JP4397159B2 - 芳香族ポリカーボネート系樹脂組成物 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、溶融安定性に優れる強化材および/または充填材を含む芳香族ポリカーボネート系樹脂組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】
芳香族ポリカーボネートは耐衝撃性などの機械的特性に優れ、しかも耐熱性にも優れた樹脂材料であることから、コンピューター、ノートブックパソコン、プリンター、ワープロ、コピー機などのハウジング材料や部品材料などに広く利用されている。
近年、芳香族ポリカーボネート材料に対して、特にハウジング材料としての使用に対して、軽量化を目的とした製品の薄肉化が強く求められる傾向にある。薄肉ハウジングとした場合、外部応力による変形や、内部部品の荷重による変形が起こりやすいため、芳香族ポリカーボネート材料に対して高い剛性や寸法精度が要求される。
【0003】
芳香族ポリカーボネートの剛性を改良するために、ガラス繊維、炭素繊維、タルク、等の強化材および/または充填材をポリカーボネートに配合する方法が広く用いられており、特開平5−302025号公報、特開平6−207089号公報、特開平6−287427号公報、特開平9−3313号公報、特開平9−157509号公報、特開平9−316316号公報、特開2000−186194号公報、特開2000−327900号公報、特開2001−19756号公報、特開平5−222283号公報、特開平6−256632号公報、等に記載されている。
【0004】
しかしながら、強化材および/または充填材を含む芳香族ポリカーボネートでは、成形加工時に強化材および/または充填材により分解が促進されるという問題がある。特にタルクやマイカなどの塩基性の無機系化合物を使用すると、芳香族ポリカーボネートの溶融安定性が著しく低下し、材料の物性を大きく損なうという問題があった。
この問題に対して、特開平2−283760号公報ではリン化合物を併用することにより、また、特開平10−60248号公報では、スルホン酸ホスホニウム塩化合物を併用することによって芳香族ポリカーボネートの分子量の低下を抑制する方法が提案されているが、これらの方法では溶融安定性、特に高温での溶融安定性が不十分であり、高い溶融樹脂温度で成形を行なう場合において芳香族ポリカーボネートの溶融安定性が不十分であるという問題があった。
【0005】
【特許文献1】
特開平5−302025号公報
【特許文献2】
特開平5−222283号公報
【特許文献3】
特開平6−256632号公報
【特許文献4】
特開平6−207089号公報
【特許文献5】
特開平6−287427号公報
【特許文献6】
特開平9−3313号公報
【特許文献7】
特開平9−157509号公報
【特許文献8】
特開平9−316316号公報
【特許文献9】
特開2000−186194号公報
【特許文献10】
特開2000−327900号公報
【特許文献11】
特開2001−19756号公報
【特許文献12】
特開平2−283760号公報
【特許文献13】
特開平10−60248号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の課題は、溶融安定性に優れる強化材および/または充填材を含む芳香族ポリカーボネート系樹脂組成物を提供することである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記課題に対して鋭意検討した結果、強化材および/または充填材を含む芳香族ポリカーボネート系樹脂組成物に対して、特定の使用量範囲で芳香族スルホン酸化合物(C)を配合することにより、樹脂組成物の溶融安定性を飛躍的に向上するという驚くべき事実を見出し、本発明に至った。
すなわち本発明は、下記[1]である。
[1]芳香族ポリカーボネート(A)100重量部に対して、タルク及びマイカから選ばれる少なくとも1種の強化剤および/または充填材(B)5〜10重量部、芳香族スルホン酸化合物(C)0.01〜0.3重量部を含む芳香族ポリカーボネート樹脂組成物(ただし、該樹脂組成物は、ポリスチレン、アクリロニトリル−スチレン樹脂(AS樹脂)、ブチルアクリレート−アクリロニトリル−スチレン樹脂(BAAS樹脂)、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン樹脂(ABS樹脂)、メチルメタクリレート−ブタジエン−スチレン樹脂(MBS樹脂)、ブチルアクリレート−アクリロニトリル−スチレン樹脂(AAS樹脂)、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリアミド、ポリメチルメタクリレート、ポリアリレートを含まない。)。
【0008】
【発明の実施の形態】
本発明について、以下具体的に説明する。
本発明において、芳香族ポリカーボネート系樹脂(A)とは、芳香族ポリカーボネートまたは芳香族ポリカーボネートを主体とする樹脂である。
ここで、芳香族ポリカーボネートを主体とする樹脂とは、成分(A)の総量を100重量部とした場合に、成分(A)の50重量部を超える成分が芳香族ポリカーボネートであり、残りの樹脂成分が芳香族ポリカーボネート以外の熱可塑性樹脂であるものを示す。
【0009】
本発明の成分(A)として好ましく用いられる芳香族ポリカーボネートは、芳香族ジヒドロキシ化合物より誘導される芳香族ポリカーボネートであり、芳香族ジヒドロキシ化合物としては、例えば、1,1−ビス(4−ヒドロキシ−t−ブチルフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン等のビス(ヒドロキシアリール)アルカン類、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロペンタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン等のビス(ヒドロキシアリール)シクロアルカン類、4,4′−ジヒドロキシジフェニルエーテル、
【0010】
4,4′−ジヒドロキシ−3,3′−ジメチルフェニルエーテル等のジヒドロキシアリールエーテル類、4,4′−ジヒドロキシジフェニルスルフィド、4,4′−ジヒドロキシ−3,3′−ジメチルフェニルスルフィド等のジヒドロキシアリールスルフィド類、4,4′−ジヒドロキシジフェニルスルホキシド、4,4′−ジヒドロキシ−3,3′−ジメチルフェニルスルホキシド等のジヒドロキシアリールスルホキシド類、4,4′−ジヒドロキシジフェニルスルホン、4,4′−ジヒドロキシ−3,3′−ジメチルフェニルスルホン等のジヒドロキシアリールスルホン類、等を挙げることができる。
これらの中で、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン(通称、ビスフェノールA)が特に好ましい。これらの芳香族ジヒドロキシ化合物は単独または2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0011】
本発明の成分(A)として好ましく用いられる芳香族ポリカーボネートは、公知の方法で製造したものを使用することができる。具体的には、芳香族ジヒドロキシ化合物とカーボネート前駆体とを反応せしめる公知の方法、例えば、芳香族ジヒドロキシ化合物とカーボネート前駆体(例えばホスゲン)を水酸化ナトリウム水溶液及び塩化メチレン溶媒の存在下に反応させる界面重合法(例えばホスゲン法)、芳香族ジヒドロキシ化合物と炭酸ジエステル(例えばジフェニルカーボネート)などを反応させるエステル交換法(溶融法)、ホスゲン法または溶融法で得られた結晶化カーボネートプレポリマーを固相重合する方法(特開平1−158033(米国特許第4,948,871号に対応)、特開平1−271426、特開平3−68627(米国特許第5,204,377号に対応))などの方法により製造されたものを用いることができる。
【0012】
本発明の成分(A)として使用される芳香族ポリカーボネートとして特に好ましいものは、二価フェノール(芳香族ジヒドロキシ化合物)と炭酸ジエステルとからエステル交換法にて製造された実質的に塩素原子を含まない芳香族ポリカーボネートである。
前記芳香族ポリカーボネートの重量平均分子量(Mw)は、通常、5,000〜500,000であり、好ましくは10,000〜100,000であり、より好ましくは13,000〜50,000、特に好ましくは15,000〜30,000、とりわけ好ましくは17,000〜25,000である。
【0013】
本発明において、芳香族ポリカーボネートの重量平均分子量(Mw)の測定は、ゲル・パーミエーション・クロマトグラフィー(GPC)を用いて行うことができ、測定条件は以下の通りである。すなわち、テトラヒドロフランを溶媒として、ポリスチレンゲルを使用し、標準単分散ポリスチレンの構成曲線から下式による換算分子量較正曲線を用いて求められる。
Mpc=0.3591Mps 1.0388
(Mpcは芳香族ポリカーボネートの分子量、Mpsはポリスチレンの分子量)
【0014】
また、本発明の(A)として使用される芳香族ポリカーボネートは、分子量が異なる2種以上の芳香族ポリカーボネートを組み合わせて使用することも好ましい実施態様である。例えば、Mwが通常14,000〜16,000の範囲にある光学ディスク用材料の芳香族ポリカーボネートと、Mwが通常20,000〜50,000の範囲にある射出成形用あるいは押出成形用の芳香族ポリカーボネートを組み合わせて使用することもできる。
【0015】
前記芳香族ポリカーボネートを主体とする樹脂において、好ましく使用することができる芳香族ポリカーボネート以外の熱可塑性樹脂としては、例えば、ポリスチレン、アクリロニトリルースチレン樹脂(AS樹脂)、ブチルアクリレートーアクリロニトリルースチレン樹脂(BAAS樹脂)、アクリロニトリルーブタジエンースチレン樹脂(ABS樹脂)、メチルメタクリレートーブタジエンースチレン樹脂(MBS樹脂)、ブチルアクリレートーアクリロニトリルースチレン樹脂(AAS樹脂)、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリアミド、ポリメチルメタクリレート、ポリアリレートなどの熱可塑性樹脂を挙げることができる。
特にAS樹脂、BAAS樹脂は流動性を向上させるのに好ましく、ABS樹脂、MBS樹脂は耐衝撃性を向上させるのに好ましい。
【0016】
本発明において芳香族ポリカーボネート以外の熱可塑性樹脂の使用量は、成分(A)の総量100重量部に対して、0.1〜30重量部が好ましく、より好ましくは0.5〜20重量部、さらに好ましくは1〜15重量部である。
本発明で用いられる成分(B)は強化材および/または充填材であり、組成物の剛性や強度の向上(強化材)あるいは寸法精度(充填材)を目的として使用され、繊維状、板状、球状など、様々な形状のものが使用される。
【0017】
繊維状の成分(B)としては、ガラス繊維、炭素繊維、金属繊維、ホウ酸アルミニウムウィスカー、チタン酸カルウムウィスカー、ロックウール、窒化ケイ素ウィスカー、ボロン繊維、テトラポット状酸化亜鉛ウィスカー、ワラストナイト、等を挙げることができ、繊維直径10μm以下が好ましく、より好ましくは5μm以下、さらに好ましくは1μm以下である。
板状の成分(B)としては、タルク、マイカ、パールマイカ、ガラスフレーク、アルミ箔、カオリン、等を挙げることができ、平均粒径50μm以下が好ましく、より好ましくは20μm以下、さらに好ましくは10μm以下である。
【0018】
球状の成分(B)としては、炭酸カルシウム、ガラスビーズ、ガラスバルーン、カーボンブラック、ガラスパウダー、等を挙げることができ、平均粒径50μm以下が好ましく、より好ましくは20μm以下、さらに好ましくは10μm以下である。
上記の中でも、本発明では成分(B)として、ガラス繊維、ガラスフレーク、炭素繊維、タルク、マイカ、ワラストナイトが好ましく、特に好ましいのはタルク、マイカ、ワラストナイトである。
【0019】
本発明で使用される成分(B)は、芳香族ポリカーボネートマトリックスとの相溶性を向上させるために表面改質されているものを使用することもできる。ここでいう表面改質とは、あらかじめ親油性の有機化合物を吸着させたり、シランカップリング剤を表面に塗布したりして、樹脂との親和性を向上させる方法を示す。
本発明では、成分(B)として、JIS K5101規格に準拠する方法で測定されるpHが7〜11であるものを使用できるが、好ましくはpHが8〜10.5、より好ましくはpHが8.5〜10の範囲にある強化材および/または充填材が使用できる。
【0020】
本発明における成分(B)の使用量は、成分(A)100重量部に対して、1〜200重量部の範囲であり、好ましくは2〜100重量部、より好ましくは3〜50重量部、更に好ましくは5〜30重量部、最も好ましくは5〜15重量部である。
本発明で用いられる成分(C)とは有機スルホン酸化合物であり、分子構造中に−SO3H基を有する有機化合物であり、成分(B)を含む芳香族ポリカーボネート系樹脂組成物の溶融安定性を飛躍的に向上させることができる。
【0021】
本発明では、成分(C)として、例えば、ベンゼンスルホン酸、トルエンスルホン酸、ナフタレンスルホン酸、ジイソプロピルナフタレンスルホン酸、ジイソブチルナフタレンスルホン酸、ドデシルベンゼンスルホン酸、等の芳香族スルホン酸、メチルスルホン酸、エチルスルホン酸、プロピルスルホン酸などのアルキルスルホン酸、スルホン化ポリスチレン、アクリル酸メチルースルホン化スチレン共重合体などのポリマーまたはオリゴマー状の有機スルホン酸、等を使用することができる。
【0022】
また、本発明で使用することができる成分(C)は分子構造中に、−SO3H基の他に、−OH基、−NH2基、−COOH基、ハロゲン基、等を有する有機スルホン酸化合物であってもよく、例えば、ナフトールスルホン酸、スルファミル酸、ナフチルアミンスルホン酸、スルホ安息香酸、全置換もしくは部分置換のクロル基含有有機スルホン酸、全置換もしくは部分置換のフルオロ基含有有機スルホン酸、等を挙げることができる。
本発明では、成分(C)として、芳香族スルホン酸化合物を特に好ましく使用することができ、例えば、ベンゼンスルホン酸、パラトルエンスルホン酸、ナフタレンスルホン酸、等は特に好ましい。
【0023】
本発明における成分(C)の使用量は、成分(A)100重量部に対して0.001〜1重量部の範囲であり、特定範囲の使用量において組成物の溶融安定性を向上させることが可能であり、好ましくは0.005〜0.7重量部、より好ましくは0.01〜0.5重量部、特に好ましくは0.05〜0.3重量部である。成分(C)の使用量が0.001重量部未満の場合では溶融安定性の改良効果が不十分であり、一方1重量部を超える場合は樹脂組成物の溶融安定性は低下する低下する傾向にある。
さらに、本発明の芳香族ポリカーボネート系樹脂組成物では、本発明の趣旨を損なわない範囲内で、必要に応じて着色剤、滑剤、離型剤、難燃剤、熱安定剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、エポキシ化合物、帯電防止剤などを添加することもできる。
次に、本発明の芳香族ポリカーボネート系樹脂組成物の製造方法について説明する。
【0024】
本発明の樹脂組成物は前記の各成分(A)〜(C)、必要に応じてその他の成分を本明細書記載の組成割合で配合し、押出機等の溶融混練装置を用いて溶融混練することにより得ることが出来る。このときの各構成成分の配合及び溶融混練は一般に使用されている装置、例えば、タンブラー、リボンブレンダー等の予備混合装置、単軸押出機や二軸押出機、コニーダー等の溶融混練装置を使用することが出来る。また、溶融混練装置への原材料の供給は、予め各成分を混合した後に供給することも可能であるが、それぞれの成分を独立して溶融混練装置に供給することも可能である。
【0025】
溶融混練装置として通常は押出機、好ましくは2軸押出機が使用される。成分(B)は押出機の途中からサイドフィードすることもできる。溶融混練は通常、押出機のシリンダー設定温度を200〜300℃、好ましくは220〜270℃とし、押出機スクリュー回転数100〜700rpm、好ましくは200〜500rpmの範囲で適宜選択して行うことができるが、溶融混練に際し、過剰の発熱を与えないように配慮する。さらに、押出機の後段部分に開口部を設けたり、必要に応じて減圧脱揮を行うことも有効である。また、原料樹脂の押出機内滞留時間は通常、10〜60秒の範囲で適宜選択される。
【0026】
本発明の芳香族ポリカーボネート系樹脂組成物からなる成形品を得るための成形方法は特に限定されないが、例えば、射出成形、ガスアシスト成形、押出成形、圧縮成形等が挙げられるが、中でも射出成形が好ましく使用される。
本発明の芳香族ポリカーボネート系樹脂組成物を使用する場合において、成形される好ましい成形体としては、肉厚1.5mm以下、より好ましくは1.2mm以下の部分を少なくとも1つ有する薄肉成形体が挙げられる。ここで肉厚とは、その部分の肉厚方向に直角に延びる2つの対向する表面の間の距離として定義される。またガスアシスト成形や樹脂組成物に発泡剤を配合した場合等、成形体に中空部分を有する場合においては、本発明における肉厚とは中空部分を含めた肉厚を意味する。
【0027】
本発明の芳香族ポリカーボネート系樹脂組成物を用いた成形品の例としては、コンピューター、ノート型パソコン、コピー機、プリンター、電気・電子機器、携帯電話などのハウジング材料や部品材料、等が挙げられる。
以下、実施例及び比較例により本発明を更に詳細に説明する。
実施例あるいは比較例においては、以下の成分(A)、(B)、(C)を使用し、芳香族ポリカーボネート系樹脂組成物を製造した。
【0028】
1.成分(A):芳香族ポリカーボネート
(PC)
ビスフェノールAとジフェニルカーボネートから、溶融エステル交換法により製造された、ビスフェノールA系ポリカーボネートであり、ヒンダードフェノール系酸化防止剤としてオクタデシル−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネートを300ppm、および、ホスファイト系熱安定剤としてトリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ホスファイトを150ppm含むもの。
重量平均分子量(Mw)=22,000
フェノール性末端基比率(フェノール性末端基が全末端基数に占める割合)=35モル%
【0029】
2.成分(B):強化材および/または充填剤
(タルク)
平均粒径=5μm
白色度=96%
嵩比容積=2.3ml/g
比表面積=8.5m2/g
水分=0.2%
吸油量=51ml/100g
pH=9.0
【0030】
平均粒径測定方法は島津製作所社製SALD−2000分析装置を使用し、レーザー回析法により平均粒径を測定した。またタルクの平均粒径はメディアン径とした。
白色度はJIS P8123に準拠した測定方法で実施し、東洋精機製作所社製デジタルハンターSTにより測定した。
比表面積は気相吸着法によるBET法で測定し、島津製作所社製フローソープ2300を使用して測定した。
水分はJIS K5101に準拠した測定方法で実施し、島津製作所社製STAC−5100を使用して測定した。
吸油量、及び嵩比容積はJIS K5101に準拠した測定方法で実施した。
pHは、JIS K5101規格に準拠したpH測定法で実施した。
【0031】
3.成分(C):有機スルホン酸化合物
p−トルエンスルホン酸 和光純薬工業株式会社製
【0032】
【実施例1、2、及び、比較例1〜4】
成分(A)、(B)、(C)成分を表1に示す量(単位は重量部)で二軸押出機を用いて溶融混練してポリカーボネート系難燃樹脂組成物を得た。
溶融混練装置は2軸押出機(ZSK−25、L/D=37、Werner&Pfleiderer社製)を使用して、シリンダー設定温度250℃、スクリュー回転数250rpm、混練樹脂の吐出速度23kg/Hr、押出機内部の原料樹脂の滞留時間は30〜40秒の条件で溶融混練を行った。溶融混練中に、押出機ダイ部で熱電対により測定した溶融樹脂の温度は260〜270℃であった。
2軸押出機への原材料の投入は、成分(A)、(B)、(C)を予め20分間タンブラーで予備ブレンドしたものをフィーダーにより投入した。また、押出機の後段部分では減圧脱揮を行った。
得られたペレットを120℃で5時間乾燥し、射出成形機(オートショット50D、ファナック社製)で成形し、以下の各試験を実施した。
【0033】
(1)曲げ弾性率測定
シリンダー温度280℃、金型温度80℃に設定した射出成形機(オートショット50D、ファナック社製)で1/8インチ厚短冊片を成形し、ASTM D790に準じて、曲げ弾性率を測定した。測定温度は23℃である。(単位:MPa)
(2)メルトインデックス(MI)測定
JIS K7210に準じて、炉体温度300℃、荷重1.2kgにてMI値を測定した。(単位:g/10min)
【0034】
(3)成形機内滞留後のメルトインデックス(MI)測定
シリンダー温度300℃に設定した射出成形機(オートショット50D、ファナック社製)のシリンダー内部で樹脂組成物を20分滞留させた後、1/8インチ厚短冊片を成形し、得られた短冊片を切り出してJIS K7210に準じて、炉体温度300℃、荷重1.2kgにてMI値を測定した。(単位:g/10min)
(4)耐湿熱特性
シリンダー温度280℃、金型温度80℃に設定した射出成形機(オートショット50D、ファナック社製)で引張試験用試験片を成形した。該試験片を80℃、95%相対湿度環境下に曝露した後、ASTM D638に準じて引張破断強測定を行ない、引張破断が初期値(曝露前)に対して半減するまでの経過時間を測定した。(単位:Hr)
結果を表1に示す。
【0035】
【表1】
実施例1、2は本発明の組成物の結果であり、剛性が向上し、樹脂組成物の溶融安定性に優れることがわかる。また、耐湿熱性にも優れることがわかる。
比較例2は成分(C)を欠く場合である。
比較例3は成分(C)の使用量が本発明の範囲外であるが、溶融安定に劣ることがわかる。
比較例4は成分(C)に替えて、リン酸(本発明以外の成分)を使用した例である。
【0036】
【発明の効果】
本発明の芳香族ポリカーボネート系樹脂組成物は、溶融安定性に優れる強化材および/または充填材を含む芳香族ポリカーボネート系樹脂組成物であり、工業的に極めて有用である。
Claims (1)
- 芳香族ポリカーボネート(A)100重量部に対して、タルク及びマイカから選ばれる少なくとも1種の強化剤および/または充填材(B)5〜10重量部、芳香族スルホン酸化合物(C)0.01〜0.3重量部を含む芳香族ポリカーボネート樹脂組成物(ただし、該樹脂組成物は、ポリスチレン、アクリロニトリル−スチレン樹脂(AS樹脂)、ブチルアクリレート−アクリロニトリル−スチレン樹脂(BAAS樹脂)、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン樹脂(ABS樹脂)、メチルメタクリレート−ブタジエン−スチレン樹脂(MBS樹脂)、ブチルアクリレート−アクリロニトリル−スチレン樹脂(AAS樹脂)、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリアミド、ポリメチルメタクリレート、ポリアリレートを含まない。)。
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