JP4395321B2 - 架線装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ケーブルやロープ等の線状部材を支持部材間に架線する架線装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
通信分野や電力分野等で用いられる通信ケーブル、電力ケーブル等のケーブルは、複数のハンガー部材間に架線される。このハンガー部材は、例えば断面形状が略U字状を形成する構成であり、高所等に配設される支持線(例えば、支持用ワイヤー、吊線)に吊り下げられるように配置される。
【0003】
ところで、複数のハンガー部材間にケーブルが架線されている状態で、更に別のケーブルを架線する場合には、例えば以下のような方法が用いられている。(例えば、特許文献1参照。)。
まず、断面形状が略U字状を有し、ローラーを回転可能に支持している仮設部材を用意する。仮設部材の両端には、仮設部材を支持線に取り付ける取付部材が設けられている。
次に、高所作業車等を用いて、仮設部材の取付部材を支持線に係止させて、仮設部材を支持線に取り付けると同時に、架線用ロープを仮設部材間に掛け渡す。
次に、架線用ロープの他端側に別のケーブルの一端を接続した状態で架線用ロープの一端側を引っ張ることにより、別のケーブルを仮設部材間に掛け渡す。
次に、高所作業車等を用いて、仮設部材に支持されている別のケーブルを、既設のケーブルを支持している支持部材により支持させるとともに、仮設部材を支持線から取り外す。
【0004】
【特許文献1】
特開平10−224928号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
従来の架線方法は、高所作業車等を用いて、仮設部材を支持線に取り付ける作業、仮設部材に支持されている新しく架線するケーブルを既設のケーブルを支持している支持部材によって支持させるとともに、仮設部材を取り外す作業等を行う必要がある。このため、架線作業が面倒であり、長時間を要している。
そこで、本発明は、上記の点に鑑みてなされたものであり、ケーブルや架線用ロープ等の線状部材を支持部材間に容易に、短時間で架線するのに有効な架線技術を提供することを課題とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
前記課題を解決するために、本発明は、各請求項に記載されたとおりの構成を有する。
【0007】
(請求項1に記載の発明)
請求項1に記載の発明は、請求項1に記載されたとおりの架線装置である。
本発明の架線装置は、支持線に沿って移動可能な架線装置本体、案内部材、通し部材、複数の当接部、保持手段を備えている。
本発明の架線装置本体は、支持線に沿って移動可能となっており、典型的には、牽引用ロープ等を牽引する操作や、モーター等の駆動手段を駆動させる操作によって支持線に沿って移動する構成になっている。案内部材は、支持線上を移動する部材として構成される。
本発明の通し部材は、後方側に線状部材が取り付けられる長尺状であり、支持部材間に挿通されることで線状部材の架線を可能とする。典型的には、断面形状が円形状の長尺の棒状部材、断面形状が方形状の長尺の板状部材、ワイヤを用いた長尺のワイヤ状部材等によって本発明の通し部材を構成する。複数の当接部は、通し部材の軸部に沿って設けられ、この軸部よりも径の大きい部位として構成される。支持部材は、典型的には、支持線に吊り下げた閉じ形状のハンガーによって構成され、このハンガーの閉じ空間が、支持部材の支持空間部(架線領域)となる。本発明の保持手段は、架線装置本体に通し部材の長手方向に沿って左右交互に取り付けられた複数の基部と、複数の基部にそれぞれ軸支された複数の保持部材と、各保持部材の先端部分に設けられた一対の保持爪と、一対の保持爪間に形成された、通し部材の軸部の径よりも大きく当接部の径よりも小さい空間部とを備える。この保持手段の作用によって、通し部材を支持部材の支持空間部内に位置決めすることが可能となる。この保持手段は、空間部に通し部材の軸部が配置され一対の保持爪に当接部が当接することで当該通し部材を保持位置に保持するとともに、架線装置本体側に対し軸部を中心にして保持位置から架線装置本体の移動方向と反対側への回転動作が可能とされ、また付勢手段によって保持位置に維持されるように付勢された構成とされる。
これにより架線装置本体が案内部材を介して支持線に沿って移動するとき、保持部材の一対の保持爪と当接部との当接によって前記保持位置に保持された前記通し部材が架線装置本体とともに当該通し部材の長手方向に沿って移動する一方、複数の保持部材のいずれかが支持部材に当接した当接時においては、支持部材に当接した当該保持部材が付勢手段の付勢力に抗して保持位置から架線装置本体の移動方向と反対側へ回転動作してその当接を一時的に回避しつつ、当該保持部材とは別の保持部材が当接部との当接を維持し、これにより複数の保持部材のいずれかが複数の当接部のいずれかに常時に当接して通し部材の保持を維持した状態で、通し部材が各支持部材の支持空間部に順次挿通される。これにより、架線用ロープやケーブル等の線状部材の一端側が接続された通し部材を保持した状態で、支持部材の支持空間内を確実に挿通(あるいは通過)させることができる。なお、本明細書でいう「支持部材側」とは、支持部材自体はもちろん、支持部材に取り付けられた別の部材をも広く含むものとする。
これにより、本発明では、作業員は、例えば、牽引用ロープ等を牽引する操作またはモーター等の駆動手段を駆動させる操作を行うだけで架線作業を行うことができる。したがって、高所作業車等を用いる作業が軽減され、線状部材を支持部材間に容易に、短時間で架線することができる。
なお、本明細書では、「長手方向」は、通し部材を支持線に沿って移動させる時における通し部材の移動方向を意味する。なお、本発明における「許容」については、通し部材が支持空間部に挿通されるのを許容する構成であれば足りる主旨であり、許容の強弱は問わないものとする。
【0008】
(請求項2に記載の発明)
また、本発明の第2発明は、請求項2に記載されたとおりの架線装置である。
本発明の架線装置は、支持線に沿って移動可能な架線装置本体、案内部材、通し部材、当接部、保持手段、挿通手段を備えている。架線装置本体、案内部材、通し部材及び複数の当接部は、前述の架線装置本体、案内部材、通し部材及び複数の当接部と同様の構成とされる。
保持手段は、通し部材の外周においてこの通し部材の軸部に沿った複数個所に設けられて当該通し部材の軸方向と略直角な方向に弾性変形可能とされた複数のヒゲ状体と、架線装置本体側において支持部材よりも外側に設けられ複数のヒゲ状体を通し部材の長手方向に沿って覆うカバー部材と、によって構成され、複数のヒゲ状体がカバー部材の内周面に当接することで通し部材を保持位置に保持する構成とされる。
挿通手段は、架線装置本体に通し部材の長手方向に沿って取り付けられた複数の基部と、複数の基部にそれぞれ軸支された複数の当接部材とを備え、当接部材は、架線装置本体側に対し中心軸を中心にして保持位置から架線装置本体の移動方向と反対側への回転動作が可能とされ、また付勢手段によって保持位置に維持されるように付勢された構成とされる。
これにより架線装置本体が案内部材を介して支持線に沿って移動するとき、当接部材の先端部分と当接部との当接によって保持位置に保持された通し部材が架線装置本体とともに当該通し部材の長手方向に沿って移動する一方、複数の当接部材のいずれかが支持部材に当接した当接時においては、支持部材に当接した当該当接部材が付勢手段の付勢力に抗して保持位置から架線装置本体の移動方向と反対側へ回転動作してその当接を一時的に回避しつつ、当該当接部材とは別の当接部材が当接部との当接を維持し、これにより複数の当接部材のいずれかが複数の当接部のいずれかに常時に当接して通し部材の保持を維持した状態で、各支持部材の支持空間部に順次挿通される。これにより、架線用ロープやケーブル等の線状部材の一端側が接続された通し部材を保持した状態で、支持部材の支持空間内を確実に挿通(あるいは通過)させることができる。
【0009】
なお、本明細書では、「前進方向」は、線状部材を架線する方向を意味する。したがって、「前進方向前方部」は線状部材を架線する方向の前方側の部分を意味し、「前進方向後方部」は線状部材を架線する方向の後方側の部分を意味する。なお、線状部材を架線する方向と反対方向は「後退方向」という。架線装置の前進方向前方部が特定されていない場合(両方向に移動可能に構成した場合)には、架線装置を支持線上に取り付けた時に、線状部材を架線する方向の前方側が「前進方向前方部」に対応する。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明の実施の形態(第1実施の形態および第2実施の形態)を、図面を参照しながら説明する。なお、これら各実施の形態は、架線用ロープの一端側が接続される通し部材を移動させて架線用ロープを支持部材間に架線し、その後、架線用ロープの他端側にケーブルの一端側を接続した状態で、架線用ロープの一端側を引っ張ることによって支持部材間にケーブルを架線する架線方法に用いられる架線装置に関する。
【0011】
(第1実施の形態)
まず、本発明の架線装置の第1実施の形態の構成および動作を図1〜図9を参照しつつ説明する。ここで、図1は本発明の第1実施の形態の架線装置100の正面図であり、図2は本発明の第1実施の形態の架線装置100の平面図であり、図3は図1中のA−A線断面矢視図である。図4は通し部材50の正面図である。図5は図3中の保持部材116の部分拡大図である。図6は図5を矢印B方向からみた図である。図7および図8は、保持部材116の平面図であって当該保持部材116の動作を示す図である。図9は案内部材30のローラー31a〜31cの動作を説明する図である。
なお、図1及び図2では、架線用ロープ及びケーブル(本発明における「線状部材」)を図中右側から図中左側に架線するものとする。
以下では、線状部材を架線する方向(図1、図2では、右から左の方向)を「前進方向」、前進方向に移動させることを「前進」、線状部材を架線する方向と反対の方向(図1、図2では、左から右の方向)を「後退方向」、後退方向に移動させることを「後退」と表現する。
【0012】
図1〜図3に示すように、ケーブル20(通信ケーブル、電力ケーブル等)を支持する支持装置10は、支持線(吊線)11(本発明における「支持線」)と、ケーブル20を支持する複数の支持部材12と(本発明における「支持部材」)、支持部材12を支持線11に取り付ける取付部材13等により構成されている。
支持線11としては、例えば、ワイヤーが用いられる。また、支持線11は、例えば、電柱等により架設されている。支持部材12は、取付部材13により、適宜の間隔をあけて支持線11に取り付けられ、これにより「架線用のハンガー」を形成する。
支持部材12は、例えば、図3に示すように、支持線11に取り付けられた時に、支持線11に沿った方向と略直角な断面形状が略U字状を有し、絶縁体(例えば、合成樹脂)により形成されている。取付部材13は、支持部材12の両端部に設けられているフック部13a及び13bを有している。フック部13a、13bを支持線11に係止することによって、支持部材12は支持線11に弾性的に取り付けられる。
このように、支持部材12の内側にケーブル20を支持する支持空間部14(本発明における「支持空間部」)が形成されている。図1〜図3に示す支持装置10では、支持線11、支持部材12、取付部材13によって支持空間部14が形成されている。この支持空間部14にケーブル20が支持される。この支持空間部14は、架線作業において線状部材を架線する「架線領域」となる。
なお、支持装置10としては、これ以外にも種々の構造、形状、材質のもの必要に応じて適宜用いることができる。
【0013】
図1〜図3に示すように、第1実施の形態の架線装置100は、架線装置本体101(本発明における「架線装置本体」)、案内部材30、通し部材50(本発明における「通し部材」)、保持装置110(本発明における「保持手段」)等によって構成されている。
【0014】
案内部材30は、架線装置本体101を支持線11に沿って案内(誘導)する部材であり、ローラー(回転部材)31a〜31c、連結部材32a、32b等を有している。
ローラー31a〜31cが支持線11上を転動することによって、案内部材30は支持線11に沿って移動する。ここで、ローラー31a〜31cの当接面(側面)と支持線11との当接状態を維持するために、ローラー31a〜31cの当接面は、図2および図3に示すように、回転軸に沿った断面形状が、回転軸方向の中央部が窪んだ凹状に形成されている。例えば、回転軸方向の両端部から中央部側に傾斜して延びている直線状部分(誘導部分)xと、直線状部分から回転軸方向に窪んでいる曲線状部分(当接部分)yを有している。直線状部分(誘導部分)xによって、ローラー31a〜31cと支持線11がローラー31a〜31cの中央部の曲線状部分(当接部分)yで当接するように誘導されるため、ローラー31a〜31cが支持線11から離脱するのが防止される。当接部分yの形状としては、例えば、円弧形状や楕円形状等の曲線形状あるいは直線形状等を用いることができる。なお、誘導部分xも曲線形状に形成してもよい。あるいは、回転軸方向の両端部から中央部側に傾斜して延びている直線状部分のみで構成してもよい。誘導部分xや当接部分yの形状や長さ等は、案内部材30の安定性や移動性等を考慮して適宜設定される。
【0015】
ローラー31a〜31cは、連結部材32a、32bに回転可能に支持されている。本実施の形態では、ローラー31aの回転軸33aが連結部材32aの一端側に回転可能に支持され、ローラー31bの回転軸33bが連結部材32aの他端側及び連結部材32bの一端側に回転可能に支持され、ローラー31cの回転軸33cが連結部材32bの他端側に回転可能に支持されている。これにより、ローラー31a〜31cは個別に支持線11と離間する方向(図1では、上下方向)に移動することができる。
【0016】
また、連結部材32a、32bの中心位置には、それぞれ固定プレート34a、34bが設けられている。この固定プレート34a、34bには、ボルト35a、35bの他端側(図1の上端側)が貫通して設けられている。ボルト35a、35bの一端側(図1の下端側)は、架線装置本体101側に設けられた固定プレート101a、101bに固定されている。さらに、ボルト35a、35bに調整プレート36a、36bが係合状態で設けられているとともに、固定プレート34a、34b(図1では、断面が略コ字状の固定プレート34a、34bの下端部)と調整プレート36a、36bとの間にバネ部材(弾性部材)37a、37bが設けられている。これにより、固定プレート34a、34b(したがって、固定プレート34a、34bに固定されている連結部材32a、32b)に対して、バネ部材37a、37bの弾性力によって、調整プレート36a、36b(したがって、調整プレート36a、36bにボルト35a、35b、固定プレート101a、101bを介して固定されている架線装置本体101)が弾性支持されている。
ボルト35a、35bに対する調整プレート36a、36bの位置を調整することによって、調整プレート36a、36bと固定プレート101a、101bとの間の距離、すなわち、連結部材32a、32bと架線装置本体101との間の距離(高さ)を調整することができる。
【0017】
本実施の形態では、架線装置本体101が、例えば2分割に分割可能な構成になっている。例えば、分割可能な複数の部材をボルト類等によって接続することによって架線装置本体101を一体的に構成する。すなわち、図1に示すように、架線装置本体101は上部側部材と下部側部材とを蝶ネジ105によって接続した構成になっている。このような構成の架線装置本体101は、必要に応じて蝶ネジ105による接続を解除することで、この架線装置本体101を上部側部材と下部側部材とに分割することができ、架線装置本体101の内側の空間部(架線装置本体101によって囲まれる空間)を開放された状態に設定することができる。このような構成によれば、支持部材12間に架線されているケーブル20を架線装置本体101の内側の空間部に容易に配置することが可能となる。通し部材50を、保持装置110に保持させる作業も容易になる。また、架線装置本体を、複数の部材に完全には分離されずヒンジ類(蝶番)等によって架線装置本体の内側の空間部が開閉可能となる構成とすることもできる。
【0018】
また、架線装置本体101は、例えば、図3に示すように、上部(支持線11と対向する側、図1では上方)、前進方向前方側(図1では左側)及び前進方向後方側(図1では右側)が開口されており、軸線方向(移動方向)に対して略直角な断面形状が略U字状に形成されている。架線装置本体101は、その内側の空間部に支持部材12を収容した状態(支持部材12を覆った状態)で支持線11に沿って移動可能に構成されている。なお、架線装置本体101の軸線方向(移動方向)の長さは、適宜設定される。
【0019】
また、架線装置本体101の下方には、ブラケット102を介して錘104が取り付けられている。この錘104は、架線装置100の安定化、特には案内部材30の姿勢の安定化等の目的のために設けられている。この錘104によって案内部材30の姿勢が安定化されるため、案内部材30は支持線11に沿って安定して移動する。なお、錘104の形状、取付位置等は、必要に応じて種々変更可能である。
【0020】
さらに、本実施の形態では、案内部材30を移動させるための駆動力を案内部材30に伝達するための駆動力伝達部材が設けられている。本実施の形態では、駆動力伝達部材として牽引ロープ40を用い、牽引ロープ40の一端側を錘104に取り付けている。これにより、例えば、作業員が牽引ロープ40の他端側を引っ張ることによって、案内部材30を支持線11に沿って移動させることができる。
なお、駆動力伝達部材としては種々の部材を用いることができ、また、駆動力伝達部材の取付位置は種々変更可能である。
【0021】
ここで、取付部材13のフック部13a、13bは支持線11に係止されているだけであるため、支持部材12は支持線11を中心に回動可能である。このため、風力等によって支持部材12の支持線11に対する配設状態(配設角度あるいは姿勢)が変化することがある。そこで、支持部材12の配設状態が異なっていても、架線装置本体101が取付部材13のフック部13a,13bに乗り上げ、脱輪するのを防止するために、架線装置本体101の前進方向前方側及び前進方向後方側の開口部のうち、少なくとも架線装置本体101の前進方向前方側の開口部に、支持線11の保持および支持部材12の配設状態(配設角度あるいは姿勢)を修正する修正部材を設けるのが好ましい。例えば、前進方向前方側の開口面積が前進方向後方側の開口面積より大きくなるように板状、ヒゲ状、ラッパ状等の修正部材を設ける。
図1および図2に示すように、本実施の形態では、前進方向前方側の開口部に、左右に、前進方向前方側の開口面積が前進方向後方側の開口面積より大きくなるように形成された板状の修正部材103が設けられている。また、図2に示すように、この左右一対の修正部材103は、連結部材32a側に固定されたブラケット38に支軸103aを介して取り付けられており、またバネ部材103bによって対向するもう一方の修正部材103の方向へ弾性付勢されている。例えば、図2では、図面上方に位置した修正部材103は、図面下方へ向けて弾性付勢されている。これにより、架線装置本体101の脱輪防止とともに、支持部材12を架線装置本体101の内側の空間部により円滑に収容することができる。
【0022】
通し部材50は、長尺状(長手状)に形成されており、例えば金属製の棒状部材によって構成される。この通し部材50は、図4に示すように、軸部51、当接部52等を備えている。当接部52は、軸部51の周方向へ向けて突出した構成を有し、その周方向の径は軸部51の周方向の径よりも大きい構成になっている。通し部材50の後端側(図4中の右側)には、図1および図2に示すように、結合部材54を介して架線用ロープ55の一端側が接続されるようになっている。
この通し部材50は、その中心部である軸部51および当接部52が、図3に示す保持装置110によって支持部材12の内側の支持空間部14内に保持されるようになっている。
【0023】
保持装置110は、図2に示すように、平面視で左右交互(図2中では上下交互)に複数(図2では計5個)設けられている。
この保持装置110は、図3に示すように、架線装置本体101側に取り付けられた基部112、この基部112に対し軸部114を中心にして回転動作可能な保持部材116(本発明における「保持部材」)等によって構成されている。本実施の形態では、保持部材116は、平面視で架線装置本体101の前方から後方へ向けて(図3では、図中の位置から奥の方向へ向けて)回転動作可能になっており、その逆方向の回転動作は、ストッパー部材(図示省略)によって規制されるようになっている。また、保持部材116は、バネ等の付勢手段によって図3中に示す位置(保持位置)に維持されるように付勢されている。すなわち、本実施の形態では、保持部材116に所定の力よりも大きい外力が作用したときにのみこの保持部材116が保持位置から上記の方向へ回転動作し、当該外力が解除されると保持部材116は元の保持位置(図3に示す位置)に戻るように構成されている。
【0024】
保持部材116は、図5および図6に示すように、その先端部分に一対の保持爪118(本発明における保持爪)を有し、これら保持爪118間に空間部119が形成されるようになっている。この保持爪118は、例えば保持部材116の先端部分を切り欠くことによって形成させることができる。これら保持爪118は、空間部119の上下方向の幅(高さ)が、通し部材50の軸部51の径よりも大きく、当接部52の径よりも小さくなるように配置されている。従って、通し部材50が空間部119に配置された場合、保持爪118と当接部52との当接によって通し部材50が保持部材116に保持されるようになっている。なお、保持爪118の先端であって当接部52との当接側(図6中の左側)は、他の部位に比して空間部119の上下方向の幅が若干拡張された構成になっており、保持爪118と当接部52との円滑な当接が可能とされている。このような構成の保持爪118は、通し部材50を簡便に保持するのに有効である。
【0025】
上記構成の保持部材116は、当該保持部材116を図3に示す位置(保持位置)から保持解除方向へ回転動作させた状態でその動作が一時的にロックされる構成であるのが好ましい。このロック機構は、例えば保持部材116の動作をロック可能なロック部材を架線装置本体101側に設けることによって実現することができる。このような構成によれば、架線装置100の架線準備を行うに際し、保持部材116を図3に示す保持位置から保持解除方向へ回転動作させた状態でその動作をロック部材によって一時的にロックすることで、通し部材50を保持装置110に容易にセットすることができる。
【0026】
なお、架線装置本体101は、通し部材50が支持線11に沿って移動し、且つ、通し部材50の先端部51が、架線装置本体101の内側の空間部に収容された支持部材12の支持空間部14に対応するように案内することができれば種々の構成を用いることができる。
また、案内部材30のローラーの数や連結部材の数等は種々変更可能である。
【0027】
ここで、本実施の形態の保持装置110(保持部材116)の作用を、図7および図8を参照しながら説明する。
架線装置100による架線作業に際しては、図1および図2に示すように、通し部材50は当該通し部材50が複数の保持装置110にわたって延在するように配置される。この配置状態では、図7に示すように、保持部材116の保持爪118によって形成される空間部119に通し部材50が配置されることとなる。これにより、通し部材50を支持部材12の内側の支持空間部14に左右の保持爪118によって保持することが可能となる。
【0028】
架線装置100が進行方向(図7中の左側)へ前進する際には、保持部材116も進行方向へ移動していく。このとき(この状態を「常時」という。)、バネ等の付勢手段によって付勢された保持部材116は、通し部材50の当接部52と当接しこの当接状態を維持することで、通し部材50の当接部52を後方(図7中の右側)から押圧し、通し部材50を伴って移動する。このとき、通し部材50は、架線装置本体101とともに当該通し部材50の長手方向に沿って移動することとなる。
そして、保持部材116が支持部材12に対応した位置まで移動すると、この保持部材116は支持部材12(あるいは、フック部13a,13b)に当接(干渉)することとなる。例えば、保持部材116が、支持部材12自体に当接する構成、支持部材12側の部材であるフック部13a,13bに当接する構成、また支持部材12とフック部13a,13bの両側に当接する構成等がある。このとき、保持部材116は支持部材12(あるいは、フック部13a,13b)によって後退方向へ押圧され、図8に示すように、バネ等の付勢手段による付勢力に抗して回転動作する(待避する)構成になっている。これにより、保持部材116と支持部材12との当接(干渉)が回避され、保持部材116が支持部材12の位置を通過する(支持部材12の外周をすり抜ける)ことが可能となる。而して、通し部材50が各支持部材12の支持空間部14に挿通されることとなる。すなわち、本実施の形態の保持部材116は、通し部材50が各支持部材12の支持空間部14に挿通されるのを許容するように構成されている。このように、本実施の形態では、通し部材50の保持機能を有する保持装置110が、通し部材116の支持部材12への挿通を可能とする(許容する)挿通機能をも有するようになっている。
なお、このとき、保持部材116と通し部材50の当接部52との当接が回避され、通し部材50の保持が部分的に解除されるが、別の保持装置110の保持部材116によって通し部材50の別の位置が保持されるようになっており、通し部材50全体の保持は解除されない。
【0029】
次に、本実施の形態の架線装置100を用いてケーブルを支持部材12間に架線する方法を説明する。なお、以下では、支持部材12間にケーブル20が架線されている状態で、別のケーブルを支持部材12間に架線する場合について説明する。
まず、架線装置本体101の内側の空間部にケーブル20が収容され、案内部材30のローラー31a〜31cが支持線11上に載置される(ローラー31〜31cの曲線状部分yが支持線11に当接する)ように案内部材30を配置する。このとき、本実施の形態の架線装置本体101は分割可能な構成になっているため、この架線装置本体101を複数の部材に分割し、架線装置本体101の内側の空間部が開放された状態に設定する。これにより、架線装置本体101の内側の空間部にケーブル20を容易に収容することができる。
そして、例えば、作業員が牽引用ロープ40を引っ張ることにより、案内部材30(架線装置本体101)を架線作業開始位置に移動させる。なお、架線作業開始位置で、架線装置本体101の内側の空間部にケーブル20が収容されるように案内部材30を配置してもよい。
【0030】
次に、通し部材50に結合部材54を介して架線用ロープ55の一端側を接続した状態で、通し部材50を、架線装置本体101の内側に設けられた保持装置110にセットする。すなわち、通し部材50が各保持装置110の保持部材116にわたって延在するように当該通し部材50を配置する。このとき、保持部材116を図3に示す保持位置から保持解除方向へ回転動作させた状態でその動作をロック可能な構成を用いることによって、通し部材50を保持装置110に容易にセットすることが可能となる。通し部材50のセット完了後は、保持部材116の一時的なロックを解除し、この保持部材116を元の保持位置に戻す。これにより、架線装置100の架線準備が完了することとなる。
【0031】
架線装置100の架線準備が完了した状態から牽引ロープ40を引っ張ることにより、架線装置100(架線装置本体101)は案内部材30を介して支持線11に沿って前進方向に移動する。これにより、架線装置100により架線作業が開始される。
架線装置100が前進方向に移動するとき、保持装置110によって保持された通し部材50も架線装置本体101とともに前進方向に移動する。このとき、前記のように保持装置110の挿通機能によって、支持部材12に当接した保持部材116は、支持部材12に押圧されながら後退方向へ回転動作し、支持部材12の外周をすり抜けていく。これにより、通し部材50が各支持部材12の支持空間部14に挿通されることとなる。
このように、本実施の形態では、架線装置本体101の前進方向への移動と、通し部材50の前進方向への移動が同時に行われ、更に通し部材50を各支持部材12の支持空間部14に挿通する動作もあわせて行われるようになっているため、これらの動作を別々に行う場合に比して、短時間で架線作業を行うことができる。
通し部材50を支持部材12の支持空間14内に移動(通過)させた後は、例えば、通し部材50に接続された架線用ロープ55の他端側に、所望のケーブルを接続し、架線用ロープ55の一端側を引っ張る。これにより、架線用ロープ55は、既設のケーブル20の最上段に載置されることとなる。そして、更に架線用ロープ55の一端側を引っ張ることによって、新しいケーブルを支持部材12間に架線することが可能となる。
【0032】
なお、支持線11上に突起物がある場合、例えば、取付部材13のフック部13a、13bが支持線11上に突出している場合における、案内部材30の各ローラー31a〜31cの動作を図9により説明する。なお、図9では、案内部材30の要部のみを示している。なお、本実施の形態では、ローラー31aと31cの距離は、支持部材12の間隔より小さく設定されている。
【0033】
ローラー31aが支持線11上の突起物13に当接すると、ローラー31aは、突起物13上を移動する。本実施の形態では、連結部材32a、32bによって、各ローラー31a〜31cが個別に支持線11と離間する方向(図9では、回転軸33a〜33cの軸線方向に直角な上下方向)に移動可能に支持されている。したがって、この場合、図9(a)に示すように、ローラー31aのみが支持線11と離間する方向に移動し、ローラー31b、31cは支持線11に当接している。
次に、ローラー31bが支持線11上の突起物13に当接すると、図9(b)に示すように、ローラー31bのみが突起物13上を移動し、ローラー31a、31cは支持線11に当接している。
次に、ローラー31cが支持線11上の突起物13に当接すると、図9(c)に示すように、ローラー31cのみが突起物13上を移動し、ローラー31a、31bは支持線11に当接している。
【0034】
このように、支持線11上に突起物が存在している場合でも案内部材30の各ローラーが個別に突起物上を移動するため、案内部材30が支持線11から離脱するのを防止することができる。
なお、両端のローラー間の距離(本実施の形態の場合、ローラー31aと31cとの間の距離)が支持部材12間の距離より小さい場合には、ローラーの数は少なくとも3個、連結部材の数は少なくとも2個設けることにより、案内部材30の支持線11からの離脱を防止することができる。勿論、ローラーの数を4個以上、連結部材を3個以上設けてもよい。この場合には、安定性が向上する。
また、ローラー及び連結部材の数が、ローラー間の距離や支持部材間の距離等に応じて適宜変更される。
【0035】
(第2実施の形態)
次に、本発明の架線装置の第2実施の形態の構成および動作を図10〜図18を参照しつつ説明する。ここで、図10は本発明の第2実施の形態の架線装置200の正面図、図11は本発明の第2実施の形態の架線装置200の平面図、図12は図10中のC−C線断面矢視図、図13は図10中のD−D線断面矢視図である。図14は通し部材60の正面図である。図15〜図18は、挿通装置210の構成および動作を示す図である。なお、これらの図において本発明の第1実施の形態で説明した要素と同一の要素には同一の符号を付すものとし、同一の符号を付した要素についての詳細な説明は省略するものとする。
【0036】
図10〜図13に示すように、第2実施の形態の架線装置200は、架線装置本体201(本発明における「架線装置本体」)、案内部材30、通し部材60(本発明における「通し部材」)、挿通装置210(本発明における「挿通手段」)等によって構成されている。
案内部材30は、架線装置本体201側に設けられた固定プレート201a、201bにボルト35a、35bを介して固定されている。
架線装置本体201は、カバー部材202(本発明における「カバー部材」)を有する。このカバー部材202は、例えば、図12および図13に示すように、上部(支持線11と対向する側、図10では上方)、前進方向前方側(図10では左側)及び前進方向後方側(図10では右側)が開口されており、軸線方向(移動方向)に対して略直角な断面形状が略U字状に形成されている。カバー部材202は、その内側の空間部に支持部材12を収容した状態(支持部材12を覆った状態)で支持線11に沿って移動可能に構成されている。なお、カバー部材202の軸線方向(移動方向)の長さは、適宜設定される。また、カバー部材202の下面に第1実施の形態と同様に、架線装置200の安定化、特には案内部材30の姿勢の安定化等の目的のため、架線装置100の錘104と同様の錘204が取り付けられている。
【0037】
本実施の形態では、カバー部材202は、ヒンジ類(蝶番)を介してこのカバー部材202の内側の空間部を開閉可能になっている。このような構成のカバー部材202は、必要に応じてこのカバー部材202の内側の空間部が開放された状態に設定することができる。このような構成によれば、支持部材12間に架線されているケーブル20をカバー部材202の内側の空間部に容易に配置することが可能となる。
【0038】
ここで、取付部材13のフック部13a、13bは支持線11に係止されているだけであるため、支持部材12は支持線11を中心に回動可能である。このため、風力等によって支持部材12の支持線11に対する配設状態(配設角度あるいは姿勢)が変化することがある。そこで、支持部材12の配設状態が異なっていても、架線装置本体201が取付部材13のフック部13a,13bに乗り上げ、脱輪するのを防止するために、架線装置本体201の前進方向前方側の開口部、及び必要があれば前進方向後方側の開口部に、支持線11の保持および支持部材12の配設状態(配設角度あるいは姿勢)を修正する修正部材を設けるのが好ましい。例えば、前進方向前方側の開口面積が前進方向後方側の開口面積より大きくなるように板状、ヒゲ状、ラッパ状等の修正部材を設ける。
図10および図11に示すように、本実施の形態では、前進方向前方側及び前進方向後方側の開口部の左右に、前進方向前方側の開口面積が前進方向後方側の開口面積より大きくなるように形成された板状の修正部材203が設けられている。また、図11に示すように、この左右一対の修正部材203は、連結部材32a側に固定されたブラケット38に支軸203aを介して取り付けられており、またバネ部材203bによって対向するもう一方の修正部材203の方向へ弾性付勢されている。例えば、図11では、図面上方に位置した修正部材203は、図面下方へ向けて弾性付勢されている。これにより、架線装置本体201の脱輪防止を図ることができる。
【0039】
また、支持部材12をカバー部材202の内側の空間部に容易に収容できるようにするため誘導部材を設けるのが好ましい。本実施の形態では、カバー部材202の前進方向前方側の開口部にラッパ状の誘導部材202aを設け、カバー部材202の前進方向後方側の開口部にラッパ状の誘導部材202bを設けている。これら誘導部材202a,202bは、直線形状や曲線形状等の種々の形状で構成することができる。これら誘導部材202a,202bを設けることによって、支持部材12を架線装置本体201の内側の空間部により円滑に収容することができる。
【0040】
通し部材60は、図14に示すように、長尺状(長手状)に形成されており、第1実施の形態の通し部材50と同様の軸部51および当接部52を備え、更に軸部51の外周に弾性部66(本発明における「弾性部材」)と、後述する先端部63を備えている。弾性部66は、軸部51の軸線方向に略直角な方向(径方向)の長さを外力によって可変とする機能を有し、本実施の形態では、樹脂(例えばナイロン樹脂)製のヒゲ状体(ブラシ)によって構成されている。
【0041】
この通し部材60は、カバー部材202の内周に形成される空間に収容される。このとき、弾性部66がカバー部材202の内周面に当接することによって、通し部材60はカバー部材202に沿って移動可能となる(図13参照)。また、通し部材60が支持部材12に対応した位置に配置された場合は、弾性部66が支持部材12に当接することで弾性変形して弾性部66の径方向の長さが短くなる(図12参照)。このように、弾性部66とカバー部材202との協働作用により、通し部材60の中心部である軸部51および当接部52の少なくとも先端部が、支持部材12の内側の支持空間部14内に保持(位置決め)されるようになっている。すなわち、弾性部66とカバー部材202とによって本発明における「保持手段」が構成されている。
また、この通し部材60は、図15に示す挿通装置210によって、支持部材12の内側の支持空間部14内を移動(通過)することができるようになっている。
なお、弾性部66を構成するヒゲ状体の径方向の長さは、通し部材60を支持部材12の支持空間部14内に容易に移動(通過)させることできるように、適宜設定される。
【0042】
挿通装置210は、図11に示すように、平面視で左右に2箇所ずつ設けられ、左側(図11中の下側)の挿通装置210と、右側(図11中の上側)の挿通装置210が互いに対向するように配置されている。
この挿通装置210には、図12および図13に示すように、基部205が設けられている。この基部205には、支持線11に対応した位置が略V字状に凹んだ凹み部205a、および固定部205bが設けられている。
このような形状の凹み部205aの作用により、支持線11が架線装置本体201の中央部に確実に誘導されることとなる。また、固定部205bは、左右の連結部材32a,32bの上部にわたって延在する保持プレート206に、例えば、ちょうナット207によって固定されるようになっている。これにより、基部205は、保持プレート206に保持されて連結部材32a,32b側(案内部材30側)に取付け固定されることとなる。なお、ちょうナット207による固定を解除し、保持プレート206による基部205の保持を解除することによって基部205を案内部材30側から取り外すことができる。
【0043】
挿通装置210は、いずれも板状の第1当接片220(本発明における「第1の当接片」)および第2当接片230(本発明における「第2の当接片」)を有し、これら第1当接片220および第2当接片230が基部205上に隣接して設けられている。これら第1当接片220および第2当接片230によって、本発明における「当接部材」が構成されている。
第1当接片220は、架線装置200の前方側(図15の左側)に配置され、第2当接片230は、架線装置200の後方側(図16の左側)に配置されている。
第1当接片220は、中心軸221を中心に基部205上を回転動作可能に構成されている。また、第1当接片220は、第1当接片220側の取付部222と、基部205側の取付部223との間に設けられたバネ部材224によって、図15中の矢印225方向へ弾性付勢されるようになっている。
一方、第2当接片230は、中心軸231を中心に基部205上を回転動作可能に構成されている。また、第2当接片230は、第2当接片230側の取付部232と、基部205側の取付部233との間に設けられたバネ部材234によって、図15中の矢印235方向へ弾性付勢されるようになっている。なお、本実施の形態の第2当接片230には、例えばその一部を切り欠いて形成された切欠部230cが設けられており、この切欠部230cは、図18において後述するように、第2当接片230を第1当接片220によって固定状態(ロック状態)あるいは固定解除状態(ロック解除状態)に設定するのに用いられる。
【0044】
図15に示す状態では、第1当接片220の端部220aと第2当接片230の凹部230aとが当接する構成ゆえ、第2当接片230の端部230bに後退方向(図15中の右側の方向)の外力が作用しても第2当接片230の回転動作は阻止されるようになっている。一方、第1当接片220の端部220bに後退方向(図15中の右側の方向)の外力が作用した場合、第1当接片220の回転動作は許容される。そして、第1当接片220が凹部230aとの当接が回避される位置まで回転動作することで、第2当接片230の回転動作が許容されるようになっている。
【0045】
挿通装置210が図11に示すように配置された初期状態、すなわち左側(図11中の下側)の挿通装置210と、右側(図11中の上側)の挿通装置210が互いに対向するように配置された状態では、一方の第1当接片220の端部220b(先端部)と他方の第1当接片220の端部220b(先端部)との間に隙間241が形成されるようになっている。この隙間241の大きさL2は、支持部材12の幅方向の長さL1よりも小さく、通し部材60の当接部52の径よりも大きくなるように構成されている。したがって、第1当接片220と通し部材60の当接部52との当接(干渉)は回避される一方、挿通装置210が支持部材12に対応した位置まで移動した場合には、第1当接片220が支持部材12に当接(干渉)するようになっている。
【0046】
また、前記の初期状態では、一方の第2当接片230の端部230b(先端部)と他方の第2当接片230の端部230b(先端部)との間に隙間242が形成されるようになっている。この隙間242の大きさL3は、通し部材60の軸部51の径よりも大きく、当接部52の径よりも小さくなるように構成されている。したがって、本実施の形態では、第1当接片220と通し部材60の軸部51との当接(干渉)は回避される一方、第1当接片220と通し部材60の当接52とが確実に当接するようになっている。
【0047】
ここで、本実施の形態の挿通装置210の作用を、図15〜図17を参照しながら説明する。
架線装置200による架線作業に際しては、図10および図11に示すように、通し部材60は、カバー部材202の内周に沿って配置される。この配置状態では、弾性部66およびカバー部材202の保持作用によって、図15に示すように、対向する挿通装置210の端部230b間に形成される隙間241に通し部材60の軸部51が配置されることとなる。
【0048】
架線装置200が進行方向(図15中の左側)へ前進する際には、挿通装置210も進行方向へ移動していく。このとき(この状態を「常時」という。)、挿通装置210の第2当接片230は、通し部材60の当接部52と当接しこの当接状態を維持することで、通し部材60の当接部52を後方(図15中の右側)から押圧し、通し部材60を伴って移動する。すなわち、挿通装置210は、第1当接片220の端部220aと第2当接片230の凹部230aとの当接が回避されない限り、第2当接片230に外力が作用してもこの第2当接片230の回転動作を許容しない構成になっているため、通し部材60の当接部52が第2当接片230によって押圧されることとなる。このとき、通し部材60は、架線装置本体201とともに当該通し部材60の長手方向に沿って移動することとなる。
【0049】
そして、挿通装置210が支持部材12に対応した位置まで移動すると、挿通装置210の第1当接片220が支持部材12(あるいは、フック部13a,13b)に当接(干渉)する。このとき、支持部材12(あるいは、フック部13a,13b)による押圧力(外力)が第1当接片220に作用することで、この第1当接片220はバネ部材224の弾性付勢力に抗して回転動作する。例えば、図15に示す状態から図16に示す状態まで第1当接片220が回転動作(待避動作)する。この状態では、第1当接片220の端部220aと第2当接片230の凹部230aとの当接が回避されることとなる。従って、この状態から第1当接片220がさらに押圧されると、図17に示すように第1当接片220がバネ部材224の弾性付勢力に抗してさらに回転動作する一方、第2当接片230がバネ部材234の弾性付勢力に抗して回転動作する。これにより、第1当接片220および第2当接片230と支持部材12との当接(干渉)が回避され、これら第1当接片220および第2当接片230が支持部材12の位置を通過する(支持部材12の外周をすり抜ける)ことが可能となる。而して、通し部材60が各支持部材12の支持空間部14に挿通されることとなる。すなわち、本実施の形態の挿通装置210は、第1当接片220および第2当接片230等の協働によって、通し部材60が各支持部材12の支持空間部14に挿通されるのを許容するように構成されている。
【0050】
ここで、通し部材60が各支持部材12の支持空間部14を通過するとき、通し部材60の中心部が支持空間部14(架線装置本体201およびカバー部材202の中心部)からずれるおそれがある。通し部材60の中心部が支持空間部14からずれた状態で架線装置200が前進すると、通し部材60が、例えば、支持部材12とカバー部材202との間の間隙部に嵌まり込み、通し部材60の円滑な移動が妨げられることがある。
そこで、本実施の形態の通し部材60では、軸部51の先端部分(移動方向の前方側)に先端部(先端部材)63を設けている。この先端部63は、通し部材60の中心部が支持空間部14からずれるのを阻止するように作用する。これにより、通し部材60の中心部が支持部材12とカバー部材202との間の間隙部に嵌まり込むことを防止することができる。なお、先端部63は、支持部材12とカバー部材202との間に形成される空隙部の最大間隙より大きい外径を有するように構成するのが好ましい。
先端部63は、例えば、絶縁性を有する樹脂により形成する。また、先端部63としては、種々の形状のものを用いることができるが、外周面が曲面形状を有する曲面体を用いるのが好ましい。特に、球面体を用いると、通し部材60の中心部を支持部材12の支持空間部14に効果的に誘導することができる。
【0051】
次に、本実施の形態の架線装置200を用いてケーブルを支持部材12間に架線する方法を説明する。なお、以下では、支持部材12間にケーブル20が架線されている状態で、別のケーブルを支持部材12間に架線する場合について説明する。
まず、架線装置本体201のカバー部材202の内側の空間部にケーブル20が収容され、案内部材30のローラー31a〜31cが支持線11上に載置される(ローラー31〜31cの曲線状部分yが支持線11に当接する)ように案内部材30を配置する。このとき、本実施の形態のカバー部材202はヒンジを介してこのカバー部材202の内側の空間部が開閉可能な構成となっているため、このカバー部材202を開放状態に設定する。これにより、カバー部材202の内側の空間部にケーブル20を容易に収容することができる。
そして、例えば、作業員が牽引用ロープ40を引っ張ることにより、案内部材30(架線装置本体201)を架線作業開始位置に移動させる。なお、架線作業開始位置で、架線装置本体201の内側の空間部にケーブル20が収容されるように案内部材30を配置してもよい。
【0052】
次に、通し部材60に結合部材54を介して架線用ロープ55の一端側を接続した状態で、通し部材60を、架線装置本体201の内側に設けられたカバー部材202内にセットする。これにより、通し部材60は、その軸部51が隙間241に配置される。これにより、架線装置200の架線準備が完了することとなる。
【0053】
なお、本実施の形態では、第1当接片220および第2当接片230を図18に示す位置(ロック位置)まで回転動作させた場合、第2当接片230の切欠部230cに第1当接片220の端部220b(先端部)が嵌り込み、第2当接片230が固定状態(ロック状態)にロックされる構成になっている。また、図18に示す状態から、第1当接片220を図中の矢印方向にさらに回転動作させることで、第2当接片230の固定状態(ロック状態)が解除される。このような構成(ロック機構およびロック解除機構)は、架線装置200の上記の架線準備の際に、第1当接片220を一時的に固定状態(ロック状態)に設定するような場合に好適に用いることができる。特に、本実施の形態によれば、回転動作のみによって第2当接片230のロック状態とロック解除状態とを容易に切り替えることが可能となる。
【0054】
架線装置200の架線準備が完了した状態から牽引ロープ40を引っ張ることにより、架線装置200(架線装置本体201)は案内部材30を介して支持線11に沿って前進方向に移動する。これにより、架線装置200により架線作業が開始される。
架線装置200が前進方向に移動するとき、通し部材60は当接部52において挿通装置210の第2当接片230によって前進方向へ付勢され、カバー部材202とともに前進方向に移動する。このとき、前記のように挿通装置210の挿通機能によって、支持部材12に当接した第1当接片220および第2当接片230は、支持部材12に押圧されながら後退方向へ回転動作し、支持部材12の外周をすり抜けていく。これにより、通し部材60が各支持部材12の支持空間部14に挿通されることとなる。
このように、本実施の形態では、架線装置本体201(カバー部材202)の前進方向への移動と、通し部材60の前進方向への移動が同時に行われ、更に通し部材60を各支持部材12の支持空間部14に挿通する動作もあわせて行われるようになっているため、これらの動作を別々に行う場合に比して、短時間で架線作業を行うことができる。
通し部材60を支持部材12の支持空間14内に移動(通過)させた後は、例えば、通し部材60に接続された架線用ロープ55の他端側に、所望のケーブルを接続し、架線用ロープ55の一端側を引っ張る。これにより、架線用ロープ55は、既設のケーブル20の最上段に載置されることとなる。そして、更に架線用ロープ55の一端側を引っ張ることによって、新しいケーブルを支持部材12間に架線することが可能となる。
【0055】
なお、支持部材12の大きさ、例えば支持空間部14の大きさを必要に応じて変更するような場合がある。このような場合には、通し部材60の軸部51の位置が変わることとなるため、これにともなって第1当接片220や第2当接片230の位置を変更する必要がある。例えば、図12中に示す支持部材12よりも小さい支持部材を用いる場合は、支持部材自体の位置が図12中の上方へ移動することとなり、第1当接片220および第2当接片230の位置を図12中の上方へ移動させる必要がある。この場合の対応としては、例えば以下の3つの方法がある。
【0056】
第1の方法としては、変更前の支持部材12に対応した基部205を、変更後の支持部材に対応した別の基部(別の第1当接片および第2当接片が取り付けられた基部)に取り替える。基部205を別の基部に取り替える場合は、図12および図13中に示すちょうナット207による固定を解除し、保持プレート206による基部205の保持を解除する。これにより、基部205を別の基部に取り替えることができ、第1当接片220および第2当接片230の位置を変更することができる。
また、第2の方法としては、保持プレート206に対する基部205の保持位置を上下方向に関して変更可能な構成を用いる。これにより、基部205を取り替えることなく、既存の第1当接片220および第2当接片230の位置を変更することができる。
また、第3の方法としては、基部205に対し既存の第1当接片220および第2当接片230の取り付け状態(例えば、取り付け角度)を変更する。これにより、基部205を取り替えることなく、既存の第1当接片220および第2当接片230の位置を変更することができる。
【0057】
第2実施の形態の架線装置200で用いた上記挿通装置210の構成は、必要に応じて種々変更可能である。第2実施の形態では、挿通装置210にかえて、例えば、図19〜図30に示す挿通装置310,410,510,610(本発明における「挿通手段」)を用いることもできる。これら挿通装置310,410,510,610は、挿通装置210と同様の位置に配置されることで、挿通装置210と同様の作用効果を奏することとなる。前記の挿通装置210および挿通装置310,410,510は、架線装置200の所定の一方向の移動に対応したものであるのに対し、挿通装置610は、架線装置200の左右両方向(図10中の左右方向)の移動に対応したものである。
以下、挿通装置310,410,510,610の構成および動作を図19〜図30を参照しながら説明する。ここで、図19〜図21は挿通装置310の構成および動作を示す図、図22〜図24は挿通装置410の構成および動作を示す図、図25〜図27は挿通装置510の構成および動作を示す図、図28〜図30は挿通装置610の構成および動作を示す図である。なお、これらの図において挿通装置210で説明した要素と同一の要素には同一の符号を付すものとし、同一の符号を付した要素についての詳細な説明は省略するものとする。
【0058】
図19に示す挿通装置310は、いずれも板状の第1当接片320(本発明における「第1の当接片」)および第2当接片330(本発明における「第2の当接片」)を有し、これら第1当接片320および第2当接片330が基部205上において互いに重なり合うように配置されている。これら第1当接片320および第2当接片330によって、本発明における「当接部材」が構成されている。
第1当接片320は、中心軸321を中心に基部205上を回転動作可能に構成されている。また、第1当接片320は、第1当接片320側の取付部322と、第2当接片330側の取付部323との間に設けられたバネ部材324によって、図19中の矢印325方向へ弾性付勢されるようになっている。
一方、第2当接片330は、中心軸331を中心に基部205上を回転動作可能に構成されている。また、第2当接片330は、第2当接片330側の取付部332と、基部205側の取付部333との間に設けられたバネ部材334によって、図19中の矢印335方向へ弾性付勢されるようになっている。
【0059】
図19に示す状態では、第1当接片320の端部320aと基部205側の突起306とが当接する構成ゆえ、第2当接片330の端部330bに後退方向(図19中の右側の方向)の外力が作用しても第2当接片330の回転動作は阻止されるようになっている。一方、第1当接片320の端部320bに後退方向(図19中の右側の方向)の外力が作用した場合、第1当接片320の回転動作は許容される。そして、第1当接片320が突起306との当接が回避される位置まで回転動作することで、第2当接片330の回転動作が許容されるようになっている。
【0060】
以下、架線装置200が移動する際の挿通装置310の動作を、図19〜図21を参照しながら説明する。
架線装置200が進行方向(図19中の左側)へ前進する際には、挿通装置310も進行方向へ移動していく。このとき、挿通装置310の第2当接片330は、通し部材60の当接部52と当接しこの当接状態を維持することで、通し部材60の当接部52を後方(図19中の右側)から押圧し、通し部材60を伴って移動する。すなわち、挿通装置310は、第1当接片320の端部320aと基部205の突起306との当接が回避されない限り、第2当接片330に外力が作用してもこの第2当接片330の回転動作を許容しない構成になっているため、通し部材60の当接部52が第2当接片330によって押圧されることとなる。このとき、通し部材60は、架線装置本体201とともに当該通し部材60の長手方向に沿って移動することとなる。
【0061】
そして、挿通装置310が支持部材12に対応した位置まで移動すると、挿通装置310の第1当接片320が支持部材12に当接(干渉)する。このとき、支持部材12による押圧力(外力)が第1当接片320に作用することで、この第1当接片320はバネ部材324の弾性付勢力に抗して回転動作する。例えば、図19に示す状態から図20に示す状態まで第1当接片320が回転動作(待避動作)する。この状態では、第1当接片320の端部320aと基部205の突起306との当接が回避されることとなる。従って、この状態から第1当接片320がさらに押圧されると、図21に示すように第1当接片320がバネ部材324の弾性付勢力に抗してさらに回転動作する一方、第2当接片330がバネ部材334の弾性付勢力に抗して回転動作する。これにより、第1当接片320および第2当接片330と支持部材12との当接(干渉)が回避され、これら第1当接片320および第2当接片330が支持部材12の位置を通過する(支持部材12の外周をすり抜ける)ことが可能となる。而して、通し部材60が各支持部材12の支持空間部14に挿通されることとなる。すなわち、本実施の形態の挿通装置310は、第1当接片320および第2当接片330等の協働によって、通し部材60が各支持部材12の支持空間部14に挿通されるのを許容するように構成されている。
【0062】
次に、図22に示す挿通装置410は、いずれも板状の第1当接片420(本発明における「第1の当接片」)および第2当接片430(本発明における「第2の当接片」)を有し、これら第1当接片420および第2当接片430が基部205上に配置されている。これら第1当接片420および第2当接片430によって、本発明における「当接部材」が構成されている。
第1当接片420は、中心軸421を中心に基部205上を回転動作可能に構成されている。また、第1当接片420は、第1当接片420側の取付部422と、第2当接片430側の取付部423との間に設けられたバネ部材424によって、図22中の矢印425方向へ弾性付勢され、基部205側の突起406に当接するようになっている。また、第1当接片420には、第2当接片430の端部430aが嵌り込み可能な開口部426が設けられている。
一方、第2当接片430は、中心軸431を中心に基部205上を回転動作可能に構成されている。また、第2当接片430は、第2当接片430側の取付部432と、基部205側の取付部433との間に設けられたバネ部材434によって、図22中の矢印435方向へ弾性付勢され、基部205側の突起407に当接するようになっている。
【0063】
図22に示す状態では、第2当接片430の端部430aが第1当接片420の開口部426に嵌り込む構成ゆえ、第2当接片430の端部430bに後退方向(図22中の右側の方向)の外力が作用しても第2当接片430の回転動作は阻止されるようになっている。一方、第1当接片420の端部420bに後退方向(図22中の右側の方向)の外力が作用した場合、第1当接片420の回転動作は許容される。そして、開口部426が第2当接片430の端部430aから外れる位置まで第1当接片420が回転動作することで、第2当接片430の回転動作が許容されるようになっている。
【0064】
以下、架線装置200が移動する際の挿通装置410の動作を、図22〜図24を参照しながら説明する。
架線装置200が進行方向(図22中の左側)へ前進する際には、挿通装置410も進行方向へ移動していく。このとき、挿通装置410の第2当接片430は、通し部材60の当接部52と当接しこの当接状態を維持することで、通し部材60の当接部52を後方(図22中の右側)から押圧し、通し部材60を伴って移動する。すなわち、挿通装置410は、第2当接片430の端部430aの第1当接片420の開口部426への嵌り込みが解除されない限り、第2当接片430に外力が作用してもこの第2当接片430の回転動作を許容しない構成になっているため、通し部材60の当接部52が第2当接片430によって押圧されることとなる。このとき、通し部材60は、架線装置本体201とともに当該通し部材60の長手方向に沿って移動することとなる。
【0065】
そして、挿通装置410が支持部材12に対応した位置まで移動すると、挿通装置410の第1当接片420が支持部材12に当接(干渉)する。このとき、支持部材12による押圧力(外力)が第1当接片420に作用することで、この第1当接片420はバネ部材424の弾性付勢力に抗して回転動作する。例えば、図22に示す状態から図23に示す状態まで第1当接片420が回転動作(待避動作)する。この状態では、第2当接片430の端部430aの第1当接片420の開口部426への嵌り込みが解除されることとなる。従って、この状態から第1当接片420、あるいは第1当接片420および第2当接片430がさらに押圧されると、図23に示すように第1当接片420がバネ部材424の弾性付勢力に抗してさらに回転動作する一方、第2当接片430がバネ部材434の弾性付勢力に抗して回転動作する。これにより、第1当接片420および第2当接片430と支持部材12との当接(干渉)が回避され、これら第1当接片420および第2当接片430が支持部材12の位置を通過する(支持部材12の外周をすり抜ける)ことが可能となる。而して、通し部材60が各支持部材12の支持空間部14に挿通されることとなる。すなわち、本実施の形態の挿通装置410は、第1当接片420および第2当接片430等の協働によって、通し部材60が各支持部材12の支持空間部14に挿通されるのを許容するように構成されている。
【0066】
次に、図25に示す挿通装置510は、いずれも板状の第1当接片520(本発明における「第1の当接片」)および第2当接片530(本発明における「第2の当接片」)を有し、これら第1当接片520および第2当接片530が基部205上に配置されている。これら第1当接片520および第2当接片530によって、本発明における「当接部材」が構成されている。
第1当接片520は、中心軸521を中心に基部205上を回転動作可能に構成されている。また、第1当接片520は、第1当接片520側の取付部522と、基部205側の取付部523との間に設けられたバネ部材524によって、図25中の矢印525方向へ弾性付勢され、基部205側の突起506に当接するようになっている。また、第1当接片520には、第2当接片530の端部530aが嵌り込み可能な開口部526が設けられている。
一方、第2当接片530は、中心軸531を中心に基部205上を回転動作可能に構成されている。また、第2当接片530は、第2当接片530側の取付部532と、第1当接片520側の取付部533との間に設けられたバネ部材534によって、図25中の矢印535方向へ弾性付勢され、基部205側の突起506に当接するようになっている。
【0067】
図25に示す状態では、第2当接片530の端部530aが第1当接片520の開口部526に嵌り込む構成ゆえ、第2当接片530の端部530bに後退方向(図25中の右側の方向)の外力が作用しても第2当接片530の回転動作は阻止されるようになっている。一方、第1当接片520の端部520bに後退方向(図25中の右側の方向)の外力が作用した場合、第1当接片520の回転動作は許容される。そして、開口部526が第2当接片530の端部530aから外れる位置まで第1当接片520が回転動作することで、第2当接片530の回転動作が許容されるようになっている。
【0068】
以下、架線装置200が移動する際の挿通装置510の動作を、図25〜図27を参照しながら説明する。
架線装置200が進行方向(図25中の左側)へ前進する際には、挿通装置510も進行方向へ移動していく。このとき、挿通装置510の第2当接片530は、通し部材60の当接部52と当接しこの当接状態を維持することで、通し部材60の当接部52を後方(図25中の右側)から押圧し、通し部材60を伴って移動する。すなわち、挿通装置510は、第2当接片530の端部530aの第1当接片520の開口部526への嵌り込みが解除されない限り、第2当接片530に外力が作用してもこの第2当接片530の回転動作を許容しない構成になっているため、通し部材60の当接部52が第2当接片530によって押圧されることとなる。このとき、通し部材60は、架線装置本体201とともに当該通し部材60の長手方向に沿って移動することとなる。
【0069】
そして、挿通装置510が支持部材12に対応した位置まで移動すると、挿通装置510の第1当接片520が支持部材12に当接(干渉)する。このとき、支持部材12による押圧力(外力)が第1当接片520に作用することで、この第1当接片520はバネ部材524の弾性付勢力に抗して回転動作する。例えば、図25に示す状態から図26に示す状態まで第1当接片520が回転動作(待避動作)する。この状態では、第2当接片530の端部530aの第1当接片520の開口部526への嵌り込みが解除されることとなる。従って、この状態から第1当接片520、あるいは第1当接片520および第2当接片530がさらに押圧されると、図23に示すように第1当接片520がバネ部材524の弾性付勢力に抗してさらに回転動作する一方、第2当接片530がバネ部材534の弾性付勢力に抗して回転動作する。これにより、第1当接片520および第2当接片530と支持部材12との当接(干渉)が回避され、これら第1当接片520および第2当接片530が支持部材12の位置を通過する(支持部材12の外周をすり抜ける)ことが可能となる。而して、通し部材60が各支持部材12の支持空間部14に挿通されることとなる。すなわち、本実施の形態の挿通装置510は、第1当接片520および第2当接片530等の協働によって、通し部材60が各支持部材12の支持空間部14に挿通されるのを許容するように構成されている。
【0070】
次に、図28に示す挿通装置610は、いずれも板状の第1当接片620(本発明における「第1の当接片」)および第2当接片630(本発明における「第2の当接片」)を有し、これら第1当接片620および第2当接片630が基部205上に配置されている。これら第1当接片620および第2当接片630によって、本発明における「当接部材」が構成されている。
第1当接片620の裏面の両端部には、各々基部205に形成された溝部606に嵌合するローラー部621が設けられている。従って、第1当接片620は、ローラー部621を介してこの溝部606が延在する方向(図28中の上下方向)に移動可能に構成されている。また、この第1当接片620は、第1当接片620側の取付部622と、基部205側の取付部623との間に設けられたバネ部材624によって、図28中の矢印625方向へ弾性付勢されるようになっている。また、第1当接片620には、第2当接片630の端部630aが嵌り込み可能な開口部626が設けられている。
一方、第2当接片630は、中心軸631を中心に基部205上を回転動作可能に構成されている。また、第2当接片630は、第2当接片630側の取付部632と、基部205側の2箇所に形成された取付部633との間に設けられた2つのバネ部材634によって、図28に示す位置(中立位置)に保持されるようになっている。
【0071】
図28に示す状態では、第2当接片630の端部630aが第1当接片620の開口部626に嵌り込む構成ゆえ、第2当接片630の端部630bに後退方向(図28中の右側の方向)ないし前進方向(図28中の左側の方向)の外力が作用しても第2当接片630の回転動作は阻止されるようになっている。一方、第1当接片620の端部620bに後退方向(図28中の右側の方向)ないし前進方向(図28中の左側の方向)の外力が作用した場合、第1当接片620は、バネ部材624の弾性付勢力に抗して図28中の上方へ溝部606に沿って移動する。このとき、第1当接片620のローラー部621は、溝部606に沿って誘導されることとなる。そして、開口部626が第2当接片630の端部630aから外れる位置まで第1当接片620が移動することで、第2当接片630の回転動作が許容されるようになっている。
【0072】
なお、挿通装置610は、架線装置200の所定の一方向の移動に対応した挿通装置210,310,410,510とは異なり、架線装置200の左右両方向(図10中の左右方向)の移動に対応したものであるため、例えば、図28に示すような通し部材70(本発明における「通し部材」)を用いる。この通し部材70は、前記の通し部材60と同様の軸部51、当接部52、弾性部66等を備えており、特に弾性部66間に当接部52が2つ設けられており、これら2つの当接部52の当接部分が互いに対向するように配置されている。なお、これら2つの当接部52の間隔は、第2当接片630が回転動作する際の動作を阻害しないように、第2当接片630の回転動作範囲に基づいて設定されるのが好ましい。
【0073】
以下、架線装置200が移動する際の挿通装置610の動作を、図28〜図30を参照しながら説明する。
例えば、架線装置200が進行方向(図28中の左側)へ前進する際には、挿通装置610も進行方向へ移動していく。このとき、挿通装置610の第2当接片630は、通し部材70の当接部52(図28中の左側の当接部52)と当接しこの当接状態を維持することで、通し部材70の当接部52を後方(図28中の右側)から押圧し、通し部材70を伴って移動する。すなわち、挿通装置610は、第2当接片630の端部630aの第1当接片620の開口部626への嵌り込みが解除されない限り、第2当接片630に外力が作用してもこの第2当接片630の回転動作を許容しない構成になっているため、通し部材70の当接部52が第2当接片630によって押圧されることとなる。このとき、通し部材70は、架線装置本体201とともに当該通し部材70の長手方向に沿って移動することとなる。
【0074】
そして、挿通装置610が支持部材12に対応した位置まで移動すると、挿通装置610の第1当接片620が支持部材12に当接(干渉)する。このとき、支持部材12による押圧力(外力)が第1当接片620に作用することで、この第1当接片620はバネ部材624の弾性付勢力に抗して移動する。例えば、図28に示す状態から図29に示す状態まで第1当接片620が移動(待避動作)する。この状態では、第2当接片630の端部630aの第1当接片620の開口部626への嵌り込みが解除されることとなる。従って、この状態から第1当接片620、あるいは第1当接片620および第2当接片630がさらに押圧されると、図30に示すように、第2当接片630が2つのバネ部材634の弾性付勢力に抗して中立位置から後退方向(図30中の右側の方向)へ回転動作する。このとき、第2当接片630の回転動作によって、図30中の左側のバネ部材634のバネ長は伸長し、図30中の右側のバネ部材634のバネ長は収縮することとなる。これにより、第1当接片620および第2当接片630と支持部材12との当接(干渉)が回避され、これら第1当接片620および第2当接片630が支持部材12の位置を通過する(支持部材12の外周をすり抜ける)ことが可能となる。而して、通し部材70が各支持部材12の支持空間部14に挿通されることとなる。すなわち、本実施の形態の挿通装置610は、第1当接片620および第2当接片630等の協働によって、通し部材70が各支持部材12の支持空間部14に挿通されるのを許容するように構成されている。
【0075】
なお、以上は、架線装置200の進行方向が図28中の左側である場合について記載したが、本実施の形態の挿通装置610は、架線装置200が図28中の右側へ進行する場合においても対応可能となっている。
すなわち、架線装置200が図28中の右側へ前進する際には、挿通装置610も同方向へ移動し、第2当接片630は、通し部材70の当接部52(図28中の右側の当接部52)と当接しこの当接状態を維持することで、通し部材70の当接部52を後方(図28中の左側)から押圧し、通し部材70を伴って移動する。
そして、挿通装置610が支持部材12に対応した位置まで移動すると、支持部材12による押圧力(外力)が第1当接片620に作用することで、この第1当接片620はバネ部材624の弾性付勢力に抗して移動し、第2当接片630は、2つのバネ部材634の弾性付勢力に抗して中立位置から後退方向(図30中の左側の方向)へ回転動作する。これにより、第1当接片620および第2当接片630と支持部材12との当接(干渉)が回避され、これら第1当接片620および第2当接片630が支持部材12の位置を通過する(支持部材12の外周をすり抜ける)ことが可能となる。
【0076】
このように、挿通装置610を装着した架線装置を用いれば、当該架線装置の左右両方向(図10中の左右方向)の移動に対応することができるため、架線装置本体を支持線に取り付ける際に架線装置本体の向きを気にすることなく簡単に取り付けを行うことができ便利である。
なお、第1当接片620は、ローラー部621と溝部606との協働によって図28中の上下方向へ誘導される構成としたが、ローラー部621のほか別のバネ部材等を用いて第1当接片620が誘導されるような構成にしてもよい。
【0077】
図28に示す通し部材70にかえて、例えば、図31および図32に示すような通し部材80を用いることもできる。ここで、図31は、通し部材80を部分的に示す図であり、図32は、図31中のE−E線断面矢視図である。
図31に示すように、通し部材80は、前記の通し部材70と同様の軸部51、弾性部66等を備えており、特に当接部52とは異なる形状の当接部82を備えている。この当接部82は、弾性部66間に2つ設けられており、これら2つの当接部82の当接部分が互いに対向するように配置されている。これら対向する当接部82の間隔は、必要に応じて適宜設定することができる。
【0078】
図31および図32に示すように、この当接部82は、例えば、軸部51に、円板状の第1部材82a、および三角形状に形成された4片の第2部材82bを固定することによって構成されている。4片の第2部材82bは、例えば、図32に示すように、隣接する第2部材82b同士のなす角度が直角となるように配置される。この構成では、挿通装置610の第2当接片630の端部630bは、当接部82のうち第1部材82aに当接することとなる。このような構成の当接部82によっても前記の当接部52と同様の作用効果を奏し、また、このような当接部82を備えた通し部材80によっても、前記の通し部材60や通し部材70と同様の作用効果を奏する。
なお、通し部材80に設けた当接部82は、前記の通し部材60や通し部材70において、当接部52にかえて用いることもできる。
【0079】
(他の実施の形態)
なお、本発明は、上記の第1実施の形態や第2実施の形態のみに限定されるものではなく、種々の応用や変形が考えられる。例えば、上記の第1実施の形態や第2実施の形態を応用した、次に各形態を実施することもできる。
上記第1実施の形態の保持装置110における保持部材116の設置数は、必要に応じて適宜変更可能である。例えば、通し部材50を安定的に保持することが可能となるように保持部材116の設置数を設定したり、通し部材50の長さに対応して保持部材116の設置数を設定するのが好ましい。
また、上記第2実施の形態では、第1当接片および第2当接片の2種類の当接片を用いて挿通装置210,310,410,510,610を構成したが、当接片の数、形状等は必要に応じて適宜変更可能である。
また、上記第1及び第2実施の形態では、案内部材30を支持線11に沿って移動させるためにローラー31a〜31cを用いたが、案内部材30の移動手段としてはこれらローラー31a〜31c等の回転部材に限定されず種々の移動手段を用いることができる。例えば、支持線11に対して摺動可能な構成の案内部材を用いることもできる。
また、上記第2実施の形態では、通し部材60の位置決めを行う弾性部66を弾性を有するヒゲ状体を用いて構成したが、弾性部は、外力によって軸線方向に略直角な方向(径方向)の長さが変化可能であれば、種々の構造、材料の当接部材を用いることができる。
また、上記第2実施の形態の挿通装置210では、第1当接片220および第2当接片230を図18に示す位置(ロック位置)まで回転動作させた場合、第2当接片230が固定状態にロックされ、さらに回転動作させることで、第2当接片230の固定状態(ロック状態)が解除される構成について記載したが、この構成は他の挿通装置310,410,510,610においても同様に適用し得る。
また、本発明はケーブルや架線用ロープ以外の種々の線状部材を支持部材12間に架線する場合に用いることができる。
また、上記第1及び第2実施の形態では、断面形状が略U字状の支持部材12を取付部材13によって支持線11に吊り下げるタイプのハンガーに対する架線技術について記載したが、その他のタイプのハンガー、例えばスパイラルハンガーやコイルハンガーにおける架線技術に本発明を適用することもできる。
【0080】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明を用いれば、ケーブルや架線用ロープ等の線状部材を支持部材間に容易に、短時間で架線することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の第1実施の形態の架線装置100の正面図である。
【図2】 本発明の第1実施の形態の架線装置100の平面図である。
【図3】 図1中のA−A線断面矢視図である。
【図4】 通し部材50の正面図である。
【図5】 図3中の保持部材116の部分拡大図である。
【図6】 図5を矢印B方向からみた図である。
【図7】 保持部材116の平面図であって当該保持部材116の動作を示す図である。
【図8】 保持部材116の平面図であって当該保持部材116の動作を示す図である。
【図9】 案内部材30のローラー31a〜31cの動作を説明する図である。
【図10】 本発明の第2実施の形態の架線装置200の正面図である。
【図11】 本発明の第2実施の形態の架線装置200の平面図である。
【図12】 図10中のC−C線断面矢視図である。
【図13】 図10中のD−D線断面矢視図である。
【図14】 通し部材60の正面図である。
【図15】 挿通装置210の構成および動作を示す図である。
【図16】 挿通装置210の構成および動作を示す図である。
【図17】 挿通装置210の構成および動作を示す図である。
【図18】 挿通装置210の構成および動作を示す図である。
【図19】 挿通装置310の構成および動作を示す図である。
【図20】 挿通装置310の構成および動作を示す図である。
【図21】 挿通装置310の構成および動作を示す図である。
【図22】 挿通装置410の構成および動作を示す図である。
【図23】 挿通装置410の構成および動作を示す図である。
【図24】 挿通装置410の構成および動作を示す図である。
【図25】 挿通装置510の構成および動作を示す図である。
【図26】 挿通装置510の構成および動作を示す図である。
【図27】 挿通装置510の構成および動作を示す図である。
【図28】 挿通装置610の構成および動作を示す図である。
【図29】 挿通装置610の構成および動作を示す図である。
【図30】 挿通装置610の構成および動作を示す図である。
【図31】 通し部材80を部分的に示す図である。
【図32】 図31中のE−E線断面矢視図である。
【符号の説明】
10 支持装置
11 支持線(支持ワイヤー、吊線)
12 支持部材
13 取付部材
13a、13b フック部
14 支持空間部
20 ケーブル
30 案内部材
31a〜31c ローラー
32a、32b 連結部材
33a〜33c 回転軸
34a、34b、101a、101b、201a、201b 固定プレート
35a、35b ボルト
36a、36b 調整プレート
37a、37b、103b、224、234、324、334、424、434、524、534、624、634 バネ部材
40 牽引用ロープ(駆動力伝達手段)
50、60、70 通し部材
51 軸部
52、82 当接部
54 結合部材
55 架線用ロープ
63 先端部
66 弾性部
100、200 架線装置
101、201 架線装置本体
103、203 修正部材
104、204 錘
110 保持装置
116 保持部材
118 保持爪
202 カバー部材
202a、202b 誘導部材
205 基部
205a 凹み部
205b 固定部
206 保持プレート
207 ちょうナット
210、310、410、510、610 挿通装置
220、320、420、520、620 第1当接片
230、330、430、530、630 第2当接片

Claims (2)

  1. 支持線に沿って移動することで、前記支持線に取り付けられた複数の支持部材間に線状部材を架線する架線装置であって、
    前記支持線上を移動する案内部材と、
    前記案内部材を介して前記支持線に沿って移動する架線装置本体と、
    後方側に前記線状部材が取り付けられる長尺状の通し部材と、
    前記通し部材の軸部に沿って設けられ、この軸部よりも径の大きい複数の当接部と、
    前記架線装置本体側に設けられ、前記支持部材の支持空間部内における保持位置に前記通し部材を保持可能な保持手段と、を備え、
    前記保持手段は、前記架線装置本体に前記通し部材の長手方向に沿って左右交互に取り付けられた複数の基部と、前記複数の基部にそれぞれ軸支された複数の保持部材と、各保持部材の先端部分に設けられた一対の保持爪と、前記一対の保持爪間に形成された、前記通し部材の軸部の径よりも大きく前記当接部の径よりも小さい空間部とを備え、
    前記空間部に前記通し部材の前記軸部が配置され前記一対の保持爪に前記当接部が当接することで当該通し部材を前記保持位置に保持するとともに、前記架線装置本体側に対し軸部を中心にして前記保持位置から前記架線装置本体の移動方向と反対側への回転動作が可能とされ、また付勢手段によって前記保持位置に維持されるように付勢された構成とされ、
    前記架線装置本体が前記案内部材を介して前記支持線に沿って移動するとき、前記保持部材の前記一対の保持爪と前記当接部との当接によって前記保持位置に保持された前記通し部材が前記架線装置本体とともに当該通し部材の長手方向に沿って移動する一方、前記複数の保持部材のいずれかが前記支持部材に当接した当接時においては、前記支持部材に当接した当該保持部材が前記付勢手段の付勢力に抗して前記保持位置から前記架線装置本体の移動方向と反対側へ回転動作してその当接を一時的に回避しつつ、当該保持部材とは別の保持部材が前記当接部との当接を維持し、これにより前記複数の保持部材のいずれかが前記複数の当接部のいずれかに常時に当接して前記通し部材の保持を維持した状態で、前記通し部材が各支持部材の支持空間部に順次挿通されるように構成されていることを特徴とする、架線装置。
  2. 支持線に沿って移動することで、前記支持線に取り付けられた複数の支持部材間に線状部材を架線する架線装置であって、
    前記支持線上を移動する案内部材と、
    前記案内部材を介して前記支持線に沿って移動する架線装置本体と、
    後方側に前記線状部材が取り付けられる長尺状の通し部材と、
    前記通し部材の軸部に沿って設けられ、この軸部よりも径の大きい複数の当接部と、
    前記架線装置本体側に設けられ、前記支持部材の支持空間部内における保持位置に前記通し部材を保持可能な保持手段と、挿通手段と、を備え、
    前記保持手段は、前記通し部材の外周においてこの通し部材の軸部に沿った複数個所に設けられて当該通し部材の軸方向と略直角な方向に弾性変形可能とされた複数のヒゲ状体と、前記架線装置本体側において前記支持部材よりも外側に設けられ前記複数のヒゲ状体を前記通し部材の長手方向に沿って覆うカバー部材と、
    によって構成され、
    前記複数のヒゲ状体が前記カバー部材の内周面に当接することで前記通し部材を前記保持位置に保持する構成であり、
    前記挿通手段は、前記架線装置本体に前記通し部材の長手方向に沿って取り付けられた複数の基部と、前記複数の基部にそれぞれ軸支された複数の当接部材とを備え、当接部材は、前記架線装置本体側に対し中心軸を中心にして前記保持位置から前記架線装置本体の移動方向と反対側への回転動作が可能とされ、また付勢手段によって前記保持位置に維持されるように付勢された構成とされ、
    前記架線装置本体が前記案内部材を介して前記支持線に沿って移動するとき、前記当接部材の先端部分と前記当接部との当接によって前記保持位置に保持された前記通し部材が前記架線装置本体とともに当該通し部材の長手方向に沿って移動する一方、前記複数の当接部材のいずれかが前記支持部材に当接した当接時においては、前記支持部材に当接した当該当接部材が前記付勢手段の付勢力に抗して前記保持位置から前記架線装置本体の移動方向と反対側へ回転動作してその当接を一時的に回避しつつ、当該当接部材とは別の当接部材が前記当接部との当接を維持し、これにより前記複数の当接部材のいずれかが前記複数の当接部のいずれかに常時に当接して前記通し部材の保持を維持した状態で、各支持部材の支持空間部に順次挿通されるように構成されていることを特徴とする、架線装置。
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