JP4400862B2 - 生分解性ポリエステル系成形体用の処理剤 - Google Patents
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Description
本発明に係る高分子化合物は両性であり、その側鎖に、(ポリ)オキシアルキレン鎖、カルボキシル基および/またはその塩、およびポリアマイドポリアミン鎖を有している水溶性の高分子化合物でなければならない。これらの側鎖を有することで、上記した各種効果が発揮されるからである。なお、本明細書において「側鎖」とは、重合反応に関与する炭素原子に連結している部分であって、重合反応には関与しない部分であり、本発明の高分子化合物では、(ポリ)オキシアルキレン鎖、カルボキシル基および/またはその塩、およびポリアマイドポリアミン鎖が、重合反応に関与する炭素原子に直接または他の基を介して連結していればよい。
ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により、カラムは、OHpak SB-803HQとOHpak SB-804HQ(いずれも昭和電工社製)を、溶離液として、50mM硝酸ナトリウム水溶液とアセトニトリルとの比が80:20の混合液(体積比)を用い、示差屈折計を検出器として、Mwを測定した。ポリエチレングリコール標準試料を用いた検量線から換算して求めた。
撹拌器付き反応容器に、ジエチレントリアミン(DETA;c−1)103部(1.00モル)、アジピン酸(c−2)97.3部(0.67モル)を仕込み、窒素を導入しながら窒素雰囲気下で撹拌した。150℃になるまで昇温して、縮重合に伴って生成する水を反応系外に除去しながら、中間縮合物の酸価が22となるまで20時間反応させた。次にハイドロキノンメチルエーテル1.1部、メタクリル酸(c−3)27.5部(0.32モル)を仕込み、同温度(150℃)で10時間反応させた。反応留出水の合計42部と共にポリアマイドポリアミン鎖を有するメタクリレート(最終縮合物)187部(融点122℃、酸価23)が得られた。このメタクリレートの全量(187部)を水213部に溶解させ、50℃まで昇温した。同温度(50℃)でエチレンオキサイド132部(最終縮合物のイミノ基に対し、3.0モルに相当する)を4時間かけて逐次導入し、2時間の熟成を行った。ポリアマイドポリアミン鎖を有し、エチレンオキサイドが3モル付加されたメタクリレート(C1)の水溶液(固形分60%)532部が得られた。
表1に示したように(メタ)アクリレート(C)の原料化合物(c−1)〜(c−3)の種類と量を変えた以外は合成例1と同様にしてポリアマイドポリアミン鎖を有する(メタ)アクリレート(C2)〜(C3)を合成した。
撹拌器付き反応容器に水502部を仕込み、窒素を導入して、反応容器内を窒素雰囲気とし、80℃まで昇温した。水53部と、メトキシポリエチレングリコールモノメタクリレート(A1;分子量1068;エチレンオキサイドの付加モル数22モル;表2ではME100と表記)171部、メタクリル酸(B1)53部、および上記合成例1で合成したメタクリレート(C1)の水溶液(固形分60%)66部の混合物(各単量体の固形分基準の重量比はA1:B1:C1=65%:20%:15%であり、表2にはこの重量比を記載)と、10%チオグリコール酸アンモニウム水溶液52.9部とを、各々2時間かけて容器内へ滴下すると共に、10%過硫酸ソーダ水溶液66部を2.5時間かけて容器内へ滴下しながら、重合を行った。滴下終了後2時間熟成した。冷却した後、25%アンモニア水溶液でpHが7.0になるまで中和を行い、水溶性の高分子化合物No.1の水溶液を得た。この高分子化合物No.1のMwは32,000であった。
モノマー組成を表2に示したように変えた以外は重合例1と同様にして水溶液重合を行い、表2の高分子化合物を合成した。なお、表2中、略語の意味は下記の通りであり、重合例No.11〜13は比較例用の重合例である。
ME20:メトキシポリエチレングリコールメタクリレート(分子量268;エチレンオキサイドの付加モル数4モル)
ME200:メトキシポリエチレングリコールメタクリレート(分子量2068;エチレンオキサイドの付加モル数45モル)
AA:アクリル酸
MAA:メタクリル酸
重合例No.1〜10で得られた高分子化合物を処理剤として用いて、ポリ乳酸系繊維からなる布帛を処理し、濃色性、摩擦堅牢度、柔軟性および帯電防止性の試験を以下の方法に従って行った。それぞれを実施例1〜10とし、結果を表3に示す。
重合例No.11〜13で得られた高分子化合物を処理剤として用いて、ポリ乳酸系繊維からなる布帛を処理し、濃色性、摩擦堅牢度、柔軟性および帯電防止性の試験を以下の方法に従って行った。それぞれを比較例1〜3とし、結果を表3に示す。
染料 : Trial Blue 02 1%o.w.f.
処理剤 : 1.0g/L(固型分換算)
80%酢酸: 0.3ml/L
浴比 : 1:20
温度・時間: 110℃×30分
染色機 : カラーマスター12(辻井染機工業製)
ポリ乳酸系繊維からなる布帛を上記条件で処理し、水洗・乾燥後に処理布の濃色性、摩擦堅牢度、柔軟性、帯電防止性を下記のように試験した。
<判定方法>
東京電色製の色差計(COLOR ACE MODEL TCA-1)により処理布のL値を測定した。L値は明度指数といい数値が小さいほど濃色効果が優れていることを意味する。
<判定方法>
処理布を摩擦堅牢度試験に供した。摩擦堅牢度試験は、上記の処理布を20℃、40%RHの恒温室内に24時間放置したものを用い、JIS L−0849に従って行った。
<判定方法>
処理布の柔軟性を触感法により判定した。
○ ・・・優れる
△ ・・・劣る
× ・・・不良
<判定方法>
処理布を20℃、40%RHの恒温室内に24時間放置したものを用い、JIS L−1094に従って、ロータリースタティックテスターを用いて1分後の摩擦静電気(V)を測定した。
製法
L体比率が98.8%、相対粘度が3.08、モノマー含有量が0.28重量%であるポリ乳酸を用いて紡糸・延伸した。得られたマルチフィラメント延伸糸56dtex(デシテックス)/48f(フィラメント)の引っ張り強度は4.73cN/dtex、伸度は28.7%、沸水収縮率は11.6%であった。
上記フィラメントを原料として、30インチ丸編み機にて28ゲージで、インターロックを作成した。
原料であるポリマー(ポリ乳酸)およびそれを延伸して得られた延伸糸の物性の分析を以下の方法で行った。
<モノマー含有量>
ポリマーを10mg/mLの濃度になるようクロロホルムに溶かした。クロロホルムを溶媒としてGPC分析を行い、分子量を測定した。検出器はRIを用い、分子量の標準物質としてポリスチレンを用いた。分子量1000以下の成分の割合からポリマー中のモノマー含有量を算出した。
フェノール/テトラクロロエタン=60/40(重量比)の混合溶媒にポリマーを1g/dLの濃度になるよう溶解し、20℃でウベローデ粘度管を用いて相対粘度を測定した。
ポリマーを加水分解させ、1.0mol/Lのメタノール性水酸化ナトリウム溶液を溶媒として、高速液体クロマトグラフィー(HPLC:島津製作所製、LC10AD型)を使ってL体の比率を求めた。
引っ張り試験機(島津製作所製、RTM−100)を用い、試料長20cm、速度20cm/分で引っ張り試験を行った。破断強度を引っ張り強度、破断伸度を伸度とした。
初期値50cmの試料に、初期荷重200mgをかけて沸騰水中に15分間浸漬し、5分間風乾した後、次式により沸水収縮率を求めた。
沸水収縮率(%)=(初期試料長−収縮後の試料長)/初期試料長×100
○…処理剤が濃色性、摩擦堅牢度、柔軟性、帯電防止性の全ての性能を満たしている。
△…処理剤が濃色性、摩擦堅牢度、柔軟性、帯電防止性のいずれかの性能を満たしている。
×…処理剤が濃色性、摩擦堅牢度、柔軟性、帯電防止性の全ての性能を満たしていない。
Claims (10)
- 生分解性ポリエステル系成形体用の処理剤であって、側鎖に(ポリ)オキシアルキレン鎖、カルボキシル基および/またはその塩、およびポリアマイドポリアミン鎖を有する高分子化合物を含み、前記処理が濃色化、堅牢度向上、柔軟性付与または帯電防止性付与であることを特徴とする前記処理剤。
- 該高分子化合物が、(ポリ)オキシアルキレン鎖を有する(メタ)アクリレート(A)、(メタ)アクリル酸および/またはその塩(B)、およびポリアマイドポリアミン鎖を有する(メタ)アクリレート(C)を含む単量体混合物の重合によって得られることを特徴とする請求項1に記載の処理剤。
- 該高分子化合物が、(ポリ)オキシアルキレン鎖を有する(メタ)アクリレート(A)20〜90重量%、(メタ)アクリル酸および/またはその塩(B)2〜40重量%、およびポリアマイドポリアミン鎖を有する(メタ)アクリレート(C)5〜90重量%(ただし、(A)、(B)および(C)の合計量を100重量%とする)を含む単量体混合物の重合によって得られることを特徴とする請求項1または2に記載の処理剤。
- 該ポリアマイドポリアミン鎖を有する(メタ)アクリレート(C)が、ポリアルキレンポリアミン(c−1)1モルに対し、二塩基酸および/または二塩基酸の炭素数1〜4の低級アルコールとのエステル(c−2)0.5〜0.95モルと、(メタ)アクリル酸および/またはその反応性誘導体(c−3)0.05〜1.0モルとを反応させて得られた反応生成物であることを特徴とする請求項2〜4のいずれか1項に記載の処理剤。
- 該ポリアマイドポリアミン鎖を有する(メタ)アクリレート(C)が、そのイミノ基1モルに対して、炭素数2〜4のアルキレンオキサイドを16モル以下の割合で付加されることによって、(ポリ)オキシアルキレン鎖をさらに有することを特徴とする請求項2〜5のいずれか1項に記載の処理剤。
- 該高分子化合物が、異なる組成の2以上の単量体混合物を個別に重合して得られる2種以上の高分子化合物の混合物である請求項1〜6のいずれか1項に記載の処理剤。
- 濃色性を付与する染色助剤として使用される請求項1〜7のいずれか1項に記載の処理剤。
- 生分解性ポリエステル系成形体がポリ乳酸繊維である、請求項1〜8のいずれか1項に記載の処理剤。
- 請求項1〜9のいずれか1項に記載の処理剤を用いて得られた生分解性ポリエステル系成形体。
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