JP4400459B2 - カラム法によるアミノ酸又はその塩の製造方法及びその製造装置 - Google Patents

カラム法によるアミノ酸又はその塩の製造方法及びその製造装置 Download PDF

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Description

本発明は、炭酸型のアニオン交換樹脂を用いたアミノ酸含有水溶液からのアミノ酸又はアミノ酸塩の製造方法及び吸着工程や溶離工程から発生する副生成物量を減じ、かつ貫流液及び溶離液からの溶離剤を回収し、これを再利用するシステムに関する。
アミノ酸含有水溶液からアミノ酸を単離精製する方法において、イオン交換樹脂を用いた精製法は、最も古典的かつ代表的な単位操作方法の一つである。アミノ酸は両性電解質であるため、その精製には陽イオン交換樹脂、陰イオン交換樹脂のいずれを用いることも可能である。一般には強酸性のカチオン交換樹脂を使用する例が最も多く、この場合は適当な水素イオン濃度に調節された発酵液を樹脂塔に通液し、吸着したアミノ酸をアンモニウム水溶液により溶離、回収する方法が一般的である。飼料用アミノ酸の一つであるL−リジンの陽イオン交換樹脂による精製が、代表的な例である。イオン交換樹脂法は、晶析分離法や電気透析法などの分離法と比べると、エネルギーコストが小さく、また膜分離法と比べると、装置コストが小さい等のメリットがある。
イオン交換樹脂法は、大きく吸着工程と溶離工程に分けられる。吸着工程とは、アミノ酸(AA)を樹脂(Resin)に吸着させる吸着工程(下記、式(1))であり、溶離工程とは所定の溶離剤液(E)を用いて樹脂に吸着したアミノ酸を溶離する工程(下記、式(2))である。
Figure 0004400459
このようなイオン交換樹脂処理操作において、吸着工程から排出され、イオン交換樹脂への非吸着物質を含んだ液は貫流液、又溶離工程から排出され、アミノ酸を含んだ液は溶離液と言う。イオン交換樹脂処理法の問題点は、第一に、溶離液中に目的物質であるアミノ酸だけでなく溶離剤が含まれため、これを分離する必要が生じることである。イオン交換反応は平衡反応であるため、アミノ酸をイオン交換樹脂から溶離させるためにアミノ酸量に対し必ずモル換算で過剰の溶離剤を必要とする。これは下記、式(3)で示すことができる。
Figure 0004400459
(但し、 n>1)
従って、過剰な溶離剤(式(3)中の(n−1)E)が溶離液に混入するため、溶離工程の後には必ずアミノ酸と溶離剤との分離が必要となる。溶離剤がアンモニウム成分のような揮発性物質の場合は溶離液を単に濃縮するだけで過剰な溶離剤を除去することは平易であるが、不揮発性の塩類などの場合は分離が難しく、これによりプロセス全体が複雑化し、製造コストの上昇は避けられなかった。
第二の問題点は貫流液中にも存在する溶離剤の分離である。貫流液にはアミノ酸含有水溶液中の非吸着物質だけでなく、式(1)の右辺のEに示すように、アミノ酸がイオン交換樹脂に吸着することによりイオン交換樹脂から溶離剤が溶離される。この溶離剤は、発酵液中の非吸着物質と塩類を形成する等して副生成物となるのが普通である。例えばカチオン交換樹脂で溶離剤にアンモニウム成分を用いてリジン発酵液を精製する場合、発酵液中の硫酸イオンと溶離剤のアンモニウム成分が結合し、硫酸アンモニウムが生成する。
このような副生成物が、揮発性物質等で回収が容易であれば良いが、通常は安定な塩類であるため、プロセスの最後まで残存してしまう。従って、イオン交換樹脂法を用いた発酵液の精製方法においては、相応の副生成物が発生することが避けられなかった。
このようなイオン交換樹脂法の欠点を克服するひとつの方法として、二酸化炭素ガスを所定の圧力下で水に溶解させて得られる炭酸水溶液を溶離剤液とし、アニオン交換樹脂を用いて吸着したアミノ酸をイオン交換する方法が知られている(Pasztor,Zs.;Chanel,S.;Grevillot,G.Elution of amino acids from anion exchange columns by means of an aqueous solution of carbon dioxide under pressure.AIChE Annual Meeting,Miami,Nov 15−19,1998)。この方法では、得られた溶離液を常圧に開放すると、溶離液に存在する溶離剤すなわち炭酸イオンはガス化して揮発するため、式(4)に示すように溶離液中に溶離剤が残存しない。従って溶離工程後の溶離剤と目的物質の分離が不要となり、溶離液の精製が簡略化される。
Figure 0004400459
(ここで n>1)
この方法には三つの問題点がある。第一は、アミノ酸を溶離した後の炭酸型のアニオン交換樹脂にアミノ酸を再吸着させる吸着工程において式(5)及び式(6)に示したように二酸化炭素ガスが発泡することである。
Figure 0004400459
二酸化炭素ガスがカラム内で発生すると、液の偏流(チャネリング)が起こるため、スムーズなイオン交換が行われない。第二は、アミノ酸をアニオン交換樹脂に再吸着させるためには、炭酸型のアニオン交換樹脂を一度OH型のアニオン交換樹脂に再生する必要があり、その為に工程が複雑となることである。工業化には、炭酸型のアニオン交換樹脂に直接アミノ酸を吸着させることが好ましい。第三は、溶離工程において溶離可能なアミノ酸が中性アミノ酸に限られていることである。この溶離反応は水素イオン濃度が中性近傍で行われるが、例えばアミノ酸が酸性アミノ酸の場合、中性付近では酸性アミノ酸はアニオンの形態を取るため、一度樹脂から溶離されたアミノ酸は直ちに樹脂に再吸着する。通常のイオン交換反応は、微視的にはこれを繰り返しながら進行するが、二酸化炭素ガスを水に溶解させた炭酸水溶液を溶離剤液に用いる場合、溶離剤液中の炭酸イオン濃度は低く、再吸着したアミノ酸を再溶離するのに必要な炭酸イオンが必ずしも十分ではない。その結果酸性アミノ酸では十分な溶離ができなくなる。
一方、アンモニウム根と炭酸根等の溶離剤の回収に関し、例えば特開昭55−139815は水溶液に含まれるアンモニウム成分を分留した後、残留液相中の二酸化炭素をガス状二酸化炭素として得る方法を開示している。
本発明は中性、酸性または塩基性の各種アミノ酸含有水溶液からアニオン交換樹脂を用いてアミノ酸又はその塩を製造、精製すること、吸着工程や溶離工程から発生する副生成物量を減じ、かつ貫流液及び溶離液からの溶離剤を回収し、これを再利用できるシステムを構築することにある。
本発明の第1は炭酸型のアニオン交換樹脂が充填された加圧状態の耐圧カラム中をアミノ酸含有水溶液が通過する間に、これに含まれる遊離アミノ酸を該アニオン交換樹脂に吸着させる吸着工程、次に加圧状態の該耐圧カラムに炭酸水素イオン及び/又は炭酸イオンを含む溶離剤液を加圧下で注入し、該アニオン交換樹脂に吸着したアミノ酸を溶離させ、同時に該アニオン交換樹脂を炭酸型に再生することを含む溶離工程を経ることにより、アミノ酸又はその塩を得ることを特徴とするアミノ酸又はその塩の製造方法、
発明の第2はアミノ酸含有水溶液に含まれるアミノ酸が酸性アミノ酸、中性アミノ酸又は塩基性アミノ酸であることを特徴とする発明の第1記載のアミノ酸又はその塩の製造方法、
発明の第3は中性アミノ酸がシスチン、フェニルアラニン、スレオニン、チロシン、セリン、トリプトファン、チトルリン、イソロイシン、ロイシン、バリン、アラニン、プロリン、グルタミン、メチオニン、グリシンであり、酸性アミノ酸がグルタミン酸又はアスパラギン酸であり、塩基性アミノ酸がリジン、オルニチン、アルギニン、ヒスチジンであることを特徴とする発明の第1乃至2記載のアミノ酸又はその塩の製造方法、
発明の第4は加圧状態が少なくとも0.1MPaであることを特徴とする本発明の第1乃至3記載のアミノ酸又はその塩の製造方法、
発明の第5は溶離剤液が中性アミノ酸用として炭酸及び炭酸水素水溶液、炭酸アンモニウム水溶液、炭酸水素アンモニウム水溶液、酸性アミノ酸用として炭酸アンモニウム水溶液、炭酸水素アンモニウム水溶液、塩基性アミノ酸用として炭酸アンモニウム水溶液、炭酸水素アンモニウム水溶液であることを特徴とする本発明第1乃至4記載のアミノ酸又はその塩の製造方法であり、
発明の第6はアミノ酸含有水溶液中のアミノ酸をアニオン交換樹脂に吸着する吸着工程及び吸着したアミノ酸を該アニオン交換樹脂から溶離する溶離工程を行い、少なくとも耐圧カラム(A)、貯留槽(B)及びこれらを結ぶ移送パイプ(C)で構成され、該耐圧カラム(A)は下部出口付近に貫流液または溶離液等の排出を調整するバルブ、上部に内圧調整するバルブを具備し、該貯留槽(B)は空気及び/又は不活性ガス、二酸化炭素ガスによる加圧設備及びアミノ酸含有水溶液、溶離剤液又は水ならびに溶離剤等の供給と調整するバルブ付のラインを有し、ガス体や液体を貯留し、下部出口付近に排出量を制御するバルブを具備し、該移送ライン(C)は液体送流用のポンプを具備することもできることを特徴とするアミノ酸又はその塩の製造装置、
発明の第7はアミノ酸含有水溶液に含まれるアミノ酸が酸性アミノ酸、中性アミノ酸又は塩基性アミノ酸であることを特徴とする本発明第6記載のアミノ酸又はその塩の製造装置、
発明の第8は中性アミノ酸がシスチン、フェニルアラニン、スレオニン、チロシン、セリン、トリプトファン、チトルリン、イソロイシン、ロイシン、バリン、アラニン、プロリン、グルタミン、メチオニン、グリシンであり、酸性アミノ酸がグルタミン酸又はアスパラギン酸であり、塩基性アミノ酸がリジン、オルニチン、アルギニン、ヒスチジンであることを特徴とする請求項6乃至7記載のアミノ酸又はその塩の製造装置、
発明の第9は溶離剤液が中性アミノ酸用として炭酸及び炭酸水素水溶液、炭酸アンモニウム水溶液、炭酸水素アンモニウム水溶液であり、酸性アミノ酸用として炭酸アンモニウム水溶液、炭酸水素アンモニウム水溶液であり、塩基性アミノ酸用として炭酸アンモニウム水溶液、炭酸水素アンモニウム水溶液あることを特徴とする本願発明第6乃至8記載のアミノ酸又はその塩の製造装置であり、
発明の第10は本発明1乃至5記載の酸性アミノ酸アンモニウム塩含有の溶離液を常圧下で、必要に応じて加温することにより、溶離液中の過剰な二酸化炭素成分、炭酸イオンとアンモニウム成分を除去し、これに酸性アミノ酸とほぼ当モル量の水酸化ナトリウム又は水酸化カリウムを添加し、酸性アミノ酸ナトリウム又は酸性アミノ酸カリウム水溶液を得、そして水溶媒を除去することを特徴とする酸性アミノ酸含有水溶液から酸性アミノ酸ナトリウム又は酸性アミノ酸カリウムの製造方法であり、
発明の第11は本発明1乃至5記載の塩基性アミノ酸含有溶離液を常圧下で、必要に応じて加温することにより、溶離液中の過剰な二酸化炭素成分、炭酸イオンとアンモニウム成分を除去し、これに塩基性アミノ酸とほぼ当モル量の塩酸を添加し、得られた塩基性アミノ酸塩酸塩水溶液の水溶媒を除去することを特徴とする塩基性アミノ酸含有水溶液からの塩基性アミノ酸塩の製造方法であり、
発明の第12は炭酸型のアニオン交換樹脂が充填された加圧状態の耐圧カラム中をアミノ酸含有水溶液が通過する間に、これに含まれる遊離アミノ酸を該アニオン交換樹脂に吸着させる吸着工程を経て該耐圧カラムより排出された貫流液及び/又は加圧状態の該耐圧カラムに炭酸水素イオン及び/又は炭酸イオンを含む溶離剤液を加圧下で注入し、該アニオン交換樹脂に吸着したアミノ酸を溶離させ、同時に該アニオン交換樹脂を炭酸型に再生することを含む溶離工程を経て該耐圧カラムより排出され、アミノ酸又はその塩が除去された溶離液を加熱又は必要により加熱減圧することにより、炭酸イオン、酸性炭酸イオンまたはアンモニウムイオンを気化させ二酸化炭素ガス又はアンモニアガスとして回収することを特徴とする溶離剤回収方法である。
図1は本発明のアニオン交換樹脂法によるアミノ酸又はその塩の製造装置である。
図2は本発明の溶離液又は貫流液中に存在する溶離剤成分又はpH調整、窒素源としてのアンモニウム成分の回収装置である。
図3は酸性アミノ酸の炭酸型アニオン交換樹脂からの溶離曲線である。
図4は中性アミノ酸の炭酸型アニオン交換樹脂からの溶離曲線である。
図5は塩基性アミノ酸の炭酸型アニオン交換樹脂からの溶離曲線である。
符号の説明
(A),a 耐圧カラム
(B),b 貯留槽
(C) 移送ライン
c バルブ
d 空気ライン
e バルブ
f バルブ
g ポンプ
h バルブ
i 二酸化炭素ガスライン
j 冷却水ライン
k 冷却水ライン
l 冷却水ライン
m 冷却水ライン
n バルブ
o 発酵液、水、アンモニウム水溶液フィード口
p バルブ
q 液抜きライン
r バルブ
s 貫流液、洗浄廃液、溶離液抜きライン
t ポンプ
u バルブ
v1、v2 蒸気ライン
w1、w2 コンプレッサ
x アンモニアガスライン
y 二酸化炭素ガスライン
z 貫流液、洗浄廃液、溶離液抜きライン
da 脱気槽
sp 分離装置
本発明は各種アミノ酸の炭酸型アニオン交換樹脂への吸着工程と吸着したアミノ酸を溶離剤液により溶離工程と同時並行して該アニオン交換樹脂を炭酸型に再生することを含む。さらに、アミノ酸を含む溶離液を得る溶離工程及び溶離液を濃縮、精製等の処理をし、アミノ酸又はアミノ酸塩を得る製造工程を含む。
吸着工程では、耐圧カラムに必要により水素イオン濃度を調整したアミノ酸含有水溶液をフィードし、これが耐圧カラムを通過する間にこれに含まれる遊離アミノ酸を、該耐圧カラムに充填された炭酸型アニオン交換樹脂に吸着させる。次に溶離工程は加圧状態の耐圧カラムに炭酸水素イオン及び/又は炭酸イオンを含む溶離剤液を注入し、該アニオン交換樹脂に吸着したアミノ酸を溶離させ、同時に該アニオン交換樹脂を炭酸型に再生する。以下、本発明の特徴を工程毎にさらに詳細に述べる。
<吸着工程>
吸着工程は加圧下の耐圧カラム中で行う。この加圧状態を維持するために耐圧カラムに気体により直接加圧可能な加圧設備が備えられている場合は、空気、ヘリウム、窒素、アルゴン等の水にほとんど不溶な気体を用いて耐圧カラムを圧力0.1MPa以上で加圧する。また気体による加圧設備によらず貯留槽の水圧を利用して直接0.1MPa以上に加圧してもよい。必要な水圧は、貯留槽を高所に置くことや、貯留槽をガスで加圧させる等により維持させることができる。
次いでアミノ酸含有水溶液を供給し、遊離アミノ酸をアニオン交換樹脂へ吸着させる。この時アニオン交換樹脂から炭酸イオンがフィード液中に溶出するが、耐圧カラム内が加圧されているため二酸化炭素ガスは発泡しない。従って常圧では生じるアニオン交換樹脂塔内での泡に起因した液の偏流は起こらず、イオン交換反応はスムーズに進む。なおフィード液の水素イオン濃度は、アミノ酸のイオン形態が、アニオンとなる領域に設定する必要がある。この時用いる水素イオン濃度調整液は後述するように貫流液からの回収が容易なアンモニアを用いて行う。
水素イオン濃度の調整は酸性、中性又は塩基性の各種アミノ酸では異なる。酸性アミノ酸はその水溶液がpH7付近の中性であっても酸性アミノ酸自身がマイナスに荷電しているので水素イオン濃度を調整しなくてもアニオン交換樹脂に酸性アミノ酸を吸着できる。必要ならさらにアンモニウム成分で水素イオン濃度調整することは何ら差し支えない。中性アミノ酸では水溶液がpH7の状態である場合、中性アミノ酸はマイナスに荷電していない。従ってこのままではアニオン交換樹脂に吸着させることはできない。そこで中性アミノ酸をマイナスに荷電させるためにアルカリを加える。アルカリは水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、アンモニウム水溶液等の各水溶液を用いることができるが、本願発明の目的である貫流液中の副生成物である塩類の減少、溶離剤の回収、再生利用との観点からアンモニウム水溶液、液体アンモニアを使用することが好ましい。塩基性アミノ酸は水溶液がpH7の状態である場合、塩基性アミノ酸はマイナスに荷電していない。そこで中性アミノ酸同様、マイナスに荷電する水素イオン濃度までアルカリを加える。アルカリはアンモニウム水溶液、液体アンモニアを使用することが好ましい。
本発明に使用するアミノ酸含有水溶液とは固形化する塩を含まない予め精製された水溶液のみならず、アミノ酸発酵液未精製状態のアミノ酸発酵であっても同様に処理することができる。発酵液を除菌や脱色、水素イオン濃度調整等所定の前処理を施した水溶液、ならびに発酵原料としてモラセス、コーンスターチ等の糖源と栄養素、無機物を用いて所定の生産菌により好気発酵を行って得られたアミノ酸発酵液そのものも含む。この場合、本発明を実施するためには膜分離や遠心分離等による菌体除去や脱色など所定の前処理を施しておくことが望ましい。
本発明に用いる耐圧カラムはガラス又はステンレス等で製作した少なくとも0.1MPaの耐圧を有し、好ましくはプロセス液の温度管理ができるようにジャケット等の温度調節機を備えたアニオン交換樹脂を充填した耐圧カラムである。この耐圧カラムは加圧状態を維持するために空気、ヘリウム、窒素、アルゴン等の水にほとんど不溶な気体による加圧装置を備えることもできる。
各種アミノ酸のうち、中性アミノ酸はシスチン、フェニルアラニン、スレオニン、チロシン、セリン、トリプトファン、チトルリン、イソロイシン、ロイシン、バリン、アラニン、プロリン、グルタミン、メチオニン又はグリシンン等であり、酸性アミノ酸はグルタミン酸又はアスパラギン酸等であり、塩基性アミノ酸はリジン、アルギニン、オルニチン又はヒスチジン等である。これらのアミノ酸は、L体、D体もしくはラセミ体のいずれでもよい。
<溶離工程>
アミノ酸吸着樹脂からアミノ酸を溶離する溶離工程について説明する。溶離剤液の調整は、炭酸水溶液の場合、水を張った貯留槽に二酸化炭素ガスを吹き込み所定の圧力をかけることにより行う。溶離剤液が炭酸アンモニウム水溶液の場合、水を張った貯留槽に二酸化炭素ガスとアンモニアガスを吹き込み所定の圧力をかけるか、アンモニウム水溶液に二酸化炭素ガスを吹き込み所定の圧力をかけることにより行う。具体的には溶離剤液は貯留槽に水又はアンモニウム水溶液をフィードし、次いで二酸化炭素ガスを吹き込み定常とする。その際定常時での貯留槽の圧力が、0.1MPa以上となるようにして得る。貯留槽内の濃度が素早く均一になるように、貯留槽には撹拌機や自己循環式のポンプを具備させることが望ましい。温度は、二酸化炭素ガスの溶解度を上げるため低温である方が好ましいが、低溶解度のアミノ酸の場合は注意が必要である。この時の化学反応は、式(7)乃至式(10)のようになる。
水に二酸化炭素ガスを溶かす場合
Figure 0004400459
アンモニウム水溶液に二酸化炭素ガスを溶かす場合
Figure 0004400459
このように加圧下で調整した炭酸水溶液又は炭酸アンモニウム水溶液を耐圧カラムにフィードする。この場合中性アミノ酸には炭酸水溶液、炭酸水素水溶液、炭酸アンモニウム水溶液又は、炭酸水素アンモニウム水溶液を、酸性アミノ酸には炭酸アンモニウム水溶液、炭酸水素アンモニウム水溶液を、塩基性アミノ酸には炭酸アンモニウム水溶液、炭酸水素アンモニウム水溶液をそれぞれ用いる。これらの炭酸水溶液、炭酸水素水溶液、炭酸アンモニウム水溶液又は炭酸水素アンモニウム水溶液を用いてアニオン交換樹脂に吸着したアミノ酸をアニオン交換樹脂から溶離する。その際の耐圧カラムの圧力は、二酸化炭素ガスを用いて0.1MPa以上とするが、耐圧カラム内での二酸化炭素ガスの発泡抑制のため、好ましくは溶離液を貯える貯留槽よりもわずかでも高い方がよい。イオン交換に寄与するイオンは、式(7)乃至式(10)で発生した炭酸イオン(CO 2−)や炭酸水素イオン(HCO )のアニオンである。この時のイオン交換反応を化学式により記述すると以下のようになる。
溶離剤液が炭酸水素水溶液の場合
Figure 0004400459
(但し、AANは中性アミノ酸残基、AAN−Hはフリー体の中性アミノ酸である。)
溶離剤液が炭酸水溶液の場合
Figure 0004400459
(但し、AANは中性アミノ酸残基、AAN−Hはフリー体の中性アミノ酸である。)
溶離剤液が炭酸水素アンモニウム水溶液の場合
Figure 0004400459
(但し、AAAは酸性アミノ酸残基、AAA−NH4は酸性アミノ酸アンモニウム塩である。)
溶離剤液が炭酸アンモニウム水溶液の場合
Figure 0004400459
(但し、AAAは酸性アミノ酸残基、AAA−NH4は酸性アミノ酸アンモニウム塩である。)
Figure 0004400459
(但し、AANは中性アミノ酸残基、AAN−NH4は中性アミノ酸アンモニウム塩である。)
Figure 0004400459
(但し、AANは中性アミノ酸残基、AAN−NH4は中性アミノ酸アンモニウム塩である。)
Figure 0004400459
(但し、AABは塩基性アミノ酸残基、AAB−HCOは塩基性アミノ酸炭酸塩である。)
Figure 0004400459
(但し、AABは塩基性アミノ酸残基、AAB−NH4は塩基性アミノ酸炭酸塩である。)
この場合、溶離した際のアミノ酸のイオン形態は±と+の混合物になる。塩基性アミノ酸(1価)炭酸塩はAAB−HとAAB−HCOとの混合物になる。
アニオン交換樹脂には、上記、式(11)〜式(18)に示したようにアミノ酸を遊離した後、溶離剤液中に含まれる炭酸イオン又は炭酸水素イオンがアミノ酸に代わって吸着する。従ってこの再生された炭酸型のアニオン交換樹脂は、このまま次の吸着工程の樹脂として再利用することができる。
溶離剤に炭酸水溶液や炭酸水素水溶液を用いた場合、式(11)、式(12)のように溶離液中に得られるアミノ酸は遊離体となるが、溶離剤液に炭酸アンモニウム水溶液を用いた場合には、式(13)、式(14)、式(15)、式(16)、式(17)及び式(18)のようにアミノ酸のアンモニウム塩、炭酸塩が得られる。通常製品アミノ酸は遊離体で流通するため、炭酸水溶液を溶離剤液に用いる方が好ましいといえるが、一方、炭酸アンモニウム水溶液を溶離剤液に用いると、溶離剤液中の炭酸イオンの量が多いため溶離効率が高くなる。
炭酸水溶液では溶離しにくい酸性アミノ酸の場合には、溶離剤液に炭酸アンモニウム水溶液を用いる方が望ましい。中性アミノ酸の精製には炭酸水溶液、炭酸水素水溶液又は炭酸水素アンモニウム水溶液、炭酸アンモニウム水溶液を用い、塩基性アミノ酸の精製には炭酸アンモニウム水溶液、炭酸水素アンモニウム水溶液を用いる。
大量のアミノ酸含有水溶液を短時間で処理する場合には、これらの工程を複数併設し、同時並行的に、順次行うことで効率よく、吸着工程、溶離工程を実施することができる。又耐圧カラムを用いずに加圧可能なバッチを用いても同様にアミノ酸を製造することができる。
グルタミン酸(GH)の溶離剤液により樹脂から溶離する溶離曲線を図3に、フェニルアラニン(Phe)の溶離曲線を図4、にリジン(Lys)の溶離曲線を図5にそれぞれ示した。いずれの溶離曲線も樹脂量に対する溶離液液量は(RV)は極大値を有し、かつテーリングが比較的少ない曲線を示した。このことから、樹脂に吸着したアミノ酸が樹脂にいつまでも吸着したまま溶離しないという現象は避けられ、実用的にも十分価値のある方法であるといえる。
<溶離液中から溶離剤の回収>
このようにして得られた溶離液には、溶離剤である炭酸イオン、炭酸水素イオンやアンモニウムイオンが含まれているが、溶離液を常圧に開放し、必要に応じて加温、濃縮することにより、式(19)乃至式(22)のように揮発、除去することができる。これらは溶離剤、発酵原料として循環再利用ができる。一方アミノ酸またはアミノ酸塩を製造する場合にはこれらの工程を経ることにより、溶離液中のアミノ酸又はその塩の純度が高くなるので好都合である。
溶離液に炭酸水溶液を含む場合
Figure 0004400459
溶離液に炭酸アンモニウム水溶液を含む場合
Figure 0004400459
<グルタミン酸ナトリウム塩の製造>
アミノ酸が特にグルタミン酸の場合、溶離液中にはグルタミン酸アンモニウム(GluNH4)が存在するので、過剰の溶離剤を除去した液に水酸化ナトリウムを加えると、次の反応が起こりグルタミン酸ナトリウム(GluNa)が得られる。
Figure 0004400459
式(23)の反応は極めてスムーズに進むため、添加する水酸化ナトリウムはグルタミン酸と当モル量でよい。この結果、溶離液中に純度の高いグルタミン酸ソーダ溶液を得ることができる。この場合水酸化ナトリウムの代わりに水酸化カリウムを用いればカリウム塩が得られ、アミノ酸がアスパラギン酸の場合に同様なアルカリ水溶液処理でアスパラギン酸ナトリウム又はアスパラギン酸カリウムが得られる。
さらに酸性アミノ酸塩の製造について図を参照しながら詳しく例示する。L−グルタミン酸発酵液から発酵菌体を除去した酸性アミノ酸含有水溶液は中性付近にpH調製し、貯留槽bに蓄えられる。空気ラインdから圧縮空気をフィードし、貯留槽b内圧を約0.2乃至1MPaに加圧した。この時耐圧カラムaと貯留槽bには、冷却水ラインl、m、j、kを通してジャケットに温度20℃の水を循環させ、温度を一定とすることが好ましい。次にポンプgを作動させることにより、L−グルタミン酸発酵液の耐圧カラムへの送液を開始する。カラム上部に溜まっていた気泡を十分追い出し、耐圧カラムa内を液で満たした。アニオン交換樹脂にアミノ酸を吸着されるためバルブfを開け、カラム下部から液を抜き始め、イオン交換反応を開始した。この時耐圧カラム内圧を常圧より高くし0.1乃至1MPa、送液流量が0.1乃至2L/hrとなるようにポンプ目盛りと減圧バルブの開度を調整した。送液時間は耐圧カラムの容量により異なる。炭酸型アニオン交換樹脂に酸性アミノ酸を吸着させた。吸着反応中、耐圧カラム内での二酸化炭素ガスの発泡は全く起こることはない。
<洗浄工程> 貯留槽bの圧を抜いた後、貯留槽bの液を抜き取り、からにした後、フィード口oから貯留槽に純水を入れた。空気で内圧を0.1乃至2MPaにした後、耐圧カラムa内の残留酸性アミノ酸含有水溶液を洗い流した。
<溶離工程> 貯留槽bにpH10乃至13のアンモニウム水溶液を入れた。これに二酸化炭素ガスも吹き込み炭酸アンモニウム水溶液に調製した。耐圧カラムaと貯留槽bのジャケットに冷水を循環させ温度を一定とし、炭酸アンモニウム水溶液の送液を耐圧カラムaに送る。耐圧カラムa内圧が0.1乃至2MPa、送液流量が0.1乃至1L/hrが好ましい。このようにしてアニオン交換樹脂から溶離した酸性アミノ酸を得ることができる。
酸性アミノ酸含有溶離液を真空加熱濃縮した後、この液に苛性ソーダ量が液中のL−グルタミン酸と等モル量となるように水酸化ナトリウム水溶液を添加して中和する。必要により真空加熱濃縮し、酸性アミノ酸塩を得ることができる。
<中性アミノ酸の製造>
中性アミノ酸の製造及びその製造装置の構成については酸性アミノ酸の製造方法で述べた方法に準拠して行うことができる。以下異なる点を述べる。アニオン交換樹脂に吸着させるために中性アミノ酸含有水溶液をpH8乃至13に、好ましくはpH10乃至pH11に調製すること、これにより発酵液中に共存するアンモニウムイオンを負に荷電させ、中性アミノ酸をアニオン交換樹脂に吸着し易くすることが可能である。溶離剤液は炭酸イオン水溶液、炭酸水素水溶液、炭酸アンモニウム水溶液、炭酸水素アンモニウム水溶液が使用できる。中性アミノ酸の精製、製造装置は図1に示した前述の装置をそのまま用いることができる。中性アミノ酸の場合、溶離液中では中性であるため塩は形成されない。
<リジン塩酸塩の製造>
アミノ酸がリジンの場合、溶離剤液に炭酸アンモニウム水溶液又は炭酸水素アンモニウム水溶液を用いる。この場合溶離液中ではリジンはイオン化(Lys+)して存在するので、過剰の溶離剤を除去した液に塩酸を加えると、次の反応が起こりリジン塩酸塩(LysHCl)が得られる。
Figure 0004400459
式(24)の反応は極めてスムーズに進むため、添加する塩酸の量はリジンと当モル量でよい。この結果、溶離液中に純度の高いリジン塩酸塩水溶液を得ることができる。
<貫流液から溶離剤の回収>
貫流液から溶離剤や有効成分を回収する工程について説明する。吸着工程から排出された貫流液はアニオン交換樹脂から放出された炭酸イオン、炭酸水素イオン又pH調整、発酵やイオン交換樹脂処理前の精製において水素イオン濃度を調整するために使用したアンモニウム成分が存在し、常圧に開放すると、炭酸イオンはガス化して発泡し、アンモニウム成分も蒸発し貫流液中にはこれらの成分は殆ど存在しなくなる。さらに、この液を約70℃に加熱し同時に濃縮を施すと、炭酸イオンに由来する二酸化炭素ガスの溶解度は高温になるほど低下するため、液中からさらに炭酸イオンや炭酸水素イオン又同時にアンモニウムイオンも追い出すことができる。この結果、貫流液中の溶離剤やアンモニウムイオンをほぼ皆無とすることできるので、副産物量を大幅に削減することができるようになった。このように、二酸化炭素ガスとアンモニアガスが同時に混在する場合には、分離せずに溶離剤としてそっくり利用することもできるし、一方これらの成分を目的に応じ溶離剤として、又発酵時のpH調整や窒素源等として再利用するには成分を分離する必要がある。この分離には例えば特公昭55−139815に開示された蒸留法でアンモニアガス成分を蒸留し、分離することができる。この結果揮発した二酸化炭素ガスは回収し溶離剤として、揮発したアンモニアは、回収し、再び発酵やイオン交換樹脂処理前の精製において再利用できるので、資源の有効利用、再利用または製造コストの削減につながる。
<溶離液から溶離剤を回収>
溶離液から溶離剤を回収する工程について説明する。溶離剤液は酸性アミノ酸に対しては炭酸アンモニウム水溶液、炭酸水素アンモニウム水溶液が、中性アミノ酸に対しては炭酸水溶液、炭酸水素水溶液、炭酸アンモニウム水溶液、炭酸水素アンモニウム水溶液が、塩基性アミノ酸には炭酸アンモニウム水溶液、炭酸水素アンモニウム水溶液が用いられる。アニオン交換樹脂に吸着されたアミノ酸は溶離剤液によりアニオン交換樹脂から脱離し、同時にアニオン交換樹脂は溶離剤液中に存在する炭酸イオン又は炭酸水素イオンを吸着することで炭酸型となりアニオン交換樹脂は再生される。一部の未交換の炭酸イオン及びアンモニウムイオンはアニオン交換樹脂に吸着されずそのままアニオン交換樹脂カラムを通過する。したがって溶離液中には溶離剤成分として炭酸イオン、炭酸水素イオン及びアンモニウムイオンが存在し、本発明ではこれらを回収し再利用することができる。吸着工程後アニオン交換樹脂充填の耐圧カラムの圧力を常圧に戻すことにより常圧に開放すると、炭酸イオンはガス化して発泡し、アンモニウム成分も蒸発し溶離液中にはこれらの成分は殆ど存在しなくなる。さらに、この液を約70℃に加熱し同時に濃縮を施すと、二酸化炭素ガスの溶解度は高温になるほど低下するため、液中からさらに炭酸イオンや炭酸水素イオン又同時にアンモニウムイオンも追い出すことができる。この結果、溶離液中の溶離剤やアンモニウムイオンをほぼ皆無とすることできるので、副産物量を大幅に削減することができるようになる。前述の通り、これらの分離した溶離剤は必要ならさらに目的別に分離し再利用することができる。
<アミノ酸又はその塩の製造装置>
本発明のアミノ酸又はその塩の製造装置の構成について図1で説明する。アミノ酸を吸着するためのアニオン交換樹脂が充填されて耐圧カラムa、これにアミノ酸含有水溶液を供給するための貯留槽b及び貯留槽bから発酵液、溶離液を輸送するポンプgが具備されておりこれらはパイプラインで結ばれている。さらに、耐圧カラムaは貫流液、溶離液又は洗浄液を引き抜く引き抜きラインs、このライン上の耐圧カラムaの出口付近に圧調整用のバルブf、耐圧カラムaの上部にはガス抜き用のラインqとその調節のためのバルブr、循環式冷却水ラインk、jを具備する。貯留槽bは発酵液、アンモニウム水溶液又は溶離液供給用フィード口o、加圧用の空気ラインd、溶離剤供給用ラインi、これらのラインから物質の供給を制御するバルブc,h,n,p、貯留槽出口にあって貯留槽内の圧力と排出量を制御するバルブe及び冷却水ラインl、m、で構成される。
以下実施例により本願発明を具体的に説明する。各測定は以下の方法によった。
<L−フェニルアラニン濃度、L−グルタミン酸濃度、L−プロリン濃度、L−リジン濃度>
(株)日立製作所製 日立高速アミノ酸分析計 L−8500型で測定した。
<炭酸イオン濃度>
東レエンジニアリング(株)製 ラボ用TOC−TN測定装置 TNC−6000型で測定した。分析で得られる無機体炭素濃度を炭酸濃度とした。
<アンモニウムイオン濃度>
日本ゼネラル(株)製 ケルテックオートサンプラーシステム 1035/38型を用いて、蒸留法にて測定した。
<ナトリウムイオン濃度>
(株)日立製作所製 偏光ゼーマン原始吸光分光光度計 Z−8100型で測定した。
<貫流液中のアンモニウムイオン量WNH4(%)の計算>
Figure 0004400459
(但し、CV;貫流濃縮液量(L)、CVNH4;貫流濃縮液中のアンモニウムイオン量(g/L)、RV;貫流液量(L)、RVNH4;貫流液中のアンモニウムイオン量(g/L))
<貫流液からアンモニウムイオン回収可能量RNH4(%)の計算>
Figure 0004400459
<貫流液中の炭酸イオン量WCO3(%)の計算>
Figure 0004400459
(但し、CV;貫流濃縮液量(L)、CVCO3;貫流濃縮液中の炭酸イオン量(g/L)、RV;貫流液量(L)、RVCO3;貫流液中の炭酸イオン量(g/L))
<貫流液から炭酸イオン回収可能量RCO3(%)の計算>
Figure 0004400459
[L−グルタミン酸発酵液の精製]
<炭酸型アニオン交換樹脂の調整>アニオン交換樹脂には三菱化学(株)製の強塩基性アニオン交換樹脂SA−10Aを用いた。はじめに、塩素型アニオン交換樹脂0.4Lに0.75mol/Lの炭酸水素ナトリウム水溶液4Lを1L/hで4時間通液し、イオン交換樹脂を炭酸型とした。この樹脂を純水で十分洗浄した。
<吸着工程>全量0.4Lを図1中の耐圧カラムaに充填した。以下図1で説明する。図1中の貯留槽bに、液フィード口oから、精密ろ過膜(マイクロフィルトレーション膜)を用いて発酵菌体を除去したpH7、L−グルタミン酸含有量122g/LのL−グルタミン酸含有水溶液(菌体処理発酵液)を入れ、バルブpを閉じた。次いでバルブh,nが閉じているのを確認した後、バルブcを開け、空気ラインdから圧縮空気をフィードし、貯留槽内圧を0.4MPaに加圧した。この時耐圧カラムと貯留槽には、冷却水ラインj、k、l、mを通してジャケットに温度20℃の水を循環させ、温度を一定とした。次いでバルブe、rを開け、さらにポンプgを作動させることにより、L−グルタミン酸発酵液の耐圧カラムへの送液を開始した。初めのわずかの間、カラム上部からバルブrを介し液抜きラインqを用いてカラム上部に溜まっていた気泡を十分追い出し、耐圧カラム内を液で満たした後、バルブrを閉じ、減圧バルブfを開けることにより、カラム下部から液を抜き始め、イオン交換反応を開始した。この時耐圧カラム内圧が0.5MPa、送液流量が0.6L/hrとなるようにポンプ目盛りと減圧バルブの開度を調整した。送液は4時間行い、炭酸型アニオン交換樹脂にL−グルタミン酸を吸着させた。吸着反応中、耐圧カラム内での二酸化炭素ガスの発泡は全く起こらず、良好な吸着が行えた。このとき2.4L/hrの貫流液が得られた。
<洗浄工程>次いでポンプgを停止し、減圧バルブf、バルブeを閉めた。そしてバルブcを閉め、圧抜きバルブnを開けて貯留槽bの圧を抜いた後、バルブpを開け液フィード口oから貯留槽に純水を入れた。そして、バルブp、nを閉め、バルブcを開け、空気ラインdから空気をフィードし貯留槽に内圧0.4MPaをかけたのち、バルブe、減圧バルブfを開け、さらに図1−gのポンプを作動させることにより、純水のフィードを開始した。この時耐圧カラム内圧が0.5MPa、送液流量が0.8L/hrとなるようにポンプ目盛り、減圧バルブの開度を調整した。送液は4時間行い、該アニオン交換樹脂層に残存していたL−グルタミン酸発酵液を洗い流した。
<溶離工程>次いでポンプgを停止し、減圧バルブf、バルブeを閉めた。そしてバルブcを閉め、圧抜きバルブnを開けて貯留槽bの圧を抜いた後、バルブpを開け液フィード口oから貯留槽に水素イオン濃度11のアンモニウム水溶液を入れた。そして、バルブp、nを閉め、バルブhを開け、二酸化炭素ガスラインlから二酸化炭素ガスのフィードを開始し、二酸化炭素ガスのアンモニウム水溶液への溶解を開始した。この時耐圧カラムと貯留槽のジャケットに温度5℃の冷水を循環させ、温度を一定とした。貯留槽の内圧が0.6MPaで一定となった後に、バルブe、減圧バルブfを開け、さらにポンプgを作動させることにより、炭酸アンモニウム水溶液の送液を開始した。この時耐圧カラム内圧が0.7MPa、送液流量が0.7L/hrとなるようにポンプ目盛り、減圧バルブの開度を調整した。送液は2時間行い、該アニオン交換樹脂からL−グルタミン酸を溶離し、溶離液1.4Lを得た。このときのL−グルタミン酸濃度は15.7g/Lであった。
<脱気工程>溶離液を脱気装置daに送り、0.62Lになるまで減圧濃縮することにより溶存二酸化炭素とアンモニアを気化させて分離した。得られた溶離濃縮液のL−グルタミン酸濃度は35.8g/L、アンモニア濃度1.9g/Lはであった。残存アンモニウムインンはL−グルタミン酸の対イオンとして存在する。分離された二酸化炭素ガスとアンモニアは分離回収装置spに送り回収した。二酸化炭素ガスは溶離剤として、アンモニアは発酵原料、pH調整液、溶離剤としてリサイクルすることができる。
[L−フェニルアラニン発酵液の精製]
<吸着工程>アニオン交換樹脂には実施例1と同じく、三菱化学(株)製の炭酸型強酸性アニオン交換樹脂SA−10A 0.4Lを用いた。始めに、実施例1に準拠し、L−フェニルアラニンのアニオン交換樹脂への吸着操作を行った。その際発酵液には、精密ろ過膜(マイクロフィルトレーション膜)で菌体を除き、アンモニウム水溶液を用いてpHを10に調整することにより、L−フェニルアラニンのイオン形態をアニオン型にしたものを用いた。L−フェニルアラニンの濃度は29.7g/Lであった。耐圧カラムへのフィード流量は0.6L/hrで送液時間は2.67時間であった。また貯留槽の圧力は0.4MPaで、耐圧カラムの圧力は0.5MPa、温度は20℃であった。吸着反応を通し、二酸化炭素ガスの発泡は一切起こらなかった。このとき1.6L/hrの貫流液が得られた。
<洗浄工程>次いで実施例1と同じく樹脂を洗浄した。洗浄水には純水を用い、流量0.8L/hr、送液時間4時間、貯留槽圧力0.4MPa、耐圧カラム圧力0.5MPa、温度20℃であった。
<溶離工程>次にアニオン交換樹脂からのL−フェニルアラニンの溶離を行った。操作要領は実施例1と同じであるが、アンモニウム水溶液ではなく、純水に二酸化炭素ガスを溶解して用いた。流量1.6L/hr、送液時間2.25時間、貯留槽の圧力0.5MPa、耐圧カラムの圧力0.6MPa、温度25℃であった。該アニオン交換樹脂からL−フェニルアラニンを溶離し、溶離液3.6Lを得た。このときのL−フェニルアラニン濃度は7.0g/Lであった。
<脱気工程>溶離液を脱気装置daに送り、1.8Lまで減圧することにより溶存二酸化炭素とアンモニアをガスとして分離した。得られた溶離濃縮液のL−フェニルアラニン濃度は14.1g/Lであった。分離された二酸化炭素ガスとアンモニアは分離回収装置spに送り回収した。二酸化炭素は溶離剤として、アンモニアは発酵原料、pH調整液、溶離剤としてリサイクルすることができる。
[L−プロリンの精製]
<吸着工程>アニオン交換樹脂には実施例1と同じく、三菱化学(株)製の炭酸型強酸性アニオン交換樹脂SA−10A 0.4Lを用いた。始めに、実施例1に準拠し、L−プロリンのアニオン交換樹脂への吸着操作を行った。アンモニウム水溶液を用いてpHを10に調整することにより、L−プロリンのイオン形態をアニオン型にしたものを用いた。L−プロリンの濃度は106g/Lであった。耐圧カラムへのフィード流量は0.6L/hrで送液時間は2.67時間であった。また貯留槽の圧力は0.4MPaで、耐圧カラムの圧力は0.5MPa、温度は20℃であった。吸着反応を通し、二酸化炭素ガスの発泡は一切起こらなかった。このとき1.6L/hrの貫流液が得られた。
<洗浄工程>次いで実施例1と同じく樹脂を洗浄した。洗浄水には純水を用い、流量0.8L/hr、送液時間4時間、貯留槽圧力0.4MPa、耐圧カラム圧力0.5MPa、温度20℃であった。
<溶離工程>次にアニオン交換樹脂からのL−プロリンの溶離を行った。操作要領は実施例2と同じく、純水に二酸化炭素ガスを溶解して用いた。流量1.6L/hr、送液時間3.0時間、貯留槽の圧力0.5MPa、耐圧カラムの圧力0.6MPa、温度25℃であった。該アニオン交換樹脂からL−プロリンを溶離し、溶離液4.8Lを得た。このときのL−プロリン濃度は8.0g/Lであった。
<脱気工程>溶離液を脱気装置daに送り、2.4Lまで減圧濃縮することにより溶存二酸化炭素とアンモニアをガスとして分離した。得られた溶離濃縮液のL−プロリン濃度は38.3g/Lであった。分離された二酸化炭素とアンモニアは分離回収装置spに送り回収した。二酸化炭素は溶離剤として、アンモニアは発酵原料、pH調整液、溶離剤としてリサイクルすることができる。
[L−リジンの精製]
<吸着工程>塩基性アミノ酸の一つであるL−リジン含有水溶液に本発明を適用した例を示す。アニオン交換樹脂には実施例1と同じく、三菱化学(株)製の炭酸型強酸性アニオン交換樹脂SA−10A 0.4Lを用いた。始めに、実施例1に準拠し、L−リジンのアニオン交換樹脂への吸着操作を行った。アンモニウム水溶液を用いてpHを12に調整することにより、L−リジンのイオン形態をアニオン型にしたものを用いた。L−リジンの濃度は16.7g/Lであった。耐圧カラムへのフィード流量は0.6L/hrで送液時間は3.0時間であった。また貯留槽の圧力は0.4MPaで、耐圧カラムの圧力は0.5MPa、温度は20℃であった。吸着反応を通し、二酸化炭素ガスの発泡は一切起こらなかった。このとき1.8Lの貫流液が得られた。
<洗浄工程>次いで実施例1と同じく樹脂を洗浄した。洗浄水には純水を用い、流量0.8L/hr、送液時間4時間、貯留槽圧力0.4MPa、耐圧カラム圧力0.5MPa、温度20℃であった。
<溶離工程>アニオン交換樹脂からのL−リジンの溶離を行った。操作要領は実施例1と同じく、水素イオン濃度11のアンモニウム水溶液に二酸化炭素ガスを溶解して用いた。流量1.6L/hr、送液時間3.0時間、貯留槽の圧力0.5MPa、耐圧カラムの圧力0.6MPa、温度25℃であった。該アニオン交換樹脂からL−リジンを溶離し、溶離液4.8Lを得た。このときのL−リジン濃度は3.1g/Lであった。
<脱気工程>溶離液を脱気装置daに送り、1.1Lになるまで減圧濃縮することにより溶存二酸化炭素とアンモニアをガスとして分離した。得られた溶離濃縮液のL−リジン濃度は14.4g/L、炭酸イオン濃度は1.4g/Lであった。残存二酸化炭素は炭酸イオンとして存在し、L−リジンの対イオンとなる。分離された二酸化炭素ガスとアンモニアは分離回収装置spに送り回収した。二酸化炭素は溶離剤として、アンモニアは発酵原料、pH調整液、溶離剤としてリサイクルすることができる。
<L−グルタミン酸ナトリウムの製造>
実施例1で得られた溶離濃縮液0.62L(L−グルタミン酸濃度35.8g/L、アンモニウムイオン濃度7.9g/L)に苛性ソーダ量が液中のL−グルタミン酸と等モル量となるように水酸化ナトリウム水溶液を添加して中和した。これにより溶離液の液量は0.99Lとなった。この液を、86℃で液量が0.30Lになるまで真空加熱濃縮することでアンモニアをガスとして分離し、L−グルタミン酸濃度;73.0g/L、炭酸イオン濃度;検出されず、アンモニウムイオン濃度;検出されず、及びナトリウム;5.6g/Lの組成のL−グルタミン酸ナトリウム水溶液を得た。分離されたアンモニアガスは分離回収装置spに送り回収した。
<L−リジン塩酸塩の製造>
実施例4で得られた溶離濃縮液1.01L(L−リジン濃度14.4g/L、炭酸イオン濃度1.4g/L)に塩酸量が液中のL−リジンと等モル量となるように塩酸を添加して中和した。これにより溶離液の液量は1.11Lとなった。この液を、86℃で液量が0.30Lになるまで真空加熱濃縮することで二酸化炭素ガスを分離し、L−リジン濃度;73.0g/L、炭酸イオン濃度;検出されず、アンモニウムイオン濃度;検出されず、及び塩素イオン濃度;5.6g/Lの組成のL−リジン塩酸塩水溶液を得た。分離された二酸化炭素ガスは分離回収装置spに送り回収した。
<L−グルタミン酸の貫流液、溶離液から二酸化炭素ガスとアンモニアの回収・分離>
実施例1の吸着工程で得られた貫流液のうち、吸着開始後0.67時間までに得られた貫流液0.4L(炭酸イオン濃度85.4g/L、アンモニウムイオン濃度12.6g/L)を図2中の脱気装置daに送り、温度80℃にて真空加熱濃縮し、0.08Lの濃縮液と0.32Lの混合気体を得た。貫流濃縮液の炭酸イオン濃度は1.0g/L、アンモニウムイオン濃度は8.5g/Lであった。混合気体を分離装置spに送り、アンモニア4.4gと二酸化炭素ガス24.6gを分離し回収した。貫流液中のアンモニウムイオン量WNH4(%)は式(24)から13.5%であった。貫流液中の炭酸イオン量WCO3(%)は式(24)から0.2%となった。従って、式(23)から貫流液からアンモニウムイオンを86.5%回収した。一方式(25)から、炭酸イオンはアニオン交換樹脂より溶出したそれの99.8%が回収できた。溶離液も同様に、実施例1記載の脱気工程、実施例5記載のL−グルタミン酸ナトリウムの製造工程により溶離液からアンモニウムイオン、炭酸イオンをそれぞれ99.8%、99.0%回収できた。本発明により排水である貫流液中から不純物を除去することは環境対策に好ましいばかりでなく、削減した不純物は溶離剤としてまた発酵添加剤としても再利用した。
<L−プロリンの貫流液、溶離液から二酸化炭素ガスとアンモニアの回収・分離>
実施例3の吸着工程で得られた貫流液のうち、吸着開始後0.67時間までに得られた貫流液0.4L(炭酸イオン濃度85.4g/L、アンモニウムイオン濃度6.7g/L)を図2中の脱気装置daに送り、温度80℃にて真空加熱濃縮し、0.09Lの濃縮液と0.31Lの混合気体を得た。貫流濃縮液の炭酸イオン濃度は1.5g/L、アンモニウムイオン濃度は1.2g/Lであった。混合気体を分離装置spに送り、アンモニア2.6gと二酸化炭素ガス24.5gを分離し回収した。貫流液中のアンモニウムイオン量WNH4(%)は式(24)から4.0%であった。貫流液中の炭酸イオン量WCO3(%)は式(24)から0.4%となった。従って、式(23)から貫流液からアンモニウムイオンを96.0%回収した。一方式(25)から、炭酸イオンはアニオン交換樹脂より溶出したそれの99.6%が回収できた。溶離液も同様に、実施例3記載の脱気工程により溶離液から炭酸イオンを99.9%回収できた。本発明により排水である貫流液中から不純物を除去することは環境対策に好ましいばかりでなく、削減した不純物は溶離剤としてまた発酵添加剤としても再利用した。
<L−リジンの貫流液から二酸化炭素ガスとアンモニアの回収・分離>
実施例4の吸着工程で得られた貫流液のうち、吸着開始後1.33時間までに得られた貫流液0.8L(炭酸イオン濃度42.7g/L、アンモニウムイオン濃度167g/L)を図2中の脱気装置daに送り、温度80℃にて真空加熱濃縮し、0.16Lの濃縮液と0.64Lの混合気体を得た。貫流濃縮液の炭酸イオン濃度は6.0g/L、アンモニウムイオン濃度は1.9g/Lであった。混合気体を分離装置spに送り、アンモニア133.3gと二酸化炭素ガス23.9gを分離し回収した。貫流液中のアンモニウムイオン量WNH4(%)は式(24)から0.2%であった。貫流液中の炭酸イオン量WCO3(%)は式(24)から2.8%となった。従って、式(23)から貫流液からアンモニウムイオンを99.8%回収した。一方式(25)から、炭酸イオンはアニオン交換樹脂より溶出したそれの97.2%が回収できた。溶離液も同様に、実施例4記載の脱気工程、実施例5記載のL−グルタミン酸ナトリウムの製造工程により溶離液からアンモニウムイオン、炭酸イオンをそれぞれ99.8%、99.2%回収できた。本発明により排水である貫流液中から不純物を除去することは環境対策に好ましいばかりでなく、削減した不純物は溶離剤としてまた発酵添加剤としても再利用した。
本発明は炭酸型のアニオン交換樹脂を用いたアミノ酸含有水溶液からのアミノ酸又はアミノ酸塩の製造方法及び吸着工程から発生する副生成物量を減じ、かつ貫流液及び/又は溶離液からの溶離剤を回収し、これを再利用するシステムに関する。

Claims (8)

  1. 炭酸型のアニオン交換樹脂が充填された加圧状態の耐圧カラム中をアミノ酸含有水溶液が通過する間に、これに含まれる遊離アミノ酸を該アニオン交換樹脂に吸着させる吸着工程、次に加圧状態の該耐圧カラムに炭酸水素イオン及び/又は炭酸イオンを含む溶離剤液を加圧下で注入し、該アニオン交換樹脂に吸着したアミノ酸を溶離させ、同時に該アニオン交換樹脂を炭酸型に再生することを含む溶離工程を経ることにより、アミノ酸又はその塩を得ることを特徴とするアミノ酸又はその塩の製造方法。
  2. アミノ酸含有水溶液に含まれるアミノ酸が酸性アミノ酸、中性アミノ酸又は塩基性アミノ酸であることを特徴とする請求項1記載のアミノ酸又はその塩の製造方法。
  3. 中性アミノ酸がシスチン、フェニルアラニン、スレオニン、チロシン、セリン、トリプトファン、チトルリン、イソロイシン、ロイシン、バリン、アラニン、プロリン、グルタミン、メチオニン、グリシンであり、酸性アミノ酸がグルタミン酸又はアスパラギン酸であり、塩基性アミノ酸がリジン、オルニチン、アルギニン、ヒスチジンであることを特徴とする請求項1乃至2記載のアミノ酸又はその塩の製造方法。
  4. 加圧状態が少なくとも0.1MPaであることを特徴とする請求項1乃至3記載のアミノ酸又はその塩の製造方法。
  5. 溶離剤液は中性アミノ酸用として炭酸及び炭酸水素水溶液、炭酸アンモニウム水溶液、炭酸水素アンモニウム水溶液、酸性アミノ酸用として炭酸アンモニウム水溶液、炭酸水素アンモニウム水溶液、塩基性アミノ酸用として炭酸アンモニウム水溶液、炭酸水素アンモニウム水溶液であることを特徴とする請求項1乃至4記載のアミノ酸又はその塩の製造方法。
  6. 請求項1乃至5記載の方法で溶離された酸性アミノ酸アンモニウム塩含有の溶離液を常圧下で、加温することにより、溶離液中の過剰な二酸化炭素成分、炭酸イオンとアンモニウム成分を除去し、これに酸性アミノ酸とほぼ当モル量の水酸化ナトリウム又は水酸化カリウムを添加し、酸性アミノ酸ナトリウム又は酸性アミノ酸カリウム水溶液を得、そして水溶媒を除去することを特徴とする酸性アミノ酸含有水溶液から酸性アミノ酸ナトリウム又は酸性アミノ酸カリウムの製造方法。
  7. 請求項1乃至5記載の方法で溶離された塩基性アミノ酸含有溶離液に加温又は減圧することにより、溶離液中の過剰な二酸化炭素成分、炭酸イオンとアンモニウム成分を除去し、塩基性アミノ酸とほぼ当モル量の塩酸を添加し、得られた塩基性アミノ酸塩酸塩水溶液の水溶媒を除去することを特徴とする塩基性アミノ酸含有水溶液からの塩基性アミノ酸塩の製造方法。
  8. 炭酸型のアニオン交換樹脂が充填された加圧状態の耐圧カラム中をアミノ酸含有水溶液が通過する間に、これに含まれる遊離アミノ酸を該アニオン交換樹脂に吸着させる吸着工程を経て該耐圧カラムより排出された貫流液及び/又は加圧状態の該耐圧カラムに炭酸水素イオン及び/又は炭酸イオンを含む溶離剤液を加圧下で注入し、該アニオン交換樹脂に吸着したアミノ酸を溶離させ、同時に該アニオン交換樹脂を炭酸型に再生することを含む溶離工程を経て該耐圧カラムより排出され、アミノ酸又はその塩が除去された溶離液を加熱又は加熱減圧することにより、炭酸イオン、酸性炭酸イオンまたはアンモニウムイオンを気化させ二酸化炭素ガス又はアンモニアガスとして回収することを特徴とする溶離剤回収方法。
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