JP4399641B2 - 吸入器 - Google Patents

Description

発明の詳細な説明

本発明は、新規のタイプの吸入器に関する。

吸入器は、主に医療又は治療の目的で使用され、その用途によって異なる設計がなされている。

禁煙用の吸入器が存在し、これらは、マウスピースと末端部とからなり、ニコチンカプセルを挿入することができる空気流路を有している。マウスピースで「吹かす」ことによって発生する空気流によって、ニコチンがニコチンカプセル中に放出される。葉巻やタバコの喫煙とは異なり、これらの吸入器は、それらを使用しても室内の空気品質や他人の健康に悪影響を及ぼさないという利点を有している。従って、これらの吸入器は、例えば、飛行機の禁煙区域での使用に特に適している。しかしながら、このタイプの吸入器は、放出されたニコチンが、依然として喫煙者の健康に悪影響を及ぼしているという点で不利である。更に、吸入器を吹かした際に経験される喫煙感は、吸入された空気が一般には冷たく、しかも煙が欠けているために満足感が得られないので、葉巻やタバコの喫煙にはとても匹敵するものとは言えない。

呼吸器疾患又は風邪の医療処置用のその他の吸入器は、ノーズピースやマウスピースが装着された加熱可能な水容器を有する。その水容器中の水に、精油又は医薬活性成分を添加することができ、従って、その水が加熱されると、水蒸気と共にこれらを吸入することができる。これらのタイプの吸入器は、「壁部引出口」からの交流、又は例えば車のバッテリーからの直流によって作動することのできる加熱源として加熱ラセン部を使用しており、嵩高くなるという点で不利である。更に、動力供給を必要とするために、任意の場所で使用することができない。

これらの欠点は、医薬活性成分を含む溶液から吸入すべきエアゾールを生成する吸入器にも存在する。特に、エアゾール・超音波噴霧器及び空気圧噴霧器の製造に、二つのタイプの装置が使用されている。超音波噴霧器は、超音波によって振動させる膜を介して溶液を霧状にしており、空気圧噴霧器では、溶液が圧力下でノズルを通過する。

これに対して、本発明の目的は、前記の用途に適しているが、前記の欠点を有していない新規タイプの吸入器を創造することである。

この目的は、触媒バーナーと、前記バーナーに連結し、特に水素を含有する燃料容器と、吸入添加剤、例えば、芳香族物質及び/又は活性成分用の容器と、酸素含有ガス混合物、特に空気用の入口少なくとも１つと、芳香族物質及び/又は活性成分を含む吸入混合物用の出口とを含む、前記吸入器によって達成される。

本発明の基礎をとなる１つの基本的な思想は、水素の触媒燃焼の際に放出される電気エネルギーだけでなく、得られる廃ガスを使用して、芳香族物質及び/又は活性成分を含む吸入混合物を製造することである。従って、例えば、吸入添加剤を含む容器を加熱することにより、廃ガス中に存在する熱を使用して吸入添加剤を加熱することができる。廃ガス熱は、吸入混合物の加熱にも使用することができ、これによって、水蒸気の吸収容量が一層高くなるという利点がもたらされ、その結果として、冷たい吸入混合物を伴うよりも高濃度で活性成分を運搬することができる。同時に、例えば、水素を燃焼させる際に、廃ガスを直接吸入混合物に加えることができる。これは、廃ガスが一般的に有害物質を完全に含んでいないためである。

この結果、多くの利点がもたらされる。すなわち、触媒バーナーを介してエネルギーが供給される吸入器は、外部のエネルギー源とは独立している。必要なエネルギーは、非汚染方式で、特に水素の触媒燃焼を伴って放出される。これは、燃焼生成物が単なる無害の水蒸気にすぎないためであり、これは、芳香族物質及び活性成分の運搬にさえ用いられる。従って、使用される燃料は、エネルギーを供給するだけではなく、芳香族物質又は活性成分の運搬手段をも提供する。しかしながら、その他の燃料、例えば、天然ガスを使用することができる。これは、炎を伴わない触媒燃焼が、その燃焼温度が非常に低いために、廃ガスとして水蒸気及びＣＯ_２を発生させるだけであるからであり、これらの廃ガスは、吸入混合物と、不安なく混合させることができる。

原則的に、本発明による触媒コンバーターは、吸入器の動作中において、暖かい廃ガスを、場合により周囲空気との組み合わせで、吸入添加剤を吸収した廃ガス流と共に、吸入物質を有する容器を通して案内するように設計することができる。吸入添加剤（又は）活性成分の種類によって、液体だけでなく固体や粉状の形態で提供することができる。吸入添加剤が液体である場合は、それらは、その表面で廃ガスに気化することができる。吸入添加剤が固体である場合は、適切な廃ガス流の伝導性及び流れ速度を伴って、それらを廃ガスによって飛沫同伴させることができ、その結果、吸入混合物は、固体粒子を含むエアゾールとなる。

反応過程の制御が簡単であるために、燃料電池が触媒バーナーとしても適している。現代の燃料電池は極めて効率性が高く、燃料電池の触媒膜による空気のブローイング量が、触媒膜を通過する水素イオンの量を自動的に調節するように設計することができる。

触媒バーナーとして使用される前記燃料電池の１つの有利な成果において、燃料電池は、コイル様式に巻きつけられている。燃料電池をコイル様式にすることは、それによって必要とされるスペースを大幅に削減するだけでなく、空気流路を自動的に生成し、その流路を通して酸素又は酸素含有ガス混合物を導くことができる。

粉末状の吸入添加剤を投与することと比較すると、水又はその他の担体に溶解させた吸入添加剤の投与の方が、より容易であり、そして従って好ましい。これは、廃ガス流の伝導性や速度に関しての必要要件が全くないか又はほとんどないためである。吸入器の設計形態によって、別の利点が生じることがある。それは、溶解された吸入添加剤の濃度が適切である限り、吸入混合物へのこれらの添加物の添加に関する制御が、更には要求されない点である。

本発明による吸入器は、触媒バーナーによって作動される加熱装置を好適に含むことができ、この加熱装置は吸入添加剤を含有する溶液を気化させ、その結果として、吸入添加剤が吸入混合物中に蒸気として含まれることになる。このような加熱装置は、例えば、溶解された吸入添加剤用の容器の内側にある加熱ラセン部であることができる。

しかしながら、それを介して、廃ガスの熱を溶液に移動する熱変換器を備え付けることを考えることもできる。

更に、前記吸入器は、触媒バーナーによって作動される噴霧器、特には、溶液をエアゾールへ変換させる超音波又は空気圧噴霧器を含むことができる。２つの原理を基本的に実行して、圧力を用いて溶液を噴霧することができる。空気圧噴霧に必要とされる吸入添加剤含有溶液を含む容器中の圧力は、溶液を加熱することによって、あるいは、好ましくはコンプレッサによって発生させることができる。しかしながら、水と比較して、沸点の比較的低い溶媒添加剤を使用し、少ない熱のみを使用して充分な圧力を容器中に生成させることができるように、圧力を発生させることを考えることができる。これによって、制御された熱供給を介して、圧力を調節し、そして従って噴霧を調節することが可能になる。

その他の有利な実施態様において、前記吸入器は、追加の水タンク、及び触媒バーナーによって作動される、水蒸発用の加熱装置を含む。この場合、吸入混合物の全てが触媒バーナーによって生成される必要はない。むしろ、水素燃焼の際に放出される熱を用いて水を水蒸気に熱し、続いて、これを触媒バーナーから放出される水蒸気に加えることができる。

その他の更に好適な実施態様において、前記吸入器は、芳香族物質又は活性成分を吸入混合物へ添付して投与するための制御システムを含む。

前記燃料容器及びその他の全ての容器が交換可能であり、及び/又は再充填可能である場合も有利である。このことによって、前記吸入器を長期に亘って使用することができる。

更に、周囲空気と吸入混合物とを混合する混合装置が、出口の上流部に配置されている場合も利点を有することがある。このことによって、使用者は、吸入すべき吸入混合物の量を必要に応じて投与することができる。

本発明による前記吸入器は、燃料電池を介して導かれる酸素容積の調節を可能にする制御システムを備え付けていることが好ましい。このことは、特に、前記吸入器が、時間に関して一定量の吸入混合物を発生するべきである場合に利点をもたらす。前記の場合には、前記吸入器の機能は、医療目的の従来の吸入器の機能と同等になる。

更に、本発明による吸入器は、マウスピースを含むことができる。このようなマウスピースは、例えば、タバコ用のマウスピースの形状に成形することができ、そして吸入混合物を単に口からのみ吸入する吸入器に特に適している。しかしながら、マウスピースの代わりに、使用者の口及び鼻を覆うことができるマスクを吸入器の出口に備え付けることもできる。

触媒燃焼によって生じる電流も、特に燃料電池中において、使用することがである。一方では、添加剤又は水を加熱する加熱ラセン部の作動に使用することができる。しかしながら、例えば、前記吸入器が使用中であることを表示するために使用することのできる、ランプユニット用にも使用することができる。他方では、前記吸入器を禁煙中のタバコの代用体として、あるいは、新しい形態の刺激物として使用する場合には、タバコ又は葉巻の炎を模倣するために使用することもできる。

本発明の実施態様の全てに共通することは、前記吸入器を場所や外部動力源の利用性に関わりなく使用することができる点、吸入者に心地よく感知される暖かい吸入混合物を生成することができる点、及び触媒バーナーからだけでなく、必要により燃焼生成物及びその廃熱を吸入混合物の調製に使用することができる点である。

以下に、吸入器の１例の作動原理を示す図１に基づいて、本発明を詳細に説明する。

図１に原理的に示す前記吸入器は、空気用の入口２と吸入混合物用の出口３とを備えた、細長い、円筒型の中空体１を含む。交換可能なマウスピース４は出口３に備えられている。その内側において、中空体１は、同軸に配置された壁部５を含み、その中に、本質的に円筒形の水素含有燃料容器６が設置され、その底部は、空気取入れ口２に面しており、そのガス出口は出口３と面している。

内側膜７及び外側膜８は、両者によって燃料電池を形成し、同軸に配置され、そして中空体の壁部５と内壁部との間にスペースを設けている。２つの膜７,
８の間に囲まれている中空スペース９は、入口２に面するサイドが気密シールにより閉鎮されている。出口３に面しているサイドで、前記中空スペース９は、前記燃料容器６のガス出口と連結しており、前記料容器６からバルブ１０を介して、前記中空スペース９へと流れる水素流の制御又は遮断を行うことができる。

中空体の内壁部と外側膜８との間、また同様に内側膜７と前記壁部との間に生じる流路１２,１３は、入口２に面するそれらの末端部で、リング状の空気フィルタ１４を経由して入口２へと接続している。２つの流路の反対側の末端部は、出口３の前方の上流部に配置されている混合室１１に開放されている（内側膜７と壁部５とによって形成されている流路１２と混合室１１との接続は図示していない）。

円筒形の活性成分容器１５は、燃料容器６の内側に同軸に配置されており、流体中、例えば、水中に溶解された吸入添加剤用として設けられている。活性成分容器１５の底部は、燃料容器６の底部に強固に固定されている。活性成分用の出口として中空針１６が設けられており、その中空針１６は、燃料容器６の気体出口を通過し、そして混合室１１に開放されている。混合室１１に面している中空針１６の開口部は、圧力除去バルブ１７を備えている。活性成分容器１５の内部にはピストン１８を備えており、そのピストン１８は、活性成分容器１５の底部に配置されているバネ１９によって中空針１６の方向へと押し上げられる。この圧力が、吸入添加剤を混合してある溶液を、中空針１６に押し出す。

ラセン状に巻かれたフィラメント２０は、吸入物質を含む流体を蒸散させるために、中空針１６の内側に配置されている。例えば、空気圧噴霧器又は超音波噴霧器用の圧縮機のような付加的な構成成分と同様に、ラセン状に巻かれたフィラメント２０へは、燃料電池の膜７,８を介して電流を供給することができる。

更に、前記燃料電池は、壁部５に設置されている２つの充填可能なバッテリー２１に電流を供給している。バッテリー２１を介して、又は燃料電池によって生成される電流から直接に電力供給され、バルブ１０からの水素供給を制御することができる制御システム（図示せず）を設けることができる。更に、他の消費者用の連結部を設けることができ、その連結部には、燃料電池から直接に、又は前記バッテリーを介して電流が供給される（連結部は図示していない）。

吸入するために、吸入者のマウスピース４をその口に取り付け、そして入口２を介して空気を吸入器に吸入する。この過程で、吸入された空気流は、膜７,８を通過し、そして膜７,８上で水素と反応し、その結果、水蒸気が生成され、そして空気/水蒸気の混合物が生じる。

同時に、前記反応において燃料電池によって生成された電流は、ラセン状に巻かれたフィラメントへ流れ、その結果、中空針中に存在し、そして吸入添加剤を含む流体が蒸散する。こうして生成した過剰圧力により、圧力除去バルブ１６が開き、その結果、吸入添加剤を含む蒸気が抜け出ることができる。この蒸気は、混合室１１内で空気/水蒸気の混合物と混合され、その結果、空気と、水蒸気と、吸入添加剤との混合物をマウスピースを通じて吸入することができる。

吸入装置の長期使用を可能にするため、燃料容器６及び活性成分容器１５を、交換可能な態様で吸入器に接続するか、又はそれらの再充填の可能性を提供することが好ましい。この効果を得るために、中空円筒体は、例えば、燃料容器６を、場合により活性成分容器１５と共にねじ込むことが可能なバルブ接続部分を含むことができる。

触媒バーナーによって作動される吸入器の基本的なアイデアは、その他の多くの設計実施態様によって実現することができる。例えば、各膜、燃料容器及び活性成分容器や空気流路を、相互に同軸に配置することに、絶対的な必要性はない。

同様に、付加的な調節及び制御メカニズムをも備えることができる。現在利用可能な燃料電池は、一般的に、供給された空気流に対して自己調節型であり、適用領域によっては、水素供給を制御する必要も考えられる。例えば、空気/水蒸気/吸入混合物の温度及び/又は相対湿度によって、前記混合室内に、調節可能な新鮮空気供給部を設けることができ、それにより、前記混合室内の混合物を冷却することができる。もちろん、任意の必要な冷却は、熱変換器によって実施することもできる。

本発明による吸入器の断面図である。

符号の説明

１・・・円筒形中空体； ２・・・入口； ３・・・出口； ４・・・マウスピース； ５・・・壁部； ６・・・燃料容器； ７・・・内側膜； ８・・・外側膜； ９・・・中空スペース； １０・・・バルブ；１１・・・混合室； １２・・・流路； １３・・・流路； １４・・・空気フィルタ； １５・・・活性成分容器； １６・・・中空針； １７・・・圧力除去バルブ； １８・・・ピストン； １９・・・バネ ２０・・・ラセン状に巻かれたフィラメント； ２１・・・バッテリー。

Claims (13)

1. 触媒バーナーと、吸入添加剤用の容器（１５）と、酸素含有ガス混合物用の入口（２）少なくとも一つと、吸入添加剤を含む吸入混合物用の出口（３）とを含む、吸入器であって、前記バーナーに連結し、水素を含有する燃料容器（６）を特徴とする、吸入器。
2. 前記触媒バーナーが、燃料電池（７,８）であることを特徴とする、請求項１に記載の吸入器。
3. 前記燃料電池（７,８）がコイル様式に巻かれていることを特徴とする、請求項２に記載の吸入器。
4. 前記吸入添加剤が、水又は他の溶媒中に溶解されていることを特徴とする、請求項１〜３のいずれか一項に記載の吸入器。
5. 吸入添加剤を含む溶液の気化用の触媒バーナーによって作動される加熱装置（２０）を特徴とする、請求項４に記載の吸入器。
6. 溶液の噴霧用で、触媒バーナーによって作動される噴霧器を特徴とする請求項４又は５に記載の吸入器。
7. 追加の水タンクを特徴とする、請求項１〜６のいずれか一項に記載の吸入器。
8. 吸入添加剤を吸入混合物にデリバリーする調合の制御装置を特徴とする、請求項１〜７のいずれか一項に記載の吸入器。
9. 前記燃料容器（６）及びすべての他の容器（１５）が、交換可能及び／又は再充填可能であることを特徴とする、請求項１〜８のいずれか一項に記載の吸入器。
10. 周囲空気を吸入混合物に添加するための、出口（３）の前方の上流部に配置されている混合装置（１１）を特徴とする、請求項１〜９のいずれか一項に記載の吸入器。
11. 前記燃料電池を通過して導かれる酸素の量を制御するための制御システムを特徴とする、請求項１〜１０のいずれか一項に記載の吸入器。
12. マウスピースを特徴とする、請求項１〜１１のいずれか一項に記載の吸入器。
13. 触媒バーナーによって作動されるランプユニットを特徴とする、請求項１〜１２のいずれか一項に記載の吸入器。

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