JP4396107B2 - 映像表示システム - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、例えばCRTディスプレイや液晶プロジェクタ等の映像表示装置から表示する画像の色を、正しい色で表示されるように映像表示装置の特性に基づいて調整して映像表示装置に提供する映像表示システムに関する。
【0002】
【従来の技術】
例えば、カラープリンタのような印刷装置によって印刷した場合、同一の印刷対象物を印刷したにもかかわらず、異なるカラープリンタから印刷された印刷物は色合いが若干異なっている。これは、個々のカラープリンタの色特性が異なっていることに由来するものであり、オリジナルの印刷対象物と全く同一の色合いを出すためには、個々の色特性に応じた調整が必要となる。このような調整は、カラーマネジメントと呼ばれている。
【0003】
一方で、近年の映像技術の発展はめざましく、映像表示装置としても、CRTディスプレイはもとより、液晶ディスプレイ、液晶プロジェクタ、DLP、PDPなどによっても、明るく鮮明なカラー画像が表示されるようになってきている。そして、大型シアターでは輝度が高いDLP方式プロジェクタ、階調精度が要求される場合にはCRTディスプレイ、省スペース環境ではPDPや液晶ディスプレイといったように、設置条件や要求される性能によって使い分けられている。
【0004】
カラーマネジメント処理は、印刷装置に限らず、上述したようなCRTディスプレイ、液晶ディスプレイ、液晶プロジェクタ、DLP、PDPなどの映像表示装置に対しても同様に適用できる技術である。ただ、これら映像表示装置からテレビ番組、映画、ビデオ画像等のコンテンツを観る限りにおいては、多少現実の色との違いがあったとしても、全く気がつかないか、あるいは違和感を感じることがなく観ることができるために、カラーマネジメント処理を行わずしても良い場合がある。
【0005】
しかしながら、特に美術品や文化財などをリアルに表示するためには、オリジナルの色や階調を正確に再現する必要がある。そのために、スキャナやデジタルカメラなどの入力装置から、上述したような映像表示装置に至る処理系の色特性を把握し、入力装置によって取得されたデジタル映像データに対して必要なカラーマネジメント処理を施すことで、オリジナルの色や諧調を正確に再現することが不可欠である。
【0006】
例えばバーチャルリアリティコンテンツで表示色を決める代表的要素としては、テクスチャ画像の色情報、オブジェクト表面の色情報、照明の色情報があげられる。従来は、これらの異なる色情報が、それぞれに使用する映像表示装置の個々の色特性に応じて調整がなされている。
【0007】
映像表示装置は一般に、三原色の加法混色または減法混色によって様々な色を再現しているが、実際の映像表示装置では三原色は通常他の原色成分を含んでおり純粋な色ではない。たとえば、三原色RGBで様々な色を表現する場合、映像表示装置の色特性は、図7に示すように、赤成分R、緑成分G、青成分Bがそれぞれ分離したような特性を持つことが望ましい。
【0008】
しかしながら、実際には、図8に示すように、おのおのの色成分が互いにオーバーラップしており、ある色成分のみを調整しても、それが他の色成分にまで影響を与えてしまうことが避けられない。たとえば、図8に示す例において、緑成分Gのみを調整しようとしても、緑成分Gは、赤成分Rおよび青成分Bと一部ラップしているので、赤成分Rおよび青成分Bも影響を受けてしまう。
【0009】
また、実際の映像表示装置では、入力値と出力値とは必ずしも比例関係にはなっていない。この特性は、映像表示装置の個々の映像表示方式や設計などによっても大きく異なるものである。
【0010】
したがって、上述したように色特性が個々に異なっている映像表示装置によってオリジナルの色を正確に再現するためには、オリジナルの色情報のデジタル値と、映像表示装置の個々の特性とに基づいた色変換処理演算を行い、個々の色成分に対して行う補正値を求める必要がある。
【0011】
たとえば、CRTディスプレイの場合、映像表示装置によって再現された表示色の表色値(CIE XYZ)と、三原色それぞれの入力信号の強度RGBのデジタル値(入力信号値)との関係は下記(1)式のような行列式で表すことができる。
【0012】
【数1】
映像表示装置からリアルな映像を表示するための色変換処理を行うためには、表色値(CIE XYZ)から三原色それぞれの入力信号値RGBを求め、コンテンツの色情報を補正する必要がある。この補正値は、理論的には、上記(1)式を逆変換処理することによって求めることができる。
【0013】
コンテンツの色情報を補正せずに、映像表示装置側で色調整を行うことによって、ある程度色再現性を向上させることも可能である。しかしながら、映像表示装置側の調整機能は通常は非線形回路やルックアップテーブルなどを用いて三原色を個別に操作するのみであり、上述したような厳密な色変換処理演算を行うことは出来ないため、映像表示装置の調整のみで正確な色再現をすることはできない。
【0014】
【非特許文献1】
「図解カラーマネージメント実践ルールブック 2002−2003」、永田豊志編、株式会社ワークスコーポレーション、2002年9月30日、p34〜p39
【0015】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、このような従来の映像表示装置に対して行っているカラーマネジメント処理では、以下のような問題がある。
【0016】
すなわち、バーチャルリアリティ用のコンテンツを映像表示装置から表示する場合、その見栄えは、表示対象とするコンテンツの色情報のみならず、照明や背景の色、強さ、角度等といった外部条件によっても変化する。したがって、映像表示装置からこのコンテンツを表示する場合には、図9に示すような処理フローに従ってこれら外部条件を反映したレンダリング処理を行った後に、映像表示装置からの表示がなされている。
【0017】
すなわち、図9に示すようなレンダリング処理方法では、まず、コンテンツの元色情報(例えば、赤成分R、緑成分G、青成分B)毎の色情報変換処理が行われる。そして、色情報変換処理された各元色情報(これは修正色情報)が合成された後に、外部条件を反映したレンダリング処理がなされ、修正色情報である最終色情報が生成されている。そして、この最終色情報が映像表示装置へと送られ、この映像表示装置から表示されている。
【0018】
しかしながら、上述したようなレンダリング処理方法では、厳密な色補正をすることはできないという問題がある。この理由について、以下に具体的に説明する。
【0019】
仮に、映像表示装置の色特性が図10に示すように、赤成分Rの出力特性が(R,G,B)=(100,50,0)のように緑成分を半分含んでおり、緑成分Gの出力特性が(R,G,B)=(0,100,0)のように純粋に緑を表示するようになっており、青成分Bの出力特性もまた(R,G,B)=(0,0,100)のように純粋に青を表示するようになっているものとする。そして、コンテンツの元色情報が純粋な黄色、すなわち(R,G,B)=(100,100,0)であるものとする。
【0020】
この場合、図9における色情報変換処理では、映像表示装置の色特性を考慮して、コンテンツの元色情報が(R,G,B)=(100,50,0)のような修正色情報に変換される。つまり、この映像表示装置では、赤成分R=100に、緑成分G=50が含まれて表示されるので、緑成分G=100となるようにコンテンツの緑成分Gを半分にするような変換が行われる。
【0021】
次に、このコンテンツを、純粋な緑色((R,G,B)=(0,100,0))の照明光によって照明するような鑑賞条件にしたがってレンダリング処理を行うものとする。このコンテンツの色情報は本来(R,G,B)=(100,100,0)の色特性を持つものであり、これに(R,G,B)=(0,100,0)の純粋な緑色の色特性を持つ照明光によって照明された場合には、緑成分Gの強さは同じである。しかしながら、コンテンツの元色情報は(R,G,B)=(100,50,0)のような修正色情報に変換されているので、このようなコンテンツが、(R,G,B)=(0,100,0)の色特性を持つ照明光によって照明されると、コンテンツの緑成分G(50)が照明光の緑成分G(100)に対して暗く表示されてしまう。
【0022】
このように、従来の映像表示装置では、鑑賞条件までも含めたコンテンツの厳密な色補正をすることはできず、コンテンツを正しい色や、リアルに表示することができないという問題がある。
【0023】
本発明はこのような事情に鑑みてなされたものであり、鑑賞条件までも含めてコンテンツのオリジナルの色や階調を正確に再現した映像を映像表示装置から表示させることが可能な映像表示システムを提供することを目的とする。
【0024】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するために、本発明では、以下のような手段を講じる。
【0025】
すなわち、請求項1の発明の映像表示システムは、レンダリング処理部とルックアップテーブル保持部とアドレス生成部と補正値抽出部とを備える。レンダリング処理部は、映像表示装置から表示されるコンテンツに含まれる元色情報を用いて、コンテンツの環境条件を考慮した加工処理であるレンダリング処理を行い、三原色の各色成分からなる中途色情報を取得し、中途色情報の各色成分に対応する数値データの組み合わせからなる表示画像情報を生成する。ルックアップテーブル保持部は、映像表示装置によって表示される表示色の表色値(X,Y,Z)と、三原色の各色成分の強度(A,B,C)との関係を示す下記行列式
【数2】
を逆演算した解(A,B,C)の各組み合わせについて予め解いておき、三原色の各色成分に対する解を補正値としてルックアップテーブルに格納している。アドレス生成部は、三原色の各色成分から、ルックアップテーブルを参照する位置を示す位置情報を出力する。補正値抽出部は、アドレス生成部から出力された位置情報に基づいて、三原色の各色成分に対する補正値を、ルックアップテーブルから抽出し、この抽出した各補正値を、対応する各色成分の数値データと演算し、演算結果を、最終色情報を持つ表示画像情報として映像表示装置へ出力する。
【0026】
従って、請求項1の発明の映像表示システムによれば、コンテンツのオリジナルの色や階調を正確に再現した映像を映像表示装置から表示させることが可能となる。
【0033】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明の実施の形態について図面を参照しながら説明する。
【0034】
本発明の実施の形態を図1から図6を用いて説明する。
【0035】
図1は、本発明の実施の形態に係る映像表示システムの一例を示す機能ブロック図である。
【0036】
すなわち、本発明の実施の形態に係る映像表示システム10は、映像表示装置22から表示するコンテンツの色情報を、映像表示装置22固有の特性に基づいて調整し、この色情報を映像表示装置22に提供するシステムであって、元色情報取得部12と、レンダリング処理部14と、色情報変換部16とを備えている。
【0037】
ここで、コンテンツとは、本発明で利用される情報の内容のことであり、主に画像の情報と、画像に含まれる色情報、画像への反射率や分光透過率などを含む。
【0038】
また、色情報とは、色を数値で表した情報のことであり、表現方法としては例えば、国際照明委員会CIE(Commission Internationale del’Eclairage)などで利用されている、XYZ表色系(CIE XYZ)、RGB表色系(CIERGB)、マンセル表色系、Lab(CIELAB)表色系、Luv(CIELUV)表示系やCMY表色系などがあり、これらの表色系で表した色を数値化したものが色情報となる。
【0039】
元色情報取得部12は、デジタルデバイス20から、コンテンツの各画素を構成している色情報(元色情報)を取得する。ここで、デジタルデバイス20とは、コンテンツを映像表示システム10に提供する機器であり、例えばデジタルカメラやスキャナ、またはコンテンツを蓄積したHDDなどの記憶デバイスが挙げられる。この記憶デバイスの場合には、デジタルデバイス20は、映像システム10内に設けられるのが好ましい。
【0040】
たとえば、本発明の実施の形態に係る映像表示システム10が、赤成分R、緑成分G、および青成分Bからなる三原色毎に色変換を行う場合には、図1に示すように、デジタルデバイス20から一括して画素毎の色情報を取得しても良いし、または、デジタルデバイス20から赤成分Rの色情報を各画素毎に取得する元色情報取得部12(#R)と、デジタルデバイス20から緑成分Gの色情報を各画素毎に取得する元色情報取得部12(#G)と、デジタルデバイス20から青成分Bの色情報を各画素毎に取得する元色情報取得部12(#B)とを備えていても良い。各色情報取得部12は、これらのようにしてデジタルデバイス20から各コンテンツの各元色情報を取得すると、この取得した各元色情報をレンダリング処理部14へと出力する。
【0041】
本発明の実施の形態に係る映像表示システム10は、シアンCy、マゼンダM、イエローY、ブラックKからなる四原色毎のように他の形態による元色情報を取り扱うこともことも可能であるが、以下、赤成分R、緑成分G、および青成分Bからなる三原色毎に色変換する場合を例に説明する。
【0042】
レンダリング処理部14は、元色情報取得部12から出力されたコンテンツの各画素を構成している元色情報に対して、このコンテンツへの環境条件を考慮した加工処理であるレンダリング処理を行う。ここで、環境条件(鑑賞条件ともいう)とは、コンテンツの色情報に影響を及ぼす条件のことであり、例えば、照明光、太陽光や反射光などの環境光によるコンテンツへの光の当たり方や光の色情報などが挙げられる。また、レンダリングとは、最終的に必要なコンテンツ(映像)を指示に従って自動的に加工して、生成することである。更に言えば、レンダリング処理とは、デジタルデバイス20から所得したコンテンツを鑑賞できるように加工することをいい、例えば、合成用のコンテンツデータと組み合わせ指示により最終的に必要なコンテンツを生成することである。例えば、3Dソフトを用いた場合はモデリングされた立体データから実際の3次元画像を生成することであり、単純に立体データの頂点を線で結んだだけのワイヤーフレーム技法や、面を奥行き方向にソートして陰線消去を施したり、さらに物体に当たる光を計算しながら画像を生成するシェーディング技法を使うものもレンダリング処理といえる。
【0043】
レンダリング処理部14は、このようなレンダリング処理によって各元色情報を変換した各中途色情報からなる表示画像情報を生成し、色情報変換部16へと出力する。ここで、中途色情報とは、レンダリング処理部14にて、環境条件(または鑑賞条件)に基づいてコンテンツを加工処理(レンダリング処理)した後に得られる色情報のことである。つまり、この中途色情報は照明や環境光などの環境条件によって、コンテンツに対して色の影響を与える場合には、元色情報とは異なることとなる。
【0044】
なお、後述するが、色情報変換部16は、コンテンツを表示する映像表示装置22に対応して備えており、特性が異なった複数の映像表示装置22(#1〜#n)から同一のコンテンツを同時に表示する場合には、各映像表示装置22(#1〜#n)に一対一または、この特性毎に対応して設けられている複数の色情報変換部16(#1〜#n)のそれぞれに対して、レンダリング処理部14は表示画像情報を出力する。つまり、n個の特性の異なったm個の映像表示装置22を有している場合には、n個の色情報変換部16を備えても良いし、m個の色情報変換部16を備えても良い(m≧n≧2)。
【0045】
表示画像情報とは、図2に示すような表示画像を形成している各画素C(#1〜n)毎の中途色情報の数値データの組み合わせであって、例えば図3に示すように、赤成分R、緑成分G、青成分Bともに8ビットからなる数値データの組み合わせである。
【0046】
色情報変換部16は、図4に示すように、アドレス生成部24と、ルックアップテーブル保持部26と、補正値抽出部28とを備えている。このような構成をなす色情報変換部16は、例えば、出力する映像表示装置22のそれぞれに一対一に対応して備えている。すなわち、図1の例に示すように、出力する映像表示装置22がn台(映像表示装置22(#1〜#n))存在する場合には、色情報変換部16もまたそれに対応してn台(色情報変換部16(#1〜#n))備えている。
【0047】
そして、各色情報変換部16(#1〜#n)はアドレス生成部24(#1〜#n)と、補正値抽出部28(#1〜#n)とにおいて、レンダリング処理部14によって生成された表示画像情報をレンダリング処理部14から取得する。上述したように表示画像情報は、赤成分R、緑成分G、青成分Bともに8ビットからなる数値データの組み合わせである。アドレス生成部24は、取得した表示画像情報について赤成分R、緑成分G、青成分Bから、後述するルックアップテーブルTを参照する位置を示す位置情報を補正値抽出部28へと出力する。
【0048】
ルックアップテーブル保持部26では、赤成分R、緑成分G、青成分Bのそれぞれについて、例えば図5に示すようなルックアップテーブルT(#r,#g,#b)を保持している。ルックアップテーブルT(#r,#g,#b)は、上述した(1)式を逆演算した解(R,G,B)=(0〜255,0〜255,0〜255)の各組み合わせについて予め解いておき、赤成分R、緑成分G、青成分Bそれぞれに対する解を補正値として格納している。上述した(1)式における行列要素a11〜a33は、映像表示装置22固有の特性から決定されるパラメータであるので、色情報変換部16(#1)では、映像表示装置22(#1)の特性に基づく行列要素a11〜a33の値を用いて逆演算で予め解いておき、その解を補正値としてルックアップテーブルT1(#r,#g,#b)に格納している。同様に、色情報変換部16(#2)では、映像表示装置22(#2)の特性に基づく行列要素a11〜a33の値を用いて逆演算で予め解いておき、その解を補正値としてルックアップテーブルT2(#r,#g,#b)に格納しており、色情報変換部16(#n)では、映像表示装置22(#n)の特性に基づく行列要素a11〜a33の値を用いて逆演算で予め解いておき、その解を補正値としてルックアップテーブルTn(#r,#g,#b)に格納している。
【0049】
補正値抽出部28は、アドレス生成部24から出力された位置情報に基づいて、アドレス生成部24から出力された赤成分R、緑成分G、青成分Bそれぞれの数値データの組み合わせ(R,G,B)=(0〜255,0〜255,0〜255)に対応する赤成分R、緑成分G、青成分Bそれぞれの補正値を、ルックアップテーブル保持部26に保持されているルックアップテーブルT(#r,#g,#b)から抽出し、この抽出した各補正値を、対応する中途色情報の赤成分R、緑成分G、青成分Bそれぞれの数値データに演算して補正し映像表示装置22へと出力する。ここで、演算とは、四則演算のいずれか又は組み合わせ又は所定の算術関数のことである。
【0050】
例えば、アドレス生成部24から出力された位置情報が(R,G,B)=(0,0,0)を指している場合、補正値抽出部28は、ルックアップテーブルT(#r)を参照し、(R,G,B)=(0,0,0)に対応する赤成分Rに対する補正値ΔRとして0を得る。また、ルックアップテーブルT(#g)を参照し、(R,G,B)=(0,0,0)に対応する緑成分Gに対する補正値ΔGとして10を得る。更に、ルックアップテーブルT(#b)を参照し、(R,G,B)=(0,0,0)に対応する青成分Rに対する補正値ΔBとして20を得る。そして、アドレス生成部24から出力された赤成分R、緑成分G、青成分Bそれぞれの数値データの組み合わせ(R,G,B)=(0,0,0)に、映像表示装置22の個々の特性に応じて求めた補正値の数値データの組み合わせ(ΔR,ΔG,ΔB)=(0,10,20)を演算した最終色情報を持つ表示画像情報を映像表示装置22へと出力する。
【0051】
ここで、最終色情報とは、中途色情報を持つ表示画像情報と、補正値とを演算して得られる色の情報のことである。したがって、最終色情報を持つ表示画像情報が、本発明において正しい色で表示されるコンテンツとなる。なお、正しい色とは、コンテンツのオリジナルの色や階調を正確に再現した色のことであり、コンテンツを製作した者が期待する色ともいえる。
【0052】
補正値抽出部28は、上述したように、予め補正値が格納されたルックアップテーブルTから、赤成分R、緑成分G、青成分Bそれぞれの数値データの組み合わせに対応する補正値を抽出することによって補正値を決定するので、補正値を求めるための演算を不要としている。したがって、色情報変換部16でなされる処理は、ほとんど時間が掛からず、実質的にリアルタイムな処理を可能としている。つまり、コンテンツをリアルタイムに表示させる必要がある場合には、この補正値抽出部28により処理スピードや処理の効率化が図られ、リアルタイムに表示することが可能となる。
【0053】
映像表示装置22は、このようにして補正値抽出部28が表示画像情報と補正値とに基づいて生成した最終色情報を持つ表示画像情報を表示する。これによって、コンテンツのオリジナルの色や階調を正確に再現した正しい色のコンテンツや映像を表示できるようにしている。以下にその理由について具体例を用いて説明する。
【0054】
仮に、映像表示装置22(#1)の色特性が図10に示すように、赤成分Rの出力特性が(R,G,B)=(100,50,0)のように緑成分を半分含んでおり、緑成分Gの出力特性が(R,G,B)=(0,100,0)のように純粋に緑を表示するようになっており、青成分Bの出力特性もまた(R,G,B)=(0,0,100)のように純粋に青を表示するようになっているものとする。そして、コンテンツが純粋な黄色、すなわち(R,G,B)=(100,100,0)であるものとする。
【0055】
そして、レンダリング処理部14において、このコンテンツを純粋な緑色((R,G,B)=(0,100,0))の照明光によって照明するような環境条件にしたがってレンダリング処理を行い、その後色情報変換部16(#1)によって色情報を変換するものとする。
【0056】
この場合、コンテンツの緑成分G(100)と、照明光の緑成分G(100)とは等しいので、従来技術で説明したように、コンテンツの緑成分Gが照明光の緑成分Gに対して暗く表示されてしまうようなことはない。色情報変換部16(#1)では、映像表示装置22(#1)の特性に基づいて、コンテンツ自身の色情報を、照明光などの環境条件によって変わった後の色情報(中途色情報)に対して補正することになるので、環境条件が変化してもコンテンツのオリジナルの色や階調を正確に再現した映像表示を可能としている。
【0057】
次に、以上のように構成した本発明の実施の形態に係る映像表示システムの動作について、図6に示すフローチャートを用いて説明する。
【0058】
すなわち、本発明の実施の形態に係る映像表示システムでは、元色情報取得部12によって、HDD、デジタルカメラやスキャナなどのデジタルデバイス20から、コンテンツの各画素の元色情報が原色毎に値として記憶され、取得される(S1)。例えば、RGBの各成分からなる元色情報をまとめて元色情報取得部12に取得され、レンダリング処理部14へと出力しても良いし、赤成分Rの元色情報が元色情報取得部12(#R)によって、緑成分Gの元色情報が元色情報取得部12(#G)によって、青成分Bの元色情報が元色情報取得部12(#B)からそれぞれ取得され、レンダリング処理部14へと出力される(S2)。
【0059】
レンダリング処理部14では、元色情報取得部12から各画素毎に出力されたコンテンツの各元色情報に、このコンテンツが照明や環境光などが考慮された状態である環境条件が考慮されることによって、レンダリング処理が行われる(S3)。そして、このレンダリング処理によって得られてなる各元色情報毎に8ビットからなる中途色情報を持つ表示画像情報が、各色情報変換部16(#1〜#n)へとそれぞれ出力される(S4)。
【0060】
ステップS4で出力された表示画像情報は、各色情報変換部16(#1〜#n)へと出力されると、この出力された表示画像情報はアドレス生成部24と、補正値抽出部28とに取得される(S5)。
【0061】
アドレス生成部24では、ステップS4において取得した表示画像情報の赤成分R、緑成分G、青成分Bが取得される(S6)。そして、R、G、Bに対応するルックアップテーブルTを参照すべき箇所を示す位置情報が補正値抽出部28へと出力される(S7)。
【0062】
補正値抽出部28では、アドレス生成部24から出力された位置情報に対応する赤成分R、緑成分G、青成分Bそれぞれの補正値が、ルックアップテーブル保持部26に保持されているルックアップテーブルT(#r,#g,#b)から抽出される(S8)。そして、この抽出された各補正値は、ステップ4において取得した対応する中途色情報に演算されて、最終色情報を持つ表示画像情報として映像表示装置22へと出力される(S9)。
【0063】
補正値抽出部28では、予め補正値が格納されたルックアップテーブルTから、赤成分R、緑成分G、青成分Bの組み合わせに対応する補正値を抽出することによって補正値が決定されるので、補正値を求めるための演算が不要となる。したがって、色情報変換部16でなされる処理は、ほとんど時間が掛からず、実質的にリアルタイムで処理される。
【0064】
映像表示装置22では、ステップS9において補正値抽出部28から出力された最終色情報を持つ表示画像情報に基づいて、補正された各画素Cの色が表示される。
【0065】
このように、元色情報のコンテンツに対してレンダリング処理が行われた後に、映像表示装置22の個々の特性を考慮した色情報変換処理がなされることによって、コンテンツのオリジナルの色や階調が正確に再現された映像が表示される。もちろん、環境条件を変えた場合であっても、コンテンツのオリジナルの色や階調が正確に再現された映像が表示される。
【0066】
上述したように、本発明の実施の形態に係る映像表示システムにおいては、上記のような作用により、元色情報に対してレンダリング処理が行われた後に、映像表示装置22の個々の特性を考慮した色情報変換処理がなされることによって、コンテンツのオリジナルの色や階調を正確に再現した映像を表示することができる。
【0067】
また、同一の映像を異なる映像表示装置22から出力する場合であっても、映像表示装置22の個々の特性を考慮した補正値の計算を、映像表示装置22に対してそれぞれ備えられた色情報変換部16によって行うことによって、複数の映像表示装置22に対してそれぞれ最適な補正値を求めることができ、コンテンツのオリジナルの色や階調を正確に再現した映像を、複数の映像表示装置22から同時に表示することができる。
【0068】
また、映像表示システム10によってなされる処理は、ほぼリアルタイムで行われるので、デジタルデバイス20によって記憶又は取得されたコンテンツの元色情報に何ら処理を施すことなく、そのまま使用することができる。また、色情報変換部16によってなされる色情報変換処理では、複雑な連立方程式を解くことなくほぼリアルタイムで補正値を決定することができるので、特別に高い処理能力を必要とせず、コスト的にも安価で実現することができる。
【0069】
なお、色情報変換部16は、予め補正値を用意している場合について説明したが、CPUの処理速度などが飛躍的に向上した場合には、逐次に連立方程式から補正値を求めても良い。これは、映像表示装置22が頻繁に異なる場合でも、柔軟に対処することができる。
【0070】
以上、本発明の好適な実施の形態について、添付図面を参照しながら説明したが、本発明はかかる構成に限定されない。特許請求の範囲の発明された技術的思想の範疇において、当業者であれば、各種の変更例及び修正例に想到し得るものであり、それら変更例及び修正例についても本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
【0071】
【発明の効果】
請求項1の発明の映像表示システムによれば、コンテンツのオリジナルの色や階調を正確に再現した映像を映像表示装置から表示させることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の実施の形態に係る映像表示システムの一例を示す機能ブロック図
【図2】 複数の画素によって形成されている表示画像を説明するための概念図
【図3】 表示画像情報の構成例を示す図
【図4】 色情報変換部の構成例を示す機能ブロック図
【図5】 ルックアップテーブルの一例を示す模式図
【図6】 同実施の形態に係る映像表示システムの動作例を示すフローチャート
【図7】 映像表示装置の理想的な色特性を示す概念図
【図8】 映像表示装置の現実的な色特性の一例を示す概念図
【図9】 従来技術による色変換処理の流れを示す処理フロー図
【図10】 映像表示装置の現実的な色特性の一例を示す概念図
【符号の説明】
C…画素、T…ルックアップテーブル、10…映像表示システム、12…元色情報取得部、14…レンダリング処理部、16…色情報変換部、20…デジタルデバイス、22…映像表示装置、24…アドレス生成部、26…ルックアップテーブル保持部、28…補正値抽出部
Claims (1)
- 映像表示装置から表示されるコンテンツに含まれる元色情報を用いて、前記コンテンツの環境条件を考慮した加工処理であるレンダリング処理を行い、三原色の各色成分からなる中途色情報を取得し、前記中途色情報の各色成分に対応する数値データの組み合わせからなる表示画像情報を生成するレンダリング処理部と、
前記映像表示装置によって表示される表示色の表色値(X,Y,Z)と、前記三原色の各色成分の強度(A,B,C)との関係を示す下記行列式
前記三原色の各色成分から、前記ルックアップテーブルを参照する位置を示す位置情報を出力するアドレス生成部と、
前記アドレス生成部から出力された位置情報に基づいて、前記三原色の各色成分に対する補正値を、前記ルックアップテーブルから抽出し、この抽出した各補正値を、対応する各色成分の数値データと演算し、演算結果を、最終色情報を持つ表示画像情報として前記映像表示装置へ出力する補正値抽出部と
を備える映像表示システム。
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