JP4404588B2 - 信号到来方向推定装置、アダプティブアレー、受信信号処理装置および測位装置 - Google Patents

信号到来方向推定装置、アダプティブアレー、受信信号処理装置および測位装置 Download PDF

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Description

この発明は、配列された複数の素子アンテナで送信源から到来した信号の到来方向を推定する信号到来方向推定装置、配列された複数の素子アンテナを備えたアダプティブアレー、受信信号のキャリア位相情報を基にして受信信号の処理を行う受信信号処理装置、およびアダプティブアレーを用いた測位装置に関するものである。
GPSのキャリア位相を利用したRTK測位はその精度において他に比較するものがないほど優れている。ところが、GPSにおけるRTK測位にはマルチパス(多重伝搬)の影響を受ける問題がある。マルチパスの影響は、衛星からの信号が建物や地面など複数の箇所で反射し、所望波に重畳して受信アンテナに入射することに起因する。この結果、直接波と反射波が干渉し、測位精度の低下をもたらし、擬似距離観測量における測位誤差成分の増加につながる。さらに、マルチパスの大きさによっては、初期化が不能になり、測位を行うこと自体ができなくなることがある。このため、最近ではこれらの問題を解決するためのマルチパス除去の試みが多方面で進められている(非特許文献1参照)。
菊間信良著、"アレーアンテナによる適応信号処理"、株式会社科学技術出版、1998年11月25日、p.1〜4
上記問題に対する一つの試みとして、GPSアンテナの指向性を制御して所望波以外の成分を抑圧する方式がある。全方位から到来するGPS信号に対応してアンテナの指向性を制御するためには、アンテナを2次元アレー化する必要がある。しかし、これを実現するためには、各素子アンテナで受けた信号を受信信号処理部ですべて同一の基準周波数信号および同一の基準クロック信号で処理し、A/D変換後のデータを1つのデータ処理部でまとめて処理する必要がある。そのため特殊な受信機と非常に高速に大量のデータを処理する大規模回路を必要とし、極めて高価なシステムとなる。
また、GPSアンテナの素子が接近すれば相互干渉という問題も生じ、一般市場に流れるシステムとしてはコスト的に実現が困難である。
上述の問題はGPSに限らず、配列された複数の素子アンテナで到来信号を受け、そのキャリア位相を基に信号の到来方向を推定する場合に一般的に生じる。例えば、水中音響装置において音波の到来方向を推定するような場合にも当てはまる。
そこで、この発明の目的は、上述の問題を解消して、複数の受信機を用いて且つ各受信機からキャリア信号を受信機外部へ同期して取り出すことなく、また同一の基準クロックを用いることなく、信号の到来方向の推定を可能とした信号到来方向推定装置を提供することにある。
また、従来の受信信号のキャリア位相情報を基にして受信信号の処理を行う装置においては、アンテナをアレー化して複数のハードウェアで信号処理を行う際に、アナログオフセット(ラインバイアス)と呼ばれるアンテナや高周波回路での位相のバラツキが問題となる。すなわち、求められる受信信号のキャリア位相情報は受信機ごとにバラツキが存在するため、信号到来方向の推定や受信ビームフォーミングなどの信号処理では、上記アナログオフセットが大きな誤差要因となる。
従来はこのアナログオフセットを取り除こうとすれば、アンテナや高周波増幅回路の製作時に測定器を用いて校正しなければならず手間がかかることになる。また温度変化や経年変化などによっても変化するため、上記アナログオフセットを完全に除去することはできなかった。
そこでこの発明のもう一つの目的は、上記アナログオフセットを自動的に求めて、その校正を行えるようにした受信信号処理装置を提供することにある。
この発明の信号到来方向推定装置は、送信源から到来した信号を配列された複数の受信点でそれぞれ受信し、該受信による受信信号のキャリア位相を追尾して得られる積算デルタレンジ(ADR:Accumulated Delta Range )をそれぞれ求める複数の受信機と、前記積算デルタレンジの値を到来信号の波面の位相として、到来信号の角度スペクトラムを求め、該角度スペクトラムから前記到来信号の到来方向を推定する到来方向推定手段とを備えたことを特徴としている。
また、この発明の信号到来方向推定装置は、前記複数の受信点をM行N列の2次元に配列し、前記到来方向推定手段が、前記積算デルタレンジをM・N×1の列ベクトルとしてデータ化し、該データの相関行列を求め、当該相関行列の固有値・固有ベクトルを用いて前記角度スペクトラムを求めるようにしたことを特徴としている。
この発明の受信信号処理装置は、送信源から送信された信号を基準受信機と校正対象受信機でそれぞれ受信し、該受信による受信信号のキャリア位相情報を基にして受信信号の処理を行う装置において、基準受信機と校正対象受信機の観測により求めた受信信号のキャリア位相情報の差である受信機間観測1重差を求めるとともに、基準受信機と校正対象受信機の受信点と前記送信源の位置に基づいて、基準受信機と校正対象受信機との間でのキャリア位相の受信機間計算1重差を求め、該受信機間計算1重差と前記受信機間観測1重差との差分を前記校正対象受信機の観測によるキャリア位相情報の誤差として求めるとともに該誤差分の校正を行う手段とを備えたことを特徴としている。
この発明のアダプティブアレーは、受信信号処理装置の受信機の受信点をL字,十字配列を含む2次元アレーに配列し、各受信点での受信信号に対して、所定の複素重みを乗じるとともにそれらの結果を加算して1つの受信信号を求める受信信号処理手段と、該受信信号処理により所望の指向性パターンをもつように前記複素重みを制御する手段とを設けたことを特徴としている。
また、この発明の測位装置は、アダプティブアレーを備え、該アダプティブアレーにより測位用衛星からの信号を受信して該受信信号から当該アダプティブアレーの位置を測位する手段を設けたことを特徴としている。
また、この発明の信号到来方向推定装置は、送信源から到来した信号を配列された複数の受信点でそれぞれ受信し、該受信による受信信号のキャリア位相を追尾して得られる当該受信信号のキャリア位相情報をそれぞれ求める複数の受信機と、前記キャリア位相情報から到来信号の角度スペクトラムを求め、該角度スペクトラムから前記到来信号の到来方向を推定する到来方向推定手段とを備えたことを特徴としている。
この発明によれば、各受信機はそれぞれ独立していながら、受信信号のキャリア位相を追尾して得られる積算デルタレンジADR等の位相情報を各受信機から読み出すことによって信号の到来方向を推定できるので、ハードウェアとしては従来の受信機をそのまま用いることができ、極めて低コストに信号到来方向推定装置を構成できるようになる。
また、複数の受信点をM行N列の2次元に配列し、到来方向推定手段が、積算デルタレンジをM・N×1の列ベクトルとしてデータ化し、該データの相関行列を求め、当該相関行列の固有値・固有ベクトルを用いて前記角度スペクトラムを求めることによって、1次元のデータ処理によって信号到来方向を容易に求められるようになる。
また、この発明によれば、受信信号のキャリア位相情報の誤差が求められ、その校正が自動的に行えるので、校正作業に手間が掛からず、しかも温度変化や経年変化などによる影響も受けずに正確なキャリア位相情報を得る受信信号処理装置を構成することができる。
また、この発明によれば、各受信点での受信信号に所定の複素重みを乗じることによって所望波を受け、不要波を受けないようにして選択受信が可能なアダプティブアレーが構成できる。
さらにこの発明によれば、直接波による受信信号で且つ正確なキャリア位相情報を基にして高精度な測位が可能な測位装置が構成できる。
この発明の第1の実施形態に係る信号到来方向推定装置の構成を図1〜図11を参照して説明する。
図1は信号到来方向推定装置の構成を示す図である。(B)は全体の構成を示すブロック図、(A)はそのうちのGPS受信機の構成を示すブロック図である。GPS受信機は(A)に示すように、GPSアンテナ11による信号を所定の中間周波信号に変換するダウンコンバータ12、その信号をディジタルデータ列に変換するA/Dコンバータ13およびそのディジタルデータを順次入力して信号処理を行い、後述するADRを含むデータを出力する信号処理部14、および信号処理部14の制御を行うとともに測位演算を行う測位演算部15とから構成している。信号処理部14は複数のGPS衛星からの信号を同時に受信するために複数チャンネル分備えている。ダウンコンバータ12は、基準周波数信号をローカル信号とし、GPSアンテナ11からの入力信号を中間周波信号に周波数変換する。A/Dコンバータ13はその信号を所定ビット数のディジタルデータに変換する。
信号到来方向推定装置は図1の(B)に示すように、複数のGPSアンテナ11a,11b・・・11iと、複数のGPS受信機5a,5b・・・5iと、DSP(ディジタルシグナルプロセッサ)からなるデータ処理部6を備えている。データ処理部6は各GPS受信機5a,5b・・・5iから出力されるADRを読み取り、データ処理により信号の到来方向を推定する。なお、GPS受信機5a,5b・・・5iはそれぞれ個別の筐体に納めた装置であってもよいし、それぞれ単一の基板に構成して、それらの基板状態で1つの筐体内に組み込んでもよい。
図2は図1の(A)に示した信号処理部14の構成を示すブロック図である。また図3は上記信号処理部14内に設けられているキャリアNCO71とADRとの関係を示すブロック図である。
信号処理部14において、キャリアNCO71は測位演算部15からの制御データを受けて所定周波数で位相が0°と90°のキャリア信号(I信号,Q信号)を発生する。コード発生器73は所定のコード位相のずれを有する3つのC/Aコード(E,P,L)を発生し、コードNCO72はそのコード位相を数値制御する。乗算器74,75,76は、所定のコード位相ずれを有する3つのC/Aコード(E,P,L)とIF信号とを乗算する。乗算器77,78は、乗算器74の乗算結果に対してI信号とQ信号をそれぞれ乗算する。また、乗算器79,80は、乗算器75,76の乗算結果に対してI信号をそれぞれ乗算する。
PI積分器81,PQ積分器82は、乗算器77,78の出力値を積算することによって、キャリアNCO71が発生したキャリア信号とIF信号のキャリア成分との相関値を求め、その結果をレジスタ86,87へ入力する。また、EI積分器83,LI積分器84は、乗算器79,80の出力値を積算することによって、コード発生器73が発生した位相の異なる2つのコードとIF信号のコードとの相関値を求め、加算器85は、EI積分器83の積算値とLI積分器84の積算値との差を求め、その値をレジスタ88へ入力する。
測位演算処理部15は、レジスタ86,87,88に求められた相関結果からC/Aコード位相およびキャリア位相を求めるとともにその追尾を行う。
キャリアNCO71は図3に示すように、所定ビット分のD型フリップフロップ711と所定ビット幅の加算器712とを組み合わせたものである。D型フリップフロップ711の出力がキャリアNCO71の出力であり、ADRの小数値に相当する。このフリップフロップ711の最上位ビットがπラジアンのウェイトを持ち、その次のビットはπ/2ラジアン、その次がπ/4ラジアンというようにウェイトが1/2ずつ小さくなる関係にある。したがって、フリップフロップ711の出力値の変化が一巡した時に位相が2πラジアン変化したことになる。ADRカウンタ89はソフトウエアの処理によるカウンタであり、フリップフロップ711の最上位ビットからキャリーを検出して、その数をカウントすることによってADRの整数値を求める。
このような構成により、加算器712に対する設定周波数の値によってフリップフロップ711が一巡するに要するクロック数が変化するので、この設定周波数の値によってキャリアNCO71の出力信号の周波数を設定することができる。また、上記ADRの小数値の変化が一巡する周期は位相ロックしているキャリア信号の1周期に対応しているので、D型フリップフロップ711の出力値を基準クロック信号に同期したキャリア信号の1周期に相当するタイミングで読み出したときの値が受信信号のキャリア位相情報に等しい。
図1に示した各GPS受信機5a〜5iは、受信信号のキャリア位相情報として、このADRの整数値と小数値を例えば毎秒出力する。
次に、MUSIC法によって信号の到来方向を推定する方法について述べる。
図1の(B)に示した信号到来方向推定装置は、そのアンテナ11a〜11iのそれぞれを素子アンテナとするアレーアンテナを構成している。このアレーアンテナからの入力ベクトルXは、素子数がKでL波の到来波(平面波)が到来する場合、次のように表される。
Figure 0004404588
ここで、
Figure 0004404588
Figure 0004404588
Figure 0004404588
Figure 0004404588
ただし、Fl (t),θl はそれぞれ第l(エル)波の複素振幅(波形)と到来方向、Ψi(θl)はi番目の素子における第l(エル)波の受信位相で、リニアアレーの場合、
Figure 0004404588
である。ただし、λは波長、diは基準点から各素子アンテナまでの距離である。
この時の入力相関行列は次式で表される。
Figure 0004404588
ここで、
Figure 0004404588
であり、σ2 は熱雑音電力である。また、信号(波源)相関行列Sは次式のように成分表示される。
Figure 0004404588
熱雑音が存在しない場合、到来波が互いに無相関であれば、Sは対角行列となり、ランクLである。このとき、上記入力相関行列Rxx=ASAH はランクLの非負定値エルミート行列である。この行列の固有値をμi (i=1,2, ・・・,K) 、対応する固有ベクトルをei (i=1,2, ・・・,K) で表すと、
Figure 0004404588
と表すことができ、その固有値μi は実数で、
Figure 0004404588
という関係をもつ。また、対応する固有ベクトルei は、
Figure 0004404588
である。ただし、δikはクロネッカーのデルタである。
ここで、熱雑音が存在する場合には、相関行列の固有値λiは熱雑音がない場合の固有値μiに熱雑音電力σ2 が加算された
Figure 0004404588
とおいて相関行列Rxxの固有値を表すと、
Figure 0004404588
という関係式を得る。したがって、相関行列の固有値を求め、熱雑音電力σ2 より大きい固有値の数から到来波数Lを推定することができる。
ここで、内部雑音電力に等しい固有値に対応する固有ベクトルに対しては次の関係式が導出できる。
Figure 0004404588
したがって、
Figure 0004404588
が導かれ、さらに行列AとSがフルランクであることから、
Figure 0004404588
すなわち、
Figure 0004404588
となる。これは内部雑音電力に等しい固有値に対応する固有ベクトルがすべて到来波の方向ベクトルと直交することを意味している。それ故、MUSICパワースペクトラムは次式で定義できる。
Figure 0004404588
ただし、
Figure 0004404588
である。
このMUSICパワースペクトラムは、信号の到来方向θに対する受信信号強度の分布を表すものであるので、このスペクトラムからθに対するスペクトラムのL個のピークを探すことにより、L個の到来波の方位{θ1,θ2・・・,θL}を求める。こうして到来方向が求まれば、逆行列演算により、
Figure 0004404588
を計算し、この行列Sの第i対角成分から第i到来波の受信電力(強度)が得られる。
以上に述べた例はリニアアレーについてであったが、2次元MUSIC法による到来方向の推定は次のようにして行う。
図4は複数の素子アンテナの2次元上への配置例を示している。(A)の場合、5×5で合計25個の素子アンテナを、直交するマトリックスの各交点にそれぞれ配置している。また(B)に示す例では、5×5のマトリックスを考えた時、第3行と第3列に合計9個の素子アンテナを配置している。このように2次元上に配置した場合には、概念的に1次元の場合の拡張を行う。
まず図6に示すように、大きさM×Nの2次元アレーで取得した入力データ(ADRの小数値)をM×1の列ベクトルに展開する。この受信データの時系列は紙面に垂直方向に存在するものと考え、用いる入力データは瞬時値である。
そして、この列ベクトルを1次元の場合の(1)式に示した入力ベクトルXと同様に考え、(7)式で相関行列Rxxを計算する。
続いて、この相関行列Rxxに対して上述した1次元MUSIC法の計算を行う。
以上の処理をADRが更新される1秒毎に行う。
次に、この信号到来方向推定装置の特性をシミュレーションした結果を示す。
まずM×Nの正方アレーアンテナに対し、(θ,φ)座標系で任意の複数個の正弦波が入射するものとし、それらの入力波を各素子アンテナ上で時間の関数として加算合成する。
図5はこの仰角θと方位角φの関係を示している。
各入射波の到来方向は、仰角θ(0≦θ≦90°)、方位角φ(−180≦φ≦180°)、正弦波に重畳するノイズの割合σ%、素子アンテナの数5×5、素子アンテナの間隔d=λ/2、周波数f=1.5GHzとした。ここでλは周波数fの1波長である。
図7は図4の(A)に示した5×5の正方アレーアンテナのシミュレーションデータに2次元MUSIC法を適用した場合の結果、図8は図4の(B)に示した十字形状アレーアンテナのシミュレーションデータに2次元MUSIC法を適用した場合の結果である。ただし、図4の(B)に示した十字形状アレーの場合は、正方形状アレーのデータに対して、素子アンテナの存在しない部分(16個)のデータをすべて0として計算した。
図7・図8ともに、(A)は入射波数1、到来方向(θ=30°,φ=60°)、ノイズ1%、(B)は入射波数2、到来方向(θ=30°,φ=60°:θ=80°,φ=−60°)、ノイズ1%とした場合の例である。
上記シミュレーションでは、シミュレーションプログラムの機能を確認するために各素子アンテナに時系列の時間波形が入射するようにシミュレーションしたが、時間波形の瞬時データを入力した場合にも同様の結果が得られた。したがってADRを入力データとした場合も同様である。この結果から、正方アレーアンテナの場合も十字形状アレーアンテナの場合も、ADRの小数値に対して二次元MUSIC法の計算を適用することにより、精度のよい到来方向推定が行えることが確認できた。
なお、十字形状アレーアンテナの場合、隣接するGPSアンテナの素子同士の接近関係が緩和されるので、課題で述べた相互干渉の問題は解消できる。また、十字形状に限らず、L字状に各素子アンテナを配列しても同様の作用効果を得ることができる。
次に、実際の観測結果について示す。観測条件は次のとおりである。
測定地 西宮市(東経135 °北緯34°)
測定日 2001.2.14
GPStime 666181918 〜666186918
補正基準の衛星(SVm )SV7
対象とする衛星(SVs )SV1
使用した座標系
天頂90°水平 0°とする仰角θ
北向 0°西向-90 °とする時計回りの方位角φ
なお、上記補正基準の衛星は、後述するアナログオフセット(ラインバイアス)の補正を行うために用いた最も天頂付近にある基準衛星である。
図9の(A)は時間経過にともなう仰角θの変化、(B)は時間経過にともなう方位角φの変化をそれぞれ理論値と共に示している。ここで、実測値は、前述した二次元MUSIC法の計算により求めた角度スペクトラムのピーク値をとる方向(θ,φ)である。
図10は図9に示した値をそのまま(θ, φ)の座標に当てはめ、測定点を中心とする上空から見た円上にプロットした図である。また、図11は図9の結果を得た生データに対して時間平均幅100秒で単純移動平均した後、二次元MUSIC法の計算を行った結果である。ただし、図面の煩雑化を避けるため、図10・図11ではデータ5000点の内4000点までプロットしている。
この結果、天頂角53°〜71°, 方位角76°〜42°まで動いている衛星を天頂角、方位ともに10°以下の誤差で追従できることが確認できた。
次に、第2の実施形態に係る測位装置の構成について図12・図13を基に説明する。
この受信装置はマルチパスなどによる不要波を受けずに所望波のみを受けて測位を行うようにしたものである。図12において、11a,11b・・・11iは図4に示したように複数の素子アンテナである。2で示す部分は各素子アンテナ11a〜11iの受信信号に対して複素重みを与える複素重み付与部である。21a,21b・・・21iは各素子アンテナの受信信号の振幅を調整する振幅調整器、22a,22b・・・22iは各素子アンテナの信号の位相を調整する位相調整器である。加算器3は、これらの振幅調整および位相調整された各素子アンテナの受信信号を加算して1つの受信信号としてGPS受信機7へ与える。
GPS受信機5a,5b・・・5iおよびデータ処理部6の構成は図1の(B)に示した信号到来方向推定装置の構成と同様である。ただし、データ処理部6は不要波Uの方向θuの利得が小さくなり、所望波Sの方向θSの利得が大きくなる指向性パターンとなるように、複素重み付与部2の振幅調整器21a〜21iおよび位相調整器22a〜22iの調整量を与える。
図13は上記データ処理部6の処理手順を示すフローチャートである。まず各GPS受信機5a,5b・・・5iからADRの小数値のデータを収集する(S11)。そして、MUSIC法によって所望周波数の電波の到来方向を推定する(S12)。これらの複数の電波到来方向のうち、前述した方法により求めたGPS衛星の方向以外の電波到来方向を不要波の方向として検出する(S13)。そして、所望波(GPS衛星からの直接波)と不要波(反射波)の到来方向を拘束条件としてDCMP法により最適複素重みを求める(S14→S15→S16)。そして、この複素重みを複素重み付与部2へ与える(S17)。以上の処理を必要に応じて繰り返す(S18→S11→・・・)。なお、ステップS14では不要波についてのみ拘束条件を課すようにしてもよい。
上記DCMP法による最適複素重みを求める解析手法については、本願出願人は特願2003−129496で出願したものと同様である。図13におけるステップS15の処理では上記出願の方法を適用する。
なお、上述の例では、複数の受信点をM・N×1の列ベクトルとして処理したが、このような列ベクトルに変換せずに2次元の相関ベクトルを求め、その相関ベクトルの固有値・固有ベクトルを用いて角度スペクトラムを求めるようにしてもよい。
また、以上の各実施形態では、GPS受信機から出力される積算デルタレンジADRを入力して信号の到来方向を推定するようにしたが、受信機が受信信号のキャリア位相を求めて出力されるキャリア位相情報であれば、それを同様に利用できる。
次に、第3の実施形態に係る測位装置について図14を基に説明する。
この第3の実施形態では、図12に示したGPS受信機5a,5b・・・5iのアナログオフセット(ラインバイアス)の補正を行うものである。図14はそのための処理手順を示すフローチャートである。
まずGPS受信機は受信信号を基に各衛星からの電波のコード位相およびキャリア位相を観測する(S21)。また、受信信号に重畳されている航法メッセージを抽出し、これらの情報を基にして受信点の測位演算を行う(S22→S23)。そして、基準とする受信機、校正対象の受信機、および基準とする衛星の位置関係に基づいて、基準受信機から見た基準衛星のキャリア位相と、校正対象の受信機から見た基準衛星のキャリア位相との差を受信機間計算1重差として算出する(S24)。また、基準受信機で観測した基準衛星のキャリア位相と、校正対象の受信機で観測した基準衛星のキャリア位相との差を受信機間観測1重差として求める(S25)。なお基準衛星としては各種誤差要因の少ない最も天頂付近の衛星を選ぶ。
その後、上記受信機間計算1重差と受信機間観測1重差との位相差をアナログオフセットとして求め、その分の校正を行う(S26)。
このようにアナログオフセットの校正を自動的に行うことによって、校正作業に手間が掛からず、しかも温度変化や経年変化などにも追従して、常に正確なキャリア位相情報を得る受信信号処理装置を構成することができる。その結果、信号到来方向の推定や受信ビームフォーミングなどの信号処理を高精度に行うことができる。
なお、以上に示した実施形態では、MUSIC法により信号到来方向を推定する例を示したが、同様にADRの小数値をキャリア位相情報として扱い、ビームフォーマ法、Capon法、線形予測法、最小ノルム法、ESPRIT法(いずれも非特許文献1参照。)などを適用して信号到来方向を推定するようにしてもよい。さらには、単にFFT(高速フーリエ変換)の演算によって、角度スペクトラムを求めてもよい。もちろんこのFFTによる方法では、上記実施形態で示したアレーアンテナの場合、全周360度をほぼ8方向ぐらいにしか分離できず、分解能が45度程度となるので、低分解能でも効果がある場合に適用できる。また、アンテナの素子数が増えれば実用上問題はない。
また、実施形態では、複素重みを付与する際に、所定の指向性パターンを得るための複素重みを求めるためにDCMP法を用いたが、その他にMMSE法(最小2乗誤差法)、MSN法(最大SNR法)、Capon法(いずれも非特許文献1参照。)を適用してもよい。
第1の実施形態に係る信号到来方向推定装置の構成を示すブロック図 同装置の信号処理部の構成を示すブロック図 キャリアNCOとADRカウンタとの関係を示す図 2次元アレーアンテナの各素子アンテナの配置例を示す図 2次元アレーアンテナと電波到来方向の座標系を示す図 2次元アレーアンテナの各GPS受信機が求めたADRのデータから1次元の列ベクトルへの変換例を示す図 正方アレーアンテナのシミュレーションデータに2次元MUSIC法を適用した場合の結果を示す図 十字アレーアンテナのシミュレーションデータに2次元MUSIC法を適用した場合の結果を示す図 2次元MUSIC法で求めた信号到来方向の時間経過にともなう変化の例を示す図 図9に示した結果を(θ,φ)の座標に当てはめて上空から見た円上にプロットした図 図9の結果を得た生データに対して単純移動平均した結果を示す図 第2の実施形態に係る測位装置の構成を示すブロック図 同測位装置のデータ処理部6の処理手順を示すフローチャート 第3の実施形態に係る測位装置におけるアナログオフセットの抽出および校正の手順を示すフローチャート
符号の説明
2−複素重み付与部
5−GPS受信機
6−データ処理部
11−素子アンテナ
21−振幅調整器
22−位相調整器

Claims (5)

  1. 送信源から到来した信号を、配列された複数の受信点でそれぞれ受信し、該受信による受信信号のキャリア位相を追尾して得られる積算デルタレンジをそれぞれ求める積算デルタレンジ検出手段と、
    前記積算デルタレンジの値を到来信号の波面の位相として、到来信号の角度スペクトラムを求め、該角度スペクトラムから前記到来信号の到来方向を推定する到来方向推定手段と
    前記複数の受信点でそれぞれ受信する複数の受信機のうち、基準受信機と校正対象受信機の観測により求めた受信信号のキャリア位相情報の差である受信機間計算1重差を求めるとともに、前記基準受信機と前記校正対象受信機の受信点と前記送信源の位置に基づいて、基準受信機と校正対象受信機との間でのキャリア位相の受信機間計算1重差を求め、該受信機間計算1重差と前記受信機間観測1重差との差分を前記校正対象受信機のアナログオフセットとして求めるとともに、前記積算デルタレンジを前記アナログオフセットで補正するアナログオフセット補正手段と、を備えた信号到来方向推定装置。
  2. 前記複数の受信点をM行N列の2次元に配列し、前記到来方向推定手段が、前記積算デルタレンジをM・N×1の列ベクトルとしてデータ化し、該データの相関行列を求め、当該相関行列の固有値・固有ベクトルを用いて前記角度スペクトラムを求めるようにした、請求項1に記載の信号到来方向推定装置。
  3. 請求項1または2に記載の信号到来方向推定装置を備え、該信号到来方向推定装置の前記複数の受信点での各受信信号に対して、所定の複素重みを乗じるとともにそれらの結果を加算して1つの受信信号を求める受信信号処理手段と、前記信号到来方向推定装置により推定された信号到来方向のうち所望波の方向に指向性をもつように前記複素重みを制御する手段とを設けたアダプティブアレー。
  4. 請求項に記載のアダプティブアレーを備え、該アダプティブアレーにより測位用衛星からの信号を受信して該受信信号から当該アダプティブアレーの位置を測位する手段を設けた測位装置。
  5. 送信源から到来した信号を配列された複数の受信点でそれぞれ受信し、該受信による受信信号のキャリア位相を追尾して得られる当該受信信号のキャリア位相情報をそれぞれ求めるキャリア位相情報検出手段と、
    前記キャリア位相情報から到来信号の角度スペクトラムを求め、該角度スペクトラムから前記到来信号の到来方向を推定する到来方向推定手段と
    前記複数の受信点でそれぞれ受信する複数の受信機のうち、基準受信機と校正対象受信機の観測により求めた受信信号のキャリア位相情報の差である受信機間計算1重差を求めるとともに、前記基準受信機と前記校正対象受信機の受信点と前記送信源の位置に基づいて、基準受信機と校正対象受信機との間でのキャリア位相の受信機間計算1重差を求め、該受信機間計算1重差と前記受信機間観測1重差との差分を前記校正対象受信機のアナログオフセットとして求めるとともに、前記キャリア位相情報を前記アナログオフセットで補正するアナログオフセット補正手段と、を備えた信号到来方向推定装置。
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