JP4404554B2 - ガスケットの接着方法 - Google Patents

Description

【０００１】
【産業上の利用分野】
本発明は、密封すべき母体にゴム材からなるガスケットを接着する接着方法に関し、具体的には溶剤を用いた接着剤と接着方法の改良に関する。
【０００２】
【従来の技術】
【特許文献１】
特開平５−３４６１７１号
従来、弾性に優れるゴム材からなったガスケットは、柔軟であり形状維持性が悪いため接着剤によって母体の正確な位置に接着固定せしめており、このガスケットの取付けられた母体を対峙する密封部へ装着して該密封箇所の密封をなさしめている。
このような接着剤としては、各種樹脂系接着剤、ポリエステル系接着剤、あるいはポリアロマテック系接着剤などが用いられており、ガスケットのゴム材としては、スチレンブタジエンゴム（ＳＢＲ）、アクリロニトリルブタジエンゴム（ＮＢＲ）、アクリルゴム（ＡＣＭ）などが知られている。
一方、前記接着剤を希釈する希釈剤としてはケトン類、エーテル類、アルコール類、あるいはフェノール類などがその材料に応じて使い分けられている。
【０００３】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、前記したようなゴム材、接着剤、及び希釈剤を選択し最良の組み合わせを行なって接着しても接着対象の母体に問題ある場合は用を成さないものとなる。
すなわち、前記母体の表面層が軟弱面あるいは租面などである場合では接着剤を塗布しても形成された接着剤の層が剥離したり密着浸透しない不具合が生じるもので、ガスケットの固着を保証し得ることができない。
【０００４】
本発明はこのような大きな欠点に鑑み、密封すべき母体に対して強力な接着性を持つガスケットの接着方法を開発し、固着取付け性を確保すると同時にシール性能を飛躍的に向上させることを目的としている。
【０００５】
【課題を解決するための手段】
本発明を図面に基づいて説明すると、図１に示すように弾性を有するゴム材にてガスケット（１）を形成し、接着剤（２）を介して母体（３）へ接着せしめるガスケット（１）の接着方法であって、接着剤（２ａ）と、前記接着剤（２ａ）と同一の接着剤（２ａ）を溶媒に溶融させた希釈剤（２ｂ）とを形成し、前記母体（３）のガスケット（１）装着箇所へ前記接着剤（２ａ）を溶融した希釈剤（２ｂ）を塗布せしめた後、接着剤（２ａ）を塗布してガスケット（１）を母体（３）へ接着せしめることを特徴としている。
【０００６】
なお、前記母体(３)は、接着剤(２ａ)を含浸した希釈剤(２ｂ)が含浸可能な材料からなることを特徴としている。
【０００７】
【発明の実施の形態】
前記のように本発明では、同一の接着剤(２ａ)を含浸する希釈剤(２ｂ)と接着剤(２ａ)とをそれぞれ含浸用と接着用とに分けて希釈倍率を変えて設け、これを図１に示すように母体(３)へそれぞれを別々に塗布せしめることにより、接着剤同士の接着をなさしめて強力な接着性を得るものとしている。
【０００８】
【実施例】
図１は本発明に係る接着方法の実施例を示す断面図であり、図１で本発明の基本的な構成を示している。
【０００９】
本発明での接着剤（２ａ）としては、エポキシ樹脂系、シアノアクリレート樹脂系、ポリウレタン樹脂系、シリコーン樹脂系、エラストマー系、フェノール樹脂系、アクリル樹脂系、ユリア樹脂系、メラニン樹脂系、熱可塑性樹脂系、ポリエステル系、ポリアロマティック系などが採用可能で、これらの溶媒としては、エポキシ樹脂系を例にとれば、メチルエチルケトンなどのケトン類、エチレングリコールモノブチルエーテルなどのエーテル類、イソブチルアルコールなどのアルコール類、キシレンなどのフェノール類等が挙げられる。
【００１０】
その希釈剤における接着剤の固形分濃度は３〜４０％が適当であり、接着用に用いる接着剤（２ａ）の固形分濃度としては３０〜１００％であることが望ましいものとなる。
【００１１】
一方、このような接着剤(２ａ)及び希釈剤(２ｂ)を塗布する母体(３)においては、カーボン材あるいは不織布等の希釈剤(２ｂ)が含浸し易い材料を対象としており、カーボン材のプレートの場合その表面粗さは２〜１７μｍ程度のものがこの対象となっている。
【００１２】
なお、これに接着するガスケット(１)にあっては、スチレンブタジエンゴム（ＳＢＲ）、アクリロニトリルブタジエンゴム（ＮＢＲ）、アクリルゴム（ＡＣＭ）などに加え、フッ素ゴム(ＦＫＭ)、シリコーンゴム(ＶＭＱ)、 ブチルゴム(ＩＩＲ)、エチレンプロピレンターポリマー (ＥＰＤＭ) などがその成型使用範囲にある。
【００１３】
母体(３)へのガスケット(１)の実際での接着においては、カーボンプレートへエポキシ樹脂系接着剤を用いて接着する場合、その圧着条件として、
１５０℃： １分〜４時間
圧力 ： ０．１Ｎ〜５０Ｎ／ｃｍ²
を実施して好結果を得た。
【００１４】
【発明の効果】
本発明は上記のように、同一の接着剤(２ａ)を溶融する希釈剤(２ｂ)と接着剤(２ａ)とをそれぞれ含浸用と接着用とに分けて希釈倍率を変え、これを１度目は接着剤(２ａ)もろとも希釈剤を母体(３)へ含浸せしめ、２度目に接着剤(２ａ)をその希釈剤(２ｂ)が含浸した表面へ塗布せしめることにより、接着剤同士の強い接着をなさしめ強力な接着力を得ている。
前記のように本発明は、ガスケット(１)を接着する母体(３)の表面層が軟弱あるいは租面であってもガスケット(１)の固着を保証し得ることのできる優れたガスケットの接着方法となったものである。
【図面の簡単な説明】
【図１】本発明の一実施例を示す断面図である。
【符号の説明】
１ ガスケット
２ａ 接着剤
２ｂ 接着剤を含浸する希釈剤
３ 母体

Claims (5)

1. 弾性を有するゴム材にてガスケットを形成し、
   接着剤を介して密封する母体へ接着せしめるガスケットの接着方法において、
   接着剤と、前記と同一の接着剤を溶媒に溶融させた希釈剤とを形成し、
   母体のガスケット装着箇所へ前記接着剤を溶融した希釈剤を塗布せしめた後、
   接着剤を塗布してガスケットを接着せしめることを特徴とするガスケットの接着方法。
2. 前記母体は、接着剤を溶融した希釈剤が含浸可能な材料からなることを特徴とする請求項１のガスケットの接着方法。
3. 前記接着剤を溶融した希釈剤を母体に塗布して含浸せしめ、
   その後、接着剤を塗布してガスケットを接着せしめることを特徴とする請求項１ないし２のガスケットの接着方法。
4. 前記希釈剤における接着剤の固形分濃度は３〜４０％であることを特徴とする請求項１、２、ないし３のガスケットの接着方法。
5. 前記接着剤の固形分濃度は３０〜１００％であることを特徴とする請求項１、２、３、ないし４のガスケットの接着方法。

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