JP4405333B2 - ナノグリッパ - Google Patents

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Description

本発明は、微小試料を確実に掴むことができるナノグリッパに関する。
近年では技術の進歩により、ミクロンオーダーの微小試料を操作する必要が生じ、そのための操作端子も多数考案されている。例えば、顕微鏡視野内においてミクロンオーダーの微細試料を移動するために、先端をミクロンオーダーにまで先鋭化した単一のマニピュレータに、静電気力を利用して試料を吸着する方法や、一対のアームを備えたマニピュレータで試料を挟み込んで搬送する方法(例えば、特許文献1参照)などが提案されている。また、半導体製造技術を利用してシリコン基板を加工し、微小試料を把持するためのグリッパを形成する方法が知られている(例えば、特許文献2参照)。
特開2001−198896号公報
しかしながら、上述したマニュピレータやグリッパでは、所定の部位が撓むことにより、アームが折れ曲がるように動作するため、アーム先端が円弧状に移動し開閉の度合い応じて把持する位置が変化する。ナノメートルオーダー、ミクロンオーダーというような微小試料を把持する場合に把持位置が変化すると、試料を確実に把持することが難しく、把持に失敗する可能性もあった。また、このような微小なアームは非常に壊れやすくグリッパ輸送中に破損したりするなどの問題があるため、使用する以前の段階において取り扱いに細心の注意が必要であった。
請求項1の発明は、基板表面から順にシリコン層,絶縁層およびベース層から成る基板を加工して形成されたナノグリッパであって、前記ベース層を加工して形成される台座と、前記シリコン層を加工して前記ベース層に平行に延在するように形成され、前記絶縁層を介して前記台座上に設けられた一対のアームと、前記シリコン層を加工して前記一対のアームと同一平面上に形成されるとともに前記絶縁層を介して前記台座上に設けられ、前記同一平面上を平行に移動するように前記一対のアームを開閉させる駆動部と備え、前記一対のアームは、先端部が前記台座の側方に突出するように形成され、さらに、前記台座のアーム突出方向に空隙を設けて配設されたガードと、前記ガードと前記台座とを連結する連結部とを備える。
請求項5の発明は、基板表面から順にシリコン層,絶縁層およびベース層から成る基板を加工して形成されたナノグリッパであって、前記ベース層を加工して形成される台座と、前記シリコン層を加工して前記ベース層に平行に延在するように形成され、前記絶縁層を介して前記台座上に設けられた一対のアームと、前記シリコン層を加工して前記一対のアームと同一平面上に形成されるとともに前記絶縁層を介して前記台座上に設けられ、前記同一平面上を平行に移動するように前記一対のアームを開閉させる駆動部とを備え、前記駆動部は、シリコン層上面に導電膜が形成された対向電極を有する静電アクチュエータであり、前記電極は櫛歯形状を有しており、対向する前記電極のシリコン層側面を波形凹凸面に形成したものである。

本発明によれば、ナノグリッパのアームをほぼ平行に開閉することができ、試料を確実に把持することができる。また、台座にガードを設けたことによりアームの先端部が保護され、取り扱いが容易になる。
以下、図を参照して本発明を実施するための最良の形態について説明する。図1は本発明によるナノグリッパ1の概略構成を示す斜視図である。図1に示すナノグリッパ1は半導体加工技術を利用して半導体基板上に形成されるものであり、グリッパ本体2とグリッパ本体2に設けられたアーム3を保護するガード4とを備えている。
グリッパ本体2とガード4とは、2カ所の連結部5によって連結されている。ナノグリッパ1を使用する際には、連結部5の部分を折って、ガード4をグリッパ本体2から外して用いる。アーム3は、駆動部6によって矢印Rで示すように図示左右方向に開閉する。ミクロンオーダーの試料は、アーム3の先端に形成されたグリップ部3aによって把持される。
図2はグリッパ本体2の詳細を示す平面図である。台座7上に形成された駆動部6は静電アクチュエータを構成しており、左側のアーム3を駆動するための固定電極60aおよび可動電極61aと、右側のアーム3を駆動するための固定電極60bおよび可動電極61bとを有している。図示上下方向に延在する固定電極60a,60bと可動電極61a,61bとの各対向面は櫛歯形状となっている。可動電極61a,61bは、それぞれ支持部62によって台座7に弾性的に固定されている。
固定電極60aの電極端子80と可動電極61aの電極端子81との間に電圧を印加すると、静電力によって可動電極61aが図示右方向に移動する。一方、固定電極60bの電極端子82と可動電極61bの電極端子83との間に電圧を印加すると、クーロン力によって可動電極61bが図示左方向に移動する。
アーム3は支持部63を介して台座7に弾性的に固定されている。アーム3には支持部63を介して電極端子84が接続されており、電極端子84を利用してアーム3に電気的な操作を加えたり、電気的な測定を行うことができる。左側のアーム3は、アーム3の下部に設けられた連結部材8によって左側の可動電極61aに連結されている。同様に、右側のアーム3は、連結部材8によって右側の可動電極61bに連結されている。そのため、可動電極61a,61bの左右方向への移動に伴って、アーム3も左右に移動する。
図2において、台座7のアーム3が配設されている領域には溝状の貫通孔7aが形成されており、駆動部6が配設されている領域には矩形状の貫通孔7bが形成されている。アーム3および駆動部6はこれら貫通孔7a,7b上に架け渡されるように支持されている。図3はナノグリッパ1の断面形状を説明する図であり、(a)はナノグリッパの平面図、(b)は(a)に示した各断面を示す図である。
A−A’断面およびB−B’断面に示すように、台座7のアーム3の下方には貫通孔7aが形成されている。駆動部6は絶縁層102を介して台座7上に形成されている。同様に、連結部材8上に形成されたアーム3および駆動部6(可動電極61a,61b)も絶縁層102を介して台座7上に形成されている。E−E’断面は図1,2の電極端子80〜84の部分を断面したものであり、電極端子80〜84も絶縁層102を介して台座7上に形成されている。このように、ナノグリッパ1は絶縁層を挟んだ上下2つのシリコン層からなる3層構造の基板、例えばSOI(silicon on insulator)基板に形成される。そして、アーム3,駆動部6および電極端子80〜84は同一シリコン層を用いて形成される。
[製造工程の説明]
次に、SOI(silicon on insulator)基板を用いてナノグリッパ1を形成する場合の、製造方法について説明する。ナノグリッパ1の形成に用いる基板100としては、図4(a)に示すように<110>方位の単結晶シリコンから成るベース層101、酸化シリコンから成る絶縁層102、<110>方位の単結晶シリコンから成るシリコン層103が順に積層されたシリコン基板が用いられる。
シリコン基板100には、SOI基板だけでなく、ガラス基板上に単結晶シリコン層を有する基板や、アモルファスシリコン基板やポリシリコン基板上にSOI層を有する基板なども用いることができる。すなわち、最上層が<110>方位を有するシリコン層103であって、このシリコン層103の下層に絶縁層102が形成されているような層構造を有するシリコン基板であれば、ベース層101を多層構造としてもかまわない。
シリコン基板100の各層の厚さの一例を述べると、シリコン層103は25μm、絶縁層102は1μm、ベース層101は300μmである。また、シリコン基板100上における1つのグリッパを形成する領域は縦、横ともに数mmの矩形状をしている。図4(a)に示す工程では、スパッタリング法や真空蒸着法などにより、厚さ約50nmのアルミ層104をシリコン層103の表面に形成する。
次に、図4(b)のようにアルミ層104の表面にレジスト105を約2μmの厚さで形成し、フォトリソグラフィによりレジスト105を露光・現像することにより、図4(c)に示すレジストパターン105aを形成する。図7はシリコン基板100の斜視図であり、アルミ層104の上面に、アーム3,ガード4,駆動部6等に対応するレジストパターン105aが形成されている。なお、図4(c)は図7のF−F’断面を示したものである。
そして、図4(d)に示すように、このレジストパターン105aをマスクとして混酸液によりアルミ層104をエッチングし、シリコン層103を露出させる。その後、ICP−RIE(Inductively Coupled Plasma - Reactive Ion Etching)によりシリコン層103を垂直方向に異方性エッチングする。このエッチングは絶縁層102が露出するまで行われ、エッチング終了後、硫酸・過酸化水素混合液によりレジストパターン105aおよびアルミ層104を除去する(図5(a)参照)。
図8は、レジストパターン105aおよびアルミ層104を除去した後の基板100を示す斜視図である。絶縁層102上には、同一シリコン層103により立体構造体が形成される。その立体構造体は、アーム3を構成する部分103aと、駆動部6を構成する部分103bと、電極端子80〜84を構成する部分103cと、ガード4を構成する部分103dとから成る。
次いで、露出した絶縁層102およびシリコン層103(103a〜103d)を覆うようにレジスト106を塗布する(図5(b)参照)。レジスト106の塗布厚さは10μm程度とする。その後、フォトリソグラフィによりレジスト106にマスクパターンを転写して現像することにより、図9に示すようにアーム構成部103aの先端部分におけるレジスト106が矩形状に除去されたレジストパターン106aを形成する。そして、レジストパターン106aをマスクとしてICP−RIEや通常のRIEなどを行い、アーム構成部103aの先端部分をグリッパの把持対象に合わせた形状および大きさに加工する。
ここでは、先端部分の厚さを階段状に薄くして、図13に示すようなグリップ部3aを形成する。グリッパ本体2に設けられたアーム3でミクロンオーダーの試料を把持する場合、それらの作業は顕微鏡視野内で行われる。そのため、アーム3が台座7に隠れて見えなくなるような不都合を避けるために、アーム3は図3(a)に示すようにグリップ部3aが形成された先端部分が台座7から図示上方に突出するように構成されている。
また、同様の理由で、試料が把持される部分であるグリップ部3aは試料に比べて長く設定され、幅および厚さは試料と同程度となるように設定されている。各グリップ部3aの寸法の一例を記すと、長さLは100μm、厚さtは1〜25μm、幅Wは1〜30μmである。アーム3には、上面側を階段状に削除してグリップ部3aが形成される。通常、試料は平坦なステージ上に載置され、その試料をアーム3により把持するので、アーム3の下面側は平面状とされる。
次に、図5(c)に示すように基板100を表裏反転させて、スパッタリング法や真空蒸着法によりベース層101の表面にアルミ層107を形成する。アルミ層107の厚さは、約50nmとする。そして、アルミ層107の上にレジスト108を約2μmの厚さに形成した後にフォトリソグラフィによりレジストパターンを形成し、そのレジスト108をマスクに用いてアルミ層107を混酸液によりエッチングする(図6(a)参照)。
図10は、レジスト108およびアルミ層107の形状を示す斜視図である。図6(a)は図10のG−G’断面を示したものであり、絶縁層102の図示下側(表面側)にはシリコン層103によるアーム部103aの断面が図示されている。図10から判るように、レジスト108は、図1に示したガード4に対応する部分R1、連結部5に対応する部分R2、台座7に対応する部分R3および図3の連結部材8に対応する部分R4が残っており、逆に図3に示した貫通孔7a,7bに対応する部分が除去されてベース層101が露出している。
その後、ベース層101の上に形成されたレジスト108およびアルミ層107をマスクとして、ベース層101をICP−RIEによりエッチングする。ベース層101は異方性エッチングにより垂直方向にエッチングされ、エッチングは絶縁層102が露出するまで行われる。エッチング終了後に、硫酸・過酸化水素混液によりレジスト108,106およびアルミ層107を除去する(図6(b)参照)。
図11は、図6(b)に示すベース層101の裏面側を示す図である。エッチングにより、ベース層101には貫通孔7a,7bを有する台座7やガード4,連絡部5および連結部材8が形成される。通常は、基板100上には複数のナノグリッパ1が形成されるが、このエッチングの工程において、各ナノグリッパ1毎に分割されることになる。次いで、台座上に露出している酸化シリコンから成る絶縁層102を、緩衝フッ化水素溶液を用いてエッチングする。その結果、シリコン層103とベース層101とで挟まれた領域を除いて、絶縁層102が除去される(図6(c)参照)。
図12はベース層101の表面側を示す斜視図であり、図6(c)は図12のH−H’断面を示したものである。電極部103とベース部101との間には絶縁層102が介在している。その後、図6(d)に示すように、露出しているベース層101の上および各構造体を構成するシリコン層103の上に、真空蒸着法等によりアルミ等からなる導体膜109を形成する。導体膜109の厚さは500nm以下とする。このようにして、図1に示すナノグリッパ1が完成するが、把持対象によってはFIBなどの加工装置によりグリップ部3aを追加工しても良い。
[駆動部6の説明]
次に、アーム3を駆動する駆動部6について説明する。図14は図2の左側のアーム3に対して設けられた固定電極60aおよび可動電極61aの一部を拡大して示したものである。電極60a,61aは静電アクチュエータを構成しており、電極端子80,81に電圧を印加して固定電極60aと可動電極61aとの間に電位差を与えると、電極60a,61a間に静電気力が働く。その結果、支持部62によって台座7に弾性的に固定された可動電極61aが図示右方向に移動する。
発生する静電気力は、後述するように電極60a,61a同士のギャップ間隔や電極の対向する部分の表面積や、電圧の大きさにより変化する。本実施の形態では、固定電極60aと可動電極61aとの対向部は櫛歯形状になっている。そのため、より大きな静電気力が得られるとともに、可動電極61aは上下にずれることなく左右方向に移動することができる。固定電極60aに形成された櫛歯600と可動電極61aに形成された櫛歯610とは、互い違いに相手方に入り込んでいる。電極60a,61a同士のギャップを1〜数μmオーダーとすることで十分な駆動力を得ることができる。
ここで、櫛歯600,610の具体的な設定の一例を記す。アーム3の開閉幅を10μmとした場合、櫛歯600,610の幅が各々3μm、櫛歯600,610間の図示上下方向のギャップ寸法が3μm、櫛歯600,610の長さが15μmで、電極60a,61a間の距離は18μmから28μmの間で変化する。アーム3の開閉幅は、原理的には数十μm程度まで可能である。
図15に示すようにアーム3は連結部材8を介して可動電極61aに連結されているので、可動電極61aが静電気力により図示右側に移動すると、その動きに同期してアーム3も右側に移動する。図2に示した右側のアーム3、固定電極60b、可動電極61bに関しても左右反転している以外は全く同様の構造となっている。そのため、電極端子82,83に電圧を印加して電極60b、61b間に電位差を与えると、右側のアーム3が図示左方向に移動する。その結果、左右のアーム3が閉じて、グリップ部3aにより試料が把持される。
電圧印加を停止(印加電圧=0)すると、可動電極61a,61bを支持している支持部62(図14参照)およびアーム3を支持している支持部63の弾性力により、本来の開位置へと戻される。支持部62および支持部63の幅や長さは、駆動部6によるアーム3がほぼ平行に左右方向に移動するように設定されている。詳細は後述する。
なお、本実施の形態では、電圧を印加していない状態において図2に示すようにアーム3が開いており、電圧を印加するとアーム3が閉じるような構成となっている。また、連結部材8とアーム3および可動電極61aとの間にはそれぞれ絶縁層102が介在しており、アーム3は可動電極61aに対して電気的に絶縁されている。電極端子84の表面に形成されている導体膜109は支持部63およびアーム3の上面にも連続して形成されているので、駆動部6の駆動に影響を及ぼさずに電気的な操作・測定が可能であり、アーム3を電気的なプローブとして利用することもできる。
可動電極61a,61bに発生する静電気力Fは、櫛歯電極モデルを用いることにより、例えば簡略式として次式(1)にようになる。ここで、Vは印加される電圧であり、Nは櫛歯総数、dは櫛歯間距離、hは櫛歯の厚さ、εは真空の誘電率である。
Figure 0004405333
このとき、支持部62,63の幅を十分に小さく、それらの長さを可動電極61a,61bの水平移動範囲に比べて十分に長く設定する。例えば、アーム3の幅を50μmとした場合、支持部62,63の幅を10μmと十分薄くする。また、上述したように可動電極61a,61bの水平移動範囲を10μmとした場合、支持部62,63の長さを1000μmのように設定する。このように設定することにより、支持部62,63が他の部分によりも優先的に撓むことになり、その結果、可動電極61a,61b全体がほぼ平行に移動する。
可動電極61a,61bの移動が連結部材8を介してアーム3に伝達される。支持部62,63を片持ち梁と見なしてモールの定理より導かれる応力の一般式を用いてその撓みYを求めると、次式(2)のように表される。式(2)において、Lは支持部62,63の長さ、bは支持部62,63の幅、E(GPa)はシリコンの弾性係数、Nは支持部62,63の数である。
Figure 0004405333
アーム3を完全に閉じるためには、この撓みYが、アーム3のグリップ部3aの間隔の1/2よりも大きければ良い。本実施の形態では、印加電圧が30(V)の時に撓みYが約5μmとなるように調整されており、左右のアーム3を同時に動かすとアーム間隔は約10μmだけ変化する。したがって、アーム3の間隔を10μm以下に設定すれば、30(V)の電圧を印加することでアーム3を完全に閉じることができる。また、40(V)以上の電圧を印加した場合には、片方のアーム3だけを動作させても撓みYが10μmに達するため、アーム3を閉じることができる。
図16はグリップ部3aの把持動作を示す図である。上述したようにグリップ部3aは100μm程度の長さを有する棒状の部材であって、一対の棒状のグリップ部3aが平行に形成されている。本実施の形態では、アーム3および駆動部6は同一シリコン層103により同一平面上に形成されており、駆動部6の可動電極61a,61bは同一平面上を平行に移動する。そのため、アーム3がベース層101に対して平行に移動して開閉を行うため、グリップ部3aによる把持位置が図示上下にぶれることなく試料Sを確実に把持することができる。また、図16(b)に示すように、矩形状の試料Sの場合には、試料Sの側面を平行に把持することができ、接触面の面圧を小さくすることができる。
一方、図16(c)のようにアーム300の根本部分を支点に屈曲するような構造のものでは、アーム300のグリップ部分を平行に形成してもアーム300が円弧状に開閉するため、実際に試料を把持する箇所はアーム先端の一点で把持されることになる。また、アーム開閉の度合いによって把持位置が図示上下に変化する。そのため、微小な試料Sの場合には掴めなくなるおそれがあった。
上述したように、本実施の形態では、駆動部6およびアーム3が同一のシリコン層103から一括で形成されているため、アーム3の厚み方向のズレは基板100の表面粗さにのみ依存し、非常に高精度に形成することができる。そのため、駆動部6およびアーム3は基本的に同一平面上でのみ動作し、厚み方向にずれにくい構造となっている。
また、櫛歯600,610の表面に波形構造を形成することにより櫛歯側面の表面積を拡大することができるが、これは、式(1)において、櫛歯の厚みhが増加したものと同様とみなすことができ、静電気力Fは大きくなる。本実施の形態では、シリコン層103をICP−RIEで異方性エッチングして櫛歯600,610を形成しているため、エッチング加工によって加工壁面に特徴的な横縞が形成される。この縞は波形凹凸形状を有しており、その部分の平均粗さは30nm〜300nm程度である。例えば、平均粗さが100nm前後の場合には、平面の場合に比べて約6〜8%程度表面積が増大すると推定される。
さらに、図3(a)に示すように、アーム3のグリップ部3aはグリッパ本体2の台座7の側方(図示上方)に突出しているが、台座7の側方には連結部5を介してガード4が設けられているため、アーム3の最も破損しやすいグリップ部3aがガード4によって保護される。実際の使用の際には、このガード4を通常のピンセットなどで折り取ってから用いる。
従来、マイクロマニピュレータは精密素子であるために取り扱いが難しく、加工・搬送時に専用の緩衝材や梱包材を要した。しかし、本実施の形態のナノグリッパでは、ガード4の存在により、より簡易に微細先端部を保護でき、保護のために基板等に取り付けなくてもグリッパ単体での取り扱いが容易である。また、ガード4の上面にはシリコン層103による凸部4aが形成されているので、例えば、アーム3が形成されている面を下にして机上等に載置しても、グリップ部3aが机上面と干渉することはない。そのため、ナノグリッパ1の加工中や運搬中における破損を防止され、歩留まりを向上させることができる。
さらに、図6(b)および図6(c)に示す工程において、ベース層101をエッチングして貫通孔7a,7bを有する台座7やガード4,連絡部5および連結部材8を形成した後、緩衝フッ化水素溶液を用いて絶縁層102をエッチングするまでは、絶縁層102だけで形成された薄膜がアーム3の周囲に残ることになる。そのため、ガード4が無く単にアーム3の先端が台座7から突出するような構造の場合には、絶縁層102を除去する前にこの薄膜状の絶縁層102が破れてアーム3の先端(グリップ部3a)に巻き付いて、非常に微細なグリップ先端が破損してしまうおそれがある。しかしながら、面積の広いガード4を設けたことにより絶縁層102がガード4に支持され、そのような破損を防止することができる。
ガード4および連結部5は台座7の加工の際に同時に加工することができるため、ガード4を別途作成する必要がなく、作成にコストを要しない。また、形状についても自由に変更可能であり、ガード4もしくは連結部5をバネ状構造とすることで、衝撃吸収能力を高めることも可能である。
なお、上述した実施の形態は一例を示したものであり、本発明の特徴を損なわない限り、本発明は上記実施の形態に何ら限定されるものではない。
本発明によるナノグリッパ1の概略構成を示す斜視図である。 グリッパ本体2の詳細を示す平面図である。 ナノグリッパ1の断面形状を説明する図であり、(a)はナノグリッパの平面図、(b)は(a)に示した各断面を示す図である。 ナノグリッパ1の製造手順を説明する図であり、(a)〜(d)の順に工程が進む。 図4の工程に続く工程を示す図であり、(a)〜(c)の順に工程が進む。 図5の工程に続く工程を示す図であり、(a)〜(d)の順に工程が進む。 図4(c)のシリコン基板100の斜視図である。 レジストパターン105aおよびアルミ層104を除去した後の基板100を示す斜視図である。 レジストパターン106aを示す斜視図である。 図6(a)のレジスト108およびアルミ層107の形状を示す斜視図である。 図6(b)に示すベース層101の裏面側を示す図である。 図6(c)のベース層101の表面側を示す斜視図である。 グリップ部3aの拡大図である。 固定電極60aおよび可動電極61aの一部を示す拡大図である。 可動電極61a,アーム3および連結部材8の関係を示す図である。 グリップ部3aの把持動作を示す図であり、(a)はグリップ部3aに移動形態を示し、(b)は矩形状試料を把持した状態を示し、(c)は比較例を示す図である。
符号の説明
1 ナノグリッパ
2 グリッパ本体
3,300 アーム
3a グリップ部
4 ガード
4a 凸部
5 連結部
6 駆動部
7 台座
8 連結部材
60a,60b 固定電極
61a,61b 可動電極
62,63 支持部
80〜84 電極端子
100 シリコン基板
101 ベース層
102 絶縁層
103 シリコン層
109 導体膜
600,610 櫛歯

Claims (6)

  1. 基板表面から順にシリコン層,絶縁層およびベース層から成る基板を加工して形成されたナノグリッパであって、
    前記ベース層を加工して形成される台座と、
    前記シリコン層を加工して前記ベース層に平行に延在するように形成され、前記絶縁層を介して前記台座上に設けられた一対のアームと、
    前記シリコン層を加工して前記一対のアームと同一平面上に形成されるとともに前記絶縁層を介して前記台座上に設けられ、前記同一平面上を平行に移動するように前記一対のアームを開閉させる駆動部と備え
    前記一対のアームは、先端部が前記台座の側方に突出するように形成され、
    さらに、
    前記台座のアーム突出方向に空隙を設けて配設されたガードと、
    前記ガードと前記台座とを連結する連結部とを備えたことを特徴とするナノグリッパ。
  2. 請求項1に記載のナノグリッパにおいて、
    前記駆動部は、シリコン層上面に導電膜が形成された対向電極を有する静電アクチュエータであることを特徴とするナノグリッパ。
  3. 請求項1または2に記載のナノグリッパにおいて、
    前記電極は櫛歯形状を有しており、対向する前記電極のシリコン層側面を波形凹凸面に形成したことを特徴とするナノグリッパ。
  4. 請求項1〜のいずれかに記載のナノグリッパにおいて、
    前記駆動部は前記絶縁層を介して駆動力を前記一対のアームに伝達し、
    前記一対のアームに形成された導電膜と、
    前記台座に形成され、前記導電膜と導通している接続端子とを備えたことを特徴とするナノグリッパ。
  5. 基板表面から順にシリコン層,絶縁層およびベース層から成る基板を加工して形成されたナノグリッパであって、
    前記ベース層を加工して形成される台座と、
    前記シリコン層を加工して前記ベース層に平行に延在するように形成され、前記絶縁層を介して前記台座上に設けられた一対のアームと、
    前記シリコン層を加工して前記一対のアームと同一平面上に形成されるとともに前記絶縁層を介して前記台座上に設けられ、前記同一平面上を平行に移動するように前記一対のアームを開閉させる駆動部とを備え、
    前記駆動部は、シリコン層上面に導電膜が形成された対向電極を有する静電アクチュエータであり、
    前記電極は櫛歯形状を有しており、対向する前記電極のシリコン層側面を波形凹凸面に形成したことを特徴とするナノグリッパ。
  6. 請求項5に記載のナノグリッパにおいて、
    前記駆動部は前記絶縁層を介して駆動力を前記一対のアームに伝達し、
    前記一対のアームに形成された導電膜と、
    前記台座に形成され、前記導電膜と導通している接続端子とを備えたことを特徴とするナノグリッパ。
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