおよび3bは、本体部2の伸縮方向の両端に連結して設けられ、剪断変位部6の端面に設けられているシム部3bの形状は突起を有する板の形状であり、伸縮変位部5の端面に設けられているシム部3aの形状は板状である。図示するようなシム部3bの突起を有する板の形状は、一例であり、蒲鉾型の形状等であってもよい。
図1に示すように、伸縮変位部5を形成する圧電体7aは平面電極8aの表面に垂直な向きPまたはPに分極しており、剪断変位部6を形成する圧電体7bは平面電極8bに平行で、矩形の一辺に平行な向きQまたはQに分極している。図1に示すように、ここでは伸縮変位部5の圧電体7aは4層積層しており、剪断変位部6の圧電体7bも4層積層しているが、積層数は任意であり、伸縮変位部5と剪断変位部6の積層数の比が異なっていてもよい。また、それぞれが積層構造でなく、単層構造であってもよい。なお、伸縮変位部5については、平面電極8bを生の圧電体7aに埋め込み一体焼成により、電極を内層部分に形成してあってもよい。
圧電体7aおよび圧電体7bの側面には、GND用の取り出し電極21と、伸縮変位部用取り出し電極22と、剪断変位部用取り出し電極23とが設けられている。GND用の取り出し電極21は、1枚おきに平面電極8aおよび平面電極8bと接続し、中央の平面電極4とも接続している。伸縮変位部用取り出し電極22は、1枚おきに平面電極8aと接続している。剪断変位部用取り出し電極23は、1枚おきに平面電極8bと接続している。これらの取り出し電極の材料は、銀、パラジウム、銅等の導体である。また、GND用の取り出し電極21はリード線21Lを介し接地され、伸縮変位部用取り出し電極22はリード線22Lを介し交流電源Vaに接続され、剪断変位部用取り出し電極23はリード線23Lを介し上記交流電源に対して位相差が90°の交流電源Vbに接続されている。
ここで、交流電源Vaは、圧電体7aの分極の向きPおよびPと同一向きに圧電体7aに電界が生じるようなバイアスをかけて交流電圧を印加する機能を有している。交流電源Vbについては、特にバイアスをかけていてもかけていなくてもよい。
(作製方法)
本発明の駆動装置1の作製方法の一例を以下に示す。なお、駆動装置1の作製方法は、以下に示す一例に限定されるものではない。
ジルコン酸チタン酸鉛(PZT)系の圧電セラミックス粉末をバインダーおよび有機溶媒と混合しスラリーを作製する。
次に、混合して得られたスラリーを用い、設計された厚さでドクターブレードにより生シートを作製する。得られた生シートは焼成し、設計された形状に加工する。伸縮変位部用の単板の圧電セラミックスには電極を形成し、分極処理を行なう。さらに、取り出し電極として銅板を接着し、接着剤を用いてその単板を積層して、伸縮変位部5を作製する。なお、伸縮変位部5は生シートに銀の電極を印刷し圧着して、一体焼成してもよい。
一方、剪断変位部用の単板は、重ねたときに所定の平面方向に分極方向がそろうように各々分極処理を行なった後に電極を形成する。さらに、取り出し電極として銅板を接着し、接着剤を用いてその単板を積層して、剪断変位部6を作製する。このようにして作製された剪断変位部6を、銅からなる中央の平面電極4を挟んで伸縮変位部5に重ねて接着し、GND用の取り出し電極21、伸縮変位部用取り出し電極22および剪断変位部用取り出し電極23を設けて、圧電アクチュエータ2aを作製する。なお、接着には種々の樹脂接着剤を用いる。
次に、GND用の取り出し電極21をリード線21Lにより接地し、伸縮変位部用取り出し電極22をリード線22Lにより交流電源Vaに接続し、剪断変位部用取り出し電極23をリード線23Lにより交流電源Vbに接続する。交流電源Vaには、市販のバイポーラ・ユニポーラ型の駆動電源を用いれば十分である。
(動作)
以下に、本発明の駆動装置1の動作を説明する。
図2(a)は、バイポーラの交流電源による正弦波の印加電圧を示す図である。このような電圧を、図1に示すような構成の圧電アクチュエータに対して、平面電極8aにあたる電極に印加すると、圧電体7aにあたる部分には、図2(b)に示すような電界Eが生じる。矢印の入った線分は電気力線を示し、矢印の向きが電界の向き、本数の密度が電界の強度を示している。電気力線が描かれていない図は、電界が生じていないことを示している。平面電極には、その電圧がゼロ、プラスまたはマイナスになるため、平面電極の右端にその旨を記載した。図2(b)は、1/4周期ごとの圧電体7aにあたる部分の電界の変動を示す図である。この場合には、図2(b)(4)において、圧電体の分極向きとは逆向きの電界が生じている。
図3および図4は、本発明に係る駆動装置1において、交流電源Vaによる印加電圧の例を示す図である。図3(a)に示す例では、バイポーラの交流電圧に直流電圧による正のバイアスをかけており、正弦波の1周期のうちで、平面電極8aに負の電圧が印加される場合もある。ただし、1周期で平均すれば正の電圧が印加されていることになる。図3(b)は、図3(a)に示す電圧を交流電源Vaにより印加した場合について、1/4周期ごとの圧電体7aの電界の変動を示す図である。図3(b)に示すように、(1)、(2)および(3)の状態では、圧電体7aの分極の向きと同じ向きに電界が生じており、(4)の状態でのみ、圧電体7aの分極の向きと逆向きに電界が生じている。ただし、1周期で平均すれば、圧電体7aの分極の向きと同じ向きに電界が生じていることになる。
これにより、圧電体7aの分極向きPまたはPと逆向きに発生する電界強度の最大値を小さくすることができる。また、逆向きの電界強度の積算量を小さくすることができる。その結果、圧電体に大きい振幅の交流電圧を印加した場合であっても、圧電体が減極され難くすることができる。すなわち、圧電体7aの分極を解かれ難くすることができる。また、圧電体7aの逆圧電効果を維持し、さらにはその圧電体7aを備えた駆動装置1の駆動特性を維持することができる。なお、減極とは、圧電セラミックス内部の結晶粒の分域について部分的に電気双極子の向きが解かれ、分極処理直後に比べ圧電セラミックスの変位能力が低下することをいう。
図4(a)に示す例では、バイポーラの交流電圧に直流電圧による正のバイアスをかけており、正弦波の1周期のうちで、平面電極8aに負の電圧が印加される場合がない。図4(b)は、図4(a)に示す電圧を交流電源Vaにより印加した場合について、1/4周期ごとの圧電体7aの電界の変動を示す図である。図4(b)に示すように、(1)、(2)、(3)および(4)のすべての状態で、圧電体7aの分極の向きと同じ向きに電界が生じている。
これにより、印加する交流電圧により発生する電界については、圧電体7aの分極の向きPまたはPと同じ向きの電界のみを発生させることできる。その結果、圧電体に大きい振幅の交流電圧を印加した場合であっても、圧電体が減極され難く、すなわち圧電体の分極を解かれ難くすることができる。その結果、圧電体の逆圧電効果を維持し、さらにはその圧電体を備えた駆動装置の駆動特性を維持することができる。
なお、上記の図2(b)、図3(b)および図4(b)の圧電体については、電界発生による伸縮変位については省略している。また、圧電体7aの分極向きPおよびPが図1に示す方向と逆を向いている場合には、交流電源Vaは負にバイアスをかけた交流電圧をかければ、同様の効果が得られる。
図5は、圧電アクチュエータ2aを駆動させたときの、1/4周期ごとの形状および1周期のシム部3bの突起の軌道を示した図である。圧電アクチュエータ2aに対して、伸縮変位部用取り出し電極22には正弦波の電圧が印加され、剪断変位部用取り出し電極23にはその正弦波の位相を90°ずらした電圧が印加されている。このような電圧の入力方法により、伸縮変位部は伸縮変位の単振動をし、剪断変位部6は、伸縮変位部5の伸縮変位と90°位相のずれた剪断変位の単振動をする。こうして、図5に示すように、シム部3bの突起はA→B→C→Dという軌跡の楕円軌道を描く。また、上記の印加電圧の位相差は、90°近傍であれば上記のシム部3bの突起に楕円軌道で運動させることができる。また、入力電圧による位相差を各圧電部に設定することによりステージを任意の方向に移動させることができる。なお、上記突起の軌道は必ずしも楕円軌道である必要はなく、電源の制御により矩形の軌道としてもよい。本発明に係る駆動装置については、平面電極8aに正のバイアスのかかった交流電圧を印加するため、伸縮変位部5の伸縮の平衡状態は、通常のバイポーラの交流電圧を印加する場合の平衡状態(自然長の状態)に比べて、バイアスがかかっている分だけ伸びた状態である。
圧電アクチュエータ2aが送り装置に用いられる場合には、伸縮変位部5側のシム部3aは固定板30に固定されており、剪断変位部6側のシム部3bの突起がステージ31に接触することにより、ステージ31が駆動される。以下に、図6を参照しながら圧電アクチュエータ1の1周期にわたる動作を説明する。図6(a)は、伸縮変位部5が伸びきった状態であり、剪断変位部6は突起を有するシム部3bを左方向に送るように剪断変位しており、その速度が最大である状態を示している。シム部3bの突起はステージ31の表面に接している。図6(b)は、伸縮変位部5の縮む速度が最大になっており、剪断変位部が突起を有するシム部3bを最も左の位置まで送った状態を示している。シム部3bの突起は、ステージ31の表面から離れている。図6(c)は、伸縮変位部5が最も縮んでおり、剪断変位部6が突起を有するシム部3bを右方向に送るように剪断変位しており、その速度が最大である状態を示している。シム部3bの突起はステージ31の表面から離れている。図6(d)は、伸縮変位部5の伸びる速度が最大になっており、剪断変位部が突起を有するシム部3bを最も右の位置まで送った状態を示している。シム部3bの突起は、ステージ31の表面から離れている。
図7は、圧電アクチュエータ2aを送り方向に複数並設した本発明の駆動装置1を駆動させたときの1/4周期ごとの状態をそれぞれ示した図である。図7に示すように、送り方向に沿って設置された圧電アクチュエータを送り方向に沿って順番に180°位相を変えて駆動し、各圧電アクチュエータの楕円軌道が繰り返されることにより、圧電アクチュエータの剪断変位方向の一方に被駆動体であるステージ31を移動させる。図中の矢印は、各部分の速度を模式的に表したものである。なお、圧電アクチュエータを並設する場合の配置は、特に限定されない。
このように圧電アクチュエータ2aを複数並設した駆動装置1をユニポーラの電圧で駆動させることにより、圧電体7aに大きい振幅の交流電圧を印加した場合であっても、駆動特性を維持することができる。また、たとえば半導体製造工程のステージ送り装置として本発明の駆動装置1に、大きい振幅の交流電圧を印加し高速で駆動させた場合に、駆動特性を維持することができる。したがって、ステージ31の移動のストロークを大きくとることができる。その結果、半導体製造工程において製造の効率化、高速化を図ることができる。
以下、比較例と対比しつつ本発明の実施例について説明する。上記の作製方法に基づき、シム部3aおよび3bを除いた部分の形状が伸縮変位方向4.8mm、剪断変位方向6mm、それらに垂直な方向3mmの矩形状の圧電アクチュエータ2aを作製した。伸縮変位部5および剪断変位部6の伸縮変位方向長さはそれぞれ2.4mmとし、4層の積層構造とした。一層あたりの圧電体の厚さはすべて0.6mmとした。圧電体7aおよび圧電体7bの材料には、いわゆるソフト材と呼ばれる誘電損失(tanδ)が0.007以上のPZT材料を用いた。これにより、伸縮変位部5の変位量を大きくすることができる。なお、圧電体7aおよび圧電体7bの材料には、いわゆるハード材と呼ばれる誘電損失が0.007より小さいPZT材料を用いてもよい。その場合には、駆動による発熱を小さくし、キュリー温度を大きくすることができる。
作製された圧電アクチュエータ2aのGND用の取り出し電極21は接地し、伸縮変位部用取り出し電極22は、交流電源Vaとしての市販のバイポーラ・ユニポーラ型の駆動電源に接続した。剪断変位部用取り出し電極23には、特に電源を接続しなかった。
交流電源Vaにより、所定の電界強度の振幅を生じさせる正弦波の交流電圧を30kHzで10分間振動させた後、同一の電界強度の振幅で0.5Hzの正弦波の交流電圧を印加し振動する歪みを測定し、その振幅を算出した。
歪みの測定には、電気マイクロの測定装置を用いた。図8は、電気マイクロにより圧電アクチュエータの歪みを測定している状態を示す斜視図である。電気マイクロのセンサ40をシム部3bの突起に接するように配置し、逆圧電効果による微小な伸縮変位方向の変位を測定した。
図9は、周波数0.5Hzで交流電圧をかける際の電界強度の振幅に対して、歪みの振幅を示す図である。この歪みの振幅は、電気マイクロによって測定された、伸縮変位方向に変位している圧電アクチュエータの最大長さと最小長さの差、すなわち伸縮の最大変位量をΔh、積層された圧電体7aの層数をn、圧電体7aの層の厚さをdとすると、Δh/(2・n・d)により算出した。
図9に示すように、電界強度を0kV/mから所定の大きさまでで正弦波振動させるユニポーラ駆動の場合(実施例1)には、歪みの振幅は電界強度の振幅の増加に対して直線的に増加しており、圧電アクチュエータの駆動特性は劣化しておらず、圧電体7aに減極は生じていないことが確認された。
一方、バイアスをかけずに電界強度の振動の中心を0kV/mとして正負に正弦波振動させて交流電圧を印加するバイポーラ駆動の場合(比較例1)には、電界強度の振幅が600kV/m以下となる範囲では、歪みの振幅の値はグラフの直線上にのり0.5Hzの交流電圧を印加する際に、電界強度の振幅が505kV/mの交流電圧を印加したときの電界強度に対する歪みの特性も、図10(a)に示すような正常な閉曲線となることが確認された。電界強度の振幅700kV/mの付近では、歪みの振幅の値は、図9においてグラフの直線上にのると仮定した場合の予想値より小さくなった。この電界強度の振幅700kV/mの付近において、圧電アクチュエータの駆動特性が劣化し始めており、圧電体7aに減極が生じていることが確認された。また、電界強度の振幅が800kV/m以上である範囲においては、0.5Hzの正弦波の交流電圧を印加したとき、電圧が最大値または最小値に近づく過程で、分極の反転が生じていることが確認された。図10(b)は、電界強度の振幅805kV/mで0.5Hzの交流電圧を印加したときの電界強度に対する歪みの特性を示す図である。図10(b)によれば、分極の反転が生じることにより、電界強度に対する歪みの特性がバタフライカーブによって表されている。このように、電界強度の振幅が800kV/m以上である範囲では、減極の生じ方が著しく、圧電アクチュエータの駆動を制御することが不可能であることが確認された。
次に、所定の電界強度の振幅を生じさせる交流電圧を30kHzで10分間振動させた後、0.5Hzで電界強度の振幅400kV/mの正弦波交流電圧を、電界強度を0kV/mから所定の大きさまでで正弦波振動させるユニポーラ駆動で印加し、伸縮方向の歪みの振幅を測定した(実施例2)。図11は、ユニポーラ駆動における30kHzの交流電圧を印加する際の電界強度の振幅に対する0.5Hzの交流電圧を印加する際の歪みの振幅を示す図である。この場合には、図11に示すように、30kHzの交流電圧を印加する際の電界強度の振幅を1000kV/mまで変化させた場合に対して、歪みの振幅は約270ppmであり、一定の値を示した。
一方、所定の電界強度の振幅を生じさせる交流電圧を30kHzで10分間振動させた後、0.5Hzで電界強度の振幅が260kV/mである正弦波交流電圧を、バイアスをかけずに電界強度の振動の中心を0kV/mとして正負に正弦波振動させて交流電圧を印加するバイポーラ駆動で印加し、伸縮方向の歪みの振幅を測定した(比較例2)。図12は、バイポーラ駆動における30kHzの交流電圧を印加する際の電界強度の振幅に対する0.5Hzの交流電圧を印加する際の歪みの振幅を示す図である。図12に示すように、バイポーラで交流電圧を印加した場合には、周波数30kHz、交流電圧を印加する際の電界強度の振幅が600kV/m以下においては、周波数0.5Hz、電界強度260kV/mで交流電圧を印加する際の歪みの振幅の値は170ppm程度の一定値をとっていたが、周波数30kHzでの電界強度の振幅700kV/m付近で、周波数0.5Hzの振動での歪みの振幅の値が小さくなった。このように、周波数30kHzでの電界強度の振幅700kV/m付近で、圧電アクチュエータの駆動特性が劣化し始めており、圧電体7aに減極が生じていることが確認された。また、周波数30kHzでの電界強度の振幅が800kV/m以上においては、ほとんど逆圧電効果による歪みが生じていなかった。これにより、周波数30kHzでの電界強度の振幅が800kV/m以上においては、減極が著しく、圧電アクチュエータの駆動を制御することができないことが確認された。
本発明に係る駆動装置の概略図である。 バイポーラで正弦波の交流電圧の印加する例を示す図である。 正の直流電圧のバイアスをかけた正弦波の交流電圧の印加する例を示す図である。 ユニポーラで正弦波の交流電圧の印加する例を示す図である。 圧電アクチュエータを駆動させたときの、1/4周期ごとの形状および1周期のシム部の突起の軌道を示した図である。 圧電アクチュエータをステージ送り装置の一部として駆動させたときの、1/4周期ごとの状態をそれぞれ示した図である。 圧電アクチュエータを送り方向に複数並設した、本発明の駆動装置を駆動させたときの1/4周期ごとの状態をそれぞれ示した図である。 電気マイクロにより圧電アクチュエータの歪みを測定している状態を示す斜視図である。 周波数0.5Hzで交流電圧をかける際の電界強度の振幅に対して、歪みの振幅を示す図である。 一定の電界強度の振幅で0.5Hzの交流電圧を印加したときの電界強度に対する歪みの特性を示す図(比較例)である。 ユニポーラ駆動における30kHzの交流電圧を印加する際の電界強度の振幅に対する0.5Hzの交流電圧を印加する際の歪みの振幅を示す図である。 バイポーラ駆動における30kHzの交流電圧を印加する際の電界強度の振幅に対する0.5Hzの交流電圧を印加する際の歪みの振幅を示す図である。
符号の説明
1 駆動装置
2a 圧電アクチュエータ
2b 電源部
2 本体部
3a シム部
3b シム部
4 平面電極
5 伸縮変位部
6 剪断変位部
7a 圧電体
7b 圧電体
8a 平面電極
8b 平面電極
21L リード線
21 GND用の取り出し電極
22L リード線
22 伸縮変位部用電極
23L リード線
23 剪断変位部用電極
30 固定台
31 ステージ
40 センサ
Va 交流電源
Vb 交流電源

Claims (2)

  1. 第1の圧電体と第1の平面電極とが交互に積層され、前記第1の圧電体は前記第1の平面電極の表面に垂直な第1の方向に分極した伸縮変位部および、前記第1の方向に前記伸縮変位部に連結され、第2の圧電体と第2の平面電極とが交互に積層され、前記第2の圧電体は前記第2の平面電極に平行な第2の方向に分極した剪断変位部を備え、前記第1および第2の圧電体はソフト材により構成される圧電アクチュエータを用い、
    700kV/m以上1000kV/m以下の電界強度の振幅で、前記第1の圧電体に発生する電界の向きが、前記第1の圧電体の分極の向きと常に同一になるように前記第1の平面電極に交流電圧を印加し、前記圧電アクチュエータを駆動することを特徴とする圧電アクチュエータの駆動方法。
  2. 複数の前記圧電アクチュエータを、固定台上に並設し、前記圧電アクチュエータが楕円または多角形の軌道の運動を行なわせることにより、被駆動体を前記第2の方向に送ることを特徴とする請求項1記載圧電アクチュエータの駆動方法
JP2004046573A 2004-02-23 2004-02-23 駆動装置 Expired - Fee Related JP4408721B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2004046573A JP4408721B2 (ja) 2004-02-23 2004-02-23 駆動装置

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2004046573A JP4408721B2 (ja) 2004-02-23 2004-02-23 駆動装置

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2005237173A JP2005237173A (ja) 2005-09-02
JP4408721B2 true JP4408721B2 (ja) 2010-02-03

Family

ID=35019566

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2004046573A Expired - Fee Related JP4408721B2 (ja) 2004-02-23 2004-02-23 駆動装置

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP4408721B2 (ja)

Also Published As

Publication number Publication date
JP2005237173A (ja) 2005-09-02

Similar Documents

Publication Publication Date Title
TWI729189B (zh) 觸覺回饋產生裝置
US7960895B2 (en) Drive unit
US7638932B2 (en) Piezoelectric element and ultrasonic actuator
US8749117B2 (en) Vibrating body of vibratory drive unit and vibratory drive unit
JP4795158B2 (ja) 超音波モータ
JP4209465B2 (ja) 駆動装置
KR20030007429A (ko) 복합 압전변압기
US20060061235A1 (en) Ultrasonic motor and method for operating the same
WO2007083752A1 (ja) 圧電素子及び超音波アクチュエータ
JP4954784B2 (ja) 駆動装置
JP2011061888A (ja) 振動型アクチュエータ
KR102469287B1 (ko) 전기기계식 액츄에이터, 전기기계식 액츄에이터의 가진 방법 및 초음파 모터
JP4408721B2 (ja) 駆動装置
JP4918122B2 (ja) 超音波モータ及び超音波モータ付き電子機器
JP4954783B2 (ja) 圧電素子及び振動型アクチュエータ
JP4532175B2 (ja) 圧電アクチュエータおよび駆動装置
RU2636255C2 (ru) Пьезоактюатор изгибного типа
JP5733966B2 (ja) 振動型駆動装置
JP2007312600A (ja) 圧電素子及び超音波アクチュエータ
JP2007325366A (ja) 圧電アクチュエータ
JP5315434B2 (ja) 駆動装置
JP4484502B2 (ja) 圧電アクチュエータおよび駆動装置
JP4818853B2 (ja) 超音波モータ素子
JP5491718B2 (ja) 超音波モータ
JP5296469B2 (ja) 超音波モータ

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20060227

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20090120

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20090122

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20090313

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20090407

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20090529

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20091020

A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20091110

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20121120

Year of fee payment: 3

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20121120

Year of fee payment: 3

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20131120

Year of fee payment: 4

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees