JP2005068272A - 芳香族ポリカーボネート樹脂組成物 - Google Patents

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Abstract

【課題】溶融流動性、溶融安定性、耐熱性、及び耐衝撃性が同時に優れる芳香族ポリカーボネート樹脂組成物、並びに、前記特性に加えて、臭素系難燃剤あるいはリン系難燃剤を使用することなく高度な難燃性を有する芳香族ポリカーボネート樹脂組成物の提供。
【解決手段】重量平均分子量(Mw)が8,000〜18,000である芳香族ポリカーボネート(A)100重量部に対して、珪酸塩化合物(B)1〜50重量部、有機酸性化合物および/または有機酸性化合物誘導体(C)を含む芳香族ポリカーボネート樹脂組成物であって、
該成分(C)の重量部数が、該成分(B)と該成分(C)の混合物をJIS K5101に基づいてpH値を測定したときに、該混合物のpH値が4.0〜8.0であることを特徴とする芳香族ポリカーボネート樹脂組成物。
【選択図】選択図なし。

Description

本発明は、溶融流動性、溶融安定性、耐熱性、及び耐衝撃性が同時に優れる芳香族ポリカーボネート樹脂組成物、並びに、前記特性に加えて、臭素系難燃剤あるいはリン系難燃剤を使用することなく高度な難燃性を有する芳香族ポリカーボネート樹脂組成物に関する。
芳香族ポリカーボネートは耐衝撃性などの機械的特性に優れ、しかも耐熱性にも優れた樹脂材料であることから、コンピューター、ノートブックパソコン、プリンター、携帯電話、コピー機などのハウジング材料やシャーシ材料、あるいは電気・電子部品材料として広く利用されている。
近年、芳香族ポリカーボネート材料に対して、軽量化を目的とした製品の薄肉化、あるいは成形品の大型化のために、芳香族ポリカーボネート材料に対して高い溶融流動性が求められている。
また、OA機器や電気・電子機器用として使用される芳香族ポリカーボネート樹脂組成物では高度な難燃性が同時に求められる。
芳香族ポリカーボネート材料の溶融流動性を向上させ、さらには難燃性を付与する方法としては、芳香族ポリカーボネートにアクリロニトリル・スチレン・ブタジエン樹脂(ABS樹脂)を配合し、更に難燃剤としてリン系難燃剤を使用する方法が多く用いられているが、芳香族ポリカーボネートにリン系難燃剤が配合された樹脂組成物では、芳香族ポリカーボネート本来の優れた耐熱性を犠牲にしているのみならず、高温高湿環境下での材料の劣化が問題となっている。
また最近では、環境に対する配慮から、臭素系難燃剤のみならず、リン系難燃剤を使用しない難燃性の芳香族ポリカーボネート樹脂組成物が求められている。
臭素系難燃剤やリン系難燃剤を使用せずに難燃性の芳香族ポリカーボネート樹脂組成物を得る目的で、難燃剤としてシリコーン化合物や有機スルホン酸アルカリ金属塩を使用する試みが多くなされているが、溶融流動性を向上させ、同時に優れた耐衝撃性と難燃性が同時に達成された材料は未だ得られていないのが現状である。
その理由としては、(1)芳香族ポリカーボネート樹脂組成物の溶融流動性を高めるために、ベース樹脂の分子量を下げると耐衝撃性や難燃性が大きく低下してしまうこと、(2)高度な難燃性を達成するために難燃剤であるシリコーン化合物や有機スルホン酸アルカリ金属塩の使用量を多くすると樹脂組成物の溶融安定性が著しく低下してしまうこと、等があげられる。
本発明の課題は、溶融流動性、溶融安定性、耐熱性、及び耐衝撃性が同時に優れる芳香族ポリカーボネート樹脂組成物、並びに、前記特性に加えて、臭素系難燃剤あるいはリン系難燃剤を使用することなく高度な難燃性を有する芳香族ポリカーボネート樹脂組成物を提供することである。
上記課題に対して鋭意検討した結果、芳香族ポリカーボネートに対して、珪酸塩化合物、並びに、有機酸性化合物および/または有機酸性化合物誘導体を特定の使用量範囲で含む芳香族ポリカーボネート樹脂組成物は、比較的分子量が低い芳香族ポリカーボネートをベースポリマーに使用した場合においても耐衝撃性が高度に維持されること、そして更に、該組成物に対して有機アルカリ金属塩および有機アルカリ土類金属塩から選ばれる少なくとも1種の金属塩、及びフルオロポリマーを配合することにより、前記特性に加えて従来技術では到達できなかった高度な難燃性が同時に得られるという驚くべき事実を見出し、本発明に至った。
すなわち本発明は、下記[1]〜[5]である。
[1]重量平均分子量(Mw)が8,000〜18,000である芳香族ポリカーボネート(A)100重量部に対して、珪酸塩化合物(B)1〜50重量部、有機酸性化合物および/または有機酸性化合物誘導体(C)を含む芳香族ポリカーボネート樹脂組成物であって、該成分(C)の重量部数が、該成分(B)と該成分(C)の混合物をJIS K5101に基づいてpH値を測定したときに、該混合物のpH値が4.0〜8.0であることを特徴とする芳香族ポリカーボネート樹脂組成物。
[2]該芳香族ポリカーボネート樹脂組成物が、更に、有機アルカリ金属塩および有機アルカリ土類金属塩から選ばれる少なくとも1種の金属塩(D)0.001〜1重量部を含むことを特徴とする前記[1]に記載の芳香族ポリカーボネート樹脂組成物。
[3]該芳香族ポリカーボネート樹脂組成物が、更に、フルオロポリマー(E)0.01〜1重量部を含むことを特徴とする前記[1]、[2]に記載の芳香族ポリカーボネート樹脂組成物。
[4]該珪酸塩化合物(B)が、タルク、マイカから選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする前記[1]〜[3]に記載の芳香族ポリカーボネート樹脂組成物。
[5]該有機酸性化合物および/または有機酸性化合物誘導体(C)が、有機スルホン酸化合物および/または有機スルホン酸化合物誘導体であることを特徴とする前記[1]〜[4]に記載の芳香族ポリカーボネート樹脂組成物。
本発明の芳香族ポリカーボネート樹脂組成物は、(1)溶融流動性に優れるので薄肉の成形体や大型の成形体の加工性に優れる、(2)溶融安定性に優れるので加工温度範囲を広げることができる、(3)芳香族ポリカーボネートが本来有する耐熱性が維持されるのみならず優れた耐衝撃性を有する、更にはこれらの特性に加えて(4)臭素系難燃剤あるいはリン系難燃剤を使用することなく、薄肉の成形体においても卓越した難燃性を発現する、等の優れた特長を同時に得ることができる樹脂組成物であり、工業的に極めて有用である。
本発明について、以下具体的に説明する。
本発明の成分(A)として好ましく用いられる芳香族ポリカーボネートは、芳香族ジヒドロキシ化合物より誘導される芳香族ポリカーボネートであり、芳香族ジヒドロキシ化合物としては、例えば、1,1−ビス(4−ヒドロキシ−t−ブチルフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン等のビス(ヒドロキシアリール)アルカン類、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロペンタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン等のビス(ヒドロキシアリール)シクロアルカン類、4,4′−ジヒドロキシジフェニルエーテル、4,4′−ジヒドロキシ−3,3′−ジメチルフェニルエーテル等のジヒドロキシアリールエーテル類、4,4′−ジヒドロキシジフェニルスルフィド、4,4′−ジヒドロキシ−3,3′−ジメチルフェニルスルフィド等のジヒドロキシアリールスルフィド類、4,4′−ジヒドロキシジフェニルスルホキシド、4,4′−ジヒドロキシ−3,3′−ジメチルフェニルスルホキシド等のジヒドロキシアリールスルホキシド類、4,4′−ジヒドロキシジフェニルスルホン、4,4′−ジヒドロキシ−3,3′−ジメチルフェニルスルホン等のジヒドロキシアリールスルホン類、等を挙げることができる。
これらの中で、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン(通称、ビスフェノールA)が特に好ましい。これらの芳香族ジヒドロキシ化合物は単独または2種以上を組み合わせて用いることができる。
本発明の成分(A)として用いられる芳香族ポリカーボネートは、公知の方法で製造したものを使用することができる。具体的には、芳香族ジヒドロキシ化合物とカーボネート前駆体とを反応せしめる公知の方法、例えば、芳香族ジヒドロキシ化合物とカーボネート前駆体(例えばホスゲン)を水酸化ナトリウム水溶液及び塩化メチレン溶媒の存在下に反応させる界面重合法(例えばホスゲン法)、芳香族ジヒドロキシ化合物と炭酸ジエステル(例えばジフェニルカーボネート)などを反応させるエステル交換法(溶融法)、ホスゲン法または溶融法で得られた結晶化カーボネートプレポリマーを固相重合する方法(特開平1−158033(米国特許第4,948,871号に対応)、特開平1−271426、特開平3−68627(米国特許第5,204,377号に対応))などの方法により製造されたものを用いることができる。
本発明の成分(A)として使用される芳香族ポリカーボネートとして特に好ましいものは、二価フェノール(芳香族ジヒドロキシ化合物)と炭酸ジエステルとからエステル交換法にて製造された実質的に塩素原子を含まない芳香族ポリカーボネートである。
本発明の成分(A)として使用される芳香族ポリカーボネートの重量平均分子量(Mw)は、8,000〜18,000であり、10,000〜17,500が好ましく、12,000〜17,000が更に好ましく、13,000〜16,500が特に好ましい。
芳香族ポリカーボネートの重量平均分子量が18,000を超える場合は、薄肉の成形体や大型の成形体を得る場合の溶融流動性が不足し、一方、8,000未満の場合は耐衝撃性を維持し、高度な難燃性を同時に達成することが困難となる。
本発明において、芳香族ポリカーボネートの重量平均分子量(Mw)の測定は、ゲル・パーミエーション・クロマトグラフィー(GPC)を用いて行うことができ、測定条件は以下の通りである。すなわち、テトラヒドロフランを溶媒として、ポリスチレンゲルを使用し、標準単分散ポリスチレンの構成曲線から下式による換算分子量較正曲線を用いて求められる。
PC=0.3591MPS 1.0388
(MPCは芳香族ポリカーボネートの分子量、MPSはポリスチレンの分子量)
本発明の成分(B)として使用される珪酸塩化合物は、金属酸化物成分とSiO成分とからなる珪酸塩化合物である。成分(B)の珪酸塩化合物は、その珪酸イオンの形態として、オルトシリケート、ジシリケート、環状シリケート、鎖状シリケート、層状シリケート、等のいずれの形態であってもよい。
成分(B)は複合酸化物、酸素酸塩、固溶体、のいずれの化合物でもよく、更に複合酸化物は単一酸化物の2種以上の組合せ、および単一酸化物と酸素酸塩との2種以上の組合せ、のいずれであってもよく、更に固溶体は2種以上の金属酸化物の固溶体、2種以上の酸素酸塩の固溶体、のいずれであってもよい。
また、成分(B)は水和物であってもよい。水和物における結晶水の形態はSi-OHとして水素珪酸イオンとして含まれるもの、金属陽イオンに対して水酸イオン(OH−)としてイオン的に含まれるもの、構造の隙間に水分子として含まれるもの、のいずれであってもよい。
また、成分(B)は、天然物および人工合成物のいずれも使用することができる。人工合成物としては、従来公知の各種の方法、例えば固体反応、水熱反応、および超高圧反応などを利用した各種の合成法、から得られた珪酸塩化合物が利用できる。
成分(B)の珪酸塩化合物は、好ましくはその組成が実質的に下記式(1)で示されるものである。
xMO・ySiO・zHO (1)
(ここでxおよびyは自然数を表し、zは0以上の整数を表し、MOは金属酸化物成分を表し、複数の金属酸化物成分であってもよい。)
上記金属酸化物MOにおける金属Mは、カリウム、ナトリウム、リチウム、バリウム、カルシウム、亜鉛、マンガン、鉄、コバルト、マグネシウム、ジルコニウム、アルミニウム、チタンなどを挙げることが出来る。
金属酸化物MOにおいて好ましいものは、CaO、またはMgOのいずれかを実質的に含むものである。更に好ましいものは金属酸化物MOが、CaOおよびMgOから選択される少なくとも1種の成分から実質的になる場合であり、特に好ましいものはMgOから実質的になる場合である。
成分(B)の具体例としては、タルク、マイカ、ワラストナイト、ゾノトライト、カオリンクレー、モンモリロナイト、ベントナイト、セピオライト、イモゴライト、セリサイト、ローソナイト、スメクタイト、等を挙げることができる。
また、成分(B)は、任意の形状(板状、針状、粒状、繊維状等)のものが使用できるが、中でも、板状の形態であるものが本発明の成分(B)として最も好ましく使用できる。
成分(B)の平均粒子径は、0.001〜500μmが好ましく、0.01〜100μmがより好ましく、0.1〜50μmが更に好ましく、1〜30μmが特に好ましい。
尚、本発明でいう平均粒子径は成分(B)のおよその粒子径の分布範囲により、以下の方法を用いて測定する。
成分(B)の粒子径がおよそ0.001〜0.1μmの範囲に分布する場合は、透過型電子顕微鏡の観察写真を撮影し、100個以上の粒子に対して粒子の面積Sを求め、Sを用いて(4S/ π)0.5を各粒子の粒子径として求め、数平均粒子径を求める。
成分(B)の粒子径がおよそ0.1〜300μmの範囲に分布する場合は、レーザー回折法により(例えば、島津製作所製SALD−2000を使用して)平均粒子径を求める。
本発明の成分(B)として、特に好ましいものは、タルク、およびマイカである。
本発明の成分(B)として好ましく使用できるタルクとは、層状構造を持つ含水ケイ酸マグネシウムであり、化学式4SiO・3MgO・2HOで表され、通常、SiO 約63重量%、MgO約32%、HO約5重量%、その他Fe、CaO、Alなどを含有しており、比重は約2.7である。
また、本発明の成分(B)として使用できるタルクとして、焼成タルクや、塩酸で洗浄して不純物を除いたタルク、等も好ましく使用することができる。さらに、シランカップリング剤やチタネートカップリング剤等で表面疎水性処理を行ったタルクも使用することができる。
一方、本発明の成分(B)として好ましく使用できるマイカとは、アルミニウム、カリウム、マグネシウム、ナトリウム、鉄、等を含んだケイ酸塩鉱物の粉砕物である。マイカには白雲母、金雲母、黒雲母、人造雲母等があり、本発明のマイカとしてはいずれのマイカも使用できるが、好ましくは白雲母である。
また、かかるマイカはシランカップリング剤やチタネートカップリング剤等で表面疎水性処理されていてもよい。
本発明において成分(B)の使用量は、成分(A)100重量部に対して1〜50重量部であり、2〜40重量部が好ましく、3〜30重量部がより好ましく、4〜20重量部が更に好ましく、5〜15重量部が特に好ましい。
成分(B)の使用量が50重量部を超えると耐衝撃性が不十分となり、一方、成分(B)の使用量が1重量部未満の場合においても耐衝撃性が低下する傾向にある。本発明では成分(B)の使用量が特定範囲にある場合において、比較的分子量が小さい芳香族ポリカーボネートをベースポリマーとして使用する場合においても、優れた耐衝撃性を獲得することができる。
本発明で用いられる成分(C)は、有機酸性化合物および/または有機酸性化合物誘導体であり、本発明では成分(C)を使用することにより、樹脂組成物の溶融安定性と耐衝撃性を飛躍的に向上させることができる。
前記「有機酸性化合物」とは、−SOH基、−COOH基、−POH基、−SH基、−OH基からなる群から選ばれる基を分子構造中に少なくとも1つ含む有機化合物であり、これらの中でも、−SOH基、−COOH基、−POH基からなる群から選ばれる基を分子構造中に少なくとも1つ含む有機化合物が好ましく、−SOH基、−COOH基からなる群から選ばれる基を分子構造中に少なくとも1つ含む有機化合物がより好ましく、−SOH基を分子構造中に少なくとも1つ含む有機化合物が特に好ましい。
また、前記「有機酸性化合物誘導体」とは、前記有機酸性化合物から誘導される、エステル類、酸無水物類、アンモニウム塩、ホスホニウム塩、等を表す。
前記「有機酸性化合物および/または有機酸性化合物誘導体」は、低分子化合物のみならず、オリゴマー状あるいはポリマー状のものを使用することができる。
本発明の成分(C)として、特に好ましく使用することができる有機酸性化合物および/または有機酸性化合物誘導体は、有機スルホン酸化合物および/または有機スルホン酸化合物誘導体である。
前記「有機スルホン酸化合物」とは、−SOH基を分子構造中に少なくとも1つ含む有機化合物を表し、また、前記「有機スルホン酸化合物誘導体」とは、前記有機スルホン酸化合物から誘導される、スルホン酸エステル、スルホン酸アンモニウム塩、スルホン酸ホスホニウム塩、等を表す。
本発明の成分(C)として、好ましく使用することができる有機スルホン酸化合物として、ベンゼンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸、キシレンスルホン酸、ナフタレンスルホン酸、ジイソプロピルナフタレンスルホン酸、ジイソブチルナフタレンスルホン酸、ドデシルベンゼンスルホン酸、等の芳香族スルホン酸、炭素数8〜18の脂肪族スルホン酸、スルホン化ポリスチレン、アクリル酸メチル・スルホン化スチレン共重合体等のポリマーまたはオリゴマー状の有機スルホン酸、等を挙げることができる。
また、本発明の成分(C)として使用することができる有機スルホン酸化合物誘導体の中で、好ましく使用できるスルホン酸エステルとして、ベンゼンスルホン酸メチル、ベンゼンスルホン酸エチル、ベンゼンスルホン酸プロピル、ベンゼンスルホン酸ブチル、ベンゼンスルホン酸オクチル、ベンゼンスルホン酸フェニル、p−トルエンスルホン酸メチル、p−トルエンスルホン酸エチル、p−トルエンスルホン酸プロピル、p−トルエンスルホン酸ブチル、p−トルエンスルホン酸オクチル、p−トルエンスルホン酸フェニル、ナフタレンスルホン酸メチル、ナフタレンスルホン酸エチル、ナフタレンスルホン酸プロピル、ナフタレンスルホン酸ブチル、ドデシルベンゼンスルホン酸−2−フェニル−2−プロピル、ドデシルベンゼンスルホン酸−2−フェニル−2−ブチル、等を挙げることができる。
また、本発明の成分(C)として使用することができる有機スルホン酸化合物誘導体の中で、好ましく使用できるスルホン酸アンモニウム塩として、デシルアンモニウムブチルサルフェート、デシルアンモニウムデシルサルフェート、ドデシルアンモニウムメチルサルフェート、ドデシルアンモニウムエチルサルフェート、ドデシルメチルアンモニウムメチルサルフェート、ドデシルジメチルアンモニウムテトラデシルサルフェート、テトラデシルジメチルアンモニウムメチルサルフェート、テトラメチルアンモニウムヘキシルサルフェート、デシルトリメチルアンモニウムヘキサデシルサルフェート、テトラブチルアンモニウムドデシルベンジルサルフェート、テトラエチルアンモニウムドデシルベンジルサルフェート、テトラメチルアンモニウムドデシルベンジルサルフェート、等を挙げることができる。
また、本発明の成分(C)として使用することができる有機スルホン酸化合物誘導体の中で、好ましく使用できるスルホン酸ホウスホニウム塩として、オクチルスルホン酸テトラブチルホスホニウム塩、デシルスルホン酸テトラブチルホスホニウム塩、ベンゼンスルホン酸テトラブチルホスホニウム塩、ドデシルベンゼンスルホン酸テトラエチルホスホニウム塩、ドデシルベンゼンスルホン酸テトラブチルホスホニウム塩、ドデシルベンゼンスルホン酸テトラヘキシルホスホニウム塩、ドデシルベンゼンスルホン酸テトラオクチルホスホニウム塩、等を挙げることができる。
本発明において、成分(C)として使用される有機スルホン酸化合物および/または有機スルホン酸化合物誘導体は、上記例示の化合物に限定されず、また、二種以上を併用することもできる。
さらに、本発明において、成分(C)として好ましく使用される有機スルホン酸化合物および/または有機スルホン酸化合物誘導体は、分子構造中に−SOH基の他に、−OH基、−NH基、−COOH基、ハロゲン基、等を含む有機スルホン酸化合物であってもよく、例えば、ナフトールスルホン酸、スルファミル酸、ナフチルアミンスルホン酸、スルホ安息香酸、全置換もしくは部分置換のクロル基含有有機スルホン酸、全置換もしくは部分置換のフルオロ基含有有機スルホン酸、等を挙げることができる。
本発明において用いられる成分(C)として、芳香族スルホン酸化合物を特に好ましく使用することができ、例えば、ベンゼンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸、ナフタレンスルホン酸、等はとりわけ好ましい。
本発明において成分(C)の使用量は、前記成分(B)と該成分(C)の混合物をJIS K5101に基づいてpH値を測定したときに、該混合物のpH値が4.0〜8.0の範囲となる重量部数である。
すなわち、成分(C)の使用量は、成分(B)の種類や形状や量、あるいは成分(C)の種類によって変化する。
成分(C)の使用量は、成分(B)と成分(C)の混合物をJIS K5101に基づいてpH値を測定したときに、該混合物のpH値が4.5〜7.8の範囲となる重量部数である場合が好ましく、5.0〜7.6の範囲となる重量部数である場合がより好ましく、5.5〜7.4の範囲となる重量部数である場合が更に好ましく、6.0〜7.2の範囲となる重量部数である場合が特に好ましい。
上記の要件を満たす成分(C)の使用量は、通常、成分(B)100重量部に対して0.01〜5重量部の範囲となる。
本発明の芳香族ポリカーボネート樹脂組成物では、更に、下記の成分(D)、並びに成分(E)を配合することにより、樹脂組成物の難燃性を高めることができ、従来技術では得ることができない、優れた難燃性能を発現させることが可能となる。
本発明の芳香族ポリカーボネート樹脂組成物で使用することができる成分(D)は、アルカリ金属塩およびアルカリ土類金属塩から選ばれる少なくとも1種の金属塩であり、本発明では、特に有機スルホン酸の金属塩、および/または、硫酸エステルの金属塩が好ましく使用できる。また、これらは単独の使用だけでなく2種以上を混合して使用することも可能である。尚、本発明のアルカリ金属としては、リチウム、ナトリウム、カリウム、ルビジウム、セシウムが挙げられ、アルカリ土類金属としては、ベリリウム、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、バリウムが挙げられ、特に好ましくはリチウム、ナトリウム、カリウムである。
本発明で好ましく使用することができる上記有機スルホン酸の金属塩としては、 脂肪族スルホン酸アルカリ(土類)金属塩、芳香族スルホン酸アルカリ(土類)金属塩、等が挙げられる。尚、本明細書中で「アルカリ(土類)金属塩」の表記は、アルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩のいずれも含む意味で使用する。
脂肪族スルホン酸アルカリ(土類)金属塩としては、炭素数1〜8のアルカンスルホン酸アルカリ(土類)金属塩、またはかかるアルカンスルホン酸アルカリ(土類)金属塩のアルキル基の一部がフッ素原子で置換したスルホン酸アルカリ(土類)金属塩、さらには炭素数1〜8のパーフルオロアルカンスルホン酸アルカリ(土類)金属塩を好ましく使用することができ、特に好ましい具体例として、パーフルオロエタンスルホン酸ナトリウム塩、パーフルオロブタンスルホン酸カリウム塩、を挙げることができる。
また、芳香族スルホン酸アルカリ(土類)金属塩としては、芳香族スルホン酸として、モノマー状またはポリマー状の芳香族サルファイドのスルホン酸、芳香族カルボン酸およびエステルのスルホン酸、モノマー状またはポリマー状の芳香族エーテルのスルホン酸、芳香族スルホネートのスルホン酸、モノマー状またはポリマー状の芳香族スルホン酸、モノマー状またはポリマー状の芳香族スルホンスルホン酸、芳香族ケトンのスルホン酸、複素環式スルホン酸、芳香族スルホキサイドのスルホン酸、芳香族スルホン酸のメチレン型結合による縮合体、からなる群から選ばれる少なくとも1種を芳香族スルホン酸とする芳香族スルホン酸アルカリ(土類)金属塩を挙げることができる。
上記、モノマー状またはポリマー状の芳香族サルファイドのスルホン酸アルカリ(土類)金属塩は、その好ましい例として、ジフェニルサルファイド−4,4’−ジスルホン酸ジナトリウム、ジフェニルサルファイド−4,4’−ジスルホン酸ジカリウムを挙げることができる。
また、上記芳香族カルボン酸およびエステルのスルホン酸アルカリ(土類)金属塩は、その好ましい例として、5−スルホイソフタル酸カリウム、5−スルホイソフタル酸ナトリウム、ポリエチレンテレフタル酸ポリスルホン酸ポリナトリウムを挙げることができる。
また、上記モノマー状またはポリマー状の芳香族エーテルのスルホン酸アルカリ(土類)金属塩は、その好ましい例として、1−メトキシナフタレン−4−スルホン酸カルシウム、4−ドデシルフェニルエーテルジスルホン酸ジナトリウム、ポリ(2,6−ジメチルフェニレンオキシド)ポリスルホン酸ポリナトリウム、ポリ(1,3−フェニレンオキシド)ポリスルホン酸ポリナトリウム、ポリ(1, 4−フェニレンオキシド)ポリスルホン酸ポリナトリウム、ポリ(2,6−ジフェニルフェニレンオキシド)ポリスルホン酸ポリカリウム、ポリ(2−フルオロ−6−ブチルフェニレンオキシド)ポリスルホン酸リチウムを挙げることができる。
また、上記芳香族スルホネートのスルホン酸アルカリ(土類)金属塩は、その好ましい例として、ベンゼンスルホネートのスルホン酸カリウムを挙げることができる。
また、上記モノマー状またはポリマー状の芳香族スルホン酸アルカリ(土類)金属塩は、その好ましい例として、ベンゼンスルホン酸ナトリウム、ベンゼンスルホン酸カリウム、ベンゼンスルホン酸ストロンチウム、ベンゼンスルホン酸マグネシウム、p−ベンゼンジスルホン酸ジカリウム、ナフタレン−2,6−ジスルホン酸ジカリウム、ビフェニル−3,3’−ジスルホン酸カルシウム、トルエンスルホン酸ナトリウム、トルエンスルホン酸カリウム、キシレンスルホン酸カリウムを挙げることができる。
また、上記モノマー状またはポリマー状の芳香族スルホンスルホン酸アルカリ(土類)金属塩は、その好ましい例として、ジフェニルスルホン−3−スルホン酸ナトリウム、ジフェニルスルホン−3−スルホン酸カリウム、ジフェニルスルホン−3,3’−ジスルホン酸ジカリウム、ジフェニルスルホン−3,4’−ジスルホン酸ジカリウムを挙げることができる。
上記芳香族ケトンのスルホン酸アルカリ(土類)金属塩は、その好ましい例として、α,α,α−トリフルオロアセトフェノン−4−スルホン酸ナトリウム、ベンゾフェノン−3,3’−ジスルホン酸ジカリウムを挙げることができる。
上記複素環式スルホン酸アルカリ(土類)金属塩は、その好ましい例として、チオフェン−2,5−ジスルホン酸ジナトリウム、チオフェン−2,5−ジスルホン酸ジカリウム、チオフェン−2,5−ジスルホン酸カルシウム、ベンゾチオフェンスルホン酸ナトリウムを挙げることができる。
上記芳香族スルホキサイドのスルホン酸アルカリ(土類)金属塩は、その好ましい例として、ジフェニルスルホキサイド−4−スルホン酸カリウムを挙げることができる。
上記芳香族スルホン酸アルカリ(土類)金属塩のメチレン型結合による縮合体は、その好ましい例として、ナフタレンスルホン酸ナトリウムのホルマリン縮合物、アントラセンスルホン酸ナトリウムのホルマリン縮合物を挙げることができる。
一方、硫酸エステルのアルカリ(土類)金属塩としては、本発明では一価および/または多価アルコール類の硫酸エステルのアルカリ(土類)金属塩を好ましく使用することができ、かかる一価および/または多価アルコール類の硫酸エステルとしては、メチル硫酸エステル、エチル硫酸エステル、ラウリル硫酸エステル、ヘキサデシル硫酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテルの硫酸エステル、ペンタエリスリトールのモノ、ジ、トリ、テトラ硫酸エステル、ラウリン酸モノグリセライドの硫酸エステル、パルミチン酸モノグリセライドの硫酸エステル、ステアリン酸モノグリセライドの硫酸エステルなどを挙げることができる。これらの硫酸エステルのアルカリ(土類)金属塩として、特に好ましいものとして、ラウリル硫酸エステルのアルカリ(土類)金属塩を挙げることができる。
また、その他のアルカリ(土類)金属塩としては、芳香族スルホンアミドのアルカリ(土類)金属塩を挙げることができ、例えばサッカリン、N−(p−トリルスルホニル)−p−トルエンスルホイミド、N−(N’−ベンジルアミノカルボニル)スルファニルイミド、およびN−(フェニルカルボキシル)スルファニルイミドのアルカリ(土類)金属塩などが挙げられる。
上記に挙げた成分(D)の中で、より好ましいアルカリ(土類)金属塩として、芳香族スルホン酸のアルカリ(土類)金属塩およびパーフルオロアルカンスルホン酸のアルカリ(土類)金属塩を挙げることができる。
本発明の芳香族ポリカーボネート樹脂組成物において成分(D)を用いる場合、その使用量は通常、成分(A)100重量部に対して0.001〜1重量部であり、0.005〜0.5重量部が好ましく、0.01〜1重量部がより好ましく、0.03〜0.5重量部が更に好ましく、0.05〜0.3重量部が特に好ましく、0.06〜0.15重量部が最も好ましい。
本発明の芳香族ポリカーボネート樹脂組成物において使用することができる成分(E)はフルオロポリマーであり、燃焼物の滴下を防止する目的で使用される。本発明では、フィブリル形成能力を有するフルオロポリマーとして、ポリテトラフルオロエチレン、テトラフルオロエチレン・プロピレン共重合体等のテトラフルオロエチレンポリマー、を好ましく使用することができ、特に好ましくはポリテトラフルオロエチレンである。
成分(E)は、ファインパウダー状のフルオロポリマー、フルオロポリマーの水性ディスパージョン、ASやPMMA等の第2の樹脂との粉体状混合物等、様々な形態のフルオロポリマーを使用することができる。
本発明で好ましく使用できるフルオロポリマーの水性ディスパージョンとして、三井デュポンフロロケミカル(株)製「テフロン(登録商標)30J」、ダイキン工業(株)製「ポリフロンD−1」、「ポリフロンD−2」、「ポリフロンD−2C」、「ポリフロンD−2CE」を例示することができる。
また、本発明では成分(E)として、ASやPMMA等の第2の樹脂との粉体状混合物としたフルオロポリマーも好適に使用することができるが、これら第2の樹脂との粉体状混合物としたフルオロポリマーに関する技術は、特開平9−95583号公報、特開平11−49912号公報、特開2000−143966号公報、特開2000−297189号公報等に開示されている。本発明において好ましく使用できる、これら第2の樹脂との粉体状混合物としたフルオロポリマーとして、GEスペシャリティケミカルズ社製「Blendex 449」、三菱レーヨン(株)製「メタブレンA−3800」を例示することができる。
本発明の芳香族ポリカーボネート樹脂組成物に成分(E)を使用する場合、その配合量は、通常、成分(A)100重量部に対して0.01〜1重量部であり、0.05〜0.7重量部が好ましく、0.1〜0.5重量部がより好ましく、0.15〜0.45重量部が更に好ましく、0.2〜0.4重量部が特に好ましい。
本発明の芳香族ポリカーボネート樹脂組成物では、成分(A)以外の樹脂成分、例えば、ポリスチレン、ハイインパクトポリスチレン(HIPS)、アクリロニトリル・スチレン樹脂(AS樹脂)、ブチルアクリレート・アクリロニトリル・スチレン樹脂(BAAS樹脂)、アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン樹脂(ABS樹脂)、メチルメタクリレート・ブタジエン・スチレン樹脂(MBS樹脂)、ブチルアクリレート・アクリロニトリル・スチレン樹脂(AAS樹脂)、ポリエチレンテレフタレートやポリブチレンテレフタレート等のポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、ポリメチルメタクリレート、ポリアリレート、コア/シェル型の耐衝撃性改良エラストマー、シリコーンエラストマー、等の熱可塑性樹脂を含むことができるが、成分(A)以外の樹脂成分を特に使用せずとも、優れた溶融流動性と耐衝撃性を同時に獲得することができる。
しかしながら、成分(A)以外の樹脂成分を使用する場合、その使用量は、成分(A)100重量部に対して、0.1〜15重量部が好ましく、0.5〜10重量部がより好ましく、1〜7重量部が更に好ましい。
本発明の芳香族ポリカーボネート樹脂組成物では、必要に応じて、さらに、着色剤、滑剤、離型剤、熱安定剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、帯電防止剤などを添加することもできる。
次に、本発明の芳香族ポリカーボネート樹脂組成物の製造方法について説明する。
本発明の樹脂組成物は前記の成分(A)、(B)、(C)、必要に応じて、(D)、(E)およびその他の成分を本明細書記載の組成割合で配合し、押出機等の溶融混練装置を用いて溶融混練することにより得ることが出来る。このときの各構成成分の配合及び溶融混練は一般に使用されている装置、例えば、タンブラー、リボンブレンダー等の予備混合装置、単軸押出機や二軸押出機、コニーダー等の溶融混練装置を使用することが出来る。また、溶融混練装置への原材料の供給は、予め、全成分、もしくは特定の成分(例えば、粉体成分同士)で予備混合した後に、供給することも可能であるが、それぞれの成分を独立して溶融混練装置に供給することも可能である。
溶融混練装置として通常は押出機、好ましくは2軸押出機が使用される。溶融混練は通常、押出機のシリンダー設定温度を200〜300℃、好ましくは220〜270℃とし、押出機スクリュー回転数100〜700rpm、好ましくは200〜500rpmの範囲で適宜選択して行うことができるが、溶融混練に際し、過剰の発熱を与えないように配慮する。さらに、必要に応じて、押出機の後段部分に開口部(ベント口)を設けて開放脱揮、あるいは減圧脱揮を行うことも有効である。また、原料樹脂の押出機内滞留時間は通常、10〜60秒の範囲で適宜選択される。
本発明の芳香族ポリカーボネート樹脂組成物からなる成形品を得るための成形方法は特に限定されないが、例えば、射出成形、ガスアシスト成形、押出成形、圧縮成形等が挙げられるが、中でも射出成形と押出成形が好ましく使用され、射出成形が特に好ましく使用される。
本発明の芳香族ポリカーボネート樹脂組成物を用いた成形品の例としては、コンピューター、ノート型パソコン、複写機、プリンター、液晶プロジェクター、電気・電子機器、携帯電話、携帯情報端末、電池パック、家電製品などのハウジング材料、液晶バックライト用のフレーム用部材、複写機内部部品などの部品材料、抵抗器、端子、テレビ用偏向ヨーク等の電気・電子部品材料、照明用部品材料、電子・情報機器用の難燃性シート(絶縁シート)、等が挙げられる。
以下、実施例、及び比較例により本発明を更に詳細に説明する。
実施例あるいは比較例においては、以下の成分(A)、(B)、(C)、場合により、(D)、(E)、その他の成分を使用し、芳香族ポリカーボネート樹脂組成物を製造した。
1.成分(A):芳香族ポリカーボネート
(A−1)
ビスフェノールAとジフェニルカーボネートから、溶融エステル交換法により製造された、ビスフェノールA系ポリカーボネートであり、ヒンダードフェノール系酸化防止剤としてオクタデシル−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネートを400ppm、および、ホスファイト系熱安定剤としてトリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ホスファイトを200ppm含むもの。
重量平均分子量(Mw)=15,500
フェノール性末端基比率(フェノール性末端基が全末端基数に占める割合)=40モル%
2.成分(B):珪酸塩化合物
(B−1)
タルク(日本タルク(株)製 商標名「マイクロエースP3」、平均粒径5μm、嵩比容積2.3cm/g、水分0.2wt%、pH9.0)
3.成分(C):有機酸性化合物および/または有機酸性化合物誘導体
(C−1)
p−トルエンスルホン酸(和光純薬工業株式会社製)
4.成分(D):有機アルカリ金属塩および有機アルカリ土類金属塩から選ばれる少なくとも1種の金属塩
(D−1)
パーフルオロブタンスルホン酸カリウム塩(大日本インキ化学工業(株)製 商標名「メガファックF−114」)
5.成分(E):フルロポリマー
(E−1)
ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)とアクリロニトリル・スチレン共重合体(AS)の50/50(重量比)粉体状混合物(GEスペシャリティケミカルズ社製 商品名「Blendex449」)
6.その他の成分
(離型剤)
ペンタエリスリトールテトラステアレート(日本油脂(株)製 商品名「ユニスターH476」)
[実施例1〜4、及び、比較例1〜4]
成分(A)、(B)、(C)、及び、(D)、(E)、その他の成分を表1に示す量(単位は重量部)で二軸押出機を用いて溶融混練してポリカーボネート難燃樹脂組成物を得た。
表1に表す組成比の成分(B)と成分(C)の混合物のpH値をJIS K5101に準拠して測定した結果、表1に記載する値となった。
溶融混練装置として2軸押出機(ZSK−25、L/D=37、Werner & Pfleiderer社製)を使用して、シリンダー設定温度250℃、スクリュー回転数200rpm、混練樹脂の吐出速度10kg/Hrの条件で溶融混練を行った。
溶融混練中に、押出機ダイ部で熱電対により測定した溶融樹脂の温度は265〜275℃であった。
2軸押出機への原材料の投入は、成分(A)、(B)、(C)、および、(D)、(E)、その他の成分を予め10分間タンブラーで予備ブレンドしたものをフィーダーにより投入した。また、押出機の後段部分にベント口を設けて減圧脱揮(0.005MPa)を行った。
得られたペレットを120℃で5時間乾燥し、射出成形機で成形し、以下の各試験を実施した。
(1)成形機内滞留後のメルトインデックス(MI)増大率測定
シリンダー温度を300℃に設定した射出成形機(オートショット50D、ファナック社製)により、1/8インチ厚短冊片を成形し、得られた短冊片を切り出してJIS K7210に準じて、炉体温度300℃、荷重1.2kgにてMI値を測定した。(MI
別途、シリンダー内部で樹脂組成物を20分溶融滞留させた後に成形した以外は全く上記と同じ方法で1/8インチ厚短冊片を成形し、得られた短冊片を切り出してMI値を測定した。(MI
MI及びMIの値より、MI増大率を下記式に従って算出した。
MI増大率=(MI−MI)/MI×100
(2)荷重たわみ温度測定
ISO 75−1に準じて荷重1.82MPa条件で荷重たわみ温度を測定した。試験片はシリンダー温度を280℃に設定した射出成形機(オートショット50D、ファナック社製)を用いて成形した。(単位:℃)
(3)落錘衝撃強度測定
150mm×150mm×2mm(厚み)の平板状成形体を射出成形機(オートショット100D、ファナック社製)により、シリンダー設定温度280℃、金型設定温度80℃の条件で成形し、温度23℃、湿度50%の環境下に2日保持した後、ミサイル直径3/4インチ(19mm)、落下高さ150cmの条件で、荷重を変えて落錘衝撃試験を行い、試験片をミサイルが貫通するエネルギー値(荷重×高さ)を測定した。(単位:kg.cm)
また、ミサイルが試料を貫通した時の破壊状態(延性/脆性)を観察した。ミサイルが試料を貫通しない場合は「非貫通」とした。
(4)難燃性
燃焼試験用の短冊形状成形体(厚さ1.0mm)を射出成形機(オートショット100D、ファナック社製)により、シリンダー設定温度300℃、金型設定温度80℃の条件で成形し、温度23℃、湿度50%の環境下に2日保持した後、UL−94規格に準じて20mm垂直燃焼試験、並びに500W垂直燃焼試験を行い、5VB、V−0、V−1、V−2、NC(NCはnon-classification(分類不能))に分類した。
結果を表1に示す。
Figure 2005068272
本発明の芳香族ポリカーボネート樹脂組成物は、溶融流動性、溶融安定性、耐熱性、及び耐衝撃性が同時に優れる芳香族ポリカーボネート樹脂組成物、並びに、前記特性に加えて、臭素系難燃剤あるいはリン系難燃剤を使用することなく高度な難燃性を有する芳香族ポリカーボネート樹脂組成物であり、広い範囲の用途向けの樹脂成形用材料として工業的に極めて有用である。

Claims (5)

  1. 重量平均分子量(Mw)が8,000〜18,000である芳香族ポリカーボネート(A)100重量部に対して、珪酸塩化合物(B)1〜50重量部、有機酸性化合物および/または有機酸性化合物誘導体(C)を含む芳香族ポリカーボネート樹脂組成物であって、該成分(C)の重量部数が、該成分(B)と該成分(C)の混合物をJIS K5101に基づいてpH値を測定したときに、該混合物のpH値が4.0〜8.0であることを特徴とする芳香族ポリカーボネート樹脂組成物。
  2. 該芳香族ポリカーボネート樹脂組成物が、更に、有機アルカリ金属塩および有機アルカリ土類金属塩から選ばれる少なくとも1種の金属塩(D)0.001〜1重量部を含むことを特徴とする請求項1に記載の芳香族ポリカーボネート樹脂組成物。
  3. 該芳香族ポリカーボネート樹脂組成物が、更に、フルオロポリマー(E)0.01〜1重量部を含むことを特徴とする請求項1、2に記載の芳香族ポリカーボネート樹脂組成物。
  4. 該珪酸塩化合物(B)が、タルク、マイカから選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする請求項1〜3に記載の芳香族ポリカーボネート樹脂組成物。
  5. 該有機酸性化合物および/または有機酸性化合物誘導体(C)が、有機スルホン酸化合物および/または有機スルホン酸化合物誘導体であることを特徴とする請求項1〜4に記載の芳香族ポリカーボネート樹脂組成物。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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