JP4401460B2 - 振動型アクチュエータ駆動装置および画像形成装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、振動型アクチュエータ駆動装置および画像形成装置に関し、特に、電気−機械エネルギ変換素子に交流信号を印加することで励振させ駆動力を得る振動型アクチュエータの駆動装置、及び、当該振動型アクチュエータを、感光ドラムのような、回転速度に対して高い精度を要求される部分に応用し、振動型アクチュエータの駆動装置を備えた画像形成装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、超音波モータ等の振動型アクチュエータの速度制御においては、例えば特開平1−234069号公報に示されるように、超音波モータの出力回転軸に接続されたエンコーダからの出力パルス信号を周波数−電圧変換手段によりアナログの直流電圧に変換し、そのアナログ直流電圧が所望の電圧レベルになるように制御されていた。
【0003】
ところが、上記制御方法では、周波数−電圧変換手段や、周波数−電圧変換手段から出力される直流電圧レベルを一定にするための制御回路が、アナログ回路であり、それらをICにより実現することが困難であり、従って、周波数−電圧変換手段や制御回路の低価格化が困難であるという問題点があった。
【0004】
そこで、特開平9−191669号公報で示される装置では、超音波モータの速度検出手段としてカウンタを用い、エンコーダから出力されるパルスの周期を、高い周波数のクロック信号のタイミングでカウントし、カウント結果を速度情報として用いている。また、速度情報を得て速度制御を行う部分もデジタル回路により構成することにより、IC化することが可能となり、高精度で安価な制御回路を実現している。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、特開平9−19669公報で示される装置では、速度検出手段が、エンコーダの出力パルスの周期を、クロック信号をカウントすることにより得ており、実際に速度検出手段から得られる情報は、速度の逆数となっている。よって、超音波モータの目標制御速度が大きいほど、速度検出器から出力される情報や目標値は小さい値となり、更に同じ速度差であっても目標値によって異なる偏差情報となる。
【0006】
その結果、目標速度が大きいほど、制御ゲインを大きく変更する必要があり、そのため、制御ゲインを小さい値から大きい値まで幅広く設定できるような構成にする必要があった。
【0007】
また、上記速度検出手段は、通常は8ビットや16ビットといった限られた一定のビット数のカウンタで構成されているために、高速と低速の両方を目標速度として設定する必要がある機器に応用する場合、低速時のカウント値がオーバフローしないようにカウンタのカウントタイミングを遅くしなければならない。しかし、カウンタのカウントタイミングを遅くした場合は、高速制御時に検出される速度の分解能が粗くなるために、高速制御時には高精度に制御できないという問題点があった。
【0008】
本発明はこのような問題点に鑑みてなされたものであって、制御ゲインの変化すべき範囲を減少させ、また、高速制御時に速度分解能が粗くなることを防止した振動型アクチュエータ駆動装置および画像形成装置を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、請求項1記載の発明によれば、電気−機械エネルギ変換素子に交流信号を印加することで励振させ駆動力を得る振動型アクチュエータの駆動装置において、振動型アクチュエータの駆動状態に応じた信号を出力するセンサと、前記センサからの出力信号を受けて前記振動型アクチュエータの駆動状態を、所定の動作タイミングで検知する駆動状態検知手段と、前記駆動状態検知手段からの出力信号を受けて、設定された目標駆動状態になるように前記振動型アクチュエータの駆動条件を決定する制御手段と、前記制御手段によって決定された駆動条件に応じた信号を生成して前記振動型アクチュエータに出力する信号生成手段とを有し、前記駆動状態検知手段の所定の動作タイミングが、前記制御手段に設定された目標駆動状態に応じて変更され、前記振動型アクチュエータの駆動状態とは、前記振動型アクチュエータの駆動速度または回転速度であり、前記センサは、前記駆動速度または回転速度に対応した周波数のパルス信号を出力し、前記駆動状態検知手段はカウンタを備え、前記センサから出力されるパルス信号の周期または前記パルス信号がハイレベルの期間若しくはローレベルの期間を、前記カウンタによりカウントすることにより前記振動型アクチュエータの駆動速度または回転速度を検知し、前記カウンタのカウントタイミングが、前記振動型アクチュエータの目標駆動速度または目標回転速度に応じて変更され、前記振動型アクチュエータに設定され得る複数の固定の目標駆動速度または複数の固定の目標回転速度のうち、既に設定されている第1の目標値よりも低い駆動速度または回転速度の目標値が与えられた時は、前記カウンタのカウントタイミングを、前記第1の目標値でのカウントタイミングよりも遅くし、前記第1の目標値よりも高い駆動速度または回転速度の目標値が与えられた時は、前記カウンタのカウントタイミングを、前記第1の目標値でのカウントタイミングよりも速くすることを特徴とする。
【0011】
さらに、請求項4記載の発明によれば、前記駆動状態検知手段の所定の動作タイミングを変更する際に、まず、前記駆動状態検知手段の操作量を固定し、制御動作を停止した後に、少なくとも前記駆動状態検知手段の設定値または前記制御手段に対する設定値のいずれかを変更し、その後、前記駆動状態検知手段の制御動作を再開させることを特徴とする。
【0012】
さらにまた、請求項5記載の発明によれば、電気−機械エネルギ変換素子に交流信号を印加することで励振させ駆動力を得る振動型アクチュエータを、感光部材または転写部材に使用し、前記振動型アクチュエータを駆動するための駆動装置を備えた画像形成装置において、前記駆動装置が、前記振動型アクチュエータの駆動状態に応じた信号を出力するセンサと、前記センサからの出力信号を受けて前記振動型アクチュエータの駆動状態を、所定の動作タイミングで検知する駆動状態検知手段と、前記駆動状態検知手段からの出力信号を受けて、設定された目標駆動状態になるように前記振動型アクチュエータの駆動条件を決定する制御手段と、前記制御手段によって決定された駆動条件に応じた信号を生成して前記振動型アクチュエータに出力する信号生成手段とを有し、前記駆動状態検知手段の所定の動作タイミングが、前記制御手段に設定された目標駆動状態に応じて変更され、前記振動型アクチュエータの駆動状態とは、前記振動型アクチュエータの駆動速度または回転速度であり、前記センサは、前記駆動速度または回転速度に対応した周波数のパルス信号を出力し、前記駆動状態検知手段はカウンタを備え、前記センサから出力されるパルス信号の周期または前記パルス信号がハイレベルの期間若しくはローレベルの期間を、前記カウンタによりカウントすることにより前記振動型アクチュエータの駆動速度または回転速度を検知し、前記カウンタのカウントタイミングが、前記振動型アクチュエータの目標駆動速度または目標回転速度に応じて変更され、前記振動型アクチュエータに設定され得る複数の固定の目標駆動速度または複数の固定の目標回転速度のうち、既に設定されている第1の目標値よりも低い駆動速度または回転速度の目標値が与えられた時は、前記カウンタのカウントタイミングを、前記第1の目標値でのカウントタイミングよりも遅くし、前記第1の目標値よりも高い駆動速度または回転速度の目標値が与えられた時は、前記カウンタのカウントタイミングを、前記第1の目標値でのカウントタイミングよりも速くすることを特徴とする。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を、図面を参照して説明する。
【0014】
(第1の実施の形態)
図2は、本発明の第1の実施形態に係るカラー画像形成装置の全体構成を示す図である。以下、図2を参照してカラー画像形成装置の構成を説明する。
【0015】
まず、リーダ部の構成について説明する。
【0016】
図2において、316はCCD、311はCCD316の実装された基板、312はプリンタ処理部、301は原稿台ガラス、302は原稿給紙装置、303および304は原稿を照明する光源、305および306は光源303,304の光を原稿に集光する反射傘、307〜309はミラー、310は原稿からの反射光または投影光をCCD316上に集光するレンズ、314は光源303,304と反射傘305,306とミラー307を収容するキャリッジ、315はミラー308,309を収容するキャリッジ、313は他のCPU等とのインターフェイス部である。
【0017】
キャリッジ314は速度Vで、キャリッジ315は速度V/2で、CCD316の電気的走査(主走査)方向に対して垂直方向に機械的に移動することによって、原稿の全面を走査(副走査)する。
【0018】
原稿台ガラス301上の原稿は光源303,304からの光を反射し、その反射光はCCD316に導かれて電気信号に変換される。そして、その電気信号(アナログ画像信号)は画像処理部312に入力され、デジタル信号に変換される。変換されたデジタル信号は各種処理を行われた後、プリンタ部に送られて画像形成に用いられる。
【0019】
次にプリンタ部の構成について説明する。
【0020】
図2において、317はM(マゼンタ色)画像形成部、318はC(シアン色)画像形成部、319はY(イエロー色)画像形成部、320はK(黒色)画像形成部である。それぞれの構成は同一なのでM画像形成部317について説明し、他の画像形成部の説明は省略する。
【0021】
M画像形成部317において、342は感光ドラムであり、LEDアレー210からの光によって、その表面に潜像が形成される。321は一次帯電器であり、感光ドラム342の表面を所定の電位に帯電させ、潜像形成の準備をする。322は現像器で、感光ドラム342上で記録紙等に形成された潜像を現像して、トナー画像を形成する。なお、現像器322には現像バイアスを印加して現像するためのスリーブ345が含まれている。323は転写帯電器であり、転写ベルト333の背面から放電を行い、感光ドラム342上のトナー画像を、転写ベルト333上の記録紙などへ転写する。本実施の形態では転写効率がよいため、従来用いられていたクリーナ部が配置されていない。クリーナ部を装着しても問題ないことはいうまでもない。
【0022】
次に、記録紙などの上へ画像を形成する手順を説明する。カセット340,341に格納された記録紙等は、ピックアップローラ339,338により1枚ずつ取り出され、給紙ローラ336,337で転写ベルト333上に供給される。給紙された記録紙は吸着帯電器346で帯電される。348は転写ベルトローラであり、転写ベルト333を駆動し、かつ、吸着帯電器346と対になって記録紙等を帯電させ、転写ベルト333に記録紙等を吸着させる。347は紙先端センサであり、転写ベルト333上の記録紙の先端を検知する。なお、紙先端センサ347から出力された検出信号は、プリンタ部からリーダ部へ送られて、リーダ部からプリンタ部にビデオ信号を送る際の副走査同期信号として用いられる。
【0023】
この後、記録紙等は転写ベルト333によって搬送され、画像形成部317〜320においてM,C,Y,Kの順に、その表面にトナー画像が形成される。最後にK画像形成部320を通過した記録紙等は、転写ベルト333からの分離を容易にするため、除電帯電器349で除電された後、転写ベルト333から分離される。350は剥離帯電器であり、記録紙等が転写ベルト333から分離する際に発生する剥離放電によって画像乱れが生じることを防止するものである。分離された記録紙等は、トナーの吸着力を補って画像乱れを防止するために、定着前帯電器351,352で帯電された後、定着器334でトナー画像が熱定着され、排紙トレー335に排紙される。
【0024】
本実施の形態の画像形成装置では、記録紙として、通常複写機等で用いられる専用の用紙以外にも、厚紙やOHPシートなど、厚みや材質の異なるさまざまな用紙が使用されるが、用紙により最適な熱定着時間が異なる。そこで、本実施の形態では、記録紙の種類に応じて紙搬送系の駆動速度と、定着器334の内部にある定着ローラの速度を変化させ、これによって定着時間を調整している。具体的には用紙を3段階のクラスに分類し、通常の複写機用の用紙を使用する場合の紙の送り速度と、その1/2の速度と、1/4の速度とを設定し、用紙のクラスに応じて送り速度を切り替えて記録紙を搬送している。
【0025】
ここで、感光ドラム342〜345および転写ベルトローラ348を回転させるための駆動モータとして、振動波モータが用いられている。振動波モータは振動型モータの一種であり、弾性体に固着されている圧電素子などの電気−機械エネルギ変換素子に交流信号を印加することにより、弾性体の表面に進行性の振動波を発生させ、その弾性体に移動体を接触させることにより、移動体を駆動する原理のモータである。
【0026】
図3は、感光ドラムと振動型モータとの接続関係を示す図である。
【0027】
図3において、2は振動波モータである。1はロータリーエンコーダであり、振動波モータ2の出力軸の回転角をパルス情報として出力する。3は感光ドラムである。図3のようにベルトやギアのような動力伝達手段を介さず、振動波モータ2の出力軸に直接感光ドラム3を接続することにより、感光ドラム3の高精度に安定した回転速度を実現することができる。
【0028】
図1は、上記振動波モータ2の駆動制御を行う制御装置の構成を示すブロック図である。
【0029】
図1において、20はCPUであり、画像形成装置のさまざまな動作をつかさどっているが、本実施の形態の説明では振動波モータ2の制御関連のみに止め、画像形成装置のその他の動作に関する説明は省略する。また、本実施の形態において振動波モータは、4本の感光ドラム342〜345の駆動と、転写ベルトローラ348の駆動のために5個使用されるが、それらに対する制御構成は皆同じであるので、1つの振動波モータに対する制御装置のみを示した。
【0030】
図1に示すブロック図ではフィードバックループが形成されており、速度制御回路4から出力される周波数指令に応じて、パルス発生回路5から駆動パルスが出力される。駆動パルスは、昇圧回路6で振動波モータ7を駆動し得る電圧に昇圧され、振動波モータ7が回転駆動される。振動波モータ7の回転状態に応じて、エンコーダ8からパルス情報が出力される。このパルス情報と、CPU20から送られる目標速度及びカウントレートとを基に、速度差検出回路9において速度差情報が検出され、速度制御回路4へ送られる。速度制御回路4は、その速度差情報を基に、振動波モータ7の回転速度を決定する周波数指令を作成し、パルス発生回路5に出力する。これにより、振動波モータ7において目標速度による回転が維持される。以下に、図1の各ブロックについて詳細に説明する。
【0031】
図4は、速度制御回路4の内部構成を示す回路である。
【0032】
近年、エレクトロニクス技術の発達によりモータの制御をCPUで行うことが多いが、本実施の形態では、制御対象のモータが5台もあることと、できるだけ安価な方法で高速に制御を行い、制御精度を高めたいという事情から、速度制御回路4をハードウエアにより構成している。
【0033】
図4において、21は8ビットカウンタであり、制御のタイミングを決定している。本実施の形態における制御装置では積分制御を行っており、積分制御のタイミングが高速であるほど高い制御ゲイン(短い積分時定数)で制御されるようになっている。8ビットカウンタ21のデータ入力端子(DT)には、制御ゲインの設定値がCPU20から入力される。8ビットカウンタ21では、クロックのアップカウントを行ってカウント値がフルスケールの255となると、キャリー端子(C)からハイレベル信号が出力される。キャリー端子(C)は、8ビットカウンタ21のロード端子(LD)に接続されているので、キャリー端子(C)からハイレベル信号が出力される毎に、制御ゲインの設定値が8ビットカウンタ21にロードされる。結果として8ビットカウンタ21により、(256−制御ゲイン)を周期としたリングカウンタが実現される。制御ゲインを高くしたい時は、CPU20から8ビットカウンタ21のロード端子(LD)に入力する設定値を大きな値にし、制御ゲインを低くしたい時は小さい値にする。
【0034】
図4において、22は16ビットアダーであり、AとBの入力端子から入力されるデータを加算し、S出力端子に出力している。入力端子Aには、速度差検出回路9から速度差情報が入力されている。S出力端子から出力された加算データは16ビットレジスタ23に送られ、16ビットレジスタ23では、8ビットカウンタ21からイネーブル端子ENにキャリー信号が入力されるたびに、その加算データを16ビットレジスタ23に書き込む。16ビットレジスタ23の出力信号は、16ビットアダー22の入力端子Bへ送られる。従って、16ビットレジスタ23の出力端子Qからは、制御ゲインに応じたサンプリングタイミングで速度差情報を加算して得られた積分値が出力されることになる。
【0035】
16ビットレジスタ23の出力信号は、16ビットアダー24の入力端子Aへ送られる。16ビットアダー24の入力端子Bには初期周波数データが入力され、16ビットアダー24は、AとBの入力端子から入力されるデータを加算し、S出力端子から周波数指令値として出力する。すなわち、16ビットレジスタ23から出力される周波数指令値は、初期周波数を速度差情報の積分値により補正した値となる。
【0036】
この初期周波数には、振動波モータ7の共振周波数よりも高い周波数を設定する。すなわち、一般的な振動波モータでは、共振周波数を境に駆動周波数に対する回転速度の勾配が逆となり、共振周波数よりも低い周波数領域では特性が不安定となる。そのために、振動波モータは通常、共振周波数よりも高い周波数領域で駆動される。振動波モータ7の起動時には、図示していないが16ビットレジスタ23の値は0に設定するので、起動直後は初期周波数が速度制御回路4から出力されることになる。
【0037】
上記のように構成することにより、速度制御回路4では、制御ゲインで決定されるタイミングで速度差情報が積分され、得られた積分値により、初期周波数が補正されて、この補正された初期周波数が、周波数情報として出力される。
【0038】
図1のパルス発生回路5は、図示しないがデジタル回路で構成される。パルス発生回路5は、速度制御回路4から出力される周波数情報に応じて駆動パルスを発生させる。
【0039】
図5は、パルス発生回路5が発生する4相のパルス信号を示す図である。
【0040】
図5において、Tはパルス周期である。パルス発生回路5から出力される4相のパルス信号A1,A2,B1,B2の周期は全てTとする。このTの逆数が速度制御回路4から出力される周波数指令値となる。
【0041】
Wはパルス幅であり、振動波モータ7を駆動する際に効率良く回せるような値に設定される。ここで、Wを大きくしすぎると、後述する昇圧回路6の部品にダメージを与えることになる。また、逆にWを小さくしすぎると、振動波モータ7の十分な出力を得ることができなくなる。
【0042】
本実施の形態で使用される振動波モータは進行波型モータと呼ばれるもので、90°または−90°の位相差を有する2相の交流信号によって駆動される。この2相をA相およびB相と呼ぶことにする。図5に示す4相のパルス信号のうちパルス信号A1とパルス信号A2は、A相交流信号を生成するために用いられ、パルス信号B1とパルス信号B2は、B相交流信号を生成するために用いられる。パルス信号A1とパルス信号A2は180°の位相差を有する。パルス信号B1とパルス信号B2も同様に180°の位相差を有する。また、パルス信号A1に対してパルス信号B1は90°遅れの位相差、または90°進みの位相差を有する。上記位相差が遅れているか進んでいるかによって振動波モータの回転方向が決定される。図5ではA相に対してB相が90°遅れた位相差を有する場合を示している。
【0043】
図6は、昇圧回路6の具体的な構成を示す回路図である。図6には、昇圧回路6の機能を説明するために必要な部品のみを図示している。
【0044】
図6において、10a,10b,10c,10dはFETであり、図1に示すパルス発生回路5より入力されるパルス信号A1,A2,B1,B2がそれぞれハイレベルの時にON、ローレベルの時にOFFとなるスイッチング素子である。このスイッチング動作によって、図6に示すセンタータップ付きトランス11a,11bの一次側に流れる電流をコントロールしている。
【0045】
トランス11a,11bの二次側には、図7に示すようなトランスの巻き線比に起因して昇圧された交流電圧が発生する。トランスの一次側の電圧は、ほぼ矩形波形であるが、トランスの二次側の出力電圧はトランスの二次側のインダクタンスと振動波モータ7の容量成分により、図7に示すようにサイン波状の出力波形となる。図6において、トランス11a,11bの二次側の一端はグランドに接続され、他端はA相、B相信号として振動波モータ7に接続される。
【0046】
図1に戻って、エンコーダ8はロータリータイプのエンコーダであり、光学的または磁気的な原理を利用して、振動波モータ7の回転状態を検出し、2値の信号が回転位置に応じて出力される。エンコーダ8の軸の回転速度が速いほどエンコーダから出力されるパルスの周波数が高くなる。
【0047】
速度差検出回路9は、振動波モータ7の回転速度と目標値との差に相当する値を検出し、出力する回路である。
【0048】
図8は、速度差検出回路9の具体的な構成を示す回路図である。なお、図9は、速度差検出回路9の各部の信号S1〜S5を示すタイミングチャートであり、以下の速度差検出回路9の説明において適宜参照する。
【0049】
図8において、12a,12bはDフリップフロップである。Dフリップフロップ12aの入力端子Dに、エンコーダ8からのパルス(S2)を入力させ、Dフリップフロップ12aの出力端子Qを、Dフリップフロップ12bの入力端子Dに接続すると共に、AND回路14の入力端子に接続する。また、Dフリップフロップ12bの出力端子Qを、インバータ13を介してAND回路14の入力端子に接続する。これにより、AND回路14からは、エンコーダパルスの立ち上がりエッジが発生した時に、クロック(S1)の1周期分だけハイレベルとなる信号(S3)が出力される。
【0050】
15は16ビットダウンカウンタである。エンコーダパルス(S2)の立ち上がりが発生すると、16ビットダウンカウンタ15のロード端子LDの入力(S3)がハイレベルとなり、データ入力端子DTからの目標速度値(例えば4999)がロードされる。
【0051】
一方、4ビットカウンタ17のロード端子LDには4ビットカウンタ17のキャリー出力端子Cが接続されている。また、4ビットカウンタ17のデータ端子DTにはCPU20から出力される多ビットのカウントレートがデータとして入力されているので、この4ビットカウンタ17は、(16−カウントレート)を周期としたリングカウンタとして動作することになる。つまり、4ビットカウンタ17のキャリー出力端子Cはリングカウンタの1周期に一度ハイレベルとなる。4ビットカウンタ17のキャリー出力端子Cは、16ビットダウンカウンタ15のイネーブル端子ENに接続されているので、16ビットダウンカウンタ15は、この周期のタイミングで、ロードされた目標速度値をカウントダウン動作することになる。
【0052】
例えば、カウントレートとして15が4ビットカウンタ17に入力されている場合、4ビットカウンタ17のキャリー出力端子Cはハイレベルとなったままであり、従って、16ビットダウンカウンタ15は、クロック(S1)の入力毎に、ロードされた目標速度値をカウントダウンし、出力端子Qから信号S4(図9)を出力する。また他の例として、カウントレートとして14が4ビットカウンタ17に入力されている場合、4ビットカウンタ17のキャリー出力端子Cは、クロック(S1)パルス1つおきにハイレベルとなり、従って、16ビットダウンカウンタ15は、クロック(S1)パルス2つに1回、ロードされた目標速度値をカウントダウンし、出力端子Qから信号S4′(図9)を出力する。
【0053】
16は16ビットレジスタである。16ビットレジスタ16には16ビットダウンカウンタ15から信号S4(S4′)が入力され、16ビットレジスタ16のイネーブル端子ENにはAND回路14の出力端子から信号S3が入力されているので、エンコーダ8のエッジが検出された時点だけ、16ビットダウンカウンタ15のカウント値S4(S4′)がこのレジスタ16に記憶されることになる。したがって、16ビットレジスタ16から、目標速度と実際速度との差に相当する信号S5が速度差データとして出力される。
【0054】
上記回路構成により、CPU20からのカウントレートに応じたタイミングで、エンコーダパルスの立ち上がりから次の立ち上がりまでの間、目標速度値をダウンカウントした値が速度差データとして出力される。ここで、目標速度値とは、振動波モータ7が目標速度で回転している時のエンコーダ8のパルス周期をカウントした時の値である。よって、目標速度値は、正確には速度ではなく速度の逆数である。また、速度差データの符号はエンコーダパルスの周期が目標速度(周期)よりも長い時、すなわち振動波モータ7が目標速度よりも遅く回転している時にマイナスとなる。通常、速度制御を行う際は偏差情報の符号は速度が目標速度より遅い時にプラス、目標速度よりも速い時にマイナスとなり、本実施形態と逆の関係になるが、これは、本実施形態の振動波モータ7を、周波数が低いほど回転速度が速くなる周波数領域で制御することに起因する。
【0055】
次に、速度差検出回路9に設定するカウントレートの設定方法について説明する。
【0056】
上述したように本実施形態で使用される画像形成装置では、使用される用紙によって用紙の搬送速度および感光ドラムの回転速度を切り替えている。本実施形態で使用される速度差検出回路9は、速度偏差ではなく速度の逆数に相当する情報を検出し、これによって振動波モータ7の速度制御が行われるので、同じ速度偏差であっても目標速度が低速のときのほうが、偏差が大きく扱われてしまう。本実施形態で使用する制御装置のように、制御ゲインの設定範囲が8ビット(図4の8ビットカウンタ21)と大きくない場合、設定する目標速度によっては最適なゲインを設定することができない場合が考えられる。そこで本実施の形態では、設定する目標速度に応じて、図8の4ビットカウンタ17に設定するカウントレートを変更する。
【0057】
例えば、ロータリーエンコーダ8が1回転で2000パルスを出力し、目標速度として、1[1/s](60[rpm])が設定されている場合を考える。クロックを10[MHz]とする。
【0058】
目標速度で振動波モータ7が回転しているときは、エンコーダ8から2[kHz]の周波数、すなわち周期が500[μsec]のパルスが出力される。この時に4ビットカウンタ17に設定するカウントレートを、もっとも大きな値である15を設定したとすると、速度差検出回路9の速度差算出用のダウンカウンタ15は10[MHz]で動作することになるので、目標速度で振動波モータ7が回転しているときのエンコーダパルス1周期の間にダウンカウンタ15は5000回ダウンカウントをすることになる。よって、速度差検出回路9のダウンカウンタ15に入力すべき目標値は、この値5000から1を引いた値である4999になる。そこで、速度差検出回路9のダウンカウンタ15に目標値4999を入力する。これにより、振動波モータ7が目標速度で回転すれば、速度差検出回路9は速度差0を検出する。
【0059】
ところで、駆動中の振動波モータ7の駆動速度が目標速度よりも0.01[1/s](0.6[rpm])遅い速度である0.99[1/s](59.4[rpm])でなったとすると、エンコーダパルス1周期が505[μsec]となり、この1周期の間にクロックが5050パルス発生するので、ダウンカウント速度検出回路9から出力される偏差情報(速度差情報)は−50となる。
【0060】
同様にして、目標速度が前述の半分の速度である0.5[1/s](30[rpm])であるとすると、上記と同じカウントレートの設定では、エンコーダパルス1周期が1000[μsec][=1/(2000×0.5)]であり、この1周期の間にクロックが10000パルス発生するので、16ビットダウンカウンタ15に入力されるべき目標値は9999になる。
【0061】
この目標値9999を16ビットダウンカウンタ15に入力した状態において、駆動中の振動波モータ7の駆動速度が、上記と同様に、目標速度よりも0.01[1/s](0.6[rpm])遅い速度である0.49[1/s](29.4[rpm])になったとすると、エンコーダパルス1周期が1020.4[μsec]となり、この1周期の間にクロックが10204パルス発生するので、速度検出回路9から出力される偏差情報は−204となる。
【0062】
このように、同じ速度偏差0.01[1/s](0.6[rpm])にも拘わらず、目標速度が1[1/s](60[rpm])と0.5[1/s](30[rpm])というように異なると、速度検出回路9から得られる偏差情報が、−50と−204というように異なる。そのため、制御ゲインを大きく変更する必要が生じ、場合によっては制御ゲインの限られた設定範囲(図4に示す8ビットカウンタ21では0から255)では最適な駆動周波数値を設定することができなくなってしまう可能性がある。
【0063】
しかし、この時、4ビットカウンタ17に設定するカウントレートを15から12と変更すれば、速度差検出回路9の速度差算出用のダウンカウンタ15は、2.5[MHz]{=10MHz/(16−12)}で動作することになる。そして、エンコーダパルス1周期が1000[μsec][=1/(2000×0.5)]であり、この1周期の間にダウンカウントが2500(=1000μsec×2.5MHz)回行われるので、16ビットダウンカウンタ15に入力されるべき目標値は2499である。そこで、カウントレート12が4ビットカウンタ17に設定され、目標値2499が16ビットダウンカウンタ15に設定されたとする。
【0064】
この場合に、振動波モータ7の駆動速度が、目標速度よりも0.01[1/s](0.6[rpm])遅い速度である0.49[1/s](29.4[rpm])になったとすると、エンコーダパルス1周期が1020.4[μsec]となり、この1周期の間にダウンカウントが2551(=1020.4μsec×2.5MHz)回行われるので、速度検出回路9から出力される偏差情報は−51となる。
【0065】
この偏差情報は、目標速度が1[1/s](60[rpm])の時の偏差情報−50に近い値となる。従って、この場合には制御ゲインを大幅に変える必要がなくなる。その結果、制御ゲインの設定範囲が限られているような制御装置であっても、目標速度に拘わらず常に最適な駆動周波数制御を行うことができる。
【0066】
本実施形態で使用する画像形成装置の場合、使用する用紙を3つのクラスに分けている。普通の用紙を用紙A、用紙Aの駆動速度と比較して1/2の速度で駆動する用紙を用紙B、用紙Aの駆動速度と比較して1/4の速度で駆動する用紙を用紙Cとする。そして、使用する用紙のクラスは自動的に検出され、CPU20により用紙に応じた目標速度及びカウントレートが設定される。
【0067】
使用する用紙のクラスと、図8に示す16ビットダウンカウンタ15に入力されるべき目標値、及び4ビットカウンタ17に入力されるべきカウントレートとの関係を表1に示す。
【0068】
【表1】
【0069】
以上のような設定にすることにより、各目標回転速度において偏差情報が、同一速度偏差に対してほぼ等しい値として算出されるので、制御ゲインを大きく変更する必要がなくなる。
【0070】
なお、表2のように各目標回転速度での目標値を同じ値とすることにより、各目標回転速度での速度検出の検出分解能と目標回転速度の比率を同じにして、どの目標回転速度でも同じ回転むら(ワウフラッタ)になるように制御してもよい。
【0071】
【表2】
【0072】
(第2の実施の形態)
第1の実施形態の表1では、用紙の種類に応じて目標速度を変化させる際に目標値およびカウントレートの両方を変化させているが、画像形成装置を駆動中に異種の用紙が混合して使用される場合は、図2の感光ドラム342,343,344,345や転写ベルト333の駆動速度を途中で変更する必要がある。
【0073】
ところが、目標値とカウントレートはCPU20によってシーケンシャルに変更されるものであり、同時に変更することができない。一方、目標値とカウントレートが同時に変更できない場合、駆動回転速度が一時的に異常な速度となり、場合によっては騒音を発生させたり、振動波モータ7を停止させてしまう原因になることも考えられる。
【0074】
例えば、表1の用紙Aから用紙Cに切り替える場合、カウントレート15の状態で、先に目標値を1249にしてしまうと、一時的に目標回転速度が4[1/s](240[rpm])となってしまい、使用する振動波モータによっては回転不能な状態になることもある。また、逆に目標値が4999の状態で先にカウントレートを0としてしまうと、一時的に目標回転速度が0.0625[1/s](3.75[rpm])となってしまい、振動波モータの目標速度が低速になりすぎ、動作が不安定になったり、異音を発生させたり、場合によってはステップ的な目標速度変動に対して制御が発散してしまい、モータを停止させてしまう可能性もある。
【0075】
第2の実施形態は、第1の実施形態における上記問題点を改良したものである。
【0076】
図10は、本発明の第2の実施形態における振動波モータの制御装置の構成を示すブロック図である。第2の実施形態の構成は、基本的に第1の実施形態の構成と同じであるので、同一構成部分には同一の参照符号を付して、その説明を省略する。
【0077】
第2の実施形態では、CPU20−1から速度制御回路4−1に対して制御ゲイン以外に制御許可信号が出力される。それ以外は第1の実施形態と同一である。以下、速度制御回路4−1とCPU20−1の動作についてのみ詳細に説明する。
【0078】
制御許可信号は、速度制御回路4−1が制御動作中の時に一時的に制御を中断させることに使用される信号である。
【0079】
図11は、速度制御回路4−1の具体的な構成を示す回路図である。速度制御回路4−1の構成は、図4に示す第1の実施形態の速度制御回路4と基本的に同一であるので、同一構成部分には同一の参照符号を付して、その説明を省略する。
【0080】
図11において、AND回路25が、8ビットカウンタ21と16ビットレジスタ23との間に配置される。そして、制御許可信号がAND回路25に入力される。この制御許可信号がハイレベルの時は、AND回路25を通じて、8ビットカウンタ21からの出力が16ビットレジスタ23のイネーブル端子(EN)に入力される。この時は、第1の実施形態で説明したような動作で速度制御が行われる。
【0081】
一方、制御許可信号がローレベルとなると、16ビットレジスタ23のイネーブル端子(EN)への入力は常にローレベルとなるので16ビットレジスタ23は加算データの読み込みを行わず、記憶値が変化しなくなる。従って、振動波モータ7の駆動周波数として、制御許可信号がローレベルになる直前の値が保持されることになる。
【0082】
次に、それまでの種類の用紙と異なる種類の用紙が検出され、CPU20−1が目標値及びカウントレートを変更する際の動作を説明する。
【0083】
図12は、用紙の種類が変更になったことが検出されたときのCPU20−1の動作を示すフローチャートである。このフローチャートにおいて、用紙の種類と、目標値・カウントレートとの関係は、第1の実施形態における表1に示す関係と同じであるとする。以下、図12を参照して説明する。
【0084】
図12において、STEP1で紙種変更動作が開始されると、STEP2に進み、速度制御回路4−1に出力する制御許可信号をローレベルにして、駆動周波数の変更が行われないようにし、STEP3に進む。
【0085】
STEP3では、次に画像形成を行う紙が用紙Aかどうかを判断する。用紙AであればSTEP4に、そうでなければSTEP6に進む。
【0086】
STEP4では、速度差検出回路9に対して、用紙Aのためのカウントレートである15を設定する。その後STEP5において、速度差検出回路9に対して、用紙Aのための目標値4999を設定する。
【0087】
STEP6では、次の紙が用紙Bかどうかを判断する。用紙BであればSTEP7に、そうでなければSETP9へ進む。
【0088】
SETP7では、用紙Bのためのカウントレートである12を、速度差検出回路9に対して設定する。その後STEP8で、速度差検出回路9に対して、用紙Bのための目標値2499を設定する。
【0089】
STEP9では、用紙Aでも用紙Bでもないので用紙Cということになり、速度差検出回路9に対して、用紙C用のカウントレートである0を設定し、SETP10で、用紙C用の目標値1249を設定する。
【0090】
3種の用紙のうち、検出された用紙の種類に合ったカウントレートと目標値の両方の設定が終わったら、STEP11で制御許可信号をハイレベルとする。その後、駆動周波数の設定制御が再開されることになる。
【0091】
以上のような処理によって、パラメータ(カウントレートと目標値)の一方だけが変更された状態で、制御されるのを防ぐことができるので、振動波モータ7が停止したり、挙動が不安定になってしまうことを防ぐことができる。
【0092】
(第3の実施の形態)
次に、第3の実施形態を説明する。第3の実施形態の構成は、基本的に第1の実施形態と同じであるので、同一構成部分には同一符号を付して、その説明を省略する。
【0093】
図13は、本発明の第3の実施形態における速度差検出回路を示すブロック図である。
【0094】
第1および第2の実施形態で使用した図8に示す速度差検出回路では、カウントレートで設定した値により4ビットカウンタ17のキャリー信号が出力される周期を変化させ、これにより、16ビットダウンカウンタ15のカウントタイミングを変化させている。一方、第3の実施形態では、分周器26、セレクタ27、及び16ビットダウンカウンタ15−1を新たに設けている。
【0095】
分周器26が、クロックを分周して、クロック周波数の1/2,1/4,1/8,1/16の周波数のパルスを生成し、セレクタ27へ送っている。セレクタ27は、分周器26から送られた4つのパルス出力信号及びクロック信号のうちから、カウントレートに応じて1つを選択して、それをDフリップフロップ12a,12b、16ビットダウンカウンタ15−1、16ビットレジスタ16の各クロック端子へ出力する。なお、セレクタ27は、カウントレートの値が小さくなるにつれて、低い周波数のパルスを選択するようにする。また、16ビットカウンタ15−1にはイネーブル端子(EN)がない
このように構成することにより、目標回転速度の低速時における速度差検出回路の動作周波数が、第1の実施形態と比較して低い周波数となるために、速度差検出回路の消費電力を押さえることができる。また、16ビットカウンタ15−1は、第1および第2の実施形態で使用した16ビットダウンカウンタ15と比較してイネーブル端子(EN)がない分、回路構成が簡単になる。
【0096】
さらに、第1および第2の実施形態では、16ビットダウンカウンタ15の動作タイミングを、クロックの周波数タイミングから当該周波数の1/16の周波数タイミングまで可変にするために、4ビットカウンタ17に対して、4ビットの信号によりカウントレートの設定を行っていた。しかし、第3の実施形態では、5入力1出力のセレクタ27のセレクト信号として3ビットの信号をカウントレートとしてセレクタ27に入力するだけで済むために、CPU20またはCPU20−1と速度差検出回路とを接続する信号線の本数が少なくて済む。
【0097】
なお、これまで述べてきた各実施形態の制御装置では説明していないが、カウントレートの変更を行うことにより、カウントレートが固定の場合と比較して、より幅広い目標速度の設定が可能となる。
【0098】
例えば、これまで説明したエンコーダパルス周期カウント用のダウンカウンタ15は16ビットで構成されているが、速度差情報は符号付きで表されるので15ビットしか使えず、目標値には大きくても2の15乗までしか設定できない。カウントレートによって選択されるダウンカウント周波数が10[MHz]の場合は、設定できる最低目標速度は、以下の式によりエンコーダ周期が3.28[msec]となる値となる。
【0099】
1/(10×106)×215≒3.28×10-3
ところで、第1から第3の実施形態のように、カウントレートによって選択されるダウンカウント周波数を、クロックの1/16まで設定可能とした場合は、カウントレートによって選択されるダウンカウント周波数を625[kHz]まで下げることができるので、設定できる最低目標速度は、以下の式によりエンコーダ周期が52.4[msec]となる値まで設定可能となる。
【0100】
1/(625×103)×215≒52.4×10-3
もし、カウントレートによって選択されるダウンカウント周波数を常に625[kHz]としておけば、カウントレートを変更しなくてもエンコーダ周期が52.4[msec]となるような目標速度まで設定できるが、そのよううな構成にしてしまうと、高速駆動時において、エンコーダパルス周期の測定分解能が粗くなってしまうので、精度の良い制御を行うことができなくなる。よってカントレートを可変にするということは、幅広い速度設定において有効であることが言える。
【0101】
なお、上記の各実施の形態では、振動型アクチュエータとして回転する振動波モータ7を使用した場合を例にして説明したが、振動型アクチュエータには回転以外の運動、例えば直線移動するタイプもあり、本発明はこうした回転以外の運動をするタイプの振動型アクチュエータにも適用できる。この場合、上記説明における「回転駆動」を「駆動」に、「回転速度」を「駆動速度」に読み替える必要がある。
【0102】
【発明の効果】
以上詳述したように請求項1乃至請求項3記載の発明によれば、振動型アクチュエータに接続されているエンコーダが出力するパルスの周期をカウントすることによって、振動型アクチュエータの駆動速度または回転速度を検出し、この検出値を利用して振動型アクチュエータの駆動速度または回転速度を制御する際に、エンコーダのパルス周期をカウントするタイミングを、目標速度に応じて変化させる。このタイミングの変更は、カウントレートというパラメータを変更することにより行う。
【0103】
これにより、従来のように、目標速度によって制御ゲインを大きく変える必要がなくなり、制御装置の構成を簡単にすることができる。さらに、目標速度の設定範囲を広くできるとともに、高速駆動時の検出分解能も細かくすることができる。
【0104】
また、請求項4記載の発明によれば、目標値とカウントレートという2つのパラメータを変更する際に、一時的に速度制御を行わない状態にした上でパラメータを変更し、その後、制御を再開する。
【0105】
これにより、パラメータ変更時に振動型アクチュエータが動作を停止してしまったり、挙動が異常になってしまうことを防ぐことができる。
【0106】
さらに、請求項5乃至請求項8記載の発明によれば、画像形成装置に、請求項1乃至請求項4記載の発明の振動型アクチュエータを応用する。
【0107】
これにより、種類の異なる用紙を使用した場合においても、良好な画像形成を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る振動波モータの駆動制御を行う制御装置の構成を示すブロック図である。
【図2】第1の実施形態に係るカラー画像形成装置の全体構成を示す図である。
【図3】感光ドラムと振動型モータとの接続関係を示す図である。
【図4】速度制御回路の内部構成を示す回路である。
【図5】パルス発生回路が発生する4相のパルス信号を示す図である。
【図6】昇圧回路の具体的な構成を示す回路図である。
【図7】トランスによって昇圧された交流電圧を示す図である。
【図8】速度差検出回路の具体的な構成を示す回路図である。
【図9】速度差検出回路の各部の信号を示すタイミングチャートである。
【図10】本発明の第2の実施形態における振動波モータの制御装置の構成を示すブロック図である。
【図11】速度制御回路の具体的な構成を示す回路図である。
【図12】用紙の種類が変更になったことが検出されたときのCPUの動作を示すフローチャートである。
【図13】本発明の第3の実施形態における速度差検出回路を示すブロック図である。
【符号の説明】
1 ロータリーエンコーダ
2 振動波モータ
3 感光ドラム
4 速度制御回路(制御手段)
5 パルス発生回路(信号生成手段)
6 昇圧回路(信号生成手段)
7 振動波モータ
8 エンコーダ(センサ)
9 速度差検出回路(駆動状態検知手段)
20 CPU
15 16ビットダウンカウンタ
17 4ビットカウンタ
26 分周器
27 セレクタ
342,343,344,345 感光ドラム
348 転写ベルトローラ
Claims (8)
- 電気−機械エネルギ変換素子に交流信号を印加することで励振させ駆動力を得る振動型アクチュエータの駆動装置において、
振動型アクチュエータの駆動状態に応じた信号を出力するセンサと、
前記センサからの出力信号を受けて前記振動型アクチュエータの駆動状態を、所定の動作タイミングで検知する駆動状態検知手段と、
前記駆動状態検知手段からの出力信号を受けて、設定された目標駆動状態になるように前記振動型アクチュエータの駆動条件を決定する制御手段と、
前記制御手段によって決定された駆動条件に応じた信号を生成して前記振動型アクチュエータに出力する信号生成手段とを有し、
前記駆動状態検知手段の所定の動作タイミングが、前記制御手段に設定された目標駆動状態に応じて変更され、
前記振動型アクチュエータの駆動状態とは、前記振動型アクチュエータの駆動速度または回転速度であり、
前記センサは、前記駆動速度または回転速度に対応した周波数のパルス信号を出力し、
前記駆動状態検知手段はカウンタを備え、前記センサから出力されるパルス信号の周期または前記パルス信号がハイレベルの期間若しくはローレベルの期間を、前記カウンタによりカウントすることにより前記振動型アクチュエータの駆動速度または回転速度を検知し、
前記カウンタのカウントタイミングが、前記振動型アクチュエータの目標駆動速度または目標回転速度に応じて変更され、
前記振動型アクチュエータに設定され得る複数の固定の目標駆動速度または複数の固定の目標回転速度のうち、既に設定されている第1の目標値よりも低い駆動速度または回転速度の目標値が与えられた時は、前記カウンタのカウントタイミングを、前記第1の目標値でのカウントタイミングよりも遅くし、前記第1の目標値よりも高い駆動速度または回転速度の目標値が与えられた時は、前記カウンタのカウントタイミングを、前記第1の目標値でのカウントタイミングよりも速くすることを特徴とする振動型アクチュエータ駆動装置。 - 前記第1の目標値の2分の1の駆動速度または回転速度を第2の目標値とし、また前記第1の目標値の4分の1の駆動速度または回転速度を第3の目標値とし、
前記第1の目標値に設定されている前記振動型アクチュエータを、前記第2の目標値になるように制御する場合は、前記カウンタのカウント周波数を前記第1の目標値でのカウント周波数の2分の1にし、また、前記第1の目標値に設定されている前記振動型アクチュエータを、前記第3の目標値になるように制御する場合は、前記カウンタのカウント周波数を前記第1の目標値でのカウント周波数の4分の1にすることを特徴とする請求項1記載の振動型アクチュエータ駆動装置。 - 前記第1の目標値の2分の1の駆動速度または回転速度を第2の目標値とし、また前記第1の目標値の4分の1の駆動速度または回転速度を第3の目標値とし、
前記第1の目標値に設定されている前記振動型アクチュエータを、前記第2の目標値になるように制御する場合は、前記カウンタのカウント周波数を前記第1の目標値でのカウント周波数の4分の1にし、また、前記第1の目標値に設定されている前記振動型アクチュエータを、前記第3の目標値になるように制御する場合は、前記カウンタのカウント周波数を前記第1の目標値でのカウント周波数の16分の1にすることを特徴とする請求項1記載の振動型アクチュエータ駆動装置。 - 前記駆動状態検知手段の所定の動作タイミングを変更する際に、まず、前記駆動状態検知手段の操作量を固定し、制御動作を停止した後に、少なくとも前記駆動状態検知手段の設定値または前記制御手段に対する設定値のいずれかを変更し、その後、前記駆動状態検知手段の制御動作を再開させることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の振動型アクチュエータ駆動装置。
- 電気−機械エネルギ変換素子に交流信号を印加することで励振させ駆動力を得る振動型アクチュエータを、感光部材または転写部材に使用し、前記振動型アクチュエータを駆動するための駆動装置を備えた画像形成装置において、
前記駆動装置が、
前記振動型アクチュエータの駆動状態に応じた信号を出力するセンサと、
前記センサからの出力信号を受けて前記振動型アクチュエータの駆動状態を、所定の動作タイミングで検知する駆動状態検知手段と、
前記駆動状態検知手段からの出力信号を受けて、設定された目標駆動状態になるように前記振動型アクチュエータの駆動条件を決定する制御手段と、
前記制御手段によって決定された駆動条件に応じた信号を生成して前記振動型アクチュエータに出力する信号生成手段とを有し、
前記駆動状態検知手段の所定の動作タイミングが、前記制御手段に設定された目標駆動状態に応じて変更され、
前記振動型アクチュエータの駆動状態とは、前記振動型アクチュエータの駆動速度または回転速度であり、
前記センサは、前記駆動速度または回転速度に対応した周波数のパルス信号を出力し、
前記駆動状態検知手段はカウンタを備え、前記センサから出力されるパルス信号の周期または前記パルス信号がハイレベルの期間若しくはローレベルの期間を、前記カウンタによりカウントすることにより前記振動型アクチュエータの駆動速度または回転速度を検知し、
前記カウンタのカウントタイミングが、前記振動型アクチュエータの目標駆動速度または目標回転速度に応じて変更され、
前記振動型アクチュエータに設定され得る複数の固定の目標駆動速度または複数の固定の目標回転速度のうち、既に設定されている第1の目標値よりも低い駆動速度または回転速度の目標値が与えられた時は、前記カウンタのカウントタイミングを、前記第1の目標値でのカウントタイミングよりも遅くし、前記第1の目標値よりも高い駆動速度または回転速度の目標値が与えられた時は、前記カウンタのカウントタイミングを、前記第1の目標値でのカウントタイミングよりも速くすることを特徴とする画像形成装置。 - 前記第1の目標値の2分の1の駆動速度または回転速度を第2の目標値とし、また前記第1の目標値の4分の1の速度または回転速度を第3の目標値とし、
前記第1の目標値に設定されている前記振動型アクチュエータを、前記第2の目標値になるように制御する場合は、前記カウンタのカウント周波数を前記第1の目標値でのカウント周波数の2分の1にし、また、前記第1の目標値に設定されている前記振動型アクチュエータを、前記第3の目標値になるように制御する場合は、前記カウンタのカウント周波数を前記第1の目標値でのカウント周波数の4分の1にすることを特徴とする請求項5記載の画像形成装置。 - 前記第1の目標値の2分の1の駆動速度または回転速度を第2の目標値とし、また前記第1の目標値の4分の1の駆動速度または回転速度を第3の目標値とし、
前記第1の目標値に設定されている前記振動型アクチュエータを、前記第2の目標値になるように制御する場合は、前記カウンタのカウント周波数を前記第1の目標値でのカウント周波数の4分の1にし、また、前記第1の目標値に設定されている前記振動型アクチュエータを、前記第3の目標値になるように制御する場合は、前記カウンタのカウント周波数を前記第1の目標値でのカウント周波数の16分の1にすることを特徴とする請求項5記載の画像形成装置。 - 前記駆動状態検知手段の所定の動作タイミングを変更する際に、まず、前記駆動状態検知手段の操作量を固定し、制御動作を停止した後に、少なくとも前記駆動状態検知手段の設定値または前記制御手段に対する設定値のいずれかを変更し、その後、前記駆動状態検知手段の制御動作を再開させることを特徴とする請求項5乃至請求項7のいずれかに記載の画像形成装置。
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CN106026761A (zh) * | 2016-05-18 | 2016-10-12 | 南京航空航天大学 | 一种嵌入式超声电机驱动控制器 |
CN106026761B (zh) * | 2016-05-18 | 2018-03-02 | 南京航空航天大学 | 一种嵌入式超声电机驱动控制器 |
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