JP4396508B2 - 磁気マッピング評価装置 - Google Patents
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Description
本装置は、空間に交流磁界を発生させておき、頭部に取り付けた磁気センサが検出する磁気データに基づいて、頭部の向きや角度を測定する交流磁気方式のHMTに関連して用いられるものであり、予めHMTを使用する空間の磁気分布の評価を行う際に利用される。
例えば、VR技術では、頭部装着型表示装置を装着する者の頭部の動きに応じて変化する画像を視認させることで、VR空間を体験させる。この場合、装着者の頭部の位置と向き(角度)とを測定し、測定結果に対応させて頭部装着型表示装置の表示画像を変化させるようにするために、HMTを用いている。
そして磁気センサの出力に基づいて、座標原点から磁気センサまでの位置移動量であるX、Y、Zの位置座標情報、および磁気センサの基準方向に対する角度移動量であるアジマス方向(X軸に対する回転)、エレベーション方向(Y軸に対する回転)、ロール方向(Z軸に対する回転)の角度情報を求めるようにして、これらから磁気センサを固定してある頭部装着型表示装置、さらには頭部の測定原点および基準方向に対する位置や角度を求めている。
しかし、磁気ソースや磁気センサの周辺に、金属等の導電性物質が存在する場合は、磁気データの分布は単純ではなく、導電性物質内に発生する渦電流により誘起される磁界によって、交流磁界内に磁気歪を生じることとなる。特に、ゲーム機や航空機の場合は、構造上、金属製の座席などを設ける必要があり、HMTの周囲から導電性物質をなくすことは困難なため、どうしても導電性物質の影響による磁気歪が生じてしまう。
一定間隔ごと離れた測定位置に磁気センサを移動し、各測定位置における磁気データを実測し、その出力に基づいて、各測定点の位置や角度の誤差データを取得する。
この目的を達成するためには、各測定点の誤差データを数値として得て、測定誤差に相当する数値を補正値として本来の数値から減ずることができれば十分であることから、従来、誤差データを数値として求めることだけを磁気マッピング装置は実行していた。
しかしながら、導電性物質による磁気歪の影響が相当大きい場合があり、場合によっては、磁気データに基づいて算出した測定誤差の値を減算する補正では、誤差を正確に補正できない場合がある。
そのような場合に、たとえ測定誤差の補正はできなくても、誤差補正ができない領域が空間のどこ辺りであるかの評価を行うことが必要である。すなわち、誤差補正ができない不具合領域であるかを評価することができれば、その不具合領域での使用を避ければ足りるので、たとえ誤差補正ができなくても実用上は問題ない。
そこで、本発明は、各測定点での測定誤差を求めて誤差分布データ(磁気マッピングデータ)を取得するとともに、誤差分布データ(磁気マッピングデータ)の解析を容易にするための評価機能を備えた磁気マッピング評価装置を提供することを目的とする。
本発明によれば、HMTを使用する空間と同一環境の空間において、磁気ソースにより交流磁界を発生し、HMTと同様の磁界が形成されるようにする。そして空間内に複数の測定点を定め、磁気センサ移動機構によって磁気センサを各測定点に順次移動させ、それぞれの測定点で磁気データを取得する。各測定点での磁気データを、理論計算(ビオサバールの法則など)で求めることができる磁気データと比較することにより、磁気歪の影響による位置誤差および角度誤差を算出することができる。そして、磁気マッピング表示部は、算出された位置誤差および角度誤差に関する分布を2次元的あるいは3次元的にマッピング表示する。したがって、磁気歪による位置誤差や角度誤差に関する情報を、数値ではなく視覚的に把握することができるようになる。
また磁気センサ移動機構は、この機構自身が渦電流を発生して磁気歪を生じないようにするため、できるだけ非導電性材料で形成することが好ましい。
マッピング表示は、位置誤差のみを表示してもよいし、また、角度誤差のみを表示してもよい。さらに、位置誤差および角度誤差を同時に表示してもよい。マッピングでの表示内容は測定誤差に関する情報をグラフィック的に表示できるものであればよい。
例えば、実測した磁気データを、理論計算式(ビオサバールの方式)に当てはめて理論上(すなわち磁気歪がない場合)、その磁気データが得られる座標を算出することで、磁気歪の影響がなければ、本来その磁気データが得られるべき座標位置を求め、磁気データを実測した格子点位置とともに表示してもよい(後述する図5参照)。
また、実測した格子点位置に発生している位置誤差や角度誤差を算出して、その格子点位置において位置誤差、角度誤差をグラフィック表示してもよい(後述する図6、図7参照)。
上記発明において、少なくとも位置誤差または角度誤差のいずれかに関する閾値を記憶する閾値記憶部と、閾値記憶部に記憶された閾値とこの閾値に対応する各測定位置の位置誤差または角度誤差とを比較する比較部と、位置誤差または角度誤差が閾値より大きい場合に該当する測定位置に対し警告情報を付して表示する警告表示部とをさらに備え、前記警告情報は、前記ベクトル画像の色を変化させるものであるようにしてもよい。
これによれば、予め適当な閾値を設定し、記憶させておくことにより、その閾値より大きな位置誤差、角度誤差が生じた測定点については警告表示部により、警告情報が付されるので、誤差が大きな場所を簡単に把握することができる。誤差が大きくなりすぎると場合によっては、誤差補正が不能な領域となるので、そのような領域の評価をより簡単に行うことができる。また、HMTを使用する際に、警告情報が付された測定点近傍での使用を行わないように注意することができる。
ここで、警告情報の表示は、視覚的に目立つ表示方法であればよい。例えば他よりも目立つマークを付して表示したり、他とは異なる色で表示したり、あるいは点滅表示したりすればよい。
図1は、本発明の一実施形態である磁気マッピング評価装置の構成を示すブロック図である。この磁気マッピング評価装置10は、交流磁界を発生する磁気ソース11と、各測定点で磁気データを検出する磁気センサ12と、磁気センサ12の位置を移動する磁気センサ移動機構13と、磁気ソース11、磁気センサ12、磁気センサ移動機構13の制御を行う制御部14と、表示部15とからなる。また、制御部14は、磁気データから位置誤差や角度誤差を算出する測定誤差算出部16、位置誤差や角度誤差を2次元、3次元的に表示する磁気マッピング表示部17としての機能をも有する。
磁気センサ12は、ピックアップコイルを有しており、現在位置での磁気の大きさと向きとを磁気データとして測定する。
磁気センサ移動機構13は、XYZ方向に駆動可能なステージ機構で構成され、XYZの各方向に一定間隔ごと離れた位置、すなわち格子点をなす位置に、磁気センサ12を正確に停止することができるようにしてある。
制御部14は、CPUやメモリを含むコンピュータにより構成され、メモリに記憶されたプログラムを実行することにより、制御動作や演算動作を行う。
表示部15は、文字や画像を表示することができるディスプレイパネルにより構成される。
磁気マッピング表示部17は、測定誤差算出部16が算出した位置誤差、角度誤差のデータに基づいて、誤差をわかりやすく表示するための2次元あるいは3次元グラフィックデータを作成する。
図4に、各測定点についての磁気データを表形式で出力した磁気マッピングデータの一例を示す。
1つの測定点の磁気データは2行で構成され、1行目(最左列が空白の行)が実際の測定点の位置情報および角度情報であり、2行目(最左列に「1」が付された行)が理論計算式に磁気データ(実測値)を代入して逆算した理論上の測定点の位置情報および角度情報である。
各行の数値は、左から2列目からX、Y、Z座標、アジマス角、エレベーション角、ロール角の6つの位置情報、角度情報である。1行目と2行目の差分を算出することにより、X、Y、Z座標、アジマス角、エレベーション角、ロール角それぞれの位置誤差、角度誤差を得ることができる。
この磁気マッピングデータは数値の羅列であり、これから測定誤差の分布を解析するのは困難である。そのため、測定誤差の分布を視覚的に把握できるように、2次元あるいは3次元的にグラフィック表示する。
図において紙面はXY面であり、実際の測定点(格子点)のXYZ座標位置とともに、理論上の測定点のXYZ座標位置をXY面に投影したものである。すべての測定点で測定誤差がなければ、格子状に整然と並ぶことになるものが、測定誤差の影響で歪んで表示されている。
また、図7は、図4の磁気マッピングデータにおける位置誤差情報を3次元表示(スカラー表示)したものであり、各点での位置誤差を色の違いで表現したものである。
これらのグラフィック表示により、位置誤差や角度誤差の空間分布を視覚的に把握することができる。
図3は本発明の他の一実施形態である磁気マッピング評価装置の構成を示す図であり、上述した磁気マッピング評価装置に警告表示機能を付加したものである。図において、図1と同じものは同一符号を付すことにより説明を省略する。
閾値記憶部18は、許容できる誤差の境界値(位置誤差境界値および角度誤差境界値)を記憶する。
比較部19は、各測定点で算出された位置誤差及び角度誤差を、閾値記憶部18に記憶されている境界値と比較し、算出された位置誤差、角度誤差が閾値より大きい測定点を不具合点として抽出する。
警告表示部20は、比較部19により抽出された不具合点をグラフィック表示する際に、他と識別できるように色や形状を変えて目立たせて表示する。
本実施形態では、マーク形状を変化させたが、対象となるマークの色を変化させてもよい。
11:磁気ソース
12:磁気センサ
13:磁気センサ移動機構
14:制御部
15:ディスプレイパネル
16:測定誤差算出部
17:磁気マッピング表示部
Claims (2)
- ヘッドモーショントラッカを使用する際と同様の磁界を発生する磁気ソースと、
前記磁界中の磁気データを測定する磁気センサと、
前記磁界中にXYZ座標系を定め、前記磁気センサを複数の測定点に対し順次移動させる磁気センサ移動機構と、
各測定点で磁気センサが測定した磁気データに基づいて、電磁気学理論に基づく理論計算により、理論上位置および理論上角度を算出して、位置誤差および角度誤差を算出する測定誤差算出部と、
表示部に画像表示されたXYZ座標系画像または投影面画像中に、前記位置誤差および角度誤差を示す画像情報を画像表示する磁気マッピング表示部とを備え、
前記画像情報は、ベクトル画像であり、
前記ベクトル画像の向きで、前記角度誤差を表現するとともに、
前記XYZ座標系画像または投影面画像中の理論上位置にベクトル画像を画像表示するか、あるいは、前記ベクトル画像の長さで、前記位置誤差を表現することを特徴とする磁気マッピング評価装置。 - 少なくとも位置誤差または角度誤差のいずれかに関する閾値を記憶する閾値記憶部と、
閾値記憶部に記憶された閾値とこの閾値に対応する各測定位置の位置誤差または角度誤差とを比較する比較部と、
位置誤差または角度誤差が閾値より大きい場合に該当する測定位置に対し警告情報を付して表示する警告表示部とをさらに備え、
前記警告情報は、前記ベクトル画像の色を変化させるものであることを特徴とする請求項1に記載の磁気マッピング評価装置。
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