JP4405294B2 - デジタル放送信号系統切替装置 - Google Patents
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Description
地上波放送システムの放送送出設備にあっても、アナログ放送で実施されているように、機器の故障及び保守のために、現用・予備の二重化構成とするが考えられている。
現行のアナログ放送システムの放送送出設備では、現用系から予備系に切り替える場合に、切替時に送出信号に対して切り替えの影響を全く与えないようにするために、移相器を用いた切替装置を用いるようにしている(例えば、特許文献1)。
一方、周波数についても、系毎に独立したローカル発信器を備える場合についても、同一の外部基準信号源により制御することによって同一周波数を維持することが可能である。
さらに、上記切替装置では、同軸スイッチと比較すると系統間のアイソレーション、つまり選択しない側からの信号の伝達の阻止能力が低く、特にSHF帯での応用においては、十分なアイソレーションが得られないという問題があった。
そこで、この発明の目的は、デジタル放送信号の系統切替を送出信号に乱れを生じさせることなくスムーズに行うことが可能なデジタル放送信号系統切替装置を提供することにある。
第1及び第2系統のデジタル放送信号を、系統切替信号に応じて選択的に切り替えて送出するデジタル放送信号系統切替装置であって、第1系統に設けられ、該第1系統を伝送すべくデジタル放送信号を送信周波数に変換する第1の送信手段、及び第2系統に設けられ、該第2系統を伝送すべくデジタル放送信号を送信周波数に変換する第2の送信手段と、移相量を任意に設定可能で、第1の送信手段に入力すべくデジタル放送信号を設定された移相量だけ移相する第1の移相手段、及び第2の送信手段に入力すべくデジタル放送信号を与えられた移相量だけ移相する第2の移相手段と、第1の送信手段の出力及び第2の送信手段の出力のいずれか一方を送出信号として選択的に導出する切替手段と、第1及び第2系統の両信号間の位相差を検出する位相差検出手段と、系統切替信号が入力されたとき、第1及び第2の送信手段のうち待機状態にある系統の送信手段の処理を実行させ、位相差検出手段による検出結果に基づいて、第1及び第2系統の両信号間の位相が一致するように第1及び第2の移相手段それぞれの移相量を制御した後に、切替手段を送出系統から待機系統に切替制御する制御手段とを備えるようにしたものである。
この構成によれば、エンドレス型移相器を用いることで、検出された位相差が4象限のうちどの象限に該当するかを判定し、この判定結果に基づいて位相回転方向を決定するようにしている。従って、象限ごとに適切な位相合わせを行なうことができ、これにより位相制御処理を短時間で完了することができる。
この構成によれば、位相差がしきい値以下である場合には、位相誤差が許容範囲内であるので、第1系統及び第2系統の信号間の位相合わせを行なうまでもなく、各系統の移相器に対する移相量の制御を停止するようにしている。このため、不要な位相合わせを防止することができ、これにより短時間で切替処理を完了することができる。
この構成によれば、系統切替信号が入力されたときに、各系統の送信出力レベルが規定値以上であるか否かまたは系統間で位相同期がとれているか否かを確認した上で、系統切替を行なうようにしているので、切替処理上の信頼性をさらに高めることができる。
この構成によれば、送出系統で障害が発生した場合に、自動的に正常な系統へ切り替わり、これにより送出信号を継続して出力することができる。
(第1の実施形態)
図1は、この発明の第1の実施形態としての無停波切替による系統切替冗長システムを示すブロック図である。
図1において、全角連続移相回路111、周波数変換回路112および電力増幅回路113は1系の送信装置の一部を、全角連続移相回路121、周波数変換回路122および電力増幅回路123は2系の送信装置の一部を構成する。符号200はシームレス切替回路であり、300は1系および2系共通の制御回路である。
方向性結合器201,203の結合出力は、それぞれ位相差検出回路208に供給される。位相差検出回路208は、1系、2系それぞれのRF信号の相互相関をとり、信号間の位相差を検出し、この検出結果を位相差情報I1として制御回路300に出力する。
制御回路300は、全角連続移相回路111,121に対し、系統間位相誤差情報I4,I8および待機モード制御信号I5,I9を出力する。また、制御回路300は、電力増幅回路113,123に対し、停止制御信号I6,I10を出力し、電力増幅回路113,123から出力監視信号I7,I11を入力する。
図2において、上記位相差情報I1は、LPF301を介して直流増幅器302に入力される。直流増幅器302は正極性および負極性の出力を各々系統間位相誤差情報I4,I8として全角連続移相回路111,121に出力する。同時に、LPF301の出力は、位相同期監視回路303に供給される。すると、位相同期監視回路303は、位相同期状態情報S1を切替シーケンス回路304に出力する。
切替シーケンス回路304は、受けた信号とシーケンス論理に基づいて、切替制御信号I2、待機モード制御信号I5,I9および停止制御信号I6,I10を出力する。
また、移相量の制御情報は系統間位相誤差情報端子407を介して入力される。この制御情報は、電圧コンパレータ408,409にそれぞれ供給される。電圧コンパレータ408は、入力信号から所定しきい値Th1以上の正極性の信号レベルを検出し、この検出結果をアップダウンカウンタ410に出力する。また、電圧コンパレータ409は、入力信号から所定しきい値Th2以下の負極性の信号レベルを検出し、この検出結果をアップダウンカウンタ410に出力する。
サイン・コサイン関数回路412は、入力された角度情報をアナログ値に変換して電圧制御可変減衰器403,404を制御する。
1系中間周波信号入力端子11および2系中間周波信号入力端子21の両系統の中間周波信号は全く同一の信号であり、基準入力端子12および基準入力端子22の基準信号周波数も同一であるものとする。
各々の系の送信装置はその出力レベルを同一に設定してあって、周波数変換回路112,122のローカル発信周波数を基準入力端子12および22からの同一基準周波数で制御しているので、各系の送信装置の出力周波数も同一にすることができる。
全角連続移相回路111は、機能オンに設定されている期間のみ移相量を制御することが可能であって、機能オフに設定すると直前の移相量を保持したまま可変機能を停止する機能オン・オフ制御端子を備えたものであって、待機モード制御信号が待機モード時のみ機能オンとするように制御する。
切替過渡期において、シームレス切替回路200の出力に全く影響を与えないためには、その位相関係が正確に保たれている必要があり、その位相関係は上記シームレス切替回路200に設けられた位相差検出回路208の出力による。
例えば操作スイッチの操作によって選択信号P2が入力されると、制御回路300よりシームレス切替回路200への切替制御信号が送出されて、シームレス切替回路200の駆動部207の動作により移相器205,206それぞれの移相量が変位し、移相器205,206それぞれの移相量の変化につれて1系出力から徐々に2系出力へとアンテナへの出力端子31へ出力される信号が移行する。
待機モード制御信号I5=「オフ」
待機モード制御信号I9=「オン」
停止制御信号I6=「オフ」
停止制御信号I10=「オン」
切替シーケンス回路304への各入力は、
出力監視信号I7=「オン」(正常出力)
出力監視信号I11=「オフ」(出力なし)
切替完了信号I3=「1系アンテナ側」
である。尚、位相同期状態情報S1は、2系の出力がオフのためゼロもしくは不定である。
待機モード制御信号I5=「オフ」(不変)
待機モード制御信号I9=「オン」(不変)
停止制御信号I6=「オフ」(不変)
停止制御信号I10=「オン」→「オフ」
切替シーケンス回路304への各入力は、
出力監視信号I7=「オン」(正常出力)
出力監視信号I11=「オフ」(出力なし)→「オン」(正常出力)
切替完了信号I3=「1系アンテナ側」(不変)
と一部変化する。
この結果、シームレス切替回路200の位相差検出回路208は2系統のRF信号間の位相差情報を出力し、制御回路300へ位相差情報I1として入力されるので、位相同期監視回路303でその同期状態を監視すると共に、2系の全角連続移相回路121を制御して、系統間の位相差を管理した位相同期状態を実現する。
従って、デジタル放送信号、つまり無停波の系統切替を送出信号に乱れを生じさせることなくスムーズに行うことができ、しかも切替出力の信号品質を良好に維持することができる。
図4は、この発明の第2の実施形態において、制御回路300の具体的構成を示す回路図である。なお、図4において、上記図2と同一部分には同一符号を付して詳細な説明を省略する。
切替シーケンス回路304は、上記緊急切替情報S2,S3を受信することにより、無条件に切替制御信号I2を送出するようにすることで、障害発生時のみ切替に要する時間を短縮することを実現できる。
先の第1の実施形態では、停止状態で待機する場合、その系統切替時に完全な無停波を実現しようとして、切替シーケンス回路304のシーケンス論理に従って、双方の送信機出力レベルが正規のレベルに達し、かつ系統間の同期が達成されるまでの間を確認時間として、シームレス切替回路200への切替制御信号の送出を禁止していたために切替に要する時間が確認時間の分だけ多く必要であった。そこで、本第2の実施形態では、送出系で障害が発生した場合に、自動的に正常な系へ切り替わり、これにより送出信号を継続して出力することができる。従って、障害発生時のみ切替に要する時間を短縮することができる。
この発明は、上記各実施形態に限定されるものではない。例えば、位相差検出回路により検出される位相差がしきい値以下である場合には、各系の全角連続移相回路に対する移相量の制御を停止するようにしてもよい。このようにすれば、不要な位相合わせを防止することができ、これにより短時間で切替処理を完了することができる。また、系統間位相差管理の誤差を許容する動作を可能とすることができ、全角連続移相回路の可変動作を緩やかにすることも可能である。
その他、システムの構成や種類、全角連続移相回路の構成や種類、シームレス切替回路の構成、制御回路の構成、切替制御手順やシーケンス論理の内容等についても、この発明の要旨を逸脱しない範囲で種々変形して実施できる。
Claims (5)
- 第1及び第2系統のデジタル放送信号を、系統切替信号に応じて選択的に切り替えて送出するデジタル放送信号系統切替装置であって、
前記第1系統に設けられ、デジタル放送信号を送信周波数に変換する第1の送信手段、及び前記第2系統に設けられ、デジタル放送信号を前記送信周波数に変換する第2の送信手段と、
移相量を任意に設定可能で、前記第1の送信手段に入力すべくデジタル放送信号を設定された移相量だけ移相する第1の移相手段、及び前記第2の送信手段に入力すべくデジタル放送信号を与えられた移相量だけ移相する第2の移相手段と、
前記第1の送信手段の出力及び前記第2の送信手段の出力のいずれか一方を送出信号として選択的に導出する切替手段と、
前記第1及び第2系統の両信号間の位相差を検出する位相差検出手段と、
前記系統切替信号が入力されたとき、前記切替手段を送出系統から待機系統に切替制御する制御手段とを具備し、
前記第1及び第2の送信手段は、送信出力レベルを監視する出力監視手段を備え、
前記制御手段は、前記位相差検出手段による検出結果から位相同期状態を監視する位相同期監視手段を備え、
前記制御手段は、前記第1及び第2の送信手段が共に起動状態となるホットスタンバイ状態である場合に、前記位相差検出手段による検出結果に基づいて、前記第1及び第2系統の両信号間の位相が一致するように前記第1及び第2の移相手段のうち待機系統側の移相量を制御した後に、前記切替手段を送出系統から待機系統に切替制御し、前記第1及び第2の送信手段のうち待機側で停止状態となるコールドスタンバイ状態である場合に、待機状態にある系統の送信手段の処理を実行させ、前記位相差検出手段による検出結果に基づいて、前記第1及び第2系統の両信号間の位相が一致するように前記第1及び第2の移相手段のうち待機系統側の移相量を制御して前記位相同期監視手段による監視結果から位相同期状態であることを確認した後、前記出力監視手段による監視結果から前記第1及び第2の送信手段の出力が所定レベル以上である場合に、前記切替手段を送出系統から待機系統に切替制御することを特徴とするデジタル放送信号系統切替装置。 - 前記第1及び第2の移相手段は、入力信号に対し4象限で連続的に位相変化を与えるエンドレス型移相器であり、
前記制御手段は、前記位相差検出手段により検出される位相差に応じて、前記エンドレス型移相器に対し位相変化方向となる位相回転方向を決定することを特徴とする請求項1記載のデジタル放送信号系統切替装置。 - 前記制御手段は、前記位相差検出手段による検出結果から、位相差がしきい値以下である場合に、前記第1及び第2の移相手段に対する移相量の制御を停止することを特徴とする請求項1記載のデジタル放送信号系統切替装置。
- 前記制御手段は、前記系統切替信号が入力されたとき、予め設定される所定の条件に従って前記切替手段に切り替えを実行させ、切替完了時に、切替前に送出中であった系統を待機系統としてその系統の送信手段に対し停止制御を行うことを特徴とする請求項1記載のデジタル放送信号系統切替装置。
- 前記第1及び第2の送信手段は、それぞれ自系統の障害を検出する障害検出手段を備え、
前記制御手段は、前記障害検出手段により送出中の系統に障害が検出された場合に、前記送出系統から待機系統に切り替えるように前記切替手段を制御することを特徴とする請求項1記載のデジタル放送信号系統切替装置。
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