JP4398323B2 - デジタル無線通信装置 - Google Patents

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Description

本発明はデジタル無線通信装置に関し、特に、ADPCM符号に符号誤りが生じても可能な限りミュート処理は行わずに通話距離を拡大するための改良技術に関する。
デジタルコードレス電話の音声符号化方式として、ADPCM(適応差分PCM)方式がよく用いられている。ADPCM符号化方式では弱電界、フェージング、電波干渉等の影響を受けて音声データに符号誤りが生じると突発的に耳を突くようなクリックノイズが発生することがあり、音声品質を著しく劣化させてしまう性質がある。このような事情に鑑み、本出願人は特開平14−006890号、特開平14−006891号において、ADPCM復号器の内部変数を監視することによって、クリックノイズの発生を予測し、ADPCM符号のビットの誤り位置を推定して符号訂正を行う音声品質改善装置を提案した。
図12は従来の音声品質改善装置の機能ブロック図である。巡回冗長検査(Cyclic Redundancy Check)等のフレームエラーチェックにより受信信号のエラー発生が検出されると、置換器45は判定時間調整部44により予め設定されたデータ区間において、ADPCM符号I(k)の絶対値の短区間平均値dms(k)が所定の閾値を超えた場合にクリックノイズの発生を予測し、ADPCM符号I(k)をADPCM符号I(k)の絶対値の短区間平均値の変化が最小となるような符号I'(k)に置換する。符号I(k)又はI'(k)はADPCM復号器46に入力されてPCM信号so(k)に変換される。F[I]変換器41は、図13に示す対応関係に従って、符号I(k)を符号F[I(k)]に変換し、これを短区間平均値算出部42に出力する。短区間平均値算出部42では、dms(k)=(1−2-5)dms(k−1)+2-5F[I(k)]の演算を行うことにより、dms(k)を算出する。dms(k−1)は短区間平均値算出部42の出力dms(k)を遅延器43に通すことにより得られる。ここで、F[I(k)]の値は図13に示すように定義される。
特開平14−006890号 特開平14−006891号
しかし、ADPCM符号は音声やトーンといった性質の違いや、周波数又はレベルの違いによって様々なパターンに変化するので、短区間平均値dms(k)だけを監視したのでは、クリックノイズを正確に予測することは困難である。そのため、意図的にクリックノイズと判定しやすい方向に閾値を下げ、ADPCM符号を'1111'に置換する処理を多用していた。
デジタルコードレス電話の場合、通常、基地局となる親機が1基であるため、音声データに誤りが発生しても可能な限りミュート処理は行わず、子機との通話距離を拡大することが音声品質を改善するためにも重要である。
そこで、本発明はこのような問題を解決し、ADPCM符号に符号誤りが生じても可能な限りミュート処理を行わずに通話距離を拡大できるデジタル無線通信装置を提案することを課題とする。
上記の課題を解決するため、本発明のデジタル無線通信装置は、無線回線を介して受信したADPCM符号の符号誤りを検出する誤り検出器と、ADPCM符号を復号してPCM信号を生成するADPCM復号器と、誤り検出器によってADPCM符号に符号誤りがあると判定されてから予め定められた時間内にADPCM復号器で求まる高速スケールファクタ、低速スケールファクタ、及びADPCM符号のそれぞれが所定の閾値を越えた場合にクリックノイズが発生すると判定し、ADPCM符号を予め定められた所定の符号に置換する置換器とを備える。高速スケールファクタ、低速スケールファクタ、及びADPCM符号の値に基づいてクリックノイズの発生を予測し、ADPCM符号をクリックノイズが生じない符号に置換することで、出来るだけミュート処理をしないで通話距離の拡大を図ることができる。
本発明のデジタル無線通信装置において、低速スケールファクタの閾値が予め複数設定されており、低速スケールファクタの閾値のそれぞれに対して、前記ADPCM符号の絶対値によって高速スケールファクタの閾値が複数設定されているのが望ましい。ADPCM符号は音声やトーンといった性質の違いや、周波数又はレベルの違いによって様々なパターンに変化するので、低速スケールファクタと高速スケールファクタのそれぞれについて閾値を複数設定することで、クリックノイズの発生を適切に予測できる。
本発明のデジタル無線通信装置において、低速スケールファクタの閾値が高いほど高速スケールファクタの閾値も高く設定されているのが望ましい。低速スケールファクタは高速スケールファクタをローパス処理したものとして近似できるためである。
本発明のデジタル無線通信装置において、ADPCM符号の絶対値が大きいほど高速スケールファクタの閾値が低く設定されているのが望ましい。ADPCM符号の絶対値が大きいほど高速スケールファクタの増加率も大きくなるので、クリックノイズの検出に効果的である。
本発明のデジタル無線通信装置は、無線回線を介して受信したADPCM符号の符号誤りを検出する誤り検出器と、ADPCM符号を復号してPCM信号を生成するADPCM復号器と、誤り検出器によってADPCM符号に符号誤りがあると判定されてから予め定められた時間内に、受信入力周波数が予め設定された周波数(例えば1500Hz)よりも低い場合であって、かつ1サンプリング前のPCM出力信号が最大レベルであって、次のサンプリング時にADPCM復号器で求めた予測信号が1サンプリング前のPCM出力信号を反転した符号である場合に予測信号を1サンプリング前のPCM出力信号に置換する予測信号リミッタを備える。予測信号が符号反転しないように符号置換することで、ミュート処理を極力抑制できるので、通話距離を拡大できる。
本発明のデジタル無線通信装置は、無線回線を介して受信したADPCM符号の符号誤りを検出する誤り検出器と、ADPCM符号を復号してPCM信号を生成するADPCM復号器と、誤り検出器によってADPCM符号に符号誤りがあると判定されてから予め定められた時間内に、受信入力周波数が予め設定された周波数(例えば1500Hz)よりも高い場合であって、かつ1サンプリング前のPCM出力信号が最大レベルであって、次のサンプリング時に求めた予測信号が1サンプリング前のPCM出力信号を反転した符号であり、かつADPCM復号器の14ビットの出力リミッタで制限されるレベルである場合に、ADPCM復号器の予測信号を前記1サンプリング前のPCM出力信号に置換する予測信号リミッタを備える。予測信号が符号反転しないように符号置換することで、ミュート処理を極力抑制できるので、通話距離を拡大できる。
本発明のデジタル無線通信装置において、予測信号リミッタはADPCM復号器の極予測係数を用いて受信入力周波数が予め設定された周波数であるか否かを識別するように構成してもよい。
本発明によれば、ADPCM符号に符号誤りが生じても、ミュート処理を極力抑制できるので、通話距離を拡大できる。
図1は本実施形態のデジタル無線通信装置(例えば、コードレス電話等)30に搭載されるADPCM復号器10を中心としたシステム構成図である。ADPCM復号器10は適応逆量子化器11、適応予測器12、予測信号リミッタ13、再生信号算出部14、出力リミッタ15、遅延器16、量子化スケールファクタ適応部17、適応速度制御部18、及び検出器19を備えて構成されている。
誤り検出器22は巡回冗長検査等により、受信ADPCM符号I(k)にフレームエラーを検出すると、フレームエラー検出信号を判定時間調整部20に出力する。判定時間調整部20はフレームエラーが検出された場合に、置換器21及び予測信号リミッタ13における内部処理の有効時間を調整するエラー検出信号を置換器21及び予測信号リミッタ13に出力する。この内部処理はクリックノイズの発生に伴うミュート処理を抑制するための符号置換処理である(詳細については後述する)。置換器21及び予測信号リミッタ13は判定時間調整部20からエラー検出信号を受信すると、所定のフレーム数について上述した内部処理を行う。
置換器21は判定時間調整部20からエラー検出信号を受信すると、高速スケールファクタyu(k)、低速スケールファクタyl(k)、及びADPCM符号I(k)の値に基づいて、所定の条件が満たされた場合にADPCM符号I(k)を所定の符号I'(k)に置換する。ADPCM符号I(k)は送信側において予測信号と量子化PCM信号の差分信号d(k)が量子化された後に符号化されて伝送されたものである。即ち、送信側の適応量子化器においては差分信号d(k)が2を底とする対数に変換され、次いでスケールファクタy(k)によって正規化される。このようにして得られたlog2(d(k))−y(k)の値を量子化し、符号に置換することによってADPCM符号I(k)が生成される。
適応逆量子化器11はADPCM符号I(k)(又はI'(k))、及び量子化スケールファクタy(k)に基づいて量子化差分信号dq(k)を生成し、量子化差分信号dq(k)を適応予測器12、再生信号算出部14、及び検出部19に出力する。適応予測器12は量子化差分信号dq(k)、及び速度変数tr(k)に基づいて予測信号se(k)、極予測係数a1(k)、及び極予測係数a2(k)を生成する。予測信号リミッタ13は極予測係数a1(k)、1サンプリング前のPCM信号so(k−1)、及び予測信号se(k)の値に基づいて、所定の条件が満たされた場合に予測信号se(k)を所定の符号se'(k)に置換する。再生信号算出部14は量子化差分信号dq(k)、及び予測信号se(k)(又はse'(k))に基づいて、再生信号sr(k)を生成する。出力リミッタ15は16ビットの再生信号sr(k)を14ビットのPCM信号so(k)に圧縮する。遅延器16はPCM信号so(k)の1サンプリング時間前のPCM信号so(k−1)を予測信号リミッタ13に出力する。量子化スケールファクタ適応部17はADPCM符号I(k)(又はI'(k))、及び適応速度制御変数al(k)に基づいてスケールファクタy(k)、高速スケールファクタyu(k)、及び低速スケールファクタyl(k)を生成する。スケールファクタy(k)、高速スケールファクタyu(k)、及び低速スケールファクタyl(k)は次式に示すようにして生成される。
y(k)=al(k)・yu(k−1)+[1−al(k)]・yl(k−1)…(1)
yu(k)=(1−2-5)・y(k)+2-5・W[I(k)]…(2)
yl(k)=(1−2-6)・yl(k)+2-6・yu(k)…(3)
尚、W[I(k)]の値は、図2に示すように定義される。高速スケールファクタyu(k)はI(k)が大きな変動を示すような信号(例えば音声信号)に対応し、低速スケールファクタyl(k)はI(k)が小さな変動を示すような信号(例えばトーン信号)に対応している。
量子化スケールファクタ適応部17はスケールファクタy(k)を適応逆量子化器11に出力し、低速スケールファクタyl(k)を検出器19に出力する。更に、量子化スケールファクタ適応部17は1サンプリング前の高速スケールファクタyu(k−1)、及び低速スケールファクタyl(k−1)を置換器21に出力する。適応速度制御部18はスケールファクタy(k)、ADPCM符号I(k)(又はI'(k))、速度変数tr(k)、制御変数td(k)に基づいて適応速度制御変数al(k)を生成する。トーン及び変化点の検出器19は極予測係数a2(k)、量子化差分信号dq(k)、及び低速スケールファクタyl(k)に基づいて速度変数tr(k)、及び制御変数td(k)を生成する。
尚、上述の信号は全てサンプリングされたデジタル信号であり、各信号の括弧内の文字kはサンプリング時刻を示す。
図3は通常時とエラー発生時におけるyu(k)の各サンプリング時刻における挙動変化を示す比較グラフである。点線は誤り入力の無い通常の挙動を示しており、実線は意図的に誤り入力がされたときの挙動を示している。ポイント1においてW[I(k)]の増加率が最も大きい符号"0111"を誤りとして入力する(I(k)を"0111"に置換する)と、その結果、ポイント2においてクリックノイズが発生し始めていることが確認できる。このことから、I(k)の符号誤りが生じた時点で必ずしもクリックノイズが発生するとは限らないことが解かる。更に、通常時のyu(k)の挙動を見ると、鋸形のように変動していることが確認できる。このことから、差分値の大きいI(k)が入力されるときは、それまでにW[I(k)]の変化量の小さいI(k)が入力されており、yu(k)の値が小さくなっていることが解かる。I(k)の符号誤りが生じたポイント1ではクリックノイズが発生せずに、暫らく経過したポイント2でクリックノイズが発生した理由としては、次のように推察できる。即ち、ポイント1ではI(k)はW[I(k)]の差分値が大きくなる符号に置換されたが、そのときのyu(k)の値が十分に小さかったため、クリックノイズは発生しなかった。ところが、ポイント2ではI(k)は符号誤りを生じなかったにも関わらず、そのときのyu(k)の値に対してW[I(k)]の差分値の大きいI(k)が入力されたために、クリックノイズが発生したと考えられる。以上の推論を踏まえれば、yu(k)に予め閾値を設定しておき、エラー発生時にyu(k)の値が閾値を超え、且つW[I(k)]の増加率が大きいI(k)が入力されたときにyu(k)の値が減少する方向にI(k)の符号置換を行うことで、クリックノイズの発生を抑制できると考えられる。
図4は1kHzのトーン信号と音声信号を入力したときのyu(k)の各サンプリング時刻における挙動変化を示す比較グラフである。図5は1kHzのトーン信号と音声信号を入力したときのyl(k)の各サンプリング時刻における挙動変化を示す比較グラフである。これらの図を比較すると、入力信号が音声信号の場合には、yu(k)とyl(k)のそれぞれの値は比較的大きく緩やかに変動するのに対し、入力信号がトーン信号の場合には、yu(k)とyl(k)のそれぞれの値はある一定値付近で細かく振動するように変動する。この一定値は入力信号の周波数やレベルによって異なり、周波数が低く、レベルが低い程、値は小さくなる。また、yl(k)の値はyu(k)にローパスフィルタ処理をした値に近似している。このように、入力信号の周波数やレベル等によってyu(k)とyl(k)の変動が様々であるため、yu(k)とyl(k)のそれぞれに1つの閾値を設ける構成としたのでは、クリックノイズの検出は困難である。
そこで、本実施形態ではyu(k)とyl(k)の2つのパラーメタの組み合わせに対して閾値を複数設定する。具体的には、図6に示すように、yl(k)について複数の閾値yl1,yl2を設定する。yu(k)>yl1の場合(グループ1)には、図7に示すように、W[I(k)]の増加率が比較的大きくなるI(k)の絶対値=7,6,5のそれぞれに対して、yu(k)の複数の閾値yu1_7,yu1_6,yu1_5を設定する。yl1≦yu(k)≦yl2の場合(グループ2)には、W[I(k)]の増加率が比較的大きくなるI(k)の絶対値=7,6,5のそれぞれに対して、yu(k)の複数の閾値yu2_7,yu2_6,yu2_5を設定する。yu(k)<yl2の場合(グループ3)には、W[I(k)]の増加率が比較的大きくなるI(k)の絶対値=7,6,5のそれぞれに対して、yu(k)の複数の閾値yu3_7,yu3_6,yu3_5を設定する。
ここで、yl(k)はyu(k)をローパスフィルタ処理したものとして近似できるため、yl(k)の値が大きいときはyu(k)の値も大きく、yl(k)の値が小さいときはyu(k)の値も小さいと考えてよい。各グループ間におけるyu(k)の閾値は一部重なり合う部分もあるが、大まかな傾向としては、グループ1におけるyu(k)の閾値はグループ2におけるyu(k)の閾値よりも大きく、グループ2におけるyu(k)の閾値はグループ3におけるyu(k)の閾値よりも大きい。また、I(k)の絶対値=7,6,5の順にW[I(k)]の増加率が小さくなるため、グループ1内におけるyu(k)の閾値は、yu1_7<yu1_6<yu1_5とし、グループ2内におけるyu(k)の閾値は、yu2_7<yu2_6<yu2_5とし、グループ3内におけるyu(k)の閾値は、yu3_7<yu3_6<yu3_5とする。但し、閾値の数や各グループ間の閾値の重なり具合等は適宜変更することも可能である。
置換器21はyl(k)の値に応じて定められたyu(k)の閾値とyu(k−1)との大小関係が所定の条件を満たした場合に、I(k)をI'(k)に置換する。I'(k)としては、"1111"以外の符号であって、W[I(k)]の増加率が低くなる符号が望ましく、例えば、絶対値が1又は2の符号、即ち、"0001"又は"0010"(負の場合は、それぞれ"1110"又は"1101")が好適である。このように符号置換を行うことで、ミュート時間を極力無くすことができる。
上述した符号置換の処理フローについて、図8及び図9を参照して説明する。この処理フローは置換器21の内部処理として実行される。置換器21は判定時間調整部20からエラー検出信号を受信すると(S1;YES)、yl(k−1)>yl1であるか否かをチェックする(S2)。yl(k−1)>yl1であって(S2;YES)、I(k)の絶対値が5である場合には、yu(k−1)>yu1_5であるか否かをチェックする(S3)。yu(k−1)>yu1_5である場合には(S3;YES)、I(k)をI'(k)に置換し(S6)、yu(k−1)≦yu1_5である場合には(S3;NO)、処理フローを抜けてS1に戻る。yl(k−1)>yl1であって(S2;YES)、I(k)の絶対値が6である場合には、yu(k−1)>yu1_6であるか否かをチェックする(S4)。yu(k−1)>yu1_6である場合には(S4;YES)、I(k)をI'(k)に置換し(S6)、yu(k−1)≦yu1_6である場合には(S4;NO)、処理フローを抜けてS1に戻る。yl(k−1)>yl1であって(S2;YES)、I(k)の絶対値が7である場合には、yu(k−1)>yu1_7であるか否かをチェックする(S5)。yu(k−1)>yu1_7である場合には(S5;YES)、I(k)をI'(k)に置換し(S6)、yu(k−1)≦yu1_7である場合には(S5;NO)、処理フローを抜けてS1に戻る。
yl(k−1)≦yl1である場合には(S2;NO)、yl(k−1)>yl2であるか否かをチェックする(S7)。yl(k−1)>yl2であって(S7;YES)、I(k)の絶対値が5である場合には、yu(k−1)>yu2_5であるか否かをチェックする(S8)。yu(k−1)>yu2_5である場合には(S8;YES)、I(k)をI'(k)に置換し(S11)、yu(k−1)≦yu2_5である場合には(S8;NO)、処理フローを抜けてS1に戻る。yl(k−1)>yl2であって(S7;YES)、I(k)の絶対値が6である場合には、yu(k−1)>yu2_6であるか否かをチェックする(S9)。yu(k−1)>yu2_6である場合には(S9;YES)、I(k)をI'(k)に置換し(S11)、yu(k−1)≦yu2_6である場合には(S8;NO)、処理フローを抜けてS1に戻る。yl(k−1)>yl2であって(S7;YES)、I(k)の絶対値が7である場合には、yu(k−1)>yu2_7であるか否かをチェックする(S10)。yu(k−1)>yu2_7である場合には(S10;YES)、I(k)をI'(k)に置換し(S11)、yu(k−1)≦yu2_7である場合には(S10;NO)、処理フローを抜けてS1に戻る。
yl(k−1)≦yl2であって(S7;NO)、I(k)の絶対値が5である場合には、yu(k−1)>yu3_5であるか否かをチェックする(S12)。yu(k−1)>yu3_5である場合には(S12;YES)、I(k)をI'(k)に置換し(S15)、yu(k−1)≦yu3_5である場合には(S12;NO)、処理フローを抜けてS1に戻る。I(k)の絶対値が6である場合には、yu(k−1)>yu3_6であるか否かをチェックする(S13)。yu(k−1)>yu3_6である場合には(S13;YES)、I(k)をI'(k)に置換し(S15)、yu(k−1)≦yu3_6である場合には(S13;NO)、処理フローを抜けてS1に戻る。I(k)の絶対値が7である場合には、yu(k−1)>yu3_7であるか否かをチェックする(S14)。yu(k−1)>yu3_7である場合には(S14;YES)、I(k)をI'(k)に置換し(S15)、yu(k−1)≦yu3_7である場合には(S14;NO)、処理フローを抜けてS1に戻る。
次に、予測信号リミッタ13における予測信号se(k)の符号置換処理について説明する。再生信号sr(k)は量子化差分信号dq(k)と予測信号se(k)との和によって求められるが、クリックノイズは予測信号se(k)の符号反転によって引き起こされることが判明している。図10に示すようにse(k)は15ビットの2の補数表示で表される。0x3FFFは正の最大値であり、0は正の最小値である。0x7FFFは負の最大値であり、0x4000は負の最小値である。0x6000〜0x1FFFの範囲は出力リミッタ15によって制限される範囲である。se(k)に符号誤りが生じ、その後の入力信号との相関がとれなくなると、se(k)は正の最大値を超えて、オーバーフローを起こし、符号反転して負の値をとるようになる。通常、数百Hzオーダー〜1500Hz未満の信号が最大レベルから1サンプリングで反転した符号に移行することは考えにくいため、1サンプリング前のPCM信号so(k−1)が14ビット最大レベルとなり、且つ、se(k)がso(k−1)を符号反転した値と同じである場合には、予測信号リミッタ13はse(k)の値をso(k−1)と同じ値に置換する。一方、1500Hz以上の周波数では1周期のサンプル数が少ないため、符号反転が起きただけでは実際のサンプル点との見分けが困難である。可聴帯域の信号が最大レベルから1サンプリングで反転した符号の最大レベルに移行することは考えにくいことから、1500Hz以上の高周波信号については、1サンプリング前のso(k−1)が14ビット最大レベルであり、se(k)がso(k−1)を符号反転した値と同じであり、且つ、se(k)の値が出力リミッタ15で制限される値(0x6000〜0x1FFFの範囲)である場合には、予測信号リミッタ13はse(k)の値をso(k−1)と同じ値に置換する。図11に示すように極予測係数a1(k)は周波数に追従した特性を示すので、受信入力周波数を識別する手段として、a1(k)の値を利用することで、受信入力周波数が1500Hz以上であるか否かを判定できる。
本実施形態によれば受信したADPCM符号I(k)に符号誤りが生じた場合に、置換器21によって、I(k)をW[I(k)]の増加率が低くなるI'(k)に置換することで、ミュート処理を極力抑制できるので、通話距離を拡大できる効果がある。また、予測信号リミッタ13を新たに設けることで、ミュート処理を極力抑制できるので、通話距離を拡大できる
本実施形態のADPCM復号器の構成図である。 I(k)の絶対値とW[I(k)]の対応関係を示す図である。 通常時とエラー発生時におけるyu(k)の比較グラフである。 yu(k)の各サンプリング時刻におけるグラフである。 yl(k)の各サンプリング時刻におけるグラフである。 yl(k)の閾値の説明図である。 yu(k)の閾値の説明図である。 符号置換の処理フローである。 符号置換の処理フローである。 予測信号se(k)の範囲を示す説明図である。 極予測係数a1(k)の特性曲線である。 従来の音声品質改善装置の機能ブロック図である。 I(k)の絶対値とF[I(k)]の対応関係を示す図である。
符号の説明
10…ADPCM復号器 11…適応逆量子化器 12…適応予測器 13…予測信号リミッタ 14…再生信号算出部 15…出力リミッタ 16…遅延器 17…量子化スケールファクタ適応部 18…適応速度制御部 19…トーン及び変化点の検出器 20…判定時間調整部 21…置換器 22…誤り検出器 30…デジタル無線通信装置

Claims (7)

  1. 無線回線を介して受信したADPCM符号の符号誤りを検出する誤り検出器と、前記ADPCM符号を復号してPCM信号を生成するADPCM復号器と、前記誤り検出器によってADPCM符号に符号誤りがあると判定されてから予め定められた時間内に前記ADPCM復号器で求まる高速スケールファクタ、低速スケールファクタ、及び受信したADPCM符号のそれぞれが所定の閾値を越えた場合にクリックノイズが発生すると判定し、ADPCM符号を予め定められた所定の符号に置換する置換器とを備える、デジタル無線通信装置。
  2. 請求項1に記載のデジタル無線通信装置であって、低速スケールファクタの閾値が予め複数設定されており、低速スケールファクタの閾値のそれぞれに対して、前記ADPCM符号の絶対値によって高速スケールファクタの閾値が複数設定されている、デジタル無線通信装置。
  3. 請求項2に記載のデジタル無線通信装置であって、低速スケールファクタの閾値が高いほど高速スケールファクタの閾値も高く設定されている、デジタル無線通信装置。
  4. 請求項2に記載のデジタル無線通信装置であって、ADPCM符号の絶対値が大きいほど高速スケールファクタの閾値が低く設定されている、デジタル無線通信装置。
  5. 無線回線を介して受信したADPCM符号の符号誤りを検出する誤り検出器と、前記ADPCM符号を復号してPCM信号を生成するADPCM復号器と、前記誤り検出器によってADPCM符号に符号誤りがあると判定されてから予め定められた時間内に、受信入力周波数が予め設定された周波数よりも低い場合であって、かつ1サンプリング前のPCM出力信号が最大レベルであって、次のサンプリング時に前記ADPCM復号器で求めた予測信号が前記1サンプリング前のPCM出力信号を反転した符号である場合に前記予測信号を前記1サンプリング前のPCM出力信号に置換する予測信号リミッタを備える、デジタル無線通信装置。
  6. 無線回線を介して受信したADPCM符号の符号誤りを検出する誤り検出器と、前記ADPCM符号を復号してPCM信号を生成するADPCM復号器と、前記誤り検出器によってADPCM符号に符号誤りがあると判定されてから予め定められた時間内に、受信入力周波数が予め設定された周波数よりも高い場合であって、かつ1サンプリング前のPCM出力信号が最大レベルであって、次のサンプリング時に前記ADPCM復号器で求めた予測信号が前記1サンプリング前のPCM出力信号を反転した符号であり、かつ前記ADPCM復号器の14ビットの出力リミッタで制限されるレベルである場合に前記予測信号を前記1サンプリング前のPCM出力信号に置換する予測信号リミッタを備える、デジタル無線通信装置。
  7. 請求項5又は請求項6に記載のデジタル無線通信装置であって、前記予測信号リミッタは前記ADPCM復号器で求まる極予測係数を用いて受信入力周波数が前記予め設定された周波数であるか否かを識別する、デジタル無線通信装置。

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