JP4405752B2 - 開閉装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、開方向または閉方向に付勢された扉や窓などの開閉装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
ドアやシャッター、窓などの開口部を開閉する開閉部材は、自動的に開放および/または閉鎖するものが多い。自動的に開閉される扉や窓などの開閉装置は、高速開閉が求められる反面、開閉速度を抑制して安全面にも考慮する必要がある。そのため、開閉装置には、開閉速度を落とすための減速装置が設けられている。
【0003】
例えば、特許文献1は、駆動軸を正逆回転させることにより扉を開閉する開閉装置において、閉扉速度を減速する開閉装置が開示されている。特許文献1では、扉は閉扉方向に付勢されており、閉扉時には、付勢力により回転する駆動軸の回転速度を粘性抵抗を用いて減速することで閉扉速度を減速する。また、特許文献2では、回転自在の巻き取りドラムに駆動索を巻き込みまたは巻き戻して扉を開閉する開閉装置において、巻き取りドラムに直接または間接的に取り付けた遠心ブレーキにより低速度で閉扉状態とする開閉装置が開示されている。
【0004】
ところが、特許文献1,2で用いられる粘性抵抗や遠心ブレーキでは、減速性能が安定しない場合や、長期の使用により構成部品の折損が生じる場合もある。そして、粘性抵抗や遠心ブレーキは、いったん扉の仕様(サイズ、重量、開閉形式など)に合わせて制動力を設定した後に、ふたたび制動力を変更することが困難である。特に、粘性抵抗を用いた減速装置は、温度変化により液体の粘性が変化し、それに伴い制動力が変化するため、減速性能が不安定である。また、粘性抵抗では粘性液体を使用するため、ケーシングの気密性が要求され、製作コストが高くなる。
【0005】
さらに、特許文献1では付勢力により扉を閉扉するが、付勢力により回転駆動される駆動軸から発生する運動エネルギーを無駄に消費している。
【0006】
【特許文献1】
特開平5−263564号公報
【特許文献2】
特開平11−50736号公報
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、扉や窓などの開閉部材の移動で生じる運動エネルギーを再利用でき、外部からの電力供給を最小限にできる、エネルギー効率の高い開閉装置を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明の開閉装置は、開口部に開閉自在に保持され付勢力により開方向または閉方向に付勢された開閉部材と、前記付勢力に抗して該開閉部材を駆動するとともに該付勢力による該開閉部材の移動で生じる運動エネルギーによって発電する駆動発電手段と、前記開閉部材を前記付勢力に抗して閉状態または開状態に維持する維持手段と、該維持手段を解除する解除手段と、前記駆動発電手段によって発電された電力を蓄電し該解除手段に電力を供給する二次電池手段と、前記解除手段を起動するスイッチ手段と、を備え、前記維持手段および前記解除手段は、無励磁ブレーキで兼用され、該無励磁ブレーキに電力が供給されていないときに前記維持手段として働き、前記スイッチ手段に応じて該無励磁ブレーキに電力が供給されたときに前記解除手段として働くことを特徴とする。
本発明の開閉装置は、開閉部材の移動で生じる運動エネルギーを再利用でき、外部からの電力供給を最小限にできる。二次電池手段は駆動発電手段で発電した電力を蓄電するため、外部からの電力の供給が断たれた場合にも開閉部材を駆動できる。
【0009】
前記駆動発電手段は、モータおよび発電機として機能する回転機械であるのが好ましい。また、前記駆動発電手段は、前記開閉部材の移動速度を制御できる発電回路を有するのが好ましい。
【0010】
前記二次電池手段は、二次電池またはキャパシターであるのが望ましい。駆動発電手段で発電した電力は、二次電池またはキャパシターに蓄電できるため、外部からの電力の供給が断たれた場合にも開閉部材を駆動できる。
【0011】
さらに、本発明の開閉装置は、前記駆動発電手段を駆動する駆動電源を有するのが好ましい。
さらに、本発明の開閉装置は、前記解除手段に電力を供給する電源手段をさらに備え、前記開閉部材は、開方向に付勢された、煙を排煙する排煙窓であり、前記維持手段は、前記排煙窓を前記付勢力に抗して閉状態または半開状態に維持し、前記二次電池手段は、前記電源手段からの電力供給が絶たれた場合に、前記スイッチ手段に応じて前記解除手段に電力を供給することが好ましい。
【0012】
【発明の実施の形態】
本発明の開閉装置は、開口部に開閉自在に保持され付勢力により開方向または閉方向に付勢された開閉部材を有し、その開閉部材を開閉する装置である。開口部は、家屋、倉庫などの出入り口や、排煙や採光などのための窓穴など、開放・閉鎖が必要な開口部分である。開閉部材の形式としては、付勢力により開方向または閉方向に付勢されていれば特に限定はないが、開き戸式、引き戸式、折り戸式など、各種形式が可能である。具体的には、排煙窓、天窓、障子、スライドドア、回転ドア、シャッター等である。付勢力は、開閉部材の自重によるもの、スプリング、ゴム等の弾性部材によるもの等が好ましい。
【0013】
本発明の開閉装置は、上記開閉部材を付勢力に抗して閉状態または開状態に維持する維持手段と、維持手段を解除する解除手段(アクチュエータ)と、アクチュエータに駆動力を供給する二次電池手段と、アクチュエータを起動するスイッチ手段を有する。上記維持手段、アクチュエータ、二次電池手段、スイッチ手段は、従来用いられている形式であれば、特に限りはない。例えば、維持手段は、開閉部材に直接または間接的に設けられ、スプリングにより制動を行う励磁ブレーキや、歯車とその歯車に係止する爪部材とからなるロック機構などを用いるのが好ましい。維持手段を解除するアクチュエータや、アクチュエータを起動するスイッチ手段は、使用する維持手段の形式にあわせて、適宜選択すればよい。例えば、スイッチ手段を操作することによりアクチュエータを機械的に起動させたり、スイッチ手段からの電気的な信号を受けて制御回路によりアクチュエータを起動する形式などが好ましい。
【0014】
二次電池手段は、リチウムイオン二次電池などの二次電池や、電気二重層コンデンサやアルミニウム電解コンデンサ等のキャパシターを用いるのが望ましい。二次電池手段は、アクチュエータに駆動力を供給する他、後述する駆動発電手段を駆動する電力を供給したり、駆動発電手段で発電された電力を蓄電したり、表示ランプの点灯などに要する電力を供給してもよい。特に、二次電池手段をアクチュエータへの駆動力の供給のみに用いれば、容量の小さい二次電池手段を用いることができる。容量の小さい二次電池手段を用いることは、省スペースにもつながる。
【0015】
また、二次電池手段は、外部からの電力の供給が断たれた場合に非常用電源としての役割を果たすため、非常用電源を新たに設置する必要がない。さらに、二次電池手段には、後述する駆動発電手段により発電した電力を再び補ってもよいので、エネルギー効率の高い開閉装置となる。
【0016】
本発明の開閉装置は、付勢力に抗して開閉部材を駆動するとともに付勢力による開閉部材の移動で生じる運動エネルギーによって発電する駆動発電手段を有する。駆動発電手段は、付勢力に抗して開閉部材を駆動するが、開閉部材の駆動は手動であっても自動であってもよい。
【0017】
駆動発電手段は、モータおよび発電機として機能する回転機械であるのが好ましい。回転機械は、電気入力を与えると機械出力が得られるモータの役割をし、機械的回転力を与えるとコイルが電圧を発生する発電機の役割をする。
【0018】
また、駆動発電手段は、開閉部材の移動速度を制御できる発電回路を有するのが好ましい。発電回路が有する抵抗器により、駆動発電手段が発電した電力を消費することで、抵抗トルクが発生する(発電制動)。そのため、発電回路が有する抵抗器の数やつなぎかたを変化させて抵抗値を調整することにより回転機械の抵抗トルクを増減させ、開閉部材の形式や付勢力に合わせて制動力を調節してもよい。また、発電回路だけでは制動力が不十分な場合は、回転機械を電気入力により発電時の回転方向とは逆方向に駆動させて、さらに大きな制動力を得ることもできる。また、発電制動の剰余電力は、二次電池手段に蓄えてもよい。
【0019】
なお、駆動発電手段を手動で駆動する場合には、付勢力または手動により発電機に機械的回転力を与えられるので、開放・閉鎖のどちらでも発電することが可能である。この際、回転機械は、機械的回転力を与えると電圧を発生する発電機としてのはたらきのみを行う。
【0020】
上記構成の開閉装置は、開閉部材の移動で生じる運動エネルギーを再利用でき、外部からの電力供給を最小限にできる、エネルギー効率の高い開閉部材の開閉装置である。
【0021】
【実施例】
本発明の開閉装置の一実施例を、図を用いて説明する。図1〜3は本実施例の開閉装置の構成を示す図であり、図4は制御回路を示す。
【0022】
図1は、開いた状態の排煙用連窓を屋内側から見た斜視図である。なお、図1において、符号の4および7は、後述する駆動部4およびスイッチボックス7であり、壁面に配設されている。排煙用連窓は、家屋の壁上部に配設されており、スイッチボックス7は、人の手により操作しやすい位置に設置されている。
【0023】
図1において、壁上部にあけられた開口部1には、周辺部材として枠材11〜13が枠組みされて取り付けられている。各開口部1には、開閉部材として排煙窓2が配設される。それぞれの排煙窓2は、排煙窓2の下部21と枠材の下縁部11とが枢支され、排煙窓2の側部22と枠材の側縁部12に設けられたダンパー15により支持されている。すなわち、排煙窓2は、上部23側が開口し、排煙窓2の自重により屋外側へ倒れ込むように支持されている。また、排煙窓2の上部23と枠材の上縁部13には、滑車32〜38が固定されており、滑車32〜38には一端が係止部材31に係止された1本のワイヤ3が掛け渡されている。そして、ワイヤ3を矢印のA方向に巻き取ることにより、排煙窓2の上部23と枠材の上縁部13との距離が狭められ、排煙窓2が閉鎖される。逆に、ワイヤ3を矢印のB方向に繰り出すことにより、排煙窓2の上部23と枠材の上縁部13との距離が広がり、排煙窓2が開放される。
【0024】
ワイヤ3の巻き上げおよび繰り出しの操作は、駆動部4で行われる。駆動部4の構成を図2に示す。ワイヤ3は、駆動部4のケース41に固定された導管43により、ケース41内に案内される。駆動部4は、ワイヤ3を機械的に駆動する機械的機構部5と、機械的機構部5を電気的に制御する電気的機構部6を、ケース41内に有する。
【0025】
機械的機構部5は、ワイヤ3を巻き取るドラム53と減速機55とモータ57と無励磁ブレーキ59とからなる。ドラム53と減速機55は、駆動部ケース51内に収納されている。図3に、機械的機構部5の側面図(I)と、ケース51の断面図(II)を示す。モータ57は、一対の傘歯車554,556を有する減速機55を介してドラム53を回転する。減速機55の入力軸558に固定された傘歯車556は、モータ57により回転される。傘歯車556の回転は、出力軸552に固定された傘歯車554に伝達され、出力軸552の端部に固定されたドラム53が回転駆動される。なお、ドラム53の回転をモータ57に伝達して、モータ57に機械的回転力を付与し、発電機として使用もできる。この際、モータ57に電力は供給されない。
【0026】
すなわち、モータ57に電力を供給することにより、ドラム53が回転駆動すると、ワイヤ3がドラム53に巻き取られ(図1のA方向)、排煙窓2が閉鎖される。逆に、ワイヤ3が排煙窓2の自重により繰り出される(図1のB方向)と、ドラム53の回転がモータ57に伝達されるので、モータ57は発電機として作用する。
【0027】
また、無励磁ブレーキ59は、排煙窓2を自重に抗して閉状態または半開き状態に維持する維持手段である。無励磁ブレーキ59は、非通電時にスプリングの力によりモータ57の回転を機械的に停止する。そのため、非通電時にはモータ57は回転せず、排煙窓2の自重およびダンパー15の付勢力によりワイヤ3が図1のB方向へ引っ張られてもドラム53が回転することがないので、排煙窓2を閉状態または半開き状態で維持することができる。通電時には、モータ57は回転可能となり、排煙窓2を開閉駆動できる。
【0028】
電気的機構部6では、排煙窓2を開閉駆動したり、閉状態、開状態または半開き状態で維持する際に、自動的に処理動作を行う。図4は、本実施例の開閉装置の制御回路である。電気的機構部6は、主として、制御マイコン60と電源61とからなり、スイッチボックス7からの操作信号を受けて、制御マイコン60により機械的機構部5の動作が制御される。なお、電源61は、AC100Vを降圧整流回路によりDC5V、DC9V、DC12V(スイッチ用)、DC24Vに変換して用いた。
【0029】
また、駆動部4のケース41の正面には、操作状態を示す表示ランプWL(白色表示灯)が設けられている。
【0030】
スイッチボックス7には、開放スイッチ7O 、停止スイッチ7S 、閉鎖スイッチ7C 、また、操作状態を示す表示ランプRL(赤色表示灯)、GL(緑色表示灯)が設けられている。なお、スイッチボックス7のかわりにリモコン7’を用いても同様な操作を行うことができる。各スイッチ7O ,7S ,7C からの操作信号SO ,SS ,SC ,は、入力回路67O ,67S ,67C を介して制御マイコン60に入力される。制御マイコン60は、各スイッチからの操作信号に基づき、各操作信号に対応する各制御信号を出力する。制御マイコン60からは、ブレーキリレーRB とモータリレーRM 、また、表示ランプRL、GL、駆動部4の表示ランプWLへ制御信号が出力される。ブレーキリレーRB は、接点CB をB端子側またはB’端子側に切り換えることにより、無励磁ブレーキ59を通電または非通電状態とする。モータリレーRM は、接点CM 1をM1端子側またはM1’端子側に、接点CM 2をM2端子側またはM2’端子側に切り換えることにより、モータ57を電源61(DC24V)につないだり、電源61から切断したりする。また、電源リレーRX は、電力投入時に、接点CX 1をX1端子側またはX1’端子側に、接点CX 2をX2端子側またはX2’端子側に切り換えることにより、電気二重層コンデンサを有するコンデンサ回路62での充放電や、可変抵抗を有する発電回路63を制御する。
【0031】
以下に、電気的機構部6の具体的な処理動作を、図4を用いて説明する。なお、図4の制御回路は、全ての電気機器・電気回路が休止している状態を示している。そのため、スイッチ類は、通常あるべき状態の位置で記載されている。
【0032】
<電力の投入>
スイッチ611によりAC100Vを電源61へ印加すると、電源リレーRX により、接点CX 1がX1’端子側に切り換わる。コンデンサ回路62にDC24Vが印加され、コンデンサ回路62の電気二重層コンデンサは常に充電される。なお、電源リレーRX により、接点CX 2がX2’端子側に切り換わるが、モータ57が発電を行わない限り発電回路63が作動しないことは図4より明らかである。
【0033】
<排煙窓を開放する場合の処理動作>
排煙窓2を開放する場合は、スイッチボックス7の開放スイッチ7O を押すと、操作信号SO が入力回路67O を介して、制御マイコン60に入力される。制御マイコン60は、ブレーキリレーRB へ制御信号を出力する。
【0034】
ブレーキリレーRB により、接点CB がB’端子側に切り換わり、無励磁ブレーキ59は通電状態(DC24V)となり、モータ57のブレーキが解除される。そのため、排煙窓2は自重により開放する。この際、機械的回転力がモータ57に付与され、モータ57は発電機としてはたらく。
【0035】
また、電力投入時にX2’端子側に切り換えられた接点CX 2では、発電回路63が作動する。発電回路63には発電ブレーキ抵抗が組み込まれており、モータ57で発電された電力を発電ブレーキ抵抗によって消費することで、発電制動を行う。なお、発電回路63に組み込まれた発電ブレーキ抵抗は可変抵抗であって、開放速度調節ダイアル631(図2)によりその抵抗値を調整し、開放速度を適宜調節することができる。表1に、本実施例においての発電ブレーキ抵抗の抵抗値と、閉状態から開状態までにかかる時間(開放時間)との関係を示す。
【0036】
【表1】
【0037】
この際のワイヤ巻き取り量(すなわち、ワイヤ繰り出し量)は、1760mmである。なお、表1には、比較のために、排煙窓2を閉鎖する場合(後述)の閉鎖電流値および閉鎖時間も記載した。
【0038】
排煙窓2が完全に開放されると、同時に発電も終了する。発電の終了は、発電電圧検出回路65で検出され、発電電圧検出回路65から制御マイコン60へと信号が入力される。制御マイコン60は、ブレーキリレーRB に制御信号を出力し、接点CB はB’端子側からB端子側へ切り換わる。このとき、ブレーキリレーRB により、無励磁ブレーキ59は非通電状態となるので、モータ57が回転不可能となり、排煙窓2が全開状態に維持される。
【0039】
なお、上記開放動作中には表示ランプWLおよびRLが点灯する。
【0040】
<排煙窓を閉鎖する場合の処理動作>
排煙窓2を閉鎖する場合は、スイッチボックス7の閉鎖スイッチ7C を押すと、操作信号SC が入力回路67C を介して、制御マイコン60に入力される。制御マイコン60は、ブレーキリレーRB とモータリレーRM へ制御信号を出力する。
【0041】
ブレーキリレーRB により、接点CB がB’端子側に切り換わり、無励磁ブレーキ59は通電状態(DC24V)となる。そのため、モータ57のブレーキが解除される。
【0042】
モータリレーRM により、接点CM 1がM1’端子側に、接点CM 2がM2’端子側に切り換わる。そのため、モータ57が通電状態(DC24V)となり、ブレーキの解除されたモータ57が駆動される。モータ57の駆動により、ドラム53にワイヤ3が巻き取られ、排煙窓2は閉鎖される。
【0043】
排煙窓2が完全に閉鎖されると、電源61からの過電流が過電流検出抵抗Rで検出され、過電流検出回路64から制御マイコン60へと信号が入力される。制御マイコン60は、ブレーキリレーRB 、モータリレーRM へ制御信号を出力し、各接点が元の端子側に戻る。このとき、ブレーキリレーRB により、無励磁ブレーキ59は非通電状態となるので、モータ57が回転不可能となる。したがって、排煙窓2の自重により排煙窓2が開放することがない。
【0044】
なお、上記閉鎖動作中には表示ランプWLおよびGLが点灯する。
【0045】
<排煙窓の開閉を途中で停止する場合の処理動作>
排煙窓2の開放または閉鎖動作中では、前述のように、接点CB がB’端子側にあり、無励磁ブレーキ59は通電状態となっている。排煙窓2を任意の半開き状態に維持するためには、排煙窓2の開放または閉鎖動作中に停止スイッチ7S を押す。停止スイッチ7S を押すと、操作信号SS が入力回路67S を介して、制御マイコン60に入力される。制御マイコン60は、ブレーキリレーRB へ制御信号を出力する。
【0046】
ブレーキリレーRB により、接点CB がB’端子側からB端子側に切り換わり、無励磁ブレーキ59は非通電状態となる。そのため、モータ57にブレーキがかかり、回転不可能となる。すなわち、排煙窓2が自重により開放することが無くなり、排煙窓2を半開き状態に維持できる。
【0047】
<非常時に排煙窓を開放する場合の処理動作>
ここで、非常時とは、火災により発生した煙を排煙窓2を開放して排煙する際に、停電などにより外部からの電力の供給が絶たれた場合を想定している。
【0048】
火災発生時には、スイッチボックス7の開放スイッチ7O を押す。開放スイッチ7O を押すと、コンデンサ回路62の電気二重層コンデンサに予め蓄電されていた電力により無励磁ブレーキ59を通電状態とし、モータ57のブレーキが解除される。そのため、排煙窓2の自重により、排煙窓2が開放する。
【0049】
なお、電気二重層コンデンサに予め蓄電されていた電力は、放電が終了するまで無励磁ブレーキ59に供給される。
【0050】
【発明の効果】
本発明の開閉装置は、開口部に開閉自在に保持され付勢力により開方向または閉方向に付勢された開閉部材と、該開閉部材を前記付勢力に抗して閉状態または開状態に維持する維持手段と、該維持手段を解除するアクチュエータと、該アクチュエータに駆動力を供給する二次電池手段と、前記アクチュエータを起動するスイッチ手段と、前記付勢力に抗して前記開閉部材を駆動するとともに前記付勢力による前記開閉部材の移動で生じる運動エネルギーによって発電する駆動発電手段と、を有することを特徴とする。本発明の開閉装置は、開閉部材の移動で生じる運動エネルギーを再利用でき、外部からの電力供給を最小限にできる、エネルギー効率の高い開閉部材の開閉装置である。
【0051】
また、二次電池手段は駆動発電手段で発電した電力を蓄電できるため、外部からの電力の供給が断たれた場合にも開閉部材を駆動できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 実施例の開閉装置において、排煙用連窓を示す斜視図である。
【図2】 実施例の開閉装置の駆動部を示す図である。
【図3】 実施例の開閉装置の機械的機構部を示す図であって、(I)は側面図、(II)は駆動部本体の断面図である。
【図4】 実施例の開閉装置の制御回路を示す。
【符号の説明】
1:開口部
2:排煙窓
3:ワイヤ
4:駆動部
5:機械的機構部
53:ドラム 57:モータ 59:無励磁ブレーキ
6:電気的機構部
60:制御マイコン 62:コンデンサ回路 63:発電回路
RB :ブレーキリレー RM :モータリレー
7:スイッチボックス
Claims (6)
- 開口部に開閉自在に保持され付勢力により開方向または閉方向に付勢された開閉部材と、
前記付勢力に抗して該開閉部材を駆動するとともに該付勢力による該開閉部材の移動で生じる運動エネルギーによって発電する駆動発電手段と、
前記開閉部材を前記付勢力に抗して閉状態または開状態に維持する維持手段と、
該維持手段を解除する解除手段と、
前記駆動発電手段によって発電された電力を蓄電し前記解除手段に電力を供給する二次電池手段と、
該解除手段を起動するスイッチ手段と、
を備え、
前記維持手段および前記解除手段は、無励磁ブレーキで兼用され、該無励磁ブレーキに電力が供給されていないときに前記維持手段として働き、前記スイッチ手段に応じて該無励磁ブレーキに電力が供給されたときに前記解除手段として働くことを特徴とする開閉装置。 - 前記駆動発電手段は、モータおよび発電機として機能する回転機械である請求項1記載の開閉装置。
- 前記駆動発電手段は、前記開閉部材の移動速度を制御できる発電回路を有する請求項1または2記載の開閉装置。
- 前記二次電池手段は、二次電池またはキャパシターである請求項1記載の開閉装置。
- さらに、前記駆動発電手段を駆動する駆動電源を有する請求項1記載の開閉装置。
- 前記解除手段に電力を供給する電源手段をさらに備え、
前記開閉部材は、開方向に付勢された、煙を排煙する排煙窓であり、
前記維持手段は、前記排煙窓を前記付勢力に抗して閉状態または半開状態に維持し、
前記二次電池手段は、前記電源手段からの電力供給が絶たれた場合に、前記スイッチ手段に応じて前記解除手段に電力を供給する請求項1〜5の何れか一項に記載の開閉装置。
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