JP4397424B1 - ガス化方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】廃棄資源を有効利用し、燃料として回収可能なガスを効率よく、かつ安定して生成する方法を提供すること。
【解決手段】廃材A、製紙スラッジB及び塊状ダストC混在しており、該塊状ダストCが、該廃材Aを原材料とした廃材砕片由来のダストをスラッジにて塊状に形成させたものである主原料Dを、非酸化性雰囲気下で熱分解し、発生した熱分解ガスをスチームと反応させることを特徴とする、ガス化方法。
【選択図】なし

Description

本発明は、ガス化方法に関する。さらに詳しくは、廃棄資源を有効利用し、燃料として回収可能なガスを効率よく、かつ安定して生成する方法に関する。
近年、地球温暖化防止、循環型社会形成の推進により、従来焼却処分されていた、例えば廃木材、間伐材、流木、廃割り箸、バーク材等の廃棄資源、いわゆる「バイオマス」を有効利用する方法が種々検討されている。このようなバイオマスを処理する方法としては、一般に直接燃焼方式とガス化方式とが考えられる。
直接燃焼方式は、バイオマスを完全燃焼させるものであり、例えばストーカ炉、流動床炉、微粉燃焼炉、噴流床炉等の燃焼炉が用いられる。該直接燃焼方式によって回収、利用し得るのは熱エネルギーのみであり、該熱エネルギーにより温水やスチームを発生させて発電を行う。
ガス化方式は、バイオマスを酸素や空気によって部分酸化させるものであり、例えば固定床炉、流動床炉、バブリング型流動床炉、循環流動床炉、循環移動床炉等のガス化炉が用いられる。該ガス化方式では、熱エネルギー及びガスを回収、利用することができ、該熱エネルギーを利用して温水や電力を得ることができる。また、該ガスを燃料として温水や電力を回収したり、熱源としてキルン炉等での助燃剤として利用することも可能である。
また、廃棄物焼却により発生するダイオキシン削減のための規制措置により、バイオマス等の産業廃棄物の単純焼却処理も規制されるようになり、単純な焼却処理が不可能となりつつある。一方で、建設廃木材のリサイクル推進が建設リサイクル法基本方針に盛り込まれ、該建設廃木材等のリサイクル処理が余儀なくされている。
ところが、産業廃棄物及び一般廃棄物の国内総排出量は、通常0.5〜3トン/日程度で、前記バイオマスの主材である廃木材となると、1トン/日程度の排出量に留まり、前記直接燃焼方式やガス化方式における処理量と比較するとかなり少ない。特に廃木材は、一度家屋等の建設用材として用いられたものであり、経年により木材中の水分が低下して極めて低い含水率の素材となっている。ガス化炉においては、原料中に含有される水分により、ガス化炉内の気密性が上昇し、ガス化炉での操業安定性やガス化効率の向上に寄与するが、乾燥素材の場合は水分を供給する必要が生じる。しかしながら、廃木材に水分を供給しても、廃木材の原料中(素材中)にまで水分を含浸させ、含水率を高めることは困難であり、廃木材の外表面に付着した水は、ガス化炉への供給直後に蒸発してガス化炉内の気密性に寄与しない。したがって、バイオマスの処理及び有効利用は要求されているものの、同時にガス化炉での操業安定性やガス化効率の新たな向上技術の開発が望まれている。
一方、製紙工場においては、近年の微細繊維を多く含む古紙パルプの高配合化と用紙の軽量化、抄紙機の高速化に伴うワイヤーパートでの急激かつ強制的な脱水により、該微細繊維の歩留まりや灰分の歩留まりが極めて低い状況である。その結果、各製紙工程にて排出される製紙スラッジが年々増加してきている。
特に、古紙パルプを使用した再生紙の生産比率の増加と古紙パルプの高配合化により、多量の古紙パルプが必要となり、古紙の使用量も増大している。新聞古紙や雑誌古紙等の古紙には、非塗工紙に使用された填料や塗工紙に使用された填料・顔料に由来する無機物が多く含まれているため、古紙処理工程からは、パルプ繊維と分離され、填料・顔料等の無機物が多く含まれた脱墨スラッジが多量に発生している。
このような填料・顔料等の無機物を多量に含む古紙処理工程から排出される脱墨スラッジや、各製紙工程から排出される排水・脱水スラッジ等の製紙スラッジは、従来、燃焼して減容化を図ったうえで、多くは埋立て処分されてきた。
しかしながら、環境保護、資源保護、ゴミ減少等に貢献することができる再生紙を、その品質を維持乃至向上しながら継続的に製造するためには、製紙工場にとって、このような製紙スラッジの再資源化や有効利用が重要な課題となってきている。
そこで、前記バイオマスや製紙スラッジを再資源化して有効利用するために、さらに各種処理方法が研究されてきている。
例えば特許文献1には、高炉及びコークス炉、シャフト炉、ロータリーキルン、キュポラ、溶融炉やゴミのガス化溶融装置等の処理装置に、一般生ゴミや廃食品残渣、古紙や廃木材、家畜糞、活性汚泥類、製紙スラッジ、シュレッダー屑、廃プラスチック等炭化水素系を含んだ廃棄物、あるいは水分を含む廃棄物及び未利用資源を投入し、還元ガスとして生成した水素ガスを回収する方法が提案されている。
また例えば特許文献2には、1つの容器内に有機系廃棄物を熱分解する領域と発生した熱分解ガスを改質する領域とを備えるガス化炉を有し、該有機系廃棄物を熱分解する領域に、所定の定圧モル熱容量を有する固体状熱媒体が充填されたガス化装置を用い、有機系廃棄物を熱分解かつ改質してガス化する方法が提案されている。
これらの方法により、いわゆるバイオマスや製紙スラッジを原料として利用し、資源としての熱エネルギーやガスを得ることは可能である。しかしながら、これらの方法では、原料の保有水分を適度に調整することができず、特に原料を揮発、熱分解させる際の反応系の気密性を維持することができず、ガスの生成効率や安定性が損なわれてしまうという問題がある。
特開2001−311084号公報 特開2005−146056号公報
本発明は、前記背景技術に鑑みてなされたものであり、廃棄資源を有効利用し、燃料として回収可能なガスを効率よく、かつ安定して生成する方法を提供することを目的とする。
本発明は、
廃材A、製紙スラッジB及び塊状ダストC混在しており、該塊状ダストCが、該廃材Aを原材料とした廃材砕片由来のダストをスラッジにて塊状に形成させたものである主原料Dを、非酸化性雰囲気下で熱分解し、発生した熱分解ガスをスチームと反応させることを特徴とする、ガス化方法
に関する。
本発明のガス化方法は、廃棄資源を有効利用した資源循環型の方法であり、該ガス化方法により、燃料として回収可能なガスを熱量と共に効率よく、かつ安定して生成することができ、しかも操業変動に伴うピッチ分の析出を抑制することもできる。
(実施の形態)
本発明のガス化方法では、原料として、廃材Aと製紙スラッジBと塊状ダストCとを混在させた主原料Dを用い、該主原料Dを非酸化性雰囲気下で熱分解し、発生した熱分解ガスをスチームと反応させる。
まず、本実施の形態に係るガス化方法に用いる原料について説明する。
本実施の形態に用いられる主原料Dの1つである廃材Aとは、例えば廃木材、間伐材、流木、廃割り箸、バーク材等の木材廃棄物であり、通常含水率が低い原料である。
前記廃材Aは、例えば後述するガス化装置におけるガス化炉にて処理が可能な形状であれば特に限定がなく、例えば板状、シート状であれば、面積が4〜20cm2程度で、厚さが5〜10mm程度のものを、棒状であれば、底面積が0.5〜2cm2程度で、長さが20〜100mm程度のものを、また粒状、粉末状であれば、粒径が0.5〜2cm程度のものを好適に用いることができる。
前記のごとき、好適な板状、シート状、粒状又は粉末状の寸法を超える粗大な廃材Aを用いた場合は、ガス化炉への原料供給における作業性の低下や、原料寸法のバラツキにより、本発明の課題である、燃料として回収可能なガスを効率よく、かつ安定して生成する方法を提供することが困難になる恐れがある。
廃材Aは、前記したように、通常含水率が低い原料であり、その形状によっても異なるが、その含水率は20質量%程度以上、25質量%程度以下であることが好ましい。
なお、本明細書において、含水率はJIS Z 7302−3「廃棄物固形化燃料−第3部:水分試験方法」に記載の方法に準拠して測定した値をいう。
本実施の形態では、廃材Aとして例えば前記のごとき低含水率を有するものが用いられ、しかも後述するように、該廃材A、製紙スラッジB及び塊状ダストCを熱分解するにあたって適度な保有水分が必要であることから、該廃材Aにあらかじめ乾燥処理を施さなくてもよい。
本実施の形態に用いられる主原料Dの1つである製紙スラッジBとは、例えば、特に古紙リサイクル工程等の古紙から脱墨古紙パルプを製造する脱墨処理工程で発生する、例えば微細なパルプ繊維等の有機物と、多孔性の填料、顔料等の無機物、いわゆる炭酸カルシウム、カオリン、タルク、二酸化チタン、シリカ、アルミナ等の無機物とが含有される脱墨スラッジや、製紙工程から発生した各種排水スラッジを集合させて処理した工場排水スラッジや、製紙工程での微生物処理における余剰汚泥スラッジといった、有機物・無機物を含有した製紙工程からの廃棄物であり、通常含水率が高い原料である。
含水率が高い工場排水スラッジや、製紙工程での微生物処理における余剰汚泥スラッジといった、有機物・無機物を含有した製紙工程からの廃棄物は、ガス化炉内に供給しても含有する水分を容易に気散させないことから、含水率の低い木材廃棄物と組み合わせることでガス化炉内の水分の適切な調節が可能になり、ガス化炉内の気密性を上昇させることが可能になるので、ガスの生成効率や安定性を向上させることができる。
本実施の形態に係るガス化方法において、前記廃材A及び後述する塊状ダストCと共に、高い含水率で水分の保持能力の高い原料として製紙スラッジBを用いることが大きな特徴の1つである。このように廃材A及び塊状ダストCと製紙スラッジBとを併用することで、非酸化性雰囲気下での熱分解の際に、例えば廃材Aを単独で原料とした場合のように系内に水分を別途補給しなくとも、効率よくかつ安定してガス化を進行させることができる。
製紙スラッジBは、前記したように、通常含水率が高い原料であり、その種類によっても多少異なるが、その含水率は60質量%程度以上、70質量%程度以下であることが好ましい。
製紙スラッジBの含水率が60質量%未満の場合、本発明の課題である、回収可能なガスを効率よく、かつ安定して生成するためには阻害となる微細ダストを廃材Aに付着させることが困難になり、課題を解決することができない恐れがある。また製紙スラッジBの含水率が70質量%を超えるようにするには、製紙スラッジB中にさらに水を加えなければならず、含水率が高すぎるとガス化炉内の温度低下やガス化炉への搬送時に漏水が生じ、作業性を悪化させる原因となる。
本実施の形態に用いられる主原料Dの1つである塊状ダストCとは、例えば、木材廃棄物由来の粉体状の微細なダストを塊状に形成させた、粒径が1〜3cm程度のダストのことをいい、本実施の形態に用いられる廃材Aを原材料とした廃材砕片由来のダストを、スラッジにて塊状に形成させたものである。なお、粉体状の微細なダストとは、原料の木材廃棄物を、例えば後述するガス化装置におけるガス化炉にて処理が可能な所望の形状及び大きさに破砕した際に発生する、例えば粉体状で粒子径が9mm以下、主として2〜6mm程度のダストのことをいう。
前記スラッジにて塊状に形成させるには、例えば、スラッジを微細なダストに混在させた後、振動篩等のスラッジと微細ダストとを相互に接触させる物理的手段にて、略球状の塊状に形成させる手段等を採用することが可能であり、略球状の塊状ダストは、廃材Aと共に適度な空隙を持ち、詰まりを生じさせ難いので、ガス化炉に好適に供給され得る。
前記したように、例えば粉体状の微細なダストは、原料の木材廃棄物を、例えば後述するガス化装置におけるガス化炉にて処理が可能な所望の形状及び大きさに破砕した際に発生するが、通常このような微細なダストが廃材に含まれていると、微細なダストによって空気の流れが阻害されて空隙率が低下し、廃材の熱分解で発生したガスとスチームとを反応させる際に、スチームの流れが阻害され、反応が充分に進行しない。したがって、このような微細なダストは、従来、ガス化炉での処理に先立ってあらかじめ除去されてしまい、有効利用されていない。
ところが、本実施の形態では、このような微細なダストをそのまま用いるのではなく、塊状に形成して塊状ダストとし、廃材A及び製紙スラッジBと共に混在させて熱分解に供するので、従来廃棄処分されていた微細なダストまでも有効利用することができ、しかも、前記のごとき微細なダストによる従来の問題が生じることもない。
なお、本実施の形態に用いる塊状ダストCは、微細なダストが塊状に形成されたものであり、前記したように、廃材Aを原材料とした廃材砕片由来のダストを、水にて塊状に形成させたものではなく、スラッジにて塊状に形成させたものであるので、過剰な水分によるブリッジ化が起こり難い。また、塊状に形成させる際のスラッジとしては、例えば本実施の形態において主原料Dとして用いられる製紙スラッジBを好適に例示することができる。
塊状ダストCの含水率は、その種類によっても多少異なるが、30質量%程度以上、さらには35質量%程度以上、50質量%程度以下、さらには45質量%程度以下であることが好ましい。
本実施の形態に係るガス化方法において、まず、廃材A、製紙スラッジB及び塊状ダストCを、各々の質量比が特定範囲内に含まれるように調整して混在させて混合原料(主原料D)とし、ガス化装置内のガス化炉において、該主原料Dを非酸化性雰囲気下で熱分解する。
前記ガス化装置及びそれに備えられるガス化炉の仕様には特に限定がなく、例えば前記主原料Dを熱分解し、さらに該熱分解によって発生した熱分解ガスをスチームと反応させることが可能なものであればよい。
前記ガス化炉としては、例えばアップドラフトガス化炉があげられる。該アップドラフトガス化炉は、炉下部層から上部層に向けて、灰化層、チャー層、揮発・熱分解層、未反応原料層の略4層の反応層を形成し、炉下部層からの過熱蒸気により原料をガス化させる一種の反応塔の構成からなる。このようなアップドラフトガス化炉では、炉下部層から供給される過熱蒸気によりチャー層下部で燃焼反応が生じ、これによってチャー層上部にて水性ガス化反応、発生炉ガス化反応等の吸熱反応が進行する。したがって、揮発・熱分解層は、燃料ガスとなるCOやH2が生成する反応を維持するために、下部からのガス流が適度な気密性を保持するような層構成を呈することが必要である。該揮発・熱分解層での気密性を適度に保持させるには、反応系が適度な保有水分を有するように調整すればよい。かかる保有水分が不充分であったり、逆に過剰であると、ガスの生成効率や生成安定性が損なわれる。
本実施の形態に係るガス化方法では、前記したように、従来ガス化の原料として用いられている、比較的含水率が低い廃材Aと共に、その構成成分中に多孔性の填料や顔料が含有され、比較的含水率が高い製紙スラッジBを用いるので、容易に揮発しない該多孔性の填料や顔料に保持された水分によって反応系に適度な保有水分が付与される。したがって、非酸化性雰囲気下での熱分解の際に、例えば廃材Aを単独で原料とした場合のように系内に水分を別途補給しなくとも、前記揮発・熱分解層での気密性が適度に保持され、ガスの生成効率や生成安定性が著しく向上する。
前記廃材A、製紙スラッジB及び塊状ダストCを混在させる際に、廃材Aに対して製紙スラッジB及び塊状ダストCが多すぎると、主原料Dの水分が過多となってガス温度が低下する恐れがあるので、主原料Dにおける製紙スラッジB及び塊状ダストCの合計含有割合が、固形分で30質量%以下、さらには25質量%以下となるように調整することが好ましい。また、逆に廃材Aに対して製紙スラッジB及び塊状ダストCが少なすぎると、主原料Dの水分が過少となってガス温度が上昇する恐れがあるので、主原料Dにおける製紙スラッジB及び塊状ダストCの合計含有割合が、固形分で5質量%以上、さらには10質量%以上となるように調整することが好ましい。このように、各原料の質量比は、主原料Dの水分が適切な量となるように適宜調整することが好ましい。
主原料Dにおける製紙スラッジB及び塊状ダストCの合計含有割合が30質量%を超えると、元来灰分(無機微粒子)を多く含む製紙スラッジBの影響で、ガス化反応が阻害される問題が生じ易くなり、逆に主原料Dにおける製紙スラッジB及び塊状ダストCの合計含有割合が5質量%未満の場合、本発明の課題である、廃棄資源を有効利用し、燃料として回収可能なガスを効率よく、かつ安定して生成することが困難になる恐れがある。
また、例えば元来無機微粒子を多く含む製紙スラッジBにて塊状ダストCが構成されていると、ガス化炉内の反応温度の低下やガス化の反応遅延を招く恐れがあるので、主原料Dにおける塊状ダストCの含有割合が、固形分で3質量%以上、さらには5質量%以上となるように、また固形分で15質量%以下、さらには12質量%以下となるように調整することが好ましい。
このように、主原料Dの水分が適切な量となるように製紙スラッジB及び塊状ダストCの割合を適宜調整することで、本発明の課題である、廃棄資源を有効利用し、燃料として回収可能なガスを効率よく、かつ安定して生成する方法を提供することができる。
また、前記したように、例えば廃材Aの含水率は20〜25質量%程度、製紙スラッジBの含水率は60〜70質量%程度、塊状ダストCの含水率は30〜50質量%程度であるが、これらを混在させた主原料Dの含水率は、前記揮発・熱分解層での気密性が適度に保持され、ガスの生成効率や生成安定性が向上するようにするには、45質量%程度以上、55質量%程度以下となるように調整することが好ましい。
主原料Dの含水率が45質量%未満では、ガス化炉内での水分供給不足が生じ易くなり、逆に55質量%を超えると、作業性が低下する問題が生じ易くなり、本発明の課題である、廃棄資源を有効利用し、燃料として回収可能なガスを効率よく、かつ安定して生成することが困難になる恐れがある。
廃材A、製紙スラッジB及び塊状ダストCを混在させた主原料Dを熱分解する際の加熱温度は、該主原料Dの熱分解反応がほぼ終了し、充分な量の熱分解ガスを発生させることが可能な温度であればよく、例えば1000℃以上、さらには1200℃程度であることが好ましい。該加熱温度が前記下限値未満では、主原料Dの熱分解が不充分となる恐れがある。
前記熱分解の際の加熱手段として、点火時には例えばプロパンガス等のガスを用いるが、点火後は原料である廃材Aが自燃し、熱分解が進行する。
また前記主原料Dを熱分解する際の圧力は、やはり該主原料Dの熱分解反応がほぼ終了し、充分な量の熱分解ガスを発生させることが可能な圧力であればよく、特に限定されるものではない。
前記主原料Dは非酸化性雰囲気下で熱分解するが、該非酸化性雰囲気としては、例えば水蒸気と空気との混合気体や、チッ素ガス、ヘリウムガス等の不活性ガスの雰囲気があげられる。また該主原料Dを熱分解に供する時間には特に限定がなく、熱分解反応がほぼ終了し、充分な量の熱分解ガスを発生させることが可能な時間であればよい。
次に、前記のごとき熱分解により発生した熱分解ガスを、スチームと反応させ、例えばCO、H2等を多く含む燃料ガスを回収することができる。
前記熱分解ガスとスチームとを反応させる際には、例えば空気と水蒸気とを混合した混合気体を、ガス化炉下部から吹き込む等して供給すればよい。なお、前記熱分解ガスを発生させる際に、廃材A、製紙スラッジB及び塊状ダストCを混在させた主原料Dの含水率を例えば前記範囲内に調整することにより、該主原料D中の水をスチームとして用いることも可能である。
熱分解ガスに対するスチームの供給量は、例えば原料である廃材A、製紙スラッジB及び塊状ダストCの種類や目的とする燃料ガスの性状等によっても異なり、一概に決定し得るものではなく、両者の反応が充分に進行し、充分な量及び所望の成分を有する燃料ガスが得られるように調整すればよい。
熱分解ガスとスチームとを反応させる際の反応温度は、両者の反応が終了し、充分な量及び所望の成分を有する燃料ガスを得ることが可能な温度であればよく、特に限定されるものではない。
また前記熱分解ガスとスチームとを反応させる際の圧力や時間は、両者の反応が終了し、充分な量及び所望の成分を有する燃料ガスを得ることが可能な圧力であればよく、いずれも特に限定されるものではない。
かくして得られる燃料ガスには、例えばCO、H2等が多く含まれており、各々通常の方法にて精製、濃縮等して適宜回収することができる。
このように、本発明のガス化方法によれば、廃棄資源を有効に循環利用して、例えばCO、H2といった燃料ガスを熱量と共に効率よく、かつ安定して回収することができ、しかも操業変動に伴うピッチ分の析出を抑制することもできる。
好適な本発明のガス化方法においては、廃材を所定形状に砕片化し、砕片化により生じたダストを含む廃棄A原料を、トラックにてガス化炉原料ピットに搬送し、好適にはあらかじめガス化炉原料ピット内の水分が一定になるように撹拌や水付与にて調整する。原料ピット内の廃棄A原料に、さらに所定水分の製紙スラッジB及び塊状ダストCを添加して主原料Dを構成したのち、スクリューコンベアー等の搬送手段でガス化炉内に投入する。スクリューコンベアーは、その途中での水分付与が容易であり、乾燥気味の主原料Dを常に一定の水分に維持させるために有用な手段である。
ガス化炉内で生成した燃料ガスには、多量のタール分と水分が含まれており、燃料ガス利用設備として有用な設備、例えばキルンへの供給においては、供給途中での温度低下により配管中にタール分が析出し、配管の汚れや詰まりの原因となる問題や、含有する水分によるエネルギーロスが生じる恐れがあるので、ガス化炉内で生成した燃料ガスを冷却器にてあらかじめ約30℃付近まで冷却し、タール分と水分とを分離することが好ましい。
前記のごときタール分と水分とを分離して得られた燃料ガスは、例えば、重油とガスとの混焼バーナー等にて、キルン等の燃焼設備で有効利用することができるほか、ガスエンジン等の動力源にも利用することができる。
次に、本発明のガス化方法を以下の実施例に基づいてさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例のみに限定されるものではない。
実施例1〜15及び比較例1〜2
以下に示す廃材A、製紙スラッジB及び塊状ダストCを、以下の表1に示す組み合わせで混在させ、混合原料(主原料D)を準備した。該主原料Dを、ガス化装置内のアップドラフトガス化炉(炉下部層から上部層に向けて、灰化層、チャー層、揮発・熱分解層及び未反応原料層からなる4層の反応層を備えたガス化炉)に供給し、水蒸気と空気との混合気体雰囲気下で熱分解し、熱分解ガスを発生させた。なお、かかる熱分解の際、点火時にはプロパンガスを使用し、その後は廃材Aが自燃して熱分解が進行した。
(廃材A)
A−1:板状・棒状廃木材混合材
(以下のA−2・A−3を略同量で混合した混合材、含水率:約22質量%)
A−2:板状廃木材(面積:約10cm2、厚さ:約5mm、含水率:約20質量%)
A−3:棒状廃木材(底面積:約1cm2、長さ:約50mm、含水率:約25質量%)
(製紙スラッジB)
B−1:脱墨・排水スラッジ混合材
(以下のB−2・B−3を略同量で混合した混合材、含水率:約65質量%)
B−2:脱墨スラッジ
(古紙から脱墨古紙パルプを製造する脱墨処理工程のフローテーション工程で
発生したもの、含水率:約60質量%)
B−3:排水スラッジ
(製紙工程からの各種排水スラッジを集合処理したもの、
含水率:約70質量%)
(塊状ダストC)
C−1:廃木材ダストのスラッジによる塊状物
(上記A−1の板状・棒状廃木材混合材から分離したダストを
上記B−1にて塊状に形成した塊状ダスト)
C−2:廃木材ダストのスラッジによる塊状物
(上記A−1の板状・棒状廃木材混合材から分離したダストを
上記B−2にて塊状に形成した塊状ダスト)
C−3:廃木材ダストのスラッジによる塊状物
(上記A−1の板状・棒状廃木材混合材から分離したダストを
上記B−3にて塊状に形成した塊状ダスト)
C−4:廃木材ダストのスラッジによる塊状物
(上記A−2の板状廃木材から分離したダストを
上記B−1にて塊状に形成した塊状ダスト)
C−5:廃木材ダストのスラッジによる塊状物
(上記A−2の板状廃木材から分離したダストを
上記B−2にて塊状に形成した塊状ダスト)
C−6:廃木材ダストのスラッジによる塊状物
(上記A−2の板状廃木材から分離したダストを
上記B−3にて塊状に形成した塊状ダスト)
C−7:廃木材ダストのスラッジによる塊状物
(上記A−3の棒状廃木材から分離したダストを
上記B−1にて塊状に形成した塊状ダスト)
C−8:廃木材ダストのスラッジによる塊状物
(上記A−3の棒状廃木材から分離したダストを
上記B−2にて塊状に形成した塊状ダスト)
C−9:廃木材ダストのスラッジによる塊状物
(上記A−3の棒状廃木材から分離したダストを
上記B−3にて塊状に形成した塊状ダスト)
なお、各廃木材ダストと各製紙スラッジによる塊状物の形成には、(株)日東電機エンジニアリング製のバランス型振動篩を用いた。
(主原料Dの組み合わせ)
Figure 0004397424
次に、空気と水蒸気とを混合した混合空気をガス化炉下部から吹き込み、発生した熱分解ガスとスチームとを反応させてガス化を行った。
その結果、実施例1〜15では、効率よくかつ安定した操業状態で燃料混合ガスを得ることができた。しかし、比較例1では、ガス化炉内のガス化反応が進行しないだけでなく、不安定な操業で燃料混合ガスとして使用不可であった。また比較例2では、ガス化炉内のガス化反応が殆ど進行しなかった。
なお、各実施例及び比較例において、原料の準備から燃料混合ガスを得るまでを1セットとした一連の操作を、各々3セットずつ行った。
また、安定した操業とは、原料の詰まりやガス化炉内の温度変化が少なく、高い発熱量の燃料混合ガスを生成することができる操業状態をいう。一方、不安定な操業とは、原料の詰まりやガス化炉内の温度変化、燃料混合ガス発熱量の変動幅が大きく、燃料混合ガスを有効利用する燃焼設備での操業不安定が生じる操業状態をいう。
石灰化燃焼キルンの重油バーナーを、得られた燃料混合ガスを用いて重油・ガス混焼バーナーに置換えて操業した際の、熱量ベースでの重油使用量の削減率を求めたところ、表1に示すように、実施例1〜15の燃料混合ガスでは2〜3%も重油使用量を削減することができた。これに対して比較例1、2の条件においては、ガス化が不可能であった。
本発明のガス化方法は、廃棄資源を有効利用した資源循環型の方法であり、例えば建設業、環境事業、燃料供給開発事業等の分野にて広く利用することができる。

Claims (5)

  1. 廃材A、製紙スラッジB及び塊状ダストC混在しており、該塊状ダストCが、該廃材Aを原材料とした廃材砕片由来のダストをスラッジにて塊状に形成させたものである主原料Dを、非酸化性雰囲気下で熱分解し、発生した熱分解ガスをスチームと反応させることを特徴とする、ガス化方法。
  2. 主原料Dの含水率が45〜55質量%となるように調整する、請求項1に記載のガス化方法。
  3. 含水率が20〜25質量%の廃材Aと、含水率が60〜70質量%の製紙スラッジBと、含水率が30〜50質量%の塊状ダストCとを混在させる、請求項1又は2に記載のガス化方法。
  4. 主原料Dにおける製紙スラッジB及び塊状ダストCの合計含有割合が、固形分で5〜30質量%となるように調整する、請求項1〜のいずれか1つに記載のガス化方法。
  5. 主原料Dにおける塊状ダストCの含有割合が、固形分で3〜15質量%となるように調整する、請求項1〜のいずれか1つに記載のガス化方法。
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