JP4408120B2 - 映像品質推定装置、方法、およびプログラム - Google Patents

映像品質推定装置、方法、およびプログラム Download PDF

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Description

本発明は、映像通信技術に関し、特に複数のフレームに符号化した映像メディアを端末で受信再生した際に視聴者が実感する主観映像品質を推定する映像品質推定技術に関する。
インターネットアクセス回線の高速・広帯域化に伴い、インターネットを介して映像さらには音声を含む映像メディアを端末間あるいはサーバ−端末間で転送する映像通信サービスの普及が期待されている。
この種の映像通信サービスでは、映像メディアの転送効率を改善するため、映像メディアが持つ画素間あるいは画像間の自己相関性や人間の視覚特性を利用して、映像メディアを複数のフレームに符号化して転送するという符号化通信方式が用いられる。
このような映像通信サービスを利用する端末としては、ディスクトップ型PC、ノート型PC、PDA、携帯電話端末、さらには専用端末など、様々な特性を持った端末が存在し、端末ごとに映像メディアを再生する際の輝度やコントラストなど、その端末での再生状況を示す再生パラメータも異なる。またこれら端末の多くは、視聴者によりこれら再生パラメータをある程度設定することが可能であり、視聴者が実際に知覚する品質すなわち主観映像品質は、再生パラメータの設定値ごとに異なる。
具体的には、輝度が高くなると画面が明るくなり見やすくなるが、ある点を境に輝度を上げすぎると見にくくなる。また、最大輝度(白色)と最小輝度(黒色)の比を示すコントラストが高くなるにつれて、映像メディアのうち白い部分はより白く黒い部分はより黒く表現され、くっきりとした映像が表示されるが、色の階調は失われる。一方、コントラストを低くすると暗い部分から明るい部分までの幅が広くなり、黒から白まで滑らかなトーン表現が可能となるが、コントラストを下げすぎると全体的にぼやけた映像となってしまう。
これに対して、映像メディアの品質評価は、通常、標準的な端末、すなわち輝度やコントラストが標準値に固定されている端末によって、所定の標準信号レベルの映像品質が評価されるため、このような評価では、視聴者が利用する端末とは異なる再生パラメータが用いられる場合が多く、視聴者が知覚した映像品質評価と差異が生じる要因と考えられている。またこのような理由から、映像メディアの品質を評価する技術では、これら端末に固有の再生パラメータ以外のパラメータ、例えば映像通信サービス用のアプリケーションやネットワーク品質に関するパラメータに基づいて品質を推定している場合が多い。
このような映像メディアを転送する映像通信サービスでは、映像通信サービスを良好な品質で提供するためには、サービス提供に先立ったネットワークの品質設計やサービス開始後の品質管理が重要となる。このため、映像メディアが再生される端末の再生パラメータを考慮して、視聴者が享受する映像品質を適切に表現でき、しかも簡便かつ効率的な映像品質評価技術が必要とされる。
従来、映像メディアの品質を推定する技術として、ITU−T SG12委員会の課題(Question)では、映像の輝度を考慮した映像品質推定技術が提案されている(例えば、非特許文献1参照)。
特開平7−193766号公報 TNO Information and Communication Technology, The Netherlands, A combined subjective/objective test protocol for determining the end-to-end perceived quality of videophone links, COM12-C8-E June 2005
しかしながら、従来技術では、表示映像の解像度や符号化歪みに対する映像品質および輝度から映像品質を推定しているものの、コントラストに対する考慮がされていないため、コントラストの変化に対する映像品質を適切に推定できないという問題点があった。
また、特許文献1には、視覚モデルを用いて、人間の主観的判断の数量化による数値を利用した診断基準に基づき、画像処理装置を最適にあるいは適応的に制御することにより、表示画像の画質を人間にとって好ましい品質にすることができる、という記載がある。しかし、表示されている映像品質と視聴者が適宜設定している端末の再生パラメータに対する映像品質を算出できるものではなく、その都度、視聴者が感じる映像品質を評価することができないという問題点があった。
本発明はこのような課題を解決するためのものであり、端末における映像メディアの再生状況による映像品質への影響が考慮された、具体的で有用な品質設計・管理指針を得ることができる映像品質推定装置、方法、およびプログラムを提供することを目的としている。
このような目的を達成するために、本発明にかかる映像品質推定装置は、複数のフレームに符号化した映像メディアを任意の端末へ通信網を介して送信する映像通信について、端末で再生された当該映像メディアから視聴者が実感する主観映像品質を示す実環境主観映像品質推定値を所定の推定モデルを用いて算出する映像品質推定装置であって、映像メディアを標準的な端末および再生状況で再生した際の主観映像品質を示す標準主観映像品質を記憶する記憶部と、端末における映像メディア再生時の輝度を示す入力輝度と再生時のコントラストを示す入力コントラストを主パラメータとして取得するパラメータ取得部と、入力コントラストに基づいて映像メディア再生時の輝度とそのときの再生状況で再生した際の主観映像品質を示す端末主観映像品質との関係を示す推定モデルを特定する推定モデル特定部と、特定された推定モデルから求めた入力輝度に対応する端末主観映像品質により記憶部の標準主観映像品質を補正し実環境主観映像品質推定値として出力する標準主観映像品質補正部とを備えている。
この際、推定モデル特定部に、入力コントラストで再生された映像メディアの端末主観映像品質が最良となる輝度を示す最適輝度を算出する最適輝度算出手段と、入力コントラストで再生された映像メディアの端末主観映像品質の最良値を示す最良映像品質を算出する最良映像品質算出手段とを備え、最適輝度および最良映像品質を含む推定モデル特定パラメータに基づいて推定モデルを特定してもよい。
また、推定モデル特定部に、入力コントラストで再生された映像メディアに関する、その最良映像品質からの劣化度合いを示す映像品質劣化指標を算出する映像品質劣化指標算出手段をさらに備え、最適輝度、最良映像品質、および映像品質劣化指標を含む推定モデル特定パラメータに基づいて推定モデルを特定してもよい。
また、推定モデル特定部で、映像メディアのコントラストが入力コントラストで一定の場合に、最適輝度における最良映像品質を頂点として凸型をなす輝度−映像品質特性を推定モデルとして特定するようにしてもよい。
この際、推定モデル特定部で、輝度−映像品質特性として、最適輝度における最良映像品質を頂点として凸型をなすガウス関数を用いるようにしてもよい。
また、最適輝度算出手段で、コントラストの増加に応じて最適輝度が単調増加するコントラスト−最適輝度特性に基づいて、入力コントラストに対応する最適輝度を算出するようにしてもよい。
また、最良映像品質算出手段で、コントラストの増加に応じて最良映像品質が単調増加して所定の最良映像品質最大値に達し、コントラストのさらなる増加に応じて最良映像品質が単調減少する凸型のコントラスト−最良映像品質特性に基づいて、入力コントラストに対応する最良映像品質を算出するようにしてもよい。
また、映像品質劣化指標算出手段で、コントラストの増加に応じて映像品質劣化指標が単調減少するコントラスト−映像品質劣化指標特性に基づいて、入力コントラストに対応する映像品質劣化指標を算出するようにしてもよい。
また、端末における映像メディアの再生性能を示す再生性能パラメータを含む副パラメータと推定モデル特定パラメータの導出に用いる特性係数との対応関係を記憶する記憶部と、記憶部を参照してパラメータ取得部で取得された副パラメータに対応する特性係数を取得する係数取得部とをさらに備え、推定モデル特定部で、特性係数により特定される、コントラストと任意の推定モデル特定パラメータとの関係を示す推定モデル特定パラメータ導出特性に基づいて、入力コントラストに対応する当該推定モデル特定パラメータを算出するようにしてもよい。
また、本発明にかかる映像品質推定方法は、複数のフレームに符号化した映像メディアを任意の端末へ通信網を介して送信する映像通信について、端末で再生された当該映像メディアから視聴者が実感する主観映像品質を示す実環境主観映像品質推定値を所定の推定モデルを用いて算出する映像品質推定装置で用いられる映像品質推定方法であって、記憶部により、映像メディアを標準的な端末および再生状況で再生した際の主観映像品質を示す標準主観映像品質を記憶する記憶ステップと、パラメータ取得部により、端末における映像メディア再生時の輝度を示す入力輝度と再生時のコントラストを示す入力コントラストを主パラメータとして取得するパラメータ取得ステップと、推定モデル特定部により、入力コントラストに基づいて映像メディア再生時の輝度とそのときの再生状況で再生した際の主観映像品質を示す端末主観映像品質との関係を示す推定モデルを特定する推定モデル特定ステップと、標準主観映像品質補正部により、特定された推定モデルから求めた入力輝度に対応する端末主観映像品質により記憶部の標準主観映像品質を補正し実環境主観映像品質推定値として出力する映像品質推定ステップとそれぞれ備えている。
また、本発明にかかるプログラムは、複数のフレームに符号化した映像メディアを任意の端末へ通信網を介して送信する映像通信について、端末で再生された当該映像メディアから視聴者が実感する主観映像品質を示す実環境主観映像品質推定値を所定の推定モデルを用いて算出する映像品質推定装置のコンピュータに、記憶部により、映像メディアを標準的な端末および再生状況で再生した際の主観映像品質を示す標準主観映像品質を記憶する記憶ステップと、パラメータ取得部により、端末における映像メディア再生時の輝度を示す入力輝度と再生時のコントラストを示す入力コントラストを主パラメータとして取得するパラメータ取得ステップと、推定モデル特定部により、入力コントラストに基づいて映像メディア再生時の輝度とそのときの再生状況で再生した際の主観映像品質を示す端末主観映像品質との関係を示す推定モデルを特定する推定モデル特定ステップと、標準主観映像品質補正部により、特定された推定モデルから求めた入力輝度に対応する端末主観映像品質により記憶部の標準主観映像品質を補正し実環境主観映像品質推定値として出力する映像品質推定ステップとを実行させるものである。
本発明によれば、端末における映像メディア再生時の輝度を示す入力輝度と再生時のコントラストを示す入力コントラストを入力として、この入力コントラストに基づいて映像メディア再生時の輝度とそのときの再生状況で再生した際の主観映像品質を示す端末主観映像品質との関係を示す推定モデルが特定され、この推定モデルから求めた入力輝度に対応する端末主観映像品質により、映像メディアを標準的な端末および再生状況で再生した際の主観映像品質を示す標準主観映像品質が補正され実環境主観映像品質推定値として出力される。
これにより、推定条件として入力された入力コントラストに対応する推定モデルを参照して、同じく推定条件として入力された入力輝度に対応する端末主観映像品質を推定でき、この推定された端末主観映像品質により標準主観映像品質を補正することにより、視聴者が実感する実環境主観映像品質推定値を得ることができる。
したがって、端末における映像メディアの再生状況による映像品質への影響を考慮して、これらコントラストと輝度をそれぞれどの程度に設定すると、どの程度の映像品質が得られるか、さらには各種端末や再生状況で映像メディアを再生する視聴者に対して、一定以上の映像品質が提供されているか、という具体的で有用な品質設計・管理指針を得ることができ、サービス提供に先立ったネットワークの品質設計やサービス開始後の品質管理に大いに役立てることができる。
次に、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
[第1の実施の形態]
まず、図1を参照して、本発明の第1の実施の形態にかかる映像品質推定装置について説明する。図1は、本発明の第1の実施の形態にかかる映像品質推定装置の構成を示すブロック図である。
この映像品質推定装置1は、入力された情報を演算処理するコンピュータなどの情報処理装置からなり、複数のフレームに符号化した映像メディアを任意の端末へ通信網を介して送信する映像通信について、その映像メディアに関する推定条件を入力として、端末で再生された当該映像メディアから視聴者が実感する主観映像品質を示す実環境主観映像品質推定値を所定の推定モデルを用いて算出する。
本実施の形態は、端末における映像メディア再生時の輝度を示す入力輝度と再生時のコントラストを示す入力コントラストを入力として、これら主パラメータのうちの入力コントラストに基づいて映像メディア再生時の輝度とそのときの再生状況で再生した際の主観映像品質を示す端末主観映像品質との関係を示す推定モデルを特定し、特定された推定モデルから求めた入力輝度に対応する端末主観映像品質により、映像メディアを標準的な端末および再生状況で再生した際の主観映像品質を示す標準主観映像品質を補正し実環境主観映像品質推定値として出力するようにしたものである。
[映像品質推定装置]
次に、図1および図2を参照して、本発明の第1の実施の形態にかかる映像品質推定装置の構成について詳細に説明する。図2は、本発明の第1の実施の形態にかかる映像品質推定装置の推定モデル特定部の構成を示すブロック図である。
映像品質推定装置1には、主な機能部として、パラメータ取得部11、推定モデル特定部12、および標準主観映像品質補正部13が設けられている。これら機能部は、専用の演算処理回路部で実現してもよいが、CPUなどのマイクロプロセッサとその周辺回路を設け、予め用意されているプログラムを読み込んでマイクロプロセッサで実行することにより、上記ハードウェアとプログラムを協働させることにより上記機能部を実現してもよい。また、これら機能部間でやり取りされる処理情報は、メモリやハードディスクなどの記憶装置からなる記憶部(図示せず)を介してやり取りされる。また、上記プログラムを記憶部に格納しておいてもよい。この他、映像品質推定装置1には、一般的な情報処理装置と同様に、記憶装置、操作入力装置、画面表示装置などの各種基本的構成が設けられている。
パラメータ取得部11は、評価対象となる映像通信サービスに関する各種の推定条件10を取得する機能と、推定条件10から映像メディアの輝度とコントラストを抽出する機能と、これらを入力輝度il(21A)および入力コントラストco(21B)からなる主パラメータ21として出力する機能とを有している。推定条件10については、キーボードなどの操作入力装置を用いてオペレータ操作により入力してもよく、データ入出力を行うデータ入出力装置を用いて外部装置、記録媒体、あるいは通信網から取得してもよく、さらには実際の映像通信サービスから計測してもよい。
推定モデル特定部12は、パラメータ取得部11から出力された主パラメータ21の入力コントラスト21Bに基づいて、映像メディアの輝度と端末主観映像品質との関係を示す推定モデル22を特定するための推定モデル特定パラメータ32を算出する機能を有している。
標準主観映像品質補正部13は、推定モデル特定部12で特定された推定モデル22を参照して、主パラメータ21の入力輝度21Aに対応する端末主観映像品質を推定する機能と、推定した端末主観映像品質を用いて評価対象となる映像メディアに関する標準主観映像品質23を補正し所望の実環境主観映像品質推定値24として出力する機能とを有している。
従来の品質評価においては、標準的な端末、つまり輝度やコントラストなどの端末要因が固定されている評価用端末によって、定められた標準信号の映像品質を評価する場合が多い。標準主観映像品質23は、評価対象となる映像メディアを上記評価環境で評価した際の主観映像品質であり、予め記憶部に記憶しておいてもよく、パラメータ取得部11により主パラメータ21と同時に推定条件10から取得してもよい。
推定モデル特定部12は、図2に示すように、さらにいくつかの機能手段から構成されている。主な機能手段としては、推定モデル特定パラメータ32を算出する手段として、最適輝度算出手段12A、最良映像品質算出手段12B、および映像品質劣化指標算出手段12Cがある。推定モデル特定パラメータ32は、推定モデル22として用いる関数の形状を特定する値からなる。本実施の形態では、少なくとも以下の最適輝度と最良映像品質を推定モデル特定パラメータ32として用いているが、映像品質劣化指標に代表される他のパラメータを推定モデル特定パラメータ32に加えてもよい。
最適輝度算出手段12Aは、コントラスト−最適輝度特性31Aを参照して、入力コントラストco(21B)で再生された映像メディアの端末主観映像品質が最良となる輝度を示す最適輝度oil(co)(32A)を、推定モデル特定パラメータ32の1つとして算出する機能を有している。
最良映像品質算出手段12Bは、コントラスト−最良映像品質特性31Bを参照して、入力コントラスト21Bで再生された映像メディアの端末主観映像品質の最良値を示す最良映像品質α(co)(32B)を、推定モデル特定パラメータ32の1つとして算出する機能を有している。
映像品質劣化指標算出手段12Cは、コントラスト−映像品質劣化指標特性31Cを参照して、入力コントラスト21Bで再生された映像メディアに関する、その端末主観映像品質の最良値を示す最良映像品質32Bからの劣化度合いを示す映像品質劣化指標ω(co)(32C)を、推定モデル特定パラメータ32の1つとして算出する機能を有している。
これら、コントラスト−最適輝度特性31A、コントラスト−最良映像品質特性31B、およびコントラスト−映像品質劣化指標特性31Cは、推定モデル特定パラメータ導出特性31として予め用意され記憶部に記憶されている。
[端末主観映像品質特性]
次に、図3を参照して、映像通信サービスにおける映像メディアの端末主観映像品質特性について説明する。図3は、映像通信サービスにおける映像メディアの輝度−端末主観映像品質特性を示すグラフである。図3において、横軸は輝度il(cd/m2)、縦軸は端末主観映像品質値MOS(il,co)(MOS値)を示し、コントラストcoごとの特性が示されている。
一般に、端末特性により影響を受ける映像品質の要因として、映像メディアの再生時における、輝度による明るさの変化とコントラストによる白黒の鮮明さの変化に大別される。
具体的には、輝度を高くするとディスプレイ内の明るさが増し映像品質が良くなるが、ある最適な輝度値より輝度を上げすぎると映像品質は低下する。また、コントラストが高くなるにつれて白い部分はより白く、黒い部分はより黒く表現されるが、色の色調は失われる。コントラストを低くすると暗い部分から明るい部分までの幅が広くなり、黒から白までの滑らかなトーン表現ができるが、コントラストを下げすぎるとぼやけた画像になってしまう。
したがって、図3に示すように、各コントラストに対して、映像品質が最大すなわち最良映像品質となる最適な輝度すなわち最適輝度が存在し、最適輝度を超えて輝度を増加させても映像品質が改善されない特性を持つことがわかる。例えば、コントラストco=500[比](1:500)の場合、端末主観映像品質特性は、輝度il=490[cd/m2]のときの最良映像品質=4.7[MOS]を頂点として凸型をなす特性となる。
また、このような端末主観映像品質特性は、異なるコントラストであっても同様の形状となり、各端末主観映像品質特性の座標位置は、その頂点すなわち最適輝度と最良映像品質からなる推定モデル特定パラメータで特定することができる。
本実施の形態は、このような端末主観映像品質特性の性質に着目して、推定モデル特定部12により、入力コントラスト21Bに基づいて映像メディアの輝度と端末主観映像品質との関係を示す推定モデル22を特定し、標準主観映像品質補正部13により、推定モデル特定部12で特定された推定モデル22を用いて入力輝度21Aに対応する端末主観映像品質を推定し、推定した端末主観映像品質に基づき標準主観映像品質23を補正して所望の実環境主観映像品質推定値24を得ている。
[推定モデル特定パラメータの導出]
次に、推定モデル特定部12における推定モデル特定パラメータの導出について詳細に説明する。
推定モデル特定部12により、入力コントラスト21Bに基づいて映像メディアの輝度と端末主観映像品質との関係を示す推定モデル22を特定する場合、入力コントラスト21Bに対応する推定モデル特定パラメータとして、最適輝度32Aと最良映像品質32Bを導出する必要がある。
本実施の形態では、次のようなコントラスト−最適輝度特性31Aやコントラスト−最良映像品質特性31Bを推定モデル特定パラメータ導出特性31として予め用意しておき、これら特性を参照して、入力コントラスト21Bに対応する推定モデル特定パラメータ32を導出している。
図3に示された各特性のうち、映像メディアが最良映像品質で再生されている場合のコントラストとそのときの輝度すなわち最適輝度の関係は、コントラストの増加とともに最適輝度が単調増加する。
図4は、このようなコントラスト−最適輝度特性を示すグラフである。図4において、横軸はコントラストco(比)、縦軸は最適輝度oil(co)(cd/m2)を示している。
一方、図3に示された各特性のうち、映像メディアが最適輝度で再生された場合のコントラストと映像品質すなわち最良映像品質の関係は、コントラストの増加に応じて最良映像品質が単調増加して所定の最良映像品質最大値に達し、コントラストのさらなる増加に応じて最良映像品質が単調減少する、という傾向が見られる。
図5は、このようなコントラスト−最良映像品質特性を示すグラフである。図5において、横軸はコントラストco(比)、縦軸は最良映像品質α(co)を示している。
このような凸型のコントラスト−最良映像品質特性によれば、コントラストが高すぎる場合には色調が失われて映像品質の低下と検知し、コントラストが低すぎる場合には全体的にぼやけた映像となり映像品質の低下と検知する、という人間の視覚特性と一致する。
なお、図5において、映像品質は、「1」を基準値として最大「5」までの値をとるMOS値で表されるのに対し、推定モデル22の関数として用いる最良映像品質α(co)の場合には「0」を基準値として最大「4」までの値をとるが、両者は基準値が違うだけでその尺度は実質的に同じものであり、以下では特に区別しない。
[推定モデル]
次に、推定モデル特定部12で用いる推定モデルとその特定方法について詳細に説明する。
推定モデル特定パラメータ32である最適輝度32Aと最良映像品質32Bを頂点とする凸型の特性を関数で表す場合、図6に示すようなガウス関数を利用できる。図6は、ガウス関数を示す説明図である。
ガウス関数は、頂点Pを最大値として左右に減衰する凸型を示す関数であり、その頂点Pのx座標と最大振幅を用いて関数式を表現できる。頂点Pのx座標をxcとし、最大振幅をAとし、y軸の基準値(最低値)をy0とし、凸型特性の開き幅を示す係数をωとした場合、任意の変数xに対する関数yの値は、次のような式(1)で求められる。
Figure 0004408120
したがって、変数xを映像メディアの輝度ilとし、関数値yを端末主観映像品質MOS(il,co)とし、頂点Pの変数xcをコントラストcoに対応する最適輝度oil(co)とし、最大振幅Aをコントラストcoに対応する最良映像品質α(co)とした場合、任意の輝度に対する端末主観映像品質は、次の式(2)で求めることができ、結果として、入力コントラスト21Bに対応する推定モデルすなわち輝度−端末主観映像品質特性を特定することができる。図7は、ガウス関数でモデル化された輝度−端末主観映像品質特性を示す説明図である。
Figure 0004408120
この際、式(2)で用いるα(co)およびG(il,co)は、「0」を基準値として最大「4」までの値をとるため、このG(il,co)に「1」を加えることにより、MOS値(1〜5)で表現した実際の映像品質値となる。
また、ガウス関数では、係数ωを用いて凸型特性の開き幅を特定しているが、コントラストに対応する輝度−端末主観映像品質特性ごとに異なる開き幅を用いる必要がある場合には、コントラストに応じた映像品質劣化指標ω(co)(32C)を用いればよい。
映像品質劣化指標ω(co)は、入力コントラスト21Bで再生された映像メディアに関する、その端末主観映像品質の最良値を示す最良映像品質32Bからの劣化度合いを示す指標であり、ガウス関数の係数ωに相当する。
図3に示された各特性のうち、コントラストと端末主観映像品質の劣化度合いの関係は、コントラストが高くなるほど劣化度合いが大きくなり、コントラストが低くなるほど劣化度合いは緩やかになる。したがって、コントラストと映像品質劣化指標の関係は、コントラストが高くなるほど輝度−端末主観映像品質特性の凸型の開き幅が小さくなって映像品質劣化指標も小さくなり、コントラストが低くなるほど輝度−端末主観映像品質特性の凸型の開き幅が大きくなって映像品質劣化指標も大きくなる傾向がある。
図8は、このようなコントラスト−映像品質劣化指標特性を示すグラフである。図8において、横軸はコントラストco(比)、縦軸は映像品質劣化指標ω(co)を示している。なお、図8は、ガウス関数で表現した推定モデルにおけるコントラスト−映像品質劣化指標特性であり、他の推定モデルを用いた場合には、その推定モデルに対応する係数を示す映像品質劣化指標のコントラスト−映像品質劣化指標特性を用いればよい。
なお、推定対象となる映像通信サービスによっては、個々のコントラストに対応する輝度−端末主観映像品質特性ごとに個別の開き幅を用いる必要がない場合もあり、各コントラストに対応する輝度−端末主観映像品質特性で共通化できる場合もある。したがって、このような場合には、映像品質劣化指標ω(co)は定数として扱うことができる。
[映像品質の補正]
次に、標準主観映像品質補正部13における標準主観映像品質の補正方法について詳細に説明する。
推定モデル特定部12で特定された推定モデル22を参照して、主パラメータ21の入力輝度21Aに対応する端末主観映像品質を推定し、推定された端末主観映像品質を用いて標準主観映像品質23を補正する場合、重回帰式を用いて推定された端末主観映像品質と標準主観映像品質の成分を合成することにより、精度良く所望の実環境主観映像品質推定値24を得ることができる。
例えば、推定モデル22から推定された端末主観映像品質をMOS(il,co)とし、標準主観映像品質23をMOSoとし、係数をi,j,k,lとし、実環境主観映像品質推定値24をMOSとした場合、任意の輝度ilおよびコントラストで再生された映像メディアに関する実環境主観映像品質は、次の式(3)で求められる。
Figure 0004408120
この際、式(3)で算出された実環境主観映像品質がMOS値の基準値である「1」未満になった場合は「1」とし、MOS値の最大値である「5」より大きくなった場合は「5」とすればよい。
[第1の実施の形態の動作]
次に、図9を参照して、本発明の第1の実施の形態にかかる映像品質推定装置の動作について説明する。図9は、本発明の第1の実施の形態にかかる映像品質推定装置の実環境主観映像品質推定処理を示すフローチャートである。
映像品質推定装置1は、オペレータからの指示操作や推定条件10の入力に応じて、図9の実環境主観映像品質推定処理を開始する。なお、ここでは、推定モデル特定パラメータとして、最適輝度32Aおよび最良映像品質32Bに加え、映像品質劣化指標32Cを用いる場合を例として説明する。また、映像品質推定装置1には、前述したコントラスト−最適輝度特性31A(図4参照)、コントラスト−最良映像品質特性31B(図5参照)、およびコントラスト−映像品質劣化指標特性31C(図8参照)が予め用意され、関数式として記憶部(図示せず)に記憶されているものとする。
まず、パラメータ取得部11は、評価対象となる映像通信サービスに関する各種の推定条件10を取得し、推定条件10から映像メディアの輝度とコントラストを抽出し、これら入力輝度il(21A)および入力コントラストco(21B)を主パラメータ21として出力する(ステップ100)。
推定モデル特定部12は、パラメータ取得部11から出力された主パラメータ21の入力コントラスト21Bに基づいて映像メディアの輝度と端末主観映像品質との関係を示す推定モデル22を特定する。
具体的には、まず、最適輝度算出手段12Aにより、コントラスト−最適輝度特性31Aを参照して、入力コントラストco(21B)に対応する最適輝度oil(co)(32A)を算出する(ステップ101)。
続いて、推定モデル特定部12は、最良映像品質算出手段12Bにより、コントラスト−最良映像品質特性31Bを参照して、入力コントラストco(21B)に対応する最良映像品質α(co)(32B)を算出する(ステップ102)。
同様にして、推定モデル特定部12は、映像品質劣化指標算出手段12Cにより、コントラスト−映像品質劣化指標特性31Cを参照して、入力コントラストco(21B)に対応する映像品質劣化指標ω(co)(32C)を算出する(ステップ103)。
このようにして各推定モデル特定パラメータ32を算出した後、推定モデル特定部12は、これら推定モデル特定パラメータ32の最適輝度oil(co)、最良映像品質α(co)、および映像品質劣化指標ω(co)の値を前述した式(2)へ代入することにより、推定モデルMOS(il,co)すなわち輝度−端末主観映像品質特性を特定する(ステップ104)。
この後、映像品質推定装置1は、標準主観映像品質補正部13により、推定モデル特定部12で特定された推定モデル22を参照して、パラメータ取得部11から出力された主パラメータ21の入力輝度21Aに対応する端末主観映像品質を推定する(ステップ105)。
次に、標準主観映像品質補正部13は、推定した端末主観映像品質を用いて評価対象となる映像メディアに関する標準主観映像品質23を補正し、補正された主観映像品質を、端末で再生された映像メディアから視聴者が実感する実環境主観映像品質推定値24として出力し(ステップ106)、一連の実環境主観映像品質推定処理を終了する。
このように、本実施の形態は、端末における映像メディア再生時の輝度を示す入力輝度21Aと再生時のコントラストを示す入力コントラスト21Bを入力として、これら主パラメータ21のうちの入力コントラスト21Bに基づいて映像メディア再生時の輝度と端末主観映像品質との関係を示す推定モデル22を特定し、特定された推定モデル22から求めた入力輝度に対応する端末主観映像品質により、映像メディアを標準的な端末および再生状況で再生した際の主観映像品質を示す標準主観映像品質23を補正し実環境主観映像品質推定値24として出力している。
これにより、推定条件10として入力された入力コントラスト21Bに対応する推定モデル22を参照して、同じく推定条件10として入力された入力輝度21Aに対応する端末主観映像品質を推定でき、この推定された端末主観映像品質により標準主観映像品質23を補正することにより、実環境主観映像品質推定値24を得ることができる。
したがって、端末における映像メディアの再生状況による映像品質への影響を考慮して、これらコントラストと輝度をそれぞれどの程度に設定すると、どの程度の映像品質が得られるか、さらには各種端末や再生状況で映像メディアを再生する視聴者に対して、一定以上の映像品質が提供されているか、という具体的で有用な品質設計・管理指針を得ることができ、サービス提供に先立ったネットワークの品質設計やサービス開始後の品質管理に大いに役立てることができる。
本実施の形態では、推定モデル特定パラメータ32を算出する際に用いる、コントラスト−最適輝度特性31A、コントラスト−最良映像品質特性31B、およびコントラスト−映像品質劣化指標特性31Cが予め関数式の形で用意されている場合を例として説明したが、推定モデル特定パラメータの導出に用いるこれら推定モデル特定パラメータ導出特性31については関数式に限定されるものではなく、入力コントラストに対応する値として記憶部で記憶しておいてもよい。
図10は、入力コントラストと各推定モデル特定パラメータとの対応関係を示す推定モデル特定パラメータ情報の構成例である。この推定モデル特定パラメータ情報は、入力コントラストco(21B)と、これに対応する最適輝度oil(co)(32A)、最良映像品質α(co)(32B)、および映像品質劣化指標ω(co)(32C)との組からなり、予め上記推定モデル特定パラメータ導出特性31に基づき算出して記憶部に記憶されている。
このような推定モデル特定パラメータ情報を参照して、入力コントラスト21Bに対応する推定モデル特定パラメータ32を導出してもよい。
[第2の実施の形態]
次に、図11および図12を参照して、本発明の第2の実施の形態にかかる映像品質推定装置について説明する。図11は、本発明の第2の実施の形態にかかる映像品質推定装置の構成を示すブロック図であり、前述した図1と同じまたは同等部分には同一符号を付してある。図12は、本発明の第2の実施の形態にかかる映像品質推定装置の推定モデル特定部の構成を示すブロック図であり、前述した図2と同じまたは同等部分には同一符号を付してある。
第1の実施の形態では、予め用意されている推定モデル特定パラメータ導出特性31を参照して入力コントラストに対応する推定モデル特定パラメータ32を導出する場合を例として説明した。本実施の形態では、評価対象となる映像通信サービスに関する各種の推定条件10のうち、映像メディアを再生する端末の再生性能に基づいて、推定条件10に応じた推定モデル特定パラメータ導出特性31を逐次特定する場合について説明する。
第1の実施の形態(図1参照)と比較して、本実施の形態にかかる映像品質推定装置1には、係数取得部14が追加されている。
係数取得部14は、記憶部(図示せず)の係数データベース(以下、係数DBという)26を参照して、パラメータ取得部11により推定条件10から取得された副パラメータ25に対応する特性係数27を取得する機能を有している。
図13は、係数DBの構成例を示す説明図である。係数DB26は、各種副パラメータ25とこれに対応する各特性係数a,b,c,…,h(26)との組を示すデータベースである。副パラメータ25には、映像メディアを再生する端末の再生性能を示す再生性能パラメータ25Aがある。
再生性能パラメータ25Aの具体例としては、端末でのメディア再生機能に関する「ディスプレイ種別」、「モニタ解像度」などがある。副パラメータ25は、これらパラメータ例に限定されるものではなく、評価対象となる映像通信サービスや映像メディアの内容に応じて任意に取捨選択すればよく、少なくとも再生性能パラメータ25Aが含まれていればよい。
係数取得部14は、予め用意されたこのような係数DB26を参照して、副パラメータ25に対応する特性係数27を取得する。特性係数27は、推定モデル特定パラメータ32の導出に用いる推定モデル特定パラメータ導出特性を特定するための係数である。
推定モデル特定部12は、係数取得部14で取得された特性係数27により特定された推定モデル特定パラメータ導出特性31、すなわちコントラスト−最適輝度特性31A、コントラスト−最良映像品質特性31B、およびコントラスト−映像品質劣化指標特性31Cを特定する。
[推定モデル特定パラメータ導出特性]
次に、推定モデル特定部12で用いる推定モデル特定パラメータ導出特性31について詳細に説明する。
推定モデル特定パラメータ導出特性31は、係数取得部14により係数DB26から取得される特性係数27を用いてそれぞれ次のようにモデル化することができる。
まず、推定モデル特定パラメータ導出特性31のコントラスト−最適輝度特性31Aは、前述した図4に示すように、コントラストの増加とともに最適輝度が単調増加する傾向があり、例えば一般的な指数関数でモデル化することができる。したがって、コントラストをcoとし、これに対応する最適輝度をoil(co)とし、係数をa,b,cとした場合、コントラスト−最適輝度特性31Aは、次の式(4)で表すことができる。
Figure 0004408120
次に、推定モデル特定パラメータ導出特性31のコントラスト−最良映像品質特性31Bは、前述した図5に示すように、コントラストの増加に応じて映像品質が単調増加して最良映像品質最大値に達し、コントラストのさらなる増加に応じて単調減少する傾向があり、例えば前述した図6のガウス関数でモデル化することができる。
したがって、変数xを映像メディアのコントラストcoとし、関数値yを最良映像品質α(co)とし、頂点Pの変数xcを係数eとし、最大振幅Aを係数eとし、y0を「0ゼロ」とし、係数ωを係数fとした場合、コントラスト−最良映像品質特性31Bは、次の式(5)で表すことができる。
Figure 0004408120
次に、推定モデル特定パラメータ導出特性31のコントラスト−映像品質劣化指標特性31Cは、前述した図8に示すように、コントラストが高くなるほど映像品質劣化指標は小さくなり、コントラストが低くなるほど映像品質劣化指標が大きくなる傾向があり、例えば一般的な線形関数でモデル化することができる。したがって、コントラストをcoとし、これに対応する映像品質劣化指標をω(co)とし、係数をg,hとした場合、コントラスト−映像品質劣化指標特性31Cは、次の式(6)で表すことができる。
Figure 0004408120
なお、推定モデル特定パラメータ導出特性31のモデル化については、前述した指数関数、ガウス関数、線形関数に限定されるものではなく、他の関数を用いてもよい。例えば、評価対象となる映像通信サービスや映像メディアの内容、ネットワーク性能、あるいは推定条件10の内容によっては、ある程度限定された範囲の入力コントラストや入力輝度での映像品質推定処理で十分なため、このような局所的な見方が可能な場合には、前述したように、推定モデル特定パラメータ導出特性31を線形関数等の単純な関数でモデル化することができる。
[第2の実施の形態の動作]
次に、図14を参照して、本発明の第2の実施の形態にかかる映像品質推定装置の動作について説明する。図14は、本発明の第2の実施の形態にかかる映像品質推定装置の実環境主観映像品質推定処理を示すフローチャートであり、前述した図9と同じまたは同等部分には同一符号を付してある。
映像品質推定装置1は、オペレータからの指示操作や推定条件10の入力に応じて、図14の映像品質推定処理を開始する。なお、ここでは、推定モデル特定パラメータとして、最適輝度32Aおよび最良映像品質32Bに加え、映像品質劣化指標32Cを用いる場合を例として説明する。また、副パラメータ25として再生性能パラメータ25Aを用いるものとし、係数DB26には、副パラメータ25と特性係数27との組が予め格納されているものとする。
まず、パラメータ取得部11は、評価対象となる映像通信サービスに関する各種の推定条件10を取得し、推定条件10から映像メディアの符号化処理に関する輝度とコントラストを抽出し、これら入力輝度il(21A)および入力コントラストco(21B)を主パラメータ21として出力する(ステップ100)。また、パラメータ取得部11は、推定条件10から再生性能パラメータ25Aを抽出し副パラメータ25として出力する(ステップ200)。
次に、係数取得部14は、係数DB26を参照して、副パラメータ25の値に対応する特性係数a,b,c,…,h(27)を取得して出力する(ステップ201)。
これに応じて推定モデル特定部12は、最良映像品質算出手段12Bにより、特性係数27のうち係数a,b,cにより特定されるコントラスト−最適輝度特性31Aを参照して、入力コントラストco(21B)に対応する最適輝度oil(co)(32A)を算出する(ステップ101)。
また、推定モデル特定部12は、最良映像品質算出手段12Bにより、特性係数27のうち係数d,e,fにより特定されるコントラスト−最良映像品質特性31Bを参照して、入力コントラストco(21B)に対応する最良映像品質α(co)(32B)を算出する(ステップ102)。
同様にして、推定モデル特定部12は、映像品質劣化指標算出手段12Cにより、特性係数27のうち係数g,hにより特定されるコントラスト−映像品質劣化指標特性31Cを参照して、入力コントラストco(21B)に対応する映像品質劣化指標ω(co)(32C)を算出する(ステップ103)。
このようにして各推定モデル特定パラメータ32を算出した後、推定モデル特定部12は、これら推定モデル特定パラメータ32の最適輝度oil(co)、最良映像品質α(co)、および映像品質劣化指標ω(co)の値を前述した式(2)へ代入することにより、推定モデルMOS(il,co)すなわち輝度−端末主観映像品質特性を特定する(ステップ104)。
この後、映像品質推定装置1は、標準主観映像品質補正部13により、推定モデル特定部12で特定された推定モデル22を参照して、パラメータ取得部11から出力された主パラメータ21の入力輝度21Aに対応する端末主観映像品質を推定する(ステップ105)。
次に、標準主観映像品質補正部13は、推定した端末主観映像品質を用いて評価対象となる映像メディアに関する標準主観映像品質23を補正し、補正された主観映像品質を、端末で再生された映像メディアから視聴者が実感する実環境主観映像品質推定値24として出力し(ステップ106)、一連の実環境主観映像品質推定処理を終了する。
このように、本実施の形態は、パラメータ取得部11で取得された、再生性能パラメータ25Aを含む副パラメータ25に対応する特性係数27を、係数DB26から係数取得部14により取得し、推定モデル特定部12により、これら特性係数27により特定される推定モデル特定パラメータ導出特性31に基づいて、入力コントラスト21Bに対応する推定モデル特定パラメータ32を算出するようにしたので、評価対象となる端末の具体的な再生性能に基づく推定モデル特定パラメータ32を導出することができ、映像品質推定の精度を向上させることができる。したがって、異なる端末性能を持つ各種端末に対して柔軟に対応することができる。
図15は、本実施の形態を適用した映像品質推定装置の推定精度を示すグラフである。図15において、横軸は映像品質推定装置を用いて推定した実環境主観映像品質推定値(MOS値)を示し、縦軸は視聴者が実際にオピニオン評価した実環境主観映像品質の評価値(MOS値)を示している。いずれのデータも対角線近傍に位置しており、評価値と推定値の誤差が少なく、推定精度が向上していることがわかる。なお、これらは特定の推定条件下での比較結果であるが、異なる性能の端末を用いた場合でも、同様の比較結果が確認されている。
[各実施の形態の拡張]
以上の各実施の形態では、ガウス関数を用いて推定モデル22をモデル化した場合を例として説明したが、これに限定されるものではなく、二次関数や高次関数などの他の関数を用いてもよい。また、推定モデル22が関数でモデル化されている場合を例として説明したが、関数以外の他のモデル、例えばニューラルネットワークや事例ベースなど、入出力特性のみが特定されるようなブラックボックスモデルであってもよい。
また、第2の実施の形態で用いた係数DB26の副パラメータと特性係数27の対応関係については、各種副パラメータの組合せごとに各推定モデル特定パラメータ導出特性31を実測し、得られた計測データに対して最小二乗による収束演算を行うことにより、各特性係数27を算出してもよく、このような特性係数算出のための構成を映像品質推定装置1に実装してもよい。
本発明の第1の実施の形態にかかる映像品質推定装置の構成を示すブロック図である。 本発明の第1の実施の形態にかかる映像品質推定装置の推定モデル特定部の構成を示すブロック図である。 映像通信サービスにおける映像メディアの輝度−端末主観映像品質特性を示すグラフである。 コントラスト−最適輝度特性を示すグラフである。 コントラスト−最良映像品質特性を示すグラフである。 ガウス関数を示す説明図である。 ガウス関数でモデル化された輝度−端末主観映像品質特性を示す説明図である。 コントラスト−映像品質劣化指標特性を示すグラフである。 本発明の第1の実施の形態にかかる映像品質推定装置の実環境主観映像品質推定処理を示すフローチャートである。 推定モデル特定パラメータ情報の構成例である。 本発明の第2の実施の形態にかかる映像品質推定装置の構成を示すブロック図である。 本発明の第2の実施の形態にかかる映像品質推定装置の推定モデル特定部の構成を示すブロック図である。 係数DBの構成例を示す説明図である。 本発明の第2の実施の形態にかかる映像品質推定装置の実環境主観映像品質推定処理を示すフローチャートである。 本実施の形態を適用した映像品質推定装置の推定精度を示すグラフである。
符号の説明
1…映像品質推定装置、10…推定条件、11…パラメータ取得部、12…推定モデル特定部、12A…最適輝度算出手段、12B…最良映像品質算出手段、12C…映像品質劣化指標算出手段、13…標準主観映像品質補正部、14…係数取得部、21…主パラメータ、21A…入力輝度(il)、21B…入力コントラスト(co)、22…推定モデル、23…標準主観映像品質、24…実環境主観映像品質推定値、25…副パラメータ、25A…再生性能パラメータ、26…係数DB、27…特性係数、31…推定モデル特定パラメータ導出特性、31A…コントラスト−最適輝度特性、31B…コントラスト−最良映像品質特性、31C…コントラスト−映像品質劣化指標特性、32…推定モデル特定パラメータ、32A…最適輝度(oil(co))、32B…最良映像品質(α(co))、32C…映像品質劣化指標(ω(co))。

Claims (11)

  1. 複数のフレームに符号化した映像メディアを任意の端末へ通信網を介して送信する映像通信について、前記端末で再生された当該映像メディアから視聴者が実感する主観映像品質を示す実環境主観映像品質推定値を所定の推定モデルを用いて算出する映像品質推定装置であって、
    前記映像メディアを標準的な端末および再生状況で再生した際の主観映像品質を示す標準主観映像品質を記憶する記憶部と、
    前記端末における前記映像メディア再生時の輝度を示す入力輝度と前記再生時のコントラストを示す入力コントラストを主パラメータとして取得するパラメータ取得部と、
    前記入力コントラストに基づいて前記映像メディア再生時の輝度とそのときの再生状況で再生した際の主観映像品質を示す端末主観映像品質との関係を示す推定モデルを特定する推定モデル特定部と、
    特定された前記推定モデルから求めた前記入力輝度に対応する端末主観映像品質により前記記憶部の前記標準主観映像品質を補正し前記実環主観境映像品質推定値として出力する標準主観映像品質補正部と
    を備えることを特徴とする映像品質推定装置。
  2. 請求項1に記載の映像品質推定装置において、
    前記推定モデル特定部は、前記入力コントラストで再生された前記映像メディアの端末主観映像品質が最良となる輝度を示す最適輝度を算出する最適輝度算出手段と、前記入力コントラストで再生された前記映像メディアの端末主観映像品質の最良値を示す最良映像品質を算出する最良映像品質算出手段とを備え、前記最適輝度および前記最良映像品質を含む推定モデル特定パラメータに基づいて前記推定モデルを特定することを特徴とする映像品質推定装置。
  3. 請求項2に記載の映像品質推定装置において、
    前記推定モデル特定部は、前記入力コントラストで再生された前記映像メディアに関する、その最良映像品質からの劣化度合いを示す映像品質劣化指標を算出する映像品質劣化指標算出手段をさらに備え、前記最適輝度、前記最良映像品質、および前記映像品質劣化指標を含む推定モデル特定パラメータに基づいて前記推定モデルを特定することを特徴とする映像品質推定装置。
  4. 請求項2に記載の映像品質推定装置において、
    前記推定モデル特定部は、前記映像メディアのコントラストが前記入力コントラストで一定の場合に、前記最適輝度における前記最良映像品質を頂点として凸型をなす輝度−映像品質特性を前記推定モデルとして特定することを特徴とする映像品質推定装置。
  5. 請求項4に記載の映像品質推定装置において、
    前記推定モデル特定部は、前記輝度−映像品質特性として、前記最適輝度における前記最良映像品質を頂点として凸型をなすガウス関数を用いることを特徴とする映像品質推定装置。
  6. 請求項2に記載の映像品質推定装置において、
    前記最適輝度算出手段は、前記コントラストの増加に応じて前記最適輝度が単調増加するコントラスト−最適輝度特性に基づいて、前記入力コントラストに対応する最適輝度を算出することを特徴とする映像品質推定装置。
  7. 請求項2に記載の映像品質推定装置において、
    前記最良映像品質算出手段は、前記コントラストの増加に応じて前記最良映像品質が単調増加して所定の最良映像品質最大値に達し、前記コントラストのさらなる増加に応じて前記最良映像品質が単調減少する凸型のコントラスト−最良映像品質特性に基づいて、前記入力コントラストに対応する最良映像品質を算出することを特徴とする映像品質推定装置。
  8. 請求項3に記載の映像品質推定装置において、
    前記映像品質劣化指標算出手段は、前記コントラストの増加に応じて前記映像品質劣化指標が単調減少するコントラスト−映像品質劣化指標特性に基づいて、前記入力コントラストに対応する映像品質劣化指標を算出することを特徴とする映像品質推定装置。
  9. 請求項2に記載の映像品質推定装置において、
    前記端末における前記映像メディアの再生性能を示す再生性能パラメータを含む副パラメータと前記推定モデル特定パラメータの導出に用いる特性係数との対応関係を記憶する記憶部と、前記記憶部を参照して前記パラメータ取得部で取得された副パラメータに対応する特性係数を取得する係数取得部とをさらに備え、
    前記推定モデル特定部は、前記特性係数により特定される、コントラストと任意の推定モデル特定パラメータとの関係を示す推定モデル特定パラメータ導出特性に基づいて、前記入力コントラストに対応する当該推定モデル特定パラメータを算出する
    ことを特徴とする映像品質推定装置。
  10. 複数のフレームに符号化した映像メディアを任意の端末へ通信網を介して送信する映像通信について、前記端末で再生された当該映像メディアから視聴者が実感する主観映像品質を示す実環境主観映像品質推定値を所定の推定モデルを用いて算出する映像品質推定装置で用いられる映像品質推定方法であって、
    記憶部により、前記映像メディアを標準的な端末および再生状況で再生した際の主観映像品質を示す標準主観映像品質を記憶する記憶ステップと、
    パラメータ取得部により、前記端末における前記映像メディア再生時の輝度を示す入力輝度と前記再生時のコントラストを示す入力コントラストを主パラメータとして取得するパラメータ取得ステップと、
    推定モデル特定部により、前記入力コントラストに基づいて前記映像メディア再生時の輝度とそのときの再生状況で再生した際の主観映像品質を示す端末主観映像品質との関係を示す推定モデルを特定する推定モデル特定ステップと、
    標準主観映像品質補正部により、特定された前記推定モデルから求めた前記入力輝度に対応する端末主観映像品質により前記記憶部の前記標準主観映像品質を補正し前記実環境主観映像品質推定値として出力する映像品質推定ステップと
    を備えることを特徴とする映像品質推定方法。
  11. 複数のフレームに符号化した映像メディアを任意の端末へ通信網を介して送信する映像通信について、前記端末で再生された当該映像メディアから視聴者が実感する主観映像品質を示す実環境主観映像品質推定値を所定の推定モデルを用いて算出する映像品質推定装置のコンピュータに、
    記憶部により、前記映像メディアを標準的な端末および再生状況で再生した際の主観映像品質を示す標準主観映像品質を記憶する記憶ステップと、
    パラメータ取得部により、前記端末における前記映像メディア再生時の輝度を示す入力輝度と前記再生時のコントラストを示す入力コントラストを主パラメータとして取得するパラメータ取得ステップと、
    推定モデル特定部により、前記入力コントラストに基づいて前記映像メディア再生時の輝度とそのときの再生状況で再生した際の主観映像品質を示す端末主観映像品質との関係を示す推定モデルを特定する推定モデル特定ステップと、
    標準主観映像品質補正部により、特定された前記推定モデルから求めた前記入力輝度に対応する端末主観映像品質により前記記憶部の前記標準主観映像品質を補正し前記実環境主観映像品質推定値として出力する映像品質推定ステップと
    を実行させるプログラム。
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