以下は、本発明の好適な実施形態に係るプリンタシステム1についての説明である。
[第1の実施形態]
図1はプリンタシステム1の概略的な構成を示す図である。プリンタシステム1はインクカートリッジ10及びインクジェットプリンタ20を有している。インクジェットプリンタ20(以下、「プリンタ20」とする)は、制御部22、報知部29、インクジェットヘッド23、搬送ユニット24及び収容ケース30を有している。制御部22は、プリンタ20の各種の動作を制御する。報知部29は制御部22の指示に従って、プリンタ20の動作状況に係る種々の情報をプリンタ20のユーザに報知する。例えば報知部29がディスプレイを有しており、種々の情報がそのディスプレイに表示されることによってユーザに報知されてもよい。
インクジェットヘッド23は複数のノズル23aを有している。インクジェットヘッド23の内部には、図示されていないインク流路が形成されており、かかるインク流路から供給されたインクがノズル23aから下方へと吐出される。搬送ユニット24は印刷用紙Pをインクジェットヘッド23の下方へと搬送する。インクジェットヘッド23から吐出されたインクは、搬送ユニット24が搬送した印刷用紙P上に着弾する。制御部22は、プリンタ20に接続されたパーソナルコンピュータ等から送信された画像データに基づいて、インクジェットヘッド23からのインク吐出と搬送ユニット24による印刷用紙Pの搬送とを制御する。これによってプリンタ20は、画像データに相当する画像を印刷用紙P上に形成する。
収容ケース30は、インクカートリッジ110が収容されるケースである。収容ケース30の内部には概略的に直方体の収容スペース32(装着部)が形成されており、かかる収容スペース32内に矢印Bの方向に沿ってインクカートリッジ110が着脱される。収容スペース32を画定している収容ケース30の内面には、凹部34が形成されている。凹部34は収容スペース32の開口から方向Bに沿って収容スペース32の奥へと延在している。
また、収容ケース30は、光センサ部31、インク流入口33及び蓋部35を有している。光センサ部31は収容ケース30内の収容スペース32に露出するように設置されている。インク流入口33は、収容ケース30にインクカートリッジ110が装着された際に、インクカートリッジ110のインク流出口119と連結し、インク流出口119から流出するインクが流入する開口である。インク流入口33はインクチューブ25を通じてインクジェットヘッド23内のインク流路に連通している。これによってインクカートリッジ110からのインクがインクジェットヘッド23内のインク流路に導入される。蓋部35は収容ケース30の出入口である開口を開閉するものであり、矢印Aの方向に沿って揺動可能に収容ケース30に設置されている。蓋部35は、収容ケース30にインクカートリッジ110が着脱される際に収容ケース30の開口を開放し、インクカートリッジ110が装着されると収容ケース30の開口を閉鎖する。
インクカートリッジ110は収容スペース32とほぼ同じ概略的に直方体の形状を有しており、収容スペース32より若干小さい。インクカートリッジ110の側面には凸部113が形成されている。凸部113は、収容ケース30に形成された凹部34とほぼ同じ形状を有しており、凹部34内に収まる大きさを有している。また、インクカートリッジ110はインク流出口112を有している。インクカートリッジ110が収容ケース30に着脱される際には、インクカートリッジ110の凸部113と収容ケース30の凹部34とが互いに嵌合されつつインクカートリッジ110が矢印Bの方向に沿ってスライドされる。つまり、凸部113と凹部34とは、着脱方向Bに沿ってインクカートリッジ110を移動させるガイド部材である。インクカートリッジ110が収容ケース30に装着されると、インク流出口112がインク流入口33と連通する。
図2(a)及び図2(b)は、インクカートリッジ110の内部の構造及び収容ケース30の構成を示す図である。図2(a)及び図2(b)において、インクカートリッジ110は、収容ケース30に装着された装着姿勢を取っている。本明細書においては、インクカートリッジが収容ケース内に図2のように装着されているときのインクカートリッジの姿勢を「装着姿勢」と称する。図2(b)は、図2(a)のIIB−IIB線に沿った断面図である。
インクカートリッジ110はカートリッジ筐体114(以下、「筐体114」とする)を有している。筐体114は光を透過する性質を有する材料からなるものである。例えば、半透明の樹脂材料からなる。筐体114の内部には空洞のインク収容室114cが形成されており、かかるインク収容室114cにインク99が収容される。つまり、筐体114がインクを収容するインク収容室114c(液体収容室)を画定している。筐体114は、全体が直方体状に形成され、図2(a)においてその左方から突出する凸部114dを有しており、凸部114dの内部空間はインク収容室114cの一部となっている。
インク収容室114cは、通路38を介してインクを外部に流出するインク流出口39と連通している。通路38内には、インク流出口39を開閉する図示しない開閉機構が設けられている。この開閉機構は、普段はインク流出口39を閉じており、インク流出口39が収容ケース30のインク流入口33と連結したときにインク流出口39を開放するものである。
インク収容室114c内には、インク99の残量を検出するための残量検出機構が設置されている。かかる残量検出機構は被検出部材115及びフロート部材116を有している。被検出部材115は光を遮断する性質を有する材料からなる板状の部材であり、アーム部115a及び被照射部115bからなる。アーム部115aは角部115e及び115fにおいて、それぞれほぼ直角に折れ曲がっている。アーム部115aの一端には被照射部115bが、他端にはフロート部材116が固定されている。フロート部材116は、樹脂等の材料で単位体積あたりの質量がインク99の密度よりも小さくなるように構成されている。例えば、インクよりも比重の小さい材料で形成されていてもよいし、インクよりも比重の大きい材料で形成される場合には、内部に空洞を有する中空体として形成されていてもよい。
被照射部115bは概略的に正方形の形状を有している。被照射部115bには、概略的に長方形のスリット161が形成されている。スリット161は図2(a)において、被照射部115bの上端から下方へ向かって、被照射部115bの下端に近い位置まで延在している。そして、図2の左右方向に関して被照射部115bの中央よりやや左寄りの位置に配置されている。また、スリット161を挟むように光遮断部162a及び162bが形成されている。被照射部115bにおいて、スリット161は発光素子31aからの出射光が透過する部分(出射光を受光素子31bへと向かわせる部分;第1の部分)であり、光遮断部162a及び162bは発光素子31aからの出射光を遮断する部分(第2の部分)である。
アーム部115aは枢支機構によって回転可能に枢支されている。かかる枢支機構は揺動軸117a及び図示されていない軸受けから構成されている。揺動軸117aは、アーム部115aにおいて折れ曲がった一方の角部115eに固定されている。また、揺動軸117aは、軸受けに回転可能に支持されている。これによってアーム部115aは、揺動軸117aを枢支点として回転することができる。本実施形態において揺動軸117aは、インク収容室114cの左内壁面の下部に接近した位置に支持されている。また、揺動軸117aが支持されている位置は、上下方向に関して、フロート部材116がインク収容室114c内の底面の近くに配置され、被照射部115bがインク収容室114cにおいて凸部114dの領域内に配置されるように調整されている。
被照射部115bの下端には突起部115dが形成されている。突起部115dは、凸部114dに当接することにより、図2に示されている位置よりも下へと移動しないように被照射部115bの移動を規制している(規制機構)。これによってアーム部115aは、インクカートリッジ110内にインク99が最大量まで収容されている状態において、角部115eの鉛直上方に角部115fが配置される状態を取っている。また、インクカートリッジ110内にインク99が最大量まで収容されている状態から、インク99の液面がフロート部材116に差し掛かる位置に至る状態まで、アーム部115a及び被照射部115bは同じ位置に保持されている。そして、インク99の液面が方向Rに沿って下降してフロート部材116に差し掛かると、フロート部材116はインク99の液面に追従して、揺動軸117aを中心として方向Q1に回転移動し始める。これに連動して、被照射部115bも方向Q2に沿って移動する。なお、上記のとおり、フロート部材116はインク収容室114cの底面に近い位置に配置されている。したがって、インク99の液面が下降してフロート部材116に差し掛かった状態において、インク収容室114c内のインク99の残量が残りわずかな状態になっている。
光センサ部31は、発光素子31a(光出射部)及び受光素子31b(受光部)を有している。発光素子31a及び受光素子31bは、図の上下方向に関して互いに同じ位置に配置されている。発光素子31aは制御部22と接続されており、制御部22からの指示に従って光を出射する。受光素子31bも制御部22と接続されており、光を受け取ると共に受け取った光の強度を示す信号を制御部22へと送信する。上記の通り筐体114は光透過性を有する材料からなる。したがって、インク収容室114c内の光の経路上に遮蔽物がない限りにおいて、発光素子31aからの光は筐体114を透過し、上記の仮想直線に沿って受光素子31bに到達する。ただし、筐体114を構成する側壁の厚み方向に垂直に光が入射する場合には、インク収容室114cの内部を通過せず、受光素子31bの手前に到達するまで側壁の内部を通過しなければならない。したがって、筐体114を構成する側壁の厚み方向に垂直に入射する場合には、受光素子31bに到達する光の強度が側壁の厚み方向に平行に入射する場合と比べて極めて小さくなる。なお、筐体114の全体が光透過性を有する材料からなっている必要はなく、例えば筐体114の大部分が光を透過せず、上記の仮想直線に沿って発光素子31aからの出射光が筐体114を貫通するように光透過性を有する窓が形成されていてもよい。
図2(b)に示されているように、第1の実施形態においては、発光素子31a及び受光素子31bが凸部114dを互いに挟むように配置されている。これによって、発光素子31aからの出射光141が凸部114d内を通過して受光素子31bに到達する。
したがって、図2(a)に示されているように、発光素子31aからの出射光が通過する位置(以下、「検出位置」とする)も凸部114d内に位置している。すなわち、検出位置142は、インクカートリッジ110が収容ケース30に装着されたときに、発光素子31aと受光素子31bによって挟まれる位置である。
以上の構成により被照射部115bの位置は、インク収容室114c内のインクの残量に応じて変化する。例えばインクの残量がある大きさのときにはインク収容室114c内において、に光遮断部162a又は162bが位置する。一方で、インクの残量が他の大きさのときには検出位置にスリット161が位置する。光遮断部162a又は162bが検出位置142に位置している場合には、発光素子31aからの出射光が遮断されるが、スリット161が検出位置142に位置している場合には、発光素子31aからの出射光が受光素子31bに到達する。したがって、スリット161が検出位置142に位置している場合に受光素子31bが受け取る光の強度は、光遮断部162a又は162bが検出位置142に位置している場合に受光素子31bが受け取る光の強度より大きい。
以下は、インク99の残量に応じて受光素子31bが受け取る光の強度がどのように変化するかについての説明である。まず、インクカートリッジ110が装着されてからインク99の残量がわずかになるまで使用され続けた場合の強度の変化を説明する。次に、インクカートリッジ110が着脱される場合の強度の変化を説明する。
インクカートリッジ110が装着されてから内部のインクが空になるまで連続して使用された場合に、インク収容室114c内のインクの減少に応じて受光素子31bが受け取る光の強度は、以下のように変化する。図3は、図2の一点鎖線に囲まれた部分が拡大されたものである。図3(a)は、インク99の液面がフロート部材116に差し掛かるまでの状態を示している。図3(b)は、インク99の液面が下降してフロート部材116に差し掛かり、被照射部115bが図3(a)の位置から図2の方向Q2に沿って少し移動した後の状態を示している。図3(c)は、インク99の液面が下降して、被照射部115bが図3(b)の位置からさらに移動した後の状態を示している。図3(d)は、インク99の液面が下降して、被照射部115bが図3(c)の位置からさらに移動した後の状態を示している。
被照射部115bの状態は、インクカートリッジ110内のインク99の量に応じて以下のように変化する。図3(a)において被照射部115bは、光遮断部162aが検出位置142に位置している状態を取っている。図3(b)において被照射部115bは、スリット161が検出位置142に位置している状態を取っている。図3(c)において被照射部115bは、光遮断部162bが検出位置142に位置している状態を取っている。図3(d)において被照射部115bは、検出位置142を通過し終わって、検出位置142の右方に位置している状態を取っている。このように被照射部115bは、インク99の減少に応じて図3の左方から右方へと移動する。
図4は、光の照射範囲が図3(a)〜図3(d)のように変化する場合の受光素子31bが受け取る光の強度の変化を示している。図4の横軸は時間(及びインク99の消費量)を、縦軸は光の強度を表している。光の強度A1は、発光素子31aからの光が被検出部材115によって遮断されることなく受光素子31bまで到達する場合の強度を示している。光の強度A0は、発光素子31aからの光が被検出部材115によって遮断された場合の強度を示している。t1〜t4は、被照射部115bが図3(a)〜図3(d)のそれぞれの状態にあるときの時刻に相当する。
t1においては、光遮断部162aによって光が遮断されるため、受光素子31bが受け取る光の強度はA0である。t2においては、スリット161を通じて受光素子31bに光が受け取られるため、受光素子31bが受け取る光の強度はA1である。t3においては、光遮断部162bによって光が遮断されるため、受光素子31bが受け取る光の強度はA0である。t4以降においては、被照射部115bが検出位置142を通過し終わっているため、光の強度はA1である。
以上のとおり第1の実施形態によると、インク収容室114c内のインク99が減少して残量がわずかになると、インク99の液面がフロート部材116に差し掛かり、フロート部材116が移動し始める。さらにインク99が減少すると、フロート部材116に連動して、光遮断部162aが検出位置142に位置している第1の位置、スリット161が検出位置142に位置している第2の位置、光遮断部162bが検出位置142に位置している第3の位置、及び、被照射部115bが検出位置142を通過し終わっている第4の位置の順に、被検出部材115の位置が変化する。これに伴って、受光素子31bが受け取る光は、強度がA0である第1の状態、強度がA1である第2の状態、強度がA0である第3の状態及び強度がA1である第4の状態に順に変化する。
制御部22は、現時点が第1〜第4のどの状態であるかを把握することにより、インク99の残量を4段階で把握する。具体的には、制御部22は、受光素子31bが受け取る光が、A0である状態と光の強度がA1である状態との間で何度切り替わったかを計測する。そして、切り替わった回数が0回〜3回のいずれであるかに応じて、現時点において第1〜第4の状態のそれぞれであると判定する。そして、制御部22は、インク99の残量に関する判定結果に基づいて、報知部29を介してインク99の残量を示す情報をユーザに対して報知する。例えば、第1〜第4の状態のそれぞれに応じて、インク99の残量がまだ十分にある、インク99の残量が残りわずかである、インク99の残量がさらに残りわずかになった、インク99の残量がほぼ空である、という意味を表すメッセージがディスプレイに表示されてもよい。
またインクカートリッジ110は、使用され始めてから現時点までずっと装着姿勢にある場合のみならず、使用途中で収容ケース30に着脱される場合にも、着脱の際にインクカートリッジ110内のインク99の残量を把握することが可能な構成を有している。図5は、収容ケース30にインクカートリッジ110が着脱される様子を示している。破線は、装着姿勢から少し右方にスライドされた位置にあるインクカートリッジ110を表している。収容ケース30にインクカートリッジ110が装着される際には、破線が示す位置を通って装着姿勢の位置までインクカートリッジ110が移動する。このとき検出位置142は、例えば方向143に平行に被照射部115bを切るように、被照射部115bに対して相対的に移動する。
ここで、上記の通り筐体114は光透過性を有する材料からなる。このため、発光素子31aからの出射光は筐体114を通過してインク収容室114c内に入射する。ただし、筐体114の左側壁114eがちょうど検出位置142に位置しているときには、発光素子31aからの出射光は左側壁114eの厚み方向(図の左右方向)に対して垂直に入射する。このため、左側壁114eが検出位置142に位置した状態で受光素子31bが受け取る光の強度は、かかる状態の前後と比べて大幅に小さくなる。以下の説明においては、左側壁114eが検出位置142に位置しているときも、光遮断部162a及び162bが検出位置142に位置しているときと同様に、受光素子31bが受け取る光の強度がA0であると仮定する。
図6(a)、図7(a)、図8(a)及び図9(a)は、図5において一点鎖線に囲まれた領域の拡大図である。図6(a)、図7(a)、図8(a)及び図9(a)は、互いにインク99の残量が異なるインクカートリッジ110が矢印144に沿って収容ケース30に装着される際に被照射部115bに対して検出位置142が相対移動する様子をそれぞれ示している。図6(a)、図7(a)、図8(a)及び図9(a)のインク99の残量は、図3(a)〜図3(d)のインク99の残量に相当する。図6(a)、図7(a)、図8(a)及び図9(a)において実線は、装着姿勢にあるときのインクカートリッジ110を示しており、破線は装着姿勢を取る直前のインクカートリッジ110を示している。また、図6(b)、図7(b)、図8(b)及び図9(b)は、被照射部115bに対して検出位置142が図6(a)、図7(a)、図8(a)及び図9(a)のように相対移動する際に受光素子31bが受け取る光の強度の変化をそれぞれ表すグラフである。
図6(a)の場合には、受光素子31bが受け取る光の強度は、図6(b)に示されるように変化する。まず、図6(a)で破線で示される状態より前においては、発光素子31aからの光が遮断されることなく受光素子31bに受け取られる。このとき、光の強度はA1である(t5)。次に、検出位置142がインクカートリッジ110の左側壁114e(凸部114dの左方側の側壁部)に差し掛かると、左側壁114eによって光の経路が遮断される。このとき、光の強度はA0となる(t6)。次に、検出位置142が左側壁114eを通過し終えると、左側壁114eと被照射部115bとの間の空間に光の経路が形成されるので、光の強度はA1となる(t7)。次に、検出位置142が被照射部115bまで到達した後、検出位置142は光遮断部162b及びスリット161を順に通過する。したがって、光の強度は一旦A0に変化した(t8)後に、A1となる(t9)。次に、検出位置142がスリット161を通過して光遮断部162aに到達すると、光の強度はA0となる(t10)。そして、図6(a)で実線で示されている装着姿勢においては、光遮断部162aが検出位置142にいる状態を取るため、t10以降において光の強度がA0となる。
図7(a)の場合には、受光素子31bが受け取る光の強度は、図7(b)のように変化する。まず、図7(a)で破線で示される状態の前においては、発光素子31aからの光が遮断されることなく受光素子31bに受け取られる。このとき、光の強度はA1である(t11)。次に、検出位置142がインクカートリッジ110の左側壁114eに差し掛かると、筐体114によって光の経路が遮断される。このとき、光の強度はA0となる(t12)。次に、検出位置142が左側壁114eを通過し終えると、左側壁114eと被照射部115bとの間の空間に光の経路が形成されるので、光の強度はA1となる(t13)。次に、検出位置142が被照射部115bまで到達すると、検出位置142は光遮断部162bを通過してスリット161まで相対移動する。したがって、光の強度は一旦A0に変化した(t14)後に、A1となる(t15)。ここで、図7(a)で実線で示されている装着姿勢においては、スリット161が検出位置142にいる状態をとるため、t15以降において、光の強度はA1である。
図8(a)の場合には、受光素子31bが受け取る光の強度は図8(b)のように変化する。まず、図8(a)で破線で示される状態の前においては、発光素子31aからの光が遮断されることなく受光素子31bに受け取られる。このとき、光の強度はA1である(t16)。次に、検出位置142がインクカートリッジ110の左側壁114eに差し掛かると、左側壁114eによって光の経路が遮断される。このとき、光の強度はA0となる(t17)。次に、検出位置142が左側壁114eを通過し終えると、左側壁114eと被照射部115bとの間の空間に光の経路が形成されるので、光の強度はA1となる(t18)。そして、検出位置142が光遮断部162bまで到達すると、光の強度はA0となる(t19)。ここで、図8(a)で実線で示されている装着姿勢においては光遮断部162bが検出位置142に位置している状態を取る。したがって、t19以降において、光の強度はA0である。
図9(a)の場合には、受光素子31bが受け取る光の強度は図9(b)のように変化する。まず、図9(a)で破線で示される状態の前においては、発光素子31aからの光が遮断されることなく受光素子31bに受け取られる。このとき、光の強度はA1である(t20)。次に、検出位置142がインクカートリッジ110の左側壁114eに差し掛かると、左側壁114eによって光の経路が遮断される。このとき、光の強度はA0となる(t21)。次に、検出位置142が左側壁114eを通過し終えると、左側壁114eと被照射部115bとの間の空間に光の経路が形成されるので、光の強度はA1となる(t22)。ここで、図9(a)で実線で示されている装着姿勢においては、検出位置142は被照射部115bと左側壁114eとの間に位置する。したがってt21以降において、光の強度はA0である。
以上のように、インクカートリッジ110を収容ケース30に装着する際に、受光素子31bが受け取る光の強度は、装着時のインクカートリッジ110内のインク99の残量に応じて図6(b)、図7(b)、図8(b)及び図9(b)のようにその変化態様が異なったものとなる。
そこで、制御部22は、受光素子31bからの信号に基づいて、インクカートリッジ110が収容ケース30に装着された際にインクカートリッジ110内のインク99の残量を取得する。例えば、制御部22が有しているメモリには、図6(b)、図7(b)、図8(b)及び図9(b)に示されているような光の強度の変化態様を示すデータが、その変化態様に対応するインク99の残量に関連付けて記憶されている。そして制御部22は、受光素子31bからの信号が示す光の強度の変化態様が、メモリが記憶しているいずれの変化態様に該当するかを判定し、その判定結果からインク99の残量を取得する。
本実施形態においては、図6(b)、図7(b)、図8(b)及び図9(b)の場合で、検出位置142がスリット161、光遮断部162a及び162bを通過するか否かが互いに異なっている。これによって、検出位置142が左側壁114eを通過してからインクカートリッジ110が装着姿勢に至るまでに、受光素子31bが受け取る光の強度がA0となる回数とA1となる回数とが、図6(b)、図7(b)、図8(b)及び図9(b)の場合で互いに異なっている。下記の表1は、それぞれの場合において光の強度がA0になる回数とA1になる回数とを示している。なお、括弧内は、A0やA1になるときの時刻を示している。なお、表1において光の強度がA1になる回数は、被照射部115bと左側壁114eとの間に発光素子31aからの射出光の経路が形成されるときの1回に、射出光がスリット161を通過する回数が足し合わされた回数に相当する。また表1において光の強度がA0になる回数は、発光素子31aからの射出光が光遮断部162a又は162bによって遮断される回数に相当する。
制御部22のメモリには表1を示すデータが格納されている。一方、制御部22は受光素子31bからの信号に基づいて受光素子31bが受け取る光の強度がA0となる回数及びA1となる回数を取得する。制御部22は、取得した回数をメモリに格納されたデータに照らし合わせることにより、装着されたインクカートリッジ110内のインクの残量が図6(b)〜図9(b)のいずれの状態に相当するかを取得する。そして、取得したインク99の残量を報知部29を介してユーザに報知する。例えば、図6(b)〜図9(b)のいずれの変化態様であるかに応じて、装着されたインクカートリッジ110のインク99の残量がまだ十分である、インク99の残量があまりないので交換用のインクカートリッジを用意すべき、インク99の残量はまもなく空になる、インク99の残量はほぼ空である、といった意味を表すメッセージがインク99の残量に応じてディスプレイに表示されてもよい。
なお、第1の実施形態は、インクカートリッジ110の装着時に図6に示されているように少なくとも4段階でインク99の残量を把握することが可能なものであるが、4段階以上にインク99の残量を把握することも可能である。例えば、図6(a)及び図7(a)に示されているように、インク99の残量に応じて被照射部115bと筐体114との離隔距離が異なっている。これによって、図6(b)及び図7(b)に示されているように、光の強度がA1である期間171及び期間172の長さは互いに異なっている。これに基づいて、期間172が長いほどインク99の残量が少ないものと判定することにより、インク99の残量を全部で5段階以上に把握することが可能である。
また上記の説明においては、インクカートリッジ110が装着されるときにインク99の残量を取得する場合が示されている。しかし、インクカートリッジ110が収容ケース30から取り外されるときにも、受光素子31bが受け取る光の強度がA0やA1になる回数は、インクカートリッジ110が装着されるときと同じである。したがって、インクカートリッジ110が収容ケース30から取り外されるときにも同様に、インク99の残量を把握することが可能である。
また、本実施形態においては、インク収容室114c内にインク99が十分に満たされている際に、揺動軸117aのほぼ鉛直上方に被照射部115bが配置されている(図2参照)。したがって、インク99がフロート部材116に差し掛かり、アーム部115aが回転し始めると、被照射部115bは図2のほぼ右方へと移動する。そして、被照射部115bは、インク99が空に近い状態になるまで、常に揺動軸117aのほぼ上方に位置している(図9(a)参照)。したがって、被照射部115bは、インク99の減少に応じて、インクカートリッジ110の装着方向に関して前方(装着先頭側;図2の左方)から装着方向に関して後方(装着後尾側;図2の右方)へと移動する。つまり、インクの残量に応じてスリット161や光遮断部162a及び162bの位置が装着方向に関して確実に変位する。これによって、受光素子31bが受け取る光の強度がA0となる回数やA1となる回数がインクの残量に応じて確実に変化するので、残量を検出しやすい構成が実現している。
また、被照射部115bには、スリット161と光遮断部162a及び162bとが、装着方向に関して交互に配列されている。また、被照射部115bはほぼ装着方向に移動するので、インク99の残量がどのような量であっても、スリット161と光遮断部162a及び162bとが装着方向に関して交互に配列された状態が保たれる。したがって、インク99の減少に応じてスリット161と光遮断部162a及び162bとが装着方向に関して確実に変位するので、受光素子31bが受け取る光の強度がA0となる回数やA1となる回数がインクの残量に応じてより確実に変化する。
さらに、第1の実施形態においてはスリット161が、上下方向に沿って延在するように被照射部115bに形成されている。したがって、インク99の減少に応じてスリット161が検出位置142に対して装着方向に関して確実に変位する。
[第2の実施形態]
以下は、本発明の第2の実施形態に係る説明である。以下において第1の実施形態と同じ構成に係る説明は省略されている。また、第1の実施形態と同じ構成には第1の実施形態におけるものと同じ符号が付されている。図10は、第2の実施形態に係るインクカートリッジ210及び収容ケース30の構成を示す図である。
インクカートリッジ210は、残量検知機構を構成する被検出部材215及びフロート部材116を有している。被検出部材215はアーム部215a及び被照射部215bからなる。アーム部215aは、アーム部115aと同様に、ほぼ直角に2回折れ曲がった板状の部材である。アーム部215aの一端には被照射部215bが、他端にはフロート部材116が固定されている。アーム部215aにおいて折れ曲がった角部のうち下方の角部には、揺動軸117aが固定されている。揺動軸117aがインクカートリッジ210に支持されている位置は、アーム部215aの他端に固定されたフロート部材116がインク収容室214c内の底面の近くに配置されるように調整されている。被照射部215bは、細かいスリットが形成されたスリット形成部215cを含んでいる。スリット形成部215cは、図10において被照射部215bの左端に配置されており、被照射部215bの上端から下端までの帯状の範囲を占めている。
また、被照射部215bの下端には突起部215dが形成されている。突起部215dは、インクカートリッジ210の筐体214に当接することにより、図10に示されている位置よりも下へと移動しないように被照射部215bの移動を規制している。これによって、インクカートリッジ210内にインク99が最大量まで収容されている状態から、インク99の液面がフロート部材116に差し掛かる位置に至る状態まで、被照射部215bは同じ位置に保持されている。そして、インク99の液面が下降してフロート部材116に差し掛かると、フロート部材116はインク99の液面に追従して、方向L1に沿って移動する。これに連動して、被照射部215bも方向L2に沿って移動する。なお、上記のとおり、フロート部材116はインク収容室214cの底面に近い位置に配置されている。したがって、インク99の液面が下降してフロート部材116に差し掛かった状態において、インク収容室214c内のインク99は残りわずかな状態である。
図11は、図10の一点鎖線に囲まれた部分が拡大されたものであり、インクカートリッジ210が装着姿勢にある状態で連続して使用された際に被照射部215bが変位する様子を示している。図11(a)は、インク99の液面がフロート部材116に差し掛かるまでの状態を示している。図11(b)は、インク99の液面が下降してフロート部材116に差し掛かり、被照射部215bが図10の位置から方向L2に沿って少し移動した後の状態を示している。図11(c)は、インク99の液面が下降して、被照射部215bが図11(b)の位置からさらに移動した後の状態を示している。なお、第2の実施形態においては符号242は、プリンタ20に設置された発光素子31aからの光が照射される範囲を示すものとする。
図11に示されているように、スリット形成部215cには複数のスリット261が形成されている。スリット261は、被照射部215bの厚み方向に貫通しており、厚み方向に垂直な断面について、円形の断面形状を有している。スリット261は、図11において被照射部215bの左半分の上端から下端までの領域に均等に分布するように、格子状に配列されている。スリット形成部215cに照射された光は、スリット261を通じて被照射部215bを透過する。これらのスリット261は、スリット261の断面の径が光の照射範囲242の径よりも小さく、スリット261同士の間隔も平均的に照射範囲242の径より小さくなるように形成されている。
被照射部215bに対する照射範囲242の位置は、インクカートリッジ210内のインク99の量に応じて以下のように変化する。図11(a)の状態において照射範囲242は、被照射部215bのスリット形成部215cの領域外に位置している。図11(b)の状態において照射範囲242は、スリット形成部215cの領域内に位置している。 図11(c)の状態において照射範囲242は、被照射部215bの領域外に位置している。
図12は、光の照射範囲が図11(a)〜図11(c)のように変化する場合の受光素子31bが受け取る光の強度の変化を示している。図12の横軸は時間(及びインク99の消費量)を、縦軸は光の強度を表している。t29〜t31は、被照射部215bが図11(a)〜図11(c)のそれぞれの状態にあるときの時刻に相当する。
t29において、被照射部215bのスリット形成部215cの領域外に照射範囲242が位置しているときには、被照射部215bによって光が遮断されるため、受光素子31bが受け取る光はA0である。t31において受光素子31bが受け取る光の強度は、被照射部215bを通さずに受光素子31bに光が受け取られるため、A1である。t30において、スリット形成部215cの領域内に照射範囲242が位置しているときには、スリット261の少なくともいずれかを通じて被照射部215bを光が透過する。その一方で、スリット261は照射範囲242よりも小さいため、照射範囲242にはスリット261が開口していない領域も含まれる。したがって、照射範囲242に照射された光のうちの一部はスリット261が開口していない領域に遮断される。このため、t30において受光素子31bが受け取る光の強度A2は、t29のときのA0よりも大きくt31のときのA1よりも小さい。
以上のとおり第2の実施形態によると、インク99が残りわずかになると受光素子31bが受け取った光の強度が2回変化するので、現時点までに光の強度が何回変化したかを計測することにより、インク99の残量を3段階に把握することが可能である。また、光の強度はA0、A1及びA2の3段階に変化するので、現時点までに何回変化したかを計測しなくても、現時点の光の強度がA0〜A2のいずれであるかを判定することにより、インク99の残量を3段階に把握することが可能である。
また第2の実施形態は、インクカートリッジ210が使用され始めてから現時点までずっと装着姿勢にある場合のみならず、収容ケース30に着脱されるときにも、インクカートリッジ210内のインク99の残量を把握することが可能な構成を有している。図13は、収容ケース30にインクカートリッジ210が着脱される様子を示している。破線は、装着姿勢から右方に少しスライドされた状態のインクカートリッジ210を表している。収容ケース30にインクカートリッジ210が着脱される際には破線が示す位置と装着姿勢の位置との間で移動する。このとき照射範囲242は、例えば方向243に平行に被照射部215bを切るように、被照射部215bに対して相対的に移動する。
図14(a)、図14(c)及び図14(e)は、図13において一点鎖線に囲まれた領域の拡大図である。図14(a)、図14(c)及び図14(e)は、互いにインク99の残量が異なるインクカートリッジ210が矢印244に沿って収容ケース30に装着される際に被照射部215bに対して照射範囲242が相対移動する様子をそれぞれ示している。図14(a)、図14(c)及び図14(e)のインク99の残量は、図11(a)〜図11(c)のインク99の残量に相当する。図14(a)、図14(c)及び図14(e)において実線は、装着姿勢にあるときのインクカートリッジ210を示している。また破線は、装着姿勢を取る直前のインクカートリッジ210を示している。図14(b)、図14(d)及び図14(f)は、被照射部215bに対して照射範囲242が図14(a)、図14(c)及び図14(e)のように相対移動する際に受光素子31bが受け取る光の強度の変化をそれぞれ表すグラフである。
図14(a)の場合には、受光素子31bが受け取る光の強度は図14(b)のように変化する。まず、図14(a)で破線で示される状態より前においては、発光素子31aからの光が遮断されることなく受光素子31bに受け取られる。このとき、光の強度はA1である(t32)。次に、照射範囲242がインクカートリッジ210の筐体214の左側壁に差し掛かると、筐体214によって光の経路が遮断される。このとき、光の強度はA0となる(t33)。次に、照射範囲242が左側壁を通過し終えると、左側壁と被照射部215bとの間の空間に光の経路が形成されるので、光の強度はA1となる(t34)。次に、照射範囲242が被照射部215bのスリット形成部215cに位置すると、光の強度はA2となる(t35)。そして、図14(a)で実線で示されている装着姿勢においては、被照射部215bによって照射範囲242が完全に遮断されているため、光の強度がA0となる(t36)。
図14(c)の場合には、受光素子31bが受け取る光の強度は図14(d)のように変化する。まず、図14(c)で破線で示される状態の前においては、発光素子31aからの光が遮断されることなく受光素子31bに受け取られる。このとき、光の強度はA1である(t37)。次に、照射範囲242がインクカートリッジ210の筐体214の左側壁に差し掛かると、筐体214によって光の経路が遮断される。このとき、光の強度はA0となる(t38)。次に、照射範囲242が左側壁を通過し終えると、左側壁と被照射部215bとの間の空間に光の経路が形成されるので、光の強度はA1となる(t39)。次に、照射範囲242が被照射部215bのスリット形成部215cに位置すると、光の強度はA2となる(t40)。ここで、図14(c)で実線で示されているように、インクカートリッジ210が装着姿勢になるまで挿入されると、照射範囲242はスリット形成部215cの領域内に位置する。したがってt40以降において、光の強度はA2である。
図14(e)の場合には、受光素子31bが受け取る光の強度は図14(f)のように変化する。まず、図14(e)で破線で示される状態の前においては、発光素子31aからの光が遮断されることなく受光素子31bに受け取られる。このとき、光の強度はA1である(t41)。次に、照射範囲242がインクカートリッジ210の筐体214の左側壁に差し掛かると、左側壁によって光の経路が遮断される。このとき、光の強度はA0となる(t42)。次に、照射範囲242が左側壁を通過し終えると、左側壁と被照射部215bとの間の空間に光の経路が形成されるので、光の強度はA1となる(t43)。ここで、図14(e)で実線で示されているように、インクカートリッジ210が装着姿勢になるまで挿入されると、照射範囲242は被照射部215bと左側壁との間に位置する。したがってt43以降において、光の強度はA1である。
以上のとおり第2の実施形態においては、インクカートリッジ210を収容ケース30に装着する際に受光素子31bが受け取る光の強度の変化態様が、装着されるインクカートリッジ210内のインク99の残量に応じて異なったものとなる。制御部22は受光素子31bからの信号に基づいて、インクカートリッジ210が収容ケース30に装着された際にインクカートリッジ210内のインク99の残量を取得する。
本実施形態においては、照射範囲242が左側壁114eを通過してからインクカートリッジ110が装着姿勢に至るまでに、受光素子31bが受け取る光の強度がA0〜A2となるそれぞれの回数が、図14(b)、図14(d)及び図14(f)の場合のそれぞれにおいて下記の表2のようになる。
制御部22のメモリには表2を示すデータが格納される。一方、制御部22は受光素子31bからの信号に基づいて受光素子31bが受け取る光の強度がA0〜A2となる回数をそれぞれ取得する。制御部22は、取得した回数をメモリに格納されたデータに照らし合わせることにより、装着されたインクカートリッジ110内のインクの残量が図6(b)〜図9(b)のいずれの状態に相当するかを取得する。そして、取得したインク99の残量を報知部29を介してユーザに報知する。例えば、インク99の残量が所定の値より小さいときに、インク99の残量が少ないことを報知部29を介してユーザに警告してもよい。
なお、第2の実施形態によると、インクカートリッジ210が装着姿勢になるまで収容ケース30に挿入された状態であるt36、t40及びt43において光の強度がA0、A2及びA1と、インク99の残量に応じて互いに異なる。したがって、インクカートリッジ210が装着姿勢になるまで収容ケース30に挿入された状態で受光素子31bが受け取る光の強度がA0〜A2の何れであるかのみに基づいてインクの残量を把握してもよい。
また、第2の実施形態は、インクカートリッジ210の装着時に図14に示されているように少なくとも3段階でインク99の残量を把握することが可能なものであるが、4段階以上にインク99の残量を把握することも可能である。例えば、図14(a)及び図14(c)に示されているように、インク99の残量に応じて被照射部215bと筐体214との離隔距離が異なっている。これによって、図14(b)及び図14(d)に示されているように、光の強度がA1である期間271及び期間272は、長さが互いに異なったものとなっている。これに基づいて、期間272が長いほどインク99の残量が少ないものと判定することにより、インク99の残量を全部で4段階以上に把握することが可能である。また、第1の実施形態と同様に、インクカートリッジ210が収容ケース30から取り外される場合のインク99の残量を把握することも可能である。
[第3の実施形態]
以下は、第3の実施形態についての説明である。なお、以下において第1の実施形態と同じ構成の説明は省略されている。また、第1の実施形態と同じ構成について第1の実施形態と同じ符号が付されている。図15(a)は、第3の実施形態のインクカートリッジ310の内部の構成及び収容ケース30の構成を示す図である。図15(b)は、図15(a)のXVB−XVB線に沿った断面図である。
インクカートリッジ310は残量検出機構を有している。この残量検出機構には残量検知部材350が含まれている。残量検知部材350は、被検出部材315とフロート部材116とが一体に形成されたものである。フロート部材116は被検出部材315の周縁の近傍に固定されている。被検出部材315は、円盤の形状を有する板状の部材である。円盤状の被検出部材315の中心には揺動軸117aが固定されている。揺動軸117aは筐体114に固定された軸受け117bに、被検出部材315が周方向Lに沿って揺動可能になるように支持されている。被検出部材315の直径は、インク収容室114cの高さより若干小さい。また、被検出部材315は、図15(b)においてインク収容室114cの左右方向に関して中央に配置されている。
本実施形態において発光素子31a及び受光素子31bは、上下方向に関して収容ケース30のほぼ中央に配置されている。そして図15(a)において、筐体114の左側壁寄りに配置されている。また、揺動軸117aは、発光素子31aからの射出光が照射される検出位置342が所定の位置に配置されるように軸受け117bに支持されている。これによって、検出位置342が、被検出部材315の上下方向に関して中央の近傍であって、図15(a)において被検出部材315の左端の近傍、且つ、鉛直方向に関して揺動軸117aと同じ位置に配置される。
被検出部材315にはスリット361が形成されている。スリット361は、フロート部材116が固定された位置から、時計回りに周方向に90°ほど離隔した位置に形成されている。そして、被検出部材315の周縁から中心に向かって、周縁から検出位置342までの最短距離よりも長く切れ込んでいる(図16(c)参照)。
被検出部材315には、周方向に沿って延在するスリット391a〜391cが形成されている。スリット391a〜391cは被検出部材315の周縁の近傍に形成されている。これらのうち、スリット391cが被検出部材315の周縁に最も接近しており、スリット391aが被検出部材315の周縁から最も離隔している。スリット391a〜391cの両端のうちのスリット361から遠い方の一端は周方向に関して同じ位置にあり、他端はその一端から、図15(a)において反時計回りに周方向に沿って離隔した位置に配置されている。スリット391a〜391cの他端のうち、周方向に関してスリット361から最も離隔しているのはスリット391aの他端であり、次に離隔しているのはスリット391bの他端である。そして、スリット391cの他端がスリット361に最も接近している。なお、スリット391cの他端はスリット361から離隔していてもよいし、隣接していてもよい。また、スリット361同士の間及びスリット361の周辺の領域には、発光素子31aからの射出光を遮断する光遮断部362が形成されている。
以下は、インク収容室114c内のインク99の残量がどのように検出されるかについての説明である。図15(a)及び図16(a)〜図16(c)は、装着姿勢にあるインクカートリッジ110の内部をそれぞれ示している。これらの図においては、インク収容室114c内のインク99の量が互いに異なっている。図15(a)は、インク収容室114c内にインク99がほぼ満ちている場合を示している。このとき、検出位置342はスリット391a〜391cにおける、スリット361から遠い方の一端の近傍に配置されている。インク99が減少すると、フロート部材116が揺動軸117aを中心に図15の時計回りに回転する。そして、フロート部材116の移動に伴って、被検出部材315が方向Lに沿って回転する。
ここで、インクカートリッジ310が着脱方向344に沿って着脱されると、スリット391a〜391cが検出位置342を通過することとなる。スリット391a〜391cが検出位置342を通過する際に、ちょうどこれらのスリット(第1の部分)が検出位置342に位置しているときには、発光素子31aからの出射光がこれらのスリットを通過するので、受光素子31bが受け取る光の強度はA1となる。また、光遮断部362(第2の部分)が検出位置342に位置しているときには、発光素子31aからの出射光が遮断されるので、受光素子31bが受け取る光の強度はA0となる。したがって、第1及び第2の実施形態と同様に、受光素子31bが受け取る光の強度がA0となる回数及びA1となる回数の組み合わせから、検出位置342を通過したスリットの個数が検出される。図15(a)の状態においては、スリット391a〜391cが検出位置342を通過するので、検出されるスリットの個数は3となる。また、その間に光遮断部362が射出光を遮断する回数は4となる。
図16(a)は、図15(a)の状態からインク99がある程度まで減少した場合を示している。図16(a)において検出位置342は、被検出部材315の周方向に関して、スリット391aのスリット361に近い方の一端とスリット391bのスリット361に近い方の一端との間に位置している。インクカートリッジ310が方向344に沿って着脱されると、スリット391b及び391cが検出位置342を通過するので、検出されるスリットの個数は2である。また、その間に光遮断部362が射出光を遮断する回数は3となる。
図16(b)は、図16(a)の状態からインク99が、さらにある程度まで減少した場合を示している。図16(b)において検出位置342は被検出部材315の周方向に関して、スリット391bのスリット361に近い方の一端とスリット391cのスリット361に近い方の一端との間に位置している。インクカートリッジ310が方向344に沿って着脱されると、スリット391cが検出位置342を通過するので、検出されるスリットの個数は1である。また、その間に光遮断部362が射出光を遮断する回数は2となる。
図16(c)は、図16(b)の状態からインク99がさらに減少して、インク収容室114c内のインク99がほぼ空に近い状態になった場合を示している。図16(c)において検出位置342は、スリット361(第3の部分)が形成されている範囲内に位置している。インクカートリッジ310が方向344に沿って着脱されるときには、検出位置342を通過する経路上にスリット361の形成領域が配置されている。したがって、インクカートリッジ310が着脱される際に被検出部材315が検出位置342を遮断することはない。つまり、検出されるスリットの個数は0である。
以上のとおり、図15(a)及び図16(a)〜図16(c)のそれぞれにおいて検出されるスリットの個数は互いに異なったものとなると共に、光遮断部362が射出光を遮断する回数も互いに異なったものとなる。これに基づいて制御部22は、受光素子31bからの信号からスリットの個数を取得し、取得した個数に応じたインクの残量を示す情報を報知部29を介してユーザに報知する。例えば、スリットの個数が3、2、1及び0のいずれであるかに応じて、装着されたインクカートリッジ110のインク99の残量がまだ十分である、インク99の残量は残りわずかであるので交換用のインクカートリッジを用意すべき、インク99の残量はまもなく空になる、インク99の残量はほぼ空である、といった意味を表すメッセージがインク99の残量に応じてディスプレイに表示されてもよい。なお、光遮断部362が射出光を遮断する回数に基づいてインク99の残量が取得されてもよい。
[第4の実施形態]
第4の実施形態は、インクカートリッジ内のインク99の残量を、インクカートリッジが収容ケースに着脱される際にのみならず、インクカートリッジの使用中(インクカートリッジが使用され始めてから現時点まで装着姿勢のままである場合)にも取得可能なものである。図17は、第4の実施形態に係る残量検知部材450を示すものである。第4の実施形態は、第3の実施形態において残量検知部材350を残量検知部材450に置き換えたものである。
残量検知部材450は、被検出部材415及びフロート部材116を有している。被検出部材415は概略的に円盤状の形状を有している。フロート部材116は、被検出部材415の円盤の周縁近傍に固定されている。
また、被検出部材415には複数のスリット461が形成されている。これらのスリット461は、被検出部材415の周方向に沿って等間隔に配列されている。スリット461のうち、被検出部材415の周方向に関して最もフロート部材116に近いスリット461bは、それ以外のスリット461aよりも、周方向に関する幅が大きくなるように形成されている。また、スリット461aは、フロート部材116が固定された位置から、時計回りに周方向に90°ほど離隔した位置に形成されており、被検出部材415の周縁から中心に向かって、周縁から検出位置442までの最短距離よりも長く切れ込んでいる。一方、スリット461aの周方向に関する幅は互いに等しい。また、スリット461aは、被検出部材415の周縁の近傍からその中心に向かって互いに同じ長さに延在している。スリット461a及び461b同士の間には光遮断部462が形成されている。
被検出部材415には、スリット461以外にも、周方向に沿って延在するスリット491a〜491cが形成されている。スリット491a〜491cはいずれもスリット461aと被検出部材415の周縁との間に形成されている。これらのうち、スリット491aが被検出部材415の周縁に最も接近しており、スリット491cが被検出部材415の周縁から最も離隔している。スリット491a〜491cの一端はいずれも、周方向に関してスリット461bから最も離隔したスリット461aよりもフロート部材116に若干接近した位置に配置されている。スリット491a〜491cの他端は互いに異なる位置に配置されている。スリット491aの他端が周方向に関してスリット461bから最も離隔しており、スリット491cの他端がスリット461bに最も近接している。
以上のような残量検知部材450を有していることにより、インクカートリッジが収容ケースに装着されて使用され始めると、残量検知部材450はインクの減少に応じて方向Mに沿って回転する。したがって、インクが減少していくと、スリット461aが次々と検出位置442を通過していく。つまり、検出位置442においてスリット461aと光遮断部462とが交互に検出されることとなる。これに基づき、制御部22は、受光素子31bからの信号に従って、インクカートリッジが装着してから現時点までに検出位置442を通過したスリット461a及び光遮断部462の個数を計測する。そして、計測した個数に応じて、現時点でのインク99の残量を取得する。
また、残量検知部材450は、インクカートリッジが収容ケースに着脱される際にもインク99の残量を以下のように取得することが可能なものである。
図17には、インク99の残量が最大量に近いときの検出位置442が示されている。この状態で、インクカートリッジが収容ケースに装着される際には、検出位置442は残量検知部材450に対して一点鎖線481aに沿って矢印444aの方向に相対移動することになる。したがってインクカートリッジが装着され終わるまでに、検出位置442をスリット491a〜491cが通過する。つまり、インク99の残量が最大量に近いときには、スリット491a〜491cのうち全てのスリットが検出位置442を通過したことが光センサ部31によって検出される。
インク99が減少すると、残量検知部材450はインクカートリッジ内で方向Mに沿って回転移動する。インク99が最大量より小さいm1まで減少したとする。そしてこのとき、残量検知部材450が、図17に示されている位置から方向Mに沿って、一点鎖線481bと一点鎖線481aとの間の角度だけ回転移動しているとする。このような状態でインクカートリッジが収容ケースに装着される際には、検出位置442は一点鎖線481bに沿って矢印444bの方向に相対移動することになる。したがってインクカートリッジが装着され終わるまでに、スリット491a及び491bが検出位置442を通過する。つまり、インク99の残量がm1であるときに、スリット491a〜491cのうち2つのスリットが検出位置442を通過したことが光センサ部31によって検出される。
インク99の残量がm1からさらに減少してm1より小さいm2になり、一点鎖線481cと一点鎖線481aとの間の角度だけ図17の状態から残量検知部材450が回転移動しているとする。このような状態でインクカートリッジが収容ケースに装着される際には、検出位置442は一点鎖線481cに沿って矢印444cの方向に相対移動することになる。したがってインクカートリッジが装着され終わるまでに、スリット491aのみが検出位置442を通過する。つまり、インク99の残量がm2であるときに、スリット491a〜491cのうち1つのスリットが検出位置442を通過したことが光センサ部31によって検出される。
以上より、第4の実施形態によると、第3の実施形態と同様に、残量検知部材450を有するインクカートリッジが収容ケースに着脱される際に、スリット491a〜491cのうちいくつのスリットが検出位置442を通過したかを光センサ部31を通じて取得することにより、インク99の残量が3段階で把握される。
なお、本実施形態においても、発光素子31aからの射出光を光遮断部462が遮断した回数のみに基づいてインク99の残量が把握されてもよい。また、発光素子31aからの射出光を光遮断部462が遮断した回数と検出位置442を通過したスリットの個数との組み合わせに基づいてインク99の残量が把握されてもよい。
[第5の実施形態]
第5の実施形態も、第4の実施形態と同様に、インクカートリッジ内のインク99の残量を、インクカートリッジの使用中にもインクカートリッジが収容ケースに着脱される際にも取得可能なものである。以下において第4の実施形態と同じ構成に係る説明は省略されている。また、第4の実施形態と同じ構成には第4の実施形態におけるものと同じ符号が付されている。図18は、第5の実施形態に係る残量検知部材550を示すものである。
残量検知部材550は、被検出部材515及びフロート部材116を有している。被検出部材515には複数のスリット561aとスリット561bとが形成されている。残量検知部材550は、第4の実施形態の残量検知部材450において、スリット461a及びスリット491a〜491cの替わりにスリット561aを形成したものに相当する。スリット561a同士の間には光遮断部562が形成されている。
スリット561aの一端は被検出部材515の周縁に配置されている。スリット561aは、いずれも被検出部材515の周縁から離隔する方向に沿って一端から直線状に延在するように形成されている。スリット561aの他端は、被検出部材515と同心の被検出部材515より小さい円582の内部且つ円582の近傍に配置されている。そしてスリット561aは、被検出部材515の径方向との間になす鋭角がスリット561bに近いものほど大きくなるように形成されている。例えばスリットs1〜s3の中で、スリットs1はスリット561bから最も離隔しており、スリットs3はスリット561bに最も接近している。そしてスリットs1〜s3と径方向との間の鋭角θ1〜θ3のうち、スリット561bから最も離隔したs1に係るθ1が最も小さく、スリット561bに最も接近したs3に係るθ3が最も大きい。
ここで、スリットs1と被検出部材515の中心とを通る仮想直線581aと、被検出部材515の中心に関して図18の反時計回りに仮想直線581aが回転されたものに相当する、複数の仮想直線とを引いたとする(例えば、仮想直線581b及び581cがこのような仮想直線に相当する)。このとき、スリット561aは、さらに以下の条件イ及び条件ロを満たすように被検出部材515に形成されている。
(条件イ)上記の仮想直線が横切るスリット561aの数が仮想直線581aからの回転角度に応じて変化するように、スリット561aが形成されている。
例えば、仮想直線581aが横切るスリット561aの数は1である。これに対して、仮想直線581aから角度α1だけ回転させた仮想直線581bが横切るスリット561aの数は2である。仮想直線581aから角度α2(>α1)だけ回転させた仮想直線581cが横切るスリット561aの数は3である。
(条件ロ)ある仮想直線が横切るスリット561aの数は、仮想直線581aからの回転角度がその仮想直線よりも小さい他のいずれの仮想直線が横切るスリット561aの数よりも大きいか、同じ数である。つまり、仮想直線581aからの回転角度が大きくなっていくと、仮想直線が横切るスリット561aの数が段階的に大きくなるように、スリット561aが形成されている。
以上のとおりにスリット561aが形成されていることにより、残量検知部材550は、インクカートリッジが収容ケースに装着された際に、インク99の残量を把握することが可能なものとなっている。
図18には、インク99の残量が最大量に近いときの検出位置542が示されている。残量検知部材550が内部に設けられたインクカートリッジが収容ケースに装着される際には、検出位置542は被検出部材515に対して、仮想直線581aに沿って矢印544aの方向に相対的に移動する。この場合に、検出位置542において光センサ部31によって検出されるスリット561a(スリットs1に相当する)の数は1である。
次に、図18の状態からインク99が減少していると、残量検知部材550が方向Nに沿って回転移動した位置にある。このようなインクカートリッジを収容ケースに装着すると、検出位置542は、仮想直線581aから被検出部材515の中心に関して回転されたいずれかの仮想直線Xに沿って移動することになる。例えば、仮想直線581bに沿って矢印544bの方向に移動することになる。このとき、検出位置542において光センサ部31によって検出されるスリット561aの数は、仮想直線Xが横切っているスリット561aの数に等しい。一方で、上記の条件イ及びロを満たすようにスリット561aが形成されていることにより、仮想直線Xが横切っているスリット561aの数が大きいほど、残量検知部材550が図18の状態から、大きく回転移動していることになる。つまり、検出位置542において光センサ部31によって検出されるスリット561aの数が大きいほど、インク99の残量が少ないと判定することが可能になる。
例えば、検出位置542が仮想直線581bに沿って移動する場合には、光センサ部31は2つのスリット561aを検出する。検出位置542が仮想直線581cに沿って移動する場合には、光センサ部31は3つのスリット561aを検出する。したがって、後者の場合が前者の場合よりもインク99の残量が少ない、と判定することが可能である。
また、残量検知部材550を有するインクカートリッジが使用中である場合には、インク99の減少に伴って検出位置542が、被検出部材515に対して、円582に沿って方向Nとは逆方向に移動する。したがって、検出位置542においてスリット561aと光遮断部562とが交互に検出されることとなる。したがって、残量検知部材550は、インクカートリッジの使用中にもインク99の残量を多段階に把握することが可能である。
なお、本実施形態においても、発光素子31aからの射出光を光遮断部562が遮断した回数のみに基づいてインク99の残量が把握されてもよい。また、発光素子31aからの射出光を光遮断部562が遮断した回数と検出位置542を通過したスリットの個数との組み合わせに基づいてインク99の残量が把握されてもよい。
[第6の実施形態]
図19は、第6の実施形態に係るインクカートリッジ610及び収容ケース30の構成を示す断面図である。以下において第1の実施形態と同じ構成に係る説明は省略されている。また、第1の実施形態と同じ構成には第1の実施形態におけるものと同じ符号が付されている。
第6の実施形態に係る残量検知部材650は、被検出部材615とフロート部材616とが一体となったものである。フロート部材616は概略的に直方体の形状を有しており、単位体積当たりの質量がインク99の密度より小さいものである。被検出部材615は、厚み方向が図19の手前から奥へ向かう方向に平行な板状の部材である。フロート部材616は被検出部材615の下端に固定されている。
被検出部材615には、図19の上下方向に沿って配列された複数のスリット661が形成されている。スリット661はいずれも同じ形状で同じ大きさを有しており、上下方向に関して互いに等間隔に配列されている。スリット661同士の間には光遮断部662が形成されている。
また、被検出部材615には、上下方向に沿って延在するスリット691a〜691cが形成されている。スリット691a〜691cの上端は、いずれも被検出部材615の上端近傍の上下方向に関して互いに同じ位置に配置されている。スリット691a〜691cのうち、スリット691cが上下方向に関して最も長く、スリット691bが次に長く、スリット691aが最も短い。したがって、スリット691cの下端が最もフロート部材616に近く、スリット691bの下端がフロート部材616に次に近く、スリット691aの下端がフロート部材616から最も遠い。
インクカートリッジ610の筐体614には規制部材617が一体に固定されている。規制部材617は、筐体614の内部の天井面から下方に向かって鉛直に延在する板状の部材である。規制部材617には上下方向に平行な規制面617aが形成されている。一方で筐体614の左側の内壁面614dは規制面617aと平行に延在しており、規制面617aと左右方向に関して対向している。規制部材617は、内壁面614dと規制面617aとの離隔距離が残量検知部材650の左右方向に関する最大幅より少し大きくなるように配置されている。そして、残量検知部材650は内壁面614dと規制面617aとの間に配置されている。規制面617a及び内壁面614dは、残量検知部材650の左右方向に関する移動を規制しており、残量検知部材650は上下方向に関して移動可能である(規制機構)。
第6の実施形態においてインクカートリッジ610内のインク99が減少すると、インク液面の下降に伴ってフロート部材616が下降する。これに連動して、残量検知部材650全体が下降する。残量検知部材650は内壁面614d及び規制面617aによって図19の左右方向に関する移動が規制されているため、光遮断部662が左右方向に関して検出位置642から離隔しない。そして、残量検知部材650の下降に伴って、光遮断部662が検出位置642に位置している状態と、スリット661が検出位置642に位置している状態とが交互に繰り返される。したがって、第4の実施形態等と同様に本実施形態においても、光の強度がA1である状態とA0である状態とが現時点までに何回表れたかを計測することにより、現時点でのインク99の残量がどのくらいであるかを制御部22が多段階に把握することが可能である。
また、装着方向643に沿ってインクカートリッジ610が着脱される際には、検出位置642が残量検知部材650を横切る経路がインク99の残量に応じて異なる。例えば、インク99が最大量に近い状態では、残量検知部材650の上端は筐体614の内部の天井面に当接している。このとき、検出位置642は、上下方向に関してスリット691cの下端とスリット691bの下端との間を横切る。そして、インク99が最大量からある程度減少すると、残量検知部材650は、筐体614の内部の天井面から下降し始める。そして、図19に示されているように、検出位置642が上下方向に関してスリット691bの下端とスリット691aの下端との間を通過する状態に至る。さらにインク99が減少すると、スリット691a〜691cの上端とスリット691aの下端との間を通過する状態に至る。
以上のように残量検知部材650は、インク99の残量に応じてスリット691a〜691cのうちの検出位置642が通過するスリットの本数が異なるように構成されている。したがって、収容ケース30に着脱される際に、受光素子31bからの信号に基づいて検出位置642を通過する本数を計測することにより、着脱されたインクカートリッジ610内のインクの残量を取得することが可能である。
なお、本実施形態においても、発光素子31aからの射出光を光遮断部662が遮断した回数のみに基づいてインク99の残量が把握されてもよい。また、発光素子31aからの射出光を光遮断部662が遮断した回数と検出位置642を通過したスリットの個数との組み合わせに基づいてインク99の残量が把握されてもよい。
なお、本実施形態は、インクカートリッジ内のインク99の残量を、インクカートリッジが収容ケースに着脱される際にのみならず、インクカートリッジの使用中にも取得可能なものである。これは、残量検知部材650にスリット661とスリット691a〜691cとの両方が形成されていることによる。しかし、図20の残量検知部材750のように、スリット691a〜691cのみが形成されていてもよい。この場合にはインクカートリッジが収容ケースに着脱される際にのみインク99の残量が検出可能なものとなる。
<その他の変形例等>
上述の実施形態においては、被検出部材とフロート部材とが一体に固定された形態が採用されている。しかし、フロート部材が移動するのに連動して被検出部材が移動するような構成であれば、これらが一体に固定されている必要はない。例えば、フロート部材と被検出部材とが別体であって、フロート部材が被検出部材に当接している。そして、インク99が減少するにつれてフロート部材が移動するのに伴ってフロート部材が被検出部材を押すことにより、被検出部材が所定の経路に沿って移動する、という構成であってもよい。
また、上述の実施形態は、被検出部材等が光を遮断することによって受光素子31bが受け取る光の強度を減少させる、という構成を有している。しかし、発光素子からの光を被検出部材が反射し、反射した光を受光素子が検出することによりインク99の残量を検出する、という構成であってもよい。例えば図21は、このような構成の実施例を表すものである。図21(a)は被検出部材1015及びフロート部材116を有する残量検知部材1050を示している。被検出部材1015は、第4の実施形態の被検出部材415においてスリット461a、461b及び491a〜491cが形成されている領域に、光を反射する光反射部1061a、1061b及び1091a〜1091cがスリットの替わりに形成されたものである。つまり、光反射部1061a、1061b及び1091a〜1091cは、スリット461a、461b及び491a〜491cと対応している。また、光反射部1061a、1061b及び1091a〜1091c同士の間には、光遮断部1062が形成されている。
図21(b)及び図21(c)は、図21(a)のような残量検知部材1050を有するインクカートリッジ1010及び収容ケース30を示している。収容ケース30には、発光素子1031a及び受光素子1031bが設置されている。発光素子1031a及び受光素子1031bの設置角は、発光素子1031aからの光が被検出部材1015の表面において反射すると、反射光が受光素子1031bに受け取られるように調整されている。これによって、図21(c)のように発光素子1031aからの射出光1041cが光反射部1061a、1061b又は1091a〜1091cに到達した場合には、その反射光が受光素子1031bに届くこととなる。一方で図21(b)のように発光素子1031aからの射出光1141bが光遮断部1062に到達した場合には、光遮断部1062に光が遮断されるため、受光素子1031bには反射光が届かない。このように、光反射部1061a、1061b及び1091a〜1091cは、スリット461a、461b及び491a〜491cと同様に、発光素子1031aからの出射光を受光素子1031bへと向かわせる機能を有する(第1の部分)。
以上により、発光素子1031aからの光が到達する検出位置に光反射部1061a、1061b及び1091a〜1091cが位置している場合に受光素子1031bが受け取る光の強度は、検出位置に光遮断部1062が位置している場合に受光素子1031bが受け取る光の強度より大きくなる。これによって、受光素子1031bが受け取る光の強度に基づいてインク99の残量を把握することが可能なインクカートリッジが、上述の実施形態と同様に実現する。なお、被検出部材1015において光反射部1061a、1061b及び1091a〜1091c以外の領域が、光が透過する性質を有する材料からなるものであってもよい。この場合にも、光反射部1061a、1061b及び1091a〜1091c以外においては光が反射しないため、受光素子1031bに反射光を到達させないという光遮断部1062と同様の機能を被検出部材1015が有することとなる。
また、上述の第1及び第2の実施形態においては、被照射部が揺動軸117aのほぼ上方に配置されている。しかし、被照射部と揺動軸117aとが上述の実施形態とは異なる位置関係を有していてもよい。例えば、図22のインクカートリッジ1110において、被照射部1115bは、揺動軸117aの左方に配置されている。この場合、筐体114内のインク99がある量まで減少すると、被照射部1115bは方向Oに沿って、つまりほぼ上方へと移動することとなる。したがって、スリット1161は、図22のように上下方向から傾斜して形成されていることが好ましい。つまり、インクの減少に応じて被照射部1115bが移動した際に、検出位置1142がスリット1161を跨ぐように相対移動するような形状のスリットが形成されていることが好ましい。このようにスリットの形状を適切なものに調整することにより、方向1144に沿ってインクカートリッジ1110が着脱された際に、検出位置1142において検出されるスリットの本数や光の強度の変化態様が確実に変化する。したがって、被照射部1115bは、揺動軸117aの左方に配置されている場合においても、着脱の際にインクの残量を検出可能なインクカートリッジ1110が実現する。
また、上述の実施形態には、被検出部材にスリットが形成されている形態が含まれている。かかるスリットは、光遮断部と比べて光が透過しやすいように構成されていれば、どのような材質からなるものでも、どのような形状を有するものでもよい。例えば、被検出部材を貫通する貫通孔内に透明な樹脂材料が充填されたものであってもよいし、矩形や円形以外の形状を有するものであってもよい。また、光遮断部は光を完全に遮断するものでなくてもよい。スリットなどの光が透過する部分と比べて光が透過しにくい材料からなるもので形成されていればよい。
また、上述の実施形態においては、光遮断性を有する材料からなる被検出部材に、光が透過するスリットや貫通孔が形成されている。しかし、光透過性を有する材料からなる被検出部材に、光遮断性を有するシール材が、上述の実施形態におけるスリット等と同じ形状で同じ位置に貼り付けられていてもよい。これによって、上述の実施形態と同様の機能を有する光透過部が簡易な方法で形成されるので、残量検知部材を容易に作製することができる。
また、上述の第5の実施形態によると、インクカートリッジを着脱する際に検出位置542において検出されるスリット561aの本数が、インクの減少に応じて増加するように残量検知部材550が構成されている。具体的には、検出されるスリット561aの本数がインクの減少に応じて(1)1本→(2)2本→(3)3本と変化するように残量検知部材550が構成されている。しかし、検出されるスリット561aの本数がインクの減少に応じて一時的に減少するように残量検知部材550が構成されていてもよい。例えば、インクの減少に応じて検出されるスリット561aの本数が(1)1本→(2)0本→(3)1本→(4)2本→(5)1本→(6)2本→(7)3本と変化するように残量検知部材550が構成されていてもよい。この場合であっても、検出されたスリット561aの本数が例えば0本である場合には少なくとも(3)以降の状態よりインクの残量が多いことが取得されるし、検出されるスリット561aの本数が3本の場合にはインクの残量がわずかであることが取得される。
なお、上記の各実施形態において「被照射部」とは、第1の実施形態の被照射部115bのように明示的に記載されているものを除き、スリット及び光遮断部が形成されている部材のこれらが形成されている部分に該当するものとする。