JP4403514B2 - 蛍光ランプの再生方法 - Google Patents

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Description

本発明は、廃蛍光ランプから蛍光体材料やガラス材料などを回収、再生して再利用する蛍光ランプの再生方法に関する。
近年の資源の枯渇化や環境汚染などと関連して、電器製品のリサイクルへの要求が高まっている。その中で、各種電器機器に使用されている電子機能材料には、一般的に高価な金属材料が用いられているため、以前より回収した後に再利用する(リサイクル)ことの必要性が論じられており、また実際に回収、再利用することが試みられている。
例えば、一般的な蛍光ランプはランプ内に水銀を含んでいるため、そのまま廃棄すると環境汚染などを引き起こすおそれがある。一方、蛍光ランプの寿命は放電特性の低下などに基づくため、蛍光膜の構成材料である蛍光体自体は回収、再生することによって、再生蛍光体として再利用することができる。また、発光管(ガラスバルブ)を構成するガラス材料についても再利用が可能である。
このようなことから、廃蛍光ランプから蛍光体材料やガラス材料を回収し、さらに再生処理などを施した後に再利用することが、特表平10-500731号公報(特許文献1)や特表平11-513125号公報(特許文献2)に記載されているように検討されており、また一部で実験的に回収、再生が試みられている。廃蛍光ランプから蛍光体材料やガラス材料を回収、再生するにあたっては、まずガラスバルブの内面から蛍光膜を剥がし取り、蛍光体材料とガラス材料とを分離する必要がある。
ここで、単に蛍光ランプといっても、その用途や機能などに応じて多種類および多品種の蛍光ランプが実用化されており、それぞれに特有の材料や構成が採用されているため、例えば種類の異なる蛍光ランプを同時に回収・再生した場合には、回収材料を再利用することができなくなるおそれがある。また、蛍光ランプの構成の違いによって、それぞれに特有の回収・再生工程を実施しなければならない場合もあり、複数種の蛍光ランプを同時に処理すると、回収・再生作業の効率低下や再生材料の品質低下などを招くことになる。
蛍光体材料やガラス材料の具体的な回収・再生工程に関しても、種々の問題の発生が考えられている。例えば、ガラスバルブ内面から蛍光膜を剥離、回収する際に、従来の方法では蛍光体の回収効率が低いと共に、金属成分などの不純物や異物が混入するおそれがある。
また、回収した蛍光体材料には水銀や酸化水銀が付着、混入しているため、これらを除去しなければ再生蛍光体として使用することができない。そこで、回収した蛍光体を大気中にて例えば800℃程度に加熱し、この加熱処理により水銀を蒸発させることが検討されている。
しかしながら、大気中での加熱では蛍光体自体の熱劣化を招き、再生蛍光体として用いた場合に輝度が大幅に低下してしまうという問題がある。特に、三波長発光形蛍光体で青色発光成分として使用されている、ユーロピウム付活アルミン酸塩蛍光体やユーロピウム付活ハロ燐酸塩蛍光体は、付活剤としてのユーロピウム(Eu)が酸化しやすく、このEuの酸化により青色蛍光体の発光効率が低下し、さらには発光そのものが得られなくなってしまうという問題がある。
同様に、回収したガラス材料にも水銀が付着ないしは含有されているため、そのままでは再生ガラス材料として使用することができない。さらに、ラピッドスタートタイプの蛍光ランプでは、ガラスバルブの内面に酸化スズ膜(ネサ膜)が形成されているため、その状態のままでカレットとして再利用すると、スズなどの不純物がガラス表面に析出するなどの原因となってしまう。従って、ネサ膜を有するガラスバルブは、そのままでは再利用することができない。
特表平10-500731号公報 特表平11-513125号公報
上述したように、従来の蛍光ランプの回収・再生方法においては、蛍光ランプの種類や品種などに応じた工程を構築するまでには至っていない。そして、複数種の蛍光ランプが混在した状態で回収・再生工程を実施した場合には、回収・再生作業の効率低下や再生材料の品質低下などを招くおそれがあった。
さらに、回収した蛍光体材料やガラス材料には水銀などが含まれているため、そのままでは再利用することができないが、従来の回収・再生工程は水銀の除去工程が必ずしも確立されておらず、様々な問題を招くことが懸念されている。例えば、回収蛍光体から水銀を除去するにあたって、蛍光体(特に三波長発光形蛍光体中の青色発光成分)を熱劣化させてしまうおそれがあるため、再生蛍光体として用いた場合の輝度低下が問題視されている。
このようなことから、廃蛍光ランプから蛍光体材料を回収、再生するにあたって、その作業効率を高めると共に、再生蛍光体材料の品質向上を図った蛍光ランプの再生方法が強く望まれている。また、廃蛍光ランプからガラスバルブの構成材料であるガラスを再利用するにあたっても、再生ガラスの特性劣化を抑制し得る蛍光ランプの再生方法が望まれている。
本発明はこのような課題に対処するためになされたもので、廃蛍光ランプの構成材料を回収、再生して再利用するにあたって、回収・再生工程の効率化や再生材料の高品質化などを実現した蛍光ランプの再生方法を提供することを目的としている。また、蛍光体材料やガラス材料の個々の回収・再生工程において、再生蛍光体や再生ガラスの特性劣化を抑制したり、また蛍光体の回収効率などを高めることを可能にした蛍光ランプの再生方法を提供することを目的としている。
本発明の蛍光ランプの再生方法は、請求項1に記載したように、廃蛍光ランプから蛍光体材料を回収する工程と、前記回収した蛍光体材料を再生する工程とを有する蛍光ランプの再生方法において、前記回収した蛍光体材料を再生する過程で、前記蛍光体材料を真空中、還元性雰囲気中または不活性雰囲気中で焼成するとともに、この焼成後もしくは焼成前の前記蛍光体材料を酸液、アルカリ溶液、またはハロゲン化アルカリ溶液で洗浄し、かつ温水を用いて超音波洗浄することによって、前記蛍光体材料中に含まれる水銀を除去する工程を有することを特徴としている。
このように、回収した蛍光体材料を真空中、還元性雰囲気中または不活性雰囲気中で焼成して、蛍光体材料中に含まれる水銀を除去することによって、蛍光体材料の酸化などによる特性劣化を抑制することができる。特に、三波長発光形蛍光体中に青色発光成分として含まれる2価のユーロピウム付活アルミン酸塩蛍光体や2価のユーロピウム付活ハロ燐酸塩蛍光体は、ユーロピウムの酸化により発光効率の低下、さらには発光そのものが得られなくなるという問題があるが、真空中、還元性雰囲気中または不活性雰囲気中で焼成することによって、青色蛍光体の特性低下を大幅に抑制することが可能となる。さらに、このような焼成によれば、水銀の除去に要する焼成温度自体も下げることができるため、蛍光体材料の熱劣化を抑制することができる。これらによって、特性を維持した再生蛍光体を再現性よく得ることが可能となる。
この蛍光ランプの再生方法において、回収した蛍光体材料は請求項2に記載したように、予め大気中で焼成した後に、真空中、還元性雰囲気中または不活性雰囲気中で焼成することが好ましい。すなわち、蛍光体中の有機不純物を含んでいるため、この有機物を大気中で焼成して除去した後に、蛍光体材料を真空中、還元性雰囲気中または不活性雰囲気中で焼成して水銀を除去することが好ましい。これによって、不純物や異物などの混入が少ない再生蛍光体をより確実に得ることができる。
様に、回収した蛍光体材料を分級すると共に、焼成後の蛍光体材料を再分散させることも有効である。これらによって、再生蛍光体の特性をより一層向上させることが可能となる。
また、本発明の蛍光ランプの再生方法においては、請求項に記載したように、廃蛍光ランプの両端の電極部分を、ガラスバルブの電極位置から内側に10mm以上離れ、かつ廃蛍光ランプの管端から100mm以下の位置から切断し、この切断後のガラスバルブ内面から蛍光体材料を回収することが好ましい。これによって、端部着色領域などに存在する特性劣化した蛍光体を除いて回収することができ、再生蛍光体の特性をより一層向上させることが可能となる。
以上説明したように、本発明の蛍光ランプの再生方法によれば、廃蛍光ランプから再生蛍光体や再生ガラスを効率よく、かつその特性を劣化させることなく回収、再生することができる。従って、再生蛍光体や再生ガラスの利用性を大幅に高めることが可能となる。
以下、本発明を実施するための形態について説明する。
図1は本発明の一実施形態による廃蛍光ランプの回収、再生工程を示す工程図である。まず、再生しようとする廃蛍光ランプ(使用済蛍光ランプや工程不良蛍光ランプなど)を回収する(工程101)。ここで、回収した廃蛍光ランプには、多種類もしくは多品種の蛍光ランプが含まれていることが想定される。
代表的な蛍光ランプとしては、例えば図2に示すように、ガラスバルブ1の内面に三波長発光形蛍光体を含有する蛍光膜2が形成された三波長発光形蛍光ランプ3が挙げられる。三波長発光形蛍光体としては、一般的に2価のユーロピウム付活アルミン酸塩蛍光体や2価のユーロピウム付活ハロ燐酸塩蛍光体などの青色蛍光体、3価のユーロピウム付活酸化イットリウム蛍光体や3価のユーロピウム付活酸硫化イットリウム蛍光体などの赤色蛍光体、希土類系の緑色蛍光体を適宜に混合した蛍光体が用いられている。
これらのうち、特に青色蛍光体は再生過程で劣化しやすいため、この青色発光蛍光体の特性劣化を抑制することが重要となる。あるいは、特性劣化しやすい青色発光蛍光体のみを再生過程で除去し、青色発光成分(青色蛍光体)については新品の蛍光体を使用することも考えられる。
三波長発光形蛍光ランプに用いられる青色蛍光体の具体例としては、一般式:a(M,Eu)O・bAl23(式中、MはMg、Ca、SrおよびBa選ばれる少なくとも1種の元素を示し、aおよびbはa>0、b>0、0.2≦a/b≦1.5を満足する数である。以下同じ)で実質的に表される2価のユーロピウム付活アルミン酸塩蛍光体や、一般式:(M,Eu)10(PO46・Cl2で実質的に表される2価のユーロピウム付活ハロ燐酸塩蛍光体などを挙げることができる。
ただし、再生しようとする廃蛍光ランプには、上記した三波長発光形蛍光ランプだけでなく、例えばハロ燐酸塩蛍光体を単独で用いた蛍光ランプなども含まれていることが考えられる。また、三波長発光形蛍光ランプにおいても、昼光色タイプと昼白色タイプとがあり、使用されている蛍光体材料が異なる。これら種類ないしは品種が異なる廃蛍光ランプには、それぞれの構成材料(例えば蛍光体材料)に応じた処理を施すことが望まれる。
さらに、三波長発光形蛍光ランプにおいては、一般蛍光ランプ(FL)とラピッドスタートタイプの蛍光ランプ(FLR)とがあり、これらはガラスバルブの構成が異なっている。このような場合にも、それぞれのガラスバルブの構成などに応じた処理を施すことが望まれる。
そこで、回収した廃蛍光ランプをその種類や品種などに応じて分別する(工程102)。廃蛍光ランプの分別工程においては、例えば蛍光ランプに使用されている蛍光体材料の分別、さらにFLとFLRとの分別などを実施する。蛍光体材料の分別方法としては、例えばガラスバルブの外部に波長365nm以下の紫外線を射出する光源を配置し、この光源から紫外線を廃蛍光ランプに照射して蛍光体を励起し、この励起光によりランプ品種を特定、判別する方法が挙げられる。このような方法(工程)によれば、廃蛍光ランプの自動分別が可能である。 例えば、波長300nmの紫外線はガラスバルブを透過し、その内面に形成された蛍光膜を励起する。このような紫外線励起によって、蛍光膜中の青色蛍光体が発光するため、その発光スペクトルを検出することで廃蛍光ランプの品種の分別、例えば三波長発光形蛍光ランプとハロ燐酸塩蛍光体を単独で用いた蛍光ランプとの分別、さらには三波長発光形蛍光ランプのうちの昼光色タイプと昼白色タイプとの分別を行うことができる。
ただし、上記した波長300nmの紫外線を用いた分別工程では、青色蛍光体の添加量が少ない電球色タイプの蛍光ランプの分別が困難であり、また緑や赤のカラーランプ(単色ランプ)は発光しにくいことから、三波長発光形蛍光ランプとの分別、さらには個々のランプとしての分別が困難である。このような場合には、後述する廃蛍光ランプのバルブ端部を切断した後に、例えば波長254nmの紫外線を射出する紫外線ランプをガラスバルブ内に挿入し、このガラスバルブ内に配置した紫外線ランプで蛍光体を発光させることによって、廃蛍光ランプの品種を分別することができる。
具体的には、ガラスバルブ内に配置した紫外線ランプ(例えばペンタイプの紫外線ランプ)から蛍光膜に対して波長254nmの蛍光体を照射し、蛍光膜からの発光をガラスバルブの外面側で検出する。そして、この蛍光膜からの発光スペクトル(B、G、Rおよびハロ燐酸カルシウム蛍光体の発光スペクトルなど)を検出し、蛍光体の種類を特定することによって、青色蛍光体の添加量が少ない蛍光ランプであっても、廃蛍光ランプの種類や品種などを分別することができる。発光スペクトルの検出には、例えばCCDカメラを使用した瞬間分光システムなどを使用することができる。
さらに、三波長発光形蛍光ランプについては、一般蛍光ランプ(FL)とラピッドスタートタイプの蛍光ランプ(FLR)とに分別する。すなわち、廃蛍光ランプがラピッドスタートタイプの場合には、ガラスバルブの内面にネサ膜として酸化スズ膜が存在しており、この酸化スズ膜を別途除去した後にガラスバルブをガラス原料(カレット)として再利用する必要があることから、ラピッドスタートタイプの蛍光ランプを一般蛍光ランプと分別する。
ラピッドスタートタイプの廃蛍光ランプの分別工程は、例えば(1)ランプに印刷されたマークや品種名などの識別標識を画像処理することにより認識し、この認識結果に基づいて分別する、あるいは(2)ガラスバルブの抵抗値を例えばバルブ外部から測定し、この抵抗値の測定結果に基づいて分別する、などの方法に基づいて実施することができる。
ここで、上記した(1)の方法では、経時劣化によりバルブ端部が黒化していたり、識別標識自体が消えているような場合に、画像処理による識別精度が低下するおそれがある。これに対して、(2)のガラスバルブの抵抗値を測定する方法によれば、より確実にラピッドスタートタイプの廃蛍光ランプを分別することができる。具体的には、ガラスバルブの中央付近の抵抗値を測定し、この測定結果が所定の抵抗値以下であった場合に、ラピッドスタートタイプの蛍光ランプ、すなわちネサ膜として酸化スズ膜が存在しており、この酸化スズ膜によりガラスバルブの抵抗が低くなっている蛍光ランプと判定することができる。
なお、ガラスバルブの抵抗値の測定は、バルブ外部からの非破壊での測定に限らず、例えば蛍光体を分離した後のガラスバルブ内面の抵抗値を直接測定したり、あるいはガラスバルブを粉砕してから抵抗値を測定するなど、種々の方法を採用することができる。ただし、後工程の容易さなどを考慮すると、予めバルブ外部から非破壊で測定しておくことが好ましい。また、ラピッドスタートタイプの蛍光ランプの分別は抵抗値の測定に限らず、ランプ外面より導電性端子を近接させ、そこに高周波電圧を印加して電流、電圧、位相ずれなどから、ガラスバルブの内面に酸化スズ膜が存在しているかどうかを判定することもできる。
上述したような分別工程により種類や品種などが判明した廃蛍光ランプは、次いで蛍光体材料とガラス材料とに分離され、それぞれが再生用材料として回収される。廃蛍光ランプから蛍光体材料を分離回収するにあたっては、まず図2に示したように、用意した廃蛍光ランプ3の口金4を含むバルブ端部1aをそれぞれ切断する。
ここで、バルブ端部1aは黒褐色に着色していることが多く、また電極物質が飛散しているおそれがあるため、このような部分に存在している蛍光体は輝度や反射率などが低下している。そこで、単に口金4の部分から切断するのではなく、ガラスバルブ1を電極位置Xから内側に10mm以上離れ、かつ廃蛍光ランプ3の管端から100mm以下の範囲の位置Yから切断することが好ましい。これによって、再生蛍光体の特性をさらに向上させることができる。
なお、バルブ端部が黒褐色に着色していない場合、あるいは黒褐色に着色していても着色物質が後工程で除去可能であれば、ガラスバルブ1の端部近辺で切断して、その後の工程に送るようにしてもよい。
次に、両端部1a、1aをそれぞれ切断したガラスバルブ1の内面から蛍光膜2を剥離することによって、廃蛍光ランプから蛍光体材料とガラス材料をそれぞれ再生用材料として分離回収する(工程104)。この分離工程は上記した廃蛍光ランプの分別工程の結果に基づいて、ランプ種別毎に蛍光体材料やガラス材料を回収するように実施される。例えば、蛍光体材料に関しては、三波長発光形蛍光体とハロ燐酸カルシウム蛍光体などをそれぞれ個別に回収する。
廃蛍光ランプからの蛍光体材料の回収は、例えばガラスバルブの内面に高圧エアーを吹き付けて蛍光膜を剥離させる、あるいは真空吸引により蛍光膜を剥がし取るなどの方法を採用することができる。ただし、このような剥離方法では、ガラスバルブ内面から蛍光膜を完全に回収することが困難であると共に、金属成分などの不純物や異物が混入して、再生蛍光体の特性(輝度特性など)が低下してしまうというおそれがある。
そこで、図3に示すように、ガラスバルブ1の内面に対してノズル5などから圧力をかけた液体6を吹き付けて蛍光体材料を回収することが好ましい。蛍光体材料は液体6と共に回収容器7内に回収される。このように、ガラスバルブ1の内面に形成された蛍光膜2に圧力をかけた液体6を吹き付け、この液体6の圧力で蛍光膜2を剥離させることによって、不純物や異物の混入を抑制した上で、蛍光体の回収効率を高めることができる。
蛍光膜2に吹き付ける液体としては、水、酸液、アルカリ溶液などが用いられる。水は冷水および温水のいずれであってもよい。また、酸液としては、硝酸、塩酸および酢酸から選ばれる少なくとも1種を含むpH=6以下の水溶液が用いられる。アルカリ溶液としては、pH=8以上のNaOHやCa(OH)2などの水溶液が用いられる。これら酸液やアルカリ溶液は蛍光膜2中の結着剤を溶解させる働きを示すことから、より一層蛍光体の回収効率を高めることができる。このような効果を得る上で、特に酸液を蛍光膜2に吹き付けることが好ましい。
また、液体6で蛍光膜2を剥離するにあたって、例えばパルス状に圧力を変動させつつ液体6を吹き付けることも有効である。このような圧力変動は、蛍光膜2の剥離に有効に作用する。さらに、液体6の吹き付け処理後において、ガラスバルブ1の内面に残っている蛍光膜2を、ブラシやサンドブラストなどを用いて機械的に剥がし取るようにしてもよい。液体圧力と機械力とを併用することによって、蛍光体の回収効率をさらに高めることが可能となる。なお、場合によっては機械的な剥離のみを適用することもできる。
上記した蛍光体材料の分離回収工程は、前述した分別工程の結果に基づいて、廃蛍光ランプの種類や品種毎に実施される。すなわち、廃蛍光ランプの種類や品種に応じて分離工程を実施することによって、特定の蛍光体(例えば三波長発光形蛍光体とハロ燐酸カルシウム蛍光体)毎に回収する。
このようにして、品種毎に回収された蛍光体材料(回収蛍光体)は、必要に応じて水洗、乾燥などの各処理を施した後に再生処理(105)が施される。再生処理は、三波長発光形蛍光体106とそれ以外の蛍光体(例えばハロ燐酸カルシウム蛍光体)107というように、回収蛍光体の品種に応じて実施する。なお、回収蛍光体に例えば水洗処理を施す際に、水篩いなどを用いて分級することも有効である。これは異物の除去などに効果を発揮する。また、分級以外の不純物や異物の物理・機械的な分離除去処理、例えばろ過などを施してもよい。
回収蛍光体の再生処理においては、まず回収蛍光体中に含まれる水銀の除去工程(工程108)が実施される。水銀の除去方法としては、例えば浮遊選別法、酸洗い処理、加熱処理法などが挙げられる。浮遊選別法は、回収蛍光体を市水、純水、弱酸性に調整した水などの分散媒中に添加し、ゆっくりと撹拌しながら回収蛍光体を分散させる。そして、水銀やエミッタ飛散物質などの不純物やガラス屑などの異物を蛍光体から分離し、比重の軽い蛍光体のみを徐々にオーバーフローさせて回収する。また、酸洗い処理とは、希硝酸や酢酸などの酸溶液で蛍光体やガラスカレットを洗浄後乾燥させることを意味する。酸溶液は濃度の低い塩酸、硫酸、シュウ酸であってもよい。
上述した浮遊選別法のみによっても、回収蛍光体からある程度の水銀を除去することが可能であるものの、水銀の除去率を高める上で焼成法を併用することが好ましい。なお、回収蛍光体からの水銀の除去は、焼成法のみにより実施することも可能である。焼成法は回収蛍光体を焼成炉で焼成することにより実施され、これにより回収蛍光体中に混入している水銀をより確実に除去することが可能となる。また、回収蛍光体中に含まれる有機物、例えば蛍光膜の結着剤成分なども除去することができる。
上記した加熱処理工程は、大気中、真空中、還元雰囲気中、不活性雰囲気中などのいずれの雰囲気中で実施してもよいが、大気中で実施する場合には加熱温度は400℃以下、例えば100〜300℃とすることが好ましい。大気中では加熱のみによって、水銀を除去することも可能であるが、400℃以下の大気加熱では水銀の除去率が不十分となるおそれがあることから、それ以外の真空中、還元性雰囲気中、不活性雰囲気中などでの焼成と組合せて加熱処理工程を実施することが好ましい。
回収蛍光体の大気中での加熱は、結着剤成分などの有機物の除去に有効である。この際の温度があまり高いと回収蛍光体の特性が劣化するため、加熱温度は400℃以下とすることが好ましい。また、あまり焼成温度が低すぎても有機物の除去効率が低下するため、焼成温度は100℃以上とすることが好ましい。大気中での加熱は、例えば蛍光膜に液体を吹き付けて剥離させる際に、十分に有機物を除去することが可能であれば省くことができる。また、後述する洗浄工程で有機物の除去を実施することも可能である。
回収蛍光体を真空中、還元性雰囲気中、不活性雰囲気中などで焼成する場合には、600℃を超える温度で焼成処理を実施することも可能であるが、蛍光体の熱劣化などを抑制する上で400〜600℃の範囲の温度で実施することが好ましい。回収蛍光体の真空中、還元性雰囲気中、不活性雰囲気中などでの焼成は水銀を除去するために実施されるものであり、この際の焼成温度が600℃を超えると蛍光体の熱劣化などを招くおそれがあり、一方400℃未満であると水銀の除去効率が低下する。
このように、回収蛍光体を真空中、還元性雰囲気中、不活性雰囲気中などで焼成して水銀を除去することによって、蛍光体の酸化などによる特性劣化を抑制することができる。特に、三波長発光形蛍光体中に含まれる青色蛍光体(前述した2価のEu付活アルミン酸塩蛍光体や2価のEu付活ハロ燐酸塩蛍光体)の発光効率の低下、さらには非発光化を大幅に抑制することができる。さらに、真空中や不活性雰囲気中で焼成することによって、水銀の除去に要する焼成温度自体も下げることができるため、蛍光体の熱劣化を抑制することができる。これらによって、特性を維持した再生蛍光体を再現性よく得ることが可能となる。
回収蛍光体の具体的な焼成雰囲気としては、10Pa以下の真空雰囲気、フォーミングガス(N2+H2)などを用いた還元性雰囲気、ArやHeなどの不活性ガス雰囲気とすることが好ましい。真空雰囲気を適用する際の雰囲気圧が10Paを超えると、蛍光体の酸化などを招くおそれがある。上記した各雰囲気のうち、特にフォーミングガスなどを用いた還元性雰囲気は、蛍光体の酸化などを抑制する上で有効である。
なお、上記した焼成処理工程の各種条件などは、主として三波長発光形蛍光体106を想定したものであり、それ以外の蛍光体(例えばハロ燐酸カルシウム蛍光体)107については1000℃以下の温度で焼成することにより水銀を除去する。焼成後の三波長発光形蛍光体以外の蛍光体107は、処理済蛍光体109として再利用ないしは廃棄処理される。
上述したような焼成処理工程を実施することによって、三波長発光形蛍光ランプに再利用することが可能な再生蛍光体が得られるが、さらに酸液、アルカリ溶液、ハロゲン化アルカリ溶液などで蛍光体を洗浄処理することが好ましい。焼成処理工程と洗浄処理工程とを併用することにで、より一層再生蛍光体の特性向上を図ることができる。
洗浄処理に使用する酸液としては、硝酸、塩酸および酢酸から選ばれる少なくとも1種を含むpH=6以下の水溶液が用いられる。また、アルカリ溶液としては、pH=8以上のNaOHやCa(OH)2などの水溶液が用いられる。さらに、次亜塩素酸ナトリウムや次亜塩素酸カリウムなどの次亜塩素酸塩の溶液、あるいは過ヨウ素酸アンモニウムや過ヨウ素酸カリウム(ハロゲン化アルカリ)などの過ヨウ素酸化合物の溶液などを使用してもよい。これらは特に有機物の除去に効果を発揮する。
酸液は有機物の除去のみならず、青色蛍光体の溶解除去などに対しても効果を示すものである。上述した焼成工程によれば、青色蛍光体の劣化を抑制し得るものの、他の赤色蛍光体や緑色蛍光体に比べて青色蛍光体は劣化しやすい。そこで、酸洗浄により青色蛍光体のみを溶解除去し、この除去した分については新品の青色蛍光体を配合することによって、発光特性などをさらに向上させた三波長発光形蛍光体(再生蛍光体と新品蛍光体の混合物)を得ることができる。
また、洗浄処理を実施する場合においては、超音波洗浄などを組合せることもできる。超音波洗浄については温水などを用いて実施してもよい。この洗浄処理は焼成処理後に実施する場合に限らず、回収蛍光体を洗浄処理した後に上述した焼成処理を実施するようにしてもよい。
この後、上述した浮遊選別処理や焼成処理、また必要に応じて酸やアルカリによる洗浄処理を経た蛍光体に、水洗処理や乾燥処理などを施すことによって、粉末状の再生蛍光体(再生三波長発光形蛍光体110)が得られる。なお、この段階では凝集塊のような粗大粒子を含んでいる場合があるため、さらに必要に応じてボールミルなどを用いた再分散処理を施すことが好ましい。
上述したような回収工程および再生工程を経て得られる再生蛍光体粉末(例えば再生三波長発光形蛍光体粉末110)は、必要に応じて新品蛍光体と混合(工程111)された後、蛍光ランプの蛍光膜形成材料として再使用される(工程112)。再生蛍光体と新品蛍光体との混合比は特に限定されるものではないが、例えば再生蛍光体を1〜100%の範囲で含むように設定される。再生蛍光体を重視する場合には、その比率を50〜100%の範囲とすることが好ましい。
そして、上述したような回収および再生工程によれば、まず回収工程での蛍光体の回収効率に優れることから、廃蛍光ランプからほぼ100%に近い蛍光体を回収することができ、よって蛍光体の再利用率を大幅に高めることが可能となる。さらに、再生蛍光体は回収時の不純物や異物の混入が防止され、また焼成処理に伴う特性劣化なども抑制されているため、これを蛍光ランプに再利用した際に性能劣化(輝度の低下など)を招くことがない。このように、本発明によれば高性能の再生蛍光体粉末を効率よくかつ確実に得ることができる。
また、前述した分離回収工程104で蛍光体材料が分離されたガラス材料、すなわちガラスバルブは、破砕した後にカレット(ガラス原料)として再利用されるが、単に破砕しただけではガラスバルブ中に含まれている水銀などが不良発生原因となるため、再生処理(113)を施した後に再利用する。特に、廃蛍光ランプがラピッドスタートタイプの場合には、ガラスバルブの内面にネサ膜として酸化スズ膜が存在しているため、それに応じた再生処理を施した後に再利用する必要がある。
このようなことから、ガラス材料の再生処理についても、一般蛍光ランプ(FL)114とラピッドスタートタイプの蛍光ランプ(FLR)115というように、蛍光ランプの品種に応じて実施される。一般蛍光ランプ(FL)から回収されたガラス材料114には、水銀の除去処理が施される(工程116)。ガラス材料からの水銀の除去処理は、例えば(1)回収したガラスバルブを破砕した後に硝酸溶液中に浸漬する、(2)回収したガラスバルブを破砕した後に500℃程度の温度に加熱する、などにより実施される。
(1)の硝酸溶液への浸漬処理によれば、ガラスバルブに付着ないしは含有されている水銀が硝酸中に溶け出すため、回収したガラス材料から水銀を良好に除去することができる。硝酸溶液は必要に応じて加熱してもよい。硝酸による処理を施したガラス材料は、例えば水銀の溶出量を0.005g/L(リットル)以下とすることができる。また、硝酸中に溶け出した水銀は、例えば塩化スズで還元し、さらにこれを気化させることによって、水銀蒸気として回収することができる。また、(2)の加熱処理によっても、回収したガラス材料から水銀を良好に除去することができる。
このように、廃蛍光ランプの再生過程で生じるガラス材料(ガラスバルブの構成材料)に水銀の除去処理を施すことによって、回収したガラス材料をカレットとして再利用した場合に、不純物の析出不良などの発生を抑制することが可能となるため、再生ガラス材料の大幅な品質向上を達成することができる。すなわち、再生ガラス材料を良好に再使用(117)することが可能となる。
また、ラピッドスタートタイプの蛍光ランプ(FLR)から回収されたガラス材料115には、ガラスバルブの内面からの酸化スズ膜(ネサ膜)の除去処理が施される(工程118)。酸化スズ膜を除去したガラスバルブについては、一般蛍光ランプ(FL)から生じたガラス材料と同様に、破砕した後にカレット(ガラス原料)として再使用(117)される。
酸化スズ膜の除去処理は、例えば(1)回収したガラスバルブを還元性雰囲気中で加熱処理して酸化スズ膜を除去する、(2)回収したガラスバルブに対して酸処理やアルカリ処理を施して酸化スズ膜を溶解除去する、などにより実施される。還元性雰囲気中での加熱処理は、例えば回収したガラスバルブの内面を還元炎(例えば水素バーナーの炎)で加熱して実施してもよい。
酸処理やアルカリ処理による酸化スズ膜の除去は、例えばフッ酸、塩酸、硫酸、水酸化ナトリウム溶液、水酸化マグネシウム溶液などを用いて実施される。特に、フッ酸による処理によれば、ガラスバルブの一部まで溶解し得るため、酸化スズ膜をより確実に除去することができる。また、ガラスに付着するアルミナ、酸化亜鉛、酸化チタンなどからなる保護膜も良好に除去することができる。
また、塩酸や硫酸などの酸液、あるいは水酸化ナトリウム溶液や水酸化マグネシウム溶液などのアルカリ性溶液を用いて処理する場合には、これら処理液を180〜200℃程度に加熱すると共に、例えば120kPa程度の加圧雰囲気下で粉砕したガラスバルブ片を処理することが好ましい。このような処理によれば、酸化スズ膜と保護膜を良好に除去することができる。さらに、酸液やアルカリ性溶液の蒸発飛散も抑制することができる。
また、上記したような酸化スズ膜の除去処理を実施することによって、ガラスバルブに付着ないしは含有されている水銀も除去することができる。ただし、必要に応じて水銀の除去処理工程116を別途実施してもよい。
このように、ラピッドスタートタイプの蛍光ランプ(FLR)から回収されたガラス材料115についても、一般蛍光ランプ(FL)から回収されたガラス材料114と同様に良好に再利用することが可能となる。これはガラス材料の再利用効率の向上に起用するものである。
次に、本発明の具体的な実施例およびその評価結果について説明する。
実施例1
まず、使用済の蛍光ランプ(三波長発光形蛍光ランプ)から蛍光体を回収し、これを水洗して不純物を除去した後、真空炉に入れて10Pa以下の真空中で加熱処理した。加熱処理は550℃×3時間の条件で実施した。
得られた再生蛍光体を用いて蛍光ランプを作製したところ、新品の蛍光体を使用した蛍光ランプに対して96%の光束が得られ、リサイクル蛍光体としては十分な性能を有していることが確認された。
また、残留水銀量に関しても溶出値で0.005mg/L以下であり、産業廃棄物に関する基準を満足していた。このように、水銀についても十分に除去されていることを確認した。
実施例2
使用済の蛍光ランプ(三波長発光形蛍光ランプ)から蛍光体を回収し、これを水洗して不純物を除去した後、窒素雰囲気炉に入れて加熱処理した。加熱処理は600℃×5時間の条件で実施した。
得られた再生蛍光体を用いて蛍光ランプを作製したところ、新品の蛍光体を使用した蛍光ランプに対して94%の光束が得られ、リサイクル蛍光体としては十分な性能を有していることが確認された。
また、残留水銀量に関しても溶出値で0.005mg/L以下であり、産業廃棄物に関する基準を満足していた。このように、水銀についても十分に除去されていることを確認した。
実施例3
使用済の蛍光ランプ(三波長発光形蛍光ランプ)から蛍光体を回収し、これを水洗して不純物を除去した後に焼成炉に入れ、フォーミングガス(N2:97%+H2:3%)を流しながら加熱処理した。処理条件は550℃×3時間とした。
得られた再生蛍光体を用いて蛍光ランプを作製したところ、新品の蛍光体を使用した蛍光ランプに対して95%の光束が得られ、リサイクル蛍光体としては十分な性能を有していることが確認された。
また、残留水銀量に関しても溶出値で0.005mg/L以下であり、産業廃棄物に関する基準を満足していた。このように、水銀についても十分に除去されていることを確認した。
実施例4
使用済の蛍光ランプ(三波長発光形蛍光ランプ)から蛍光体を回収し、これを水洗して不純物を除去した後、まず焼成炉に入れて大気中で加熱処理した。この際の加熱処理条件は450℃×2時間とした。この大気中での焼成により有機物を除去した。次いで、真空炉に入れて10Pa以下の真空中で加熱処理した。この際の加熱処理条件は550℃×3時間とした。
得られた再生蛍光体を用いて蛍光ランプを作製したところ、新品の蛍光体を使用した蛍光ランプに対して97%の光束が得られ、リサイクル蛍光体としては十分な性能を有していることが確認された。
また、残留水銀量に関しても溶出値で0.005mg/L以下であり、産業廃棄物に関する基準を満足していた。このように、水銀についても十分に除去されていることを確認した。
実施例5
使用済の蛍光ランプ(三波長発光形蛍光ランプ)から蛍光体を回収し、これを水洗して不純物を除去した後に焼成炉に入れ、フォーミングガス(N2:97%+H2:3%)を流しながら加熱処理した。加熱処理条件は550℃×3時間とした。次いで、焼成後の蛍光体を硝酸水溶液、もしくは酢酸水溶液中に投入して洗浄処理した。この後、40℃の温水中にて超音波洗浄し、さらにろ過、水洗、乾燥の各処理を施して、それぞれ再生蛍光体を得た。
得られた再生蛍光体の残留水銀量と反射率を測定した。加熱処理後に硝酸水溶液中に投入した蛍光体は残留水銀量が検出限界以下、反射率が98%、加熱処理後に酢酸水溶液中に投入して蛍光体は残留水銀量が検出限界以下、反射率が95%であった。加熱処理のみを施した蛍光体は含有水銀量が0.03mg/g、反射率が93%であった。なお、反射率は新品蛍光体の反射率を100としたときの相対値である。
本発明との比較として、水洗のみを施した再生蛍光体の残留水銀量と反射率を測定したところ、残留水銀量は0.08mg/gで、反射率は90%であった。なお、未処理の回収蛍光体の残留水銀量は0.26mg/gで、反射率は85%であった。
実施例6
使用済の蛍光ランプ(三波長発光形蛍光ランプ)から蛍光体を回収し、この蛍光体20gを2Lの水を収容した容器に投入し、蛍光体が沈殿しない程度にゆっくりと撹拌した。そして、400mL/min程度の水をオーバーフローさせながら蛍光体を回収し、ろ過、乾燥させた。
得られた再生蛍光体の残留水銀量を測定したところ、浮遊選別法を実施していない回収蛍光体に比べて、残留水銀量は約1/5以下になっていた。これは溶出値で0.005mg/L以下を満足するものである。
実施例7
使用済の蛍光ランプ(三波長発光形蛍光ランプ)の両端部を切断した。この両端部を切断したガラスバルブの内面に、水、希硝酸、もしくは希酢酸を圧力を加えて吹き付け、それぞれ蛍光体を回収した。これら各回収蛍光体を用いて蛍光ランプをそれぞれ作製したところ、水で回収した蛍光体は新品の蛍光体を使用した蛍光ランプに対して80%、希硝酸で回収した蛍光体は90%、希酢酸で回収した蛍光体は85%であった。
なお、この実施例では回収条件の違いによる光束の差を見るために、回収蛍光体を用いて蛍光ランプを作製したが、実施例1〜5に示したような再生工程を実施することで、それぞれ光束がさらに向上することは明らかである。また、いずれにおいても蛍光体の回収率は良好な値を示した。
実施例8
使用済の蛍光ランプ(三波長発光形蛍光ランプ)の両端部を切断した。この際、ガラスバルブの切断位置を電極位置から15mmとしたものと5mmとしたものをそれぞれ用意した。これらからそれぞれ蛍光体を回収し、さらに再生工程を実施した後、それぞれの輝度と反射率を測定した。その結果、電極位置から15mmのところで切断したガラスバルブから回収した蛍光体は輝度が90%、反射率が95%であった。一方、電極位置から5mmで切断したものは輝度が88%、反射率が90%であった。これらの値は新品蛍光体を100としたときの相対値である。
実施例9
使用済の蛍光ランプ(FL)からガラスバルブを回収し、このガラスバルブを破砕した後に硝酸溶液に浸漬した。さらに、加熱しながら塩化スズで水銀を還元し、水銀蒸気を回収した。硝酸溶液への浸漬処理後のガラス材料の残留水銀量を測定したところ、溶出値で0.005mg/L以下を満足していた。
実施例10
使用済の蛍光ランプ(FL)からガラスバルブを回収し、このガラスバルブを破砕した後に、大気中にて500℃×10分(試料1)および500℃×60分(試料2)の条件で加熱処理した。加熱処理を実施していないガラス材料からの水銀の溶出値は0.1mg/Lであったのに対して、加熱処理を施した試料1および試料2はいずれも水銀の溶出値が0.005mg/L以下であった。
実施例11
使用済のラピッドスタートタイプの蛍光ランプ(FLR)からガラスバルブを回収し、このガラスバルブを破砕した後に、還元性雰囲気中で500℃×60分の条件で加熱処理した。加熱処理後のガラス材料の状態を確認したところ、酸化スズ膜が良好に除去されていることを確認した。
実施例12
使用済のラピッドスタートタイプの蛍光ランプ(FLR)からガラスバルブを回収し、このガラスバルブを破砕した後に、種々の濃度のフッ酸溶液に浸漬して酸化スズ膜の除去処理を実施した。フッ酸溶液の濃度は5%、1%、0.5%、0.07%とし、それぞれへの浸漬時間は10秒、3分、5分、2時間とした。いずれの処理条件においても、酸化スズ膜および保護膜が良好に除去されていることを確認した。
本発明の一実施形態による廃蛍光ランプの回収、再生工程を示す工程図である。 本発明の廃蛍光ランプの回収工程におけるバルブ端部の切断状態を模式的に示す図である。 本発明の廃蛍光ランプの回収工程における蛍光体材料の分離回収方法の一例を模式的に示す図である。
符号の説明
1……ガラスバルブ
1a…バルブ端部
2……蛍光膜
3……蛍光ランプ(廃蛍光ランプ)
4……口金
5……ノズル
6……圧力をかけた液体

Claims (3)

  1. 廃蛍光ランプから蛍光体材料を回収する工程と、前記回収した蛍光体材料を再生する工程と、を有する蛍光ランプの再生方法において、前記回収した蛍光体材料を再生する過程で、前記蛍光体材料を真空中、還元性雰囲気中または不活性雰囲気中で焼成するとともに、この焼成後もしくは焼成前の前記蛍光体材料を酸液、アルカリ溶液、またはハロゲン化アルカリ溶液で洗浄し、かつ温水を用いて超音波洗浄することによって前記蛍光体材料中に含まれる水銀を除去する工程を有することを特徴とする蛍光ランプの再生方法。
  2. 前記回収した蛍光体材料を大気中で焼成した後に、前記真空中、還元性雰囲気中または不活性雰囲気中での焼成を行う工程を有することを特徴とする請求項1記載の蛍光ランプの再生方法。
  3. 前記廃蛍光ランプの両端の電極部分を、前記ガラスバルブの電極位置から内側に10mm以上離れ、かつ前記廃蛍光ランプの管端から100mm以下の位置から切断し、この切断後のガラスバルブ内面から前記蛍光体材料を回収することを特徴とする請求項1または2記載の蛍光ランプの再生方法。
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