以下は、本発明の好適な実施形態の一例についての説明である。なお、以下の説明には、複数の実施形態についての説明とが含まれている。最初にこれらの実施形態に共通する構成に係る説明がなされ、次にこれらの実施形態に特有の構成に係る説明が順になされる。そして最後に、本実施形態に実現された発明と実施形態との関係についての説明がなされる。
<共通の構成>
図1は、本明細書に含まれる全ての実施形態に係るプリンタシステム1の概略的な構成を示す図である。プリンタシステム1はインクカートリッジ10及びインクジェットプリンタ20を有している。インクジェットプリンタ20(以下、「プリンタ20」とする)は、制御部22、報知部29、インクジェットヘッド23、搬送ユニット24及び収容ケース30を有している。制御部22は、プリンタ20の動作を制御する。報知部29は制御部22の指示に従って、プリンタ20の動作状況に係る種々の情報をプリンタ20のユーザに報知する。例えば報知部29がディスプレイを有しており、種々の情報がそのディスプレイに表示されることによってユーザに報知されてもよい。
インクジェットヘッド23は複数のノズル23aを有している。インクジェットヘッド23の内部には、図示されていないインク流路が形成されており、かかるインク流路から供給されたインクがノズル23aから下方へと吐出される。搬送ユニット24は印刷用紙Pをインクジェットヘッド23の下方へと搬送する。インクジェットヘッド23から吐出されたインクは、搬送ユニット24が搬送した印刷用紙P上に着弾する。制御部22は、プリンタ20に接続されたパーソナルコンピュータ等から送信された画像データに基づいて、インクジェットヘッド23からのインク吐出と搬送ユニット24による印刷用紙Pの搬送とを制御する。これによってプリンタ20は、画像データに相当する画像を印刷用紙P上に形成する。
収容ケース30は、インクカートリッジ10が収容されるケースである。収容ケース30の内部には概略的に直方体の収容スペース32が形成されており、かかる収容スペース32内に矢印Bの方向に沿ってインクカートリッジ10が着脱される。収容スペース32を画定している収容ケース30内の収容スペース32(収容ケース30の内面)には、凹部34が形成されている。凹部34は収容スペース32の開口から方向Bに沿って収容スペース32の奥へと延在している。
また、収容ケース30は、光センサ部31、インク流入口33及び蓋部35を有している。光センサ部31は収容ケース30内の収容スペース32に露出するように設置されている。インク流入口33は、収容ケース30にインクカートリッジ10が装着された際に、インクカートリッジ10のインク流出口19と連結し、インク流出口19から流出するインクが流入する開口である。インク流入口33はインクチューブ25を通じてインクジェットヘッド23内のインク流路に連通している。これによってインクカートリッジ10からのインクがインクジェットヘッド23内のインク流路に導入される。蓋部35は収容ケース30の出入口である開口を開閉するものであり、矢印Aの方向に沿って揺動可能に収容ケース30に設置されている。蓋部35は、収容ケース30にインクカートリッジ10が着脱される際に収容ケース30の開口を開放し、インクカートリッジ10が装着されると収容ケース30の開口を閉鎖する。
インクカートリッジ10は収容スペース32とほぼ同じ概略的に直方体の形状を有しており、収容スペース32より若干小さい。インクカートリッジ10の側面には凸部13が形成されている。凸部13は、収容ケース30に形成された凹部34とほぼ同じ形状を有しており、凹部34内に収まる大きさを有している。また、インクカートリッジ10は検出窓部11及びインク流出口12を有している。インクカートリッジ10が収容ケース30に着脱される際には、インクカートリッジ10の凸部13と収容ケース30の凹部34とが互いに嵌合されつつインクカートリッジ10が矢印Bの方向に沿ってスライドされる。つまり、凸部13と凹部34とは、着脱方向Bに沿ってインクカートリッジ10を移動させるガイド部材である。インクカートリッジ10が収容ケース30に装着されると、インク流出口12がインク流入口33と連通し、光センサ部31と検出窓部11とが図1において上下及び左右の両方向に関して同じ位置に配置される。
図2は、収容ケース30に装着されている状態でのインクカートリッジ10周辺のさらに詳細な構成を示す断面図である。図2(a)は図1のIIA−IIA線に沿った断面図であり、図2(b)は図2(a)のIIB−IIB線に沿った断面図である。なお、本明細書においては、インクカートリッジが収容ケース内に図2のように装着されているときのインクカートリッジの姿勢を「装着姿勢」と称する。なお、以下の説明は、インクカートリッジが「装着姿勢」にあるときの状態で説明する。
インクカートリッジ10はカートリッジ筐体14(以下、「筐体14」とする)を有している。筐体14の内部には空洞のインク収容室14cが形成されており、かかるインク収容室14cにインク99が収容される。つまり、筐体14がインクを収容するインク収容室14c(液体収容室)を画定している。また、インク収容室14cは、通路18を介してインクを外部に流出するインク流出口19と連通している。通路18内には、インク流出口19を開閉する図示しない開閉機構が設けられている。この開閉機構は、普段はインク流出口19を閉じており、インク流出口19が収容ケース30のインク流入口33と連結したときにインク流出口19を開放するものである。
インク収容室14c内には被検出部材15及びフロート部材16が収容されている。フロート部材16は、樹脂等の材料で単位体積あたりの質量がインク99の密度よりも小さくなるように構成されている。例えば、インクよりも比重の小さい材料で形成されていてもよいし、インクよりも比重の大きい材料で形成される場合には、内部に空洞を有する中空体として形成されていてもよい。被検出部材15は、光を遮断する性質を有する材料からなる板状の部材である。図2の被検出部材15は具体例として、アーム部15a及び被検出部15bを有している。被検出部材15(アーム部15aの先端)にはフロート部材16が固定されている。つまり、被検出部材15は、フロート部材16が移動する際には、フロート部材16に連動する。
また、インク収容室14c内には被検出部材15及びフロート部材16の移動を所定の経路に規制する規制部材17が設けられている。図2には規制部材17の具体例として、アーム部15aに固定された揺動軸17aと、揺動軸17aを揺動可能に支持する軸受け17bとからなる枢支機構が示されている。かかる枢支機構において、揺動軸17aが支持されている位置が枢支点となる。
被検出部材15及びフロート部材16は、以下のようにインク収容室14c内のインクの液面に追従して移動する。インク収容室14c内にインクが収容されると、フロート部材16は上記のとおり単位体積当たりの質量がインクの密度より小さいため、インクの液面に浮上する。そして、例えば液面が矢印Dに沿って下降した場合に、フロート部材16は方向Cに沿って移動すると共に、被検出部材15はフロート部材16に連動して、方向Eに沿って移動する。
また、光センサ部31は、発光素子31a及び受光素子31bを有している。発光素子31a及び発光素子31aは、図の上下方向に関して互いに同じ位置に配置されている。発光素子31aは制御部22と接続されており、制御部22からの指示に従って光を発射する。受光素子31bも制御部22と接続されており、光を受け取ると共に受け取った光の強度を示す信号を制御部22へと送信する。一方で、インクカートリッジ10の筐体14には検出窓部11が設けられている。検出窓部11は検出窓11a及び11bからなる。検出窓11a及び11bは、筐体14を構成する左右一対の側板14a及び14b(一対の壁部)のそれぞれに形成されている。検出窓11a及び11bは光透過性を有する材料からなり、それぞれ発光素子31aと受光素子31bとを結ぶ仮想直線上に配置されている。これによって、インク収容室14c内の光の経路上に遮蔽物がない限りにおいて、発光素子31aからの光は検出窓11a及び11bを通じ、上記の仮想直線に沿って受光素子31bに到達する。なお、図1及び図2において検出窓部11が形成されている替わりに、インクカートリッジ10の全体が光透過性を有する材料からなるものであってもよい。筐体14において、インクカートリッジ10が装着姿勢にあるときに発光素子31aからの光が通過する領域を含む部分が、光透過性を有する材料からなるものであればよい。
以上の構成により被検出部材15の位置は、インク収容室14c内のインクの残量に応じて変化する。例えばインクの残量がある大きさのときにはインク収容室14c内において、発光素子31aと受光素子31bとを結ぶ上記の仮想直線に沿った光の経路を遮断する位置(以下、「検出位置」とする)に被検出部材15が位置する。一方で、インクの残量が他の大きさのときには検出位置とは異なる位置に被検出部材15が位置する。被検出部材15が検出位置に位置している場合には、発光素子31aからの光が被検出部材15によって遮断される。したがって、被検出部材15が検出位置に位置している場合に受光素子31bが受け取る光の量は、被検出部材15が検出位置に位置していない場合に受光素子31bが受け取る光の量より大きい。
以上により、制御部22は、受光素子31bからの信号が示す光の強度を参照して、装着姿勢にあるインクカートリッジ10内のインクの残量を導出する。そして、制御部22は、導出したインクの残量に基づいて、報知部29にインクの残量に関する情報をユーザに対して報知させる。
なお、後述の実施形態のインクカートリッジ及び収容ケースは、図2に示されているような被検出部材、フロート部材、規制部材、筐体及び光センサ部を基本構成として有している。しかし、各実施形態におけるこれらの構成の具体的な構造は、図2に示されている筐体14、被検出部材15(アーム部15a)、フロート部材16、規制部材17及び光センサ部31の構造と異なる場合がある。つまり、各実施形態は筐体14、被検出部材15、フロート部材16、規制部材17及び光センサ部31と同様に機能する構成を有しているが、その具体的な構造やより詳細な機能が図2のものとは異なる場合がある。
<各実施形態>
以下は、各実施形態に特有の構成に係る説明である。各実施形態においては、インクカートリッジ及び収容ケースが、とりわけ被検出部材、フロート部材、規制部材及び光センサ部が特有の構成を含んでいる。なお、以下の説明において図2の構造と同様の構造を有している部分には図2と同じ符号が付され、その部分についての説明や図示が省略されている場合がある。
[第1の実施形態]
図3(a)及び図3(b)は、第1の実施形態に係るインクカートリッジ110及び収容ケース130の構成を示す図である。図3(a)及び図3(b)において、インクカートリッジ110は、収容ケース130に装着された装着姿勢を取っている。図3(a)は図2(b)に対応する図である。図3(b)は、図3(a)のIIIB−IIIB線に沿った断面図である。
インクカートリッジ110は筐体114と筐体114の内部に設置された残量検知部材150とを有している。筐体114の内部にはインク収容室114cが形成されている。筐体114は、全体が立方体状に形成され、図3(a)においてその左方から突出する凸部114dを有しており、凸部114dの内部空間はインク収容室114cの一部となっている。図3(b)に示されているように、第1の実施形態においては、光センサ部31の発光素子31a及び受光素子31bが凸部114dを互いに挟むように配置されている。また、凸部114dには検出窓部111が形成されている。検出窓111は、上下方向に関して光センサ部31と同じ位置に設置されている。また、検出窓111は、凸部114dの左内壁面に対向する位置から、光センサ部31の設置位置より右方まで、左右方向に関して長尺に延在している。これによって、発光素子31aからの光が受光素子31bに到達する光の経路141が、凸部114d内に配置される。したがって、図3(a)に示されているように、検出位置142も凸部114d内に位置している。すなわち、検出位置142は、インクカートリッジ110が収容ケース130に装着されたときに、発光素子31aと受光素子31bによって挟まれる位置である。なお、凸部114dの下方には、インク収容室114内のインク99が収容ケース130へと流出するインク流出口112が形成されている。
残量検知部材150は被検出部材115及びフロート部材116を有している。被検出部材115はアーム部115a及び被検出部115bからなる板状の部材である。アーム部115aはほぼ直角に2回折れ曲がっており、その一端には被検出部115bが、他端にはフロート部材116が固定されている。アーム部115aにおいて折れ曲がった一方の角部115eには揺動軸17aが固定されている。揺動軸17aは、図2(a)に示されているように軸受け17bに支持されている。揺動軸17aは、インク収容室114cの左内壁面の下部に接近した位置に支持されている。また、揺動軸17aが支持されている位置は、上下方向に関して、フロート部材116がインク収容室114c内の底面の近くに配置され、被検出部115bがインク収容室114cにおいて凸部114dの領域内に配置されるように調整されている。
被検出部115bは概略的に正方形の形状を有している。被検出部115bには、概略的に長方形のスリット161が形成されている。スリット161は図3において、被検出部115bの上端から下方へ向かって、被検出部161の下端に近い位置まで延在している。そして、図3の左右方向に関して被検出部115bの中央よりやや左寄りの位置に配置されている。また、スリット161を挟むように光遮断部162a及び162bが形成されている。被検出部115bにおいて、スリット161は発光素子31aからの光が透過する部分であり、光遮断部162a及び162bは発光素子31aからの光を遮断する部分である。
また、被検出部115bの下端には突起部115dが形成されている。突起部115dは、凸部114dに当接することにより、図3に示されている位置よりも下へと移動しないように被検出部115bの移動を規制している。これによって、インクカートリッジ110内にインク99が最大量まで収容されている状態から、インク99の液面がフロート部材116に差し掛かる位置に至る状態まで、残量検知部材150は同じ位置に保持されている。そして、インク99の液面が方向Rに沿って下降してフロート部材116に差し掛かると、フロート部材116はインク99の液面に追従して、揺動軸17aを中心として方向Q1に回転移動する。これに連動して、被検出部115bも方向Q2に沿って移動する。なお、上記のとおり、フロート部材116はインク収容室114cの底面に近い位置に配置されている。したがって、インク99の液面が下降してフロート部材116に差し掛かった状態において、インク収容室114c内のインク99の残量が残りわずかな状態になっている。
図4は、図3の一点鎖線に囲まれた部分が拡大されたものである。図4(a)は、インク99の液面がフロート部材116に差し掛かるまでの状態を示している。図4(b)は、インク99の液面が下降してフロート部材116に差し掛かり、被検出部115bが図4(a)の位置から図3の方向Q2に沿って少し移動した後の状態を示している。図4(c)は、インク99の液面が下降して、被検出部115bが図4(b)の位置からさらに移動した後の状態を示している。図4(d)は、インク99の液面が下降して、被検出部115bが図4(c)の位置からさらに移動した後の状態を示している。
被検出部115bの状態は、インクカートリッジ110内のインク99の量に応じて以下のように変化する。図4(a)において被検出部115bは、光遮断部162aが検出位置142に位置している状態を取っている。図4(b)において被検出部115bは、スリット161が検出位置142に位置している状態を取っている。図4(c)において被検出部115bは、光遮断部162bが検出位置142に位置している状態を取っている。図4(d)において被検出部115bは、検出位置142を通過し終わって、検出位置142の右方に位置している状態を取っている。
図5は、光の照射範囲が図4(a)〜図4(d)のように変化する場合の受光素子31bが受け取る光の強度の変化を示している。図5の横軸は時間(及びインク99の消費量)を、縦軸は光の強度を表している。光の強度A1は、発光素子31aからの光が被検出部材115によって遮断されることなく受光素子31bまで到達する場合の強度を示している。光の強度A0は、発光素子31aからの光が被検出部材115によって遮断された場合に受光素子31bまで到達する場合の強度を示している。t1〜t4は、被検出部115bが図4(a)〜図4(d)のそれぞれの状態にあるときの時刻に相当する。
t1においては、光遮断部162aによって光が遮断されるため、受光素子31bが受け取る光の強度はA0である。t2においては、スリット161を通じて受光素子31bに光が受け取られるため、受光素子31bが受け取る光の強度はA1である。t3においては、光遮断部162bによって光が遮断されるため、受光素子31bが受け取る光の強度はA0である。t4以降においては、被検出部115bが検出位置142を通過し終わっているため、光の強度はA1である。
以上のとおり第1の実施形態によると、インク収容室114c内のインク99が減少して残量がわずかになると、インク99の液面がフロート部材116に差し掛かり、フロート部材116が移動し始める。さらにインク99が減少すると、フロート部材116に連動して、光遮断部162aが検出位置142に位置している第1の位置、スリット161が検出位置142に位置している第2の位置、光遮断部162bが検出位置142に位置している第3の位置、及び、被検出部115bが被検出位置142を通過し終わっている第4の位置の順に、被検出部材115の位置が変化する。これに伴って、受光素子31bが受け取る光は、強度がA0である第1の状態、強度がA1である第2の状態、強度がA0である第3の状態及び強度がA1である第4の状態に順に変化する。
制御部22は、現時点が第1〜第4のどの状態であるかを把握することにより、インク99の残量を4段階で把握する。具体的には、制御部22は、受光素子31bが受け取る光が、A0である状態と光の強度がA1である状態との間で何度切り替わったかを計測する。そして、切り替わった回数が0回〜3回のいずれであるかに応じて、現時点において第1〜第4の状態のそれぞれであると判定する。そして、制御部22は、インク99の残量に関する判定結果に基づいて、報知部29を介してインク99の残量を示す情報をユーザに対して報知する。例えば、第1〜第4の状態のそれぞれに応じて、インク99の残量がまだ十分にある、インク99の残量が残りわずかである、インク99の残量がさらに残りわずかになった、インク99の残量がほぼ空である、という意味を表すメッセージがディスプレイに表示されてもよい。
また第1の実施形態は、インクカートリッジ110が使用され始めてから現時点までずっと装着姿勢にある場合のみならず、収容ケース130に着脱されるときにも、インクカートリッジ110内のインク99の残量を把握することが可能な構成を有している。図6は、収容ケース130にインクカートリッジ110が着脱される様子を示している。破線は、装着姿勢から右方に少しスライドされた状態のインクカートリッジ110を表している。収容ケース130にインクカートリッジ110が着脱される際には、破線が示す位置と装着姿勢の位置との間でインクカートリッジ110が移動する。このとき検出位置142は、例えば方向143に平行に被検出部115bを切るように、被検出部115bに対して相対的に移動する。ここで上記の通り、検出窓111が左右方向に長尺に形成されている(図3参照)。このため、例えばインクカートリッジ110が収容ケース130に装着される際に、筐体114の左側壁が検出位置142を通過してから装着姿勢に至るまで、発光素子31aからの光は筐体114に遮断されることなく検出窓111を通じてインク収容室114c内に入射する。なお、筐体114の全体が光が透過する材料で形成されている場合には、検出窓111が形成されている必要はない。
図7(a)、図7(c)、図7(e)及び図7(g)は、図6において一点鎖線に囲まれた領域の拡大図である。図7(a)、図7(c)、図7(e)及び図7(g)は、互いにインク99の残量が異なるインクカートリッジ110が矢印144に沿って収容ケース130に装着される際に被検出部115bに対して検出位置142が相対移動する様子をそれぞれ示している。図7(a)、図7(c)、図7(e)及び図7(g)のインク99の残量は、図4(a)〜図4(d)のインク99の残量に相当する。図7(a)、図7(c)、図7(e)及び図7(g)において実線は、装着姿勢にあるときのインクカートリッジ110を示している。また破線は、装着姿勢を取る直前のインクカートリッジ110を示している。また、図7(b)、図7(d)、図7(f)及び図7(h)は、被検出部115bに対して検出位置142が図7(a)、図7(c)、図7(e)及び図7(g)のように相対移動する際に受光素子31bが受け取る光の強度の変化をそれぞれ表すグラフである。
図7(a)の場合には、受光素子31bが受け取る光の強度は、図7(b)に示されるように変化する。まず、図7(a)で破線で示される状態より前においては、発光素子31aからの光が遮断されることなく受光素子31bに受け取られる。このとき、光の強度はA1である(t5)。次に、検出位置142がインクカートリッジ110の筐体114(凸部114dの左方側の側壁部)に差し掛かると、筐体114によって光の経路が遮断される。このとき、光の強度はA0となる(t6)。次に、検出位置142が筐体114を通過し終えると、筐体114と被検出部115bとの間の空間に光の経路が形成されるので、光の強度はA1となる(t7)。次に、検出位置142が被検出部115bまで到達した後、検出位置142は光遮断部162b及びスリット161を順に通過する。したがって、光の強度はA0に一旦変化した(t8)後に、A1となる(t9)。次に、検出位置142がスリット161を通過して光遮断部162bに到達すると、光の強度はA0となる(t10)。そして、図7(a)で実線で示されている装着姿勢においては、光遮断部162bが検出位置142にいる状態を取るため、t10以降において光の強度がA0となる。
図7(c)の場合には、受光素子31bが受け取る光の強度は、図7(d)のように変化する。まず、図7(c)で破線で示される状態の前においては、発光素子31aからの光が遮断されることなく受光素子31bに受け取られる。このとき、光の強度はA1である(t11)。次に、検出位置142がインクカートリッジ110の筐体114に差し掛かると、筐体114によって光の経路が遮断される。このとき、光の強度はA0となる(t12)。次に、検出位置142が筐体114を通過し終えると、筐体114と被検出部115bとの間の空間に光の経路が形成されるので、光の強度はA1となる(t13)。次に、検出位置142が被検出部115bまで到達すると、検出位置142は光遮断部162bを通過してスリット161まで移動する。したがって、光の強度はA0に一旦変化した(t14)後に、A1となる(t15)。ここで、図7(c)で実線で示されている装着姿勢においては、スリット161が検出位置142にいる状態をとるため、t15以降において、光の強度はA1である。
図7(e)の場合には、受光素子31bが受け取る光の強度は図7(f)のように変化する。まず、図7(e)で破線で示される状態の前においては、発光素子31aからの光が遮断されることなく受光素子31bに受け取られる。このとき、光の強度はA1である(t16)。次に、検出位置142がインクカートリッジ110の筐体114に差し掛かると、筐体114によって光の経路が遮断される。このとき、光の強度はA0となる(t17)。次に、検出位置142が筐体114を通過し終えると、筐体114と被検出部115bとの間の空間に光の経路が形成されるので、光の強度はA1となる(t18)。そして、検出位置142が光遮断部162bまで到達すると、光の強度はA0となる(t19)。ここで、図7(e)で実線で示されている装着姿勢においては光遮断部162bが検出位置142に位置している状態を取る。したがって、t19以降において、光の強度はA0である。
図7(g)の場合には、受光素子31bが受け取る光の強度は図7(h)のように変化する。まず、図7(g)で破線で示される状態の前においては、発光素子31aからの光が遮断されることなく受光素子31bに受け取られる。このとき、光の強度はA1である(t20)。次に、検出位置142がインクカートリッジ110の筐体114に差し掛かると、筐体114によって光の経路が遮断される。このとき、光の強度はA0となる(t21)。次に、検出位置142が筐体114を通過し終えると、筐体114と被検出部115bとの間の空間に光の経路が形成されるので、光の強度はA1となる(t22)。ここで、図7(g)で実線で示されている装着姿勢においては、検出位置142は被検出部115bと筐体114との間に位置する。したがってt21以降において、光の強度はA0である。
以上のように、インクカートリッジ110を収容ケース130に装着する際に、受光素子31bが受け取る光の強度は、装着時のインクカートリッジ110内のインク99の残量に応じて図7(b)、図7(d)、図7(f)及び図7(h)のように変化態様が異なったものとなる。
そこで、制御部22は、受光素子31bからの信号に基づいて、インクカートリッジ110が収容ケース130に装着された際にインクカートリッジ110内のインク99の残量を取得する。具体的には例えば、制御部22が有しているメモリには、図7(b)、図7(d)、図7(f)及び図7(h)に示されているような光の強度の変化態様を示すデータが、その変化態様に対応するインク99の残量に関連付けて記憶されている。そして制御部22は、受光素子31bからの信号が示す光の強度の変化態様が、メモリが記憶しているいずれの変化態様に該当するかを判定し、その判定結果からインク99の残量を取得する。そして制御部22は、取得したインク99の残量を報知部29を介してユーザに報知する。例えば、図7(b)〜図7(h)のいずれの変化態様であるかに応じて、装着されたインクカートリッジ110のインク99の残量がまだ十分である、インク99の残量は残りわずかである、インク99の残量はさらに残りわずかである、インク99の残量はほぼ空である、という意味を表すメッセージがインク99の残量に応じてディスプレイに表示されてもよい。
なお、第1の実施形態は、インクカートリッジ110の装着時に図7に示されているように少なくとも4段階でインク99の残量を把握することが可能なものであるが、4段階以上にインク99の残量を把握することも可能である。例えば、図7(a)及び図7(c)に示されているように、インク99の残量に応じて被検出部115bと筐体114との離隔距離が異なっている。これによって、図7(b)及び図7(d)に示されているように、光の強度がA1である期間171及び期間172の長さは互いに異なっている。これに基づいて、期間172が長いほどインク99の残量が少ないものと判定することにより、インク99の残量を全部で5段階以上に把握することが可能である。
また上記の説明においては、インクカートリッジ110が装着されるときにインク99の残量を取得する場合が示されているが、インクカートリッジ110が収容ケース130から取り外されるときにもインク99の残量を把握することが可能である。インクカートリッジ110が収容ケース130から取り外されるときには、受光素子31bが受け取る光の強度の変化態様が、図7(b)等に示されている変化態様を時間的に反転させたものとなる。したがって、図7(b)等に示されている変化態様を時間的に反転させたものと、実際に受光素子31bが受け取った光の強度の変化態様とを比較することにより、インクカートリッジ110が収容ケース130から取り外される場合のインク99の残量を把握することが可能となる。
また、第1の実施形態においてはスリット161が、上下方向に沿って延在するように被検出部115bに形成されている。このような場合には、可能な限り揺動軸17aが被検出部215の直下に位置していることが好ましい。これによると、例えば揺動軸17aが被検出部115bの右方に位置している場合(図8参照)と比べて、残量検知部材115が揺動軸17aを中心に回転移動する際に、被検出部115bが左右方向に関して大きく移動することとなる。したがって、スリット161が検出位置142を通過しやすくなり、光の強度が大きく変化しやすくなるので、インクカートリッジ110がインク99の残量を検出しやすい構成となる。
また、第1の実施形態においては、カートリッジ110が装着される際に、筐体114(凸部114dの左方側の側壁部)によって光の経路が遮断される構成となっていたが、筐体114の全体を光透過性を有する部材で形成し、筐体114が光の経路を遮断しないものとしてもよい。かかる構成においても、図7(b)、図7(d)、図7(f)及び図7(h)に示す光の強度の変化は互いに異なる変化を示すため、制御部22がこれらを区別することは可能である。ただし、図7(h)の場合は、光の強度が変化せず(A1のまま)、カートリッジ110が装着されない場合と区別できないため、これらを区別するために、カートリッジ110が装着位置に存在するか否かを検出するスイッチを別途設ける必要がある。
[第2の実施形態]
図8は、第2の実施形態に係るインクカートリッジ210及び収容ケース230の断面図である。図8は図2(b)に対応する図である。
インクカートリッジ210は、筐体214及び筐体214内に設置された残量検知部材250を有している。筐体214内にはインク収容室214cが形成されており、インク収容室214cの左端には、インクカートリッジ210の外部へ向かって左方に突出する凸部214dが形成されている。凸部214dは、第1の実施形態の凸部114dと比べて上下方向に関して長くなるように形成されている。また、凸部214dには、第1の実施形態と同様に、左右方向に関して長尺な検出窓111が形成されている。
残量検知部材250は、被検出部材215及びフロート部材216を有している。被検出部材215は、アーム部215a及び被検出部215bからなる。アーム部215aは角部215eにおいて90度より大きい角度で折り曲げられている。アーム部215aの一端には被検出部215bが、他端にはフロート部材216が固定されている。角部215eの近傍には揺動軸17aが固定されている。揺動軸17aは、凸部214dの右方において軸受け17b(図2参照)に支持されている。残量検知部材250の設置位置は、インク99の液面がフロート部材216より上方にあるときに、フロート部材216がインク収容室214cの底面近くに配置され、被検出部215bが凸部214dの内表面に上方から当接するように調整されている。
被検出部215bは、第1の実施形態の被検出部115bとほぼ同様の構成を有しており、突起部115d、スリット161、光遮断部162a及び光遮断部162bにそれぞれ対応する突起部215d、スリット261、並びに、スリット261を互いに挟む光遮断部262a及び262bを有している。ただし、スリット261は、スリット161と異なり、被検出部215bの左上角から右下角に向かって、被検出部215bの四辺に対して斜めに切れ込んでいる。
第2の実施形態において、インク99の残量が残りわずかになって液面がフロート部材216まで差し掛かると、フロート部材216が移動し始める。これに連動して、アーム部215aは、揺動軸17aを中心として方向Sに回転移動する。これによって、被検出部215bは、光遮断部262aが検出位置242にある位置から、スリット261が検出位置242にある位置及び光遮断部262bが検出位置242にある位置を経て、被検出部215bが検出位置242を通過した位置まで移動する。ここで受光素子31bが受け取る光は、第1の実施形態と同様に、強度がA0である第1の状態、強度がA1である第2の状態、強度がA0である第3の状態及び強度がA1である第4の状態に順に変化する。したがって、第2の実施形態においても第1の実施形態と同様に、インク99の残量を4段階で把握することが可能である。
また、被検出部215bにスリット261が形成されているので、第1の実施形態と同様に、インクカートリッジ210を収容ケース230に装着する際に、受光素子31bが受け取る光の強度は、装着時のインクカートリッジ210内のインク99の残量に応じてその変化態様が異なったものとなる。したがって、第2の実施形態においても第1の実施形態と同様に、インクカートリッジ210が収容ケース230に装着される際にも、インク99の残量を把握することが可能である。
ここで、第2の実施形態においては、第1の実施形態と異なり、揺動軸17aが被検出部215bとほぼ同じ高さでその右方に位置している。このためインク99が減少すると、被検出部215bがほぼ上方に移動する。したがって、上下方向に沿って延在するスリットが被検出部215bに形成されていると、スリットが検出位置242を通過しにくくなる。つまり、インク99の残量に応じて受光素子31bが受け取る光の強度が変化しにくく、インクカートリッジ210が収容ケース230に装着される際の光の強度の変化態様にも、差が生じにくくなる。
これに対して、第2の実施形態のスリット261は、被検出部215bの四辺に対して斜めに切れ込んでいる。したがって、被検出部215が上方へと移動した際に、スリット261が検出位置242を確実に通過する。そして、インクカートリッジ210が収容ケース230に装着される際の光の強度の変化態様にも、インク99の残量に応じた差が生じやすくなる。これによって、揺動軸17aが被検出部215bとほぼ同じ高さに位置している場合においても、インク99の残量が確実に把握可能となる。
[第3の実施形態]
以下は、第3の実施形態についての説明である。図9(a)〜図9(c)は第3の実施形態のインクカートリッジ310及び収容ケース330の構成を示す図である。図9(a)の左図及び右図は、図2(a)及び図2(b)にそれぞれ対応する図である。
インクカートリッジ310は、概略的に円盤の形状を有する残量検知部材350を有している。残量検知部材350は、円盤状の被検出部材315とフロート部材16とが一体に形成されたものである。フロート部材16は被検出部材315の周縁の近傍に固定されている。円盤状の被検出部材315の中心には揺動軸17aが固定されている。揺動軸17aは軸受け17bに、被検出部材315が周方向Fに沿って揺動可能(回動可能)になるように支持されている。
また、被検出部材315には、その円盤の周縁に沿って複数のスリット361が形成されている。これらのスリット361は、被検出部材315の周方向Fに沿って等間隔に配列されている。いずれのスリット361も、被検出部材315の周縁からその中心に向かって互いに同じ長さに延在している。また、いずれのスリット361も、被検出部材315をその厚み方向に貫通している。スリット361のうち、周方向Fに関して最もフロート部材16に近いスリット361bは、それ以外のスリット361aよりも、周方向Fに関する幅が大きくなるように形成されている。スリット361aの周方向Fに関する幅は互いに等しい。スリット361同士の間には、光遮断部362が形成されている。
一方で、発光素子31aと受光素子31bとを結ぶ仮想直線上には、光の経路341が形成される。経路341は、図9(a)の上下方向に関してインクカートリッジ310のほぼ中央に位置している。これに対して、被検出部材315は、図9(a)の左図の左右方向に関してインクカートリッジ310のほぼ中央に、経路341を遮断するように位置している。図9(a)において経路341と被検出部材315とが交差する位置である検出位置342は、図9(a)の右図において被検出部材315の左端の近傍に位置している。なお、図9(a)には図示されていないが、インクカートリッジ310の筐体314には経路341の延長線上に位置する検出窓11a及び11bが形成されている。
図9(a)はインクカートリッジ310のインク収容室314c内に最大量近くまでインク99が収容された状態を示している。図9(b)は、図9(a)の状態からインク99が減少した状態を示している。図9(c)は、図9(b)の状態からさらにインク99が減少して、インク収容室314c内のインク99がほぼ空に近い状態を示している。図9(a)〜図9(c)に示されているように、インク収容室314c内に収容されたインク99が減少するにつれて、フロート部材16は揺動軸17aを中心として周方向Fに回転移動する。そして、被検出部材315もフロート部材16に連動し、揺動軸17aを中心として周方向Fに回転移動する。
ここで、図9(a)の状態から図9(b)の状態に移行する期間には、スリット361aが検出位置342に位置する状態(被検出部材315が第1の位置にある状態に相当する)と光遮断部362が検出位置342に位置している状態(被検出部材315が第2の位置にある状態に相当する)とが交互に繰り返される。より詳細にはインク99が減少するにつれて、例えばスリットs4を挟む2つの光遮断部362のうち一方の光遮断部362aが検出位置342に位置している状態から、スリットs4が検出位置342に位置している状態を経て、上記の2つの光遮断部362のうち他方の光遮断部362bが検出位置342に位置している状態になる。インク99が減少するにつれて、このような変化が繰り返される。
また、図9(b)の状態から図9(c)の状態に移行する期間には、上記と同様にスリット361aが検出位置342に位置する状態と光遮断部362が検出位置342に位置している状態とが交互に繰り返される。そして、図9(c)に示されているようにスリット361bが検出位置342に位置している状態に至る。なお、本実施形態において、インク収容室314c内のインク99が空である状態では、スリット361bが検出位置342に位置している。
インクカートリッジ310内のインク99が最大量の状態からインク99が消費されて空になるまでに、インク収容室314c内のインク99が減少するにつれて被検出部材315が上記のように移動することにより、受光素子31bが受け取る光の強度は、図9(d)に示されているように変化する。図9(d)において横軸は時間を表し、縦軸は光の強度を表している。時間の経過に伴ってインクカートリッジ310内のインク99が消費されるので、図9(d)の横軸は時間を表していると共に、インク99の消費量をも表している。図9(d)において光の強度A1は、発光素子31aと受光素子31bとを結ぶ光の経路341を被検出部材315が遮断していない状態で受光素子31bが受け取る光の強度を示している。
図9(d)において時刻t23、t24及びt25は、図9(a)、図9(b)及び図9(c)の状態にある時点をそれぞれ示している。時刻t23では、被検出部材315が検出位置342において光の経路341を遮断している。したがって時刻t23において、光の強度はA1より小さいA0である。
t23〜t24の期間においては、上記のように光遮断部362が検出位置342に位置している状態とスリット361aが検出位置342に位置している状態とが繰り返される。光遮断部362が検出位置342に位置しているときには、光遮断部362によって光の経路341が遮断されるため、光の強度はA0である。スリット361aが検出位置342に位置しているときには光の経路341が遮断されないため、光の強度はA1である。
そして時刻t25に至ると、スリット361bが検出位置342に位置する。したがって、時刻t25において光の強度はA1である。スリット361bはスリット361aに比べて、周方向Fに関する幅が大きい。このため、インク99が消費される速さがインクカートリッジ310の使用期間の全体に亘って同程度である場合には、強度がA1である期間が長時間継続する。
以上のように本実施形態によると、インクカートリッジ310内のインク99が消費されるにつれて受光素子31bが受け取る光の強度は図9(d)に示されるようなものとなる。したがって、制御部22は、受光素子31bからの信号に基づいて、インクカートリッジ310内のインク99の残量を多段階に把握することができる。例えば、時刻t23においては、光の強度がA1である状態が未だ表れていない。これに対して、時刻t24に至るまでに光の強度がA1である状態が時間の経過につれて何度も表れる。したがって、制御部22は、光の強度がA1である状態とA0である状態とが現時点までに何回表れたかを計測することにより、現時点でのインク99の残量がどのくらいであるかを多段階に把握することができる。
光の強度がA1である状態は光遮断部362が検出位置342に位置しているときに、光の強度がA0である状態はスリット361が検出位置342に位置しているときにそれぞれ対応している。したがって、インク99の残量を全部で何段階で把握することができるかは、被検出部材315に形成されているスリット361及び光遮断部362の数による。例えば、本実施形態においては、図9(a)に示されている状態が1回と、図9(c)に示されている状態が1回と、図9(a)〜図9(c)の期間において光遮断部362が検出位置342に位置している状態が10回と、図9(a)〜図9(c)の期間においてスリット361aが検出位置342に位置している状態が10回との、合計22段階でインク99の残量を把握することが可能である。
制御部22は、光の強度がA1である状態とA0である状態とが現時点までに何回表れたかを計測することにより、現時点でのインク99の残量がどのくらいであるかを多段階に把握し、把握した情報を報知部29を介してユーザに報知する。
また、図9(c)の状態のようにインクカートリッジ310内のインク99がほぼ空に近くなった場合には上記の通り、時刻t24までの状態と比べて強度がA1である状態が長時間継続する。これに基づいて制御部22は、インク99の残量が少ないことを判別し、報知部29を介してインク99の残量が少ないことをユーザに報知する。
[第4の実施形態]
第4の実施形態は、第3の実施形態において残量検知部材350を図10の残量検知部材450で置き換えたものである。残量検知部材450は、被検出部材415及びフロート部材16からなる。被検出部材415は、扇形の形状を有する被検出部415bと、被検出部415bの扇形の中心から延在するアーム部415aとからなる板状の部材である。被検出部415bの扇形の中心の近傍には揺動軸17aが固定されている。揺動軸17aは図示されていない領域において、残量検知部材450が方向Gに沿って揺動可能になるように軸受け17bに支持されている。アーム部415aの揺動軸17aから離隔した一端には、フロート部材16が固定されている。
被検出部415bには、扇形の周縁に沿って等間隔に複数のスリット461が形成されている。スリット461は、いずれも扇形の周縁から揺動軸17aに向かって、互いに同じ長さで延在している。スリット461は、第4の実施形態における検出位置442がスリット461上に位置するような長さに調整されている。スリット461の間には、複数の光遮断部462が形成されている。
第4の実施形態は、以上のような構成を有する残量検知部材450が、インクカートリッジの内部に設置されたものである。第4の実施形態において、インクカートリッジ内のインク99が減少するに従ってフロート部材16が方向Hに沿って移動すると共に、被検出部415bが方向Gに沿って回転移動する。これに伴って、光遮断部462が検出位置442に位置している状態と、スリット461が検出位置442に位置している状態とが交互に繰り返される。したがって、第3の実施形態と同様に第4の実施形態においても、光の強度がA1である状態とA0である状態とが現時点までに何回表れたかを計測することにより、現時点でのインク99の残量がどのくらいであるかを制御部22が多段階に把握することが可能である。
[第5の実施形態]
第5の実施形態は、第3の実施形態において残量検知部材350を図11の残量検知部材550で置き換えたものである。残量検知部材550と残量検知部材350との違いは、被検出部材515に形成されたスリット561の形状及び光遮断部562の形状である。第5の実施形態においてその他の部分は第3の実施形態と同様である。
被検出部材515には、その円周に沿って複数の貫通孔561aが等間隔に形成されている。貫通孔561aはいずれも同じ大きさの円形の形状を有している。また、いずれの貫通孔561aも被検出部材515の周縁から揺動軸17a寄りの位置に、ちょうど検出位置542と揺動軸17aとの離隔距離と同じ距離だけ揺動軸17aから離隔するように配置されている。被検出部材515には、さらに、スリット561bが形成されている。スリット561bは、スリット561のうち周方向に関して最もフロート部材16に近いものに隣接するように配置されている。スリット561bは、被検出部材515の周縁から揺動軸17aに向かって台形状に切れ込むように形成されていおり、スリット561bの周方向における長さは、貫通孔561aの直径よりも長くなっている。また、561同士の間には、光遮断部562がそれぞれ形成されている。
第5の実施形態において、インクカートリッジ内のインク99が減少すると、残量検知部材550は図11の矢印の方向に回転移動する。これに伴って、光遮断部562が検出位置542に位置している状態と、貫通孔561aが検出位置542に位置している状態とが交互に繰り返される。したがって、光の強度がA1である状態とA0である状態とが現時点までに何回表れたかを計測することにより、現時点でのインク99の残量がどのくらいであるかを制御部22が多段階に把握することが可能である。
また、第5の実施形態においてスリット561bと貫通孔561aとは形が異なっている。したがって、貫通孔561aが検出位置542に位置している状態とスリット561bが検出位置542に位置している状態とで、受光素子31bが受け取る光の強度の時間変化が異なったものとなる。これによってスリット561bは、第3の実施形態のスリット361bと同様の役割を果たすことができる。つまり第5の実施形態は、第3の実施形態と同様にインク99の残量がわずかであることを制御部22が判別することが可能なものである。
[第6の実施形態]
第6の実施形態は、第3の実施形態において残量検知部材350を図12の残量検知部材650で置き換えたものである。残量検知部材650は、被検出部材615とフロート部材16とを有している。被検出部材615は、揺動軸17aから図12の右斜め下方へと延在するアーム部615aと、図12の左方へと延在するアーム部615bとを有している。アーム部615aの先端にはフロート部材16が固定されており、アーム部615bの先端にはスリット661が形成されている。スリット661は、アーム部615bの先端から揺動軸17aに向かって、検出位置642まで延在している。これによって、スリット661を互いに挟むように光遮断部662a及び662bが形成されている。また、第6の実施形態においては、インクカートリッジ内のインク99が減少し、インク99が空の状態に近づいたときにアーム部615bが検出位置642を図12の矢印の方向に通過するように、残量検知部材650や規制部材17の構造、検出位置642等が調整されている。
第6の実施形態においてインクカートリッジ内のインク99の残量が残りわずかになると、アーム部615bが検出位置642の下方に位置している状態から、光遮断部662aが検出位置642に位置している状態、スリット661aが検出位置642に位置している状態、及び、光遮断部662bが検出位置642に位置している状態を順に経て、アーム部615bが検出位置642の上方に位置している状態まで、残量検知部材650の状態が変化する。したがって、第6の実施形態においては制御部22は、インク99の残量を合計で5段階で把握することが可能である。
[第7の実施形態]
図13は、第7の実施形態に係るインクカートリッジ710及び収容ケース730の構成を示す断面図である。図13(a)は図2(a)に、図13(b)は図2(b)にそれぞれ対応する。
第7の実施形態に係る残量検知部材750は、被検出部材715とフロート部材716とが一体となったものである。フロート部材716は概略的に直方体の形状を有しており、単位体積当たりの質量がインク99の密度より小さいものである。被検出部材715は、厚み方向が図13(a)の左右方向に平行な板状の部材である。フロート部材716は被検出部材715の下端に固定されている。
被検出部材715には、図13の上下方向に沿って配列された複数のスリット761が形成されている。スリット761はいずれも同じ形状で同じ大きさを有しており、上下方向に関して互いに等間隔に配列されている。スリット761同士の間には光遮断部762が形成されている。被検出部材715は図13に示されているように、発光素子31aと受光素子31bとを結ぶ光の経路741を遮断するような位置に配置されている。
インクカートリッジ710の筐体714には規制部材717が一体に固定されている。規制部材717は、筐体714の内部の天井面から下方に向かって鉛直に延在する板状の部材である。規制部材717には上下方向に平行な規制面717aが形成されている。一方で筐体714の左側の内壁面714dは規制面717aと平行に延在しており、規制面717aと左右方向に関して対向している。規制部材717は、内壁面714dと規制面717aとの離隔距離が残量検知部材750の左右方向に関する最大幅より少し大きくなるように配置されている。そして、残量検知部材750は内壁面714dと規制面717aとの間に配置されている。規制面717a及び内壁面714dは、残量検知部材750の左右方向に関する移動を規制している。
第7の実施形態においてインクカートリッジ710内のインク99が減少すると、インク液面の下降に伴ってフロート部材716が下降する。これに連動して、残量検知部材750全体が下降する。残量検知部材750は内壁面714d及び規制面717aによって図13(b)の左右方向に関する移動が規制されているため、光遮断部762が左右方向に関して検出位置742から離隔しない。そして、残量検知部材750の下降に伴って、光遮断部762が検出位置742に位置している状態と、スリット761が検出位置742に位置している状態とが交互に繰り返される。したがって、第1〜第6の実施形態と同様に第7の実施形態においても、光の強度がA1である状態とA0である状態とが現時点までに何回表れたかを計測することにより、現時点でのインク99の残量がどのくらいであるかを制御部22が多段階に把握することが可能である。
[第8の実施形態]
図14は、第8の実施形態に係るインクカートリッジ810及び収容ケース830の構成を示す図である。図14(a)の左図及び右図は、図2(a)及び図2(b)にそれぞれ対応している。
第8の実施形態の収容ケース830は、第3の実施形態の収容ケース330において光センサ部31を光センサ部831に置き換えたものである。光センサ部831は、2つの発光素子831a及び2つの受光素子831bを有している。2つの発光素子831aは互いに上下方向に沿って配列されている。2つの受光素子831bも互いに上下方向に沿って配列されている。またこれらの発光素子831a及び受光素子831bは、1つの発光素子831aに対して1つの受光素子831bが図14(a)の左右方向に関して対向するように配置されている。したがって、インクカートリッジ810内には、一方の発光素子831aと一方の受光素子831bとを結ぶ光の経路841aと、他方の発光素子831aと他方の受光素子831bとを結ぶ光の経路841bとが形成される。また、光センサ部31による検出位置は、検出位置842a及び842bの2つである。検出位置842a及び842bは、光の経路841a及び841bにそれぞれ対応する。
図14(a)に示されているように、第8の実施形態のインクカートリッジ810は第3の実施形態のインクカートリッジ310とほぼ同様の構成を有するものであってもよい。ただし、光が透過する検出窓811a及び811bのような光透過性を有する部分が筐体814に形成されており、これらの部分の形状、大きさ及び位置が、インクカートリッジ810が装着姿勢にあるときに光の経路841a及び光の経路841bの両方が確保されるように調整されていることを要する。
また、インクカートリッジ810内に設置された残量検知部材350は第3の実施形態におけるものと同様の構成を有しているが、被検出部材315のスリット361及び光遮断部362が以下のように調整されている必要がある。つまり、周方向Iに関するスリット361a、361b及び光遮断部362の幅と、2つの発光素子831a同士の離隔距離とは、スリット361aの幅<発光素子831a同士の離隔距離<光遮断部362の幅<スリット361bの幅という大小関係を満たすように調整されていることを要する。
図14(a)はインクカートリッジ810内に最大量近くまでインク99が収容された状態を示している。図14(b)は、図14(a)の状態からインク99が減少した状態を示している。図14(c)は、図14(b)の状態からさらにインク99が減少して、インクカートリッジ810内のインク99がほぼ空に近い状態を示している。インク99の減少に伴って、残量検知部材350が周方向Iに沿って回転移動している。図14(a)から図14(c)に至るまでの期間に、光遮断部362が検出位置842bに位置している状態と、スリット361aが検出位置842bに位置している状態とが繰り返される。そして、図14(c)において、スリット361bが検出位置842bに位置している。一方で、図14(a)から図14(c)に至るまでの期間に、各スリット361a及び各光遮断部362は、検出位置842bより上方に位置している検出位置842aを、検出位置842bより少し遅れて通過することになる。そして図14(c)に至ると、スリット361bは検出位置842a及び842bの両方に位置することになる。
図14(d)は、インクカートリッジ810内のインク99が最大量の状態からインク99が消費されて空になるまでの、2つの受光素子831bが受け取る光の強度の変化をそれぞれ示すグラフの一例である。図14(d)の上下いずれのグラフも横軸は時間(及びインク99の消費量)を、縦軸は光の強度をそれぞれ表している。時刻t26〜t28は、それぞれ図14(a)〜図14(c)に相当する時刻である。図14(d)において上のグラフは、2つの受光素子831bのうち下に位置している方が受け取る光の強度を、図14(d)において下のグラフは、2つの受光素子831bのうち上に位置している方が受け取る光の強度を示している。つまり、図14(d)の上のグラフには、スリット361及び光遮断部362が検出位置842bを順に通過する様子が表われている。また、図14(d)の下のグラフには、スリット361及び光遮断部362が検出位置842aを順に通過する様子が表れている。
上記のとおり各スリット361a及び各光遮断部362は、検出位置842bを通過した後に、少し遅れて検出位置842aを通過する。したがって、図14(d)において例えば光の強度がA1である期間は、上のグラフにおけるタイミングよりも少し遅れたタイミングで下のグラフに表れている。
また、上記の通りスリット361aの幅<発光素子831a同士の離隔距離<光遮断部362の幅<スリット361bの幅という関係が満たされている。つまり、検出位置842a及び842bの互いの離隔距離は、周方向Iに関する光遮断部362の幅より小さく、スリット361aの幅より大きい。したがって、スリット361aが検出位置842aに位置している状態とスリット361aが検出位置842bに位置している状態とが同時に表れることがない。これによって、図14(d)の上のグラフにおいて光の強度がA1である期間と、図14(d)の下のグラフにおいて光の強度がA1である期間とは、時間の経過に伴って互いに交互に表れている。
そして、図14(c)に相当する時刻t28には、スリット362bが検出位置842a及び842bの両方に位置しているため、図14(d)の上のグラフにおいても下のグラフにおいても、光の強度がA1である。
第8の実施形態においては図14(d)に示されているように、2つの受光素子831bが受け取る光の強度が両方ともA1となる状態が、図14(c)の状態に達するまで生じない。したがって、2つの受光素子831bが受け取る光の強度が両方ともA1であるか否かを判定することにより、インクカートリッジ810内のインク99がほぼ空であることを制御部22が容易且つ確実に把握することができる。また逆に、2つの受光素子831bのいずれかが受け取る光の強度がA1ではないことから、インクカートリッジ810内のインク99がほぼ空の状態ではないことを把握することができる。
インクカートリッジ810内のインク99が空に近い状態でないときに、インクカートリッジ810がプリンタ20から外されようとしているのを検出した場合には、インク99がまだ残存していることを報知部29を介してユーザに報知する、という構成を制御部22が有していてもよい。あるいは、インクカートリッジ810内のインク99が空に近い状態でないときに、インクカートリッジ810がプリンタ20から外されようとしているのを検出している期間には、インクカートリッジ810が外されないように、蓋部35をロックする構成をプリンタ20が有していてもよい。
また、第8の実施形態においては以下の通り、第1〜第7の実施形態に比べてインク99の残量を正確に把握することが可能である。例えばプリンタ20が動作する際の振動によって、インクカートリッジ810内のインク99の液面が上下に振動する場合がある。これに伴って残量検知部材350が周方向Iに関して振動すると、以下のように検出誤差が生じるおそれがある。
例えば図14(b)には、光遮断部362cが検出位置842aを通過した直後の状態が示されている。ここで上記のように残量検知部材350が振動すると、その振動によって光遮断部362cが周方向Iとは逆方向に検出位置842aまで一旦移動した後に、再び図14(b)に示される位置まで戻ることが生じ得る。このとき、第3の実施形態のように1つの受光素子31bのみが光の強度を検出するような構成によると、単に振動によって光遮断部362cが検出位置842aまで一時的に移動したのみであるにも関わらず、検出位置842aをいずれかの光遮断部が周方向Iに沿って正しく通過したものとして、制御部22が光遮断部の通過を誤って計測する可能性がある。
これに対して第8の実施形態によると、上記のように振動によって光遮断部362cが検出位置842aまで一時的に移動した場合にも、光遮断部362dが検出位置842bに位置した状態が保持される。この間に、検出位置842aにおいては、光遮断部362cが振動によって一時的に光の経路841aを遮断する状態を挟んで、光の強度がA1である状態が2回検出されることとなる。つまり2つの受光素子831bが検出する光の強度は、図14(e)に示されるように変化する。図14(e)の上のグラフは検出位置842bに対応する受光素子831bが受け取る光の強度を、下のグラフは検出位置842aに対応する受光素子831bが受け取る光の強度をそれぞれ表している。図14(e)に示されているように、検出位置842bにおいて光の強度A0である状態871が継続している期間に、検出位置842aにおいて光の強度A1である状態872が2回検出されることとなる。一方で、正常に光の強度が検出された場合には、図14(d)に示されているように2つの受光素子831bは光の強度がA1である状態を交互に検出するはずである。
第8の実施形態の制御部22は、正常な検出結果と異なる図14(e)のような検出結果がもたらされたことに基づいて、光の強度がA1である状態を受光素子831bが何度検出したかの計測値を正しい計測値に補正する。具体的には、例えば、一方の受光素子831bにおいて光の強度がA0である状態が継続している間に、他方の受光素子831bにおいて光の強度がA0である状態を1回挟んで光の強度がA1である状態が2回検出された場合には、当該2回の検出を正味1回の検出として計測する。したがって、第8の実施形態においては、インク99の液面が振動する場合にも、第1〜第7の実施形態に比べてインク99の残量を正確に把握することが可能である。
[第9の実施形態]
図15は、第9の実施形態に係る収容ケース930及びインクカートリッジ910の構成を示す断面図である。図15(a)及び図15(b)は、図2(a)及び図2(b)にそれぞれ対応している。図15(a)及び図15(b)は、いずれもインクカートリッジ910内に所定の最大量までインク99が収容されている場合が示されている。
収容ケース930の発光素子931a及び受光素子931bは、いずれもインクカートリッジ910の最上部に対向する位置に配置されている。より詳細には、インクカートリッジ910の装着姿勢において、インク収容室914c内のインク99が所定の最大量まで収容されている状態にあるとき、光の経路941がインク99の液面より上方に位置するように、発光素子931a及び受光素子931bが配置されている。これによって、図15(b)において検出位置942がインク99の液面より上方に位置することになる。インクカートリッジ910の筐体914には、発光素子931aと受光素子931bとを結ぶ仮想直線上に検出窓911a及び911bが形成されている。
ここで、インク収容室914c内に収容されるインク99の所定の最大量は、上下方向におけるインク収容室914cの最低位置Xの高さを0、インク収容室914cの最高位置Yの高さを100としたときに、インク収容室914cに所定の最大量を収容したときの液面の高さが、70以上90未満となる位置であることが望ましい。これは以下の理由による。
筐体914の内壁の検出位置942となる部分にインクの液滴が付着していると、発光素子931aから出射された光がインクの液滴によって錯乱するため、受光素子931bでの受光量が低下する。そして、受光量の低下が大きいと正常な検出ができなくなるという問題がある。よって、検出位置942は、インクの液面よりも常に高い位置にあることが望まれるが、カートリッジ910が外部振動を受けるとインクの液面が上下に振動するため、仮に振動があっても検出位置942がインクの液面より常に上となるように、インクの液面の高さ位置の最大を90未満としているのである。一方、インク収容室914c内に収容されるインクの量が少なければ、かかる問題は生じないが、少なすぎると多数枚の印字が行えなくなるため、インクの液面の高さ位置の最小を70以上としたのである。
インク収容室914c内には残量検知部材950が設置されている。残量検知部材950には揺動軸17aが固定されており、揺動軸17aは軸受け17bに支持されている。残量検知部材950の大きさや軸受け17bの位置は、インク収容室914c内にインク99が所定の最大量まで収容されている図15の状態で、残量検知部材950の上端がインク99の液面より上方に位置するように調整されている。
また残量検知部材950は、第3の実施形態の被検出部材315と、被検出部材315に固定されたフロート部材16とを有している。残量検知部材950のフロート部材16は被検出部材315の周縁の近傍に固定されている。しかし、第3の実施形態と異なり、残量検知部材950のフロート部材16は、スリット361aが形成された領域に近い位置に固定されている。より詳細には、インク収容室914c内にインク99が所定の最大量まで収容されている図15の状態で、最もフロート部材16に近いスリット361aとフロート部材16との間に検出位置942が配置されるように、フロート部材16の固定位置が調整されている。
第9の実施形態においてインクカートリッジ910内のインク99が減少すると、残量検知部材950は方向Jに沿って回転移動する。これに伴って、光遮断部362が検出位置942に位置している状態と、スリット361aが検出位置942に位置している状態とが交互に繰り返される。したがって、光の強度がA1である状態とA0である状態とが現時点までに何回表れたかを計測することにより、現時点でのインク99の残量がどのくらいであるかを制御部22が多段階に把握することが可能である。
さらに、第9の実施形態によると、インク収容室914c内にインク99が最大量まで収容されている状態でも、検出位置942がインク99の液面より上方に位置している。つまり、発光素子31aからの光が経路941に沿って受光素子31bまで伝播する際に、インク99中を通過しない。一方で、発光素子31aからの光がインク99中を通過して受光素子31bに到達するような構成のインクカートリッジの場合には、インク99の液面がどの位置にあるかによって光がインク99中を通過するか否かが異なるため、受光素子31bが受け取る光の強度が不安定になるおそれがある。特に、光がほとんど透過しないようなインク(例えば、黒の顔料インク)が用いられている場合には、インク99中を光が通過するような光センサ部が用いられているインクカートリッジにおいてインク99の残量を正確に把握することが全く不可能になる場合もある。これに対して本実施形態においてはインク99の残量に関わらず光がインク99中を通過することがないので、受光素子31bが受け取る光の強度が安定する。これによって、制御部22はインク99の残量をより正確に把握することが可能である。
[第10の実施形態]
図16は、第10の実施形態に係るインクカートリッジ1010及び収容ケース1030の構成を示す断面図である。図16は図2(b)に対応している。
第10の実施形態は、第9の実施形態と同様に、インクカートリッジ1010内にインク99が最大量まで収容されているときのインク99の液面よりも検出位置1042が上方に位置するように調整されている。また、第10の実施形態のインクカートリッジ1010は、第9の実施形態のインクカートリッジ910において残量検知部材950を残量検知部材1050に置き換えたものである。残量検知部材1050は、被検出部材1015及びフロート部材1016を有している。被検出部材1015はアーム部1015a及び被検出部1015bからなる。アーム部1015aはほぼ垂直に折れ曲がった板状の部材である。アーム部1015aの一方の先端には被検出部1015bが、他方の先端にはフロート部材1016が固定されている。アーム部1015aにおいて折れ曲がった角部には揺動軸17aが固定されている。インクカートリッジ1010内のインク99が減少すると残量検知部材1050が方向Kに沿って揺動軸17aを中心として回転移動する。残量検知部材1050の形状や揺動軸17aの位置等は、インク99が残りわずかになったときに被検出部1015bが検出位置642を図12の矢印の方向に通過するように、調整されている。
第10の実施形態においてインクカートリッジ1010内のインク99が残りわずかになると、被検出部1015bが検出位置1042を通過する前の状態から、被検出部1015bが検出位置1042にちょうど位置している状態を経て、被検出部1015bが検出位置1042を通過した後の状態まで、残量検知部材1050の状態が推移する。したがって、受光素子31bが受け取った光の強度が2回変化する。これによって制御部22は、受光素子31bからの信号に基づいてインク99の残量を3段階に把握することが可能である。
また、第10の実施形態によると、第9の実施形態と同様に、インク99の残量に関わらず光がインク99中を通過することがないので、受光素子31bが受け取る光の強度が安定する。これによって、制御部22はインク99の残量をより正確に把握することが可能である。
[第11の実施形態]
図17は、第11の実施形態に係るインクカートリッジ1110及び収容ケース1130の構成を示す図である。図17は図2(b)に対応している。
インクカートリッジ1110は残量検知部材1150を有している。残量検知部材1150は被検出部材1115及びフロート部材1116を有している。被検出部材1115はアーム部1115a及び被検出部1115bからなる。アーム部1115aはほぼ直角に折れ曲がった板状の部材である。アーム部1115aの一端には被検出部1115bが、他端にはフロート部材1116が固定されている。アーム部1115aにおいて折れ曲がった角部には揺動軸17aが固定されている。揺動軸17aがインクカートリッジ1110に支持されている位置は、アーム部1115aの他端に固定されたフロート部材1116がインク収容室1114c内の底面の近くに配置されるように調整されている。被検出部1115bは、細かいスリットが形成されたスリット形成部1161を含んでいる。スリット形成部1161は、図17において被検出部1115bの左端に配置されており、被検出部1115bの上端から下端までの帯状の範囲を有している。
また、被検出部1115bの下端には突起部1115dが形成されている。突起部1115dは、インクカートリッジ1110の筐体1114に当接することにより、図17に示されている位置よりも下へと移動しないように被検出部1115bの移動を規制している。これによって、インクカートリッジ1110内にインク99が最大量まで収容されている状態から、インク99の液面がフロート部材1116に差し掛かる位置に至る状態まで、残量検知部材1150は同じ位置に保持されている。そして、インク99の液面が下降してフロート部材1116に差し掛かると、フロート部材1116はインク99の液面に追従して、方向L1に沿って移動する。これに連動して、被検出部1115bも方向L2に沿って移動する。なお、上記のとおり、フロート部材1116はインク収容室1114cの底面に近い位置に配置されている。したがって、インク99の液面が下降してフロート部材1116に差し掛かった状態において、インク収容室1114c内のインク99は残りわずかな状態である。
図18は、図17の一点鎖線に囲まれた部分が拡大されたものである。図18(a)は、インク99の液面がフロート部材1116に差し掛かるまでの状態を示している。図18(b)は、インク99の液面が下降してフロート部材1116に差し掛かり、被検出部1115bが図17の位置から方向L2に沿って少し移動した後の状態を示している。図18(c)は、インク99の液面が下降して、被検出部1115bが図18(b)の位置からさらに移動した後の状態を示している。なお、第11の実施形態においては符号1142は、プリンタ20に設置された発光素子31aからの光が照射される範囲を示すものとする。
図18に示されているように、スリット形成部1161には複数のスリット1161が形成されている。スリット1161は、被検出部1115bの厚み方向に貫通しており、厚み方向に垂直な断面について、円形の断面形状を有している。スリット1161は、図18において被検出部1115bの左半分の上端から下端までの領域に均等に分布するように、格子状に配列されている。スリット形成部1161に照射された光は、スリット1161を通じて被検出部1115bを透過する。これらのスリット1161は、スリット1161の断面の径が光の照射範囲1142の径よりも小さく、スリット1161同士の間隔も平均的に照射範囲1142の径より小さくなるように形成されている。
被検出部1115bに対する照射範囲1142の位置は、インクカートリッジ1110内のインク99の量に応じて以下のように変化する。図18(a)の状態において照射範囲1142は、被検出部1115bのスリット形成部1161以外の領域内に位置している。図18(b)の状態において照射範囲1142は、スリット形成部1161の領域内に位置している。図18(c)の状態において照射範囲1142は、被検出部1115bの領域外に位置している。
図19は、光の照射範囲が図18(a)〜図18(c)のように変化する場合の受光素子31bが受け取る光の強度の変化を示している。図19の横軸は時間(及びインク99の消費量)を、縦軸は光の強度を表している。t29〜t31は、被検出部1115bが図18(a)〜図18(c)のそれぞれの状態にあるときの時刻に相当する。
t29において、被検出部1115bのスリット形成部1161以外の領域に照射範囲1142が位置しているときには、被検出部1115bによって光が遮断されるため、受光素子31bが受け取る光はA0である。t31において受光素子31bが受け取る光の強度は、被検出部1115bを通さずに受光素子31bに光が受け取られるため、A1である。t30において、スリット形成部1161の領域内に照射範囲1142が位置しているときには、スリット1161の少なくともいずれかを通じて被検出部1115bを光が透過する。その一方で、スリット1161は照射範囲1142よりも小さいため、照射範囲1142にはスリット1161が開口していない領域も含まれる。したがって、照射範囲1142に照射された光のうちの一部はスリット1161が開口していない領域に遮断される。このため、t30において受光素子31bが受け取る光の強度A2は、t29のときのA0よりも大きくt31のときのA1よりも小さい。
以上のとおり第11の実施形態によると、インク99が残りわずかになると受光素子31bが受け取った光の強度が2回変化するので、現時点までに光の強度が何回変化したかを計測することにより、インク99の残量を3段階に把握することが可能である。また、光の強度はA0、A1及びA2の3段階に変化するので、現時点までに何回変化したかを計測しなくても、現時点の光の強度がA0〜A2のいずれであるかを判定することにより、インク99の残量を3段階に把握することが可能である。
また第11の実施形態は、インクカートリッジ1110が使用され始めてから現時点までずっと装着姿勢にある場合のみならず、収容ケース1130に着脱されるときにも、インクカートリッジ1110内のインク99の残量を把握することが可能な構成を有している。図20は、収容ケース1130にインクカートリッジ1110が着脱される様子を示している。破線は、装着姿勢から右方に少しスライドされた状態のインクカートリッジ1110を表している。収容ケース1130にインクカートリッジ1110が着脱される際には破線が示す位置と装着姿勢の位置との間で移動する。このとき照射範囲1142は、例えば方向1143に平行に被検出部1115bを切るように、被検出部1115bに対して相対的に移動する。
図21(a)、図21(c)及び図21(e)は、図20において一点鎖線に囲まれた領域の拡大図である。図21(a)、図21(c)及び図21(e)は、互いにインク99の残量が異なるインクカートリッジ1110が矢印1144に沿って収容ケース1130に装着される際に被検出部1115bに対して照射範囲1142が相対移動する様子をそれぞれ示している。図21(a)、図21(c)及び図21(e)のインク99の残量は、図18(a)〜図18(c)のインク99の残量に相当する。図21(a)、図21(c)及び図21(e)において実線は、装着姿勢にあるときのインクカートリッジ1110を示している。また破線は、装着姿勢を取る直前のインクカートリッジ1110を示している。また、図21(b)、図21(d)及び図21(f)は、被検出部1115bに対して照射範囲1142が図21(a)、図21(c)及び図21(e)のように相対移動する際に受光素子31bが受け取る光の強度の変化をそれぞれ表すグラフである。
図21(a)の場合には、受光素子31bが受け取る光の強度は図21(b)のように変化する。まず、図21(a)で破線で示される状態より前においては、発光素子31aからの光が遮断されることなく受光素子31bに受け取られる。このとき、光の強度はA1である(t32)。次に、照射範囲1142がインクカートリッジ1110の筐体1114に差し掛かると、筐体1114によって光の経路が遮断される。このとき、光の強度はA0となる(t33)。次に、照射範囲1142が筐体1114を通過し終えると、筐体1114と被検出部1115bとの間の空間に光の経路が形成されるので、光の強度はA1となる(t34)。次に、照射範囲1142が被検出部1115bのスリット形成部1161に位置すると、光の強度はA2となる(t35)。そして、図21(a)で実線で示されている装着姿勢においては、被検出部1115bによって照射範囲1142が完全に遮断されているため、光の強度がA0となる(t36)。
図21(c)の場合には、受光素子31bが受け取る光の強度は図21(d)のように変化する。まず、図21(c)で破線で示される状態の前においては、発光素子31aからの光が遮断されることなく受光素子31bに受け取られる。このとき、光の強度はA1である(t37)。次に、照射範囲1142がインクカートリッジ1110の筐体1114に差し掛かると、筐体1114によって光の経路が遮断される。このとき、光の強度はA0となる(t38)。次に、照射範囲1142が筐体1114を通過し終えると、筐体1114と被検出部1115bとの間の空間に光の経路が形成されるので、光の強度はA1となる(t39)。次に、照射範囲1142が被検出部1115bのスリット形成部1161に位置すると、光の強度はA2となる(t40)。ここで、図21(c)で実線で示されているように、インクカートリッジ1110が装着姿勢になるまで挿入されると、照射範囲1142はスリット形成部1161の領域内に位置する。したがってt40以降において、光の強度はA2である。
図21(e)の場合には、受光素子31bが受け取る光の強度は図21(f)のように変化する。まず、図21(e)で破線で示される状態の前においては、発光素子31aからの光が遮断されることなく受光素子31bに受け取られる。このとき、光の強度はA1である(t41)。次に、照射範囲1142がインクカートリッジ1110の筐体1114に差し掛かると、筐体1114によって光の経路が遮断される。このとき、光の強度はA0となる(t42)。次に、照射範囲1142が筐体1114を通過し終えると、筐体1114と被検出部1115bとの間の空間に光の経路が形成されるので、光の強度はA1となる(t43)。ここで、図21(e)で実線で示されているように、インクカートリッジ1110が装着姿勢になるまで挿入されると、照射範囲1142は被検出部1115bと筐体1114との間に位置する。したがってt43以降において、光の強度はA1である。
以上のとおり第11の実施形態においては、インクカートリッジ1110を収容ケース1130に装着する際に受光素子31bが受け取る光の強度の変化態様が、装着されるインクカートリッジ1110内のインク99の残量に応じて異なったものとなる。制御部22は受光素子31bからの信号に基づいて、インクカートリッジ1110が収容ケース1130に装着された際にインクカートリッジ1110内のインク99の残量を取得する。具体的には例えば、制御部22が有しているメモリには、図21(b)、図21(d)及び図21(f)に示されているような光の強度の変化態様が、その変化態様に対応するインク99の残量に関連付けて記憶されている。そして制御部22は、受光素子31bからの信号が示す光の強度の変化態様が、メモリが記憶しているいずれの変化態様に該当するかを判定し、その判定結果からインク99の残量を取得する。そして制御部22は、取得したインク99の残量を報知部29を介してユーザに報知する。例えば、インク99の残量が所定の値より小さいときに、インク99の残量が少ないことを報知部29を介してユーザに警告してもよい。
なお、第11の実施形態は、インクカートリッジ1110の装着時に図21に示されているように少なくとも3段階でインク99の残量を把握することが可能なものであるが、4段階以上にインク99の残量を把握することも可能である。例えば、図21(a)及び図21(c)に示されているように、インク99の残量に応じて被検出部1115bと筐体1114との離隔距離が異なっている。これによって、図21(b)及び図21(d)に示されているように、光の強度がA1である期間1171及び期間1172は、長さが互いに異なったものとなっている。これに基づいて、期間1172が長いほどインク99の残量が少ないものと判定することにより、インク99の残量を全部で4段階以上に把握することが可能である。
また上記の説明においては、インクカートリッジ1110が装着されるときにインク99の残量を取得する場合が示されているが、インクカートリッジ1110が収容ケース1130から取り外されるときにもインク99の残量を把握することが可能である。インクカートリッジ1110が収容ケース1130から取り外されるときには、受光素子31bが受け取る光の強度の変化態様が、図21(b)等に示されている変化態様を時間的に反転させたものとなる。したがって、図21(b)等に示されている変化態様を時間的に反転させたものと、実際に受光素子31bが受け取った光の強度の変化態様とを比較することにより、インクカートリッジ1110が収容ケース1130から取り外される場合のインク99の残量を把握することが可能となる。
[第12の実施形態]
第12の実施形態は、第11の実施形態のように、インクカートリッジ内のインク99の残量を、インクカートリッジの使用中(インクカートリッジが使用され始めてから現時点まで装着姿勢のままである場合)のみならず、インクカートリッジが収容ケースに着脱される際にも取得可能なものである。図22は、第12の実施形態に係る残量検知部材1250を示すものである。
残量検知部材1250は、被検出部材1215及びフロート部材16を有している。被検出部材1215は概略的に円盤状の形状を有している。フロート部材16は、被検出部材1215の円盤の周縁近傍に固定されている。
また、被検出部材1215には複数のスリット1261が形成されている。これらのスリット1261は、被検出部材1215の周方向に沿って等間隔に配列されている。スリット1261のうち、被検出部材1215の周方向に関して最もフロート部材16に近いスリット1261bは、それ以外のスリット1261aよりも、周方向に関する幅が大きくなるように形成されている。一方、スリット1261aの周方向に関する幅は互いに等しい。また、スリット1261aは、被検出部材1215の周縁の近傍からその中心に向かって互いに同じ長さに延在している。スリット1261同士の間には光遮断部1262が形成されている。
被検出部材1215には、スリット1261以外にも、周方向に沿って延在するスリット1291a〜1291cが形成されている。スリット1291a〜1291cはいずれもスリット1261aと被検出部材1215の周縁との間に形成されている。これらのうち、スリット1291aが被検出部材1215の周縁に最も接近しており、スリット1291cが被検出部材1215の周縁から最も離隔している。スリット1291a〜1291cの一端はいずれも、周方向に関してスリット1261bから最も離隔したスリット1261aよりもフロート部材16に若干接近した位置に配置されている。スリット1291a〜1291cの他端は互いに異なる位置に配置されている。スリット1291aの他端が周方向に関してスリット1261bから最も離隔しており、スリット1291cの他端がスリット1261bに最も接近している。
以上のようなスリット1261を有していることにより、残量検知部材1250は、インクカートリッジの使用中においてインク99の残量を取得することが可能なものとなっている。さらに残量検知部材1250は、インクカートリッジが収容ケースに着脱される際にもインク99の残量を以下のように取得することが可能なものである。
図22には、インク99の残量が最大量に近いときの検出位置1242が示されている。この状態でインクカートリッジが収容ケースに装着される際には、検出位置1242は残量検知部材1250に対して一点鎖線1281aに沿って矢印1244aの方向に移動することになる。したがってインクカートリッジが装着され終わるまでに、検出位置1242をスリット1291a〜1291cが通過する。つまり、インク99の残量が最大量に近いときには、スリット1291a〜1291cのうち全てのスリットが検出位置1242を通過したことが光センサ部31によって検出される。
インク99の残量が減少すると、残量検知部材1250はインクカートリッジ内で方向Mに沿って回転移動する。インク99の残量が最大量より小さいm1まで減少して、図22に示されている位置から残量検知部材1250が、一点鎖線1281bが一点鎖線1281aに重なる位置まで回転移動しているとする。このような状態でインクカートリッジが収容ケースに装着される際には、検出位置1242は一点鎖線1281bに沿って矢印1244bの方向に移動することになる。したがってインクカートリッジが装着され終わるまでに、スリット1291a及び1291bが検出位置1242を通過する。つまり、インク99の残量がm1であるときに、スリット1291a〜1291cのうち2つのスリットが検出位置1242を通過したことが光センサ部31によって検出される。
インク99の残量がm1からさらに減少してm1より小さいm2になり、一点鎖線1281cが一点鎖線1281aに重なる位置まで残量検知部材1250が回転移動しているとする。このような状態でインクカートリッジが収容ケースに装着される際には、検出位置1242は一点鎖線1281cに沿って矢印1244cの方向に移動することになる。したがってインクカートリッジが装着され終わるまでに、スリット1291aのみが検出位置1242を通過する。つまり、インク99の残量がm2であるときに、スリット1291a〜1291cのうち1つのスリットが検出位置1242を通過したことが光センサ部31によって検出される。
以上より、第12の実施形態によると、残量検知部材1250を有するインクカートリッジが収容ケースに着脱される際に、スリット1291a〜1291cのうちいくつのスリットが検出位置1242を通過したかを光センサ部31を通じて取得することにより、インク99の残量が3段階で把握される。
[第13の実施形態]
第13の実施形態も、第12の実施形態と同様に、インクカートリッジ内のインク99の残量を、インクカートリッジの使用中にもインクカートリッジが収容ケースに着脱される際にも取得可能なものである。図23は、第13の実施形態に係る残量検知部材1350を示すものである。
残量検知部材1350は、被検出部材1315及びフロート部材16を有している。被検出部材1315には複数のスリット1361aとスリット1361bとが形成されている。残量検知部材1350は、第12の実施形態の残量検知部材1250において、スリット1261a及びスリット1291a〜1291cの替わりにスリット1361aを形成したものに相当する。スリット1361同士の間には光遮断部1362が形成されている。
スリット1361aの一端は被検出部材1315の周縁に配置されている。スリット1361aは、いずれも被検出部材1315の周縁から離隔する方向に沿って一端から直線状に延在するように形成されている。スリット1361aの他端は、被検出部材1315と同心の被検出部材1315より小さい円1382の内部且つ円1382の近傍に配置されている。そしてスリット1361aは、被検出部材1315の径方向との間になす鋭角がスリット1361bに近いものほど大きくなるように形成されている。例えばスリットs1〜s3の中で、スリットs1はスリット1361bから最も離隔しており、スリットs3はスリット1361bに最も接近している。そしてスリットs1〜s3と径方向との間の鋭角θ1〜θ3のうち、スリット1361bから最も離隔したs1に係るθ1が最も小さく、スリット1361bに最も接近したs3に係るθ3が最も大きい。
ここで、スリットs1と被検出部材1315の中心とを通る仮想直線1381aと、被検出部材1315の中心に関して図23の反時計回りに仮想直線1381aが回転されたものに相当する、複数の仮想直線とを引いたとする(例えば、仮想直線1381b及び1381cがこのような仮想直線に相当する)。このとき、スリット1361aは、さらに以下の条件イ及び条件ロを満たすように被検出部材1315に形成されている。
(条件イ)上記の仮想直線が横切るスリット1361aの数が仮想直線1381aからの回転角度に応じて変化するように、スリット1361aが形成されている。
例えば、仮想直線1381aが横切るスリット1361aの数は1である。これに対して、仮想直線1381aから角度α1だけ回転させた仮想直線1381bが横切るスリット1361aの数は2である。仮想直線1381aから角度α2(>α1)だけ回転させた仮想直線1381cが横切るスリット1361aの数は3である。
(条件ロ)ある仮想直線が横切るスリット1361aの数は、仮想直線1381aからの回転角度がその仮想直線よりも小さい他のいずれの仮想直線が横切るスリット1361aの数よりも大きいか、同じ数である。つまり、仮想直線1381aからの回転角度が大きくなっていくと、仮想直線が横切るスリット1361aの数が段階的に大きくなるように、スリット1361aが形成されている。
以上のとおりにスリット1361aが形成されていることにより、残量検知部材1350は、インクカートリッジが収容ケースに装着された際に、インク99の残量を把握することが可能なものとなっている。
図23には、インク99の残量が最大量に近いときの検出位置1342が示されている。残量検知部材1350が内部に設けられたインクカートリッジが収容ケースに装着される際には、検出位置1342は被検出部材1315に対して、仮想直線1381aに沿って矢印1344aの方向に相対的に移動する。この場合に、検出位置1342において光センサ部31によって検出されるスリット1361a(スリットs1に相当する)の数は1である。
次に、図23の状態からインク99が減少していると、残量検知部材1350が方向Nに沿って回転移動した位置にある。このようなインクカートリッジを収容ケースに装着すると、検出位置1342は、仮想直線1381aから被検出部材1315の中心に関して回転されたいずれかの仮想直線Xに沿って移動することになる。例えば、仮想直線1381bに沿って矢印1344bの方向に移動することになる。このとき、検出位置1342において光センサ部31によって検出されるスリット1361aの数は、仮想直線Xが横切っているスリット1361aの数に等しい。一方で、上記の条件イ及びロを満たすようにスリット1361aが形成されていることにより、仮想直線Xが横切っているスリット1361aの数が大きいほど、残量検知部材1350が図23の状態から、大きく回転移動していることになる。つまり、検出位置1342において光センサ部31によって検出されるスリット1361の数が大きいほど、インク99の残量が少ないと判定することが可能になる。
例えば、検出位置1342が仮想直線1381bに沿って移動する場合には、光センサ部31は2つのスリット1361aを検出する。検出位置1342が仮想直線1381cに沿って移動する場合には、光センサ部31は3つのスリット1361aを検出する。したがって、後者の場合が前者の場合よりもインク99の残量が少ない、と判定することが可能である。
また、残量検知部材1350を有するインクカートリッジが使用中である場合には、インク99の減少に伴って検出位置1342が、被検出部材1315に対して、円1382に沿って方向Nとは逆方向に移動する。したがって、検出位置1342においてスリット1361aと光遮断部1362とが交互に検出されることとなる。したがって、残量検知部材1350は、インクカートリッジの使用中にもインク99の残量を多段階に把握することが可能である。
[第14の実施形態]
図24は、第14の実施形態に係るインクカートリッジ1410及び収容ケース1430を示す図である。第14の実施形態は、第7の実施形態において残量検知部材750が、残量検知部材1450に置き換えられたものに相当する。
残量検知部材1450は被検出部材1415と、被検出部材1415の下端に固定されたフロート部材1416とを有している。被検出部材1415にはスリット1461及びスリット1491が形成されている。スリット1461は上下方向に沿って配列されており、スリット1461同士の間には光遮断部1462が形成されている。第14の実施形態においてスリット1461及び光遮断部1462は、第7の実施形態におけるスリット761及び光遮断部762に相当する。したがって、インクカートリッジ1410は、その使用中にインク99の残量を把握することが可能なものである。
スリット1491は上下方向に沿って延在する3本のスリットからなる。これらのスリットの上端は、いずれも被検出部材1415の上端近傍の上下方向に関して互いに同じ位置に配置されているのに対し、下端は上下方向に関して互いに異なる位置に配置されている。これによって、インクカートリッジ1410が収容ケース1430に着脱される際に、方向1443に沿って検出位置1442が通過するスリット1491の本数が、インクカートリッジ1410内のインク99の残量に応じて段階的に変化することとなる。したがって、インクカートリッジ1410は、収容ケース1430に装着される際にインク99の残量を把握することが可能なものである。
<本願に含まれる発明と実施形態との関係>
上記の第1〜第14の実施形態に実現されている発明には以下のものがある。
第1の発明に係るインクカートリッジは、フロート部材、フロート部材に連動する被検出部材及び規制手段を有している。規制手段は、インク収容室内のインク99の液面に追従してフロート部材及び被検出部材が移動する際に、フロート部材及び被検出部材の移動を所定の経路に規制する。また、インクカートリッジの筐体の一部は光透過性を有しており、かかる光透過性を有する部分を通じて、インクカートリッジの外部からの光が所定の検出位置を経て外部に出射する。そして、被検出部材に設けられた光透過部(スリット)と、被検出部材の光透過部を挟む位置に設けられた第1及び第2の光遮断部とが、被検出部材が上記の所定の経路に沿って移動する際に、第1の光遮断部、光透過部及び第2の光遮断部の順に上記の検出位置を通過する。
第1の発明は、第1〜第14の実施形態のそれぞれに実現されている。例えば、第6の実施形態において第1及び第2の光遮断部は、光遮断部662a及び662bのそれぞれに対応する。また、光透過部はスリット661に対応する。規制部材17(揺動軸17a及び軸受け17b)は、揺動軸17aを中心に回転移動するように被検出部材615(及びフロート部材16)の移動を規制している。被検出部材615が回転移動すると、光遮断部662a、スリット661及び光遮断部662bが、順に検出位置642を通過する。
また、第7の実施形態において光透過部はスリット761に対応する。第1及び第2の光遮断部は、スリット761を挟む一対の光遮断部762に対応する。規制手段717は、筐体714との間で上下方向に沿って移動するように被検出部材715(及びフロート部材716)の移動を規制している。被検出部材715が下降すると、上記の一対の光遮断部762の一方、一対の光遮断部762が挟むスリット761及び一対の光遮断部762の他方が、順に検出位置742を通過する。
第2の発明に係るインクカートリッジは、フロート部材、フロート部材に連動する被検出部材及び規制手段を有している。規制手段は、インク収容室内のインク99の液面に追従してフロート部材及び被検出部材が移動する際に、フロート部材及び被検出部材の移動を所定の経路に規制する。被検出部材の一部は、インク収容室内に所定の最大量まで収容されている場合において、インク99の液面より上方に位置している。また、インクカートリッジの筐体の一部は光透過性を有している。インクカートリッジが装着姿勢にあるときに、インクカートリッジの外部からの光が筐体の光透過性を有する部分を通じて、所定の最大量まで収容されたインク99を通過することなく所定の検出位置を経て外部に出射する。被検出部材は、上記の所定の経路に沿って移動する際に上記の検出位置を通過する。
第2の発明は、第9の実施形態に実現されている。第9の実施形態を示す図15には、インク収容室914c内に最大量までインク99が収容された状態が示されている。このときのインク99の液面の上方に検出位置942が位置するように、光センサ部31(発光素子31a及び受光素子31b)並びに検出窓911a及び911bの位置が調整されている。
また、第1〜第6、第8及び第10〜第13の実施形態は、いずれも被検出部材が揺動軸を中心に回転移動して検出位置を通過するように規制手段が被検出部材の移動を規制するものである。このように、被検出部材が回転移動することによって検出位置を通過する実施形態の場合には、インク収容室内に最大量までインク99が収容された状態において検出位置をインク99の液面の上方に設置したときにも、被検出部材がその検出位置を通過するように調整することが可能である。例えば、第11の実施形態において検出窓を筐体1114の上方に形成すると共に、収容ケース1130の光センサ部31をかかる検出窓の位置に設置することによって、検出位置1142が上方に設置される。そして、揺動軸17aを図17よりも上方に設置して、被検出部材1115が上方の検出位置1142を通過するように被検出部材1115の移動経路を調整することによって、第11の実施形態において第2の発明が実現する。
また、第9の実施形態の残量検知部材950は、第3の実施形態の残量検知部材150においてフロート部材16の固定位置をスリットの近くに移動することにより、第2の発明を実現させたものである。したがって、残量検知部材150のように円盤状の被検出部材が使用されている実施形態においては、上記と同様にフロート部材の固定位置を調整することにより、第2の発明を実現することが可能である。
<その他の変形例等>
上述の実施形態においては、被検出部材とフロート部材とが一体に固定された形態が採用されている。しかし、フロート部材が移動するのに連動して被検出部材が移動するような構成であれば、これらが一体に固定されている必要はない。例えば、フロート部材と被検出部材とが別体であって、フロート部材が被検出部材に当接している。そして、インク99が減少するにつれてフロート部材が移動するのに伴ってフロート部材が被検出部材を押すことにより、被検出部材が所定の経路に沿って移動する、という構成であってもよい。
また、上述の実施形態は、被検出部材が光を遮断することによって受光素子31bが受け取る光の強度を減少させる、という構成を有している。しかし、発光素子からの光を被検出部材が反射し、反射した光を受光素子が検出することによりインク99の残量を検出する、という構成であってもよい。例えば図25は、このような構成の実施例を表すものである。図25(a)は被検出部材2015及びフロート部材16を有する残量検知部材2050を示している。被検出部材2015は、第3の実施形態の被検出部材115においてスリット161a及び161bが形成されている領域に、光を反射する光反射部2081及び2082がスリットの替わりに形成されたものである。光反射部2081及び2082は、スリット161a及び161bにそれぞれ対応する。また、光反射部2081及び2082同士の間には、光遮断部2062が形成されている。
図25(b)及び図25(c)は、図25(a)のような残量検知部材2050を有するインクカートリッジ2010及び収容ケース2030を示している。収容ケース2030には、発光素子2031a及び受光素子2031bが設置されている。発光素子2031a及び受光素子2031bの設置角は、発光素子2031aからの光が被検出部材2015の表面において反射すると、反射光が受光素子2031bに受け取られるように調整されている。これによって、図25(c)のように発光素子2031aからの光2141cが光反射部2081又は2082に到達した場合には、光反射部2081等において反射した反射光が受光素子2031bに届くこととなる。一方で図25(b)のように発光素子2031aからの光2141bが光遮断部2062に到達した場合には、光遮断部2062に光が遮断されるため、受光素子2031bには反射光が届かない。
つまり、発光素子2031aからの光が到達する検出位置に光反射部2081又は2082が位置している場合に受光素子2031bが受け取る光の強度は、検出位置に光遮断部2062が位置している場合に受光素子2031bが受け取る光の強度より大きくなる。これによって、受光素子2031bが受け取る光の強度に基づいてインク99の残量を把握することが可能なインクカートリッジが、上述の実施形態と同様に実現する。なお、被検出部材2015において光反射部2081以外の領域が、光が透過する性質を有する材料からなるものであってもよい。この場合にも、光反射部2081以外においては光が反射しないため、受光素子2031bに反射光を到達させないという光遮断部2062と同様の機能を被検出部材2115が有することとなる。
また、上述の実施形態には、被検出部材にスリットが形成されている形態が含まれている。かかるスリットは、光遮断部と比べて光が透過しやすいように構成されていれば、どのような材質からなるものでも、どのような形状を有するものでもよい。例えば、被検出部材を貫通する貫通孔内に透明な樹脂材料が充填されたものであってもよいし、矩形や円形以外の形状を有するものであってもよい。また、光遮断部は光を完全に遮断するものでなくてもよい。スリットなどの光透過部と比べて光が透過しにくい材料からなるもので形成されていればよい。
また、上述の実施形態においては、光遮断性を有する材料からなる被検出部材に、光が透過するスリットや貫通孔が形成されている。しかし、光透過性を有する材料からなる被検出部材に、光遮断性を有するシール材が、上述の実施形態におけるスリット等と同じ形状で同じ位置に貼り付けられていてもよい。これによって、上述の実施形態と同様の機能を有する光透過部が簡易な方法で形成されるので、残量検知部材を容易に作製することができる。