JP4401231B2 - 機能性素子およびその製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、例えば有機EL素子や、液晶カラーフィルタ等のガスバリア性の高いガスバリア層を必要とする機能性素子、およびその製造方法に関するものである。
従来より、液晶表示パネルやEL表示パネル等に形成されている素子は、酸素や水蒸気に弱く、これらの素子が劣化することを避けるために、表面にガスバリア層が設けられており、ガスバリア層には、高い透明性および高いガスバリア性を有することが要求されている。
このようなガスバリア層として、例えば酸化窒化ケイ素(SiON)膜等が用いられている。この酸化窒化ケイ素膜のガスバリア性は、膜中の酸素、窒素およびケイ素の組成比によって決定され、ケイ素の組成比が高いものや、窒素の組成比が大きい場合には、ガスバリア層のガスバリア性を高いものとすることができる。一方、酸素の組成比が大きい場合には、ガスバリア層のガスバリア性が低下することが知られている。
ここで、上記酸化窒化ケイ素膜は形成する際に、酸化と窒化の競争反応が生じており、雰囲気中に残留水分がある場合、酸化が選択的に進行し酸素の組成比が高い膜が形成される傾向にある。したがって、出ガスの多いフィルム基材等を用いる機能性素子の製造方法や、インライン型の生産設備で機能性素子の製造を行う場合には、雰囲気中の水分等によって、ガスバリア層中の酸素の組成比を制御することが困難であり、機能性素子の品質の安定化が困難であった。
そこで、従来より、モコン法等によってガスバリア層のガスバリア性の評価を行い、一定のガスバリア性を有する機能性素子の選別が行われている。しかしながら、この方法では、検査に手間がかかるため、効率的な品質管理が行うことができない、という問題があった。
以上のことから、容易にガスバリア層のガスバリア性の評価が可能な機能性素子、およびその製造方法の提供が望まれている。
本発明は、基材と、上記基材上に形成され、かつガスバリア性の変化に伴い屈折率が変化するガスバリア層と、上記ガスバリア層と接触するように形成された上記ガスバリア層の屈折率を検査するためのマーカー部とを有し、上記マーカー部が、良品の上記ガスバリア層と同等の屈折率のマーカー部を少なくとも有するものであることを特徴とする機能性素子を提供する。

本発明によれば、上記マーカー部を有することから、上記ガスバリア層の屈折率が良品の屈折率と異なる場合、マーカー部の屈折率とガスバリア層の屈折率との屈折率差が変化することから、マーカー部上の光の反射光を異なるものとすることができる。したがって、製造された機能性素子のマーカー部の反射光を測定することによって、ガスバリア層のガスバリア性を評価することが可能となり、ガスバリア性の低い不良品を選別し、除去することにより、安定した品質を有する機能性素子とすることが可能となるのである。
また、上記マーカー部の屈折率が、良品の上記ガスバリア層と同等であるものとすることにより、ガスバリア層が良品である場合には、上記マーカー部が識別されず、ガスバリア層が不良品である場合には識別されるため、不良品を容易に選別することが可能となる。

また上記マーカー部が少なくとも2種類以上の屈折率を有する複数種類のマーカー部からなるものとしてもよい。これにより、例えばガスバリア層の優劣を段階的に検査したりすること等も可能となるからである。

またさらに、上記発明においては、上記機能性素子が機能性部を有するものとすることができる。本発明の機能性素子においては、良品のガスバリア層を有するもののみを選別することができることから、良好なガスバリア層によって機能性部が保護された高品質な機能性素子とすることができるのである。
上記発明においては、上記マーカー部が、上記基材上に形成されていてもよく、また、上記マーカー部が、上記ガスバリア層上に形成されていてもよい。上記マーカー部は、上記ガスバリア層と接触するように形成されているものであれば、上記ガスバリア層と上記マーカー部との屈折率の差によって、ガスバリア層の反射光を検査することが可能となるからである。
上記発明においては、さらに、上記マーカー部が、上記ガスバリア層中に形成されていてもよい。上記ガスバリア層は、1層に限定されるものではなく、例えば透明有機薄膜や透明絶縁膜等の中間層等、複数の層を積層した層であってもよいことから、例えばこの中間層を形成する際、中間層と同様の材料を用いて、上記マーカー部を形成してもよいからである。
また、この際、上記マーカー部が、光触媒およびバインダを含有し、かつエネルギー照射に伴う光触媒の作用により表面の濡れ性が、液体との接触角が低下するように変化する濡れ性変化層からなるものであってもよい。上記ガスバリア層中に、上記濡れ性変化層からなるマーカー部が形成された場合、この濡れ性変化層にパターン状にエネルギー照射を行うことにより、濡れ性変化層の濡れ性をパターン状に変化させることができる。これにより、その濡れ性変化層の濡れ性の差を利用して、濡れ性変化層上にガスバリア層の中間層となる透明有機薄膜等を、容易に形成することができるからである。
またさらに、この際、上記濡れ性変化層上に、上記濡れ性変化層の反射光を識別するための識別部が形成されていてもよい。これにより、目視によって、上記ガスバリア層の優劣を検査することが可能となるからである。
上記発明においては、上記マーカー部が、アライメントマークとして用いられるものであることが好ましい。これにより、別途アライメントマークを形成する必要がなく、また機能性素子の製造の際に、機能性素子の位置を調整する工程と同時に、上記ガスバリア層の反射光の検査を行うことが可能となるからである。
また、上記発明においては、上記ガスバリア層が、酸化窒化ケイ素膜であることが好ましい。酸化窒化ケイ素膜は、酸素およびケイ素の組成比によって、ガスバリア性および膜の屈折率が変化することから、上記マーカー部の反射光を検査することにより、容易にガスバリア層のガスバリア性を検査することが可能となるからである。
本発明は、上記いずれかに記載した機能性素子の、上記機能性部が有機EL層であることを特徴とする有機EL素子を提供する。
本発明によれば、上記マーカー部によって、ガスバリア性の検査を行うことが可能であることから、良好なガスバリア性を有するものを選別することができ、品質が一定な有機EL素子とすることができる。
また、本発明は、基材と、上記基材上に形成された機能性部と、上記機能性部を覆うように形成され、かつガスバリア性の変化に伴い屈折率が変化するガスバリア層と、上記ガスバリア層と接触するように形成された上記ガスバリア層の屈折率の変化を検査するためのマーカー部とを有する機能性素子の製造方法であって、上記マーカー部に特定の波長の光を照射し、反射光を測定することにより、上記ガスバリア層の優劣を検査するガスバリア層検査工程を有し、上記マーカー部が、良品の上記ガスバリア層と同等の屈折率のマーカー部を少なくとも有するものであることを特徴とする機能性素子の製造方法を提供する。

本発明によれば、上記ガスバリア層検査工程において、上記マーカー部に、特定の波長の光を照射し、その反射光を検査することにより、その波長におけるガスバリア層の屈折率を測定することができる。これにより、ガスバリア層の優劣を検査することが可能となり、品質が一定な機能性素子を製造することが可能となる。
また、上記マーカー部の屈折率が、良品の上記ガスバリア層と同等であるものとすることにより、ガスバリア層が良品である場合には、上記マーカー部が識別されず、ガスバリア層が不良品である場合には識別されるため、不良品を容易に選別することが可能となる。
上記発明においては、上記マーカー部が上記機能性素子のアライメントマークとして用いられ、上記ガスバリア層検査工程が、上記機能性素子の位置を調整するアライメント工程と同時に行われることが好ましい。これにより、効率よく機能性素子を製造することが可能となるからである。
本発明によれば、上記マーカー部を有することから、上記ガスバリア層の屈折率が良品の屈折率と異なる場合、マーカー部の屈折率とガスバリア層の屈折率との屈折率差が変化することから、マーカー部上の光の反射光を異なるものとすることができる。したがって、製造された機能性素子のマーカー部の反射光を測定することによって、ガスバリア層のガスバリア性を評価することが可能となり、ガスバリア性の低い不良品を選別し、除去することにより、安定した品質を有する機能性素子とすることが可能となるのである。
本発明は、例えば有機EL素子や、液晶カラーフィルタ等のガスバリア性の高いガスバリア層を有する機能性素子、およびその製造方法に関するものである。以下、それぞれについて詳しく説明する。
A.機能性素子
まず、本発明の機能性素子について説明する。本発明の機能性素子は、基材と、上記基材上に形成され、かつガスバリア性の変化に伴い屈折率が変化するガスバリア層と、上記ガスバリア層と接触するように形成された上記ガスバリア層の屈折率を検査するためのマーカー部とを有するものであれば、特に限定されるものではない。
本発明の機能性素子は、例えば図1に示すように、基材1と、その基材1上に形成された機能性部2と、その機能性部2を覆うように形成されたガスバリア層3と、そのガスバリア層3と接触するように形成されたマーカー部4とを有するものである。
通常、物質は一定の光の波長に対して、それぞれ一定の屈折率を示すものであり、またそれぞれ異なる屈折率を有する物質が接触している場合には、それらの物質の界面で入射した光が反射することとなる。
本発明によれば、上記マーカー部が、ガスバリア層と接触するように形成されていることから、マーカー部が形成された領域の反射光を測定することによって、ガスバリア層の屈折率を検査することが可能となる。すなわち、マーカー部とガスバリア層との屈折率が近接する場合には、ガスバリア層とマーカー部との界面で光が反射されず、反射率は低くなる。一方、マーカー部とガスバリア層との屈折率が大きく異なる場合には、ガスバリア層とマーカー部との界面で光が反射されるため、反射率が高くなる。
ここで、上記ガスバリア層は、例えば組成比の違い等によるガスバリア性の変化に伴い、屈折率が変化するものであることから、ガスバリア性の高いガスバリア層とガスバリア性の低いガスバリア層とでは、マーカー部が形成された領域の反射光が異なるものとなる。したがって、マーカー部とガスバリア層との屈折率の差が異なるものとなることから、マーカー部が形成された領域の反射光を測定することによって、間接的にガスバリア性の優劣を測定することが可能となる。これによりガスバリア層の優劣を判断し、一定のガスバリア性を有する機能性素子を選別することができることから、機能性素子の品質を安定したものとすることができる。
なお、本発明の機能性素子には、上記マーカー部の位置によって、3つの態様があり、図1に示すように、マーカー部4が、基材1とガスバリア層3との間に形成される態様(以下、第1の態様とする。)と、例えば図2に示すように、マーカー部4がガスバリア層3上に形成されている態様(以下、第2の態様とする。)、および図3に示すように、マーカー部4が、ガスバリア層3中に形成されている態様(以下、第3の態様とする。)とがある。以下、上記それぞれの態様ごとに詳しく説明する。
1.第1の態様
まず、本発明の機能性素子の第1の態様について説明する。本発明の機能性素子の第1の態様は、例えば図1に示すように、基材1と、その基材1上に形成された機能性部2と、その機能性部2を覆うように形成され、かつガスバリア性の変化に伴い屈折率が変化するガスバリア層3と、上記基材1上に、ガスバリア層3と接触するように形成されたガスバリア層3の屈折率を検査するためのマーカー部4とを有するものである。
以下、本態様の機能性素子の各構成について説明する。
(1)マーカー部
まず、本態様の機能性素子に用いられるマーカー部について説明する。本態様の機能性素子に用いられるマーカー部は、後述する基材上に、後述するガスバリア層と接触するように形成され、そのガスバリア層の屈折率を検査するために設けられるものである。
本態様に用いられる上記マーカー部は、安定して一定の屈折率を有するように形成されるものであり、また経時でその屈折率が変化しないものであることが好ましい。形成されたマーカー部の屈折率にばらつきがある場合には、マーカー部の屈折率を基準に、後述するガスバリア層の屈折率を正確に検査することが困難となるからである。
ここで、本態様に用いられるマーカー部の形状は、上記ガスバリア層の屈折率を検査することが可能なものであれば、特に限定されるものではなく、例えば図1に示すように、機能性素子の機能性部が形成されていない領域の一部に形成されるものであってもよく、また機能性素子の機能性部が形成されていない領域の全面に形成されるものであってもよい。また、良品の機能性素子において、上記マーカー部とガスバリア層との間で反射が少なく、マーカー部が視認されないものとなる場合には、マーカー部は後述する機能性部上に形成されているものであってもよい。
本態様においてこのマーカー部を、例えば良品の機能性素子のガスバリア層の屈折率と同等の屈折率を有するものとしてもよく、また少なくとも2種類以上の屈折率を有する複数種類のマーカー部からなり、上記マーカー部のうち少なくとも1種類が、良品の上記ガスバリア層と同等の屈折率を有するもの等とすることができる。例えば、不良品の機能性素子のガスバリア層の屈折率が低くなる場合には、マーカー部を良品のガスバリア層の屈折率と同等、または低いものとすることにより、ガスバリア層の優劣を検査することができる。
屈折率の異なる複数のマーカー部を形成する場合としては、例えば良好なガスバリア性を有するガスバリア層の屈折率と、ほぼ同等の屈折率を有するマーカー部(1)と、低い屈折率を有するマーカー部(2)を形成することができる。この場合、良好なガスバリア性を有するガスバリア層においては、マーカー部(1)では、ガスバリア層とマーカー部との界面で反射が起こらず、反射率は低いものとなる。また、マーカー部(2)においては、その屈折率の差から、ガスバリア層とマーカー部(2)との界面で反射が起こるため、反射率が高くなる。
一方、良好なガスバリア性を有するガスバリア層と、層を構成する組成比が異なり、ガスバリア性の劣るガスバリア層においては、屈折率が異なるものとなることから、マーカー部(1)では、屈折率の差から界面での反射が起こり、反射率が高くなる。マーカー部(2)においては、屈折率がマーカー部(2)の屈折率と同等である場合には、反射率が低くなり、マーカー部(2)の屈折率と異なる場合には、反射率が高くなる。これらのマーカー部の反射光の違いによって、ガスバリア性が良好な機能性素子と、ガスバリア性が劣る機能性素子との区別をすることが可能となるのである。
また、異なる屈折率を有する複数のマーカー部を形成する他の例としては、良品の機能性素子のガスバリア層の屈折率と、同等の屈折率を有するマーカー部と、その屈折率と段階的に異なる屈折率を有する複数のマーカー部を形成し、ガスバリア層の優劣を段階的に検査するもの等であってもよい。
なお、本態様において、上記マーカー部を用いてガスバリア層のガスバリア性の検査をする方法としては、以下の二つの形態が挙げられる。第1の形態としては、マーカー部が形成された領域の反射率を測定することにより検査する方法であり、第2の形態としては、マーカー部が形成された領域のコントラストにより検査する方法である。
上記第1の形態においては、マーカー部が形成された領域の反射率を、例えばウシオ社製 分光反射率計 URE‐30等によって、測定することにより行うことができる。この場合、上述したように、良品の機能性素子のガスバリア層の光の反射率と、不良品の機能性素子のガスバリア層の光の反射率が異なるものであることから、良品の機能性素子のガスバリア層の反射率を基準とし、その値と比較することによって、ガスバリア性の優劣を検査することが可能となるのである。この際、上記マーカー部は、反射率を測定する上記機器により測定することが可能な位置、および形状に形成されることとなる。
また、第2の形態においては、上記マーカー部が形成された領域のコントラストを検査することにより、機能性素子のガスバリア性の優劣の検査を行うことができる。上述したように上記マーカー部は、マーカー部の屈折率とガスバリア層の屈折率とが同等である場合には、マーカー部とガスバリア層との界面で、入射した光の反射が起こらないことから、マーカー部の形状は視認されないものとなる。一方、マーカー部の屈折率とガスバリア層の屈折率とが異なる場合には、マーカー部とガスバリア層との界面で、入射した光の反射が起こることから、マーカー部が視認されることとなる。したがって、良品の機能性素子のガスバリア層のマーカー部が形成された領域のコントラストと比較することによって、ガスバリア性の優劣を検査することが可能となるのである。なお、この検査は視認により行ってもよく、またマーカー部の形状を画像として検査機器等に取り込み、その検査機器により処理を行うものであってもよい。この際、上記マーカー部の形状は、視認により判断しやすい形状、または画像処理の行いやすい形状とされる。
ここで、本態様において、上記マーカー部の位置や形状は、上記の検査方法にもよるが、上記の中でも機能性素子の位置を調整する際に用いられるアライメントマークとなることが好ましい。これにより、機能性素子に、別途アライメントマークを形成する必要がなく、また機能性素子の製造の際に、機能性素子の位置を調整する工程と同時に、上記ガスバリア層の反射光の検査を行うことが可能となるからである。
上記のようなマーカー部の材料は、後述するガスバリア層の種類や屈折率によって適宜選択されるものであるが、例えば、酸化インジウム錫(ITO)や、酸化インジウム亜鉛(IZO)、SiO等の無機物や、出ガスの少ない、例えばポリカーボネート樹脂、ポリアリレート樹脂、ポリエーテルスルホン樹脂、メタクリル酸メチル樹脂等のアクリル樹脂、トリアセチルセルロース樹脂等のセルロース樹脂、エポキシ樹脂、または環状オレフィン樹脂、もしくは環状オレフィン共重合樹脂等の有機物、または上記有機物にガラスビーズ等の無機微粒子を含有させて屈折率を調整した混合物等を用いることができる。本態様においては、上記の中でもITOやIZO等の透明電極としても用いられる無機物や、上記有機物を用いることが好ましい。また、マーカー部の形成方法としては、上記材料やマーカー部の形状によって適宜選択されるものであり、例えばフォトリソグラフィー法や、印刷法等が挙げられる。
また、上記マーカー部自体の屈折率としては、上記マーカー部の種類によって異なるものとなるが、通常1.4〜1.7の範囲内、中でも1.5〜1.6の範囲内とされる。これにより、マーカー部の屈折率と後述するガスバリア層の屈折率との差を利用して、ガスバリア性の優劣を検査することが可能となるからである。ここで、上記屈折率は、大塚電子製 分光エリプソメータ FE-5000により測定された値である。
さらに、本態様においては、上記マーカー部の屈折率は、後述するガスバリア層の屈折率との差が、通常0.03〜0.20の範囲内、中でも0.05〜0.12の範囲内異なるものとされる。これにより、上記マーカー部が形成された領域の反射光を検査することにより、後述するガスバリア層のガスバリア性を検査することが可能となるからである。
ここで、上述したようなマーカー部の膜厚は、機能性素子の種類やマーカー部の種類等によって、異なるものであるが、通常0.5μm〜10.0μmの範囲内とすることができる。
(2)ガスバリア層
次に、本態様に用いられるガスバリア層について説明する。本態様に用いられるガスバリア層は、後述する機能性部を覆うように、基材上に形成されるものであり、かつガスバリア性の変化に伴い、屈折率が変化するものである。
ここで、ガスバリア性の変化に伴い、屈折率が変化するとは、ガスバリア層中の材料の組成比や、不純物の量等によるガスバリア性の変化に伴い、特定の波長の屈折率が変化することをいうこととする。
本態様に用いられるガスバリア層としては、後述する機能性部を酸素や水蒸気等から保護することが可能な層であり、上記の性質を有するものであれば、特に限定されるものではなく、一般的にガスバリア層として用いることが可能な材料を用いることが可能であり、例えばSiO、SiN、SiON、TiO、ZnO、Al、GeO、MgF等が挙げられる。
本態様においては、上記の中でも特に酸化窒化ケイ素からなる層であることが好ましい。酸化窒化ケイ素の膜は、上述したように、酸素および窒素の組成比によって、膜の屈折率およびガスバリア性が変化するものであり、容易に上記マーカー部の反射光によって、ガスバリア性の検査を行うことが可能となるからである。この場合、窒素の組成比が高い場合には、膜の屈折率が高く、またガスバリア性も高いものとなり、酸素の組成比が高い場合には、膜の屈折率が低く、またガスバリア性も低いものとなる。
本態様に用いられるガスバリア層の形成方法としては、ガスバリア層の種類により、適宜選択されるものであり、一般的にガスバリア層を形成する方法を用いることができる。具体的には、スパッタリング法、イオンプレーティング法、プラズマCVD法等が挙げられる。
また、本態様に用いられるガスバリア層は、同一の層が積層されたものであってもよく、また例えばガスバリア性を向上させるために、透明有機薄膜や透明絶縁膜等の中間層等、種類の異なる層が積層されたものであってもよい。
ここで、上記ガスバリア層の屈折率としては、上記ガスバリア層の種類によって異なるものとなるが、通常1.3〜1.6の範囲内、中でも1.40〜1.55の範囲内とされる。これにより、上述したマーカー部の屈折率とガスバリア層の屈折率との差を利用して、ガスバリア性の優劣を検査することが可能となるからである。なお、上記屈折率は、上述した方法により測定された値である。
また、上記ガスバリア層の膜厚としては、機能性素子の種類や、必要とされるガスバリア性等によって、適宜選択されるものであるが、通常0.05μm〜5μmの範囲内とされる。これにより、機能性素子の機能性部を、酸素や水蒸気等から保護する機能を発揮することが可能となるからである。
(3)基材
次に、本態様の機能性素子に用いられる基材について説明する。本態様に用いられる基材は、上記マーカー部、ガスバリア層、および後述する機能性部を形成することが可能であれば、種類や透明性、可撓性等は特に限定されるものではなく、機能性素子の種類等によって適宜選択されるものである。
具体的には、ガラス板や、有機材料で形成されたフィルム等が挙げられるが、本態様においては、特に有機材料で形成されたフィルムであることが好ましい。これは、有機材料で形成されたフィルムは、機能性素子の形成の際、水分が入りやすいことから、一定のガスバリア性を有する機能性素子とすることが困難であり、本態様の利点を活かすことが可能となるからである。
なお、本態様においては、上記基材上に上記マーカー部や、ガスバリア層、機能性部等との密着性を向上させるために、基材上にアンカー層を形成するようにしてもよい。このようなアンカー層としては、例えば、シラン系、チタン系のカップリング剤等を挙げることができる。また、密着性を向上させるために、コロナ処理等、密着性を向上させるための処理を行ったものであってもよい。
(4)機能性部
次に、本態様の機能性素子に用いられる機能性部について説明する。本態様に用いられる機能性部は、機能性素子において機能を発揮する部分、例えば有機EL素子の有機EL層や、液晶カラーフィルタのカラーフィルタ層等をいうこととする。これらの機能性部は、それぞれ、機能性素子の種類や目的に応じて適宜形成されるものであり、一般的に用いられる方法によって形成されたものとすることができるので、ここでの詳しい説明は省略する。
ここで、本態様においては、機能性部が有機EL素子の有機EL層、または液晶カラーフィルタのカラーフィルタ層である場合には、特に水蒸気や酸素の影響を受けやすく、安定したガスバリア層を有する機能性素子とすることが可能な、本態様の利点を活かすことが可能であるという点から好ましい。
(5)機能性素子
次に、本態様の機能性素子について説明する。本態様の機能性素子は、機能性素子の基材と、その基材上に形成された機能性部と、その機能性部を覆うように形成され、かつガスバリア性の変化に伴い屈折率が変化するガスバリア層と、上記基材上に、ガスバリア層と接触するように形成されたガスバリア層の屈折率を検査するためのマーカー部とを有するものであれば、特に限定されるものではなく、必要に応じて適宜、例えば保護層や金属配線等、他の部材が形成されているものであってもよい。
2.第2の態様
次に、本発明の機能性素子の第2の態様について説明する。本発明の機能性素子の第2の態様は、例えば図2に示すように、基材1と、その基材1上に形成された機能性部2と、その機能性部2を覆うように形成され、かつガスバリア性の変化に伴い屈折率が変化するガスバリア層3と、そのガスバリア層3上に、ガスバリア層3と接触するように形成されたガスバリア層3の屈折率を検査するためのマーカー部4とを有するものである。
以下、本態様の機能性素子について、以下各構成ごとに説明する。なお、上記基材および機能性部については、上述した第1の態様と同様のものを用いることが可能であるので、ここでの説明は省略する。
(1)マーカー部
まず、本態様に用いられるマーカー部について説明する。本態様に用いられるマーカー部は、後述するガスバリア層上に形成されるものであり、そのガスバリア層およびマーカー部の屈折率の差によって、ガスバリア性の優劣を判断することが可能となる。本態様において、後述するガスバリア層が複数層からなる場合には、マーカー部が接触するガスバリア層の最表層とマーカー部との界面での反射を測定することによって、ガスバリア層の最表層のガスバリア層のガスバリア性を検査することが可能である。
ここで、本態様に用いられるマーカー部の材料や形成方法、形状等は、上述した第1の態様のマーカー部の項で説明したものと同様であるので、ここでの説明は省略する。
なお、本態様においては、上記マーカー部上に、金属配線等、導電性の部材が形成される場合には、マーカー部は、上述した材料の中でも、絶縁性の材料によって形成されたものであることが好ましい。
(2)ガスバリア層
次に、本態様に用いられるガスバリア層について説明する。本態様に用いられるガスバリア層は、後述する機能性部を覆うように形成され、かつガスバリア性の変化に伴い、屈折率が変化するものであれば、特に限定されるものではなく、1層のみからなるものであってもよく、また2層以上の層からなるものであってもよい。
なお、本態様に用いられるガスバリア層は、上述した第1の態様のガスバリア層の項で説明したものと同様のものを用いることが可能であるので、ここでの説明は省略する。
(3)機能性素子
次に、本態様の機能性素子について説明する。本態様の機能性素子は、上記基材と、その基材上に形成された機能性部と、その機能性部を覆うように形成され、かつガスバリア性の変化に伴い屈折率が変化するガスバリア層と、そのガスバリア層上に、ガスバリア層と接触するように形成されたガスバリア層の屈折率を検査するためのマーカー部とを有するものであれば、特に限定されるものではなく、必要に応じて適宜、例えば保護層や金属配線等、他の部材が形成されているものであってもよい。
3.第3の態様
次に、本発明の機能性素子の第3の態様について説明する。本発明の機能性素子の第3の態様は、例えば図3に示すように、基材1と、その基材1上に形成された機能性部2と、その機能性部2を覆うように形成され、かつガスバリア性の変化に伴い屈折率が変化するガスバリア層3と、そのガスバリア層3中に、上記ガスバリア層と接触するように形成された上記ガスバリア層3の屈折率を検査するためのマーカー部4とを有するものである。
本態様によれば、ガスバリア層が複数層からなる場合に、例えば透明絶縁膜や有機薄膜等の中間層と同一の材料等によって、中間層と同時にマーカー部も形成することが可能となり、このマーカー部によって、ガスバリア層のガスバリア性の優劣を検査することができるのである。
以下、本態様の各構成ごとに詳しく説明する。なお、上記基材および機能性部については、上述した第1の態様と同様であるので、ここでの説明は省略する。
(1)マーカー部
本態様に用いられるマーカー部について説明する。本態様に用いられるマーカー部は、後述するガスバリア層中に形成され、そのガスバリア層の屈折率を検査するために設けられるものである。本態様においては、上記マーカー部がガスバリア層中に形成されていることから、マーカー部とそのマーカー部上に、マーカー部と接触するように形成されたガスバリア層との屈折率の差によって、ガスバリア層の屈折率を検査することができるのである。
ここで、本態様に用いられるマーカー部は、後述するガスバリア層に用いられる透明有機薄膜や、透明絶縁膜等の中間層と同一の材料からなるものであってもよく、または中間層をパターン状に形成するために設けられる光触媒およびバインダを含有し、かつエネルギー照射に伴う光触媒の作用により表面の濡れ性が、液体との接触角が低下するように変化する濡れ性変化層からなるもの等であってもよい。
ここで、中間層とは、後述するガスバリア層のガスバリア性を向上させるためにガスバリア層の中間部に用いられる層である。通常、有機EL素子や、液晶カラーフィルタ等においては、ガスバリア性を向上させるために、ガスバリア層として複数の層が積層されるものであり、例えば透明有機薄膜や、透明絶縁膜等が中間層としてガスバリア層の中間部に用いられる。
本態様においては、上記マーカー部を、上記中間層と同一の材料とし、その中間層上に形成される層との屈折率によって、ガスバリア性を検査するものとした場合には、中間層を形成する際に、同時にマーカー部を形成することができ、効率よく製造することが可能となる。なお、本態様においては、例えば中間層自体をマーカー部として用いてもよく、また中間層の周囲に、中間層と同様の材料でアライメントマーク等を形成し、上記マーカー部として用いてもよい。なお、中間層に用いられる材料や形成方法等については、後述するガスバリア層の項で説明するので、ここでの説明は省略する。
また、本態様においては、上記マーカー部が、上記中間層をパターン状に形成するために設けられる光触媒およびバインダを含有し、かつエネルギー照射に伴う光触媒の作用により表面の濡れ性が、液体との接触角が低下するように変化する濡れ性変化層からなるものであってもよい。この場合、マーカー部となる上記濡れ性変化層にパターン状にエネルギーを照射することにより、エネルギー照射に伴う光触媒の作用によって、濡れ性をパターン状に変化させることが可能となる。これにより、濡れ性変化層がマーカー部としての機能だけでなく、濡れ性変化層表面のの濡れ性の差を利用して、容易に上記中間層等を目的とする形状に形成することが可能となるという利点を有する。
この場合、例えば図4に示すように、機能性部2を覆うように形成されたガスバリア層3上に、マーカー部となる濡れ性変化層4と、その濡れ性変化層4の濡れ性が変化したパターン上に中間層5が形成され、さらにこの中間層上にガスバリア層3´が形成されることとなる。したがって、ガスバリア層の屈折率の検査は、濡れ性変化層4とガスバリア層3´とが接触している部分、すなわち中間層5が形成されていない部分において行われることとなる。
またこの際、例えば図4に示すように、上記濡れ性変化層4上に、マーカー部(濡れ性変化層)4の反射光を識別するための識別部6が形成されていることが好ましい。この識別部6は、上記マーカー部4(濡れ性変化層)と異なる屈折率を有するもので形成される。これにより、例えば上記マーカー部の屈折率と、良品の機能性素子におけるガスバリア層の屈折率とが近似しており、良品においては、マーカー部が視認できないものとした場合には、識別部のみが視認されることとなる。
一方、不良品の機能性素子においては、上記マーカー部が視認されることとなり、マーカー部と識別部との境界がなくなることから、識別部が視認できないものとなる。あるいは、識別部の屈折率と上記ガスバリア層の屈折率とが近似することによって、識別部のみが透明なものとなる。これにより、ガスバリア層のガスバリア性の優劣を容易に確認することが可能となるのである。
ここで、この識別部については、上記マーカー部となる濡れ性変化層と屈折率が異なり、特定の波長で所定の屈折率を有するものであれば、特に限定されるものではなく、上述した第1の態様のマーカー部として説明した材料と同様のものを用いることが可能であるので、ここでの説明は省略する。
また、上記濡れ性変化層の材料や形成方法は、「(4)濡れ性変化層」として後に詳しく説明するので、ここでの説明は省略する。
なお、本態様に用いられるマーカー部は、上述した中間層や濡れ性変化層に限定されるものではなく、上述した第1の態様のマーカー部と同様のものを用いることも可能であるが、ここでの詳しい説明は省略する。
(2)ガスバリア層
次に、本態様に用いられるガスバリア層について説明する。本態様に用いられるガスバリア層は、複数の層が積層されるものであり、これらの層は、同一の材料で形成されるものであってもよく、また複数の種類の材料からなる層が積層されたものであってもよい。
なお、本態様においては、上記マーカー部上に形成される層が、ガスバリア性の変化に伴い屈折率が変化する層とする。このガスバリア性の変化に伴い屈折率が変化する層については、上述した第1の態様で説明したガスバリア層と同様のものを用いることが可能であるので、ここでの説明は省略する。
ここで、本態様においては、上記マーカー部の項で説明したように、ガスバリア性を向上させるための中間層が形成されたものであってもよい。この中間層としては、例えば、合成樹脂からなる層または無機材料からなる層とすることができる。このような中間層を構成する合成樹脂としては、ポリカーボネート樹脂、ポリアリレート樹脂、ポリエーテルスルホン樹脂、メタクリル酸メチル樹脂等のアクリル樹脂、トリアセチルセルロース樹脂等のセルロース樹脂、エポキシ樹脂、または環状オレフィン樹脂もしくは環状オレフィン共重合樹脂等を挙げることができる。また、上記中間層を構成する無機物からなる層としては、SiO、SiN、SiON,TiO、ZnO、Al、GeO、MgF等を用いて、上記ガスバリア層と材料が異なる層、または上記がスバリア層と製膜方法が異なる層等とすることもできる。上記中間層の形成方法としては、その中間層の材料の種類等により異なるものであるが、例えばCVD法、PVD法、フォトリソグラフィー法、印刷法等や、上述した濡れ性変化層の濡れ性の変化したパターンを利用して蒸着法、無電界めっき、ディップコート、ロールコート、ブレードコート、スピンコート等の塗布手段、インクジェット、インクジェット等を含むノズル吐出手段等によって形成することも可能である。
(3)機能性素子
次に、本態様の機能性素子について説明する。本態様の機能性素子は、上記基材と、その基材上に形成された機能性部と、その機能性部を覆うように形成され、かつガスバリア性の変化に伴い屈折率が変化するガスバリア層と、そのガスバリア層中に、ガスバリア層と接触するように形成された上記ガスバリア層の屈折率を検査するためのマーカー部とを有するものであれば、特に限定されるものではなく、必要に応じて適宜、例えば保護層や金属配線等、他の部材が形成されているものであってもよい。
(4)濡れ性変化層
ここで、上記マーカー部として用いられる濡れ性変化層について、詳しく説明する。本態様に用いられる濡れ性変化層は、エネルギー照射に伴う光触媒の作用により、濡れ性が、液体との接触角が低下するように変化する層であれば、その種類等は特に限定されるものではない。
また、本態様に用いられる濡れ性変化層は、上記マーカー部として用いられることから、一定の光に対して、一定の屈折率の値を示すことが好ましい。上記濡れ性変化層の屈折率が不安定である場合には、上記ガスバリア層の屈折率を正確に検査することが困難となるからである。
上記マーカー部として、上記濡れ性変化層を用いた場合、濡れ性変化層は、エネルギー照射に伴う光触媒の作用により、液体との接触角が低下する層であり、かつ少なくとも光触媒およびバインダを含有する層であることから、エネルギー照射された部分を親液性領域、エネルギー照射されていない部分を撥液性領域とすることが可能となる。
ここで、親液性領域とは、液体との接触角が小さい領域であり、例えば中間層を形成する中間層形成用組成物等に対する濡れ性の良好な領域をいうこととする。また、撥液性領域とは、液体との接触角が大きい領域であり、中間層形成用組成物等に対する濡れ性が悪い領域をいうこととする。
なお、本態様においては、隣接する領域の液体との接触角より、液体との接触角が1°以上低い場合には親液性領域、隣接する領域の液体との接触角より、液体との接触角が1°以上高い場合には撥液性領域とすることとする。
ここで、エネルギー照射により形成される親液性領域と、エネルギー未照射の撥液性領域との、中間層を形成する中間層形成用組成物に対する接触角が、少なくとも1°以上、好ましくは5°以上、特に10°以上異なることが好ましい。
また、本態様に用いられる濡れ性変化層は、エネルギー照射していない部分、すなわち撥液性領域においては、表面張力40mN/mの液体との接触角が10°以上、好ましくは表面張力30mN/mの液体との接触角が10°以上、特に表面張力20mN/mの液体との接触角が10°以上の濡れ性を示すことが好ましい。エネルギー照射していない部分は、本態様において撥液性が要求される部分であることから、液体との接触角が小さい場合、撥液性が十分でなく、例えば濡れ性変化層上に中間層を形成する際に、上記中間層形成用組成物が残存する可能性が生じるため好ましくないからである。
また、本態様に用いられる濡れ性変化層は、エネルギー照射すると液体との接触角が低下して、表面張力40mN/mの液体との接触角が9°以下、好ましくは表面張力50mN/mの液体との接触角が10°以下、特に表面張力60mN/mの液体との接触角が10°以下となるような層であることが好ましい。エネルギー照射した部分、すなわち親液性領域における液体との接触角が高いと、例えば濡れ性変化層上に中間層を形成する際に、この部分での中間層形成用組成物の広がりが劣る可能性があり、中間層の欠け等の問題が生じる可能性があるからである。
なお、ここでいう液体との接触角は、種々の表面張力を有する液体との接触角を接触角測定器(協和界面科学(株)製CA−Z型)を用いて測定(マイクロシリンジから液滴を滴下して30秒後)し、その結果から、もしくはその結果をグラフにして得たものである。また、この測定に際して、種々の表面張力を有する液体としては、純正化学株式会社製のぬれ指数標準液を用いた。
本態様に用いられる上記濡れ性変化層は、少なくとも光触媒およびバインダを含有するものであり、上記の特性を発揮するものであれば、特にその材料等は限定されるものではなく、例えば特開2000−249821号公報に記載されているもの等を用いることができる。本態様においては、上記の中でも、特に光触媒としては、二酸化チタンが好適に用いられ、またバインダとしてはオルガノポリシロキサン等が好適に用いられる。
また、上記濡れ性変化層の形成方法としては、上述したようなオルガノポリシロキサンをバインダとして用いる場合は、上記濡れ性変化層は、光触媒とバインダであるオルガノポリシロキサンとを必要に応じて他の添加剤とともに溶剤中に分散して塗布液を調製し、この塗布液をガスバリア層上に塗布することにより形成することができる。使用する溶剤としては、エタノール、イソプロパノール等のアルコール系の有機溶剤が好ましい。塗布はスピンコート、スプレーコート、ディッブコート、ロールコート、ビードコート等の公知の塗布方法により行うことができる。バインダとして紫外線硬化型の成分を含有している場合、紫外線を照射して硬化処理を行うことにより、濡れ性変化層を形成することができる。
また、上記濡れ性変化層の濡れ性が変化したパターンを形成する方法としては、濡れ性を変化させるパターン状に、エネルギーを照射することにより行うことができる。エネルギー照射(露光)とは、濡れ性変化層表面の濡れ性を変化させることが可能ないかなるエネルギー線の照射をも含む概念であり、可視光の照射に限定されるものではない。
本態様においては、エネルギー照射に用いる光の波長は、400nm以下の範囲、好ましくは380nm以下の範囲から設定される。これは、上述したように濡れ性変化層に用いられる好ましい光触媒が二酸化チタンであり、この二酸化チタンにより光触媒作用を活性化させるエネルギーとして、上述した波長の光が好ましいからである。
このようなエネルギー照射に用いることができる光源としては、水銀ランプ、メタルハライドランプ、キセノンランプ、エキシマランプ、その他種々の光源を挙げることができる。
B.有機EL素子
次に、本発明における有機EL素子について説明する。本発明における有機EL素子は上述した機能性素子の機能性部が、有機EL層であることを特徴とするものである。有機EL層は、一般的に水蒸気や酸素の影響を受けやすいことから、高いガスバリア性を有するガスバリア層を形成することが要求される。
本発明によれば、有機EL素子中に、上記マーカー部が形成されていることから、有機EL層を保護するガスバリア層のガスバリア性を検査することが可能となる。これにより、良好なガスバリア性を有する有機EL素子のみを選択することが可能となり、高品質な有機EL素子とすることが可能となるのである。
なお、有機EL層の形成方法等については、通常有機EL素子の製造方法に用いられている方法を用いることが可能であるので、ここでの説明は省略する。
C.機能性素子の製造方法
次に、本発明の機能性素子の製造方法について説明する。本発明の機能性素子の製造方法は、基材と、上記基材上に形成された機能性部と、上記機能性部を覆うように形成され、かつガスバリア性の変化に伴い屈折率が変化するガスバリア層と、上記ガスバリア層と接触するように形成された上記ガスバリア層の屈折率の変化を検査するためのマーカー部とを有する機能性素子の製造方法であって、上記マーカー部に特定の波長の光を照射し、反射光を測定することにより、上記ガスバリア層の優劣を検査するガスバリア層検査工程を有するものである。
上記ガスバリア層は、例えば組成比の違い等によるガスバリア性の違いによって、特定の波長を照射した際、屈折率が異なるものである。このことから、良品のガスバリア層の屈折率と異なる屈折率を有するガスバリア層においては、そのガスバリア層と接触するように形成されたマーカー部に特定の波長の光を照射した場合、マーカー部の屈折率とガスバリア層の屈折率との屈折率差が変化することから、マーカー部が形成された領域の反射光が異なるものとなる。したがって、本発明によれば特定の波長の光に対する、マーカー部が形成された領域の反射光を測定することによって、間接的にガスバリア層のガスバリア性の優劣を測定することができ、品質が一定な機能性素子を製造することが可能となるのである。
上記検査の方法としては、以下の二つの形態が挙げられる。第1の形態としては、マーカー部が形成された領域の反射率を測定することにより検査する方法であり、第2の形態としては、マーカー部が形成された領域のコントラストにより検査する方法である。
上記第1の形態においては、マーカー部が形成された領域の反射率を、機器により測定することにより行うことができる。また、第2の形態は、上記マーカー部が形成された領域のコントラストを目視、または画像の検査を行うことが可能な機器等によって検査することにより行うことができる。なお、上記いずれの検査方法についても、上述した「A.機能性素子」のマーカー部の項で説明したものと同様の方法を用いることが可能であるので、ここでの説明は省略する。
ここで、上記検査の際に用いられる特定の波長とは、上記ガスバリア層のガスバリア性の違いによって、屈折率が異なるものとなる波長をいうこととする。この特定の波長は具体的には、ガスバリア層の種類や検査の方法によっても異なるが、通常300nm〜1500nmの範囲内の波長光が用いられる。
本発明においては、上記の中でも380nm〜1000nm、特に400nm〜600nmの範囲内であることが好ましい。上記波長の光は、機能性素子の位置を調整するアライメント工程で用いられる光の波長であり、上記光によって検査をする場合には、機能性素子の位置を調整するアライメント工程と同時に上記ガスバリア層検査工程を行うことが可能となり、製造効率やコストの面からも好ましいからである。この場合、上記マーカー部は、機能性素子のアライメントマークとして用いられる形状に形成されていることが好ましい。
なお、上記検査に用いられる光は、上記ガスバリア層とマーカー部との界面で反射が起こる角度で照射されるものとする。
ここで、本発明の機能性素子の製造方法において、形成される基材、ガスバリア層、機能性部、マーカー部については、上述した「A.機能性素子」の項で説明したものと同様であるので、ここでの説明は省略する。
なお、本発明は上記実施形態に限定されるものではない。上記実施形態は、例示であり、本発明の特許請求の範囲に記載された技術的思想と実質的に同一な構成を有し、同様な作用効果を奏するものは、いかなるものであっても本発明の技術的範囲に包含される。
以下、本発明の実施例を図5を用いながら説明する。まず、基材1として、ガラス板(米国コーニング社製:商品名「7059」板厚1.1mmを用い、その上に、金属クロム21を0.15μmの膜厚でスパッタ法を用いて製膜した(図5(a))。次に、この金属クロム21上にレジスト(シプレイ社製)商品名「AZ1350SF」)を0.6μmの膜厚で塗布し、温度;90℃のホットプレート上で5分間加熱し、所定のパターンを介して水銀ランプで露光した(図示せず)。ついで、専用現像液で上記レジストを現像し、ブラックマトリクスを形成するためのレジスト画像を形成した(図示せず)。この基板を1%セリウムアンモニウム水溶液中に浸漬して余分な部位にある金属クロム21をエッチングし、レジストを剥離して、金属クロムからなるブラックマトリクス22を形成した(図5(b))。
次に、アクリレート系光硬化型樹脂(JSR社製:商品名「JNPC06」、固形分38%)を500回転/分で10秒間コーティングした後、温度;80℃のホットプレート上で5分間加熱した。その後、所定のパターンを介して、水銀ランプを用いて、露光量600mJ/cm(365nm)で露光した(図示せず)。さらに、0.5%の水酸化カリウム溶液に3分間浸漬、現像した後、さらに160℃のオーブン内で30分加熱することによりオーバーコート層兼マーカー部4(膜厚2.0μm)を形成した(図5(c))。
さらに、ガスバリア層3として、酸化ケイ素膜(SiO)を上記基板を、基板温度160℃に加熱し、10‐6Torrの真空度でスパッタリングして形成した(図5(d))。膜厚は0.3μmであった。
ここで、正常品の酸化ケイ素の屈折率は1.46、オーバーコート層の屈折率が1.52であった。このようなマーカー部を膜面側から分光反射率計(ウシオ社製:商品名「URE‐30」)を用いて反射率を測定した場合、干渉により図6のような反射率分布となった。一方、出ガス等の不純物でガスバリアの屈折率が上昇した異常品においては、マーカー部の反射率分布が変わり、目視でも通常品と比較し黄色っぽく見え、識別することが可能であった。
本発明の機能性素子の一例を示す概略断面図である。 本発明の機能性素子の他の例を示す概略断面図である。 本発明の機能性素子の他の例を示す概略断面図である。 本発明の機能性素子の他の例を示す概略断面図である。 本発明の実施例における機能性素子の製造方法を説明するための工程図である。 本発明の実施例におけマーカー部の反射率を示した図である。
符号の説明
1…基材
2…機能性部
3…ガスバリア層
4…マーカー部

Claims (13)

  1. 基材と、前記基材上に形成され、かつガスバリア性の変化に伴い屈折率が変化するガスバリア層と、前記ガスバリア層と接触するように形成された前記ガスバリア層の屈折率を検査するためのマーカー部とを有し、
    前記マーカー部が、良品の前記ガスバリア層と同等の屈折率のマーカー部を少なくとも有するものであることを特徴とする機能性素子。
  2. 前記マーカー部が少なくとも2種類以上の屈折率を有する複数種類のマーカー部からなることを特徴とする請求項1に記載の機能性素子。
  3. 機能性部を有することを特徴とする請求項1または請求項2に記載の機能性素子。
  4. 前記マーカー部が、前記基材上に形成されていることを特徴とする請求項1から請求項3までのいずれかの請求項に記載の機能性素子。
  5. 前記マーカー部が、前記ガスバリア層上に形成されていることを特徴とする請求項1から請求項3までのいずれかの請求項に記載の機能性素子。
  6. 前記マーカー部が、前記ガスバリア層中に形成されていることを特徴とする請求項1から請求項3までのいずれかの請求項に記載の機能性素子。
  7. 前記マーカー部が、光触媒およびバインダを含有し、かつエネルギー照射に伴う光触媒の作用により表面の濡れ性が、液体との接触角が低下するように変化する濡れ性変化層からなることを特徴とする請求項6に記載の機能性素子。
  8. 前記濡れ性変化層上に、前記濡れ性変化層の反射光を識別するための識別部が形成されていることを特徴とする請求項7に記載の機能性素子。
  9. 前記マーカー部が、アライメントマークとして用いられることを特徴とする請求項1から請求項6までのいずれかの請求項に記載の機能性素子。
  10. 前記ガスバリア層が、酸化窒化ケイ素膜であることを特徴とする請求項1から請求項9までのいずれかの請求項に記載の機能性素子。
  11. 請求項1から請求項10までのいずれかの請求項に記載の機能性素子の、前記機能性部が有機EL層であることを特徴とする有機EL素子。
  12. 基材と、前記基材上に形成された機能性部と、前記機能性部を覆うように形成され、かつガスバリア性の変化に伴い屈折率が変化するガスバリア層と、前記ガスバリア層と接触するように形成された前記ガスバリア層の屈折率の変化を検査するためのマーカー部とを有する機能性素子の製造方法であって、前記マーカー部に特定の波長の光を照射し、反射光を測定することにより、前記ガスバリア層の優劣を検査するガスバリア層検査工程を有し、前記マーカー部が、良品の前記ガスバリア層と同等の屈折率のマーカー部を少なくとも有するものであることを特徴とする機能性素子の製造方法。
  13. 前記マーカー部が前記機能性素子のアライメントマークとして用いられ、前記ガスバリア層検査工程が、前記機能性素子の位置を調整するアライメント工程と同時に行われることを特徴とする請求項12に記載の機能性素子の製造方法。
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