JP4403376B2 - 物質間の相互作用検出部と該検出部を備えるバイオアッセイ用基板及び該検出部への水溶液供給方法 - Google Patents

物質間の相互作用検出部と該検出部を備えるバイオアッセイ用基板及び該検出部への水溶液供給方法 Download PDF

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Description

本発明は、主に、物質間の相互作用検出の場となる微小な反応領域への水溶液供給及び該水溶液の蒸発防止に係わる技術に関する。
本発明に関する主たる背景技術を説明する。まず、第一の従来技術は、マイクロアレイ技術によって所定のDNAが微細配列された、いわゆるDNAチップ又はDNAマイクロアレイ(以下、「DNAチップ」と総称。)と呼ばれるバイオアッセイ用の集積基板に関する技術である。この技術は、現在、遺伝子の変異解析、SNPs(一塩基多型)分析、遺伝子発現頻度解析等に利用されており、創薬、臨床診断、薬理ジェノミクス、法医学その他の分野において広範囲に活用され始めている。
このDNAチップは、ガラス基板やシリコン基板上に多種・多数のDNAオリゴ鎖やcDNA(complementary DNA)等が集積されていることから、ハイブリダイゼーション等の分子間相互反応の網羅的解析が可能となる点が特徴とされている。DNAチップによる解析手法の一例を簡潔に説明すれば、ガラス基板やシリコン基板上に固相化されたDNAプローブに対して、細胞、組織等から抽出したmRNAを逆転写PCR反応等によって蛍光プローブdNTPを組み込みながらPCR増幅し、前記基板上においてハイブリダイゼーションを行い、所定の検出器で蛍光測定を行うという手法である。
ここで、DNAチップは二つのタイプに分類できる。第1のタイプは、半導体露光技術を応用したフォトリソグラフィーの技術を用いて、所定の基板上に直接オリゴヌクレオチドを合成していくものであり、アフィメトリクス社(Affymetrix社)によるものが代表的である(例えば、特許文献1参照)。この種のチップは、集積度は高いが、基板上でのDNA合成には限界があって、数十塩基程度の長さである。
第2のタイプは、「スタンフォード方式」とも称されるもので、先割れピンを用いて、予め用意されたDNAを基板上に分注・固相化していくことによって作製されるものである(例えば、特許文献2参照)。この種のチップは、集積度は前者に比べて低いが、1kb程度のDNA断片を固相化できるという利点がある。
第二の背景技術は、液相中において荷電して存在する物質に対する電界の作用に係わる技術である。具体的には、ヌクレオチド鎖(核酸分子)は、液相中において電界の作用を受けると伸長又は移動することが知られており、その原理は、ヌクレオチド鎖の骨格をなすリン酸イオン(陰電荷)とその周辺にある水がイオン化した水素原子(陽電荷)とによってイオン曇を作っていると考えられ、これらの陰電荷及び陽電荷により生じる分極ベクトル(双極子)が、高周波高電圧の印加により全体として一方向を向き、その結果としてヌクレオチド鎖が伸長し、加えて、電気力線が一部に集中する不均一電界が印加された場合、ヌクレオチド鎖は電気力線が集中する部位に向かって移動する(非特許文献1参照)。また、数十から数百μmのギャップを持つ微細電極中にDNA溶液をおき、ここに1MV/m、1MHz程度の高周波電界を印加すると、ランダムコイル状で存在するDNAに誘電分極が生じ、その結果、DNA分子は電界と平行に直線状に引き伸ばされる。そして、この誘電泳動と呼ばれる電気力学的効果によって、分極したDNAは自発的に電極端へと引き寄せられ、電極エッジにその一端を接した形で固定されることが知られている(非特許文献2参照)。
特表平4−505763号公報。 特表平10−503841号公報。 Seiichi Suzuki,Takeshi Yamanashi,Shin-ichi Tazawa,Osamu Kurosawa and Masao Washizu:"Quantitative analysis on electrostatic orientation of DNA in stationary AC electric field using fluorescence anisotropy",IEEE Transaction on Industrial Applications,Vol.34,No.1,P75-83(1998)。 鷲津正夫、「見ながら行うDNAハンドリング」、可視化情報 Vol.20 No.76(2000年1月)。
上記した従来のDNAチップ技術では、検出表面部位(スポット部位)に固相化されたDNAプローブ等の検出用ヌクレオチド鎖は、ブラウン運動の作用でランダムコイル状に絡まったり、丸まったりしており、また、検出表面においてその集積密度に偏りがあった。このため、ハイブリダイゼーションの際には多数存在する相補的ではないヌクレオチドによる立体障害が発生するので、ハイブリダイゼーションの効率が悪く、反応にも長時間を要し、更には、偽陽性又は偽陰性を示してしまう可能性もあるという技術的課題があった。
この課題を解決するために、一定容量の反応領域内で検出用ヌクレオチド鎖および標的ヌクレオチド鎖に電界を印加し伸長配列させた状態でハイブリダイズさせ、ハイブリダイズしたヌクレオチドに選択的に結合するインターカーレータを用い蛍光信号を読み取ることでハイブリダイゼーションを検出する方法が考えられる。
しかしながら、前記反応領域内に収容されるハイブリダイゼーション液の量は数百nlと少ないため、ハイブリダイゼーション反応終了前に溶媒の水が蒸発してしまい、反応が不完全に終わるという問題がある。従来のハイブリダイゼーション方法としては恒温恒湿(高湿)の条件を保ち、前記溶媒の蒸発を抑えているが、この場合は、ハイブリダイゼーション反応後に反応領域を洗浄した後、ハイブリダイゼーション検出が行われる。前記したようにハイブリダイゼーション直後に洗浄を行わず、選択的にハイブリダイズしたヌクレオチドに結合したインターカーレータからの蛍光信号検出を行う場合には、読み取り装置(検出部)となる精密装置内に高湿環境を作るための機能を備え付けておくことが必須となる。しかし、精密機器内での高湿はそれら機構部に影響及ぼす可能性が大きく実用的ではない。
そこで、本発明は、物質間の相互作用検出の場となる微小な反応領域への水溶液供給及び該水溶液の蒸発防止に係わる技術を提供することを主な目的とする。
まず、本発明では、物質間のハイブリダイゼーションその他の相互作用の場となる反応領域と、この反応領域に収容された吸水性ゲルと、前記反応領域に対向配置された電極と、前記反応領域に連通するように形成された保水部と、を少なくとも備えた物質間相互作用検出部を提供する。電極の配置箇所は、前記反応領域を挟むように対向できる位置であれば採用可能であり、例えば、前記反応領域を挟む上下位置や左右位置に対向配置することができる。
特に、前記電極が反応領域の上下に対向配置されている構成では、前記吸水性ゲルを、上方の前記電極側に配置された高濃度ゲルと下方の前記電極側に配置された低濃度ゲルとから構成された積層ゲルからなるように工夫する。さらに、前記した高濃度ゲルには、導電性粒子を分散させておいてもよい。
本発明では、上記したような構成の物質間相互作用検出部が配設された構成を備える、DNAチップを含むバイオアッセイ用基板を提供する。例えば、物質間の相互作用の場となる反応領域を少なくとも備えた物質間相互作用検出部が上方視円盤状の基板上に配設されており、該基板の中央部には前記検出部に連通する保水部が設けられたバイオアッセイ用基板を提供できる。DNAチップの場合は、ハイブリダイゼーションを検出することができる。
本発明では、前記した保水部に連通する微細路が基板上に放射状に形成され、この微細路から前記検出部へ水溶液が供給されるようにした構成、加えて、前記微細路と前記検出部との連結部位に、前記水溶液を選択的に透過する部材が設けられている構成を提供する。
次に、本発明では、物質間の相互作用の場となる反応領域を少なくとも備えた物質間相互作用検出部を円盤状の基板上に配設し、該基板の中央部には前記検出部に連通する保水部を設けるとともに、前記保水部に連通する微細路を前記基板上に放射状に形成しておき、該基板を回転させることによって前記保水部から前記微細路を介して前記検出部へ水溶液を供給する検出部への水溶液供給方法を提供する。
ここで、本発明に関連して使用する主たる技術用語の定義付けを行う。まず、本発明において用いられる「相互作用」は、物質間の非共有結合、共有結合、水素結合を含む化学的結合あるいは解離を広く意味し、例えば、核酸(ヌクレオチド鎖)間の相補結合であるハイブリダイゼーションを含む。
ここで、本願において「核酸」あるいは「ヌクレオチド鎖」とは、プリンまたはピリミジン塩基と糖がグリコシド結合したヌクレオシドのリン酸エステルの重合体(ヌクレオチド鎖)を意味し、プローブDNAを含むオリゴヌクレオチド、ポリヌクレオチド、プリンヌクレオチドとピリミジンヌクレオチオドが重合したDNA(全長あるいはその断片)、逆転写により得られるcDNA(cプローブDNA)、RNA、ポリアミドヌクレオチド誘導体(PNA)等を広く含む。
「ハイブリダイゼーション」は、相補的な塩基配列構造を備えるヌクレオチド鎖間の相補鎖(二本鎖)形成反応を意味する。
「検出用物質」とは、反応領域中に予め添加等されて、該反応領域中に遊離して存在する物質、あるいは該反応領域の所定表面部位に固定化されて存在する物質であって、当該物質と特異的な相互作用を示す物質を捕捉するためのD物質であり、DNAプローブ等の検出用核酸を含む。
「標的物質」とは、前記検出用物質との間での相互作用の標的とされる物質を意味し、例えば、DNAプローブと相補的な塩基配列を有する核酸を含む。
「反応領域」は、ハイブリダイゼーションその他の相互作用の反応場を提供できる領域であり、例えば、液相やゲルなどの媒質を貯留又は保持できるウエル形状を有する反応場を挙げることができる。この反応領域で行われる相互作用は、本発明の目的や効果に沿う限りにおいて、狭く限定されない。例えば、一本鎖核酸間の相互反応、即ちハイブリダイゼーションに加え、検出用核酸から所望の二本鎖核酸を形成し、該二本鎖核酸とペプチド(又はタンパク質)の相互反応、酵素応答反応その他の分子間相互反応も行わせることも可能である。例えば、前記二本鎖核酸を用いる場合は、転写因子であるホルモンレセプター等のレセプター分子と応答配列DNA部分の結合等を分析することができる。
「立体障害(steric hindrance)」は、分子内の反応中心等の近傍に嵩高い置換基の存在や反応分子の姿勢や立体構造(高次構造)によって、反応相手の分子の接近が困難になることによって、所望の反応(例えば、ハイブリダイゼーション)が起こりにくくなる現象を意味する。
「誘電泳動」は、電界が一様でない場において、分子が電界の強い方へ駆動する現象であり、交流電圧をかけた場合も、かけた電圧の極性の反転につれて分極の極性も反転するので、直流の場合と同様に駆動効果が得られる(監修・林 輝、「マイクロマシンと材料技術(シーエムシー発行)」、P37〜P46・第5章・細胞およびDNAのマニピュレーション参照)。
「バイオアッセイ」は、生物化学的、あるいは分子生物的な分析や解析に係わる方法あるいは手順を広く意味する。
本発明によれば、ハイブリダイゼーション等の相互作用を検出部に設けられた反応領域に吸水性ゲルを収容しておき、該ゲルの吸水性を利用することで、水分の補給が容易になるとともに、水分をゲルの網目構造に閉じ込めることで水溶液の蒸発速度も遅くすることができる。
ゲルの網目構造によって、反応領域に投入された物質の拡散速度が遅くなり、反応領域内で分散し難くなるため、該物質を反応領域内に保持しておくことが容易になる。
ハイブリダイゼーション等の相互作用を進行させる工程において蒸発した水分を補給することによって、反応場となる水溶液(薬液)の濃度を一定に保つことができる。この結果、ハイブリダイゼーション等の相互作用のばらつきを抑えることができ、検出精度を向上できる。
反応領域への水分補給を容易に行うことができるので、検出装置内に高湿度を保つための機能を付加する必要がない。よって、高湿度が検出機の精密機構部に影響及ぼすような問題を解消できる。
以下、本発明を実施するための好適な形態について、添付図面を参照しながら説明する。まず、図1は、本発明に係る物質間の相互作用検出部(以下、「検出部」と略称。)の基本的な実施形態を表す平面図、図2は、図1中のI−I線矢視縦断面図である。
この図1、図2中の符号1は、本発明に係る検出部の基本的な実施形態を示している。この検出部1は、ハイブリダイゼーション等の相互作用を光学的手段等によって検出するための箇所であって、一般に、ガラスや合成樹脂などで形成された基板B(図2参照)に形成される。
この検出部1は、符号11で示されたウエル状の反応領域と、この反応領域11を上下でサンドイッチするような状態で対向配置された少なくとも一対の対向電極12,13と、からなる。対向電極12−13間は、スイッチSのオン/オフによって、電源Vから電圧印加可能となっている。なお、対向電極の数、形状、配置箇所等は、図1、図2に示された形態に限定されず、目的に応じて選択可能である。
例えば、図3に示された変形実施形態のように、反応領域11の底面部に、該反応領域11を挟むように左右に配置された対向電極14,15なども採用することができる。なお、図3に示された符号3は、反応領域11の上方開口部を閉塞するための蓋材を示している。
また、例えば、図4に示されたような変形実施形態のように、対向電極を構成する一方側の固定化用の電極12は、その対向する電極13よりも狭小の面積に形成するのがより望ましい。面積狭小とされた電極121には、電界(電気力線)Eがより集中して、該電極121表面に不均一電界が形成され、誘電泳動が起こり易くなるからである。なお、図3に示す対向電極14,15の場合でも、いずれか一方の電極の面積をより狭小にした構成も採用できる。
さらに、特に図示はしないが、少なくとも固定化用に用いられる電極12(図2参照)や電極15(図3参照)の表面を、例えば、凹凸形状に粗面加工を施したり、島状になるようにパターニング形成したりすると、電気力線が、該電極表面の凸部位(山状部位)に集中し易くなるので、不均一電界が形成され易くなるので好ましい。なお、電極表面を粗面加工する方法は、例えば、公知のスパッタリング蒸着技術、エピキタシー蒸着技術やエッチング技術を用いて実施することができるが、該方法は特に限定されない。
また、各電極表面は、具体的に図示はしないが、SiO、SiN、SiOC、SiC、SiOF、TiOなどの材料によって形成した絶縁層で覆うことが望ましい。反応領域2中に貯留される場合があるイオン溶液による電気化学的な反応を防止するためである。
次に、検出部1を構成する反応領域11は、プローブDNA(検出用ヌクレオチド鎖)又はターゲットDNA(標的ヌクレオチド鎖)を含む試料溶液を貯留又は保持する箇所であって、ハイブリダイゼーション等の物質間の相互作用の場を提供するための領域又は空間として機能する。反応領域11は、図1等に示されたように、その左右に配置された所定容量の保水部2,2に連通している(例えば、図1参照)。
この反応領域11に対して、図2中に符号Dで示されたプローブDNAを含む水溶液が収容された状態とし、この状態でスイッチSがオンされることにより、一方の電極(例えば、図2の電極12や図3の電極15)の表面に向かって、プローブDNAは印加された電界Eにより伸長されながら誘電泳動の電気力学的効果によって移動(泳動)し、その末端部位が特異的に前記電極の表面に結合し固定化される。なお、好適な電界は高周波交流電界であり、その条件は、約1×10V/m、約100kHz〜100MHzである(例えば、Masao Washizu and Osamu Kurosawa:”Electrostatic Manipulation of DNA in Microfabricated Structures”,IEEE Transaction on Industrial Application Vol.26,No.26,p.1165-1172(1990)参照)。
なお、電極12(図2参照)や電極15(図3参照)のように、電極表面をDNAプローブ等の検出用物質Dが固定化される検出表面として機能させる場合には、例えば、予めプローブDNA等の検出用物質Dの末端を固定化できる表面処理を施しておくようにする。その固定方法としては、電極表面とプローブDNA(検出用物質Dの一例)の末端がカップリング反応等の反応によって固定されるようにしても良い。
例えば、ストレプトアビジンによって表面処理された電極表面の場合には、ビオチン化されたプローブDNA末端の固定に適している。あるいは、チオール(SH)基によって表面処理された電極表面の場合には、チオール基が末端に修飾されたプローブDNA等の検出用物質Dをジスルフィド結合(−S−S−結合)により固定することに適している。
続いて、電極表面(ここでは、電極12を例とする。)に固定化されたプローブDNA(図2中の符号D参照)が存在する反応領域11に対して、ターゲットDNAを含む水溶液を入れて、スイッチSをオンにして、反応領域11に電界Eを形成すると、ランダムコイル状に丸まった状態のターゲットDNAは、電界Eに沿って伸長されながら、電極12の表面近傍に集まる。
その結果、この電極12の表面近傍でのターゲットDNA濃度は高まるともに、伸長された高次構造により立体障害が少なくなるので、ハイブリダイゼーションの効率が高まる。なお、この場合も、好適な電界は高周波交流電界であり、その条件は、約1×10V/m、約100kHz〜100MHzである(例えば、Masao Washizu and Osamu Kurosawa:”Electrostatic Manipulation of DNA in Microfabricated Structures”,IEEE Transaction on Industrial Application Vol.26,No.26,p.1165-1172(1990)参照)。
非特許文献1参照)。
ここで、本発明では、検出部1の反応領域11と該反応領域11に連通する保水部2,2を、予め吸水性ゲルGで満たしておくようにする。この吸水性ゲルGは、網目構造となっているため水分を包み込む性質を有する。このため、保水部2,2から供給されるバッファー溶液の蒸発を抑えながら、水分を保水部2,2から反応領域11へスムーズに浸透させる役割を果たす。
また、電極12−13間(あるいは電極14−15間)に存在するプローブDNA等の高分子物質は、吸水性ゲルGの網目構造によって拡散速度が遅くなり、反応領域11内で分散し難くなる。従って、反応領域12中に収容されたプローブDNA等の高分子物質が、保水部2,2に流れ出してしまうことを有効に防止できる。
本発明で採用する吸水性ゲルGとしては、陰電荷を帯びる核酸や陽電荷を帯びるインターカーレータと反応しない非イオン性であるもの、あるいは反応領域11及び保水部2,2への投入時や使用時において、水素結合又は共有結合によるゲル化反応がないものか、該ゲル化反応が少ないものが望ましい。また、反応領域11及び保水部2,2への投入時には低粘度であり、使用時には高粘度であることが望ましい。このような性質の吸水性ゲルGを用いれば、ディスペンス法を用いて容易に当該ゲルGを反応領域11および保水部2,2に投入することが可能となる。
吸水性ゲルGの代表例を挙げると、非イオン性でチキソトロピー性を示すキサンタンガム、非イオン性で水素結合力が弱い性質を持つ超低融点アガロースを挙げることができる。
次に、図5に示す変形実施形態のように、反応領域11と保水部2に収容した吸水性ゲルGを、上層側の高濃度ゲルGと下層側の低濃度ゲルGの2層構造とすることもできる。例えば、下層側に濃度1%以下のゲルGを収容し、上層側に濃度3%以上のゲルGを収容する。
このような二層のゲル構造を採用することによって、上層側の高濃度ゲルGが下層側の低濃度ゲルGに蓋をする役割を果たし、水分の蒸発をより遅くすることができるので好ましい。
続いて、図6に示す別の変形実施形態では、既に説明した図5に示す実施形態と同様に、反応領域11と保水部2に収容した吸水性ゲルGを、上層側の高濃度ゲルGと下層側の低濃度ゲルGの2層構造としておいて、上層側の高濃度ゲルGに導電性粒子4を分散させている。
この導電性粒子4は、高濃度ゲルGの網目構造を塞いで、さらに水分蒸発を抑える働きをする。また、この導電性粒子Mは、補助電極の役目を果たすことによって、反応領域12に高濃度ゲルGを収容したことで電界Eが印加されにくくなってしまうのを防止する。
導電性粒子4としては、カーボン粒子、金属粒子等を採用できる。導電性粒子Mは、電界印加時にバッファー溶液中のイオンとの電気化学的な反応を防止するため、SiO、SiN、SiOC、SiC、SiOF、TiOなどの絶縁層で覆われているとより好適である。
続いて、図7に基づいて、本発明に係るバイオアッセイ用基板と本発明に係る水溶液供給方法の好適な実施形態について説明する。
本発明に係るバイオアッセイ用基板5では、ハイブリダイゼーション等の相互作用を検出するための上記検出部1を、円盤状基板上に多数配列させてある。円盤状基板の中央の孔6の周囲には、保水部7,7,7が配置されており、各保水部7,7,7から放射状をなすように外周側に延設された給水用の微細路8,8,8のそれぞれを介して、検出部1に付設された保水部2へ水分が補給される。なお、保水部7の数は、図示されたような3つに限定されず、1箇所又はそれ以上の複数を目的に応じて適宜採用可能である。
保水部7,7,7からそれぞれの微細路8,8,8への給水は、毛細管現象が好適に利用できる。あるいは、孔6に図示しないチャッキング部材を装着して円盤状基板を回転させることにより、遠心力を利用し、内周側から外周側へ向けて水溶液を流すようにしてもよい。
微細路8,8,8から各保水部2への給水は、既述したゲルG(G,G)の吸水性を利用すればよい。また、図7中のX部の拡大図である図8に示すように、ゲルG(G,G)以外にも透水性のポーラス材料等を微細路8と保水部2との連結部9に設置しておき、検出部1の反応領域11からバッファー溶液が微細路8内へ逆流しないようにしてもよい。
なお、保水部7,7,7への給水は、図示しないディスペンサーを用いて常時給水できる体制を整えておいてもよい。あるいは、保水部7,7,7の表面に自己シール性のフィルム等で蓋をし、先端がピンになっているディスペンサーで突き破って給水してもよい。この場合は、保水部7,7,7からの水分蒸発を防止することができ、複数回の水補給を行う必要もなくなるので好適である。
検出部1を構成する対向電極12,13や対向電極14,15への通電方法の一例を説明すると、まず、孔6の内周囲に露出するリング状の通電部10を設けておく。そして、この通電部10から導出された基板に延設された給電用配線(図示せず。)をすべての対向電極12,13(又は14,15)に接続させておき、前記通電部10に接触状態で孔6に挿着される通電治具(図示せず。)を介して、電圧を印加することができる。
なお、本発明に係るバイオアッセイ用基板5の検出部1の反応領域11中において進行した相互作用の検出は、例えば、電極12(図2参照)や電極15(図3参照)の表面に固定された検出用物質Dに予め標識されている蛍光物質や相互作用を示した生成物である二本鎖核酸に結合する蛍光インターカーレータ等に対して、所定波長の蛍光励起光を照射し、これを検出する公知の光学的検出手段(分光手段)によって、実施することができる。
本発明は、例えば、DNAチップを含むバイオアッセイ用の集積基板での相互作用検出技術として利用すれば、遺伝子の変異解析、SNPs(一塩基多型)分析、遺伝子発現頻度解析等を確実に、作業効率良く、高い検出精度で実施できる。
本発明に係る物質間の相互作用検出部(1)の基本的な実施形態を表す平面図である。 図1中のI−I線矢視縦断面図である。 反応領域(11)の底面に配置された対向電極(14、15)備える変形実施形態の縦断面図である。 反応領域(11)の上下に配置された対向電極の一方の電極(121)が面積狭小に形成された変形実施形態の縦断面図である。 濃度の異なる二層の吸水性ゲル(G,G)が反応領域(11)及び保水部(2,2)に収容された構成の変形実施形態の縦断面図である。 上層側の高濃度ゲル(G)に導電性粒子(4)が分散された構成の変形実施形態の縦断面図である。 本発明に係るバイオアッセイ用基板(5)の一実施形態を示す図である。 図7中のX部拡大図である。
符号の説明
1 物質間の相互作用検出部(略称、検出部)
2 (検出部に付設された)保水部
4 導電性粒子
5 バイオアッセイ用基板
7 (基板中央部に設けられた)保水部
8 微細路
11 反応領域
12,13 対向電極(上下配置)
14,15 対向電極(左右配置)
E 電界
G 吸水性ゲル
高濃度ゲル
低濃度ゲル

Claims (6)

  1. 物質間の相互作用の場となる反応領域と、
    該反応領域に収容された吸水性ゲルと、
    前記反応領域の上下に対向配置された電極と、
    前記反応領域に連通するように形成された保水部と、
    が設けられ
    前記反応領域に収容された前記吸水性ゲルは、上方の前記電極側に配置された高濃度吸水性ゲルと下方の前記電極側に配置された低濃度吸水性ゲルとから構成された積層ゲルからなり、
    前記高濃度ゲルには、絶縁層で覆われた導電性粒子が分散された物質間相互作用検出部。
  2. 前記相互作用は、ハイブリダイゼーションであることを特徴とする請求項1記載の物質間相互作用検出部。
  3. 請求項1または2に記載の物質間相互作用検出部が配設されたことを特徴とするバイオアッセイ用基板。
  4. 請求項1または2に記載の物質間相互作用検出部が、上方視円盤状の基板上に配設されており、
    該基板の中央部には前記検出部に連通する保水部が設けられたことを特徴とするバイオアッセイ用基板。
  5. 前記保水部に連通する微細路が基板上に放射状に形成され、該微細路から前記物質間相互作用検出部へ水溶液が供給されることを特徴とする請求項記載のバイオアッセイ用基板。
  6. 前記微細路と前記物質間相互作用検出部との連結部位には、前記水溶液を選択的に透過する部材が設けられていることを特徴とする請求項記載のバイオアッセイ用基板。
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