JP4398161B2 - Disinfectant containing hypobromite and method for disinfecting discharged water using the same - Google Patents
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Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、次亜臭素酸を含む殺菌剤及びアンモニア、アンモニウムイオンを含む工業排水や下水処理施設からの下水処理水などの公共用水域に放流される放流水の殺菌方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
家庭からの下水、屎尿及び産業排水等は、一般に活性汚泥処理等の微生物処理を行った後、河川あるいは海域等の公共用水域へ放流される。その放流の際、一般家庭からの下水、屎尿、産業排水等に感染症の源になる病原菌が含まれることがあるために、これらの処理水を公共用水域へ放流する前に殺菌剤で殺菌、消毒が行われる。殺菌・消毒には、通常、次亜塩素酸ナトリウム等の塩素系殺菌・消毒剤が使用され、殺菌・消毒後の放流水の規制値として、放流水1ml当たりの大腸菌群数が3000個以下〔3,000CFU/ml(CFU:コロニー形成単位)〕、塩素系消毒剤を用いるときの消毒時間を15分以上行うことが必要とされている(「下水道施設計画・設計指針と解説」参照)。
【0003】
次亜塩素酸ナトリウム等の塩素剤を殺菌・消毒剤として使用すると、放流水中に残留塩素として塩素剤が残り、一般水域へ放流されて自然の生態系を乱す等の環境問題が生じる。また、一般家庭からの下水、屎尿、産業排水等の処理水は、通常、アンモニア等のアンモニウム塩が含まれている場合が多く、このアンモニア(NH3)と塩素剤の次亜塩素酸とが、反応してクロラミンが形成される。このクロラミンは、分解し難い化合物として知られ(S.T Ginn, J.C.Conley他、「Bromine Biocides in Alkaline and High Demand cooling Water」 CORROSION , 157,April 17-21, 1989年)、クロラミンが河川や海に残留して、魚類の餌になる水性植物、苔などに害を与えたり、海域の海苔に対して強い毒性を示すことが明らかになり、問題となっている。
【0004】
一方、次亜塩素酸と同様に殺菌・消毒効果があるものとして次亜臭素酸が知られている。次亜臭素酸もアンモニア(NH3)と反応してブロラミンを生成するが、ブロラミンは速やかに分解するため、環境への影響が比較的少ない。この特徴を利用して、殺菌・消毒に次亜臭素酸の適用が種々、提案されている。
例えば、アンモニアあるいはアンモニウムイオン含有放流排水にブロモクロロヒダントインを用いて得られた次亜臭素酸を適用する消毒方法(例えば特許文献1参照)、排水に凝集剤を添加して後にブロモクロロヒダントインを用いて得られた次亜臭素酸を添加する排水の消毒方法(例えば、特許文献2参照)、残留ハロゲン濃度を測定、管理しながら次亜ハロゲン酸による消毒を行い、次に紫外線照射による殺菌を併用して残留ハロゲン濃度を所定値以下に抑制する排水の消毒方法(例えば特許文献3参照)、ハロゲン化グリオキシムと臭化ヒダントイン化合物あるいは臭化イソシアヌル酸化合物から得られた次亜臭素酸を用いる排水消毒方法(例えば特許文献4参照)等がある。
【0005】
次亜臭素酸は不安定であるために、次亜臭素酸をそのままで、使用することは無く、通常、使用時に0.1〜10重量%水溶液を調製して用いられる。例えば、次亜臭素酸を調製する方法として、次亜塩素酸と臭化物を混合して次亜臭素酸を得る方法、ジブロムジメチルヒダントイン及びブロムクロロジメチルヒダントイン等のブロモヒダントイン類やブロモイソシアヌル酸を水に溶かして次亜臭素酸を得る方法等がある。中でも次亜塩素酸と臭化物を混合して次亜臭素酸を得る方法は、次亜塩素酸ナトリウムと臭化ナトリウムをpHが3〜6の酸性域で混合すると、次式のように反応が進行して次亜臭素酸が得られ、安価で簡単な方法として広く知られている(例えば、特許文献5参照)。
NaClO+NaBr+H+ → HBrO + NaCl +Na+
しかし、この方法では反応速度が遅く、次亜塩素酸を生じさせてから完全に次亜臭素酸に変換するには、数分から数十分かかる。そのため、次亜塩素酸類と臭化物の混合物から得られた次亜臭素酸あるいは次臭素酸塩類を被処理放流水に添加して殺菌・消毒すると、残存する未反応の次亜塩素酸類と臭化物が、殺菌・消毒処理後の放流水中で反応し、残留ハロゲンとなる。また、反応水系のpHを2〜4として反応速度を上げることで次亜臭素酸の生成が促進されるが、生成した次亜臭素酸の分解、揮散も促進され、好ましくない。そこで、反応時間を考慮して滞留槽を設けて次亜臭素酸を調製する方法等が実施されているが、滞留槽スペースの問題や滞留槽内で得られた次亜臭素酸の活性保持時間は短く、生成とともに既に部分的に失活しているために次亜臭素酸の利用効率が低く、その改善が強く望まれていた。
【0006】
【特許文献1】
特開2000−167563号公報
【特許文献2】
特開2002−307072号公報
【特許文献3】
特開2002−320973号公報
【特許文献4】
特開2003−12410号公報
【特許文献5】
特許第2716126号公報
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、次亜塩素酸類と臭化物を混合して得られる次亜臭素酸を含む殺菌剤において、次亜臭素酸の生成速度を向上させた次亜臭素酸を含む殺菌剤を提供すること,および当該殺菌剤をアンモニアおよびアンモニウムイオンを含む工業排水処理水および下水処理施設からの下水処理水などの公共用水域への放流水に用いて、高い殺菌効果と残留ハロゲンの低減をもたらす殺菌方法を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、次亜塩素酸類と臭化物による次亜臭素酸の生成について鋭意検討した結果、特定の有機酸の存在下で次亜臭素酸の生成速度が高くなることを見出し、本発明の次亜臭素酸を含む殺菌剤を完成させ、さらに当該殺菌剤をアンモニアおよびアンモニウムイオンを含む放流水を殺菌しても残留ハロゲンが低いことを見出し、本発明の放流水の殺菌方法を完成させた。
【0009】
すなわち、請求項1に係る発明は、(A)水中で次亜塩素酸を発生する化合物と(B)水中で臭化物イオンを発生する化合物を(C)グリコール酸、アスコルビン酸、ソルビン酸、グリオキシル酸、ピルビン酸から選ばれた1種以上の存在下、pHが5〜7の水系で混合して得られた次亜臭素酸を含むことを特徴とする殺菌剤である。
【0010】
請求項2に係る発明は、請求項1記載の殺菌剤であり、(A)が次亜塩素酸塩、ジクロロイソシアヌル酸およびその塩、トリクロロイソシアヌル酸、1,3−ジクロロ−5,5−ジアルキルヒダントイン(アルキル基が炭素数1〜12のアルキル基)からなる群から選ばれる1種以上であることを特徴とする。
【0011】
請求項3に係る発明は、請求項1乃至2のいずれか記載の殺菌剤であり、(B)が臭化ナトリウム、臭化カリウム、臭化アンモニウム、臭化カルシウムから選ばれる1種以上であることを特徴としている。
【0013】
請求項4に係る発明は、請求項1乃至3のいずれか記載の殺菌剤であり、(A):(C)をモル比で1:0.1〜1:0.5で混合することを特徴とする。
【0014】
請求項5に係る発明は、請求項1乃至4のいずれか記載の次亜臭素酸を含む殺菌剤を用いることを特徴とするアンモニアあるいはアンモニウムイオンを含有する放流水の殺菌方法である。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下に本発明を詳細に説明する。
本発明は、(A)水中で次亜塩素酸を発生する化合物と(B)水中で臭化物イオンを発生する化合物を(C)グリコール酸、アスコルビン酸、ソルビン酸、グリオキシル酸、ピルビン酸から選ばれた1種以上の存在下、pHが5〜7の水系で混合して得られた次亜臭素酸を含むことを特徴とする殺菌剤であり、さらにアンモニアおよびアンモニウムイオンを含む工業排水および下水処理施設からの下水処理水などの放流水を公共用水域に放流する際に、前述の方法で得られた次亜臭素酸を含む殺菌剤を用いる放流水の殺菌方法である。
【0016】
本発明で用いる(A)水中で次亜塩素酸を発生する化合物(以下、「(A)化合物」とする)は、水中に分散あるいは溶解して次亜塩素酸を生じる化合物であり、具体的には塩素、二酸化塩素、次亜塩素酸塩、クロロイソシアヌル酸およびその塩、クロロヒダントイン化合物である。
【0017】
次亜塩素酸塩としては、次亜塩素酸ナトリウム、次亜塩素酸カリウム、次亜塩素酸カルシウム、次亜塩素酸マグネシウム、さらし粉、高度さらし粉等がある。クロロ化イソシアヌル酸およびその塩としては、ジクロロイソシアヌル酸、ジクロロイソシアヌル酸ナトリウム、ジクロロイソシアヌル酸カリウムおよびトリクロロイソシアヌル酸等がある。クロロヒダントイン化合物としては、1,3−ジクロロヒダントインおよび1,3−ジクロロ−5,5−ジアルキルヒダントインがあげられる。1,3−ジクロロ−5,5−ジアルキルヒダントインのアルキル基は炭素数1〜12のアルキル基であり、具体的には1、3−ジクロロ−5,5−ジメチルヒダントイン、1、3−ジクロロ−5,5−ジエチルヒダントイン、1、3−ジクロロ−5,5−ジプロピルヒダントイン、1、3−ジクロロ−5−メチル−5−オクチルヒダントイン、1、3−ジクロロ−5−ドデシル−5−メチルヒダントイン等がある。これらの1種もしくは2種以上を用いることができる。これらの中で好ましくは、次亜塩素酸ナトリウム、次亜塩素酸カルシウム、ジクロロイソシアヌル酸ナトリウム、ジクロロイソシアヌル酸カリウム、トリクロロイソシアヌル酸、1、3−ジクロロ−5,5−ジメチルヒダントインであり、より好ましくは次亜塩素酸ナトリウム、ジクロロイソシアヌル酸ナトリウムである。
【0018】
(A)化合物の使用方法は、その種類により適宜選択すれば良く、一律に決めれらるものではないが、塩素、二酸化塩素では、目的とする次亜臭素酸を製造する際に直接、水中に吹き込んで使用される。次亜塩素酸塩、クロロイソシアヌル酸およびその塩、クロロヒダントイン化合物は、通常、水溶液として使用される。その水溶液の濃度は、溶解度を考慮して適宜決定されれば良く、通常、0.1〜30重量%である。また、(A)化合物から生じる次亜塩素酸量の測定は、JIS K0101−1991に規定のジエチル−p−フェニレンジアンモニウム(DPD)比色法に従って測定した。
【0019】
(B)水中で臭化物イオンを発生する化合物(以下、「(B)化合物」とする)は、水中で溶解して臭化物イオンを発生する物質であれば、特に限定されないが、具体的には、無機物の臭化物である臭化ナトリウム、臭化カリウム、臭化アンモニウム、臭化カルシウム等が挙げられ、これらの1種あるいは2種以上が用いられる。
【0020】
(A)化合物と(B)化合物の混合比は、(A)化合物を水中に添加することにより発生する次亜塩素酸と(B)化合物より発生する臭化物イオンのモル比が1:1〜1:5となる混合比であり、好ましくは1:1.5〜1:3、より好ましくは1:2〜1:2.5である。(A)化合物より発生する次亜塩素酸と(B)化合物より発生する臭化物イオンのモル比が1:1未満では、反応が十分に進まず、(A)化合物より生じる次亜塩素酸が残存する場合がある。また、モル比が1:5を超えると、臭化物イオンを多くしても得られる次亜臭素酸の生成速度の向上及び生成量の増加が少なく、経済的メリットが小さい。(B)化合物は、通常、水溶液として使用される。その濃度は、特に限定されるものではなく、用いる臭化物の溶解度を考慮して適宜決定されれば良いが、通常、1〜50重量%である。
【0021】
(C)グリコール酸、アスコルビン酸、ソルビン酸、グリオキシル酸、ピルビン酸から選ばれた1種以上(以下、「(C)化合物」とする)は、(A)化合物と(B)化合物を混合した水系で次亜塩素酸と臭化物との反応を促進し、予想し得ない次亜臭素酸の生成促進効果を発揮する。また、本発明の次亜臭素酸製造時に水系のpHが酸性域にあるために (C)化合物が塩であっても何ら構わない。具体的には、グリコール酸ナトリウム、グリコール酸カリウム、アスコルビン酸ナトリウム、アスコルビン酸カリウム、ピルビン酸ナトリウム等がある。
【0022】
(C)化合物の使用量は、(A)化合物と(B)化合物との比率及び使用条件等を考慮して適宜選択されれば良く一律に決定することはできないが、通常、(A)化合物により発生する次亜塩素酸と(C)化合物のモル比が1:0.05〜1:1、好ましくは1:0.1〜1:0.5、より好ましくは1:0.15〜0.3である。(C)化合物の使用量が、(A)化合物1モルに対して0.05モル未満では本発明の効果を得ることができない場合があり、1モルを超えても(C)化合物の使用量の増加に見合うだけの次亜臭素酸生成率の向上が得られなく、経済的メリットがない。(C)化合物は、通常、水溶液として使用される。その濃度は、特に限定されるものではなく、適宜選択されれば良く、通常、1〜50重量%である。
【0023】
本発明の次亜臭素酸の製造方法において、(A)化合物と(B)化合物と(C)化合物を混合した水系のpHは、5〜7の酸性域であることが必要であり、pHが7を超えると(A)化合物により生じる遊離の次亜塩素酸が少なく、次亜臭素酸への反応が進まない。また、pHが5よりの小さいと生成した次亜臭素酸と次亜塩素酸が反応して臭化水素酸となり、次亜臭素酸が減少するために好ましくない。
【0024】
本発明の次亜臭素酸の製造方法において、(A)化合物と(B)化合物と(C)化合物を混合した水系のpHを5〜7とするには、有機酸の(C)化合物を用いる方法、無機酸の硫酸、リン酸、塩酸のいずれか1種以上を用いる方法、(C)化合物と無機酸の硫酸、リン酸、塩酸のいずれか1種以上を組み合わせて用いる方法等があり、いずれを用いて良い。
【0025】
本発明の次亜臭素酸を含む殺菌剤は、(C)化合物の存在下、pHが5〜7の水系で(A)化合物と(B)化合物を接触させて得られた次亜臭素酸を含む殺菌剤であり、(C)化合物の存在により次亜臭素酸の生成が促進され、(A)化合物と(B)化合物を混合した直後であっても、次亜臭素酸を含む殺菌剤として使用できる。具体的には、水系に(A)化合物と(B)化合物を添加、混合し、次に(C)化合物を添加して該混合物のpHを5〜7として次亜臭素酸を含む殺菌剤を得る方法、あるいは(A)化合物、(B)化合物、(C)化合物を混合したときの水系のpHが5〜7になるように予め(B)化合物と(C)化合物および必要に応じて無機酸の配合量を決定して調製し、水系で該混合物と(A)化合物と混合して次亜臭素酸を含む殺菌剤を得る方法があり、いずれの方法を用いても良い。
【0026】
本発明の次亜臭素酸を含む殺菌剤は、(A)化合物、(B)化合物、(C)化合物が接触した後、数分以内の極めて短い時間で次亜臭素酸が生成され、殺菌に使用することができる。
【0027】
本発明の次亜臭素酸を含む殺菌剤の効果を妨げない範囲において、他の殺菌剤、消泡剤、スケールコントロール剤、スライムコントロール剤等を含んでも何ら構わない。
【0028】
本発明の放流水の殺菌方法は、アンモニアおよびアンモニウムイオンを含む工業排水および下水処理施設からの下水処理水などの公共用水域に放流される放流水に前述の発明で得られた次亜臭素酸を含む殺菌剤を用いる殺菌方法である。
本発明の放流水の殺菌方法における放流水は、一般の工業排水および一般家庭排水や屎尿等の下水処理施設からの下水処理水等の硝酸塩類、亜硝酸塩類、無機酸および有機酸のアンモニウム塩類、アミン類、4級アンモニウム塩類、タンパク質類等に由来するアンモニアおよびアンモニウムイオンを含み、公共用水域に放流される放流水である。
【0029】
本発明の放流水の殺菌方法は、前述の発明で得られた次亜臭素酸を含む殺菌剤を調製し、速やかに排水処理した放流水及び下水処理した放流水に添加して該放流水を殺菌処理する方法、あるいは被処理放流水に(A)化合物又は(A)化合物の水溶液を添加し、次いで(B)化合物と(C)化合物の混合液を該被処理水混合したときの水系のpHが5〜7になるように予め(B)化合物と(C)化合物及び必要に応じて塩酸等の無機酸の配合量を考慮して調製し、(A)化合物又は(A)化合物水溶液の添加箇所の下流近傍に当該混合物を添加して該放流水を殺菌処理する方法である。好ましくは前者の方法である。
【0030】
前者の放流水の殺菌方法においては、次亜臭素酸を含有する殺菌剤の添加場所は、特に限定されず、処理施設に流入する排水及び下水、沈砂池、沈砂池の流入部、処理後の貯留層等があり、これらの1ヶ所〜数ヶ所に分けて添加することもできる。また、後者の放流水の殺菌方法においては、(A)化合物又は(A)化合物の水溶液の添加場所は、特に限定されず、処理施設に流入する排水及び下水、沈砂池、沈砂池の流入部、処理後の貯留層等があり、これらの1ヶ所〜数ヶ所に分けて添加することもできる。(B)化合物と(C)化合物の混合液の添加場所は、(A)化合物又は(A)化合物の水溶液の添加後であり、(A)化合物、(B)化合物、(C)化合物が混合した状況下でpHが5〜7となり、次亜臭素酸が生成する箇所であれば特に限定されない。
【0031】
処理される放流水のアンモニアおよびアンモニウムイオン濃度(以下、「アンモニアおよびアンモニウムイオン濃度」を「アンモニウムイオン濃度」とする。)は、一般の排水処理条件や下水処理条件により異なり、一律に決定できないが、通常、0.1〜500mg/Lである。更に本発明を十分に発揮するアンモニウムイオン濃度は50〜200mg/Lである。アンモニウムイオン濃度が500mg/Lを超えると本発明の次亜臭素酸製造方法で得られる次亜臭素酸の濃度では、十分に殺菌処理することができない場合がある。
【0032】
次亜臭素酸は、放流水中のアンモニウムイオンと反応してブロラミン(NH2Br)、さらにNHBr2等に変化する。しかし、ブロラミンは速やかに分解して臭化物イオンになり、残留ハロゲンとして殺菌処理後の放流水中に殆んど残らないため、河川および海洋等の公共用水域に放流することができる。
また、驚くべくことにアンモニウムイオンの他に有機物が、全有機物炭素(TOC)として5000mg/L存在していても何ら問題なく、効率的に殺菌処理をすることができる。
【0033】
また、本発明の次亜臭素酸を含む殺菌剤の製造方法では、極めて短時間で次亜臭素酸を発生できることから、排水処理水および下水処理水の急激な変動に対しても、短時間で次亜臭素酸を調製し対処することができる。例えば、家庭汚水及び産業排水と雨水を一緒に集めて下水処理場へ送る「合流式下水道」では、大量の雨が降ると、下水処理水量が急激に多くなり、施設内おける滞留時間も短くなる。その結果、従来の次亜塩素酸処理では、処理水中に発生したクロラミンが放流水中に残留ハロゲンとして残り、放流水が規制値をクリアできない場合が有った。しかし、本発明を用いることにより、次亜臭素酸を短時間で発生させ、しかもブロラミンが分解しやすく、残留しないために下水処理水量が急激に多くなり、施設内おける滞留時間が短くなっても、下水処理放流水を安全に殺菌し、放流することができ、環境にも好ましい。
【0034】
【実施例】
実施例によって、本発明をさらに詳細に説明するが、本発明は以下の実施例になんら限定されるものではない。
【0035】
(A)化合物
A−1:次亜塩素酸ナトリウム[試薬、14%有効塩素の次亜塩素酸ナトリウム水溶液(比重1.25)(次亜塩素酸ナトリウムとして4.93モル/L)、東京化成(株)製]
A−2:1,3−ジクロロ−5,5−ジメチルヒダントイン(試薬、関東化学(株)製)
【0036】
(B)化合物
B−1:臭化ナトリウム(試薬、関東化学(株)製)
B−2:臭化カリウム(試薬、関東化学(株)製)
【0037】
(C)化合物
C−1:L−アスコルビン酸(試薬、関東化学(株)製)
C−2:グリコール酸(試薬、関東化学(株)製)
C−3:グリオキシル酸(試薬、関東化学(株)製)
【0038】
〔次亜臭素酸を含む殺菌剤の製造〕
蒸留水100mLに臭化ナトリウム(B−1)1.03g(10ミリモル)、L−アスコルビン酸(C−1)0.83g(5ミリモル)を混合し、希塩酸でpHを6に調整した。pHがこの範囲よりの高い場合は希塩酸を少量添加して水溶液のpHを調整した。直ちに次亜塩素酸ナトリウム水溶液(A−1)0.21mL[次亜塩素酸として10ミリモル、遊離塩素濃度3550]を添加し、1分後と10分後の遊離臭素酸濃度及び遊離塩素酸濃度を測定した。なお、次亜塩素酸及び次亜臭素酸濃度の測定はJIS K0101−1991の残留塩素測定法に記載のDPD−FAS滴定法にて測定した。同様にして、表1記載の組み合わせで次亜臭素酸の製造を行った。その結果を表1に示した。1分後の遊離次亜臭素酸濃度が高く、10分後の遊離次亜臭素酸濃度との差が小さい程良い。
【0039】
【表1】
【0040】
本発明の次亜臭素酸では、(A)化合物、(B)化合物、(C)化合物を混合した1分後、約90%以上の反応が進み、10分後には反応が完結している。一方、従来の無機酸(例えば塩酸)のみを用いる場合、混合1分後には約82%の反応が進み、10分後でも反応が終結していない場合もあり、(C)化合物の存在により次亜臭素酸の生成が促進させることがわかった。また、(A)化合物、(B)化合物をpHが4で反応させると10分後には、1分後よりも遊離次亜臭素酸濃度が低下し、低pHでの反応は好ましくないことが判る。
【0041】
〔アンモニウムイオン含有放流水の殺菌試験〕
一般家庭排水を処理している下水処理場において、活性汚泥処理を行った後、殺菌処理前の放流水[pH:7.2、アンモニア性窒素:25.8mg/L、一般菌数:5×106個/mL(CFU)、大腸菌群菌数:2×105個/mL(CFU)]を採取し、これに5重量%塩化アンモニウム水溶液を添加してアンモニウムイオン濃度を50〜200mg/Lに調製して供試液とした。次に表1記載の次亜臭素酸を含む殺菌剤を調製し、調製1分後と調製10分後の該殺菌剤をそれぞれ供試液100mLに加えて殺菌し、接触時間1分として一般細菌数と大腸菌群を測定した。一般細菌数測定用の平板培地は、グルコース1.0g、ペプトン5.0g、イーストエキストラクト2.5g、寒天18.0gを蒸留水1リットルに溶解し、pHを6.8に調製して使用した。また、大腸菌群の培地は、乳糖10.0g、ペプトン10.0g、デキオキシコール酸ナトリウム1.0g、塩化ナトリウ2.0g、クエン酸鉄アンモニウム2.0g、ニュートラルレッド0.033g、寒天18.0gを蒸留水1リットルに溶解し、pHを7.2として調製し使用した。その結果を表2及び表3に示した。
【0042】
【表2】
【0043】
【表3】
【0044】
本発明の次亜臭素酸を含む殺菌剤をアンモニウムイオンを含有する水に添加すると、添加1分後に殺菌効果が認められる。しかし、従来の次亜塩素酸使用の殺菌剤では、場合よりも早く殺菌効果が発揮されることが判った。
【0045】
〔次亜塩素酸、次亜臭素酸、結合ハロゲンの分析〕
次亜塩素酸、次亜臭素酸及び結合ハロゲンの濃度測定は以下の「DPD−FAS滴定法方法」に従って行った。
【0046】
(1)DPD粉末試薬の調製
N,N−ジエチル−p−フェニレンジアミン硫酸塩(DPD)1.0g、エチレンジアミンテトラ酢酸二ナトリウム二水塩(EDTA−2Na・2H2O)1.0g、リン酸一水素カリウム(K2HPO4)38.2g、リン酸二水素カリウム(KH2PO4)59.8gを乳鉢で良く混合してDPD粉末試薬とした。
【0047】
(2)遊離ハロゲン量の測定
300mLトールビーカーにDPD粉末試薬0.5gを加え、被試験水100mLを加え、攪拌してDPD粉末試薬を溶解させた。別途調製した2.82mM硫酸第一鉄アンモニウム水溶液(FAS溶液)で滴定し、被試験水の赤色が無色になった点を終点とした。滴定量をA[mL]として次式から遊離ハロゲン量を求めた。
遊離ハロゲン量[mg−Cl2/L]=A×100/v
(vは被試験水量[mL])。
【0048】
(3)次亜臭素酸量の測定及び次亜臭素酸量、次亜臭素酸量の算出
300mLトールビーカーに被試験水100mLを採った。別途調製した10wt/v%グリシン溶液2mLを加え攪拌した。DPD粉末試薬0.5gを加え、溶解させた。FAS溶液(2.82mM)で滴定して、液の赤色が無色になった点を終点とした。滴定量をB[mL]として次式から次亜臭素酸量を求めた。次亜臭素酸量[mg−Cl2/L]=B×100/v
(vは被試験水量[mL])
また、遊離ハロゲン量=(次亜塩素酸量)+(次亜臭素酸量) より、
次亜塩素酸量[mg−Cl2/L]=(A−B)×100/v
【0049】
【発明の効果】
本発明の次亜臭素酸を含む殺菌剤は、調整後、直ちに使用でき、弱酸性〜ほぼ中性であるために殺菌対象の水系のpHに影響することがなく、アンモニアやアンモニウムイオンを含有する水系に使用しても殺菌効果を低下させることなく使用できる。特に、アンモニアやアンモニウムイオンが多く含まれている下水処理水や産業排水処理水を公共用水域に放流する際の殺菌処理に用いても、アンモニアやアンモニウムイオンに影響されることなく殺菌することができ、しかも放流水中の残留ハロゲンの問題もなく、周辺環境にも好ましい。[0001]
BACKGROUND OF THE INVENTION
The present invention relates to a disinfectant containing hypobromite and a method for sterilizing discharged water discharged into public water areas such as industrial wastewater containing ammonia and ammonium ions and sewage treated water from sewage treatment facilities.
[0002]
[Prior art]
Sewage, human waste, industrial wastewater, etc. from households are generally discharged into public water areas such as rivers or sea areas after microbial treatment such as activated sludge treatment. At the time of discharge, sewage, human waste, industrial wastewater, etc. from general households may contain pathogenic bacteria that cause infectious diseases. Therefore, sterilize these treated water with a disinfectant before releasing them into public waters. , Disinfection is performed. For sterilization / disinfection, chlorine-based disinfection / disinfectant such as sodium hypochlorite is usually used, and as a regulation value of discharged water after sterilization / disinfection, the number of coliform bacteria per ml of discharged water is 3000 or less [ 3,000 CFU / ml (CFU: colony forming unit)], it is necessary to carry out the disinfection time of 15 minutes or more when using a chlorine-based disinfectant (see “Sewerage Facility Planning / Design Guidelines and Explanations”).
[0003]
When a chlorinating agent such as sodium hypochlorite is used as a disinfecting / disinfecting agent, the chlorinating agent remains as residual chlorine in the discharge water, and is discharged into a general water area, causing environmental problems such as disturbing the natural ecosystem. In addition, treated water such as sewage, human waste, and industrial wastewater from ordinary households usually contains ammonium salts such as ammonia, and this ammonia (NH 3 ) and hypochlorous acid, a chlorinating agent, are often present. Reacts to form chloramine. Chloramine is known as a compound that is difficult to decompose (ST Ginn, JCConley et al., “Bromine Biocides in Alkaline and High Demand cooling Water” CORROSION, 157, April 17-21, 1989). As a result, it has become a problem because it has been shown to be harmful to water plants, moss, etc., which are used as fish food, and to exhibit strong toxicity to seaweed.
[0004]
On the other hand, hypochlorous acid is known as having a bactericidal / disinfecting effect in the same manner as hypochlorous acid. Hypobromite also reacts with ammonia (NH 3 ) to produce bromoamine, but since bromoamine decomposes rapidly, it has relatively little impact on the environment. Utilizing this feature, various applications of hypobromite have been proposed for sterilization and disinfection.
For example, a disinfection method using hypobromous acid obtained by using bromochlorohydantoin in ammonia or ammonium ion-containing discharge wastewater (see, for example, Patent Document 1), and adding a flocculant to the wastewater and then using bromochlorohydantoin Disinfection method for wastewater to which hypochlorous acid is added (for example, refer to Patent Document 2), disinfecting with hypohalous acid while measuring and managing the residual halogen concentration, and then sterilizing by ultraviolet irradiation Waste water disinfection method that suppresses the residual halogen concentration below a predetermined value (see, for example, Patent Document 3), waste water disinfection using hypobromite obtained from a halogenated glyoxime and a bromide hydantoin compound or a bromide isocyanuric acid compound There are methods (for example, see Patent Document 4).
[0005]
Since hypobromite is unstable, hypobromite is not used as it is, and a 0.1 to 10% by weight aqueous solution is usually prepared and used at the time of use. For example, hypobromous acid can be prepared by mixing hypochlorous acid and bromide to obtain hypobromous acid, bromohydantoins such as dibromodimethylhydantoin and bromochlorodimethylhydantoin, and bromoisocyanuric acid in water. There is a method of obtaining hypobromite by dissolving it in an aqueous solution. Among them, the method of obtaining hypobromite by mixing hypochlorous acid and bromide is that when sodium hypochlorite and sodium bromide are mixed in an acidic range of pH 3 to 6, the reaction proceeds as shown in the following formula. Hypobromite is obtained, and is widely known as an inexpensive and simple method (see, for example, Patent Document 5).
NaClO + NaBr + H + → HBrO + NaCl + Na +
However, in this method, the reaction rate is slow, and it takes several minutes to several tens of minutes to generate hypochlorous acid and then completely convert it to hypobromous acid. Therefore, when hypochlorous acid or hypobromate obtained from a mixture of hypochlorous acid and bromide is added to the treated effluent and sterilized and disinfected, the remaining unreacted hypochlorous acid and bromide are Reacts in the discharged water after sterilization and disinfection, and becomes residual halogen. Moreover, although the production | generation of hypobromite is accelerated | stimulated by raising the reaction rate by setting pH of the reaction water system to 2-4, decomposition | disassembly and volatilization of the produced | generated hypobromite are also accelerated | stimulated. Therefore, in consideration of the reaction time, a method of preparing a hypobromite by providing a residence tank has been implemented, but the problem of residence tank space and the activity retention time of hypobromite obtained in the residence tank Is short and already partially deactivated along with its formation, so the utilization efficiency of hypobromite is low, and there has been a strong demand for its improvement.
[0006]
[Patent Document 1]
JP 2000-167563 A [Patent Document 2]
JP 2002-307072 A [Patent Document 3]
JP 2002-320973 A [Patent Document 4]
JP 2003-12410 A [Patent Document 5]
Japanese Patent No. 2716126 [0007]
[Problems to be solved by the invention]
The present invention provides a disinfectant containing hypobromite, which is obtained by mixing hypochlorous acid and bromide, and has an improved rate of hypobromite formation, And a sterilizing method using the sterilizing agent for industrial effluent treated water containing ammonia and ammonium ions and discharged water to public water bodies such as sewage treated water from a sewage treatment facility, resulting in a high sterilizing effect and a reduction in residual halogen. It is to provide.
[0008]
[Means for Solving the Problems]
As a result of intensive studies on the production of hypobromite by hypochlorous acid and bromide, the present inventors have found that the production rate of hypobromite is increased in the presence of a specific organic acid. Completed a disinfectant containing hypobromite, and found that even if the disinfectant was sterilized effluent containing ammonia and ammonium ions, the residual halogen was low, and the sterilization method of the effluent of the present invention was completed. .
[0009]
That is, the invention according to claim 1 includes (A) a compound that generates hypochlorous acid in water and (B) a compound that generates bromide ions in water. (C) glycolic acid, ascorbic acid, sorbic acid, glyoxylic acid A fungicide containing hypobromite obtained by mixing in an aqueous system having a pH of 5 to 7 in the presence of one or more selected from pyruvic acid .
[0010]
The invention according to claim 2 is the fungicide according to claim 1, wherein (A) is hypochlorite, dichloroisocyanuric acid and a salt thereof, trichloroisocyanuric acid, 1,3-dichloro-5,5-dialkyl. It is one or more selected from the group consisting of hydantoin (alkyl group having 1 to 12 carbon atoms).
[0011]
The invention according to claim 3 is the bactericide according to any one of claims 1 to 2, wherein (B) is at least one selected from sodium bromide, potassium bromide, ammonium bromide, and calcium bromide. It is characterized by that.
[0013]
The invention according to claim 4 is the bactericide according to any one of claims 1 to 3 , wherein (A) :( C) is mixed at a molar ratio of 1: 0.1 to 1: 0.5. Features.
[0014]
The invention according to claim 5 is a method for sterilizing discharged water containing ammonia or ammonium ions, characterized in that the disinfectant containing hypobromite according to any one of claims 1 to 4 is used.
[0015]
DETAILED DESCRIPTION OF THE INVENTION
The present invention is described in detail below.
In the present invention, (A) a compound that generates hypochlorous acid in water and (B) a compound that generates bromide ions in water are selected from (C) glycolic acid, ascorbic acid, sorbic acid, glyoxylic acid, and pyruvic acid. An industrial wastewater and sewage treatment containing hypobromite obtained by mixing in an aqueous system having a pH of 5 to 7 in the presence of one or more kinds , and further containing ammonia and ammonium ions This is a sterilization method for discharged water using a disinfectant containing hypobromite obtained by the above-mentioned method when discharging discharged water such as sewage treated water from a facility to public water bodies.
[0016]
The compound (A) that generates hypochlorous acid in water (hereinafter referred to as “(A) compound”) used in the present invention is a compound that generates hypochlorous acid by dispersing or dissolving in water. Are chlorine, chlorine dioxide, hypochlorite, chloroisocyanuric acid and its salts, and chlorohydantoin compounds.
[0017]
Examples of hypochlorite include sodium hypochlorite, potassium hypochlorite, calcium hypochlorite, magnesium hypochlorite, bleaching powder, and high bleaching powder. Examples of chlorinated isocyanuric acid and salts thereof include dichloroisocyanuric acid, sodium dichloroisocyanurate, potassium dichloroisocyanurate and trichloroisocyanuric acid. Examples of the chlorohydantoin compound include 1,3-dichlorohydantoin and 1,3-dichloro-5,5-dialkylhydantoin. The alkyl group of 1,3-dichloro-5,5-dialkylhydantoin is an alkyl group having 1 to 12 carbon atoms, specifically 1,3-dichloro-5,5-dimethylhydantoin, 1,3-dichloro- 5,5-diethylhydantoin, 1,3-dichloro-5,5-dipropylhydantoin, 1,3-dichloro-5-methyl-5-octylhydantoin, 1,3-dichloro-5-dodecyl-5-methylhydantoin Etc. These 1 type (s) or 2 or more types can be used. Among these, sodium hypochlorite, calcium hypochlorite, sodium dichloroisocyanurate, potassium dichloroisocyanurate, trichloroisocyanuric acid and 1,3-dichloro-5,5-dimethylhydantoin are more preferable. Is sodium hypochlorite and sodium dichloroisocyanurate.
[0018]
The method of using the compound (A) may be appropriately selected depending on the type of the compound and is not uniformly determined. However, chlorine and chlorine dioxide are directly used in water when producing the desired hypobromite. Used by blowing. Hypochlorite, chloroisocyanuric acid and its salts, and chlorohydantoin compounds are usually used as aqueous solutions. The concentration of the aqueous solution may be appropriately determined in consideration of solubility, and is usually 0.1 to 30% by weight. In addition, the amount of hypochlorous acid generated from the compound (A) was measured according to a diethyl-p-phenylenediammonium (DPD) colorimetric method defined in JIS K0101-11991.
[0019]
(B) The compound that generates bromide ions in water (hereinafter referred to as “(B) compound”) is not particularly limited as long as it is a substance that dissolves in water and generates bromide ions. Examples include inorganic bromides such as sodium bromide, potassium bromide, ammonium bromide, and calcium bromide, and one or more of these are used.
[0020]
The mixing ratio of the compound (A) and the compound (B) is such that the molar ratio of hypochlorous acid generated by adding the compound (A) to water and the bromide ion generated from the compound (B) is 1: 1 to 1. : 5, preferably 1: 1.5 to 1: 3, more preferably 1: 2 to 1: 2.5. When the molar ratio of hypochlorous acid generated from (A) compound to bromide ion generated from (B) compound is less than 1: 1, the reaction does not proceed sufficiently, and hypochlorous acid generated from (A) compound remains. There is a case. On the other hand, when the molar ratio exceeds 1: 5, the improvement in the production rate of hypobromite and the increase in the production amount obtained even if bromide ions are increased are small, and the economic merit is small. (B) A compound is normally used as aqueous solution. The concentration is not particularly limited and may be appropriately determined in consideration of the solubility of bromide to be used, but is usually 1 to 50% by weight.
[0021]
(C) One or more kinds selected from glycolic acid, ascorbic acid, sorbic acid, glyoxylic acid, and pyruvic acid (hereinafter referred to as “(C) compound”) were prepared by mixing the (A) compound and the (B) compound. in aqueous promotes reaction between hypochlorite and bromide, it exerts production promoting effect of hypobromite not have been predicted. Also, (C) a compound to the pH of the water system during hypobromous acid production is in the acidic range of the present invention may any be a salt. Specifically, sodium glycolate, glycolic acid potassium, sodium ascorbic acid, potassium ascorbate, sodium pyruvate.
[0022]
The amount of the compound (C) used may be appropriately selected in consideration of the ratio between the compound (A) and the compound (B), the use conditions, etc., but cannot be uniformly determined. The molar ratio of hypochlorous acid generated by (C) and the compound (C) is 1: 0.05 to 1: 1, preferably 1: 0.1 to 1: 0.5, more preferably 1: 0.15 to 0. .3. When the amount of the compound (C) used is less than 0.05 mol with respect to 1 mol of the compound (A), the effects of the present invention may not be obtained. Improvement in hypobromite production rate that is commensurate with the increase in the amount cannot be obtained, and there is no economic merit. (C) A compound is normally used as aqueous solution. The concentration is not particularly limited and may be appropriately selected, and is usually 1 to 50% by weight.
[0023]
In the method for producing hypobromite of the present invention, the pH of the aqueous system in which the (A) compound, the (B) compound, and the (C) compound are mixed must be in the acidic range of 5 to 7, and the pH is If it exceeds 7, the amount of free hypochlorous acid produced by the compound (A) is small, and the reaction to hypobromite does not proceed. On the other hand, when the pH is less than 5, the produced hypobromite and hypochlorous acid react to form hydrobromic acid, and hypobromite decreases, which is not preferable.
[0024]
In the method for producing hypobromite of the present invention, the (A) compound, the (B) compound, and the (C) compound in which the aqueous system in which the (A) compound, the (B) compound, and the (C) compound are mixed are adjusted to 5-7. A method, a method using any one or more of sulfuric acid, phosphoric acid, and hydrochloric acid as an inorganic acid, a method using (C) a combination of one or more of sulfuric acid, phosphoric acid, and hydrochloric acid as a compound and an inorganic acid, and the like. Either may be used.
[0025]
The disinfectant containing hypobromite of the present invention comprises hypobromite obtained by contacting the compound (A) with the compound (B) in an aqueous system having a pH of 5 to 7 in the presence of the compound (C). As a disinfectant containing hypobromite, even if it is immediately after mixing (A) compound and (B) compound, the production of hypobromite is promoted by the presence of compound (C). Can be used. Specifically, the (A) compound and the (B) compound are added and mixed in an aqueous system, and then the (C) compound is added to adjust the pH of the mixture to 5 to 7, and then a disinfectant containing hypobromite is added. Or (B) compound and (C) compound, and if necessary, inorganic so that the pH of the aqueous system when mixing (A) compound, (B) compound and (C) compound is 5-7 There is a method in which the blending amount of the acid is determined and prepared, and the mixture and the compound (A) are mixed in an aqueous system to obtain a disinfectant containing hypobromite, and any method may be used.
[0026]
The disinfectant containing hypobromite of the present invention produces hypobromite in a very short time within a few minutes after the (A) compound, (B) compound, and (C) compound come into contact with each other. Can be used.
[0027]
Other germicides, antifoaming agents, scale control agents, slime control agents and the like may be included as long as the effects of the germicide containing hypobromite of the present invention are not hindered.
[0028]
The sterilization method of the effluent of the present invention is a hypobromite obtained in the above-mentioned invention to the effluent discharged into public water bodies such as industrial effluent containing ammonia and ammonium ions and sewage effluent from a sewage treatment facility. Is a sterilization method using a sterilizing agent containing
The effluent in the sterilization method of the effluent of the present invention includes nitrates, nitrites, ammonium salts of inorganic acids and organic acids, such as sewage treatment water from sewage treatment facilities such as general industrial effluent and general household effluent and manure Effluent water containing ammonia and ammonium ions derived from amines, quaternary ammonium salts, proteins and the like and discharged into public water bodies.
[0029]
The method for sterilizing discharged water according to the present invention is to prepare a disinfectant containing hypobromite obtained in the above-described invention, and quickly add the discharged water to the discharged water subjected to wastewater treatment and the discharged water subjected to sewage treatment. The method of sterilization treatment, or the aqueous system when (A) compound or (A) aqueous solution of compound (A) is added to treated effluent, and then the mixture of (B) compound and (C) compound is mixed with the treated water Prepare in advance considering the blending amount of (B) compound, (C) compound and, if necessary, inorganic acid such as hydrochloric acid so that the pH is 5 to 7, and (A) compound or (A) aqueous solution of compound In this method, the mixture is added to the vicinity of the addition site to sterilize the discharged water. The former method is preferred.
[0030]
In the former effluent water sterilization method, the location of the addition of the hypobromite-containing disinfectant is not particularly limited, and wastewater and sewage that flows into the treatment facility, the sand basin, the inflow part of the sand basin, There is a reservoir, etc., and these can be added separately in one to several places. In addition, in the latter sterilization method of discharged water, the location of addition of the compound (A) or the aqueous solution of the compound (A) is not particularly limited, and wastewater and sewage flowing into the treatment facility, a sand basin, and an inflow portion of the sand basin There are reservoirs after treatment, etc., and these can be added separately in one to several places. (B) Compound and (C) compound liquid mixture is added after (A) compound or (A) aqueous solution of compound (A) compound, (B) compound, (C) compound is mixed The pH is 5 to 7 under the above conditions, and there is no particular limitation as long as hypobromite is generated.
[0031]
The concentration of ammonia and ammonium ions in the treated effluent (hereinafter referred to as “ammonia and ammonium ion concentration” is referred to as “ammonium ion concentration”) depends on general wastewater treatment conditions and sewage treatment conditions, and cannot be determined uniformly. Usually, it is 0.1 to 500 mg / L. Furthermore, the ammonium ion concentration which fully exhibits the present invention is 50 to 200 mg / L. If the ammonium ion concentration exceeds 500 mg / L, the concentration of hypobromite obtained by the hypobromite production method of the present invention may not be sufficient for sterilization.
[0032]
Hypobromite reacts with ammonium ions in the effluent water and changes to bromamine (NH 2 Br), NHBr 2 and the like. However, since brolamin decomposes rapidly into bromide ions and hardly remains as residual halogen in the effluent after sterilization, it can be released into public waters such as rivers and oceans.
Surprisingly, even if an organic substance other than ammonium ions is present at 5000 mg / L as total organic carbon (TOC), it can be sterilized efficiently without any problem.
[0033]
Further, in the method for producing a disinfectant containing hypobromite according to the present invention, hypobromite can be generated in a very short time. Hypobromite can be prepared and addressed. For example, in a “joint sewer” that collects domestic sewage and industrial wastewater and rainwater together and sends them to a sewage treatment plant, when a large amount of rain falls, the amount of sewage treatment water increases rapidly, and the residence time in the facility also decreases. . As a result, in the conventional hypochlorous acid treatment, chloramine generated in the treated water remains as residual halogen in the effluent water, and the effluent water sometimes fails to clear the regulation value. However, by using the present invention, hypobromite is generated in a short time, and bromoamine is easily decomposed, and since it does not remain, the amount of treated sewage water increases rapidly, and the residence time in the facility is shortened. The sewage treatment effluent can be safely sterilized and discharged, which is preferable for the environment.
[0034]
【Example】
The present invention will be described in more detail with reference to examples, but the present invention is not limited to the following examples.
[0035]
(A) Compound A-1: Sodium hypochlorite [reagent, 14% effective chlorine in sodium hypochlorite aqueous solution (specific gravity 1.25) (4.93 mol / L as sodium hypochlorite), Tokyo Chemical Industry Manufactured by]
A-2: 1,3-dichloro-5,5-dimethylhydantoin (reagent, manufactured by Kanto Chemical Co., Inc.)
[0036]
(B) Compound B-1: Sodium bromide (reagent, manufactured by Kanto Chemical Co., Inc.)
B-2: Potassium bromide (reagent, manufactured by Kanto Chemical Co., Inc.)
[0037]
(C) Compound C-1: L-ascorbic acid (reagent, manufactured by Kanto Chemical Co., Inc.)
C-2: Glycolic acid (reagent, manufactured by Kanto Chemical Co., Inc.)
C-3: Glyoxylic acid (reagent, manufactured by Kanto Chemical Co., Inc.)
[0038]
[Manufacture of bactericides containing hypobromite]
To 100 mL of distilled water, 1.03 g (10 mmol) of sodium bromide (B-1) and 0.83 g (5 mmol) of L-ascorbic acid (C-1) were mixed, and the pH was adjusted to 6 with dilute hydrochloric acid. When the pH was higher than this range, a small amount of diluted hydrochloric acid was added to adjust the pH of the aqueous solution. Immediately after addition of 0.21 mL of aqueous sodium hypochlorite solution (A-1) [10 mmol as hypochlorous acid, free chlorine concentration 3550], free bromic acid concentration and free chloric acid concentration after 1 minute and 10 minutes Was measured. In addition, the measurement of the hypochlorous acid and hypochlorous acid concentration was measured by the DPD-FAS titration method as described in the residual chlorine measuring method of JISK0101-11991. Similarly, hypobromous acid was produced in the combinations shown in Table 1. The results are shown in Table 1. The higher the free hypobromite concentration after 1 minute, the better the difference from the free hypobromite concentration after 10 minutes.
[0039]
[Table 1]
[0040]
In the hypobromite of the present invention, about 90% of the reaction proceeds after 1 minute of mixing the (A) compound, (B) compound, and (C) compound, and the reaction is completed after 10 minutes. On the other hand, when only a conventional inorganic acid (for example, hydrochloric acid) is used, about 82% of the reaction proceeds after 1 minute of mixing, and the reaction may not be completed even after 10 minutes. It was found that the formation of bromite was promoted. It can also be seen that when the (A) compound and the (B) compound are reacted at a pH of 4, the concentration of free hypobromite is lower after 10 minutes than after 1 minute, and the reaction at low pH is not preferred. .
[0041]
[Sterilization test of discharge water containing ammonium ions]
After activated sludge treatment at a sewage treatment plant that treats general household wastewater, discharged water before sterilization treatment [pH: 7.2, ammoniacal nitrogen: 25.8 mg / L, general bacterial count: 5 × 10 6 cells / mL (CFU), the number of coliform bacteria: 2 × 10 5 cells / mL (CFU)], and 5% by weight ammonium chloride aqueous solution is added thereto to adjust the ammonium ion concentration to 50 to 200 mg / L. To prepare a test solution. Next, a bactericidal agent containing hypobromite shown in Table 1 was prepared. The bactericidal agent after 1 minute and 10 minutes after the preparation was added to 100 mL of the test solution for sterilization. And coliforms were measured. A flat plate medium for measuring the number of general bacteria is prepared by dissolving 1.0 g of glucose, 5.0 g of peptone, 2.5 g of yeast extract and 18.0 g of agar in 1 liter of distilled water, adjusting the pH to 6.8. did. In addition, the culture medium of coliforms was lactose 10.0 g, peptone 10.0 g, sodium dextoxycholate 1.0 g, sodium chloride 2.0 g, iron iron citrate 2.0 g, neutral red 0.033 g, agar 18. 0 g was dissolved in 1 liter of distilled water to adjust the pH to 7.2. The results are shown in Tables 2 and 3.
[0042]
[Table 2]
[0043]
[Table 3]
[0044]
When the disinfectant containing hypobromite of the present invention is added to water containing ammonium ions, a disinfecting effect is observed 1 minute after the addition. However, it has been found that the conventional disinfectant using hypochlorous acid exhibits the disinfecting effect earlier than the case.
[0045]
[Analysis of hypochlorous acid, hypobromous acid, and bonded halogen]
Concentration measurements of hypochlorous acid, hypobromite and bound halogen were performed according to the following “DPD-FAS titration method”.
[0046]
(1) Preparation of DPD powder reagent N, N-diethyl-p-phenylenediamine sulfate (DPD) 1.0 g, ethylenediaminetetraacetic acid disodium dihydrate (EDTA-2Na · 2H 2 O) 1.0 g, phosphoric acid 38.2 g of potassium monohydrogen (K 2 HPO 4 ) and 59.8 g of potassium dihydrogen phosphate (KH 2 PO 4 ) were mixed well in a mortar to obtain a DPD powder reagent.
[0047]
(2) Measurement of free halogen amount 0.5 g of DPD powder reagent was added to a 300 mL tall beaker, 100 mL of water to be tested was added, and the mixture was stirred to dissolve the DPD powder reagent. Titration with a separately prepared 2.82 mM ferrous ammonium sulfate aqueous solution (FAS solution) was performed, and the end point was the point at which the red color of the water to be tested became colorless. The amount of free halogen was determined from the following equation with the titration amount being A [mL].
Free halogen amount [mg-Cl 2 / L] = A × 100 / v
(V is the amount of water to be tested [mL]).
[0048]
(3) Measurement of amount of hypobromite and calculation of amount of hypobromite and amount of hypobromite 100 mL of water to be tested was taken in a 300 mL tall beaker. 2 mL of a 10 wt / v% glycine solution prepared separately was added and stirred. 0.5 g of DPD powder reagent was added and dissolved. Titrating with FAS solution (2.82 mM), the point at which the red color of the solution became colorless was taken as the end point. The amount of hypobromite was determined from the following equation with the titration amount being B [mL]. Hypobromite amount [mg-Cl 2 / L] = B × 100 / v
(V is the amount of water to be tested [mL])
In addition, the amount of free halogen = (hypochlorous acid amount) + (hypochlorous acid amount)
Hypochlorous acid amount [mg-Cl 2 / L] = (A−B) × 100 / v
[0049]
【The invention's effect】
The disinfectant containing hypobromite of the present invention can be used immediately after preparation, and is weakly acidic to almost neutral, so it does not affect the pH of the aqueous system to be sterilized and contains ammonia and ammonium ions. Even if it is used in an aqueous system, it can be used without reducing the bactericidal effect. In particular, it can be sterilized without being affected by ammonia or ammonium ions, even if it is used for sterilization treatment when sewage treatment water or industrial wastewater treatment water containing a large amount of ammonia or ammonium ions is discharged to public water bodies. Moreover, there is no problem of residual halogen in the discharged water, which is preferable for the surrounding environment.
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