JP4401157B2 - ブラックマトリクス基板の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、カラーフィルタをはじめとして各種の用途に使用可能な、ブラックマトリクスを有するブラックマトリクス基板の製造方法に関する。
従来よりカラーフィルタ等の製造の際、基材上にブラックマトリクスを形成し、その開口部に画素部を形成する方法等が用いられている。このようなブラックマトリクスは、フォトリソグラフィー法や印刷法等によってパターン状に形成される場合、完全に硬化させるためにポストベーク等の処理が行われることが一般的である。しかしながら、このブラックマトリクスを形成するために用いられる材料中に、揮発性を有する揮発物質等が含有されている場合、ポストベークの際にその揮発物質が揮発して、基材表面のブラックマトリクスを形成しない領域である開口部に付着してしまう場合がある。
また例えばフォトリソ法等によってブラックマトリクスを形成する際に、ブラックマトリクスを形成しない領域に付着した材料を完全に除去することができず、不純物となってしまう場合等もある。このような揮発物質や不純物等が開口部に付着している場合、開口部上に形成された画素部がムラになったり、画素部を形成する画素部形成用塗工液が塗布されず、白抜けになったりする等の問題が生じる場合があった。
ここで、一般的にカラーフィルタに用いられる基材等の洗浄は、低圧水銀ランプ、またはエキシマランプ等を用いて波長の短い紫外光を全面に照射すること等によって行われており、基材表面に付着した有機物を分解、酸化揮発させる方法等が用いられている。しかしながら、上記のようなブラックマトリクスが形成された基材においては、紫外光を全面に照射した場合、洗浄が必要な開口部以外にも強いエネルギーを有する紫外光が照射され、形成されたブラックマトリクスに悪影響を及ぼす可能性があった。また、このような波長の短い紫外光を基材の裏面側から照射した場合には、紫外光が基材に吸収されてしまい、不純物等の除去を行うことができなかった。
そこで、カラーフィルタの製造等に用いられる、開口部に不純物等のない高品質なブラックマトリクス基板の製造方法の提供が望まれている。
本発明は、透明基材上にブラックマトリクスを形成するブラックマトリクス基板形成工程と、
光触媒を含有する光触媒含有層を基体上に設けた光触媒含有層基板の上記光触媒含有層が形成された側の面と、上記ブラックマトリクス基板の上記ブラックマトリクスが形成された側の面との面同士を間隙をおいて配置した後、上記ブラックマトリクス基板の上記透明基材側からエネルギーを照射して上記透明基材の開口部を洗浄する透明基材洗浄工程と
を有することを特徴とするブラックマトリクス基板の製造方法を提供する。
本発明によれば、上記透明基材洗浄工程において、上記光触媒含有層基板を用いてエネルギーを照射することによって、エネルギー照射に伴う光触媒の作用により、ブラックマトリクス基板形成工程で開口部に付着した不純物等を分解除去することができ、高品質なカラーフィルタの画素部等を形成することが可能なブラックマトリクス基板とすることができる。またこの際、上記ブラックマトリクスが形成されていることから、透明基材側から全面にエネルギーを照射した場合であっても、ブラックマトリクスが形成されていない領域、すなわち開口部のみにエネルギーを照射することができるのである。またさらに本発明によれば、上記光触媒含有層基板を用いることから、照射するエネルギーとして、特殊な波長のものを使用する必要がなく、短時間で洗浄を行うことが可能であり、さらにコスト的にも有利であるという利点を有する。
上記発明においては、上記ブラックマトリクスが撥液性を有することが好ましい。この撥液性を利用して例えばカラーフィルタの画素部等を、インクジェット法等により容易に形成することができるからである。
また、本発明は上述したブラックマトリクス基板の製造方法により製造されたブラックマトリクス基板上に、画素部を形成する画素部形成工程を有することを特徴とするカラーフィルタの製造方法を提供する。
本発明によれば、上記ブラックマトリクス基板は上記開口部が洗浄されて不純物等が除去されていることから、この開口部上に画素部を形成することによって、白抜け等のない、高品質なカラーフィルタとすることができるのである。
また、上記発明においては、上記画素部形成工程がインクジェット法により行われることが好ましい。これにより、高精細な画素部を形成することが可能となるからである。
また、本発明は、透明基材と、上記透明基材上にブラックマトリクスを形成したブラックマトリクス基板であって、上記ブラックマトリクスの40mN/mの液体との接触角が、上記透明基材のブラックマトリクスが形成されていない領域である開口部の40mN/mの液体との接触角より、20°以上高いことを特徴とするブラックマトリクス基板を提供する。
本発明によれば、上記開口部の液体との接触角と上記ブラックマトリクスの液体との接触角の差が上記範囲であることから、この濡れ性の差を利用して、例えばインクジェット法等により混色等のない高品質なカラーフィルタ等を形成することが可能な、ブラックマトリクス用基板とすることができる。
本発明によれば、エネルギー照射に伴う光触媒の作用により、ブラックマトリクス基板形成工程で開口部に付着した不純物等を分解除去することができ、カラーフィルタの画素部等を形成することが可能な高品質なブラックマトリクス基板とすることができる。またさらに本発明によれば、上記光触媒含有層基板を用いることから、照射するエネルギーとして、特殊な波長のものを使用する必要がなく、短時間で洗浄を行うことが可能であり、さらにコスト的にも有利であるという効果を奏する。
本発明は、開口部に不純物等のないブラックマトリクス基板の製造方法、およびその製造方法により製造されたブラックマトリクス基板を用いたカラーフィルタの製造方法に関するものである。以下、それぞれについてわけて説明する。
A.ブラックマトリクス基板の製造方法
まず、本発明のブラックマトリクス基板の製造方法について説明する。本発明のブラックマトリクス基板の製造方法は、
透明基材上にブラックマトリクスを形成するブラックマトリクス基板形成工程と、
光触媒を含有する光触媒含有層を基体上に設けた光触媒含有層基板の上記光触媒含有層が形成された側の面と、上記ブラックマトリクス基板の上記ブラックマトリクスが形成された側の面との面同士を間隙をおいて配置した後、上記ブラックマトリクス基板の上記透明基材側からエネルギーを照射して上記透明基材の開口部を洗浄する透明基材洗浄工程と
を有するものである。
本発明のブラックマトリクス基板の製造方法は、例えば図1に示すように、透明基材1上に例えばフォトリソグラフィー法等によって、ブラックマトリクス2を形成するブラックマトリクス基板形成工程(図1(a))を行う。次に、基体11およびその基体11上に形成された光触媒含有層12を有する光触媒含有層基板13を準備する。その光触媒含有層12と上記ブラックマトリクス2とを所定の間隙をおいて配置した後、透明基材1側からエネルギー3を照射することによって、ブラックマトリクス2の形成されていない開口部aに付着した不純物等を分解除去して開口部を洗浄する透明基材洗浄工程(図1(b))を行うものである。ここで、開口部とは、上記透明基材上のブラックマトリクスが形成されていない領域をいうこととする。
本発明によれば、上記ブラックマトリクス基板形成工程後、上記透明基材洗浄工程において光触媒含有層基板を用いて透明基材側からエネルギーを照射することによって、例えばブラックマトリクスを形成する際に付着した開口部の不純物等を除去することができる。したがって、本発明により製造されたブラックマトリクス基板の開口部に、例えばカラーフィルタの画素部等を形成する際、ムラや白抜け等が発生することを防止することができ、高品質なカラーフィルタとすることができるのである。また本発明においては、エネルギー照射に伴う光触媒の作用を利用することから、照射するエネルギーとして、強いエネルギーを有する紫外光等を用いる必要がなく、特別な装置を必要としないことや、コスト等の面からも好ましいものとすることができる。
またさらに本発明においては、上記透明基材洗浄工程におけるエネルギーの照射を、透明基材側から行うことから、ブラックマトリクスが形成された領域は、エネルギーが照射されず、ブラックマトリクスが形成されていない開口部のみ、洗浄を行うことができる。したがって、エネルギー照射の際にフォトマスク等を用いる必要がないことから位置合わせ等の必要がなく、短時間で効率よく開口部の洗浄を行うことができる、という利点も有する。
以下、上述したようなブラックマトリクス基板の製造方法の各工程について説明する。
1.ブラックマトリクス基板形成工程
まず、本発明のブラックマトリクス基板形成工程について説明する。本発明におけるブラックマトリクス基板形成工程は、透明基材上にブラックマトリクスを形成する工程であり、透明基材上にブラックマトリクスを形成することが可能な方法であれば、その方法は特に限定されるものではない。このようなブラックマトリクスの形成方法は、形成されるブラックマトリクスの形成面の特性や、エネルギーに対する遮蔽性等に応じて適宜選択されて用いられる。
本工程において行われるブラックマトリクスの形成は、例えば、スパッタリング法、真空蒸着法等によって、厚み1000〜2000Å程度のクロム等の金属薄膜を形成し、この薄膜をパターニングすることにより行われてもよい。このパターニングの方法としては、スパッタ等の通常のパターニング方法を用いることができる。
また、例えば樹脂バインダ中にカーボン微粒子、金属酸化物、無機顔料、有機顔料等の遮光性粒子を含有させた層をフォトリソ法、印刷法等により形成する方法が用いられてもよい。このような方法に用いられる樹脂バインダとしては、ポリイミド樹脂、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、ポリアクリルアミド、ポリビニルアルコール、ゼラチン、カゼイン、セルロース等の樹脂を1種または2種以上混合したものや、感光性樹脂、さらにはO/Wエマルジョン型の樹脂組成物、例えば、反応性シリコーンをエマルジョン化したもの等を用いることができる。このような方法により形成されるブラックマトリクスの厚みとしては、0.5〜10μmの範囲内で設定することができる。
また、熱架橋型樹脂中にカーボン微粒子、金属酸化物、無機顔料、有機顔料等の遮光性粒子を含有させた層を熱転写法により転写する方法等が用いられてもよい。このような方法により用いられる熱架橋型樹脂としては、熱可塑性と熱硬化性とを有する樹脂組成とすることが好ましく、熱硬化性官能基を有し、かつ軟化点が50℃〜150℃の範囲内、中でも60℃〜120℃の範囲内である樹脂材料および硬化剤等により構成されることが好ましい。このような材料として具体的には、1分子中にエポキシ基を2個以上有するエポキシ化合物またはエポキシ樹脂とその潜在性硬化剤との組み合わせ等が挙げられる。このような熱架橋性樹脂を含有するブラックマトリクスの厚みとしては、通常0.5μm〜10.0μmの範囲内で設定することができる。
ここで、本工程により形成されるブラックマトリクスは、撥液性を有するものであることが好ましい。これにより、本発明のブラックマトリクス基板を用いてカラーフィルタ等を製造する際に、例えばインクジェット法等により画素部を容易に形成することが可能となるからである。また、撥液性の材料が透明基材の開口部に付着した場合には特に、この開口部上に形成された画素部等にムラや白抜け等が発生しやすいため、本発明の利点を活かすことができるといえる。
ここで、撥液性を有するとは、本発明のブラックマトリクス基板の開口部上に設けられる、例えばカラーフィルタの画素部等の機能性部の形成に用いられる機能性部形成用塗工液に対して濡れ性が低いことをいう。具体的には、このような機能性部形成用塗工液に対する接触角が30°以上、中でも40°以上、特に50°以上となるようなものであること好ましい。
なお、ここでいう機能性部形成用塗工液との接触角は、ブラックマトリクスと機能性部形成用塗工液、もしくは同等の表面張力を有する検査液等との接触角を接触角測定器(協和界面科学(株)製CA−Z型)を用いて測定(マイクロシリンジから液滴を滴下して30秒後)し、その結果から、もしくはその結果をグラフにして得たものである。
このような撥液性を有するブラックマトリクスを形成する方法としては、上述したフォトリソ法や印刷法、熱転写法等に用いられる樹脂中に撥液性を有する材料を含有させる方法等が挙げられる。このような撥液性を有する材料として具体的には、フッ素系樹脂、シリコン系樹脂、パーフルオロアルキル基含有アクリレートまたはメタクリレートを主成分とする共重合オリゴマー、疎水化処理が表面に施された微粒子等が挙げられ、市販品としては、例えばサーフロン(ランダム型オリゴマー;セイミケミカル社製)、アロンG(グラフト系オリゴマー;東亜合成化学社製)、モディバーF(ブロック型オリゴマー;日本油脂社製)、ディフェンサ(アクリル系オリゴマー;大日本インキ化学工業社製)、フルオン(ポリテトラフルオロエチレン微粒子;旭硝子社製)、等を挙げることができる。
また、フォトリソ法により撥液性を有するブラックマトリクスを形成する材料として、市販品のブラックレジスト、V259−BK(新日鐵化学社製)、CFPR−BK(東京応化工業社製)CK−S171X(富士フィルムオーリン社製)等が挙げられる。
また、上記のような撥液性を有する材料の含有量は、撥液性を有する材料の種類によっても異なるものではあるが、通常、形成されたブラックマトリクス中に0.5重量%〜60重量%の範囲内含有されることが好ましい。これにより、形成されたブラックマトリクスに撥液性を付与することが可能となり、レジストとして十分な解像度が得られるからである。
また、本工程において用いられる透明基材としては、上記ブラックマトリクスが形成可能であり、かつ後述する透明基材洗浄工程において照射されるエネルギーを透過させることが可能なものであれば特に限定されるものではない。このような透明基材は、ブラックマトリクス基板の用途等に応じて適宜選択され、例えば可撓性を有するものであってもよく、また可撓性を有しないものであってもよい。
好ましい材質としては、例えば無アルカリガラス、石英ガラス、パイレックス(登録商標)、合成石英板等の可撓性のない透明なリジット材、あるいは透明樹脂フィルム、光学用樹脂板等の可撓性を有する透明なフレキシブル材等を挙げることができる。
2.透明基材洗浄工程
次に、本発明の透明基材洗浄工程について説明する。本発明における透明基材洗浄工程は、光触媒を含有する光触媒含有層を基体上に設けた光触媒含有層基板の上記光触媒含有層が形成された側の面と、上記ブラックマトリクス基板の上記ブラックマトリクスが形成された側の面との面同士を間隙をおいて配置した後、上記ブラックマトリクス基板の上記透明基材側からエネルギーを照射して上記透明基材の開口部を洗浄する工程である。
以下、本工程に用いられる光触媒含有層基板、およびその光触媒含有層基板を用いてエネルギーを照射する方法について説明する。
(光触媒含有層基板)
まず、本工程に用いられる光触媒含有層基板について説明する。本工程に用いられる光触媒含有層基板は、光触媒を含有する光触媒含有層および基体を有するものであり、通常、基体と、その基体上に光触媒含有層が形成されているものである。以下、本工程に用いられる光触媒含有層基板の各構成について説明する。
a.光触媒含有層
まず、光触媒含有層基板に用いられる光触媒含有層について説明する。本工程に用いられる光触媒含有層は、光触媒含有層中の光触媒が、近接する透明基材の開口部上に付着した不純物等を分解除去することが可能な構成であれば、特に限定されるものではなく、光触媒とバインダとから構成されているものであってもよく、光触媒単体で製膜されたものであってもよい。また、その表面の特性は特に親液性であっても撥液性であってもよい。
光触媒含有層における、後述するような二酸化チタンに代表される光触媒の作用機構は、必ずしも明確なものではないが、光の照射によって生成したキャリアが、近傍の化合物との直接反応、あるいは、酸素、水の存在下で生じた活性酸素種によって、有機物の化学構造に変化を及ぼすものと考えられている。本発明においては、このキャリアが光触媒含有層近傍に配置される透明基材上に付着した残さ等の有機物に作用を及ぼすものであると思われる。
本発明で使用する光触媒としては、光半導体として知られる例えば二酸化チタン(TiO)、酸化亜鉛(ZnO)、酸化スズ(SnO)、チタン酸ストロンチウム(SrTiO)、酸化タングステン(WO)、酸化ビスマス(Bi)、および酸化鉄(Fe)を挙げることができ、これらから選択して1種または2種以上を混合して用いることができる。
本発明においては、特に二酸化チタンが、バンドギャップエネルギーが高く、化学的に安定で毒性もなく、入手も容易であることから好適に使用される。二酸化チタンには、アナターゼ型とルチル型があり本発明ではいずれも使用することができるが、アナターゼ型の二酸化チタンが好ましい。アナターゼ型二酸化チタンは励起波長が380nm以下にある。
このようなアナターゼ型二酸化チタンとしては、例えば、塩酸解膠型のアナターゼ型チタニアゾル(石原産業(株)製STS−02(平均粒径7nm)、石原産業(株)製ST−K01)、硝酸解膠型のアナターゼ型チタニアゾル(日産化学(株)製TA−15(平均粒径12nm))等を挙げることができる。
また、上記酸化チタンとして可視光応答型のものを用いてもよい。可視光応答型の酸化チタンとは、可視光のエネルギーによっても励起されるものであり、このような可視光応答化の方法としては、酸化チタンを窒化処理する方法等が挙げられる。
酸化チタン(TiO)は、窒化処理をすることにより、酸化チタン(TiO)のバンドギャップの内側に新しいエネルギー準位が形成され、バンドギャップが狭くなる。その結果、通常酸化チタン(TiO)の励起波長は380nmであるが、その励起波長より長波長の可視光によっても、励起されることが可能となるのである。これにより、種々の光源によるエネルギー照射の可視光領域の波長も酸化チタン(TiO)の励起に寄与させることが可能となることから、さらに酸化チタンを高感度化させることが可能となるのである。
ここで、本発明でいう酸化チタンの窒化処理とは、酸化チタン(TiO)の結晶の酸素サイトの一部を窒素原子での置換する処理や、酸化チタン(TiO)結晶の格子間に窒素原子をドーピングする処理、または酸化チタン(TiO)結晶の多結晶集合体の粒界に窒素原子を配する処理等をいう。
酸化チタン(TiO)の窒化処理方法は、特に限定されるものではなく、例えば、結晶性酸化チタンの微粒子をアンモニア雰囲気下で700℃の熱処理により、窒素をドーピングし、この窒素のドーピングされた微粒子と、無機バインダや溶媒等を用いて、分散液とする方法等が挙げられる。
光触媒の粒径は小さいほど光触媒反応が効果的に起こるので好ましく、平均粒径が50nm以下であることが好ましく、20nm以下の光触媒を使用するのが特に好ましい。
本発明における光触媒含有層は、上述したように光触媒単独で形成されたものであってもよく、またバインダと混合して形成されたものであってもよい。
光触媒のみからなる光触媒含有層の場合は、透明基材上の開口部に付着した不純物等を分解除去する効率が向上し、処理時間の短縮化等のコスト面で有利である。一方、光触媒とバインダとからなる光触媒含有層の場合は、光触媒含有層の形成が容易であるという利点を有する。
光触媒のみからなる光触媒含有層の形成方法としては、例えば、スパッタリング法、CVD法、真空蒸着法等の真空製膜法を用いる方法を挙げることができる。真空製膜法により光触媒含有層を形成することにより、均一な膜でかつ光触媒のみを含有する光触媒含有層とすることが可能であり、これにより透明基材上の開口部に付着した不純物等を分解除去することが可能であり、かつ光触媒のみからなることから、バインダを用いる場合と比較して効率的に不純物を効率よく分解除去することが可能となる。
また、光触媒のみからなる光触媒含有層の形成方法の他の例としては、例えば光触媒が二酸化チタンの場合は、基材上に無定形チタニアを形成し、次いで焼成により結晶性チタニアに相変化させる方法等が挙げられる。ここで用いられる無定形チタニアとしては、例えば四塩化チタン、硫酸チタン等のチタンの無機塩の加水分解、脱水縮合、テトラエトキシチタン、テトライソプロポキシチタン、テトラ−n−プロポキシチタン、テトラブトキシチタン、テトラメトキシチタン等の有機チタン化合物を酸存在下において加水分解、脱水縮合によって得ることができる。次いで、400℃〜500℃における焼成によってアナターゼ型チタニアに変性し、600℃〜700℃の焼成によってルチル型チタニアに変性することができる。
また、バインダを用いる場合は、バインダの主骨格が上記の光触媒の光励起により分解されないような高い結合エネルギーを有するものが好ましく、例えばオルガノポリシロキサン等を挙げることができる。
このようにオルガノポリシロキサンをバインダとして用いた場合は、上記光触媒含有層は、光触媒とバインダであるオルガノポリシロキサンとを必要に応じて他の添加剤とともに溶剤中に分散して塗布液を調製し、この塗布液を基材上に塗布することにより形成することができる。使用する溶剤としては、エタノール、イソプロパノール等のアルコール系の有機溶剤が好ましい。塗布はスピンコート、スプレーコート、ディップコート、ロールコート、ビードコート等の公知の塗布方法により行うことができる。バインダとして紫外線硬化型の成分を含有している場合、紫外線を照射して硬化処理を行うことにより光触媒含有層を形成することができる。
また、バインダとして無定形シリカ前駆体を用いることができる。この無定形シリカ前駆体は、一般式SiXで表され、Xはハロゲン、メトキシ基、エトキシ基、またはアセチル基等であるケイ素化合物、それらの加水分解物であるシラノール、または平均分子量3000以下のポリシロキサンが好ましい。
具体的には、テトラエトキシシラン、テトライソプロポキシシラン、テトラ−n−プロポキシシラン、テトラブトキシシラン、テトラメトキシシラン等が挙げられる。また、この場合には、無定形シリカの前駆体と光触媒の粒子とを非水性溶媒中に均一に分散させ、基材上に空気中の水分により加水分解させてシラノールを形成させた後、常温で脱水縮重合することにより光触媒含有層を形成できる。シラノールの脱水縮重合を100℃以上で行えば、シラノールの重合度が増し、膜表面の強度を向上できる。また、これらの結着剤は、単独あるいは2種以上を混合して用いることができる。
バインダを用いた場合の光触媒含有層中の光触媒の含有量は、5〜60重量%、好ましくは20〜40重量%の範囲で設定することができる。また、光触媒含有層の厚みは、0.05〜10μmの範囲内が好ましい。
また、光触媒含有層には上記の光触媒、バインダの他に、界面活性剤を含有させることができる。具体的には、日光ケミカルズ(株)製NIKKOL BL、BC、BO、BBの各シリーズ等の炭化水素系、デュポン社製ZONYL FSN、FSO、旭硝子(株)製サーフロンS−141、145、大日本インキ化学工業(株)製メガファックF−141、144、ネオス(株)製フタージェントF−200、F251、ダイキン工業(株)製ユニダインDS−401、402、スリーエム(株)製フロラードFC−170、176等のフッ素系あるいはシリコーン系の非イオン界面活性剤を挙げることができ、また、カチオン系界面活性剤、アニオン系界面活性剤、両性界面活性剤を用いることもできる。
さらに、光触媒含有層には上記の界面活性剤の他にも、ポリビニルアルコール、不飽和ポリエステル、アクリル樹脂、ポリエチレン、ジアリルフタレート、エチレンプロピレンジエンモノマー、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、ポリウレタン、メラミン樹脂、ポリカーボネート、ポリ塩化ビニル、ポリアミド、ポリイミド、スチレンブタジエンゴム、クロロプレンゴム、ポリプロピレン、ポリブチレン、ポリスチレン、ポリ酢酸ビニル、ポリエステル、ポリブタジエン、ポリベンズイミダゾール、ポリアクリルニトリル、エピクロルヒドリン、ポリサルファイド、ポリイソプレン等のオリゴマー、ポリマー等を含有させることができる。
ここで本発明においては、後述するようにエネルギーは透明基材側から照射され、上記ブラックマトリクスが形成された領域にはエネルギーが照射されない。したがって、光触媒含有層が例えば図1(b)に示すように、基体11の全面に形成されたものとすることができるが、例えば本工程により洗浄したい領域と、ブラックマトリクスの形成されていない領域とが異なる場合には、例えば図2に示すように、基体11上に光触媒含有層12がパターン上に形成されたものとしてもよい。これにより、透明基材側から全面にエネルギーが照射された場合であっても、目的とする領域のみ、エネルギー照射に伴う光触媒の作用により洗浄を行うことが可能となるからである。このような光触媒含有層のパターニング方法は、特に限定されるものではないが、例えばフォトリソグラフィー法等により行うことが可能である。
またこのような場合、例えば図3に示すように、上記光触媒含有層12上に光触媒含有層側遮光部14が形成されたものとしてもよい。なお、このような光触媒含有層側遮光部は、透明基材上に設けられるブラックマトリクスと同様の方法や材料により形成することができる。
b.基体
次に、光触媒含有層基板に用いられる基体について説明する。本発明においては、図1に示すように、光触媒含有層基板は、少なくとも基体11とこの基体11上に形成された光触媒含有層12とを有するものである。
本発明に用いられる基体は、上記光触媒含有層を形成可能なものであれば、特に限定されるものではなく、例えば可撓性を有する樹脂製フィルム等であってもよいし、可撓性を有さないもの、例えばガラス基板等であってもよい。
なお、基体表面と上記光触媒含有層との密着性を向上させるため、また光触媒の作用による基体の劣化を防ぐために基体上に中間層を形成するようにしてもよい。このような中間層としては、シラン系、チタン系のカップリング剤や、反応性スパッタ法やCVD法等により作製したシリカ膜等が挙げられる。
(エネルギー照射)
次に、本工程におけるエネルギー照射について説明する。本工程においては、上記ブラックマトリクスが形成された側の透明基材と、上記光触媒含有層基板の光触媒含有層とを、所定の間隙をおいて配置し、透明基材側からエネルギーを照射する。この際、上記ブラックマトリクスが形成された領域においては、エネルギーが遮蔽されることから、ブラックマトリクスが形成されていない領域である開口部のみにエネルギーを照射することができ、エネルギー照射に伴う光触媒の作用によって、開口部に付着した不純物等を除去することができるのである。
ここで、上記の配置とは、実質的に光触媒の作用が透明基材における開口部に及ぶような状態で配置された状態をいうこととし、上記光触媒含有層と上記ブラックマトリクスが密着している状態の他、所定の間隔を隔てて上記光触媒含有層と透明基材とが配置された状態とする。この間隙は、200μm以下であることが好ましい。
本発明において上記間隙は、光触媒の感度も高く、したがって開口部の洗浄の効率が良好である点を考慮すると特に0.2μm〜10μmの範囲内、好ましくは1μm〜5μmの範囲内とすることが好ましい。このような間隙の範囲は、特に間隙を高い精度で制御することが可能である小面積の開口部に対して特に有効である。
一方、例えば300mm×300mm以上といった大面積の開口部に対して処理を行う場合は、上述したような微細な間隙を光触媒含有層基板と上記開口部との間に形成することは極めて困難である。したがって、開口部が比較的大面積である場合は、上記間隙は、10〜100μmの範囲内、特に50〜75μmの範囲内とすることが好ましい。間隙をこのような範囲内とすることにより、洗浄パターンの精度の低下の問題や、光触媒の感度が悪化して不純物を分解除去する効率が悪化する等の問題が生じることなく、さらに開口部の洗浄にムラが発生しないといった効果を有するからである。
このように比較的大面積の開口部にエネルギー照射する際には、エネルギー照射装置内の光触媒含有層基板と透明基材との位置決め装置における間隙の設定を、10μm〜200μmの範囲内、特に25μm〜75μmの範囲内に設定することが好ましい。設定値をこのような範囲内とすることにより、光触媒の感度の大幅な悪化を招くことなく配置することが可能となるからである。
このように光触媒含有層と開口部表面とを所定の間隔で離して配置することにより、酸素と水および光触媒作用により生じた活性酸素種が脱着しやすくなる。すなわち、上記範囲より光触媒含有層と透明基材における開口部との間隔を狭くした場合は、上記活性酸素種の脱着がしにくくなり、結果的に不純物を分解除去する速度を遅くしてしまう可能性があることから好ましくない。また、上記範囲より間隔を離して配置した場合は、生じた活性酸素種が開口部に届き難くなり、この場合も不純物等を分解除去する速度を遅くしてしまう可能性があることから好ましくない。
このような極めて狭い間隙を均一に形成して光触媒含有層と開口部とを配置する方法としては、例えばスペーサを用いる方法を挙げることができる。そして、このようにスペーサを用いることにより、均一な間隙を形成することができるからである。また、このようなスペーサを用いることにより、光触媒の作用により生じた活性酸素種が拡散することなく、高濃度で透明基材表面に到達することから、効率よく開口部の洗浄を行うことができる。
なお、上記光触媒含有層が可撓性を有する樹脂フィルム等の可撓性を有する基体上に形成された光触媒含有層基板を用いる場合においては、上述したような間隙を設けることが難しく、製造効率等の面から、上記光触媒含有層とブラックマトリクスとが接触するように配置されていることが好ましい。
本発明においては、このような光触媒含有層基板の配置状態は、少なくともエネルギー照射の間だけ維持されればよい。
なお、本発明でいうエネルギー照射(露光)とは、光触媒含有層による透明基材の開口部の洗浄を行うことが可能ないかなるエネルギー線の照射をも含む概念であり、可視光の照射に限定されるものではない。
通常このようなエネルギー照射に用いる光の波長は、400nm以下の範囲、好ましくは380nm以下の範囲から設定される。これは、上述したように光触媒含有層に用いられる好ましい光触媒が二酸化チタンであり、この二酸化チタンにより光触媒作用を活性化させるエネルギーとして、上述した波長の光が好ましいからである。
このようなエネルギー照射に用いることができる光源としては、水銀ランプ、メタルハライドランプ、キセノンランプ、エキシマランプ、その他種々の光源を挙げることができる。これにより、本発明においては従来の基材の洗浄で用いられる、例えば低圧水銀ランプやエキシマランプ等以外の、高い出力を有するランプを用いることが可能となり、短時間で透明基材の開口部の洗浄を行うことが可能となるのである。
また、上述したような光源を用いてエネルギーを照射する方法の他、エキシマ、YAG等のレーザを用いてパターン状に描画照射する方法を用いることも可能である。
ここで、エネルギー照射に際してのエネルギーの照射量は、透明基材の開口部が光触媒含有層中の光触媒の作用により洗浄されるのに必要な照射量とする。
またこの際、光触媒含有層を加熱しながらエネルギー照射することにより、感度を上昇させることが可能となり、効率的な洗浄を行うことができる点で好ましい。具体的には30℃〜80℃の範囲内で加熱することが好ましい。
B.ブラックマトリクス基板
次に、本発明におけるブラックマトリクス基板について説明する。本発明のブラックマトリクス基板は、透明基材と、上記透明基材上にブラックマトリクスを形成したブラックマトリクス基板であって、上記ブラックマトリクス、および上記透明基材上のブラックマトリクスが形成されていない領域である開口部の液体との接触角の差が所定の範囲以上異なるものである。
一般的に、液体との接触角が高いブラックマトリクスが形成されたブラックマトリクス基板においては、ブラックマトリクス中に含有される撥液性の物質等が付着することによって、開口部も液体との接触角が高いものとなっている。そのため、この開口部上に、例えばカラーフィルタの画素部等を形成した際、画素部を形成する画素部形成用塗工液等が十分に濡れ広がらず、白抜けやムラになる場合等があった。
しかしながら、本発明のブラックマトリクス基板においては、液体との接触角が高いブラックマトリクスが形成されているが、上記開口部の液体との接触角は低いものとされ、例えば上記画素部形成用塗工液等が十分に濡れ広がることができる。また、上記ブラックマトリクスと開口部との濡れ性の差を利用して、高精細な画素部等を有するカラーフィルタ等を製造することが可能なものとすることができる。
ここで、本発明においては、上記ブラックマトリクスの40mN/mの液体との接触角が、上記開口部の40mN/mの液体との接触角より20°以上、中でも30°以上、特に40°以上高いことが好ましい。この際、上記ブラックマトリクスの40mN/mの液体との接触角と、上記開口部の40mN/mの液体との接触角との差の上限は、90°であることが好ましい。
また、上記ブラックマトリクスの40mN/mの液体との接触角は、20°以上、中でも31°〜90°、特に41°〜70°であることが好ましい。これにより、例えば本発明のブラックマトリクス基板を用いてカラーフィルタを製造する際、画素部を形成する画素部形成用塗工液等が付着しないものとすることができ、混色等のない高品質なものとすることができるからである。
またさらに、上記開口部の液体と接触角として、具体的には40mN/mの液体との接触角が15°以下、中でも11°以下、特に5°以下であることが好ましい。これにより、例えばカラーフィルタの画素部を形成する画素部形成用塗工液等が十分に濡れ広がることができ、白抜けやムラ等のないものとすることができるからである。なお、上記液体との接触角は、上述した方法により測定された値である。
なお、上述したような液体との接触角を有するブラックマトリクスとしては、カラーフィルタ等に一般的に用いられるブラックマトリクス中に、撥液性を有する材料を含有させたもの等とすることができ、これらの材料や形成方法については、上述した「A.ブラックマトリクス基板の製造方法」で説明したものと同様であるので、ここでの詳しい説明は省略する。
また、本発明に用いられる透明基材についても、上述した「A.ブラックマトリクス基板の製造方法」で説明したものを用いることができ、上記ブラックマトリクスを形成した後、「A.ブラックマトリクス基板の製造方法」で説明した透明基材洗浄工程を行うことによって、上記の液体との接触角を有するものとすることができるので、ここでの詳しい説明は省略する。
C.カラーフィルタの製造方法
次に、本発明のカラーフィルタの製造方法について説明する。本発明のカラーフィルタの製造方法は、上述したブラックマトリクス基板の製造方法により製造されたブラックマトリクス基板上に、画素部を形成する画素部形成工程を有するものである。
本発明によれば、ブラックマトリクスが形成されていない領域である開口部を洗浄する透明基材洗浄工程を有する製造方法により製造されたブラックマトリクス基板を用いてカラーフィルタを製造することから、形成された画素部に白抜け等が発生することを防止することができ、高品質なカラーフィルタとすることができるのである。
以下、本発明のカラーフィルタの画素部形成工程について説明する。
本発明における画素部形成工程における画素部の形成方法は、上述したブラックマトリクス基板のブラックマトリクスが形成されていない領域である開口部に、画素部を形成することが可能な方法であれば、特に限定されるものではない。
例えば、一般的にカラーフィルタの製造に用いられている顔料分散法等によって画素部を形成する工程としてもよいが、本発明においては特に吐出法により画素部を形成する工程であることが好ましく、中でもインクジェット法を用いて画素部を形成する工程であることが好ましい。これにより、上記開口部に高精細に画素部を形成することができ、また複数色の画素部の塗りわけ等が容易となるからである。またこの場合、上記ブラックマトリクス基板のブラックマトリクスは撥液性を有するものであることが好ましい。これにより、ブラックマトリクスの撥液性を利用して、目的とする領域内に画素部を高精細に形成することが可能となるからである。
このような画素部の形成に用いられるインクジェット装置としては、特に限定されるものではないが、帯電したインクを連続的に噴射し磁場によって制御する方法、圧電素子を用いて間欠的にインクを噴射する方法、インクを加熱しその発泡を利用して間欠的に噴射する方法等の各種の方法を用いたインクジェット装置を用いることができる。
また、本発明の画素部形成工程により形成される画素部の形状は、ストライプ型、モザイク型、トライアングル型、4画素配置型等の公知のいずれの配列とすることも可能である。
また、本発明の画素部形成の際に用いられる画素部形成用塗工液等については、一般的なカラーフィルタの画素部を形成する際に用いられるものと同様のものとすることができるので、ここでの詳しい説明は省略する。
なお、本発明は上記実施形態に限定されるものではない。上記実施形態は、例示であり、本発明の特許請求の範囲に記載された技術的思想と実質的に同一な構成を有し、同様な作用効果を奏するものは、いかなるものであっても本発明の技術的範囲に包含される。
以下に実施例を示し、本発明をさらに具体的に説明する。
[実施例1]
(ブラックマトリクス基板形成工程)
透明なガラス基板(NA-35;NHテクノガラス社製)上に、カーボンブラックを含有する黒色レジスト(新日鉄化学社製V−259BKレジスト)を塗布し、露光後、現像、ポストベーク処理を行って、膜厚1.2μm、幅20μm、開口部80μm×280μmのブラックマトリクスを透明基板上に作製した。ブラックマトリクス上の水との接触角は80°、開口部の水との接触角は35°であった。
(光触媒含有層基板の形成工程)
光触媒である酸化チタン水分散体ST−K01(石原産業(株)製)をガラス基板(NA-35;NHテクノガラス社製)上にスピンコーターにより塗布し、150℃で10分間乾燥処理し、透明な光触媒含有層(厚み0.15μm)を有する光触媒含有層基板を形成した。
(透明基材の洗浄工程)
前記光触媒含有層基板が形成されたガラス基板を、上記ブラックマトリクスが形成された側の上記透明基板および上記光触媒含有層を50μmの間隔を置いて配置し、上記透明基板側から高圧水銀ランプ(散乱光)を用いて、700mJ/cm(365nm)のエネルギーを全面照射した。その結果、開口部に付着していた不純物等が除去され、開口部のみ濡れ性が変化して、水との接触角が10°以下となった。また、ブラックマトリクス上の水との接触角は変わらず80°であった。
(画素部の形成工程)
次に、ピエゾ駆動タイプのインクジェット装置を用いて、顔料5重量部、溶剤20重量部、重合開始剤5重量部、UV硬化樹脂70重量部を含むRGB各色のUV硬化型多官能アクリレートモノマーインク(着色インク)を、開口部に付着させ着色し、これにUV処理を行い硬化させ、カラーフィルタを得た。ここで、赤色、緑色、および青色の各インクについて溶剤としてはポリエチレングリコールモノメチルエチルアセテート、重合開始剤としてはイルガキュア369(商品名、チバ・スペシャリティ・ケミカルズ(株)製)、UV硬化樹脂としてはDPHA(ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(日本化薬(株)製)を用いた。また顔料としては、赤色インクについては、C. I. Pigment Red 177、緑色インクについてはC. I. Pigment Green 36、青色インクについてはC. I. Pigment Blue 15+ C. I. Pigment Violet 23をそれぞれ用いた。
得られたカラーフィルタは、付着させたインキが開口部内に濡れ広がっているため、白抜け等が存在せず良好なカラーフィルタであった。
[実施例2]
(ブラックマトリクス基板形成工程)
透明なガラス基板(1737;コーニング社製)上に、カーボンブラックを含有する黒色レジスト(CFPR−BK;東京応化工業社製)を塗布し、露光後、現像、ポストベーク処理を行って、膜厚1.2μm、幅30μm、開口部100μm×280μmのブラックマトリクスを透明基板上に作製した。ブラックマトリクス上の水との接触角は75°、開口部の水との接触角は30°であった。
(光触媒含有層基板の形成工程)
光触媒である酸化チタン水分散体ST−K01(石原産業(株)製)をCVD法によりシリカ膜を形成させたPETフィルムのシリカ膜上に塗布し、100℃で10分間乾燥処理し、透明な光触媒含有層を有する光触媒含有層基板を形成した。
実施例1と同様に透明基板の洗浄工程、画素形成工程を経て得たカラーフィルタは、洗浄工程により開口部に付着していた不純物等が除去されていることから、付着させたインキが開口部内に濡れ広がっており、白抜け等が存在せず良好なカラーフィルタであった。
[実施例3]
(ブラックマトリクス基板形成工程)
透明なガラス基板(1737;コーニング社製)と、熱架橋型樹脂中に遮光性粒子および撥水性材料を含有する層接触するように設置し、パターン状に転写し、ポストベイクすることにより、膜厚2.0μm、幅20μm、開口部130μm×250μmのブラックマトリクスを透明基板上に作製した。ブラックマトリクス上の水との接触角は75°、開口部の水との接触角は35°であった。
(透明基板の洗浄工程)
実施例2と同様に作製した光触媒含有側基板を用い、光触媒含有側基板と上記ブラックマトリクスを有する透明基板とを接触させた状態で実施例1と同様に透明基板の洗浄工程を行ったところ、開口部に付着していた不純物等が除去され、ブラックマトリクス上の水との接触角は変わらず75°、開口部の水との接触角は5°以下であった。
実施例1と同様の画素形成工程を経て得たカラーフィルタは付着させたインキが開口部内に濡れ広がっているため、白抜け等が存在せず良好なカラーフィルタであった。
[比較例1]
透明基材の洗浄工程を行わなかった以外は実施例1と同様の工程を経てカラーフィルタを作製したところ、得られたカラーフィルタは開口部上でインキが濡れ広がりきらず、白抜け等が多く存在し不良なものであった。
[比較例2]
透明基材の洗浄工程において、エネルギーの照射を光触媒含有側基板から行った以外は実施例1と同様の工程を経てブラックマトリクス基板を作製した。ブラックマトリクス上の水との接触角は20°であり、開口部の水との接触角は5°以下であった。上記ブラックマトリクス基板を用いてカラーフィルタを作製したところ、得られたカラーフィルタはブラックマトリクス上におけるインキの混色が多数存在し、不良なものであった。
本発明のブラックマトリクス基板の製造方法の一例を示す工程図である。 本発明のブラックマトリクス基板の製造方法に用いられる光触媒含有層基板の一例を示す概略断面図である。 本発明のブラックマトリクス基板の製造方法に用いられる光触媒含有層基板の他の例を示す概略断面図である。
符号の説明
1 …基材
2 …ブラックマトリクス
3 …エネルギー
11…基体
12…光触媒含有層
13…光触媒含有層基板

Claims (4)

  1. 透明基材上にブラックマトリクスを形成するブラックマトリクス基板形成工程と、
    光触媒を含有する光触媒含有層を基体上に設けた光触媒含有層基板の前記光触媒含有層が形成された側の面と、前記ブラックマトリクス基板の前記ブラックマトリクスが形成された側の面との面同士を間隙をおいて配置した後、前記ブラックマトリクス基板の前記透明基材側からエネルギーを照射して前記透明基材の開口部を洗浄する透明基材洗浄工程と
    を有することを特徴とするブラックマトリクス基板の製造方法。
  2. 前記ブラックマトリクスが撥液性を有することを特徴とする請求項1に記載のブラックマトリクス基板の製造方法。
  3. 請求項1または請求項2に記載のブラックマトリクス基板の製造方法により製造されたブラックマトリクス基板上に、画素部を形成する画素部形成工程を有することを特徴とするカラーフィルタの製造方法。
  4. 前記画素部形成工程がインクジェット法により行われることを特徴とする請求項3に記載のカラーフィルタの製造方法。
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