JP4403294B2 - 熱成形用積層シートの成形方法及びその成形体 - Google Patents

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Description

本発明は、輝度の高い鏡面状金属光沢を有する積層シート、特に自動車関連部材、建材部材、家電品等の外装塗装不要のシートとして有用な鏡面性に優れた成形用積層シートの成形法及びその成形体に関する。
一般に着色された樹脂成形部材を製造する場合、樹脂自体に顔料を練り込み、着色して射出成形等する方法のほか、成形した後、スプレー塗装等を施す方法がある。特に金属調の意匠を要求される場合は、顔料の練り込みの困難さ、顔料流れ跡が目立ちやすいなどの理由で、着色法より塗装法が採用されることが多い。塗装法の場合、塗膜を焼付け、架橋させれば、表面保護の効果も期待できる。しかしながら、現在の塗料は揮発性有機溶剤を用いるものが主流であるため、揮発性有機溶剤の排出に対する作業環境保護、外部環境保護の観点から、水系塗料あるいは粉体塗料を使用する等の無溶剤化が図られているが、金属調の意匠の表現は現状では困難である。これに対し、塗料を使用する代りに成形性支持樹脂層を積層した着色シートを、射出成形時に一体化して成形する方法が紹介されている。この方法によれば、金属調意匠の樹脂成形部材を無溶剤で製造することが可能である。
輝度の高い金属調の意匠性を有するシートとしては、アルミ蒸着したポリエチレンテレフタレートフィルムやポリプロピレンフィルム等をドライラミネートした積層シートが知られている。また、鱗片状でかつ表面が平滑なアルミニウム粒子を含有するアクリレート系エマルジョン層を有する積層シートが記載されている(例えば特許文献1参照)。
しかしながら、これらのシートは平面として金属調意匠を有しているものの、蒸着面に展延性が十分にないため、真空成形またはインモールド成形等の成形加工を施した場合に、割れや光沢のムラを生ずる等、金属調の装飾層の意匠性の保持が不十分であった。
また、金属薄膜細片を結着樹脂ワニス中に分散したインキ皮膜を有する積層シートを用いることが提案されている(例えば特許文献2参照)。この方法によれば、確かに金属調の意匠性を持つシートが作成可能でかつ熱成形時の展延性を改善することができる。しかしながら、実施例に記載されている光沢値以上の鏡面状金属光沢を有する領域では、賦形された成形体の光沢値は、シート自体の持つ高い光沢値に比較すると大幅に低下するという問題があった。
特開平5−111991号公報 特開2004−35849
本発明の課題は、熱成形可能な鏡面状金属光沢を持つ成形用積層シートの本来の光沢値を高い保持率で保持し、かつ型再現性良く成形する成形方法と該成形方法により得られる成形体及び得られた成形体に樹脂を一体成形した成形体(以下、加飾成形体と言う。)を提供することにある。
本発明者らは上記課題を解決するために鋭意検討した結果、熱可塑性フィルム層と、金属薄膜細片と結着樹脂を含有し金属調の光沢を有する装飾層と支持基材層とを有するシートを熱成形する際に、該シートが賦形される直前の状態においてすでに光沢値が低下していること、通常の真空成形では賦形が出来ない低温度域では光沢値低下が小さいこと、光沢値の低下が極めて低い温度範囲で強い力により賦形を行うことで光沢値低下の極めて少ない成形体が作製出来ること、また、該成形体を使って一体射出成形等を行っても得られた加飾成形体は輝度の高い鏡面状金属光沢を維持していることを見いだし本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、熱可塑性フィルム層と、金属薄膜細片と結着樹脂を含有し金属調の光沢を有する装飾層と支持基材層とを有し、かつ加熱により光沢値が低下する積層シートを、光沢値が、初期光沢値の90%以上を保持する温度範囲で成形することを特徴とする熱成形用積層シートの成形方法を提供する。
また、本発明は、上記熱成形用積層シートの成形方法により得られる成形体及び該成形体に樹脂を一体成形して得られる加飾成形体を提供する。
本発明の製造方法により、光沢値の高い鏡面状金属光沢の意匠性を与える加飾成形体を提供することができる。
以下に本発明に用いられる熱成形用積層シートの成形方法、該成形方法により得られた成形体及び該成形体を用いて作られた加飾成形体について詳述する。
(熱可塑性フィルム層)
本発明に用いる熱成形用積層シートの熱可塑性フィルム層としては、単層又は多層フィルムであって、加熱により展延性を有する熱可塑性フィルムが用いられる。着色剤を含有してもよいが、装飾層の意匠性を増すためには、熱可塑性フィルムは透明か半透明であることが好ましい。
真空成形等の熱による成形工程を行うため、軟化点が50〜300℃の範囲である熱可塑性樹脂を主体とするフィルムが好ましく、例を挙げれば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート、環状オレフィン/エチレン共重合体、ポリブチレンテレフタレート、アクリル樹脂、シリコン−アクリル樹脂、アイオノマー、ポリスチレン、ポリウレタン、ナイロン、エチレン−ビニルアルコール、ポリビニルクロライド、ポリビニリデンクロライド、ポリビニルフルオネート、ポリビニリデンジフルオネート、ポリカーボネート樹脂等の熱可塑性樹脂が好ましく用いられる。これらの中でも、一体成形可能性、耐候性の点から、ポリビニリデンジフルオネート、ポリカーボネート樹脂またはアクリル系樹脂を主成分とするフィルムが好ましい。厚みは特に制限しないが、インキ保護層の塗工性が良好なことから、30〜2000μmの範囲が好ましく、より好ましくは50〜500μmである。
(高輝性インキ)
本発明に用いられる熱成形用積層シートの金属薄膜細片と結着樹脂を含有し金属調の光沢を有する装飾層はインキ層であることが好ましい。
インキ層に用いるインキは、金属薄膜細片を結着樹脂中に分散した、鏡面状金属光沢を有するインキ(以下、高輝性インキと言う。)が用いられる。金属薄膜細片のインキ中の不揮発分に対する含有量は3〜60質量%の範囲であることが好ましい。金属薄膜細片を使用した高輝性インキは、該インキを印刷又は塗布した際に金属薄膜細片が被塗物表面に対して平行方向に配向する結果、従来の金属粉を使用したメタリックインキでは得られない高い光沢値を有する高輝度の鏡面状金属光沢が得られる。
(金属薄膜細片)
インキ層に使用する高輝性インキに用いられる金属薄膜細片の金属としては、アルミニウム、金、銀、銅、真鍮、チタン、クロム、ニッケル、ニッケルクロム、ステンレス等を使用することができる。金属を薄膜にする方法としては、アルミニウムのように融点の低い金属の場合は蒸着、アルミニウム、金、銀、銅など展性を有する場合は箔、融点が高く展性も持たない金属の場合は、スパッタリング等を挙げることができる。これらの中でも、蒸着金属薄膜から得た金属薄膜細片が好ましく用いられる。金属薄膜の厚さは、0.01〜0.1μmが好ましく、さらに好ましくは0.02〜0.08μmである。インキ中に分散させる金属薄膜細片の面方向の大きさは、5〜25μmが好ましく、さらに好ましくは10〜15μmである。大きさが5μm未満の場合は、塗膜の輝度が不十分となり、25μmを超えると金属薄膜細片が配向しにくくなるので輝度が低下するほか、インキをグラビア方式あるいはスクリーン印刷方式で印刷又は塗布する場合に、版の目詰まりの原因となる。
以下に金属薄膜細片の作成方法を、特に好ましい蒸着法を例として説明する。金属を蒸着する支持体フィルムには、ポリオレフィンフィルムやポリエステルフィルムなどを使用することができる。まず支持体フィルム上に塗布によって剥離層を設けた後、剥離層上に所定の厚さになるよう金属を蒸着する。蒸着膜面には、酸化を防ぐためトップコート層を塗布する。剥離層およびトップコート層形成用のコーティング剤は同一のものを使用することができる。
剥離層、あるいはトップコート層に使用する樹脂は、特に限定されない。具体的にはたとえば、セルロース誘導体、アクリル樹脂、ビニル系樹脂、ポリアミド、ポリエステル、EVA樹脂、塩素化ポリプロピレン、塩素化EVA樹脂、石油系樹脂等を挙げることができる。また溶剤としては、トルエン、キシレン等の芳香族系炭化水素、n−ヘキサン、シクロヘキサン等の脂肪族または脂環式炭化水素、酢酸エチル、酢酸プロピル等のエステル類、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール等のアルコール類、アセトン、メチルエチルケトン等のケトン類、エチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル等のアルキレングリコールモノアルキルエーテル等を使用することができる。
上記金属蒸着フィルムを、剥離層およびトップコート層を溶解する溶剤中に浸積して撹拌し、金属蒸着膜を支持体フィルムから剥離した後、さらに撹拌して金属薄膜細片の大きさを約5〜25μmとし、濾別、乾燥する。溶剤は、剥離層あるいはトップコート層に使用する樹脂を溶解するものであること以外に、特に限定はない。金属薄膜をスパッタリングで作成した場合も、上記と同様の方法で金属薄膜細片とすることができる。金属箔を用いる場合は、溶剤中でそのまま攪拌機で所定の大きさに粉砕すればよい。
金属薄膜細片は、インキ中における分散性を高めるために表面処理するのが好ましい。表面処理剤としては、ステアリン酸、オレイン酸、パルミチン酸等の有機脂肪酸、メチルシリルイソシアネート、ニトロセルロース、セルロースアセテートプロピオネート、セルロースアセテートブチレート、エチルセルロース等のセルロース誘導体が挙げられ、公知慣用の方法で金属薄膜細片表面に吸着させる。
(結着樹脂)
結着樹脂は、従来のグラビアインキ、フレキソインキ、スクリーンインキ、あるいは塗料等に通常使われているものを用いることができる。具体的にはたとえば、塗料用アクリル樹脂、塩化ビニル樹脂、塩化ビニリデン樹脂、塩化ビニル−酢ビ樹脂、エチレン−酢ビ樹脂、ポリオレフィン樹脂、塩素化オレフィン樹脂、エチレン−アクリル樹脂などの重合系樹脂、あるいは塗料用ポリウレタン樹脂、ポリアミド樹脂、ウレア樹脂、エポキシ樹脂、ポリエステル樹脂、石油系樹脂、セルロース誘導体樹脂等が好ましく用いられる。また、これらの樹脂にカルボン酸基、燐酸基、スルホン酸基、アミノ基、四級アンモニウム塩基などの極性基を化学的に結合させたものを使用、または併用してもよい。
(添加剤)
インキ層に使用する高輝性インキには、必要に応じて、意匠性、展延性を阻害しない限り、インキ中に消泡、沈降防止、顔料分散、流動性改質、ブロッキング防止、帯電防止、酸化防止、光安定性、紫外線吸収、内部架橋等を目的として、従来のグラビアインキ、フレキソインキ、スクリーンインキ、あるいは塗料等に使用されている各種添加剤を使用することができる。このような添加剤としては、着色用顔料、染料、ワックス、可塑剤、レベリング剤、界面活性剤、分散剤、消泡剤、キレート化剤、ポリイソシアネート等を挙げることができる。
(溶剤)
インキ層に使用する高輝性インキに用いられる溶剤は、従来のグラビアインキ、フレキソインキ、スクリーンインキ、あるいは塗料等に使われている公知慣用の溶剤を使用することができる。具体的にはたとえば、トルエン、キシレン等の芳香族系炭化水素、n−ヘキサン、シクロヘキサン等の脂肪族または脂環式炭化水素、酢酸エチル、酢酸プロピル等のエステル類、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール等のアルコール類、アセトン、メチルエチルケトン等のケトン類、エチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル等のアルキレングリコールモノアルキルエーテル等を挙げることができる。
(高輝性インキの調製方法)
一般にインキの配合原料を安定して分散させるには、ロールミル、ボールミル、ビーズミル、あるいはサンドミル等を使用して練肉することにより、顔料その他添加剤をサブミクロンまで微粒子化する。しかし、本発明の成形に使用される鏡面性に優れた熱成形用積層シートのインキ層に使用する高輝性インキに、金属光沢を発現させるために配合する金属薄膜細片は5〜25μmの大きさが好ましい。上記練肉を行った場合は金属薄膜細片が微粒子化してしまい、金属光沢が極端に低下する。したがって、本発明においては練肉は行わず、単に上記配合原料を混合してインキとすることが望ましい。そのためには、分散性を向上させる目的で、前記したように金属薄膜細片を表面処理しておくことが好ましい。
(印刷または塗工方法)
本発明の成形用積層シートのインキ層、該インキ層にさらに積層してもよいインキ、および接着剤の印刷又は塗工方式は、グラビア印刷、フレキソ印刷、スクリーン印刷等の印刷方式、グラビアコーター、グラビアリバースコーター、フレキソコーター、ブランケットコーター、ロールコーター、ナイフコーター、エアナイフコーター、キスタッチコーター、キスタッチリバースコーター及びコンマコーター、コンマリバースコーター、マイクログラビアコーター等の塗工方式を用いることが出来る。インキの膜厚は薄すぎると隠蔽性に劣り意匠性が損なわれる傾向があり、厚すぎると金属薄膜細片の配向が非均一に成りやすい。このため、インキ層の膜厚としては、5μm以下が好ましく、0.05〜5μmがより好ましく、特に好ましくは0.5〜3μmである。
(支持基材層)
本発明の熱成形用積層シートは熱成形による変形に対する形態保持性を向上させるため、熱可塑性フィルム層と、装飾層と支持基材層の構成を有する。
支持基材層を構成する熱可塑性樹脂は、軟化点が30〜300℃の範囲である熱可塑性樹脂を主体とするフィルムが好ましく、この様な熱可塑性樹脂としては、良好な賦形性を有する樹脂が好ましい。例えば、アクリロニトリル/ブタジエン/スチレン(ABS)樹脂、アクリロニトリル/アクリルゴム/スチレン(AAS)樹脂、アクリロニトリル/エチレンゴム/スチレン(AES)樹脂、ポリエチレン(PE)系樹脂、ポリプロピレン(PP)系樹脂、塩ビ系(PVC)系樹脂、環状オレフィン/エチレン共重合体等の樹脂、並びにオレフィン系エラストマー(TPO)、塩ビ系エラストマー(TPVC)、スチレン系エラストマー(SBC)、ウレタン系エラストマー(TPU)、ポリエステル系エラストマー(TPEE)、ポリアミド系エラストマー(TPAE)等の熱可塑性エラストマー(TPE)等を用いることができる。これらの中でも、自動車外装部品を代表とする複雑な形状を有する樹脂部品などへの接着性が優れていることから、支持基材層としてポリプロピレン系樹脂やポリエチレン系樹脂及びそれらのブレンド品やAAS樹脂、ABS樹脂等がより好ましく使用される。これらの樹脂には衝撃強度等の改良を目的としてEPR、SBS、SEBS等のゴム系改質剤を添加しても構わない。厚みは特に制限しないが、支持基材層の厚みは10μm〜2000μmが好ましい。
支持基材層がない場合は、熱成形用積層シートを熱成形する際に、熱により装飾層に変形がおこりやすくなり、シワ等が発生するなどにより熱成形用積層シートの光沢値が著しく低下する。
(無機フィラー)
本発明の熱成形方法により熱成形用積層シートは熱成形され三次元形状の成形体となる。このとき支持基材層とその上に積層された熱可塑性フィルム層に使用される熱可塑性樹脂の成形収縮率が異なると成形体に変形が起こり良好な形状を保つことが出来ない。この場合支持基材層の樹脂に無機フィラーを添加すると、成形収縮率を小さく制御することができ、支持基材層とインキ層との成形収縮率の差を調節できるため、成形及び成形後の変形を防ぐことが可能となる。
しかし、無機フィラーの粒径が大きいと、支持基材層の表面に凹凸が生じ、その上に積層されているインキ層にも凹凸が影響する。支持基材層に凹凸があると、インキ層に含有されている金属薄膜細片が基材層に略平行に配向することが困難になり、配向に乱れが生じる。このため金属薄膜細片による金属光沢が損ねられる。
特に限定はしないが、インキ層の下地である支持基材層は平滑性が要求されるため、添加する無機フィラーの平均粒径は4μm以下であり、好ましくは2μm以下である。
無機フィラーの支持基材層の樹脂への添加量は、成形加工性と成形収縮率のバランスの点から5質量%〜60質量%が好ましい。
本発明で使用する無機フィラーの種類は特に限定はされないが、タルク、炭酸カルシウム、クレー、珪藻土、マイカ、珪酸マグネシウム、及びシリカ等が上げられる。
(支持基材層中の着色剤)
支持基材層に着色剤を含有させると、加飾成形体の下地色の隠蔽性が良好となるので好ましい。用いる着色剤は、特に限定されず、目的とする意匠に合わせて、一般の熱可塑性樹脂の着色に使用される慣用の無機顔料、有機顔料および染料などが使用できる。例えば、酸化チタン、チタンイエロー、酸化鉄、複合酸化物系顔料、群青、コバルトブルー、酸化クロム、バナジウム酸ビスマス、カーボンブラック、酸化亜鉛、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、シリカ、タルク等の無機顔料;アゾ系顔料、フタロシアニン系顔料、キナクリドン系顔料、ジオキサジン系顔料、アンスラキノン系顔料、イソインドリノン系顔料、イソインドリン系顔料、ペリレン系顔料、ペリノン系顔料、キノフタロン系顔料、チオインジゴ系顔料及びジケトピロロピロール系顔料等の有機顔料;金属錯体顔料などが挙げられる。また染料としては主として油溶性染料のグループから選ばれる1種または2種を使用することが好ましい。
基材層に配合される着色剤の添加量は、着色剤の種類や目的とするシートの厚みや色調により異なるが、色相や下地色の隠蔽性を確保し、かつ衝撃強度を維持するために、着色層を構成する樹脂に対して0.1〜20質量%の範囲であることが好ましく、より好ましくは0.5〜15質量%の範囲である。20質量%を超えて着色剤を添加すると、衝撃強度が低下し、着色剤の添加量が0.1%未満であると色相や下地色の隠蔽性が十分でない傾向にある。
(インキ保護層)
本発明の成形に使用される鏡面性に優れた熱成形用積層シートには、透明または半透明熱可塑性フィルムとインキ層との間に耐熱性、耐溶剤性、意匠性、耐候性等を向上させる目的でインキ保護層を一層以上設けても良い。インキ保護層に使用できる樹脂の種類については、展延性を阻害しない限り特に制限はないが、架橋密度の調整の容易さ、耐候性、透明熱可塑性フィルムとの接着性などの点から、アクリル系樹脂が好ましい。 架橋機構についても特に制限はなく、アクリル系樹脂の場合、UV硬化、EB硬化、水酸基含有共重合体/イソシアネート硬化、シラノール/水硬化、エポキシ/アミン硬化などが使用できるが、架橋密度の調整の容易さ、耐候性、反応速度、反応副生物の有無、製造コストなどの点から、水酸基含有共重合体/イソシアネート硬化が好ましい。
また、インキ保護層は、意匠性を付与するために着色層とすることもできる。その場合の着色剤の添加量は、着色剤の種類及び目的とする色調や保護層の厚みにより異なるが、鏡面状金属光沢を有するインキ層を隠蔽しないように保護層の全光線透過率は20%以上であることが好ましく、特に全光線透過率が40%以上であることがより好ましい。
該着色剤としては、顔料が好ましい。用いる顔料は特に限定されず、着色顔料、メタリック顔料、干渉色顔料、蛍光顔料、体質顔料および防錆顔料などの公知慣用の顔料を使用することができる。
着色顔料としては、例えば、キナクリドンレッド等のキナクリドン系、ピグメントレッド等のアゾ系、フタロシアニンブルー、フタロシアニングリーンおよびペリレンレッド等のフタロシアニン系等の有機顔料;酸化チタンやカーボンブラック等の無機顔料が挙げられ、メタリック顔料としては、例えば、アルミニウム粉、ニッケル粉、銅粉、真鍮粉およびクロム粉等が挙げられる。
干渉色顔料としては、真珠光沢状のパールマイカ粉や真珠光沢状の着色パールマイカ粉等を挙げられ、蛍光顔料としては、キナクリドン系、アンスラキノン系、ペリレン系、ペリノン系、ジケトピロロピロール系、イソインドリノン系、縮合アゾ系、ベンズイミダゾロン系、モノアゾ系、不溶性アゾ系、ナフトール系、フラバンスロン系、アンスラピリミジン系、キノフタロン系、ピランスロン系、ピラゾロン系、チオインジゴ系、アンスアンスロン系、ジオキサジン系、フタロシアニン系およびインダンスロン系等の有機顔料や、ニッケルジオキシンイエローや銅アゾメチンイエロー等の金属錯体や、酸化チタン、酸化鉄および酸化亜鉛等の金属酸化物や、硫酸バリウムや炭酸カルシウム等の金属塩や、カーボンブラック、アルミニウムおよび雲母等の無機顔料が挙げられる。
また着色剤を含む熱可塑性樹脂シート(C)には、その衝撃強度や成形性が損なわれない範囲で、可塑剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、耐電防止剤、難燃剤および滑剤等の添加剤を配合してもよく、これらの添加剤は単独で使用しても2種類以上を併用してもよい。
(積層)
本発明の成形法で用いる積層シートは、熱可塑性フィルム層と、金属薄膜細片と結着樹脂を含有し金属調の光沢を有する装飾層と、支持基材層とがこの順に積層された積層シートが好ましい。
装飾層と支持基材層は、接着剤層を介して積層することができるが、接着方法としては慣用の溶剤型接着剤を用いたドライラミネーション法、ウエットラミネーション法、ホットメルトラミネーション法等で積層シートにすることが出来る。
接着剤を構成する成分は、慣用のフェノール樹脂系接着剤、レゾルシノール樹脂系接着剤、フェノール−レゾルシノール樹脂系接着剤、エポキシ樹脂系接着剤、ユリア樹脂系接着剤、ポリウレタン系接着剤およびポリアロマチック系接着剤等の熱硬化性樹脂接着剤やエチレン不飽和カルボン酸等を用いた反応型接着剤、酢酸ビニル樹脂、アクリル樹脂、エチレン酢酸ビニル樹脂、ポリビニルアルコール、ポリビニルアセタール、塩化ビニル、ナイロン及びシアノアクリレート樹脂等の熱可塑性樹脂系接着剤やクロロプレン系接着剤、ニトリルゴム系接着剤、SBR系接着剤及び天然ゴム系接着剤等のゴム系接着剤等が挙げられる。特にアクリル樹脂とポリプロピレン系樹脂の接着性が良好でありかつ真空成形時の伸びの追随性が良好なことから、アクリルウレタン系の接着剤が好ましい。
これら接着剤の塗工方式は、グラビアコーター、グラビアリバースコーター、フレキソコーター、ブランケットコーター、ロールコーター、ナイフコーター、エアナイフコーター、キスタッチコーター、コンマコーター等を用いることが出来る。
接着剤の塗布量は、接着力が十分で、乾燥性も良好なためには、0.1〜30g/mの範囲が好ましく、特に好ましくは2〜10g/mである。
2g/mより少なすぎると接着力が弱くなり、10g/mより多すぎると乾燥性が低下する。接着剤層の厚さとしては、0.1〜30μmの範囲が好ましく、より好ましくは、1〜20μm、特に好ましくは、2〜10μmである。
また、支持基材層の接着面は、接着材との親和性を向上させる目的で、プラズマ処理、コロナ処理、フレーム処理、電子線照射処理、粗面化処理、オゾン処理、等の表面処理、真空蒸着、スパッタリング、イオンプレーティング等のドライプレーティング処理が施されても良い。
(粘着剤)
また、接着剤層に代えて、粘着剤層を設けることも出来る。粘着剤としては、アクリル系、ゴム系、ポリアルキルシリコン系、ウレタン系、ポリエステル系等が好ましく用いられる。
(表面保護層)
本発明の熱成形用積層シートでは、成形の際の表面層側に、意匠性、耐摩擦性、耐擦傷性、耐候性、耐汚染性、耐水性、耐薬品性及び耐熱性等の性能を付与するために、透明、半透明若しくは着色クリアのトップコート層を1層以上設けることができる。トップコート剤としては熱成形用積層シートの展延性を阻害しない限り、ラッカータイプ、イソシアネート又はエポキシ等による架橋タイプ、UV架橋タイプ又はEB架橋タイプが好ましく用いられる。
(シートの加工)
本発明の成形に使用される熱成形用積層シートは各種成形法の表面層として用いることが出来る。例を挙げると、透明又は半透明の熱可塑性フィルムを金型と反対面に配置し、熱成形により三次元形状を有する成形体とした後、射出成形金型内の雌型側にインサートし、射出樹脂と一体化するインサート射出成形法等で成形して加飾成形体を得ることが出来る。
熱成形法としてはマッチモールド成形、圧空成形、真空圧空成形等が好ましく用いられる、なかでもマッチモールド成形や超高圧での成形が可能な圧空成形が低温での成形においても型再現性に優れていることからより好ましい。
シートの加熱に間接加熱を用いる場合の設定条件は、特に制限されるものでは無いが、遠赤外線ヒーターを用いた場合、ヒーター温度で200〜500℃、間接加熱時間5〜30秒程度とすることが一般的であるが、賦形される直前の、本発明の成形に使用される鏡面性に優れた熱成形用積層シートの光沢値は、熱成形時に大きな光沢低下を起こさせ無いようにするため、初期光沢値の90%以上であることが好ましく、93%以上を保持していることがより好ましい。
シートの加熱に接触式の熱板を用いた加熱を行う場合、その熱板温度はシートの構成により異なるが、本発明の成形に使用される熱成形用積層シートの光沢値が初期光沢値の90%以上を保持する温度であることが好ましく、93%以上を保持することが可能な温度範囲にすることがより好ましい。
金型温度は成形品の変形や収縮度合いを確認しながら決める必要があるが、20〜100℃、金型による冷却時間は5〜300秒が好ましい。また、金型によるシートの冷却を行う場合、温度を固定する必要はなく、例えば100℃等から20℃等へ変化させても構わない。
(インサート射出成形)
次に、得られた成形体をその鏡面状金属光沢を有する面が雌金型に接するように金型内に配置し、前記成形体の裏面に接着可能な熱可塑性樹脂を射出成形することにより一体成形する(インサート射出成形)。射出樹脂の樹脂温度は特に制限されるものではないが、ポリプロピレン系樹脂、ABS系樹脂等の熱可塑性樹脂であれば、射出可能な180〜250℃程度が好ましい。金型温度は雄型、雌型共に20〜80℃程度が好ましいが、射出成型品に反り等が発生する場合は雄型及び雌型に温度勾配を付け、修正をすることが必要となる。
インサート射出成形工程により一体成形して得られた加飾成形体の光沢値は、インサート射出成形前の成形体で得られた光沢値とほぼ変わらず、高い保持率を示す。特にインサート成形による光沢値の低下を抑制するためには、上記のインサート射出成形時の好ましい射出温度及び金型温度を採用することが好ましい。
(マッチモールド成形)
本発明の熱成形用積層シートの成形方法に使用する熱成形法の一つに、一対の雄雌型からなるマッチモールド型を用いるマッチモールド成形がある。このマッチモールド成形は、加熱ゾーンで加熱されたシートを挟むようにして雌型と雄型をマッチングさせることにより成形を行うことを特徴とする。ここで用いられる金型には通常金型内の空気の逃げ道としての真空口が設けられているが、この穴を用いて補助的に真空吸引を行っても構わない。光沢値低下が始まる前後の剛性が高く熱変形が小さい状態のシートをマッチモールド成形することで、成形前の熱成形用積層シートに近い高光沢の鏡面状金属光沢を維持した成形体が成形可能である。
マッチモールド成形の設定条件は、特に制限されるものでは無いが遠赤外線ヒーターを用いた場合、ヒーター温度で200〜500℃、間接加熱時間5〜30秒程度とし加熱を行うが、加熱されるシートの温度は、賦形される直前の鏡面性に優れた熱成形用積層シートの光沢値を初期光沢値の90%以上に保持することができる温度を設定する必要がある。この際の温度条件は、熱可塑性フィルム層にPMMAやPC、PET等の非晶状態の樹脂を使用する場合、熱可塑性フィルム層のJISK7121に示されるプラスチックの転移温度測定法で測定されるガラス転移温度(以下、Tgと言う。)+10℃以下であることが好ましく、より好ましくはTg+5℃以下である。一方、成形体の型再現性が良好になることから加熱されるシートの温度はTg−15℃以上が好ましく、より好ましくはTg−5℃以上である。熱板に直接接触させてシートを加温する場合は、加熱したい温度よりも3〜30℃程度高い温度まで熱板を加熱すると短時間でシートの昇温が可能となるため好ましい。
本発明で使用する熱成形用積層シートの光沢が初期光沢値の90%以上となるような温度領域ではシートの剛性が高くシートが伸び難いため、強いクランプ力で金型内にシートが引きずり込まれ無いように注意する必要がある。金型温度は成形体の外観や収縮度合いを確認しながら決める必要があるが20〜100℃、マッチモールド金型による冷却時間は5〜600秒が好ましい。
(圧空成形、圧空真空成形)
本発明の熱成形用積層シートの成形方法の一つに、雄型または雌型を用いて賦形を行う圧空成形、圧空真空成形がある。これらの成形法は、シートを間接加熱若しくは熱板に直接接触させ加熱されたシートを、0.2〜30Mpaに加圧された流動性加圧媒体を用いて成形することを特徴とする。ここで用いられる流動性加圧媒体は一般的には空気が用いられるが、窒素やヘリウム等も用いることが出来る。使用される金型には通常金型内の空気等の逃げ道としての真空口が設けられているが、この穴を用いて補助的に真空吸引を行っても構わない。圧空成形、圧空真空成形は、機械的な力で成形を行うマッチモールド成形に比べると賦形圧力が弱い傾向にあるため、なるべく高い圧力で成形することが好ましい。尚、設定条件等はマッチモールド成形法に準じて設定すればよい。
(鏡面状金属光沢及び光沢保持率)
本発明の熱成形用積層シートの成形方法は、成形前の熱成形用積層シートの光沢値を高い保持率で保持することができる。尚、本発明で使用する光沢値は、JIS−K7105に準拠した20°グロスを測定法で求められる値に基づくものとする。成形前の熱成形用積層シートの光沢値に対する、成形後の成形体の光沢値を上記方法で測定し、下記式で光沢保持率(%)を定義した。
Figure 0004403294
本発明の成形方法では好ましくは80%以上の光沢値保持率を得ることができる。更に好ましくは90%以上を得ることができる。
また、鏡面状金属光沢を呈するのは、上記光沢値が600%以上であることが好ましく、800%以上であることがより好ましく、1000%の光沢値であることがより更に好ましい。
このため、成形体が高い鏡面状金属光沢を呈するためには、本発明の成形法に供する熱成形用積層シートの初期光沢値は、900%以上であることが好ましく、1000%以上がより好ましく、1200%以上が更に好ましい。
また、本発明の成形法により得られる成形体の光沢値は、800%以上であることが好ましく、より好ましくは900%以上であることが好ましく、更に好ましくは1000%以上である。
以下に具体例をもって本発明を説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。尚、実施例及び比較例における物性評価は下記の測定法または試験法にて行った。また、実施例中の「部」及び「%」は、いずれも質量基準によるものとする。
(シート光沢値評価法)
シートの光沢値は、JIS−K7105に準拠し、入射角20°、受光角20°とした、20°グロス測定法で求めた。尚、光沢計は日本電色社製VGS−300Aを使用した。
(光沢値の評価方法)
光沢値は、20°グロスをJIS−K7105に準拠した測定法で行った。
(成形体の光沢値評価法)
成形体の光沢値は、熱成形法による台形状成形体の天面の20°グロスをJIS−K7105に準拠した測定法で行った。この際使用した台形状金型は雌型が間口120×90mm、底部66×51.7mm、深さ25mmであり、雄型が間口120.3×90.5mm、底部66.6×52.3mm、深さ25mmであり、マッチモールド成形時は雄雌の両金型を用い成形を行い、圧空成形時には雌型のみを用いて成形を行った。シートは雌型面にシート鏡面側である熱可塑性フィルム層が来るように配置し、また、得られた台形状成形体の鏡面側の凸面を天面とし評価を行った。また、熱成形用積層シートを成形したところ天面の展開率はマッチモールド型で成形を行った場合は約110%、圧空成形法で成形を行った場合は約130%であった。なお、ここでいう展開率は、元の面積に比して全体の面積が1.3倍になった場合を130%として表した。
(鏡面状金属光沢を有する積層シートの作製)
(1)アルミニウム薄膜細片
ニトロセルロース(HIG7)を、酢酸エチル:イソプロピルアルコール=6:4の混合溶剤に溶解して6%溶液とした。該溶液を、スクリーン線数175線/インチ、セル深度25μmのグラビア版でポリエステルフィルム上に塗布して剥離層を形成した。十分乾燥した後、剥離層上に厚さが0.04μmとなるようにアルミニウムを蒸着し、蒸着膜面に、剥離層に使用したものと同じニトロセルロース溶液を、剥離層の場合と同じ条件で塗布し、トップコート層を形成した。
上記蒸着フィルムを、酢酸エチル:イソプロピルアルコール=6:4の混合溶剤中に浸積してポリエステルフィルムからアルミニウム蒸着膜を剥離したのち、大きさが約150μmとなるよう攪拌機でアルミニウム蒸着膜を粉砕し、アルミニウム薄膜細片を調製した。
(2)アルミニウム薄膜細片スラリー
アルミニウム薄膜細片 10部
酢酸エチル 35部
メチルエチルケトン 30部
イソプロピルアルコール 30部
上記を混合し、撹拌しながら、下記組成のニトロセルロース溶液5部を加えた。
ニトロセルロース(HIG1/4) 25%
酢酸エチル:イソプロピルアルコール=6:4混合溶剤 75%
上記混合物を、温度を35℃以下に保ちながら、ターボミキサーを使用して、アルミニウム薄膜細片の大きさが5〜25μmになるまで攪拌し、アルミニウム薄膜細片スラリー(不揮発分10%)を調製した。
(3)表面保護層及びインキ保護層
(水酸基含有共重合体)
温度調節器、窒素導入管、滴下装置(2基)、撹拌装置を備え付けた反応容器に酢酸ブチル850部、パーブチルZ(商品名、日本油脂株式会社製、t−ブチルパーオキシベンゾエート)1部を仕込み、窒素置換後、110℃まで1.5時間かけて昇温した。
別途、メチルメタクリレート660部、t−ブチルメタクリレート150部、2−ヒドロキシエチルメタクリレート190部をよく混合した溶液(以下モノマー溶液と表記)と酢酸イソブチル200部、パーブチルO(商品名、日本油脂株式会社製、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート)9部、パーブチルZ(商品名、日本油脂株式会社製、t−ブチルパーオキシベンゾエート)2部をよく混合した溶液(以下、触媒溶液と表記する。)、それぞれを滴下装置に仕込み、直ちに窒素置換した。
窒素雰囲気下で反応容器内に前述のモノマー溶液と触媒溶液を反応温度の急激な上昇がないように監視しつつ、5時間かけて滴下した。滴下終了後、約15時間攪拌を続けた結果、固形分含有率60%の樹脂組成物(O−1)を得た。得られた樹脂の重量平均分子量は100,000、固形分の水酸基価は79KOHmg/g、Tgは95℃であった。
(ポリイソシアネート化合物)
「BURNOCK DN−981」(商品名、大日本インキ化学工業株式会社製、イソシアヌレート環含有ポリイソシアネート、数平均分子量約1000、不揮発分75%(溶剤:酢酸エチル)、官能基数3、NCO濃度13〜14%)をポリイソシアネート化合物とする。
(表面保護層及びインキ保護層)
上記水酸基含有共重合体と、ポリイソシアネート化合物を1:1の割合で配合、混合し、表面保護層及びインキ保護層用溶液を調製した。
但し、重量平均分子量はGPC測定結果のポリスチレン換算値である。
固形分の測定は、アルミ皿に試料1gを採り、トルエンにて薄く均一に拡げた後風乾し、更に108℃の熱風乾燥機中で1時間乾燥し、乾燥後の重量より算出した。
水酸基価は、モノマー仕込み組成よりKOH中和量として算出し、ポリマーTgはDSCにより、酸価は0.05mol・dm−3水酸化カリウム−トルエン溶液滴定法により測定した。
(4)インキ
(インキ調製)
アルミニウム薄膜細片スラリー(不揮発分10%) 30部
結着樹脂 カルボン酸含有塩ビ−酢ビ樹脂 3部
(UCC社製「ビニライト VMCH」)
カルボン酸含有ウレタン樹脂 7部
(大日本インキ化学製「タイホフォースNT810−45」不揮発分45%)
酢酸エチル 23部
メチルエチルケトン 26部
イソプロパノール 10部
上記を混合し、不揮発分中のアルミニウム薄膜細片濃度35質量%であるインキを調製した。
(5)接着剤
二液型のポリエステルウレタン系接着剤(大日本インキ化学工業株式会社製「ELX−1004」と「KR−90」の二液混合型接着剤)を8:2の割合で混合し接着剤を調整した。
(6)支持基材層
支持基材層として住友化学社製低密度ポリエチレン(スミカセンF101−1)を押出機ホッパーより投入し、加工温度200℃にてTダイから押出成形し、40℃に加熱されたキャストロールを通した後、巻き取り、無延伸原反シート(支持基材層A)を製造した。
次に住友化学社製ランダムPP(ノーブレンFS3611)を押出機ホッパーより投入し、加工温度200℃にてTダイから押出成形し、40℃に加熱されたキャストロールを通した後、巻き取り、無延伸原反シート(支持基材層B)を製造した。
次に日本A&L社製ABS(クララスチックMTH−2)を押出機ホッパーより投入し、加工温度240℃にてTダイから押出成形し、100℃に加熱されたキャストロールを通した後、巻き取り、無延伸原反シート(支持基材層C)を製造した。
(7)熱可塑性フィルム層
熱可塑性フィルム層として透明で表面光沢値が140%、鉛筆硬度H、Tg104℃(JISK7121)、厚さ125μmのゴム変性PMMAフィルムD(住友化学(株)社製テクノロイS001)、光沢値が149%、鉛筆硬度2H、Tg113℃(JISK7121)、厚さ125μmのゴム変性PMMAフィルムE(鐘淵化学工業(株)製サンデュレン009NCT)、及び、表面光沢値が140%、鉛筆硬度H、Tg104℃(JISK7121)、厚さ125μmのゴム変性PMMAフィルムF(住友化学(株)社製テクノロイR526)を使用した。
(8)シートの積層方法
ゴム変性PMMAフィルムにインキ保護層及び表面保護層用に調整した溶液をマイクログラビアコーターを使用し乾燥膜厚2.0μmとなるよう塗工後40℃3日間エージング処理を行った。尚、表面保護層を設ける場合は、インキ保護層を塗工乾燥した後、インキ保護層の反対面に厚み10μmになるように塗工を行う。次にインキ層をインキ保護層にグラビアコーターを使用して乾燥膜厚2.0μmに塗工した。これとは別に支持基材層の接着面にコロナ処理を行い、上記の接着剤を#20番のバーコーターを用いて塗布を行った。40℃に設定したラミネート装置を用いて上記インキ層と基材支持層との張り合わせを行った後、40℃3日間のエージング処理を行った。
(9)マッチモールド成形
得られた鏡面性に優れた熱成形用積層シートを株式会社ハーミス社製FE38PHの小型真空成形機を用いて、クランプ後、シートを両面より間接加熱し、ヒーターが退避したのち、雌金型を上昇後雄金型を下降させマッチモールド成形法(表1中では、マッチと記載。)により成形体を作製した。尚、下面のヒーター温度は270℃、上面のヒーター温度は230℃とし、加熱時間の調節により、各実施例及び比較例で示すシート温度までシートを加熱後、成形を行った。また、ヒーターとシート間の距離は130mm、金型温度は90℃、真空・冷却時間は60秒間とした。
(10)圧空成形
得られた鏡面性に優れた熱成形用積層シートを関西自動成形機社製PK400−2型熱板接触式圧空成形機を用いて、熱板温度118℃、加熱時間4秒で接触加熱後、圧空圧力0.3MPa、金型温度は60℃、冷却時間は4秒とした圧空成形法(表1中では、圧空と記載。)にて成形体を作製した。
(11)インサート成形
マッチモールド成形で得られた成形体の天面を、シート鏡面側である熱可塑性フィルム層が射出成形用金型の雌型に接触するように密着させ金型温度40℃で加熱後、200℃に加熱したノバテック社製PP樹脂(商品名「TX1868H5」)からなる溶融樹脂を金型内に射出して一体成形し、輝度に優れた積層シートを有する射出成形体を作成した。なお、射出成形機は住友重機械工業株式会社の住友ネスタール射出成形機プロマット80/40、金型は2段プレート成形体が取れる65mm×40mm×厚さ3mmと1.5mm(厚さが3mmと1.5mmの2段の階段状プレート)のものを用いた。
(実施例1〜5、比較例1〜3)
層構成を、熱可塑性フィルム層(ゴム変性PMMAフィルム層)/インキ保護層/装飾層(インキ層)/接着剤層/支持基材層とし、このうち支持基材層及び熱可塑性フィルム層(表1では、熱可塑層と記載。)は表1に示したシートを使用し425μmの成形用積層シートとした。尚、熱可塑性フィルム層としてゴム変性PMMAフィルムD(表1ではDと記載。)を使用した成形用積層シートの光沢値が1080%、透明層PMMAフィルムE(表1ではEと記載。)を使用した成形用積層シートの光沢値が1200%であった、透明層PMMAフィルムF(表1ではFと記載。)を使用した成形用積層シートの光沢値が910%であった。得られた成形用積層シートを上記の条件でマッチモールド成形法(表1中では、マッチと記載。)にて成形体として光沢値を測定し成形前の光沢値からの保持率である光沢保持率(%)(表1では、成形体光沢保持率(%)と記載。)を求めた。また、未成形部の加熱されただけのシートの光沢値(表1に加熱シート光沢値(%)と記載。)を測定し、光沢保持率(%)(表1では、加熱シート光沢保持率(%)と記載)を求めた。尚、シートの温度はキーエンス社製放射温度計IT2−80で測定を行った。評価結果を表1に示す。
(実施例6)
実施例1〜5と同様の方法で、支持基材層に支持基材Aを用い、熱可塑性フィルム層に
ゴム変性PMMAフィルムDを用いて、熱成形用積層シートを上記の圧空成形法(表1中では、圧空と記載。)にて成形体とし後、光沢値を測定し光沢保持率(%)を求めた。また、未延伸部の加熱されただけのシートの光沢値を併せて示した。尚、シートの温度はキーエンス社製放射温度計IT2−50で測定を行った。
得られた評価結果を表1に示す。
Figure 0004403294
熱可塑性フィルム層としてゴム変性PMMAフィルムD(表1では透明層の項にDと記載。)を使用した成形用積層シートの成形前の光沢値:1080%
透明層PMMAフィルムE(表1では透明層の項にEと記載。)を使用した成形用積層シートの成形前の光沢値:1200%
透明層PMMAフィルムF(表1では透明層の項にFと記載。)を使用した成形用積層シートの成形前の光沢値:910%
(実施例7)
層構成を、表面保護層/熱可塑性フィルム層(ゴム変性PMMAフィルム層)/インキ保護層/装飾層(インキ層)/接着剤層/支持基材層とし、このうち実施例2と同様に支持基材層は支持基材層B、熱可塑性フィルム層にゴム変性PMMAフィルムD用い、成形前の光沢値が1080%、430μmの成形用積層シートとした。得られた成形用積層シートを上記の条件でマッチモールド成形法にて成形体とし光沢値及び成形体の型再現性の評価を行った結果、表1の実施例2の評価結果と同じ光沢値が得られ、良好な光沢値を示す成形体が得られた。得られた成形体の天面部を切り出し上記のインサート成形法に示す方法により一体射出成形を行い、加飾成形体を得た。得られた加飾成形体の光沢値は880%であった。一体射出成形によりほとんど光沢値の低下が見られず、加飾成形体の成形前のシートの光沢値に対する光沢値保持率は、81%(880/1080×100)であった。
表1に示した実施例1〜6の評価に示すように、加熱シート光沢保持率が90%以上のものは、成形体光沢保持率(%)が80%以上と高く、成形による光沢度の低下が極めて小さいことが分かる。得られた成形体は、実施例7より本発明の方法による製造方法によると、成形体だけでなく、加飾成形体の光沢も成形前の熱成形用積層シートの光沢値からの低下が少なく、高い光沢保持率を有していることが分かる。
一方、比較例1〜3のように加熱シートの加熱光沢保持率が90%を下回った状態で成形すると、成形体光沢保持率が急激に低下し、本来のフィルムが持つ光沢を成形工程において維持できないことが分かる。
以上の結果から、本発明の熱成形用積層シートの製造方法は、本来のフィルムが持つ光沢値を高い状態で保持することができる、優れた成形方法であることが分かる。
本発明の成形方法により成形された成形体は、自動車関連部材、建材部材、家電品等の用途に使用される外装塗装不要の光沢値の高い鏡面状金属光沢を有する分野に有用である。

Claims (5)

  1. 熱可塑性フィルム層と、金属薄膜細片と結着樹脂を含有し金属調の光沢を有する装飾層と、支持基材層とを有し、かつ加熱により光沢値が低下する積層シートを、熱可塑性フィルム層のガラス転移温度−15℃〜+10℃の範囲であり、且つ未成形部の加熱されただけのシートの光沢値が初期光沢値の90%以上を保持する温度範囲で、マッチモールド成形、圧空成形又は圧空真空成形することを特徴とする熱成形用積層シートの成形方法。
  2. 成形後の成形体の光沢値/成形前の熱成形用積層シートの光沢値×100(%)で定義される成形による光沢保持率(%)が80%以上である請求項1記載の熱成形用積層シートの成形方法。
  3. JIS−K7105に準拠した20°グロスを測定法で求められる値に基づく前記初期光沢値が900%以上である請求項1または2記載の熱成形用積層シートの成形方法。
  4. 前記成形方法がマッチモールド成形である請求項1〜3のいずれかの請求項に記載の熱成形用積層シートの成形方法。
  5. 前記成形方法が圧空成形である請求項1〜3のいずれかの請求項に記載の熱成形用積層シートの成形方法。
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